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*Marvel's Spider-Man 【まーべる すぱいだーまん】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|CENTER:&amazon(B07CNDV7J4)&amazon(B07P2WDJB3)| |対応機種|プレイステーション4|~| |発売元|ソニー・インタラクティブエンタテインメント|~| |開発元|Insomniac Games|~| |発売日|2018年9月7日&br;GOTYエディション:2019年8月29日|~| |定価|通常版:7,452円(税込)&br;デジタルデラックス版:9,612円(税込)&br;GOTYエディション:3,900円(税抜)|~| |レーティング|CERO:C(15歳以上対象)|~| |廉価版|Value Selection:2019年3月20日/3,900円(税抜)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|スパイディゲー随一の完成度&br()難易度はやや高め&br()良くも悪くも『Spider-Man Arkham』|~| |>|>|CENTER:''[[Marvel Comics関連作品シリーズ>Marvel Comics関連作品シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 マーベルコミック原作のスパイダーマンを元にしたゲーム。 ソニーとマーベルが製作、『[[ラチェット&クランクシリーズ>ラチェット&クランクシリーズ]]』『[[スパイロシリーズ>スパイロシリーズ]]』『[[Sunset Overdrive]]』を開発したInsomniac Gamesがデベロッパーを担当する。~ 意外かもしれないが、現在スパイダーマンの映画化版権を持っているソニーグループがスパイディゲーを製作したのはこれが初めてである。 **あらすじ ニューヨークを拠点に活動していたヴィラン(スーパーパワーをもった凶悪犯)「キングピン」ことフィスクが逮捕された。 長年、自らの私生活を犠牲にスパイダーマンとしてヒーロー活動を続けてきたピーター・パーカーは、街が平和を取り戻したこの機会に、一人の青年として平凡な生活に戻ることを望む。 しかし平穏は長くは続かなかった。ニューヨーク市民から信頼されていた慈善活動家、マーティン・リーが、突如として「ミスター・ネガティブ」を名乗り、ギャング集団「インナー・デーモン」を率いて街を襲い始めたのだ。 ピーターは、愛する人々を守るために凶悪な敵に立ち向かうことを決意する。しかし、敵はミスター・ネガティブだけではない。スパイダーマンに恨みを持つショッカー、エレクトロ、ライノ、バルチャー、スコーピオンら数々のヴィランがピーターの前に立ち塞がる。 果たしてピーターは強敵たちを退け、ニューヨークの街を守ることができるのか───。 (公式サイトから引用) **特徴・評価点 &bold(){ウェブ・スイングの爽快感} -スパイダーマン最大の特徴と言えば、両手首から発射する蜘蛛の糸。そしてこれをビル街などの高所に引っ掛けて振り子のように高速移動する「ウェブ・スイング」であろう。 -本作では、この「ウェブ・スイング」を、PS4の3Dグラフィック能力をフルに活かして忠実に再現している。街中を高速で移動するのはかなり爽快。自由度も高く、映像作品でもよく見られる「地面ギリギリでウェブを飛ばしてスイングする」「ビルの間を通り抜けるために少し軸をズラす」といったことも可能。 --「ウェブ・スイング」は「糸を引っ掛ける高い建物が近くにないとできない」という再現度も評価したいところ。公園などの平地や高いビルの屋上などでは「ウェブ・スイング」ができないように設定されている。 -この「ウェブ・スイング」の快感に魅せられて「ストーリーなんかどうでもいいからずっとスイング移動を楽しんでいたい」というプレイヤーが続出。「ピーターは日頃からこんな素晴らしい気分を味わっていたのか」と羨む人も現れた。また、ウェブ・スイングによる移動の楽しさからファストトラベルが解放されても結局ほとんど使わなかったプレイヤーも多かった様子。 &bold(){完全オリジナルストーリー} -ストーリー開始時点ですでにピーターがスパイダーマンになって8年が経過しており、多くのヴィランとの戦いを終えているベテランという設定。 --ただし、この段階でまだ出現すらしていないヴィランもいる。有名どころではグリーンゴブリンやヴェノムも本作の時間軸では未登場。 --ピーターは原作で敵として登場することが多い''オットー・オクタビアス博士((映画版のファンにはドクター・オクトパスの本名、と言えば分かりやすいか。))の元で研究員を務めている''。ただし、貧乏研究員で家賃滞納中。 ---本作のオクタビアス博士はピーターからも尊敬される善人というif設定。ピーターに気を配る博士、博士に純粋な尊敬を向けるピーターといった構図は往年のファンにとってもなかなか珍しい。 ---他にも、ヴィランであるミスター・ネガティブも本作では善人である。彼らがどういう運命を辿るのかは、ぜひ実際にプレイしてその目で確かめてほしい。 &bold(){再現度の高いニューヨーク} -『スパイダーマン』の原作通り、本作の舞台はニューヨークとなっており、あらゆる部分が再現されている。タイムズスクエアなど、テレビなどでも何かと目にするスポットもバッチリ再現。 --ニューヨークで普及している地下鉄には乗ることはできないが、駅の入り口はファストトラベルのポイントとなっている。ファストトラベルのローディング画面ではスーツのまま電車に乗って周囲に溶け込むスパイダーマンという、ならではのムービーが流れる。 --街中にはアベンジャーズタワーやワカンダ大使館といった建造物など、他のマーベルヒーロー達の小ネタが散りばめられている。何かと原作小ネタの多い本作ではあるが、マーベル・シネマティック・ユニバース((通称『MCU』と呼ばれる、2008年公開の『アイアンマン』から展開された映画・ドラマの作品郡。2016年に公開された『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』からはスパイダーマンも参戦している。))でしかマーベル作品を知らないファンでも、散策していれば見覚えのある光景を発見して楽しめるだろう。 &bold(){バトルの完成度} -戦闘システムは[[『バットマン アーカム』シリーズ>バットマンシリーズ]]のフリーフロー・コンバットを大いに参考にしつつ、さらにテンポよくスピーディーにした、と言っていい物。慣れると雑魚相手に圧勝できて気分爽快である。 //「スパイダーマン無双」という表現があったが、そう言えるほどザコの数が多くはなく、決して「草刈りゲー」ではないので「無双」という表現はやめた。 --ガジェットもかなり豊富。 ---通常の糸を巻き付けるウェブ・シューターを始め、感電させたり罠を張って絡めとったりサポートドローンに攻撃させたり、といった効果を得られる。 ---獲得したガジェットはレベルアップとトークン消費によって強化できる。 ---一部、使う意味のない死にガジェットかあるのが残念だが。 --ウェブを使って、足場に移動・音もなく敵をステルスキル・空中に引っ張り上げる・敵をぶん投げる・ターザンキックを叩き込む、など機敏な格闘戦を演じることができる。 &bold(){カスタマイズできるスパイダーマン} -自らでスーツや能力やガジェットをカスタマイズでき、自分好みのスパイダーマンを作ることが可能。 -レベルアップなどに応じてスーツの新規入手・改造がアンロックされる仕組み。多くのスーツは獲得するとスーツパワーという任意発動型の特殊能力がアンロックされる。スーツ間に性能の差は無く、外見とスーツパワーをプレイヤーの好みに応じて自由に組み合わせることが可能。 ---スーツパワーを発動すると、一定時間の間様々な補助効果を受けられる。中にはヴィランの能力が使えるようになるものも。 ---スーツ改造は3つの枠にダメージ軽減やステルス性能アップなどの効果をセットできる。また、それぞれ攻撃力などもアップするようになっている。 //スーツパワーに関しては「バトルの完成度」の項目でしたが、どちらかと言うとカスタマイズ要素であることからこちらに移動させました。 &bold(){サブ要素も充実} -スパイダーマン、あるいはピーター・パーカーとしての能力を活かして、調査や人助けが可能。 --人々と距離感が近くご当地ヒーローのように親しまれるスパイダーマンの二つ名として「親愛なる隣人」というものがあるが、各所で起こるトラブルに対処するシチュエーションもそんな彼の日常を追体験できるような作りになっておりゲーム的な違和感がない。 --他にもスペクトルグラフ・回路タスクや監視タワーの修理といったパズル要素が存在する。前者は主にストーリーに関わるものが多く、後者は完了するとマップの可視範囲が広がる利点がある。 **その他 -質の高いローカライズ --スパイダーマンことピーターの声優には興津和幸氏を起用、正義感の強いピーターを味わえる。 ---日本語版オリジナルの要素として、1978~1979年にマーベルコミック版スパイダーマンを原作として東映が制作し東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放映された特撮番組『スパイダーマン((当時マーベルコミックと東映の間で結ばれていた「3年間にわたり、お互いのキャラクターを自由に使用してよい」という契約に基づき制作された。『東映版スパイダーマン』、あるいはインターネットでは『ダーマ』と呼ばれることが多い。原作者スタン・リーのお気に入りであることは有名。))』におけるスパイダーマンの決め台詞も使用されており、同作を知るファンをニヤリとさせている。 --ヴィランの大半には大御所声優が多数使われている。テレビで一度は聞いたことのある声だろう。 ---バルチャー役の大塚芳忠氏とスコーピオン役の中尾隆聖氏は多少のキャスティングミス感が否めないが。((名誉のために述べておくと両名ともベテランであることもあり演技の質は非常に高い。あくまで問題とされているのはキャスティングミスではないか?という点。)) --街の中の通行人一人一人にも声がついている。 ---ただバグのせいで時折通行人の音声が英語音声になるのは残念なところ。今のところ((バージョン 1.11。))は修正されていない。 ---また、英語音声かつ日本語字幕に出来ない点は不満の声が多い。 -QTE、パズルを設定でカットすることが出来る。 --QTE(ムービー内でリアルタイムのコントローラー入力を要求される)というのは好き嫌いが激しく割れがちな要素であり、アクションゲームの中にパスルが入るという要素も同様のため、それらをカットできることは一部の層から好評を得た。 ---PVが公開された時にQTEに対して多くの批判があったため、それに適切に対応したとも言える。 --その他にはQTEの連打を長押しに切り替えることができる。こちらはコントローラーのボタン寿命に対する配慮だと思われる。 -フォトモード --ゲーム中、ほぼすべてのシーンでゲームの進行を一時停止することが可能。デモムービー中以外であればカメラアングルの変更やフォーカスの調整、色彩フィルターやフレームなどの細かい設定を行うこともできる。 --ハード側に備わっているスクリーンショット撮影およびSNSとの連携機能との相性が良いこともあり、やろうと思えば文字通り映画のワンシーンのような画像を気軽に撮影・共有することができる。もちろん、これは細部までこだわって作り上げられた美麗なグラフィックによるところも大きい。 --その特性上、これを事実上のエンドコンテンツと捉える事も可能。本作ではメインストーリー終了後にマップ内の時間を日中・夕暮れ・夜間から自由に選択できる機能が開放されるが、特定状況下でのみ撮影可能な一枚を求めてニューゲームを選択するプレイヤーも多数現れた。 -さまざまなスーツのバリエーション --ゲーム進行につれて、さまざまなデザインのスーツを獲得して着替えることができるようになる。 --おなじみの赤青スーツだけでも何種類もある上に、映画各作品のデザインやディティールをイメージしたもの、知名度の高いものではMCUに登場した「ハンドメイド・スーツ」や「アイアン・スパイダー」、スピンオフ作に登場した未来(2099年)のスパイダースーツや1930年代が舞台のノワールスーツ、変わったところでは昔のコミック調の絵柄っぽく見えるスーツ(ゲーム世界はリアル調なので違和感バリバリなのが笑いを誘う)や''下着''など。 --そのほとんどが、原作コミックもしくは映像化作品に登場したものであり、原作愛のある人ほど「こんなスーツも収録されているのか!」と感動できる。パッケージに描かれている本作のデフォルトになっているアドバンススーツもスポーティなデザインが好評。 //--しかし、裏を返せば原作知識がそれほどない人には「似たようなデザインが多い」「イロモノ系のスーツが多い」という感想を持つかもしれない。 ---パンツ一丁で戦うピーターの姿を見て「まるで原作におけるナントカのエピソードを彷彿させるな」と得心できる人は、よほどのスパイディマニアと言えるだろう。 --更に''無料アップデート''でファンタスティック・フォーと協力した際に着たスーツや2019年公開の映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に登場したスーツも追加された。昨今のゲームとしては珍しいほどの大盤振る舞いである。 //--スーツごとに性能差は一切ない。どんなスーツでも戦えると捉えるか多様なバリエーションは外見だけなのかと捉えるかはプレイヤー次第。 //--DLCで更に増えるが、スーツ能力はない。 //↑上の「スーツパワー」に関する記述と矛盾。「スーツに能力差は一切ない」というのが間違いの模様 //↑「どのスーツも見た目だけで能力に個性はない」が誤りであるのなら「スーツの種類が非常に多い」というのは評価点として良いと思うので、移動させた。 //攻略wikiで全スーツ一覧を見たが「似たようなデザインが多い」「イロモノ系のスーツが多い」という印象は持たなかった。マンガの時点でスパイディのスーツデザインは実にバリエーションが多く、映画版でもそれぞれデザインが違うが、それをよく掬い取っていると感心した。 //(ただし自分は未プレイ者なので、プレイ経験者からの反論があればそれに従う所存) //↑プレイ済みでスパイダーマンそれなりに知ってるけどその記述にはちょっと違和感感じてたからCOしておく。 **賛否両論点 -難易度の高さ --本作は難易度「FRIENDLY」(イージーモード)でも気を抜いているとかなり難しい。 -- 具体的には敵の攻撃が強力で、数発の被弾でスパイダーマンがピンチに陥る事が多い。敵の拘束と回避を重視した戦い方が推奨される。 --特にそれが顕著なのは序盤のチュートリアルで、ガジェットが増える中盤以降と比べ、手数も少ない中次々に説明が差し込まれてきて混乱しているところをボコられ死亡というのも珍しくない。 --実際のところ、レベルアップにより開放されていく物を除いた基本的なアクションだけでも理解してしまえば戦闘の難易度は劇的に下がる。そこに至るまでのハードルが人によっては高く感じられるのは事実だが、操作に慣れ映画やコミックのように華麗に立ち回るスパイダーマンを自由自在に操作できる楽しさは特筆すべきもの。 --発売前はPVにおいてスパイダーマンがスタイリッシュに立ち回っていたことで戦闘は簡単だと思われていたこともあり、歯ごたえのある戦闘が味わえて嬉しいとの声もある。 ---後にアップデートで更に低い難易度「FRIENDLY NEIGHBORHOOD」が追加された。 -ボス戦が単調 --ボス戦は「隙を作る→攻撃→隙を作る→攻撃」の繰り返しであり、やや単調。ライノは特にそれが顕著。 ---様々な手段が通じる分、雑魚戦やキングピン、DLCボスのハンマーヘッドの方が楽しいという意見も少なくない。 ---かといって、スパイダーマン以上に空を自由に飛び回れるバルチャーやエレクトロ、正面戦闘では勝ち目がないライノなど、正面から戦えたらおかしい敵が多いので仕方ないところはある。そのキャスティングをした責任はあるが。 --序盤のショッカーとサブクエストに登場するトゥームストーンやタスクマスターは同じパターンでも楽しいという声もあるため、シチュエーション次第といったところでもある。もちろんプレイヤー側の感じ方にも差がある。 --一方で、前述のキングピンやハンマーヘッドはガジェットを使えばほぼ一方的に攻撃出来るためつまらないという反論も聞かれる。 ---もっとも、キングピンはプロローグのボスであり、そもそもNewGame+でしかガジェットが持ち込めない相手なのでそれ相手にガジェットを使ったらつまらないというのは理不尽と言える。簡単に感じるならガジェットの使用を控えるという選択肢も当然存在する。 -良くも悪くも王道なストーリー --この手の作品をやっている人ならば容易に想像できる展開が多い。 --ラスボスも原作や映画を見ている人ならば序盤の序盤で察せてしまうだろう。PSblogや公式サイトでは紹介されていないため尚更。 ---本作でスパイダーマンを知ったプレイヤーにとってはあまり問題とはならず、MCUでしかスパイダーマンを知らないファンからはむしろ新鮮な展開に映るかもしれない。 -原作を知らないと分かりづらいシナリオ・設定 --基本的に映画は元より漫画も知らないと分かりづらいキャラクターや人物相関、設定がチラホラ。一応メニューの登場人物で説明されるが… --それらを知っている前提で展開される場面もそれなりにあり、原作を知らないプレイヤーには説明不足に感じることも。 ---原作の作品郡へリスペクトを持って製作されたことの裏返しでもあり、ある程度の原作知識がある人ならそこまで問題視する点ではない。そもそも原作においてもあらゆるキャラクターや要素が様々な解釈で描かれていることもあってか、どうとでも取れる描写になっている部分も多い。 --ラジオでスパイダーマンの活躍を辛辣に報道する『JJJ((J・ジョナ・ジェイムソン。デイリー・ビューグルという新聞会社に務めており、ピーターのかつての上司でもある。スパイダーマンを嫌悪している。))のファクトニュース』は原作の空気が再現されていてファンからは好意的な意見も多いが、かなり直接的にスパイダーマンをこき下ろす表現も多いので人によってはやる気を削がれるかもしれない。オンオフできるので気になる人はオフにした方が良いだろう。 -一部のキャラクターの描写 --前述のようにストーリーの完成度は高いのだが、一部のキャラクターについては賛否が分かれる。 #region(賛否分かれるキャラクターについて。''軽度のネタバレ注意'') -''ノーマン・オズボーン'' --世界最大手の企業である『オズコープ』の社長。ピーターの親友の父親であり、オクタビアス博士とも過去に関係があった。作中の諸悪の根源とも言える存在なのだが、最後までノーマンの悪行に対する罰が下ることはない。&br()せいぜい黒幕に痛めつけられるくらいで、ある人物ともども''「次回作のヴィランとして温存されている」''感がある。 --一応、彼にも何かしら思うところがある様子が描かれてはいる。まあ、だからと言って彼の所業が相殺されることは絶対にないが。 ---オクタビアス博士との仲が険悪なのだが、彼自身は私室に彼とともに活動していたころの写真を額縁に入れて大事にしている。しかし、態度が猛烈に悪い上に心情が語られることがないため、憶測で終わってしまう。 ---そもそもよく言われている「ノーマンがオクタビアス博士の補助金を打ち切った」というのも真実か不明である。((実際にオクタビアス博士は安全基準違反を度々犯しており、それをオクタビアス博士が抑えていた可能性もなくはない。)) -''MJ'' --''今作のストレス製造機その1''。ヒロインでピーターの元恋人。昨今の原作アメコミのキャラクターに合わせてか積極的に街のスキャンダルに迫り、ピーターとの合流後は彼とは別にヴィランの情報を集めてサポートしようとするのだが、序盤~中盤は危険も顧みずに事態に首を突っ込んでピーターの手を煩わせることが多い。特に中盤、独断でセーブルの拠点に潜入して事態を悪化させておきながら、救出に来たピーターに感謝もせず喧嘩に発展してしまうシーンは不評。 --その行動力には「ピーターに守られるだけの女ではいたくないから」「相棒になりたい」という明確な理由があるのだが、後述のMJ操作パートの煩わしさもあってそのアグレッシヴさに「コイツさえいなければ…」と苛立つプレイヤーは多い。というか「ユリ・ワタナベ((NY市警の刑事。スパイダーマンに協力的で普段から連携を取っているためか、彼から「相棒」と呼ばれる場面もある。))」の方がよっぽど相棒である。 --シナリオ後半は自身の身勝手さを自覚し落ち着きを見せるが、そこに至るまでが長いので悪印象が先行しやすい。 --だが、原作ファンからするとMJのトラブルメーカーは原作通りであり、むしろ抑えられているという意見もある。 -''シルバー・セーブル(セーブル・インターナショナル)'' --''今作のストレス製造機その2''。フィスクの逮捕によるヴィランの活性化を機にノーマンに治安維持のために雇われた自警武装集団。しかし、スパイダーマンを敵視するノーマンの意向からスパイダーマンも攻撃対象としてくる上、ある事件を機にスパイダーマンを最優先目標として攻撃してくる。 --上記のような命令を受けているにしても明らかにスパイダーマンに対する殺意が高く、''危険な兵器を奪ったデーモンたちがいようと、ラフトの危険な囚人たちが脱獄しようと、市民や警察の危機はおかまいなしに愚直にスパイダーマンだけを狙ってくる。''ピーターの「せめて囚人たち倒すまで待っててくれない!?」という台詞に心から同意したくなること間違いなし。 --そのリーダーであるシルバー・セーブルも同様でスパイダーマンに強い敵意を抱いているのだが、終盤、雇い主のノーマンの危機にピーターと利害が一致すると''あっさりこれまでの敵意を捨てて協力的になる。''配下のセーブル兵士のゲーム的なウザさもあって''「MJよりもヘイトが溜まる」「ヴィランよりもこいつをぶちのめしたかった」''という意見も。 #endregion -戦闘システム --前述の通り戦闘システムは[[『バットマン アーカム』シリーズ>バットマンシリーズ]]のフリーフロー・コンバットを真似ているため、本作のことを皮肉をこめて「Spider-Man Arkham」と呼ぶプレイヤーも。 ---作品の雰囲気の違いもあってか同作のフリーフロー・コンバットよりもスタイリッシュなモーションが多く、回避メインのため差別化はできている。 //-戦闘中のスパイダーマンのジョーク //--とにかく戦闘中におしゃべりで、ジョークを良く言う。しかも対して面白くない。敵のボスからもつまらないと言われる始末。失敗すると何度言われる。 //--しかし、このジョークはピーターの勇気を出すための原作再現である。 //↑スパイダーマンが戦闘中にジョークを言うのは原作通りなので、評価として書くのはナンセンスでは? -- **不評点 -ボリュームがやや少ない --ストーリーだけ進めていれば20時間程度でサクッと終わる。殆どのSIEゲーに言える事だがトロコンも割と簡単。((トロコンに関してはトロフィー収集家には好評である。)) ---寄り道で30時間、DLCで35時間程度にはなる。 ---近年のゲームはボリュームが多いのが大半なので、相対的に少なく見える部分もある。 ---あくまでアクションゲームなので数字で見るほど体感時間は短くはないものの、やりこみ要素や寄り道がもう少し欲しかったという声は多い。 --DLCはやり込み要素込みで4時間程度。単体での値段は1,080円するためやや不釣り合い。 ---一応シーズンパスを買えば値段はそこまで気にならないが。 --DLCは三部作構成のため、単体で買うとブツ切り感がある。 -次回作前提のストーリー --回収されない伏線や展開が多い。中でも原作でスパイダーマンと親密な関係にあるヴィラン・ブラックキャットに関してはDLCでしか回収されず、不満の声が多い。 ---意図的に設けられた空白の時間が存在することから本作以前のストーリーも展開可能となっている。 -ヴィランのチョイス、人数 --今回のメインヴィランはあらすじで紹介した6人+ラスボス。''以上''。 ---サブクエストとDLCのヴィランも微妙なチョイスとの声が多い。DLCに関しては最初に公開されたキービジュアルからグリーンゴブリンが出てくると予想していた人も多かったため尚更不満が多かった。 ---とはいえ、この7人のうち6人は元々「シニスター・シックス」という組織のメンバーなので、この組み合わせで登場すること自体は全くおかしくはない。 ---あくまで「続編のためにヴィランを出し惜しんでいる」のが透けて見える点が不評に繋がっている。 --映画でしか知らない人はエレクトロ、ライノ、バルチャー、ラスボスくらいしか知ってるヴィランがいないため、ややイマイチに感じるだろう。 --本作の前に発売された『アメイジング・スパイダーマン2』は%%出来はともかく%%ヴィランの種類が豊富だったため本作での少なさは尚更目立っている。((余談だが、『アメイジング・スパイダーマン2』は2017年にダウンロード販売が停止されており、現在は中古でしか入手することが出来ない。本作のためだろうか?)) -頻繁に入る強制ステルスパート --MJとマイルズ((マイルズ・モラレス。スパイダーマンに憧れる黒人の少年で次回作では主人公を務める。))を操作するステルスパートがあるのだが、見つかったら一発アウト、なおかつそこそこ長いロードが入るためかなりストレスが溜まる。 --序盤は新鮮で楽しいだろうが、何度も入ることになるため煩わしさや苛立ちの方が大きくなる。ステルスという性質上途端にゲームスピードが遅くなるため、周回プレイの際のストレスになりやすい。 ---展開が進むにつれ手数が増え、ストレスはある程度緩和されていく。MJ視点でスパイダーマンの活躍を見るパートは好評。 --このパートでただでさえストレスが溜まっているのにMJがワガママな言動を繰り返すことからMJに対する不満が強まっている。 ---言動自体はよくある物ではあるが。 -オープンワールドでありながら狭い --ウェブ・スイングの速度が速いのもあるが割と狭い。街が非常に密度の濃い作りになっているのも狭さを感じる一因となっている。 ---とはいえ、ファストトラベル無しで端から端まで行こうと思えばそれなりに時間はかかる。無駄が少なく、ゲームの箱庭としての完成度は高い。 //-飽きやすい //--ウェブ・スイングでの移動は最初は快適で爽快感があるが次第に飽きてくる。 //↑斬新な要素ほど繰り返せば飽きるのは避けられないが、それを不評点と指摘するのは厳しすぎないか? //「やることが結局ワンパターンだからすぐ底が見える」というのならすぐ下で書かれているが、それはウェブ・スイングのせいではない -ワンパターンな犯罪ミッション、やり込み要素 --犯罪の種類はカーチェイス、強盗、襲撃とかなり少ない。カーチェイス以外はロケーションが違うだけでやる事は敵を倒すだけなためワンパターン。 --やり込み要素も拠点の奇襲、タワー解放、写真を撮るくらい。同じことの繰り返しであり、次第に作業感の方が大きくなる。 ---拠点奇襲は敵の見た目が違うだけでやることはほぼ一緒。 --細かいことだが、ギャング達が屋上で強盗や盗みをしているなど場所と設定と合わない犯罪もチラホラ。 -ストレスの溜まる敵 --「デーモン」「囚人」の盾・剣持ちの敵は武器を奪ったり、後ろに行ったりしなくてはならず少々ストレスが溜まる。ウェブが正面では通用しないのも爽快感を削ぐ。 --ゲーム中盤より出現する敵勢力「セーブル・インターナショナル」は硬い上に攻撃力がかなり高く、本作では珍しい空中を飛行するユニットを有している。特定のガジェットやアクションで容易に無力化できるが、それらをこの時点までに開放していない場合はその強さに若干の理不尽さを感じる場合も。 -スーツパワーのバランス --スーツパワーは多く用意されているのだが、大勢のザコ敵をウェブまみれにすることができ、かつ最初から使用できるウェブ・ブロッサムが一番使いやすい。 --次点で使いやすいのがドローンで感電させるスパイダーブラザーだが、こちらも序盤の方で手に入ってしまう。 --強力かつ使いやすいスーツパワーが序盤に手に入るおかげで、他のスーツパワーが空気になりがち。 -トークンシステム --一度取得したトークンは再取得することが不可能なので、配分を間違えるとトロコンの難易度が跳ね上がってしまう。 ---この点はDLCで救済措置が追加されている。 ---- **総評 スパイダーマンを知らないという人にも、コアなファンにも、キャラゲーは地雷ではないかと警戒する人にもお勧めできる作品。 ~スタッフの原作愛による高い完成度により、受賞は逃したもののGOTY2018にもノミネートされ世界的にも評価された。 ~「ヴィランやステージのボリュームが少なめ」「最終的にはやることがワンパターンに落ち着く」などの指摘もあるが、それを踏まえてもなおスパイダーマンのゲームとして満足度の高い一作である。 ---- **余談 -ある場面で、スパイダーマンの生みの親であるスタン・リー氏がカメオ出演している。氏は映画でもほぼ必ずカメオ出演することで有名。 -2019年8月に[[SIEがInsomniac Gamesの買収を発表>https://www.sie.com/corporate/release/2019/190820.html]]。 -2020年11月12日に本作の続編『[[Marvel's Spider-Man: Miles Morales]]』がPS5/PS4で発売。プレイステーション5のローンチソフトの一つとなる。 --PS5版は「Ultimate Edition」も販売され、本作をPS5向けにリマスターした『Marvel's Spider-Man Remastered』がセットになっている。リマスター版は単体での販売は予定されていないとのこと。 ---当初リマスター版はPS4版とのセーブデータの互換性は無い予定だったが、アップデートによりセーブデータの移行に対応した。
#contents ---- *Marvel's Spider-Man 【まーべる すぱいだーまん】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|CENTER:&amazon(B07CNDV7J4)&amazon(B07X77SDTL)| |対応機種|プレイステーション4|~| |発売元|ソニー・インタラクティブエンタテインメント|~| |開発元|Insomniac Games|~| |発売日|2018年9月7日|~| |定価|通常版:7,452円&br;デジタルデラックス版:9,612円(全て税込)|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~| |廉価版|Value Selection:2019年3月20日/3,900円(税抜)|~| |完全版|GOTYエディション:2019年8月29日/3,900円(税抜)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|スパイディゲー随一の完成度&br()抜群の操作性と爽快感&br()ただし戦闘の難易度は高め&br()|~| |>|>|CENTER:''[[Marvel Comics関連作品シリーズ]]''| |>|>|CENTER:''[[SIEワールドワイド・スタジオ作品]]''| ---- **概要 Marvel Comics原作のスパイダーマンを元にしたゲーム。~ ソニーとマーベルが製作、『[[ラチェット&クランク>ラチェット&クランクシリーズ]]』シリーズや『[[スパイロ>スパイロシリーズ]]』シリーズ、『[[Sunset Overdrive]]』を開発したInsomniac Gamesがデベロッパーを担当。~ 意外かもしれないが、現在スパイダーマンの映画化版権を持っているソニーグループがスパイディゲーを製作したのはこれが初めてである。 ---- **あらすじ ニューヨークを拠点に活動していたヴィラン(スーパーパワーをもった凶悪犯)「キングピン」ことフィスクが逮捕された。 長年、自らの私生活を犠牲にスパイダーマンとしてヒーロー活動を続けてきたピーター・パーカーは、街が平和を取り戻したこの機会に、一人の青年として平凡な生活に戻ることを望む。 しかし平穏は長くは続かなかった。ニューヨーク市民から信頼されていた慈善活動家、マーティン・リーが、突如として「ミスター・ネガティブ」を名乗り、ギャング集団「インナー・デーモン」を率いて街を襲い始めたのだ。 ピーターは、愛する人々を守るために凶悪な敵に立ち向かうことを決意する。しかし、敵はミスター・ネガティブだけではない。スパイダーマンに恨みを持つショッカー、エレクトロ、ライノ、バルチャー、スコーピオンら数々のヴィランがピーターの前に立ち塞がる。 果たしてピーターは強敵たちを退け、ニューヨークの街を守ることができるのか───。 (公式サイトから引用) ---- **特徴・評価点 &bold(){ウェブ・スイングの爽快感} -スパイダーマン最大の特徴と言えば、両手首から発射する蜘蛛の糸。そしてこれをビル街などの高所に引っ掛けて振り子のように高速移動する「ウェブ・スイング」であろう。 -本作では、この「ウェブ・スイング」を、PS4の3Dグラフィック能力をフルに活かして忠実に再現している。街中を高速で移動するのはかなり爽快。 --自由度も高く、映像作品でもよく見られる「地面ギリギリでウェブを飛ばしてスイングする」「ビルの間を通り抜けるために少し軸をズラす」といったことも可能。 --「ウェブ・スイング」は「糸を引っ掛ける高い建物が近くにないとできない」という再現度も評価したいところ。公園などの平地や高いビルの屋上などでは「ウェブ・スイング」ができないように設定されている。 -この「ウェブ・スイング」の快感に魅せられて「ストーリーなんかどうでもいいからずっとスイングを楽しんでいたい」というプレイヤーが続出する。「ピーターは日頃からこんな素晴らしい気分を味わっていたのか」と羨む人も現れた。 --また、ウェブ・スイングによる移動の楽しさからファストトラベルが解放されても結局ほとんど使わなかったプレイヤーも多かった模様。 --スイングを始めるとBGMが流れ始める仕様も相まって、ただの移動がまるで映画のワンシーンのような趣深さを持つようになるのも魅力のひとつだろう。 &bold(){完全オリジナルストーリー} -ストーリー開始時点ですでにピーターがスパイダーマンになって8年が経過しており、多くのヴィランとの戦いを終えているベテランという設定となっている。 --ただし、この段階でまだ出現すらしていないヴィランもいる。有名どころではグリーンゴブリンやヴェノムも本作の時間軸では未登場となっている。 --ピーターは原作で敵として登場することが多い''オットー・オクタビアス博士((映画版のファンにはドクター・オクトパスの本名、と言えば分かりやすいか。))の元で研究員を務めている。''ただし、貧乏研究員で家賃滞納中。 ---本作のオクタビアス博士はピーターからも尊敬される善人というIF設定。ピーターに気を配る博士、博士に純粋な尊敬を向けるピーターといった構図は往年のファンにとってもなかなか珍しい。 ---他にも、ヴィランであるミスター・ネガティブも本作では善人である。彼らがどういう運命を辿るのかは、ぜひ実際にプレイしてその目で確かめてほしい。 &bold(){再現度の高いニューヨーク} -『スパイダーマン』の原作通り、本作の舞台はニューヨークとなっており、あらゆる部分が再現されている。タイムズスクエアなど、テレビなどでも何かと目にするスポットもバッチリ再現している。 --ニューヨークで普及している地下鉄には乗ることはできないが、駅の入り口はファストトラベルのポイントとなっている。ファストトラベルのローディング画面ではスーツのまま電車に乗って周囲に溶け込むスパイダーマンという、ならではのムービーが流れる。 --街中にはアベンジャーズタワーやワカンダ大使館といった建造物など、他のマーベルヒーロー達の小ネタがちりばめられている。何かと原作小ネタの多い本作ではあるが、マーベル・シネマティック・ユニバース((通称『MCU』と呼ばれる、2008年公開の『アイアンマン』から展開された映画・ドラマの作品郡。2016年に公開された『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』からはスパイダーマンも参戦している。))でしかマーベル作品を知らないファンでも、散策していれば見覚えのある光景を発見して楽しめるだろう。 --スイングでの移動が基本になるのでほとんどビルの屋上しか見なかった、という人も少なくないだろうが、それだけではもったいないほどの作り込みである。 &bold(){バトルの完成度} -戦闘システムは[[『バットマン』のアーカムシリーズ>バットマンシリーズ]]のフリーフロー・コンバットを大いに参考にしつつ、さらにテンポよくスピーディーにした、と言っていい物。慣れると雑魚相手に圧勝できて気分爽快である。 //「スパイダーマン無双」という表現があったが、そう言えるほどザコの数が多くはなく、決して「草刈りゲー」ではないので「無双」という表現はやめた。 --ガジェットもかなり豊富。 ---通常の糸を巻き付けるウェブ・シューターを始め、感電させたり罠を張って絡めとったりサポートドローンに攻撃させたり、といった効果を得られる。 ---獲得したガジェットはレベルアップとトークン消費によって強化できる。 ---一部、使う意味のない死にガジェットかあるのが残念だが。 --ウェブを使って、足場に移動・音もなく敵をステルスキル・空中に引っ張り上げる・敵をぶん投げる・ターザンキックを叩き込む、など機敏な格闘戦を演じることができる。 &bold(){カスタマイズできるスパイダーマン} -自らでスーツや能力やガジェットをカスタマイズでき、自分好みのスパイダーマンを作ることが可能。 -レベルアップなどに応じてスーツの新規入手・改造がアンロックされる仕組み。多くのスーツは獲得するとスーツパワーという任意発動型の特殊能力がアンロックされる。スーツ間に性能の差は無く、外見とスーツパワーをプレイヤーの好みに応じて自由に組み合わせることが可能。 ---スーツパワーを発動すると、一定時間の間様々な補助効果を受けられる。中にはヴィランの能力が使えるようになるものも。 ---スーツ改造は3つの枠にダメージ軽減やステルス性能アップなどの効果をセットできる。また、それぞれ攻撃力などもアップするようになっている。 //スーツパワーに関しては「バトルの完成度」の項目でしたが、どちらかと言うとカスタマイズ要素であることからこちらに移動させました。 &bold(){サブ要素も充実} -スパイダーマン、あるいはピーター・パーカーとしての能力を活かして、調査や人助けが可能。 --人々と距離感が近くご当地ヒーローのように親しまれるスパイダーマンの二つ名として「親愛なる隣人」というものがあるが、各所で起こるトラブルに対処するシチュエーションもそんな彼の日常を追体験できるような作りになっておりゲーム的な違和感がない。 --ちなみに、市民は何かとスパイダーマンに声をかけてくれる。歩いていると気軽に挨拶を返してくれたり、街中で敵と戦っていると市民が「負けないでスパイダーマン!」と応援してくれたり、解決後は称賛してくれるなど、まさに「親愛なる隣人」として接してくれる彼らの存在はこのゲームに無くてはならないもの。 --他にもスペクトルグラフ・回路タスクや監視タワーの修理といったパズル要素が存在する。前者は主にストーリーに関わるものが多く、後者は完了するとマップの可視範囲が広がる利点がある。 &bold(){その他} -質の高いローカライズ --スパイダーマンことピーターの声優には興津和幸氏を起用、正義感の強いピーターを味わえる。戦闘時は軽口を叩いて自分を鼓舞するのもピーターの特徴だが、操るプレイヤーも思わず笑ってしまうような絶妙な台詞も多い。 ---日本語版オリジナルの要素として、1978~1979年にマーベルコミック版スパイダーマンを原作として東映が制作し東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放映された特撮番組『スパイダーマン((当時マーベルコミックと東映の間で結ばれていた「3年間にわたり、お互いのキャラクターを自由に使用してよい」という契約に基づき制作された。『東映版スパイダーマン』、あるいはインターネットでは『ダーマ』と呼ばれることが多い。原作者スタン・リーのお気に入りであることは有名。))』におけるスパイダーマンの決め台詞も使用されており、同作を知るファンをニヤリとさせている。 --ヴィランの大半には大御所声優が多数使われている。テレビで一度は聞いたことのある声だろう。 //---バルチャー役の大塚芳忠氏とスコーピオン役の中尾隆聖氏は多少のキャスティングミス感が否めないが((名誉のために述べておくと両名ともベテランであることもあり演技の質は非常に高い。あくまで問題とされているのはキャスティングミスではないか?という点。))。 //何がどうキャスティングミスかを説明できないのでは、ただの好みとしか言えない。 --街の中の通行人1人1人にも声がついている。 ---ただバグのせいで時折通行人の音声が英語音声になるのは残念なところ。今のところ(バージョン 1.11)は修正されていない。 ---また、英語音声かつ日本語字幕に出来ない点は不満の声が多い。 -QTE・パズルを設定でカットすることが出来る。 --QTE(ムービー内でリアルタイムのコントローラー入力を要求される)というのは好き嫌いが激しく割れがちな要素であり、アクションゲームの中にパスルが入るという要素も同様のため、それらをカットできることは一部の層から好評を得た。 ---PVが公開された時にQTEに対して多くの批判があったため、それに適切に対応したとも言える。 --その他にはQTEの連打を長押しに切り替えることができる。こちらはコントローラーのボタン寿命に対する配慮だと思われる。 -フォトモード --ゲーム中、ほぼすべてのシーンでゲームの進行を一時停止することが可能。デモムービー中以外であればカメラアングルの変更やフォーカスの調整、色彩フィルターやフレームなどの細かい設定を行うこともできる。 --ハード側に備わっているスクリーンショット撮影およびSNSとの連携機能との相性が良いこともあり、やろうと思えば文字通り映画のワンシーンのような画像を気軽に撮影・共有することができる。もちろん、これは細部までこだわって作り上げられた美麗なグラフィックによるところも大きい。 --その特性上、これを事実上のエンドコンテンツと捉える事も可能。本作ではメインストーリー終了後にマップ内の時間を日中・夕暮れ・夜間から自由に選択できる機能が開放されるが、特定状況下でのみ撮影可能な一枚を求めてニューゲームを選択するプレイヤーも多数現れた。 -さまざまなスーツのバリエーション --ゲーム進行につれて、さまざまなデザインのスーツを獲得して着替えることができるようになる。 --おなじみの赤青スーツだけでも何種類もある上に、映画各作品のデザインやディティールをイメージしたもの、知名度の高いものではMCUに登場した「ハンドメイド・スーツ」「アイアン・スパイダー」や、スピンオフ作に登場した未来(2099年)のスパイダースーツや1930年代が舞台のノワールスーツ、変わったところでは昔のコミック調の絵柄っぽく見えるスーツ(ゲーム世界はリアル調なので違和感バリバリなのが笑いを誘う)や''下着''など。 --そのほとんどが、原作コミックもしくは映像化作品に登場したものであり、原作愛のある人ほど「こんなスーツも収録されているのか!」と感動できる。パッケージに描かれている本作のデフォルトになっているアドバンススーツもスポーティなデザインが好評。 //--しかし、裏を返せば原作知識がそれほどない人には「似たようなデザインが多い」「イロモノ系のスーツが多い」という感想を持つかもしれない。 ---パンツ一丁で戦うピーターの姿を見て「まるで原作におけるナントカのエピソードを彷彿させるな」と得心できる人は、よほどのスパイディマニアと言えるだろう。%%知らない人からすれば変態仮面に見えるかもしれないが。%% --さらに''無料アップデート''でファンタスティック・フォーと協力した際に着たスーツや2019年公開の映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に登場したスーツも追加された。昨今のゲームとしては珍しいほどの大盤振る舞いである。 //--スーツごとに性能差は一切ない。どんなスーツでも戦えると捉えるか多様なバリエーションは外見だけなのかと捉えるかはプレイヤー次第。 //--DLCで更に増えるが、スーツ能力はない。 //↑上の「スーツパワー」に関する記述と矛盾。「スーツに能力差は一切ない」というのが間違いの模様 //↑「どのスーツも見た目だけで能力に個性はない」が誤りであるのなら「スーツの種類が非常に多い」というのは評価点として良いと思うので、移動させた。 //攻略wikiで全スーツ一覧を見たが「似たようなデザインが多い」「イロモノ系のスーツが多い」という印象は持たなかった。マンガの時点でスパイディのスーツデザインは実にバリエーションが多く、映画版でもそれぞれデザインが違うが、それをよく掬い取っていると感心した。 //(ただし自分は未プレイ者なので、プレイ経験者からの反論があればそれに従う所存) //↑プレイ済みでスパイダーマンそれなりに知ってるけどその記述にはちょっと違和感感じてたからCOしておく。 ---- **賛否両論点 -難易度の高さ --本作は難易度「FRIENDLY」(イージーモード)でも気を抜いているとかなり難しい。 -- 具体的には敵の攻撃が強力で、数発の被弾でスパイダーマンがピンチに陥る事が多い。敵の拘束と回避を重視した戦い方が推奨される。 --特にそれが顕著なのは序盤のチュートリアルで、ガジェットが増える中盤以降と比べ、手数も少ない中次々に説明が差し込まれてきて混乱しているところをボコられ死亡というのも珍しくない。 --実際のところ、レベルアップにより開放されていく物を除いた基本的なアクションだけでも理解してしまえば戦闘の難易度は劇的に下がる。そこに至るまでのハードルが人によっては高く感じられるのは事実だが、操作に慣れ映画やコミックのように華麗に立ち回るスパイダーマンを自由自在に操作できる楽しさは特筆すべきもの。 --発売前はPVにおいてスパイダーマンがスタイリッシュに立ち回っていたことで戦闘は簡単だと思われていたこともあり、歯ごたえのある戦闘が味わえて嬉しいとの声もある。 ---後にアップデートで更に低い難易度「FRIENDLY NEIGHBORHOOD」が追加された。 -ボス戦が単調 --ボス戦は「隙を作る → 攻撃 → 隙を作る → 攻撃」の繰り返しであり、やや単調。ライノは特にそれが顕著。 ---様々な手段が通じる分、雑魚戦やキングピン、DLCボスのハンマーヘッドの方が楽しいという意見も少なくない。 ---かといって、スパイダーマン以上に空を自由に飛び回れるバルチャーやエレクトロ、正面戦闘では勝ち目がないライノなど、正面から戦えたらおかしい敵が多いので仕方ないところはある。そのキャスティングをした責任はあるが。 --序盤のショッカーとサブクエストに登場するトゥームストーンやタスクマスターは同じパターンでも楽しいという声もあるため、シチュエーション次第といったところでもある。もちろんプレイヤー側の感じ方にも差がある。 --一方で、前述のキングピンやハンマーヘッドはガジェットを使えばほぼ一方的に攻撃出来るためつまらないという反論も聞かれる。 ---もっとも、キングピンはプロローグのボスであり、そもそもNewGame+でしかガジェットが持ち込めない相手なのでそれ相手にガジェットを使ったらつまらないというのは理不尽と言える。簡単に感じるならガジェットの使用を控えるという選択肢も当然存在する。 -良くも悪くも王道なストーリー --この手の作品をやっている人ならば容易に想像できる展開が多い。 --ラスボスも原作や映画を見ている人ならば序盤の序盤で察せてしまうだろう。PS Blogや公式サイトでは紹介されていないため尚更。 ---本作でスパイダーマンを知ったプレイヤーにとってはあまり問題とはならず、MCUでしかスパイダーマンを知らないファンからはむしろ新鮮な展開に映るかもしれない。 -原作を知らないと分かりづらいシナリオ・設定 --基本的に映画は元より漫画も知らないと分かりづらいキャラクターや人物相関、設定がチラホラ。一応メニューの登場人物で説明されるが…。 --特にヴィランの多くは既にスパイダーマンと対決して、敗北して刑務所に勾留している。という設定であるため、スパイダーマン初見のプレイヤーにはイマイチキャラを掴み辛い。また、人物紹介するぐらいなら本編でやって欲しいという声も。 --それらを知っている前提で展開される場面もそれなりにあり、原作を知らないプレイヤーには説明不足に感じる。 ---原作の作品郡へリスペクトを持って製作されたことの裏返しでもあり、ある程度の原作知識がある人ならそこまで問題視する点ではない。そもそも原作においてもあらゆるキャラクターや要素が様々な解釈で描かれていることもあってか、どうとでも取れる描写になっている部分も多い。 -JJJ --ラジオでゲーム内のスパイダーマンの活躍を辛辣に報道する『JJJ((J・ジョナ・ジェイムソン。デイリー・ビューグルという新聞会社に務めており、ピーターのかつての上司でもある。スパイダーマンを嫌悪している。))のファクトニュース』はどんな事でもダイナミックにスパイダーマン批判に繋げる原作の空気が再現されていてファンからは好意的な意見も多いが、かなり直接的にスパイダーマンをこき下ろす表現も多いので、人によってはやる気を削がれるかもしれない。オンオフできるので気になる人はオフにした方が良いだろう。 -一部のキャラクターの描写 --前述のようにストーリーの完成度は高いのだが、一部のキャラクターについては賛否が分かれる。 #region(賛否分かれるキャラクターについて。''軽度のネタバレ注意'') -''ノーマン・オズボーン'' --世界最大手の企業である「オズコープ」の社長。ピーターの親友の父親であり、オクタビアス博士とも過去に関係があった。作中の諸悪の根源とも言える存在なのだが、最後までノーマンの悪行に対する罰が下ることはない。&br()せいぜい黒幕に痛めつけられるくらいで、ある人物ともども「''次回作のヴィランとして温存されている''」感がある。 --一応、彼にも何かしら思うところがある様子が描かれてはいる。まあ、だからと言って彼の所業が相殺されることは絶対にないが。 ---オクタビアス博士との仲が険悪なのだが、彼自身は私室に彼とともに活動していたころの写真を額縁に入れて大事にしている。しかし、態度が猛烈に悪い上に心情が語られることがないため、憶測で終わってしまう。 ---そもそもよく言われている「ノーマンがオクタビアス博士の補助金を打ち切った」というのも真実か不明である((実際にオクタビアス博士は安全基準違反を度々犯しており、それをオクタビアス博士が抑えていた可能性もなくはない。))。 -''MJ'' --''今作のストレス製造機その1。''ヒロインでピーターの元恋人。昨今の原作アメコミのキャラクターに合わせてか積極的に街のスキャンダルに迫り、ピーターとの合流後は彼とは別にヴィランの情報を集めてサポートしようとするのだが、序盤~中盤は危険も顧みずに事態に首を突っ込んでピーターの手を煩わせることが多い。特に中盤、独断でセーブルの拠点に潜入して事態を悪化させておきながら、救出に来たピーターに感謝もせず喧嘩に発展してしまうシーンは不評。 --その行動力には「ピーターに守られるだけの女ではいたくないから」「相棒になりたい」という明確な理由があるのだが、後述のMJ操作パートの煩わしさもあってそのアグレッシヴさに「コイツさえいなければ…」と苛立つプレイヤーは多い。というかNY市警の刑事の「ユリ・ワタナベ((スパイダーマンに協力的で普段から連携を取っているためか、彼から「相棒」と呼ばれる場面もある。))」の方がよっぽど相棒である。 --シナリオ後半は自身の身勝手さを自覚し落ち着きを見せるが、そこに至るまでが長いので悪印象が先行しやすい。 --だが、原作ファンからするとMJのトラブルメーカーは原作通りであり、むしろ抑えられているという意見もある。 -''シルバー・セーブル(セーブル・インターナショナル)'' --''今作のストレス製造機その2。''フィスクの逮捕によるヴィランの活性化を機にノーマンに治安維持のために雇われた自警武装集団。しかし、スパイダーマンを敵視するノーマンの意向からスパイダーマンも攻撃対象としてくる上、ある事件を機にスパイダーマンを最優先目標として攻撃してくる。 --上記のような命令を受けているにしても明らかにスパイダーマンに対する殺意が高く、''危険な兵器を奪ったデーモンたちがいようと、ラフトの危険な囚人たちが脱獄しようと、市民や警察の危機はおかまいなしに愚直にスパイダーマンだけを狙ってくる。''ピーターの「せめて囚人たち倒すまで待っててくれない!?」という台詞に心から同意したくなること間違いなし。 --そのリーダーであるシルバー・セーブルも同様でスパイダーマンに強い敵意を抱いているのだが、終盤、雇い主のノーマンの危機にピーターと利害が一致すると''あっさりこれまでの敵意を捨てて協力的になる。''配下のセーブル兵士のゲーム的なウザさもあって''「MJよりもヘイトが溜まる」「ヴィランよりもこいつをぶちのめしたかった」''という意見も。 #endregion //-戦闘中のスパイダーマンのジョーク //--とにかく戦闘中におしゃべりで、ジョークを良く言う。しかも対して面白くない。敵のボスからもつまらないと言われる始末。失敗すると何度言われる。 //--しかし、このジョークはピーターの勇気を出すための原作再現である。 //↑スパイダーマンが戦闘中にジョークを言うのは原作通りなので、評価として書くのはナンセンスでは? ---- **問題点 //-ボリュームがやや少ない //--ストーリーだけ進めていれば20時間程度でサクッと終わる。寄り道で30時間、DLCで35時間程度にはなる。 //---近年のゲームはボリュームが多いのが大半なので、相対的に少なく見える部分もある。 //---あくまでアクションゲームなので数字で見るほど体感時間は短くはないものの、やりこみ要素や寄り道がもう少し欲しかったという声は多い。 //--DLCはやり込み要素込みで4時間程度。単体での値段は1,080円するためやや不釣り合い。 //---一応シーズンパスを買えば値段はそこまで気にならないが。 //--DLCは3部作構成のため、単体で買うとブツ切り感がある。 //殆どのSIEゲーに言える事だがトロコンも割と簡単((トロコンに関してはトロフィー収集家には好評である。))。 //エクスキューズが多いので問題点としては微小とみなしco -次回作前提のストーリー --回収されない伏線や展開が多い。中でも原作でスパイダーマンと親密な関係にあるヴィラン・ブラックキャットに関してはDLCでしか回収されず、不満の声が多い。 ---意図的に設けられた空白の時間が存在することから本作以前のストーリーも展開可能となっている。 -ヴィランのチョイス、人数 --今回のメインヴィランはあらすじで紹介した6人+ラスボス。 ---サブクエストとDLCのヴィランも微妙なチョイスとの声が多い。DLCに関しては最初に公開されたキービジュアルからグリーンゴブリンが出てくると予想していた人も多かったため尚更不満が多かった。 ---とはいえ、この7人のうち6人は元々「シニスター・シックス」という組織のメンバーなので、この組み合わせで登場すること自体は全くおかしくはない。 ---あくまで「続編のためにヴィランを出し惜しんでいる」のが透けて見える点が不評に繋がっている。 --映画でしか知らない人はエレクトロ、ライノ、バルチャー、ラスボスくらいしか知ってるヴィランがいないため、ややイマイチに感じるだろう。 --本作の前に発売された『アメイジング・スパイダーマン2』は%%出来はともかく%%ヴィランの種類が豊富だったため本作での少なさは尚更目立っている((余談だが、『アメイジング・スパイダーマン2』は2017年にダウンロード販売が停止されており、現在は中古でしか入手することが出来ない。本作のためだろうか?))。 -頻繁に入る強制ステルスパート --MJとマイルズ((マイルズ・モラレス。スパイダーマンに憧れる黒人の少年で次回作では主人公を務める。))を操作するステルスパートがあるのだが、見つかったら一発アウト、なおかつそこそこ長いロードが入るためかなりストレスが溜まる。 --序盤は新鮮で楽しいだろうが、何度も入ることになるため煩わしさや苛立ちの方が大きくなる。ステルスという性質上途端にゲームスピードが遅くなるため、周回プレイの際のストレスになりやすい。 ---展開が進むにつれ手数が増え、ストレスはある程度緩和されていく。MJ視点でスパイダーマンの活躍を見るパートは好評。 --このパートでただでさえストレスが溜まっているのにMJがワガママな言動を繰り返すことからMJに対する不満が強まっている。 ---言動自体はよくある物ではあるが。 //-オープンワールドでありながら狭い //--ウェブ・スイングの速度が速いのもあるが割と狭い。街が非常に密度の濃い作りになっているのも狭さを感じる一因となっている。 //---とはいえ、ファストトラベル無しで端から端まで行こうと思えばそれなりに時間はかかる。無駄が少なく、ゲームの箱庭としての完成度は高い。 //問題点としては微小とみなしco -ワンパターンな犯罪ミッション、やり込み要素 --犯罪の種類はカーチェイス、強盗、襲撃とかなり少ない。カーチェイス以外はロケーションが違うだけでやる事は敵を倒すだけなためワンパターン。 --やり込み要素も拠点の奇襲、タワー解放、写真を撮るくらい。同じことの繰り返しであり、次第に作業感の方が大きくなる。 ---拠点奇襲は敵の見た目が違うだけでやることはほぼ一緒。 --細かいことだが、ギャング達が屋上で強盗や盗みをしているなど場所と設定と合わない犯罪もチラホラ。 -ストレスの溜まる敵 --「デーモン」「囚人」の盾・剣持ちの敵は武器を奪ったり、後ろに行ったりしなくてはならず少々ストレスが溜まる。ウェブが正面では通用しないのも爽快感を削ぐ。 --ゲーム中盤より出現する敵勢力「セーブル・インターナショナル」は硬い上に攻撃力がかなり高く、本作では珍しい空中を飛行するユニットを有している。特定のガジェットやアクションで容易に無力化できるが、それらをこの時点までに開放していない場合はその強さに若干の理不尽さを感じる場合も。 -スーツパワーのバランス --スーツパワーは多く用意されているのだが、大勢のザコ敵をウェブまみれにすることができ、かつ最初から使用できるウェブ・ブロッサムが一番使いやすい。 --次点で使いやすいのがドローンで感電させるスパイダーブラザーだが、こちらも序盤の方で手に入ってしまう。 --強力かつ使いやすいスーツパワーが序盤に手に入るおかげで、他のスーツパワーが空気になりがち。 -トークンシステム --一度取得したトークンは再取得することが不可能なので、配分を間違えるとトロコンの難易度が跳ね上がってしまう。 ---この点はDLCでNew Game+という救済措置が追加されている。 -音声記録の収集難易度 --基本的に自由度が高いゲームであるが、音声記録だけは特定メインミッションの進行中に指定された場所でオブジェクトを調べないと入手できず、取り逃すと二度と手に入らない。ストーリーの伏線として重要なものも多いため、残念である。 ---この点もトークンシステムと同じくDLCで救済措置が追加されている。 ---- **総評 スパイダーマンを知らないという人にも、コアなファンにも、キャラゲーは地雷ではないかと警戒する人にもお勧めできる作品。 ~スタッフの原作愛による高い完成度により、受賞は逃したもののGOTY2018にもノミネートされ世界的にも評価された。 ~いくつかの問題点もなくはないが、それを差し引いてもスパイダーマンのゲームとして満足度の高い一作である。 ---- **余談 -ある場面で、スパイダーマンの生みの親であるスタン・リー氏がカメオ出演している。氏は映画でもほぼ必ずカメオ出演することで有名。 -2019年8月にSIEがInsomniac Gamesの買収を発表した。買収額は2億2900万ドル、日本円にして約250億円となる([[参照>https://www.sie.com/corporate/release/2019/190820.html]])。 --元々InsomniacとSIEは20年以上に渡り強固な信頼関係を築き上げてきたが、遂にこれでSIEワールドワイドスタジオの仲間入りを果たした。 -数多くのスパイダーマンが一堂に会するコミック『スパイダーゲドン』において本作のスパイダーマンが出演している。その際に本作の世界は「Earth-1048」とされた((マーベルではメインで描かれるストーリーとは別の並行世界も"実際に存在する世界"として捉えており、原作の設定から大きくかけ離れた世界観の作品であっても違和感なくバリエーションに富んだ作品とコラボレーションの余地を創造する土壌が整っている。各世界は「Earth-◯◯◯」と番号が振られており(単発作品の仮番号は「Earth-TRN◯◯◯」となる)、例えば映画「アベンジャーズ」など一連の実写映画シリーズの世界観であるMarvelCinematicUniverseは「Earth-199999」あるいは「Earth-616」であり、ゲーム「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズの作中世界は「Earth-30847」とされている。))。 -実は本作の前日譚となる小説『Marvel's SPIDER-MAN: Hostile Takeover』が存在している。 --残念ながら邦訳版は発売されていないが、英語版は日本からでもAmazon Kindleで電子版が購入できるため、英語に自身のある方は購入しても良いかもしれない。 -本作はオープンワールドアクションとしても『Marvel's』タイアップシリーズのゲームとしても高く評価されており、2020年11月時点で全世界累計2000万本を売り上げた。 --そして2022年6月には何と''全世界累計3300万を突破。''これはSIEワールドワイドスタジオ全体で見ても凄まじく高い数値である。 --後述の続編や『Marvel’s Wolverine』の発表もあり、今後もさらに伸ばしていくと思われる。 -2023年公開のアニメーション映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』において、本作のスパイダーマンが「インソムニアック・スパイダーマン」という名前で一瞬だけ登場している。 --また、同映画内で本作と思わしきゲームのプレイ画面も一瞬だけ映っている。 ---- **その後の展開 -2020年11月12日に本作のスピンオフ『[[Marvel's Spider-Man: Miles Morales]]』がPS5/PS4で発売された。PS5のローンチソフトの一本である。 --PS5版は「Ultimate Edition」も販売され、本作をPS5向けにリマスターした『Marvel's Spider-Man Remastered』がセットになっている。詳細は後述。 --2022年11月19日にはWin版が発売。 -2021年9月に続編『[[Marvel's Spider-Man 2]]』が発表された。『2』ではピーター・パーカーとマイルズ・モラレスのW主人公となる模様。 --さらに、ヴィランとしてスパイダーマン最大の宿敵であるヴェノムが登場する。対応機種はPS5で、2023年10月20日に発売された。 --なお、これ同時に同じMarvel Comicsのヒーロー、ウルヴァリンが主人公となる『Marvel’s Wolverine』もPS5向けに発表された。 ---内容としては本作と異なりバイオレンスなものになる模様。まだ開発初期段階らしく、発売時期はアナウンスされていない。 ---- *Marvel's Spider-Man Remastered 【まーべる すぱいだーまん りますたーど】 |対応機種|プレイステーション5&br;Windows (Steam/Epic Games Store)|&image(https://cdn.akamai.steamstatic.com/steam/apps/1817070/header_japanese.jpg?t=1673999865,height=160)| |発売元|【PS5】ソニー・インタラクティブエンタテインメント&br;【Win】PlayStation PC LLC|~| |開発元|【PS5】Insomniac Games&br;【Win】Nixxes Software(移植)|~| |発売日|【PS5】2020年11月12日&br;【Win】2022年8月13日&br;【PS5単体版】2023年5月4日|~| |定価|【Win】7,590円&br;【PS5単体版】6,980円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| //|ポイント||~| ※共通項目は省略。 ---- **概要(Remastered) 上記『Marvel's Spider-Man』をPS5向けにリマスターした作品。~ 当初は『[[Marvel's Spider-Man: Miles Morales]]』のUltimate Editionにのみ付属していた。~ だが、2022年8月13日にWin版が単体で発売され、2023年5月4日にはPS5版もダウンロード専用で単体リリースされた。~ PS5単体版はPS4版からの有料アップグレードにも対応している。 ---- **特徴・評価点(Remastered) -主にPS5特有の機能・要素に対応している。 --DualSense(PS5用コントローラー)の機能であるハプティックフィードバックとアダプティブトリガーに対応。 --3Dオーディオに対応。対応したヘッドホンがあれば、あらゆる方向から音が聞こえてくる。 -グラフィックの向上 --レイトレーシングに対応。光の反射や光の描写がよりリアルになった --4K解像度に対応し、さらにPS4 Proでも30fpsだったフレームレートが60fpsで出力できるようになった。 --ただし、4K解像度、レイトレーシング、60fps動作が同時にできるわけではなく、グラフィック重視の「忠実度重視」と、fps重視の「パフォーマンス重視」に加え、レイトレーシング対応で60fps動作の「パフォーマンス:レイトレーシング」の3つから選ぶことになる。 --その他一部グラフィックがPS4版から変更されている。特に目立つのはピーター・パーカーの顔が変わっていることだろう。 ---これはピーター・パーカーのフェイスモデルがジョン・バブニアク氏からベン・ジョーダン氏へと交代されたため。 -高速SSDによるロード時間の大幅短縮 --起動時やファストトラベル時などに存在したロード時間が大幅に短くなっており、街の端から端へのファストトラベルでも''僅か数秒しかかからない''。 --そのためファストトラベル時に電車に乗るスパイダーマンなどロード中に流れたムービーはPS5では表示されない。 -アップデートにより、新たに3つのスーツが追加された。 --内一つは映画『アメイジング・スパイダーマン』のデザインを再現したもの。これにより実写映画版のスパイダーマンのスーツが全て揃ったことになる。 --ちなみに、上記3つのスーツはPS4版にもアップデートで追加されている。 --2021年12月には同時期公開(日本では2022年1月公開)の映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に登場するスーツを催したデザインのスーツも2つ追加。こちらはPS5版のみ追加された。 -DLCは全部収録している。 -続編『Miles Morales』同様、音声を英語にすることができるようになった。 ---- **問題点(Remastered) -PS4版からのセーブデータの引き継ぎに非対応(改善済み)。 --発売当初はPS4版からのセーブデータの引き継ぎに対応していなかった。ちなみに続編『Miles Morales』では発売当初からセーブデータの移行に対応。 ---これについては後のアップデートによりセーブデータの移行に対応したため、解決したと言える。なおPS Plusの加入は不要なので、そこは安心して欲しい。 //-ボタン配置が×決定、○キャンセルとなり、日本人ユーザーは混乱することとなった。 //--ただし、このボタン配置の変更はPS5のデフォルトの決定ボタンが×ボタンとなったためであり、本作に限らず多くのPS5用ソフトが×決定となっている。 //PS5はシステム操作も×決定行うので、ゲームを〇決定にした方が余計混乱する。PS5ソフト全般に言えることで特筆することではないのでCO ---- **総評(Remastered) 基本的な部分はそのままに、PS5向けにグラフィックとパフォーマンスを向上させたリマスター作品。~ 発売当初はPS4版からのアップグレードに対応しておらず、PS4版購入済みの人からは多少残念に感じる部分もあるのがネック。~ だが、PS4版を遊んでいないのであれば、実質2,200円(税込)で手に入るため、非常にお得であろう。~ 2023年5月4日以降は単体発売もされ、PS4廉価版とリマスター版との定価の差額である2,690円(税込)を払うことで、PS5版にアップグレードすることも可能となった。~ PS5特有の機能にも多く対応しているため、PS5の性能を存分に味わいたいという方にも十分オススメできる。 ---- **移植(Remastered) -2022年6月3日配信のSIEの配信番組「State of Play」内にて、同作のWin版をSteamとEpic Games Storeで8月13日に発売することが発表された。 --移植は2021年7月にSIEの買収を受けて傘下になったNixxes Softwareが行っている。

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