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*賭博黙示録カイジ 【とばくもくしろくかいじ】 |ジャンル|アドベンチャー|&amazon(B00005OVLO)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|講談社|~| |開発元|ウィル|~| |発売日|2000年5月25日|~| |定価|6,090円|~| |プレイ人数|1人|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~| |ポイント|徹底した原作再現(が仇に)&br意外に練られたストーリー&br全てはプレイヤー次第&br|~| |>|>|CENTER:''カイジシリーズ''&br()''賭博黙示録カイジ'' / [[逆境無頼カイジ Death or Survival]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -人気漫画『賭博黙示録カイジ』のゲーム版。原作第1部「希望の船」の''限定ジャンケン''を再現している。 -プレイヤーは原作の主人公であるカイジではなく、オリジナルのキャラとして参加する。 --カイジは船の対戦者のひとりとして登場。いろいろアドバイスをしてくれる。どうやら、このカイジはリピーターのようである。 **特徴 -基本ルールは以下の通り。細かい変更点はあれど大幅に変更された部分は無い。 --参加者それぞれに「星3つと、グー、チョキ、パーの3種4枚ずつ、計12枚のカード」が配られる。 --カードを1回につき1枚使用して、他の参加者とジャンケン勝負をする。勝つと相手の星を1つ貰える(あいこは星の移動は無し)。 --まず対戦相手を探し、承諾を得た上で船内にあるボックスを挟んで向かい合う。断られることもあり、その場合は勝負できない。 --次に「チェック」で自分が出すカードを確かめ、「セット」で伏せて提出し、「オープン」で同時にカードを公開。 --使ったカードは結果に関係なくボックスに開いている穴に投入、即座に集計される。船内の電光掲示板には「残り時間」と、「それぞれあと何枚ずつ残っているか」がリアルタイムで表示される。 --全てのカードを使い切った時点で、初参加者は星を3つ、リピーター(過去に限定ジャンケンに参加した人物)は4つ維持できれば勝ちとなる。ただし本作内では、どちらであろうと全員3つであがれる((作中では参加者から「リピーターは勝ち抜けには星4つ必要」という台詞があるのだが、船井、カイジ、主人公らが三つで勝ち抜けしている。))。 --星がなくなる、制限時間終了時にカードを使いきれていなかった時、制限時間終了後の星の売買タイムが終わっても星が規定未満の時、その他禁止行為(カードを燃やすなどして廃棄するなど)を行った時は負けとなり、別室送り(本作ではバッドエンド)にされる。 -常にオートセーブがかかるようになっており、不利な結果をリセットしてやり直すことはできない。リセットすると強制労働(という名のミニゲーム)を受けさせられ、''断った場合はセーブデータを抹消され、一からやり直しとなる''。原作の「''人生にやり直しなどない''」「''勝負に後戻りはない''」という言葉通りなのだ。 --実際には別のメモカにコピーする等の抜け道もあり、ミニゲームもクリアすればちゃんとゲームを再開できる。リセットした際のイベントや説明書の注意書き等から、罰則というよりは一種の演出と言った方が正しい。 -対戦キャラクターたちは、船井・カイジなど一部の例外を除いて本作オリジナル。しかし、明らかに他の福本漫画から顔のデザインを流用している者が多い(特に『銀と金』キャラの登場頻度が高い。他に『天』や『アカギ』のキャラも)。 --ある意味、出版社の枠を超えた福本作品オールスターゲームといえるかも?傾向として、原作で強いキャラは本ゲーム内でも強めになっている。 --また、実際に原作の限定ジャンケンで登場していた名もなきモブキャラも、名前を与えられて何人か登場している。 -主人公には運、勘、精神状態のステータスがある。 --運は運否天賦の勝負に作用し、勘は高い状態だと相手の策に対して「待てよ…」等のヒントがでて看破しやすくなる。精神状態は負けがこむと焦った状態になり、時間が早く進むようになる。これらのステータスはガムやタバコといったアイテムを使うことで変動が可能。 -基本的な進め方は他の参加者に話し掛けて情報を集め、手掛かりとして勝負を挑むという流れ。話しかけただけで雑談として情報をくれる人物もいれば、金と引き換えに情報を売る情報屋も存在する。 --情報をどう扱うかは勿論、そもそも情報は正しいのかどうかも考えなければならない。ちなみに主人公のカード情報も流されているらしく、明らかにこちらのカードのバランスを読んでくる参加者もいる。 -主人公は他キャラとの対戦を通じて、さまざまな「理論」を習得していく。これを用いて対戦を優位に進めることができる。 --相手の手持ちカードの偏りから次に出す手を予測する「バランス理論」、アイコ引き分けでのカード消費を提案する「引き分け戦術」など原作にあった理論の他、覗き見している相手の裏をかく「カード二枚重ね」などオリジナルの理論((覗き見や二枚重ねをして出す、という戦術自体は原作にもある。あくまで、覗き見されていることを前提として二枚重ねにするのはオリジナルということ。))もある。 ---「引き分け戦術」を提案しておきながら裏切ってそれに勝ってしまう鬼畜プレイも可能。 -他にも「集団に参加しないかと勧誘される」「異様な勝ちを重ねる参加者が現れ注目を浴びる」など、原作にないイベントが次々と発生。従うか、拒否するか、あるいは従うふりをして裏切るか、すべてプレイヤーの自由である(裏切っても特にペナルティはなく、普通にゲームを続行できる((とはいえルートにもよるが、相手をあまりに嵌め過ぎると自分の悪い噂が流れて警戒され、周りから孤立する展開もある)))。 **難点 -原作通り、かなり難易度が高い。 --ざっと挙げるだけでも、カードの使い方を様々な状況に応じて考え、ゲーム中手に入る現金の使い道を探し、相手の裏をかく心理読みが必要とされる。 ---こういったものが苦手なプレイヤーには絶対向いていない。会話の最中でも時間が進むため迂闊に長考もできない。 --先述の「理論」や相手のカード情報を持っていても、それを実行可能なカードを持ってないとどうしようもない。 ***バランスの悪さ -ただ難しいだけならまだしも、このゲームの肝である「心理戦の醍醐味」を半減させる仕様になってしまっている点が多く、問題となっている。 -明らかにプレイヤーを殺しにくる罠が多い。 --代表例を挙げると、まず船井とのイベント。ゲーム開始と同時に「あいこ引き分けによるカード消費」を必ず持ちかけてくるのだが、''これは原作を読んでいるプレイヤーに対しての罠''。 ---原作だと船井は「あいこ勝負に見せかけて、カードを取り違えたふりをして勝ってしまい」カイジから星を二つ奪うのだが、本作では船井が「負けるカードになるようにカードを出してくる(おそらく意図的な罠)」ので、原作を読んでいて裏をかこうとするとこちらが負けてしまう。タチの悪い初見殺しである。 ---プレイヤーが勝つと、船井は「わざと負けてくれ」と言い出す。''勿論さらに追い打ちをかけることも可能''である。 ---ちなみに二週目以降はどんな手を出しても一度目はプレイヤーが必ず負けるようになる。さらに周回プレイを重ねると両方とも必ず敗北するようになり、星1スタートを強制される。 --他の例も挙げると、前述の通り主人公は理論(戦術)を習得できるのだが、理論を使用すると必ず負けてしまう場合がある。 ---ネタバレを避けて説明すると、覚えた理論を試しに使うと''「馬鹿め!そうくると思ってたぜ!」とばかりにハメられることがある。''序盤で発生する場合もあるため、負けると一気に追い込まれる。 --発生した時点で絶対に星や金を失うことが確定してしまうイベントがあり、絶対に負ける勝負を強要される。 ---原作を再現した甘えが許されない仕様だという解釈もできるが、それを踏まえても理不尽に感じられる。 //修正依頼にあった難易度の高さについて例を挙げて追記してみました。ネタバレは避けているつもりです。 -一度攻略法を見抜いてしまえば確実に勝つことができる。手の内の読み合い、頭脳戦ができるのは初見のときのみ。ゲームの性質上仕方ないことではあるが、相手にハメられてゲームオーバーになり、もう一度勝負を挑んであっさり勝利…というパターンになってしまいがち。 -ステータスは勝てば勝つほど良くなり、負ければ負けるほど悪くなる。このため、勝ち続ければ高ステータスによって勝負がどんどん楽になり、負ければ低ステータスで余計に苦しくなるという悪循環。この点でもバランスが悪い。''原作を、いや現実のギャンブルを再現した''といえなくはないのだが…。 --特に「勘」による補正が強すぎる。MAXの状態だと「ほとんど答えをバラされるようなヒント」がでることもあり、場面によっては「間違えると痛手を被る選択肢を強制的にスキップする(正解を自動的に選ぶ)」という「考える余地?何ソレ?」的な補正まで存在する。 ---原作でもカイジが超常的なレベルでの気付きを発揮することはあるが、プレイヤーがカイジではないゲームでそれをやられても置いてきぼりになりやすい。 -勝負後、勝ち負けに関わらずトリックの種明かしをされてしまう。相手、もしくは主人公が「こういうことだった」と細かく説明してしまうケースが多く、「何故負けたのか?」「どんなトリックを使っているんだ?」と推理する楽しみが薄れてしまう。 -上記の仕様が組み合わさり、実際にやってみると''ハメられてすぐにゲームオーバーになる''か、連勝して星を手に入れすぎてしまい、''負けてもいいやという緊張感のない戦いになる''かという、両極端なプレイになりやすい。星を失う機会、得る機会のバランスが取れていないのだ。このせいで心理戦の醍醐味も大きく削がれてしまう。 --勿論「カードを使いきらないとあがれないのでいくら星を持っていたところで安心できない」という点も原作通りなので、カードが限られる終盤で連敗して一気に追いつめられる可能性もある。のだが… ---実際には終盤戦だと「勝敗を度外視してカードを使いきるため勝負する」というプレイになりがち。他者にカードを売却する等、一気にカードを消費する方法は基本的に存在しない。 -開始時に貸し付けられる軍資金の使い道が少なく、あまり役に立たない。情報を購入するのに金を使うということはあるが、それを除けばシナリオ内で一度も金を使わないこともザラにある。まともな使い方は売買タイムで星を買うのと後述のカジノで遊ぶ為くらい。、 --カードなどを買うことは基本的にできないし、反対に自分から情報やカードを売ったりすることもできない。星の購入・売却もイベント以外だと最後の売買タイムだけで、任意に購入や売却は不可能。このため金を消耗する(奪われる)機会はそれなりにあるものの、稼ぐ手段となるとほとんどない。 --しかも''原作よりもさらに暴利になっている''ので余計タチが悪い(原作だとゲーム終了までに1.4倍になる程度の金利がついていたが、本作だと終了時にほぼ2倍になる)。リピーターならともかく、初見プレイで原作のカイジのように1000万も借りると借金をチャラにしてのクリアは極めて困難。ほとんど金は重しである。 ***キャラゲーとしての問題 -再現されない原作の名場面 --例えば利根川のルール説明は「これで説明を終わります」で本当に終わってしまい、その後豹変して「Fxxx You ブチ殺すぞ・・・ゴミめら・・・!」と参加者を脅しつけるシーンが再現されていない((恐らく伏せている部分がアウツだったのもあったのだろう。))。参加者の台詞に「利根川の演説に感動したクチか?」「利根川のヤロウ、クセエ演説しやがる」というものがあるため、入れる予定だった、もしくは元々あったが削除したという事情が窺える。 ---後年のアニメ版ではFxxx Youの部分は「黙れ!」と改変されたものの、それ以外の部分はちゃんと表現されている。 --これ以外でも、原作の名場面・名展開・名台詞のほとんどを体験できない。 ---登場すらしないキャラも多数((実質的な原作キャラはカイジ、船井、利根川の三人。ポケステで遊べるミニゲームでは石田さんや北見が登場する。安藤や古畑は登場しない。))。 ---主人公がカイジじゃないのである程度は仕方ないが、やはりキャラゲーとしてみると寂しい。 -開発時期の問題もあるが「限定ジャンケン」のみしか再現されていないのも残念である。 -追加要素であるカジノが、微妙に船内の雰囲気に合っていない。 --初めてカジノに入る際には黒服が出すクイズに答える必要があるが、何故か和風ギャンブルの話題が多い。 ---そしてカジノで行われるのが''「丁半」と「チンチロリン」''。洋風の船内の装飾とは違和感が激しい。 --一応、「チンチロリン」は原作の続き部分で行われるギャンブルであるし、その際に登場したイカサマダイスを元にしただろう必ず1が出るダイスが2つと6が出るダイスが1つが手に入る等、原作再現を頑張ってるとも言える要素もあるにはあるが。 --ちなみにバグで所持チップの枚数が9999枚(9999万円相当)に増殖している事が稀にある。 ---増えたチップは普通に換金できるので、そうなってしまえばありえないような大勝が確定してしまう。 #region(その他、ネタバレ含めたシナリオ上の理不尽・不自然な部分) -読心術(超能力)を使うと自称する相手に勝つ方法が「シャッフルして自分で自分のカードがわからない状態で出す」というもの。つまり超能力が実在することは肯定されている。それどころか主人公と超能力者が実際に超能力で会話する場面まである。原作の世界観にそぐわない。 -星を一つや二つ失うだけならまだしも、終盤ではルートに乗った時点でゲームオーバー確定(最後のイベント勝負で星と金をすべて失う)になるものがある。 --なお、設定のミスかこのルートのイベントチャートに一つだけ番号が欠けている部分がある。そのため回避策があるかと思いきや、実は何もない。シナリオ上最後の対決に勝てば確実に借金返済で、星も余裕がある状態になる…というルートなのに理不尽。 -強敵相手に対策トリックを立てた協力者に、''手に入れた星を暴力で奪われる''というイベントがある。 --控室という目の届きにくい場所とはいえ、これが通ったらゲームのアイデンティティの崩壊である。トイレの中にまで目を光らせている黒服((このゲーム内においても、主人公の選択肢によっては「カードをトイレに流して」廃棄することもできるが、直後に黒服に見つかって取り押さえられ即座に別室送りになる。))に制止されそうなものだが、救済はない。 ---まあ、''原作でもカイジは最終局面で裏切った協力者に顔面パンチと蹴りを入れ、もう一人にも張り手をくらわして金と星を奪った(しかもこちらは黒服の目の前で堂々と)''のだが((この件に関しては、ルールはあくまで「プレイヤー間の星のやりとりはカードで行う」という一点しかないことから、「暴力で脅しての、彼らの持っている星で別室送りにされた人物救済の強要」と見れば特にルール違反ではない。金品の授受はそもそもが自由。))。 ---原作から判断すれば、悪く見積もっても暴力そのものは禁止されてないにしても星のやりとりは無理なはずである。 -この他にも「ある人物が突然気がおかしくなってカードを燃やして別室送り」になったり、「カードを食べてしまい」別室送りになったり、シナリオによってはそのカードの破棄が「実は芝居だった」という展開になったり((黒服に連れていかれるのだが、何事も無かったかのようにゲームに復帰する。普通に考えれば失格が妥当であろう。))。 と、ストーリーを作るために不自然なイベントがいくつか発生する。中には「それは反則すぎるだろ」とコントローラーを投げたくなるような展開(前述の回避策が無い強制ゲームオーバー)もある。 -原作では主催者側が星を400万で買い取りするという設定だったが、その設定がゲームでは存在しない。売買タイムでは100万や200万程度、高くても300万か400万の額で星を売るハメになる。これによって計算が狂い、赤字から抜け出せなくなったプレイヤーも多いだろう((アニメ序盤、リピーターである船井が語っていたのは元々こういう内容だった))。 --それ故、星が三つ以上ある状態でも売買タイムまで待たずに清算して金利額を抑えてゲームから降りるという戦略も存在する。時間を大きく余らせた状態でカードを使い切ったのなら有効な手段となる。 -エンディングは大まかに分けてゲームオーバー(別室行き)か、借金をチャラには出来なかったものの船から生還するエンド、大勝して黒服に拍手で迎えられるエンドの三通り。((スタッフロールが流れるのは大勝エンドのみなので実質的にこれがゲームクリア。))ストーリー内で様々なルートがあるのにもかかわらずエンディングがこれだけでは少し物足りない。主人公の善悪度を評価するシステムや関わったキャラクターなど、様々なエンディングを作る材料はあるのだが…。 #endregion -原作では、非情なギャンブルの中にあっても情を捨てられないカイジの人間らしい姿が丁寧に描かれ、大きな魅力となっていたが、本作にはそのような要素はない。 --人道的にふるまっても鬼畜に徹しても、ゲームは淡々と進んでいく。主人公は相手を罠に嵌めたり、徹底的に金を絞りとって「ここは戦場、騙されるほうが悪いんだ」と言い出したり、「ククク………」と笑いだしたりすることもあれば、「こいつを騙すのは気が引けるな…」と躊躇したり((このセリフは前述の「勘」のシステムによるもの。騙した場合は結果的に損をするため、勘が冴えている状態だとヒントとして表示されてしまう。))と場面ごとに性格が変わってしまう。 ---主人公の性格はどちらかというと''悪人より''。ゲームが進むにつれて非情で打算的な性格になっていくのが前提でストーリーが作られている感じがある。借金をチャラにして船を降りるには他者を堕とさなければならないので当然とも言えるが…。 ---情を捨てず、利を蹴飛ばした結果、生き残りはできたものの多額の借金を背負う…ということも一応は可能。 ***その他の問題点 -主人公の方から自由に行動することがあまりできない。他者へ話しかけたり、勝負を挑んだりすることはできても、カードの売買を持ちかける等、自分から提案するような形で進めることはできない。((もし可能なら序盤で星を稼いで後はカードを売却、譲渡してすぐにあがってゲーム終了…というやり方が可能になってしまうので、防止策と言われれば仕方ないのだが。))イベントが発生しても基本的に受け身で、行動が強制されてしまう。 -操作性にクセがあり、馴れないと参加者に中々話しかけられない。その他にもシステム等について不親切な点が結構ある。そのため''初見のプレイこそが楽しめるゲーム''にも関わらず、わけがわからないままゲームが進んでしまい、アイテムを所持していることに気が付かなかったり、売買タイムを飛ばしてしまったりというやりきれない事態も多々ある。 --全体的に動作が重い。特に勝負時のカードをセットし、オープンする際の演出はかなり遅い。勝つか負けるという状況でカードがゆっくり裏返されるのは「ミリオネア」的な演出だと解釈でき、ある意味では絶妙な表現と評価できるが、流石に周回プレイをするとなると少しストレスを感じる。 -作中である人物の頼みを聞くと、エンディングが微妙に変化する。が、変化したエンディングは一部のプレイヤーに殺意と後悔を抱かせる((とはいえ「カイジ」の世界観を考えるとだいたい予想はつくのだが。))。 #region(ネタバレ) -ある人物とは「桑島涼子」という、ゲームオリジナルの人物。アイドルなのだが色々あってエスポワール号に乗せられ、限定ジャンケンをする羽目になってしまった。 -実力も高くなく、プレイヤーが話しかけたときの状況は「''星1つ、カード1枚''」という悲惨さだった。 -涼子はプレイヤーに「''負けた際には星2つと現金を渡す代わりに、自分の身体を売り渡す''」という約束を取り付け、プレイヤーが要求通りにわざと負けると無事生還を果たす。 --が、その後涼子は約束を守る気もなく男と共に何処かへトンズラしてしまう。 ---こう聞くと完全に損するだけのマイナスイベントに思えるが、涼子を助けると後の展開で星一つ、カードゼロ、所持金ゼロという絶望的な状況になった際にある人物が''「女の権利と引き換えに星二つくれてやる」と取引を持ちかけてくる''。この辺の作りこみは見事と言える。 #endregion -キャラのボイスはなくテキストのみ。BGMやグラフィックも、PSというハードの性能を考えてもチープ。雰囲気にはあっているのだが…。 **評価点 -ストーリーは中々練られている。全体的な整合性や星の増減バランスはイマイチだが、個々のイベントでの伏線の張り方や回収等はきちんとできている。 --「共闘した相手が裏切る」等ありがちな展開でも、裏切りを予測するための材料、裏切りを見抜いて出し抜くためのトリックがちゃんと作られている。中には前述のようなトンデモネタもあるが、勝負の際のトリックは中々凝っている。 ---「俺はこの勝負、グーを出す」と宣言する小学生かと言いたくなるような戦術を使う参加者も入れば、カードをわざと落として相手に見せつけた上で裏をかくなど、一ひねりある戦術を使うものもいる。 ---相手の策にハマった際には悔しさに唸らせられるし、見事に策を看破して勝利した際にはさながら『カイジ』や『銀と金』のような爽快感、ヒリつき、勝負の熱、''悪い喜び''が味わえる。 -キャラクターにも個性がある。 --原作でいう北見や「バランス理論の男」のようにしっかりとした戦略を持って勝負に臨む者もいれば、戦場にいるという自覚がない能天気でカモになる奴もいる。そのようなフリをして虎視眈々と罠を張る者もいて油断できない。 ---仕掛けてくる罠も十人十色でしっかり作りこまれていて、実はこれらの人物がグルだった等の仕掛けはそうだったのかと唸らされる。参加者から得られる情報もかなり細かく設定されている。 --デザインが流用されていないオリジナルのキャラも、カイジの世界観に馴染みつつ目立っている。中には酒を飲んでいる酔っ払いやカタコトの外国人の他、''主人公をちゃんづけで呼ぶスキンヘッドのオネエ系オカマ''((予想がつくかもしれないが相当のキレモノで強敵。主人公に気があるらしく売買タイムで高値だが星を売ってくれる一面もある。))等もいて、かなりの存在感がある。 --原作では(一部のコマにモブとしてそれっぽい姿があるものの)女性の参加者を描写していなかったが、本作には明確な女性参加者も少ないながらもいる。そのうち一人は終盤のあるルートで主人公と共に戦うことになるなど、シナリオにも関わってくる。 -「オリジナルの主人公がいる作品」では元々の主人公の存在感が薄くなりがちだが、カイジはちゃんとストーリーに絡む。共闘することもできれば、敵対することもできる。 --カイジは最初から覚醒しており、敵に回すと苦戦は免れない。共闘ルートでは複数のパターンがあり、カイジが自分の失態をカバーしてくれる展開になることもあれば、カイジを助ける展開にもなる。カイジが裏切っているのではと主人公が疑う展開にもなりうる。 --仲間に裏切られて絶望的な状況に陥ったカイジが主人公と手を組み、裏切った相手、そして裏で糸を引いていた船井に最後の戦いを挑むという原作ファン鳥肌ものの展開も存在する。 -クリアしてもリピーターとして船に乗ることができる。周回プレイによってイベントが変化することもあり、ストーリーも行動によって大きく変化するため、飽きさせない作りになっている。 --遊べるのが限定ジャンケンのみとはいえ、ボリュームがないわけではない。全てのイベントやルートを見ようと思うのならフラグや分岐条件を調べることになり、量はそれなりに多く一種のやり込みにもなる。 -随所で入るムービーの出来は当時としてはかなり頑張っている。 --「ここは戦場……。」「そのとき、電流走る……!」「渡らせて下さい……このか細い橋………。」「気がつけば泥沼……腰までぬかるみに嵌っている……。」などの福本作品にあった表現が再現されている。演出としての使いどころもいい。 -イベント時の自由度は縛られてしまうが、プレイを通しての自由度は高い。全てはプレイヤーの腕と性格次第。 --情を捨てきれなくても生き残れるし、徹底して実利に拘って''釜の底を浅ましく醜く這いまわる''生き方もできる。''星を20個近く手に入れるような神域の如きプレイ''も可能だし、''自らが大勝しつつも売買タイムで星を売り人を救ってさらに儲ける巨悪に駆け上がる''ことも可能。 -周回プレイ時にはオープニングをスキップできる他、理論構築が最初から揃っているなど、意外と親切な仕様もある。 --テキストを読み進めるゲームながら早送り機能やバックログ機能は無いがこれに関してはカンニング防止&テキストの見落とし防止((同じ展開でも主人公の性格や星の数や所持しているカードによってテキストの細部が変化するため。))のため仕方ない点ではある。一度手に入れた情報は簡潔にまとめられていつでも閲覧できるため、問題にはならない。 **その他 -ゲームを始めるとDQIIIのような性格診断が始まる。選択肢を選んでいくだけなのだが異様にホラーのような演出になっており、本当にカイジのゲーム?と思ってしまう。 --これによって決まる主人公の性格もゲーム内でのイベントに影響するため、イベントを回収するためには周回プレイではなく新規にプレイし直す必要もある。 -クリア、もしくはゲームオーバーになると最終評価が下される。項目は不運度、ギャンブル度、不真面目度、破滅度と総合評価の五つ。大抵は低か高だがプレイによっては''無、悪、極''といった評価になる。 -アイテムとして使用できる他、主人公はムービーの中でもタバコを吸う。タバコを吸えるゲームは結構珍しい。他にタバコがアイテムとして使用できるゲームと言えば[[これ>ジョジョの奇妙な冒険 (SFC)]]とか[[これ>新宿の狼]]とか…どこかしら変なゲームが多いのは気のせいだろうか? -敗北条件を満たしてゲームオーバーになると別室送りになるのだが、別室の内容が原作とは大きく異なる。 #region(別室のネタバレ) -別室に連行された先に見えるのは''手術台''。抵抗するも主人公は台に磔にされ手足を拘束され、医者らしき人物が表れてそこで暗転…というムービーが入る。 --ちなみにこのゲームでは売買タイムはあるが別室の救済については一切言及されておらず、別室の人物を助けることは不可能。 #endregion **総評 良くも悪くも原作のif話として、限定ジャンケンをしっかり再現している。別室送りのムービーやあらゆる福本作品から流用されたキャラクター等、笑える要素もある。~ 練られたストーリーや作り込みの細かさ等の光る部分も十分にある。カイジのキャラゲーとして見ると残念な点が多いが、少なくとも凡百のキャラゲーとは一線を画している。もう少し全体的なストーリー性や星の増減バランス等、作り込みをしていれば『[[金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼]]』のような一味違うキャラゲーの名作になれたであろう。 トリック自体は練られているものの、バランスの悪さ、不親切なシステム、人を選ぶ点によって原作のような高度な心理戦や、能動的に頭を使う頭脳ゲームとしての要素を楽しめるプレイヤーは少数であろう。ゲームの本質としては「人と話して戦術を集め、また人と話してフラグを立て物語を進めていく」というADVに近い内容である。そういうものと割りきって、世界観・雰囲気に浸ることを楽しむべきゲームだろう。~ 原作読者なら誰もが考えるであろう「もし自分があの船に乗ったら……?」を体験できる(ような気分になれる)という意味で、ファンならそこそこ楽しめるかも知れない。 はっきり言って難易度は高い。~ 高難易度のゲームや心理戦が好きなプレイヤーなら楽しめるが、苦手な人はまったく楽しめないであろう。楽しむには攻略情報を見ず、常に気を抜かず、相手との駆け引きに熟考してプレイしよう。特にカイジ並の洞察力がある、という人は是非。 **余談 -前述通り、本作のカジノでは「チンチロリン」を(イカサマダイスの使用も可能で)遊ぶことができるが、後に原作でも『賭博破戒録カイジ』で、カイジが挑戦するギャンブルとしてチンチロリンが登場した。 --ただし、原作が地下の強制労働施設(かつ主催者がイカサマ)という特殊な環境で行われていたため「親の目にかかわらず子も振る」「親は二回まで」「ピンゾロ(全部1の目)は5倍」などのローカルルールが設けられたのに対し、本作のチンチロリンは広く知られた通常のルールでピンゾロ5倍も存在しない。 -ここまで読めばわかると思うが、賭博や喫煙、暴力の他、直接的ではないにせよ臓器売買や売春などの描写を含んでいるかなり危ないゲームである。色々と大丈夫だったのだろうか。 --まあ、これらもほぼ全て原作の要素を再現したものなのだから仕方はないだろうが。 --当時はCEROが存在しなかったため、本作にはレーティングがつけられていない。今出たら確実にCかD以上が付くだろう。 -その後カイジのゲームはなかなか出なかったが、2008年に新たに『逆境無頼カイジ Death or Survival』が発売された。しかしその出来は……。
*賭博黙示録カイジ 【とばくもくしろくかいじ】 |ジャンル|アドベンチャー|CENTER:&amazon(B00005OVLO)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|講談社|~| |開発元|ウィル|~| |発売日|2000年5月25日|~| |定価|6,090円|~| |プレイ人数|1人|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~| |ポイント|徹底した原作再現(が仇に)&br意外に練られたストーリー&br全てはプレイヤー次第&br|~| |>|>|CENTER:''[[少年マガジンシリーズリンク>少年マガジンシリーズ]]''((正確には週刊ヤングマガジン。))| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -現在ではいわゆる「ギャンブル漫画」の代表作としても知られる、人気漫画『賭博黙示録カイジ』のゲーム化作品。 --2007年に『逆境無頼カイジ Ultimate Survivor』のタイトルでアニメ化される以前の作品であるため、映像化に際してそちらの要素は入っておらず、タイトルなども原作準拠となっている。 -原作の第1部「希望の船」で行われた作中オリジナルのギャンブルゲーム''「限定ジャンケン」''を再現している。 --内容的には第1部終了後のスピンオフ的なもので、「カイジ達が再びエスポワールに乗船する」というifストーリーとなっており、原作第2部以降のストーリーには分岐していない世界観であることがわかる。 --プレイヤーは原作の主人公であるカイジではなく、オリジナルのキャラとして参加する。 ---名前はゲーム開始時に設定が可能で、登場人物からは設定された名前で呼ばれることになる。 ---性格はカイジと比べると基本は''悪人寄り''な人物。ゲームが進むにつれて非情で打算的になっていくのが前提でストーリーが作られている感じがある。 ---ゲームの進め方によっては性格に多少の変化はあり、相手を罠に嵌めたり、徹底的に金を絞りとって「ここは戦場、騙されるほうが悪いんだ」と言い出したり、「ククク………」と笑いだしたりすることもあれば、「こいつを騙すのは気が引けるな…」と躊躇したりすることもある。 --カイジは船の対戦者のひとりとして登場し、リピーター(過去に限定ジャンケンに参加した人物)としていろいろなアドバイスをしてくれる。 ---常に覚醒している状態であり、原作のようなコミカルな描写は皆無。敵に回すと苦戦は免れない。 ---- **特徴 -ゲームを始めると『[[ドラクエIII>ドラゴンクエストIII そして伝説へ…]]』のような性格診断が始まる。 --選択肢を選んでいくだけなのだが、異様にホラーめいた演出になっており、本当に『カイジ』のゲーム? と思ってしまう。 --これによって決まる主人公の性格もゲーム内でのイベントに影響するため、イベントを回収するためには周回プレイではなく新規にプレイし直す必要もある。 -基本ルールは以下の通り。細かい変更点はあれど、原作から大幅に変更された部分は無い。 --参加者それぞれに「星」3つと、グー、チョキ、パーの3種4枚ずつ、計12枚のカードが配られる。 --カードを1回につき1枚使用して、他の参加者とジャンケン勝負をする。勝つと相手の星を1つ奪える(あいこは星の移動は無し)。 --まず対戦相手を探し、承諾を得た上で船内にあるボックスを挟んで向かい合う。断られることもあり、その場合は勝負できない。 --次に「チェック」で自分が出すカードを確かめ、「セット」で伏せて提出し、「オープン」で同時にカードを公開。 --使ったカードは結果に関係なくボックスに開いている穴に投入、即座に回収・集計される。船内の電光掲示板には「残り時間」と、「それぞれのカードが会場全体であと何枚ずつ残っているか」がリアルタイムで表示される。 --開始前に主催者は軍資金を貸してくれる(利息あり)。この金の使い道は自由であり、他の参加者から双方合意の上で星やカードを買ったりもできる。~ 後に判明することだが、制限時間終了後に参加者同士で星を売買するための時間が設けられており、ここでの購入資金にもなる。 --全てのカードを使い切った時点で、初参加者は星を3つ、リピーターは4つ維持できれば勝ちとなる。ただし本作内では、どちらであろうと全員3つであがれる((作中では参加者から「リピーターは勝ち抜けには星4つ必要」という台詞があるのだが、船井、カイジ、2周目の主人公らが3つで勝ち抜けしている。))。 --星がなくなる、制限時間終了時にカードを使い切れていない、星の売買タイムが終わっても星が規定に満たない、その他禁止行為(カードを燃やすなどして廃棄するなど)を行う、などで負けとなり、別室送り(本作ではバッドエンド)にされる。 ---原作では別室送りになっても売買タイムで他者が星3つを提供してくれれば解放されたが、本作主人公には助けてくれそうな相手がいないからか即ゲームオーバーとなる。 -ミニゲーム(強制労働)窓拭きについて --セーブルームでセーブした後に(勝負の結果にかかわらず)「途中データを保存して終了」をせずに、リセットや電源ボタンを押して終了すると、高層ビルの窓拭きをするミニゲームイベントが必ず発生する。((シチュエーション自体は絶望の城編における鉄骨渡りを意識していると言えなくもない)) --強制労働をこなす事でセーブルームで行ったセーブまで戻る事が出来る。強制労働を拒否した場合、セーブルームで行ったセーブが消え、最後に行ったセーブ(各章の前に行ったセーブ)まで戻される。 --各章はわりとこまめに区切られているので、セーブルームで行ったセーブを消されても被害はほとんど無い。また、このイベントはシナリオの事前に行うセーブにおいては起きないので遭遇する事は少ない。原作には「''人生にやり直しなどない''」「''勝負に後戻りはない''」という言葉があるが、ゲーム内ではリセット&ロードで章ごとにやり直す事が出来るので、この言葉は再現されていない。 -原作ではカイジを含め103名の参加者が乗船していたのだが、このゲームでの参加者の合計は81名と原作に比べるとやや少なめ。 --しかも実際にゲーム中で会うことができる参加者は主人公を含めるとたったの58人だけであり、内一人はゲーム開始早々に別室送りとなってしまって話しかけることもできない((ちなみにその人物は「三島好男」という名前で通常プレイでは名前すら出てこない。原作限定ジャンケンにもモブキャラクターとして出ている))。 --さらに参加者の中に一人だけ、主人公らのような負債者ではない主催者側が差し向けた者がいるので実質的な参加者は80名となる。 -対戦キャラクターたちは、船井・カイジなど一部を除いて本作オリジナル。しかし、明らかに他の福本漫画から顔のデザインを流用している者が多い(特に『銀と金』キャラの登場頻度が高い。他に『天』や『アカギ』のキャラも)。ある意味、出版社の枠を超えた福本作品オールスターゲームといえるかも? 傾向として、原作で強いキャラは本ゲーム内でも強めになっている。 --安藤や古畑といった印象的だった人物はリピーターとして乗船できなかったのか登場しないが、明らかに彼らをモチーフにしたような性格の人物が多数登場する((ポケステで遊べるミニゲームでは石田さんや北見が登場する))。 --また、実際に原作の限定ジャンケンで登場していた名もなきモブキャラも、名前を与えられて何人か登場している。そのためかリピーターになっている場合が多い。中には絶望の城編以降に登場したモブキャラさえもいる。 --原作では若者がメインのクルーズという設定だが、このエスポワールの平均年齢はかなり高い。40~50代の人間が多く、中には70を越えている高齢者も存在する。上記の通り福本作品からキャラを流用していることも遠因だが、原作とは少し違った雰囲気となっている。~ ちなみに主人公は年上と思われる人物には敬語で話しかけるため、20~30代の若者であることが読み取れる((逆に主人公をオッサン呼ばわりする若者も登場するため、おそらく主人公は20代後半))。 -主人公には運、勘、精神状態のステータスがある。 --運は運否天賦の勝負に作用し、勘は高い状態だと相手の策に対して「待てよ…」等のヒントがでて看破しやすくなる。精神状態は負けがこむと焦った状態になり、時間が早く進むようになる。これらのステータスはガムやタバコといったアイテムを使うことで変動が可能。 -基本的な進め方は他の参加者に話し掛けて情報を集め、それを手掛かりとした上で勝負を挑むという流れ。話しかけただけで雑談として情報をくれる人物もいれば、金と引き換えに情報を売る情報屋も存在する。 --情報をどう扱うかは勿論、そもそも情報は正しいのかどうかも考えなければならない。ちなみに主人公のカード情報も流されているらしく、明らかにこちらのカードのバランスを読んでくる参加者もいる。 -主人公は他キャラとの対戦を通じて、さまざまな「理論」を習得していく。これを用いて対戦を優位に進めることができる。 --相手の手持ちカードの偏りから次に出す手を予測する「バランス理論」、アイコ引き分けでのカード消費を提案する「引き分け戦術」やゲーム全体のカード残数の比率から有利なカードを推測する「確率論」など原作にあった理論の他、覗き見している相手の裏をかく「カード二枚重ね」などオリジナルの理論((覗き見や二枚重ねをして出す、という戦術自体は原作にもある。あくまで、覗き見されていることを前提として二枚重ねにするのが本作オリジナルということ。さらに言うと、同作者の別作品『銀と金』でほぼ同じトリックが使われており、それを拝借したと思われる。))もある。 ---「引き分け戦術」を提案しておきながら裏切ってそれに勝ってしまう外道プレイももちろん可能。 -他にも「集団に参加しないかと勧誘される」「異様な勝ちを重ねる参加者が現れ注目を浴びる」など、原作にないイベントが次々と発生。従うか、拒否するか、あるいは従うふりをして裏切るか、すべてプレイヤーの自由である(裏切っても特にペナルティはなく、普通にゲームを続行できる((とはいえルートにもよるが、相手をあまりに嵌め過ぎると自分の悪い噂が流れて警戒され、周りから孤立する展開もある)))。 -クリア、もしくはゲームオーバーになると最終評価が下される。項目は不運度、ギャンブル度、不真面目度、破滅度と総合評価の五つ。大抵は低か高だがプレイによっては''無、悪、極''といった評価になる。 -敗北条件を満たしてゲームオーバーになると別室送りになるのだが、別室の内容が原作とは大きく異なる。 #region(別室のネタバレ) -別室に連行された先に見えるのは''手術台''。抵抗するも主人公は台に磔にされ手足を拘束され、医者らしき人物が現れてそこで暗転… というムービーが入る。 --ちなみにこのゲームでは売買タイムはあるが別室の救済については一切言及されておらず、別室の人物を助けることは不可能。 #endregion ---- **問題点 -原作通り、かなり難易度が高い。 --ざっと挙げるだけでも、カードの使い方を様々な状況に応じて考え、ゲーム中で手に入る現金の使い道を探し、相手の裏をかく心理読みが必要とされる。 ---こういったものが苦手なプレイヤーには絶対向いていない。会話の最中でも時間が進むため迂闊に長考もできない。 --先述の「理論」や相手のカード情報を持っていても、それを実行可能なカードを持ってないとどうしようもない。 ***バランスの悪さ -ただ難しいだけならまだしも、このゲームの肝である「心理戦の醍醐味」を半減させる仕様になってしまっている点が多く、欠点となっている。 -明らかにプレイヤーを殺しにくる罠が多い。 --代表例を挙げると、まず船井とのイベント。ゲーム開始と同時に「あいこ引き分けによるカード消費」を必ず持ちかけてくるのだが、''これは原作を読んでいるプレイヤーに対しての罠''。 ---原作では船井は、あいこのカードを出すと思わせておいて、あいこのカードに勝つカードを出して勝利する。本作の勝負において、原作を読んでいたプレーヤーは取り決め通りにあいこのカードを出せば負けると思ってしまうので、あいこのカード以外のカードを出す。よって船井はあいこのカード以外の2枚のカードに勝てるカードを出せば必ず引き分けか勝つ事が出来る。心理的な抵抗をうまく突いた作戦である。裏の裏をかいてくるので、こちらが裏をかこうとすると負けてしまう。 ---プレイヤーが勝つと、船井は「わざと負けてくれ」と言い出す。''勿論さらに追い打ちをかけることも可能''である。 ---ちなみに2周目以降はどんな手を出しても一度目はプレイヤーが必ず負けるようになる。さらに周回プレイを重ねると両方とも必ず敗北するようになり、星1個でのスタートを強制される。 --他の例も挙げると、前述の通り主人公は理論(戦術)を習得できるのだが、理論を使用すると必ず負けてしまう場合がある。 ---ネタバレを避けて説明すると、覚えた理論を試しに使うと''「馬鹿め! そうくると思ってたぜ!」とばかりにハメられることがある。''序盤で発生する場合もあるため、負けると一気に追い込まれる。 ---福本作品では自分の直感を信じることで勝利し、逆に理論や理詰めの戦術に頼り過ぎた結果、苦杯を飲まされるという展開が多い。このゲームでもその傾向が強いので''理''に頼らない運否天賦の勝負や「あいこ勝負」ばかりが安定した勝利方法になってしまいがち((とはいえ、キレ者の相手にあいこ勝負を仕掛けると逆に見破られて負けることもあるので、相手をよく見て考えなければならないが))。 --発生した時点で絶対に星や金を失うことが確定してしまうイベントがあり、絶対に負ける勝負を強要される。 ---前述の船井との周回勝負は絶対に避けられず、後述の理不尽な問題点にも含まれるが、終盤でのルート分岐次第では少なくなったカードの使い方によって最後に必ず負けてしまうこともある。また、中には''選択肢を間違えた時点でそのままゲームオーバー直行''という理不尽極まりない危険なイベントもいくつか隠されている。 ---さらに、主人公を無理矢理にでも星2つ以下にさせようとするためか、''賭ける星の数が足りないのに強引に自分の星以上の大量の星を主人公に賭けさせて勝負をさせようとする''相手もいるので理不尽。その提案にあっさり乗ってしまう主人公も不自然である。 ---原作を再現した甘えが許されない仕様だという解釈もできるが、それを踏まえても理不尽に感じられる。 //修正依頼にあった難易度の高さについて例を挙げて追記してみました。ネタバレは避けているつもりです。 -一度攻略法を見抜いてしまえば確実に勝つことができる。手の内の読み合い、頭脳戦ができるのは初見時のみ。ゲームの性質上仕方ないことではあるが、相手にハメられてゲームオーバーになり、もう一度勝負を挑んであっさり勝利… を繰り返すというパターンになってしまいがち。 -ステータスは勝てば勝つほど良くなり、負ければ負けるほど悪くなる。このため、勝ち続ければ高ステータスによって勝負がどんどん楽になり、負ければ低ステータスで余計に苦しくなるという悪循環。この点でもバランスが悪い。''原作を、いや現実のギャンブルを再現した''といえなくはないのだが…。 --特に「勘」による補正が強すぎる。MAXの状態だと「ほとんど答えをバラされるようなヒント」がでることもあり、場面によっては「間違えると痛手を被る選択肢を強制的にスキップする(正解を自動的に選ぶ)」という「考える余地? 何ソレ?」的な補正まで存在する。 ---原作でもカイジが超常的なレベルでの気付きを発揮することはあるが、プレイヤーがカイジではないゲームでそれをやられても置いてきぼりになりやすい。 -勝負後、勝ち負けにかかわらずトリックの種明かしをされてしまう。相手、もしくは主人公が「こういうことだった」と細かく説明してしまうケースが多く、「何故負けたのか?」「どんなトリックを使っているんだ?」と推理する楽しみが薄れてしまう。 -上記の仕様が組み合わさり、実際にやってみると''ハメられてすぐにゲームオーバーになる''か、連勝して星を手に入れすぎてしまい、''負けてもいいやという緊張感のない戦いになる''かという、両極端なプレイになりやすい。星を失う機会、得る機会のバランスが取れていないのだ。このせいで心理戦の醍醐味も大きく削がれてしまう。 --勿論「カードを使いきらないとあがれないのでいくら星を持っていたところで安心できない」という点も原作通りなので、カードが限られる終盤で連敗して一気に追いつめられる可能性もある。のだが… ---実際には終盤戦だと「勝敗を度外視してカードを使いきるため勝負する」というプレイになりがち。他者にカードを売却する等、一気にカードを消費する方法は基本的に存在しない。 -開始時に貸し付けられる軍資金の使い道が少なく、あまり役に立たない。情報を購入するのに金を使うということはあるが、それを除けばシナリオ内で一度も金を使わないこともザラにある。まともな使い方は売買タイムで星を買うのと後述のカジノで遊ぶためくらい。 --原作では「金の使いみちは自由」とされていたが、本作ではカードなどを買うことは基本的にできないし、反対に自分から情報やカードを売ったりすることもできない。星の購入・売却もイベント以外だと最後の売買タイムだけで、任意に購入や売却は不可能。このため金を消耗する(奪われる)機会はそれなりにあるものの、稼ぐ手段となるとほとんどない。 --しかも''原作よりもさらに暴利になっている''ので余計タチが悪い(原作だとゲーム終了までに1.4倍になる程度の金利がついていたが、本作だと終了時にほぼ2倍になる)。リピーターならともかく、初見プレイで原作のカイジのように1000万も借りると借金をチャラにしてのクリアは極めて困難。ほとんど金は重しである。 ***キャラゲーとしての問題 -原作通りに参加者のカードの総数は掲示板に記録されているのだが、特定の対戦相手のカードの内訳が交換もしていないのに勝負の最中で明らかに変化している場合がある。 --何が問題かというと、例として相手がカード一枚しか持っていないのにこちらがどんなカードを出そうとも負けになる、もしくはあいこにしてくるなど複数カードを持っていなければ不可能な、対戦相手にとって都合の良い勝負が多く、情報無しで純粋に手の内を推理するという駆け引きができない。 --さらに一部の終盤ルートでは、この掲示板の記録自体が一度減っていたはずのものが突然増えているというおかしな現象が起きている場合もあるため、情報としてはあまり活用できないどころか、ゲームそのものが成り立っていない矛盾した状況になってしまっている。 -追加要素である賭博場が、微妙に船内の雰囲気に合っていない。 --そもそも生死を賭けた鉄火場だというのに限定ジャンケンから離れて金稼ぎをしているというのが世界観にそぐわない。星を確保してカードを使い切った者が参加できるのならまだわかるのだが、実際のゲーム内では残り時間が少なくなると賭博場が閉鎖されてしまう。完全に余興として楽しむことは出来ない。 --初めて賭博場に入る際には黒服が出すクイズに答える必要があるが、何故か和風ギャンブルの話題が多い。 ---そして賭博場で行われるのが''「丁半」と「チンチロリン」''。洋風の船内の雰囲気にあってない。 --一応、「チンチロリン」は原作の続き部分で行われるギャンブルであるし、原作再現と言えなくもないが((このゲームの発売日と破戒録の掲載時期を考えると偶然の一致であろうと思われる。ちなみにこのゲームにも特定の目しか出ないイカサマ賽が存在するという奇妙な符合となった。))。 --ちなみにバグで所持チップの枚数が9999枚(9999万円相当)に増殖している事が稀にある。 ---増えたチップはそのまま換金できるので、そうなってしまえばありえないような大勝が確定してしまう。 #region(その他、ネタバレ含めたシナリオ上の理不尽・不自然な部分) -読心術(超能力)を使うと自称する相手に勝つ方法が「シャッフルして自分で自分のカードがわからない状態で出す」というもの。つまり超能力が存在することは肯定されている。それどころか主人公と超能力者が超能力を介して心で会話する場面まである。原作の世界観にそぐわない。 --没データの中には種明かしとして「対戦相手に催眠術をかけているらしい」、という会話がある。実際にこの勝負で挿入されるムービーでそれらしい動きをしているので読心術よりは納得ができるトリックであるのだが、採用はされておらず結局はオカルトな話になるのでやはり原作の世界観には合わない。 -星を一つや二つ失うだけならまだしも、終盤ではルートに乗った時点でゲームオーバー確定(絶対に相手に勝つことが不可能で最後のイベント勝負で星と金をすべて失う)になるものがある。 --なお、設定のミスかこのルートのイベントチャートに一つだけ番号が欠けている部分がある。そのため回避策があるかと思いきや、実は何もない。シナリオ上最後の対決に勝てば確実に借金返済で、星も余裕がある状態になる…というルートなのに理不尽((なお、没データではこの欠けている番号のイベント内容は分岐ルートで勝負する相手との勝負とされているが、各章の別ルートで同一人物との勝負が複数存在する場合は“I”や“II”などの番号が振られているのに対して、この勝負にはそれが無いために開発の段階で元々あったのを別ルートに移したのが窺える。))。 --そしてこのルートのギミックは「それは反則すぎるだろ」とコントローラーを投げたくなるレベルである。それは''対戦相手の正体が主催者側からの刺客(いわゆるジョーカー)である''というもの。 ---この対戦相手は「カードを使い切らずに時間切れとなった場合は敗北」というルールを覆せる立場にあることを仄めかす。いくらなんでも理不尽すぎる。 ---この人物によって主人公以外にも多くの参加者が別室送りにされる。こんなあからさまなやり方をしたら次回以降の乗船希望者が居なくなってしまうはずだが…。 --福本作品では敵側または主催者側が反則的な手段を使って有利に立ち回るものの、裏をかいて逆転勝利に辿り着く…という展開が多いため、この対戦相手に勝つことが出来ないのはユーザーからすれば理不尽すぎるし、非常に心残りである。 -強敵相手に対策トリックを立てた協力者に、''手に入れた星を暴力で奪われる''というイベントがある。 --控室という目の届きにくい場所とはいえ、これが通ったらゲームのアイデンティティの崩壊である。トイレの中にまで目を光らせている黒服に制止されそうなものだが、救済はない。 ---まあ、''原作でもカイジは最終局面で裏切った協力者に顔面パンチと蹴りを入れ、もう一人にも張り手をくらわして金と星を奪った(しかもこちらは黒服の目の前で堂々と)''のだが((この件に関しては、ルールはあくまで「プレイヤー間の星のやりとりはカードで行う」という一点しかないことから、ゲーム終了後の「暴力で脅しての、彼らの持っている星で別室送りにされた人物救済の強要」と見れば特にルール違反ではない。金品の授受はそもそもが黙認されている。))。 ---原作内容から判断すれば、(悪く見積もって)暴力そのものは禁止されてないにしても、それによる星のやりとりは無理なはずである。 -この他にも「ある人物が突然気がおかしくなってカードを燃やして別室送り」になったり、「カードを食べてしまい」別室送りになったり、シナリオによってはそのカードの破棄が「実は芝居だった」という展開になったり((黒服に連れていかれるのだが、後で何事も無かったかのようにゲームに復帰する。「破棄したら失格だが嘘だったので復帰させた」という流れだが普通に考えればゲームを不当に混乱させる反則行為であり、失格が妥当であろう。))。と、ストーリーを作るために無理矢理で不自然なイベントがいくつか発生する。 --これに関連して中盤で強制発生する上記の「集団への参加の勧誘」というイベントでは「金はもらうが参加者の情報を交換し合う」と提案者に言われるのだが金が足りなかったり、断っても「金はいらないから情報だけは必ず交換し合う」と結局は強制的に参加させられてしまい、金を払った場合と展開がまったく同じなので意味がない。 ---別の人物からも勧誘されるイベントはあるが、こちらは任意に断ることができるのに何故か強制イベントの方は断れない。 ---終盤のストーリーはこの勧誘イベントを軸にした構成となっており、仮に断ってしまうとそれらのストーリー自体が成り立たなくなってしまうために強制しなければならず仕方がない部分もあるが、きっぱり断った場合のパターンも用意すれば良いだけの話なのでストーリー構成をしっかり練ってもらいたかった所である。 -終盤では''追い詰められた主人公がカードを廃棄し、黒服に見つかって別室送りにされる''というイベントがある。 --このイベントはルート分岐次第では発生せず場所もトイレと限定されているので滅多に拝む機会はないものの、選択肢を間違えたその時点でゲームオーバーになってしまう危険なイベントである。 ---なお、このイベントは設定ミスかイベントチャートにも入らないため、余計に存在に気づき難い。前述の設定ミスで欠けている部分で使われればちょうどイベント数も合うので、やはり開発中の設定ミスであったことが覗える。 --そしてそのイベント内容とは''カードの買占めを提案してきた人物に騙されてしまい、金を全て奪われ大量の不要なカードを押し付けられてしまう''というもの。それによって追い詰められた主人公がカードをトイレに流して廃棄してしまう…という原作にもあった要素でもある。 --カード買占めは原作にも存在した要素で「カード買占めが自分もできるのか?」と期待したプレイヤーを一気にどん底へ落としてしまう。他人の話を簡単に鵜呑みにしてはいけないということなのだろうが、提案者は主人公の話もまともに聞かず''金を無理矢理奪った挙句に不要なカードを全部押し付け、最終的には賭博場へ逃げてしまう''と、理不尽極まりない。 ---選択肢前の会話内容から胡散臭いことは分かり、最初から主人公を騙そうとしているのは見え見えなので回避自体は簡単なのが幸い。 ---なお、この人物はイベントよりずっと前のゲーム序盤から姿を見せており、勝負をすることはもちろん、実はキレ者であるという情報を知ることもできるのだが、その情報を主人公はまったく活かせておらず、むしろ初対面のような状況になってしまっている。 ---騙された後も主人公は相手が''最初から自分を騙そうと誰かの策謀で待ち構えていたのではないか?''と洞察する場面になるのだがそのまま別室行きになるので、ストーリーには活かせていない。押し付けられた大量のカードを誰かに頼んであいこ消費してもらうということもできず、''自分にはもう廃棄しか道はない!''と強引に決めつけてしまい、自分自身がカード廃棄をするというイベントを成立させるためとはいえかなり無理矢理すぎである。 -終盤ではとある参加者たちが「お互いのカードをシャッフルし合わないか?」と持ち掛けてくるイベントが発生し、実行すると所持しているカードの種類や枚数が変わるのだが、実際はそのカードの内訳が一種類しかないために全然シャッフルになっておらず後の終盤でのイベントに活かせていない。 --ルート分岐にもよるが終盤でのイベントはほぼ強制的でシャッフルイベントで内訳が固定されたカードを使うことを前提に組まれているために自由度が低い。しかも対戦相手の仕掛けた罠に嵌まるかギリギリで回避するか、という展開になるのがほとんどなので逆に相手を倒すというような展開にはならない。((仮にシャッフルでカードが固定以外の内訳にもなる、というパターンが作られていれば罠に嵌めてきた相手を返り討ちにしたり、前述の回避策が無いゲームオーバーも本当に回避できるという展開も作れたはずなのに、せっかくのイベントを活かしきれていないのは残念な点である。)) -エンディングは大まかに分けてゲームオーバー(別室行き)か、借金をチャラには出来なかったものの船から生還するエンド、大勝して黒服に拍手で迎えられるエンドの三通り。((スタッフロールが流れるのは大勝エンドのみなので実質的にこれがゲームクリア。))ストーリー内で様々なルートがあるのにもかかわらずエンディングがこれだけでは少し物足りない。主人公の善悪度を評価するシステムや関わったキャラクターなど、様々なエンディングを作る材料はあるのだが…。 --ただし、ある人物とのイベントの結果次第では追加のエピローグが発生する(後述)。 #endregion -原作では主催者側が余った星を400万で買い取りするという設定があり、ゲーム中でも情報として聞くことができるのだが、実際はどれだけ星を大量に所持して上がったとしても買い取ってくれない。このため、星を売りたい場合は売買タイムに必ず参加しなければならなくなっている。((原作通りに主催者側が星を買い取る設定だと、売買タイムまで待つ意義が無くなってしまうというゲーム的な都合であると思われる)) --その売買タイムでも100万や200万程度、高くても300万か400万の額で星を売るハメになる。これによって計算が狂い、赤字から抜け出せなくなったプレイヤーも多いだろう((アニメ序盤、リピーターである船井が語っていたのは元々こういう内容だった))。 --それ故、星が四つ以上ある状態でも売買タイムまで待たずに清算して金利額を抑えてゲームから降りるという戦略も存在する。時間を大きく余らせた状態でカードを使い切ったのなら有効な手段となる。 -売買タイムにはいくつかの矛盾点があり、作り込みの甘さが露呈してしまっている。 --例として星を売る側の参加者であるが、ルート分岐によっては終盤で戦うこともできる人物に勝つと星3つになってそのまま上がっていくのだが、何故か売買タイムには星4つ以上になって復帰している者がいる。 --売買タイムではさすがに別室行きになった人物こそ登場しないが、カード0、星3つ未満でまだ生存が確定しているのに売買タイムに姿を現さない人物が非常に多い。特に主人公と勝負をして負けた人物が「売買タイムに賭ける」とはっきり言っているにもかかわらず出てこないのは不自然。 ---また、一部の星を買う人物は売買タイム前に主人公との対戦によって別室行きになる場合があるが、そうなると星を買う人間が少なくなってしまうことになり、主催者にも星を売れないためその人物と対戦して勝つと結果的には損をしてしまうことになってしまう。 ---このために売買タイムで星を買う人物が少なくなるために上記のように赤字になったり、星を余裕すぎるほど多く持っていても売る相手がいなくなってしまって結果的に売れ残ってしまい、宝の持ち腐れになってしまう。上記のように主催者側が買い取ってもくれないので尚更である。 ***その他の問題点 -主人公の方から自由に行動することがあまりできない。他者へ話しかけたり、勝負を挑んだりすることはできても、カードの売買を持ちかける等、自分から提案するような形で進めることはできない。((もし可能なら序盤で星を稼いで後はカードを売却・譲渡してすぐにあがってゲーム終了…というやり方が可能になってしまうので、防止策と言われれば仕方ないのだが。))イベントが発生しても基本的に受け身で、行動が強制されてしまう。 -主人公を動かす操作性にクセがあり、馴れないと参加者に中々話しかけられない((向きが合わなくても他の人物の近くで決定ボタンを押せば自動で振り向いてくれるので多少は配慮がある))。その他にもシステム等について不親切な点が結構ある。そのため''初見時のプレイこそが楽しめるゲーム''にもかかわらず、わけがわからないままゲームが進んでしまい、アイテムを所持していることに気が付かなかったり、売買タイムを飛ばしてしまったりというやりきれない事態も多々ある。 --全体的に動作が重い。特に勝負時のカードをセットし、オープンする際の演出はかなり遅い。勝つか負けるという状況でカードがゆっくり裏返されるのは「ミリオネア」的な演出だと解釈でき、ある意味では絶妙な表現と評価できるが、流石に周回プレイをするとなると少しストレスを感じる。 -しっかりテストプレイをしていないようで普通にゲームを進めることしか前提にしていないのか、変則的なプレイをするとその後の展開がおかしくなってしまったり上記にあるようなゲーム中での矛盾が発生するなど作り込みが甘い点が散見される。 --例として、ゲーム開始直後は必ず船井とのイベント勝負とカイジのイベントが発生するのだが、何もせずにその場で時間を浪費すると強制的に最終章へと移行する。そうするとまだ顔を合わせていないのにもかかわらず、船井やその後のイベントで会える人物達と何故かもう対面したことがあるという状況になってしまっている。 ---さらに最初の船井とのイベント勝負をこなさずにタイムロスで最終章に移行した場合、所持しているカードの残数に対して対戦相手が足りないため、&bold(){カードを使い切ることが出来ずゲームオーバーが確定}してしまう。 ---また、強引にイベントを飛ばしてキャンセルしているためか他にも不具合が生じており、通常はゲーム開始後に無くなる軍資金の山が会場内に堂々と残されたままになっているシュールな光景が拝めてしまう。 --上記のように初心者のプレイヤーを明確に殺そうとしている構成による弊害なのか、一部の対戦では主人公が対戦相手の策にハメられて負けることのみしか前提にしていないような不自然なイベントや対戦がある。 ---例として上記の「カード破棄が芝居だった」というルートでは主人公が敵の策にハマって最後の最後で負けてしまい、黒幕に馬鹿にされてしまうという展開になる。しかし、分岐次第では引き分けに持ち込むことも可能なのだが、そのパターンでも勝負後の会話が負けた時とほぼ同じ展開になっており、会話が不自然なものとなってしまっている。 --同様に中盤では情報屋から手に入れたある対戦相手と勝負をし、罠にハマって負けた場合と逆に見破って勝利した会話パターンがあるが、引き分けになった場合は対戦後の会話すら起きずにそのまま終了してしまう。 ---なお、この対戦による引き分けはイベント自体を用意していないのか、フラグの設定もされておらずこの相手とは何度でも対戦することができてしまうばかりか、カードを既に使ったにもかかわらず主人公側の情報が対戦前のままになってしまっており、やはり不自然な展開になってしまう。 -作中である人物の頼みを聞くと、エンディングが微妙に変化する。が、変化したエンディングは一部のプレイヤーに殺意と後悔を抱かせる((とはいえ「カイジ」の世界観を考えるとだいたい予想はつくのだが。))。 #region(ネタバレ) -ある人物とは「桑島涼子」という、ゲームオリジナルの人物。アイドルなのだが色々あってエスポワール号に乗せられ、限定ジャンケンをする羽目になってしまった。 -実力も低く、プレイヤーが話しかけたときの状況は「''星1つ、カード1枚''」という悲惨さだった。 -涼子はプレイヤーに「''星2つと現金を掛けた勝負をしてわざと負けてもらう代わりに、自分の身体を売り渡す''」という約束を取り付け、プレイヤーが要求通りにわざと負けると無事生還を果たす。 --が、その後涼子は約束を守る気もなく男と共に何処かへトンズラしてしまう。 --こう聞くと完全に損するだけのマイナスイベントに思えるが、涼子を助けると後の展開で条件を満たすとある人物が''「女の権利と引き換えに星二つくれてやる」と取引を持ちかけてくる''。このイベントに関しても実は伏線が張られていて、涼子に星を渡すムービーでその人物がこちらのやり取りをうかがっている姿が一瞬映る。この辺の作りこみは脱帽である。 //↑プレイしてみたが確認できず //↑http://www.nicovideo.jp/watch/sm7272536にて確認。他にイベントが発生する条件があるのかも? #endregion -ボイスは一部のムービーで叫び声や笑い声といった形で挿入されるが、ほとんどSEと言っていいほど僅かな量。グラフィックもPSというハードの性能を考えてもチープ。 --ちなみにムービーでは黒服以外のほとんどの人物の顔が何故か首から上が映らないことが多く、せいぜい後ろ側からか口元のアップでしか映らないようになっている。稀に映ることがあっても演出で顔がぼやけたり、影になったりするなどしてやはりはっきりとは映らない。 ---- **評価点 -ストーリーは中々練られている。全体的な整合性や星の増減バランスはイマイチだが、個々のイベントでの伏線の張り方や回収等はきちんとできている。 --「共闘した相手が裏切る」等ありがちな展開でも、裏切りを予測するための材料、裏切りを見抜いて出し抜くためのトリックがちゃんと作られている。中には前述のようなトンデモネタもあるが、全体的に見れば中々凝っている。 --「俺はこの勝負、グーを出す」と宣言するという小学生かと言いたくなるような参加者もいれば、カードをわざと落として相手に見せつけた上で裏をかくなど、一ひねりある戦術を使うものもいる。 --中には原作のカイジが船井にやったような別室行き覚悟で主人公を沈めに来る人物までいる。全財産を奪われかねない危険なイベントである。 ---相手の策にハマった際には悔しさに唸らせられるし、見事に策を看破して勝利した際にはさながら『カイジ』や『銀と金』のような爽快感、ヒリつき、勝負の熱、''悪い喜び''が味わえる。 -キャラクターにも個性がある。 --原作でいう北見やバランス理論の男のようにしっかりとした戦略を持って勝負に臨む者もいれば、戦場にいるという自覚がない能天気でカモになる奴もいる。そのようなフリをして虎視眈々と罠を張る者もいて油断できない。 ---仕掛けてくる罠も十人十色でしっかり作りこまれていて、実はこれらの人物がグルだった等の仕掛けはそうだったのかと唸らされる。参加者から得られる情報もかなり細かく設定されている。 --デザインが流用されていないオリジナルのキャラも、カイジの世界観に馴染みつつ目立っている。中には酒を飲んでいる酔っ払いやカタコトの外国人の他、''主人公をちゃんづけで呼ぶスキンヘッドのオネエ系オカマ''((予想がつくかもしれないが相当のキレモノで強敵。主人公に気があるらしく、売買タイムで高値だが星を売ってくれる一面もある。))等もいて、かなりの存在感がある。 --原作では(一部のコマにモブとしてそれっぽい姿があるものの)女性の参加者を描写していなかったが、本作には明確な女性参加者も少ないながらもいる。そのうち一人は終盤のあるルートで主人公と共に戦うことになるなど、シナリオにも関わってくる。 -「オリジナルの主人公がいる作品」では元々の主人公の存在感が薄くなりがちだが、この作品においてカイジとの絡みは必須イベント((普通に進めていれば。時間が僅かになるとイベントをすっ飛ばして最終章に移動するため、わざと時間を浪費してカイジイベントを回避することも可能。))となっている。共闘することもできれば、敵対することもできる。 --カイジとの共闘ルートは複数のパターンがあり、カイジが自分の失態をカバーしてくれる展開になることもあれば、カイジを助ける展開にもなる。カイジが裏切っているのではと主人公が疑う展開にもなりうる。 --仲間に裏切られて絶望的な状況に陥ったカイジが主人公と手を組み、裏切った相手、そして裏で糸を引いていた船井に最後の戦いを挑むという、原作ファン鳥肌ものの展開も存在する。 -クリアしてもリピーターとして船に乗ることができる。周回プレイによってイベントが変化することもあり、ストーリーも行動によって大きく変化するため、飽きさせない作りになっている。 --遊べるのが限定ジャンケンのみとはいえ、ボリュームがないわけではない。全てのイベントやルートを見ようと思うのならフラグや分岐条件を調べることになり、量はそれなりに多く一種のやり込みにもなる。 -随所で入るムービーの出来は当時としてはかなり頑張っている。 --「ここは戦場……。」「そのとき、電流走る……!」「渡らせて下さい……このか細い橋………。」「気がつけば泥沼……腰までぬかるみに嵌っている……。」などの福本作品にあった表現が再現されている。演出としての使いどころもいい。 -イベント時の自由度は縛られてしまうが、プレイを通しての自由度は高い。全てはプレイヤーの腕と性格次第。 --情を捨てきれなくても生き残れるし、徹底して実利に拘って''釜の底を浅ましく醜く這いまわる''生き方もできる。''星を20個近く手に入れるような神域の如きプレイ''も可能だし、''自らが大勝しつつも売買タイムで星を売り、人を救ってさらに儲ける巨悪に駆け上がる''ことも可能。 -周回プレイ時にはオープニングをスキップできる他、理論構築が最初から揃っているなど、意外と親切な仕様もある。 --テキストを読み進めるゲームながら早送り機能やバックログ機能は無い。というよりは、あえて付けていないと思われる。 ---性質上、カンニング防止&テキストの見落とし防止((同じ展開でも主人公の性格や星の数や所持しているカードによってテキストの細部が変化するため。))のため仕方ない点ではある。一度手に入れた情報は簡潔にまとめられていつでも閲覧できるため、問題にはならない。 -BGMは数が少ないが中々雰囲気に合っている。いかにも胡散臭い船井のテーマ、別室送り時の絶望感溢れるピアノ、スタッフロールのギターなどは印象的である。 ---- **総評 良くも悪くも原作のif話として、限定ジャンケンをしっかり再現している。別室送りのムービーやあらゆる福本作品から流用されたキャラクター等、笑える要素もある。~ 練られたストーリーや作り込みの細かさ等の光る部分も十分にある。カイジのキャラゲーとして見ると残念な点が多いが、少なくとも凡百のキャラゲーとは一線を画している。もう少し全体的なストーリー性や星の増減バランス等、作り込みをしていれば、一味違うキャラゲーの名作になれたであろう。 トリック自体は練られているものの、バランスの悪さ、不親切なシステム、人を選ぶ点によって原作のような高度な心理戦や、能動的に頭を使う頭脳ゲームとしての要素を楽しめるプレイヤーは少数であろう。ゲームの本質としては「人と話して戦術を集め、また人と話してフラグを立て物語を進めていく」というアドベンチャーゲームに近い内容である。そういうものと割りきって、世界観・雰囲気に浸ることを楽しむべきゲームだろう。~ 原作読者なら誰もが考えるであろう「もし自分があの船に乗ったら……?」を体験できる(ような気分になれる)という意味で、ファンならそこそこ楽しめるかも知れない。 はっきり言って難易度は高い。~ 高難易度のゲームや心理戦が好きなプレイヤーなら楽しめるが、苦手な人はまったく楽しめないであろう。楽しむには攻略情報を見ず、常に気を抜かず、相手との駆け引きに熟考してプレイしよう。特にカイジ並の洞察力がある、という人は是非。 ---- ---- **余談 -上記の通り、本作のカジノでは「チンチロリン」を(イカサマダイスの使用も可能で)遊ぶことができるが、後に原作でも『賭博破戒録カイジ』で、カイジが挑戦するギャンブルとしてチンチロリンが登場した。 --ただし、原作が地下の強制労働施設(かつ主催者がイカサマ)という特殊な環境で行われていたため「親の目にかかわらず子も振る」「親は二回まで」「ピンゾロ(全部1の目)は5倍」などのローカルルールが設けられたのに対し、本作のチンチロリンは広く知られた通常のルールでピンゾロ5倍も存在しない。 -原作において利根川はルール説明後に参加者からのヤジに対して豹変し「Fxxx You ブチ殺すぞ・・・ゴミめら・・・!」と参加者を脅しつけるシーンがあったが、本作では「これで説明を終わります」の後、&bold(){本当にそのまま終わってしまう}ので少し呆気ない。 --没データの中には明らかにそのイベントで使われると思しき利根川が激怒する絵が存在しており、参加者の台詞にも「利根川の演説に感動したクチか?」「利根川のヤロウ、クセエ演説しやがる」というものがあるため、入れる予定だった、もしくは元々あったが削除したという事情が窺える。 --原作における表記では伏せ字はナシ。恐らくゲームとしては、伏せている部分がアウツだったのもあったのだろう。~ 後年のアニメ版ではFxxx Youの部分は「黙れ!」と改変されたものの、それ以外の部分はちゃんと表現されている。実写映画版や外伝アニメのトネガワでは原作通りの発言となっている。 -ここまで読めばわかると思うが、賭博や喫煙、暴力の他、直接的ではないにせよ臓器売買や売春などの描写を含んでいるかなり危ないゲームである。色々と大丈夫だったのだろうか。 --まあ、これらもほぼ全て原作の要素を再現したものなのだから仕方はないだろうが。 --当時はCEROが存在しなかったため、本作にはレーティングがつけられていない。今出たら確実にCかD以上が付くだろう。 -アイテムとして使用できる他、主人公はムービーの中でもタバコを吸う。タバコを吸えるゲームは結構珍しい。他にタバコがアイテムとして使用できるゲームと言えば[[これ>ジョジョの奇妙な冒険 (SFC)]]とか[[これ>新宿の狼]]とか…どこかしら変なゲームが多いのは気のせいだろうか? -その後カイジのゲームはなかなか出なかったが、2008年にニンテンドーDSで『[[逆境無頼カイジ Death or Survival]]』が発売された。しかしその出来は……。 --2017年にはPS4とSwitchで『カイジVR~絶望の鉄骨渡り~』が配信された。

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