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リンダキューブ アゲイン」を以下のとおり復元します。
*リンダキューブ アゲイン
【りんだきゅーぶあげいん】
|ジャンル|サイコスリラー&ハンティングRPG|&amazon(B000069SPZ)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|
|開発元|アルファ・システム&br()MARS|~|
|発売日|1997年9月25日|~|
|定価|5,800円(税別)|~|
|備考|【PCE】リンダキューブ:1995年10月13日/7,800円(税別)&br()【SS】リンダキューブ 完全版:1998年6月18日/6,800円(税別)|~|
|配信|ゲームアーカイブス:2007年9月27日/600円(税5%込)((本来は約1年前に配信されていたが、権利関係により配信はごくわずかで一旦終了し、権利が整理された後に再配信されたという経緯がある。))|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

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#contents(fromhere)
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**概要
PCエンジンの名作『[[天外魔境 ZIRIA]]』『[[天外魔境II 卍MARU]]』で不気味かつ骨太なシナリオを描いた桝田省治と、後に『[[ガンパレード・マーチ>高機動幻想 ガンパレード・マーチ]]』で一躍有名になるアルファ・システムが手掛けたRPG。

桝田氏曰く''「天外IIでは3年間も「こてこての王道」なシナリオを作り続けてストレスが溜まり、クリエイターとしての血が疼いて作った(意訳)」''作品であり、その言葉に違わずみょうちくりん、しかしそれでいて独特の中毒性がある作品として、『Linda3((この「3」は正確には乗数))』は当時既に冷え切っていたPCエンジン市場にその名を刻むこととなった。~
桝田氏曰く本作のテーマは「種の保存」。

プレイステーション版リメイクの『リンダキューブアゲイン』は、全体的にプレイする上での(ゲームとしておよびシナリオ面でも)バランスが修正されており、販売状況や入手環境といった要因からリメイク元よりも有名になってしまった感がある。~
そのため、本記事はそちらの方をメインとして解説していく。

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**ストーリー
アフター・マザーズ・デス(AMD)1991年。地球によく似た環境を持つ惑星「ネオケニア」への移住計画が開始されてから、一世紀が経とうとしていたころ。~
ネオケニアには8年後に「死神」と呼称される隕石が激突することが確実視され、ネオケニアのレンジャー隊は日々住民の脱出作業に追われていた。~
そんな中、謎の巨大な「箱舟」がお触れと共に現れたのだ。~
「未来を救うために、この船に乗り込む男女一組の乗組員を募集! そして出来るだけ多くの雄雌1つがいの動物たちを集めよ!」

乗組員になってどうなるか分からない。命の保証などもない。~
駆け出しのレンジャー隊員である主人公「ケン・チャレンジャー」は、父親のように勇敢な男になるためと、見かけはかわいいが乱暴で毒舌な幼馴染の「リンダ」や周囲の後押しによって乗組員に立候補したのであった。~
かくして、ケンとリンダによるネオケニアの動物捕獲のための奮闘が始まる。惑星ひいては動物・人間に関係のない全ての生物の未来を救うために……。

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**特徴
上記のような経緯で企画が立ち上げられたゲームだけあり、世界観、システム、ストーリーと全てにおいて一般的なRPGとは一線を画している。~
説明書や公式サイトでもくどいほど「王道RPGとの違い」が強調されている((説明書にはわざわざそれを強調する漫画まで掲載されている。))。

-世界の終わりが明確に決められている。
--極端に言えば、何もしなくても8年が経過し、隕石が落ちてきてネオケニアは滅亡する。
--日数が進むと他の人間は移住してしまい、宿屋や町間移動施設が利用できなくなってくる。なんともリアル。

-タイムリミットまでに動物を集めることがゲームの目的
--ケンは妙に不気味な世界中の動物を出来るだけ集めるのだが、動物はゲームクリアの条件というストーリー上の役割だけではなく、システム的にも様々な点で動物が密接に絡んでおり、動物集めがゲームの核になっている。
--「動物」とは言うが、多くの動物は、戦うことになるモンスターでもある。大筋の目的は動物を捕獲し、箱舟に登録する事である。
--また動物は箱舟に登録するだけでなく、動物を換金したり、加工して肉や装備品にしたり、乗り物にしたり、パーティメンバーの一員にしたり、動物の能力を取り込んでステータスを強化したり獣人などの特殊能力を覚えたりと、色々なことに利用できる。
--基本的な動物の捕獲方法は、戦闘でダメージを与えてHPを減らすだけ。HPが少なくなって弱った動物は降参して、自動的に捕獲できる。ただしその動物のHPの最大値を大きく上回るダメージを与えてしまうと、身体がバラバラになってしまい捕獲できず、経験値なども得られない。
---そのためこちらが強くなりすぎると動物を捕まえにくくなるのだが、かといってこちらが弱いと強力な動物を捕まえるのが困難。タイムリミットもあるので、ただ戦闘を繰り返してレベルを上げて敵をガンガン倒すだけでいいというものではなく、今の戦力に見合った動物はどこにいるのか、今の戦力でどうすれば捕まえられるかなど、戦力のバランスも考える必要がある。

-本作はA・B・Cの3つのシナリオが存在する。
--A:「メリークリスマス」・B:「ハッピーチャイルド」・C:「アストロアーク」の三つ。
--それぞれストーリー内容、箱舟への動物登録数のノルマ、行ける場所などが違う。
---シナリオAとBは練習用シナリオとしての側面もあり、動物登録のノルマが少なく捕獲できる動物の種類が少ない、A・B双方の舞台となるエリアが互いに出入りできないようになるなどの制限がある。また、定期的にストーリー進行のイベントが発生し動物集めが補助的な役割になっているなど、一般的なRPG同様、シナリオ中心の展開となっている。
---シナリオCは全エリアに侵入可能、全種類の動物が捕獲可能、と、最も自由度が高く、ゲームの醍醐味である動物集めを存分に味わえる。シナリオ面では本作の世界観や、動物集めをさせられる理由などのゲーム設定の根幹部分にまつわる真相に迫っていくが、ゲーム進行におけるストーリー的な縛りはA・Bよりも薄い。シナリオの内容面では、猟奇的な表現やエピソードが多く含まれているA・Bとかなり毛色の違う内容になっている。また、シナリオ上、制限時間が他のシナリオよりも1年短い。
--どのシナリオをプレイするかは好きに選べるが、シナリオC開始前には''『AB両方クリアしてからCをプレイしましょう』''というお告げが来る。ここは素直に従ったほうが無難。
--ちなみに一つのセーブデータにつき一つのシナリオしか選べないため、能力や捕獲動物などといったステータスを他のシナリオにまたぐことはできない。
--PS版以降では条件を満たすことでシナリオD:「ラストイヤー」が出現する。~
残り猶予1年で100種類以上の動物を集めるという、タイムトライアル的な特殊なシナリオ。最初から全ての特殊能力が使えるなどの利点もあり、早いペースで動物を沢山集めやすい。

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**評価点
-動物集めの楽しさ
--確かに捕獲をしないとクリアできないし、それ自体も面白い。しかし動物を捕獲することで、収集のみでなく冒険や育成の楽しさを同時に味わえる作りになっている。
--大抵の動物はフィールドやダンジョンにいるが、入手が難しい動物もいる。ボスのように奥に陣取るのはまだ良い方で、年数が経つと絶滅したり特定の状況や状態じゃないと出遭えない動物もいる。コンプリートは一筋縄ではいかない。
--無一文にならないと出現しない、タイムリミットギリギリになってやっと捕獲可能、と言ったご無体な動物も。ノーヒントでのコンプリートは正に至難の業である。
--捕獲手段も戦闘で倒す以外に、マップ上に罠を仕掛ける、動物商から買う、ハンターに依頼する、卵から孵化させたり等と様々な方法がある。
--捕まえた動物の使い道も、各種類を雌雄一匹ずつ登録すれば、あとはプレイヤーの思うまま。食料や装備に加工するも良し、売るも良し、戦闘で嗾けるも良し。
--また、RPGとしては最初から行動可能範囲が広大で、色々な場所に行ける。ストーリー上の束縛も緩く、自由度は高い。
--このようにプレイヤーの試行錯誤の余地が満遍なく鏤められており、戦略性は極めて高い。コンプリートしたとしても、タイムトライアルであるシナリオDの存在があり、熟練プレイヤーにも更なる挑戦の場が与えられる。

-とことん王道を逸脱したシナリオ
--本作の舞台となる世界を襲うものは、RPGに付き物の魔王や侵略者といった勧善懲悪的な存在ではなく、&bold(){大自然の驚異そのもの}。~
ゆえに、プレイヤーはどうあがいてもネオケニアを救えない。かろうじて救えるものはリンダと奇抜な動物たちのみである。~
更に、本来恨まれる筋合いなどないはずのケンやリンダに、様々な陰謀や試練、人の狂気が立ちはだかり、容赦なく襲いかかってくる。
--本作では原作でのビジュアルシーンがフルアニメーションによってリメイクされており、生理的・心理的にドギツイ展開がより一層の生々しさと共に繰り広げられていくことになる。
--しかしプレイすると「生物、ひいては人間の内面と外見のギャップを受け入れ愛することの大切さ」「不器用な生き様にならざるを得ない人間の悲哀や哀愁」そういったものを感じさせる内容となっており、ただ狂気的なだけではなくどこか惹きつけられる魅力を持っている。
--シナリオA・Bのラスボスは心理的に来るどこか気の触れた人間が相手となり、主人公やヒロインを戦闘以外の面でも追い詰めようとする。
---ただその末路や経緯が「不器用な人間の悲哀」を感じさせる存在ともとれ、本作のテーマ「人間や生物といった外見と内面のギャップや矛盾」をも感じられる。
--シナリオ毎にエンディングテーマが違うのだが、その歌詞がAは幼い我が子に、Bは愛する女性に、Cが成長して旅立つ息子に向けたものになっているのも、作中のテーマと照らし合わせると感慨深い。

#region(シナリオAB詳細(ネタバレ注意))
-シナリオA「メリークリスマス」
--ケンにそっくりな生き別れの弟「ネク」が現れ、幸せに暮らす主人公へ復讐していく話。
--このネクは生い立ちが非常にえげつない設定で、孤児となって製薬会社の女社長に拾われた後はろくに愛情も注がれず、学校にも通わせてもらえないばかりか、''薬漬けにされたあげく、ある薬の原料となる原住民の死体を調達させられていた''というもの。主人公と同じ顔をした男が不気味なマスクをつけ、サンタクロースの格好で猟奇殺人を行っていく姿は強烈。中でも「死体は捜すより作る方が簡単なのサ」という台詞は多くのプレイヤーに強い印象を残した。
---物語の後半では事件の発端となった製薬会社に乗り込むのだが、地下室に多くの人間が拉致され、''大量の死体が浮かんだカプセルが研究室内に陳列されている''という異常な光景を目撃することになる。
---ちなみに主人公の実の父親はある村の村長だったが、一夜にして村民全員を惨殺したという疑いで精神病院の隔離地下施設に隔離されている。その上、ネクにその事実を告げられて対面を果たした直後にネクの手によって惨殺されてしまう。その上、惨殺事件の真実に関してはシナリオ内では一切触れられることがない。
--ラスボスはヒロイン・リンダの父親「ヒューム」。精神が崩壊しているのか言動が狂気じみている。
---特筆すべきはその身体の設定。何と''リンダの母親「アン」が上半身に埋め込まれている。''しかもそれが明らかとなった直後に自ら殺してしまう(それも自覚ゼロで、直後に逆上して主人公達に襲い掛かってくる)。「愛し合う二人はいつも一緒」という台詞と野営時の特殊台詞もあってゾッとさせる事実である。
---シナリオAでは過去に筋肉増強剤が流行し、肉体と精神をも蝕むようになっても服用を続ける人間が絶えなかったという設定がある。ヒュームもそれが原因と思わせるような描写がされているが、ゲーム中でのあるキャラの台詞によれば薬物反応は見られなかったという事実が知らされる。結局、真相は解らずじまい。
---ちなみにヒュームは娘のリンダがあまりに自分と似ていない((リンダの母親のアンは、ネオケニアの移住民に対して常に優勢な遺伝子を持つ先住民ビースチャンの血を引いているため、リンダは遺伝的特徴を100%母親から受け継いでいるという設定がある。))ため本当に自分の子供なのか疑心暗鬼になり、妻へのDVの末に離婚、リンダの養育費を稼ぐために件の筋肉増強剤を使用し無理な仕事をしていたという設定がある。
---なお、シナリオBではヒュームは妻と和解し、再びよりを戻し幸せな生活を送ることになる。・・・と思った矢先、シナリオ開始直後に何者かに(街の大多数の人間たちと共に)惨殺された挙句、妻と共にゾンビに作りかえられて襲い掛かってくる。彼らが(シナリオBで)何をした。

-シナリオB「ハッピーチャイルド」
--ラスボスはサブヒロイン「サチコ」の父親「エモリ教授」。
---娘のサチコが自殺した原因を作った人間に復讐するため、殺人を犯していた。自らのエゴに走るあまり、多くの無関係の人物を巻き込むほど狂気に走っており、殺しの対象がいるというだけで、街の住人を皆殺しにした挙句にゾンビ化(前述の通りリンダの両親も犠牲になった)させたりシャトルを爆発させたりと、やりたい放題の暴走ぶりを見せる。その一方で大げさかつ空々しい口ぶりで善人として振舞い、ケンとリンダを欺き続ける。
---娘を深く愛する父親であったものの、自らの娘のクローンをサイボーグ兵器に改造して復讐の道具として利用したり、娘を箱舟のパートナーにするためにケンの心を奪おうとした際に''「理論上はね、子供だって作れるはずなんだよ…試してみようよォ!」「ンン~ン生娘の匂いだァ!!」''などとのたまいながら娘のクローンの股ぐらに頭を突っ込むなど、完全に常軌を逸した言動を繰り返す。~
このシーンにおける''「サチコはどーぉだぁあ!?」''は彼の%%変態ぶり%%狂気性を象徴するセリフとして特に有名。
---挙句の果てには「逆恨みの何が悪い!」と開き直る始末。なまじ一途で努力家である分、却ってタチが悪い。そしてその後、肉体増強剤を呑み干し、化け物と化して襲いかかってくる。

この二つのラスボスの共通点は「娘の事を思うあまり狂気に走ってしまった」事と言える。~
そしてこの設定とドぎつい外見を活かすように、''この2人のみ戦闘中にアニメーションする''。『天外魔境II』のような演出だが、その強烈さは段違いである。

シナリオABについてはゲームシステムのチュートリアル的側面もある関係で、シナリオAではシナリオBの、シナリオBではシナリオAでメインとなるエリアに侵入できないのだが、それぞれそのゲーム内での理由がAシナリオでは''ある指名手配犯一人(おそらくエモリ教授)の抹殺の為に核ミサイルが投下されたため立ち入り禁止''、Bシナリオでは''グリーン製薬のタンクからあらゆる生命を生きながらにして腐食させる未知の細菌が漏れ出し全域が汚染されたため立ち入り禁止''という理由付けになっている。
#endregion

-バカゲーとしての側面
--シビアなだけではない、笑える要素も少なくなく、単なる鬱ゲーに留まらない作りにもなっている。
---序盤のアニメシーンは全体的にコメディ調でプレイヤーを笑わせに来る。それだけに以降の展開とのギャップも凄いのだが…。
---シナリオABでもストーリー中にお笑い要素はあり、ケンとリンダのバカップルぶりなどは暗いストーリーの清涼剤的役割も果たしている。
---街の人々の台詞や壁のラクガキ、「YES」のみしかない(比喩表現ではなく本当に「YES」のみ)選択肢など笑い所がチラホラある。
---猟犬を治療する際の獣医の台詞や解体屋の台詞など施設の店主の台詞が妙に生々しいが、慣れてくるとおかしさも感じてくる。
--特にシナリオC「アストロアーク」が他のシナリオのセルフパロディに走っている。シナリオ選択画面の「シナリオCを''大笑いしながら遊ぶ''ためにABを先にクリアしよう」のお告げは伊達ではない。

#region(シナリオC詳細(ネタバレ))
-シナリオスタート直後に主人公が''バナナの皮で滑って転んで1年間昏睡する羽目になる''。
--しかも脊髄損傷、頭蓋骨陥没とかなりの重症で大量の輸血まで必要としていた。どう転んだらそこまでの重症に…。
--ちなみにゲーム中でもしっかり1年経過している。
-シナリオAで主人公たちを苦しめたネクが初っ端から登場。しかも打って変わってコミカルで好意的な人物になり、ケンと仲の良い弟として描かれる。
--サチコはシナリオABでは接触する事の無かったネクと結ばれ、ケンとリンダも顔負けのバカップルぶりを見せつけてくれる。
--他にもあるキャラが他のシナリオと全く違う運命を辿っていたり、他のシナリオで使われていた台詞が意外な場面で使われていたりと思わずニヤリと来る場面を多く見かける。
---シナリオAでのケンの台詞「違う!リンダじゃないんだ!」や、エモリ教授の逆恨みについての発言などは元のシーンを知った上で見ると爆笑ものだろう。
---シナリオABのラスボス同士が「娘が父親の手を離れ嫁に行ってしまうという悲しみ」に共感しあって共に去って行くシーンは特に印象的だろう。2人とも「娘の事を思うあまり狂気に走ってしまった」だけあって。
--解釈によっては登場人物の多くが幸せに暮らせた世界。と、言えなくもない。シナリオABの展開を知った上で見ると尚更である。
#endregion


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**賛否両論点
-独特過ぎるシステムや世界観、猟奇的かつ狂気的な演出、鬱展開の数々は当然ながら人を選ぶ。
--ハマる人はとことんハマるが、合わない人にはまず合わない。

-奇抜過ぎる動物のデザイン
--''本作におけるモンスター(=捕獲対象となる動物)は「イヌ・ブタ・ウサギ」などと同じ名前を冠しても、どこかグロテスクだったり奇抜だったりと地球上の生物とは似ても似つかない不気味な集団である。''我々の美的感覚など本作では無力と感じるだろう。
--本作ではこれら奇抜な外見の動物(と呼ばれているもの)が戦闘の相手であり、異形な人間外の敵はほとんどいない。
---目が無く顔が大きいシマウマや水陸両用のイルカ、腕が生えていてクロールで泳ぐサメなど奇抜な外見に事欠かない。巨大なゴキブリやミミズなど精神的にくるものもいる。
---まともな外見をしている動物は''犬のみ''。PS・SS版のみ猫も含む。
---オリジナルとなるPCEでは、開発中にPCエンジン雑誌にて特設コーナーを連載、「動物」デザインを読者から公募した事も。
---中には内臓が奇形化して動き出したような、モンスターと呼ぶ事すら躊躇われるものまで((名前もズバリ「ゾウモツ」。…動物ですらない。))。
--「~アゲイン」はリメイク前よりもデザインがまだマイルドになっており、一般的に「キモカワイイ」のも出るだけまだマシ。SS版やPCE版はそういった要素もない。
---例えばペンギンはPS版ではイワトビペンギンに近い「可愛い」の範疇に入るデザインだが、PCE版では[[BIOHAZARD>BIOHAZARDシリーズ]]にでも出そうなグロテスクなクリーチャーであった。
--こういったデザインに%%見過ぎて美的感覚が崩壊した所為で%%不思議な魅力を感じるプレイヤーも多い一方、やはり苦手な人に生理的嫌悪感を植え付けかねない点は否めない。
--何故こういう設定なのかは、話を進めればわかる。

-性的ネタの数々
--直接的な描写こそ無いものの、それを思わせる演出、台詞が随所に鏤められている。
--動物の登録を行う部屋が子宮を模していたり、登録の度に喘ぎ声のようなものが聞こえたり((しかも雄と雌それぞれにそれっぽい声が用意されている。))と、テーマがテーマだけに基本演出の時点から枚挙に暇が無い。
--ストーリー中でも、上述の「サチコはどーぉだぁあ!?」のシーンや、老博士がテーブルの下に潜んで未亡人にご奉仕、などと言った危ないシーンがちらほら。
--シナリオCで野営した時のリンダとの会話、リンダと野営するとティッシュを消費する((主人公が鼻をかんだだけと言う話もあるが。))、主人公の家で録音される男女の戯れ、箱船の中にある「''愛の巣''」と、そこに置く家具として''回転ベッド''を購入出来たりと小ネタとしても幾つかある。
--こういった下ネタ、或いはそう連想させる表現もまた人を選ぶ。

-一部の動物の捕獲条件が非常に難しい
--季節限定だったり、一定の年月が経つと絶滅する動物等は簡単な方で、特殊な条件を満たさないと捕獲できない動物も多く、全動物の捕獲はやりこみ要素になっている。
--基本的にクリアに必要な分だけなら普通にプレイしているだけでも足りるので、残りは色々と歩き回って新種を探す楽しみがある。
--時間的猶予が少ないシナリオDではクジラの捕獲が運頼みすぎたりと、全種捕獲の壁となりやすいのはきついと言えばきつい。

-ストーリーの一部が説明不足。
--シナリオの核心的な部分も含め、シナリオ内で提示された謎に対する答えが断片的にしか語られず、解釈任せになっている面が多々ある。
---これを消化不良と取るか考察の楽しみがあると取るかでストーリーの印象が変わる。

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**問題点
-PCE版に比べて、フィールド上のBGMの迫力がなくなっている。
--PCE版はジャングルの奥地のような迫力あるものになっているが、こちらはサバンナや動物園のような緊張感のないものになった、という指摘が多い。
--一方戦闘直後のSEで迫力が増しているのもあるが。

-戦闘中の各行動の演出において、SEが完全に終わるまで待たされることがあり、テンポをやや損ねている。

-ゲーム画面がややチープ
--さすがにPCE版とは比べるべくもないが、同時期のPSのゲームと比べると劣る部類。
--この点は開発者自身も「ゲーム画面はショボいぞ!」と明言している。同時に「動物集めの楽しさを体現するために必要であった」とも語っている。

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**総評

グラフィック面では前時代的でチープと捉えられてしまうところは否めないが、開発者の語る通り、RPGとしての特徴である戦闘・育成・収集の楽しさが「動物集め」の一点に凝縮されており、「種の保存」という作品テーマと相まって、既存のRPGの枠にはまらない独特な魅力を内包している。~
アクの強いシナリオが目立つが、鬱だけに留まらない様々な要素もあり、合う人ならばこの作品の持つ不思議な魅力を感じ取れることだろう。独特な個性と過激な表現で人を選んでしまう側面はあるものの、人によってはとことんハマるタイプのゲームと言えよう。

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**その後の展開
-1998年6月18日にアスキーより『リンダキューブ完全版』(SS版)が発売された。
--PCE版における狂気性や表現を復活させつつ「昔ブタ」などといった追加要素やギャラリーなどのおまけ要素も満載。
---それに伴い、レーティングは18歳以上推奨となっている。

-現在ではPSP・PS3のゲームアーカイブスで『リンダキューブアゲイン』を購入可能。ちなみにCERO:C。グロ系に免疫のない方は覚悟してプレイして欲しい。

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**余談
-オリジナル版は''18歳以上推奨指定作品''となっている。本作にも暴力表現警告の三角シールが設けられているが、実はこれ、本作のためにソニーが用意したものである。

-ヒロイン・リンダの各シナリオごと境遇が違う為、苗字もそれぞれ異なったものに変わっている。
--シナリオAは「リンダ・アウレア」、シナリオBは「リンダ・バーニング」、シナリオCは「リンダ・チャレンジャー」となっている。((ちなみに、アルファベットではAurea、Burning、Challengerとなり、最初の一文字がシナリオに合わせてある))

-PS版の取扱説明書はコミカルなイラストと赤ペンによる注釈が加えられているというモノであり、本編とのギャップが激しい。
--しかし本編の内容に反している訳でもなかったりする。
--SS版の取扱説明書にはPS版とは異なる注釈がなされており、中には情報が少なく捕獲困難だった動物のヒントなどもイラスト付きで描かれている。

-本作の教会のBGMは『[[俺の屍を越えてゆけ]]』に使い回されている。

-2017年5月25日、テレビ東京による地上波のゲーム番組『勇者ああああ』にてなんと本作が紹介された。
--「絶対に8年後に滅びる世界」「箱舟の存在と動物収集をする主人公とヒロイン」「動物の捕獲方法と精肉可能である点」「ティッシュの自動消費」「シナリオはそれぞれ別の世界線の物語」などグロや狂気の部分はカットされたが、それ以外の本作の個性的な部分が紹介されその結果リアルタイム検索で「リンダキューブアゲイン」が1位に上昇する事態と相成った。
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//PCE版、SS版について更に追記お願いします。
//発売日などを足してみましたが、一応CO。
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//家庭用ゲーム初の18歳以上推奨指定というのは誤りなので変更

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