【りんだきゅーぶあげいん】
ジャンル | サイコスリラー&ハンティングRPG | ![]() |
対応機種 | プレイステーション | |
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント | |
開発元 |
アルファ・システム MARS |
|
発売日 | 1997年9月25日 | |
定価 | 5,800円(税別) | |
備考 |
【PCE】リンダキューブ:1995年10月13日/7,800円(税別) 【SS】リンダキューブ 完全版:1998年6月18日/6,800円(税別) |
|
配信 | ゲームアーカイブス:2007年9月27日/600円(税5%込)(*1) | |
判定 | 良作 |
PCエンジンの名作『天外魔境 ZIRIA』『天外魔境II 卍MARU』で不気味かつ骨太なシナリオを描いた桝田省治と、後に『ガンパレード・マーチ』で一躍有名になるアルファ・システムが手掛けたRPG。
桝田氏曰く「天外IIでは3年間も「こてこての王道」なシナリオを作り続けてストレスが溜まり、クリエイターとしての血が疼いて作った(意訳)」作品であり、その言葉に違わずみょうちくりん、しかしそれでいて独特の中毒性がある作品として、『Linda
3
(リンダキューブ)』は当時既に冷え切っていたPCエンジン市場にその名を刻むこととなった。
氏曰く本作のテーマは「種の保存」。
プレイステーション版リメイクの『リンダキューブアゲイン』は、ゲーム性、シナリオ両面でバランスが修正されており、販売状況や入手環境といった要因からリメイク元よりも有名になってしまった感がある。
そのため、本記事はそちらの方をメインとして解説していく。
作中内の「はこぶね」の表記において、原作PCE版の「箱舟」、リメイク作PS・SS版の「箱船」と表記揺れがあり、本記事ではリメイク版準拠の「船」で統一とする。
宇宙航行技術が高度に発達した遥かな未来、アフター・マザーズ・デス(AMD)1991年。
地球によく似た環境を持つ惑星「ネオケニア」への人類移住計画が開始されてから、およそ一世紀が経とうとしていたころ。
ネオケニアは8年後に「死神」と呼称される巨大隕石が激突し滅亡することが確実視され、ネオケニアのレンジャー隊は日々住民の脱出作業に追われていた。
そんな混乱の最中に突如として、未知のテクノロジーで造られた「箱船」と呼ばれる謎の宇宙船が、「神」のお告げの石板と共にネオケニアの地表に現れた。
「告知 箱船ノ乗員求ム 男女各一名 動物集メニ自信ノアル者ニ限ル 神様ヨリ」
箱船の行先など分からない。
だが、あろうことか星間連邦はこの与太話にGOサインを出し、連邦公認で箱船の
「この船に乗り込む男女一組の乗組員を募集! そして出来るだけ多くの雄雌1つがいの動物たちを集めよ! タイムリミットは8年!」
駆け出しのレンジャー隊員である主人公「ケン・チャレンジャー」は、父親のように勇敢な男になるという志と、
一足先に女性乗組員に志願していた、見かけはかわいいが乱暴で毒舌な幼馴染「リンダ」たっての願いという後押しを得て、遂に男性乗組員に志願したのであった。
かくしてケンの男磨きを兼ねた、動物捕獲のためにネオケニア全土を駆け巡る奮闘の日々が始まった。
ネオケニアと共に滅びさる動物達を救うため、そしてリンダを守り愛するに相応しい男へと成長するために……。
上記のような経緯で企画が立ち上げられたゲームだけあり、設定、システム、ストーリーと全てにおいて一般的なRPGとは一線を画している。
説明書や公式サイトでもくどいほど「王道RPGとの違い」が強調されている(*2)。
+ | シナリオAB詳細(ネタバレ注意) |
+ | シナリオC詳細(ネタバレ) |
+ | ネタばれ注意 |
グラフィック面では前時代的でチープと捉えられてしまうところは否めないが、開発者の語る通り、RPGとしての特徴である戦闘・育成・収集の楽しさが「動物集め」の一点に凝縮されており、「種の保存」という作品テーマと相まって、既存のRPGの枠にはまらない独特な魅力を内包している。
アクの強いシナリオが目立つが、鬱だけに留まらない様々な要素もあり、合う人ならばこの作品の持つ不思議な魅力を感じ取れることだろう。独特な個性と過激な表現で人を選んでしまう側面はあるものの、人によってはとことんハマるタイプのゲームと言えよう。
*1 本来は約1年前に配信されていたが、権利関係により配信はごくわずかで一旦終了し、権利が整理された後に再配信されたという経緯がある。
*2 説明書にはわざわざそれを強調する漫画まで掲載されている。
*3 乗り物としての動物は、特定の店で一時的に借りる形式のみ。手持ちの動物を乗り物にするといったシステムではない
*4 特技のダメージは半固定なので、後半になって捕獲し忘れた弱い動物がいたとしても捕獲できないということはない
*5 リンダの母親のアンは、ネオケニアの移住民に対して常に顕性(優勢)な遺伝子を持つ先住民ビースチャンの血を引いているため、リンダは遺伝的特徴を100%母親から受け継いでいるという設定がある。
*6 説明書で「高山みなみ先生が「愛してるワ」とか「好きよ」とか言いまくるしな。ウひひ」などと平然と書き連ねたり、小説でも「高山みなみの声を想像しながら読んで欲しい」と注意書きを入れるほどの熱の入れっぷり。挙句、本作中でも高山みなみの名前を捩った声優のサイン色紙など登場する始末である。
*7 説明書にもストレートに「ジャイアンのお母さん(笑)」と注釈が付けられている。
*8 こう言った例外は基本「〜アゲイン」以降も同じデザイン。
*9 しかも雄と雌それぞれにそれっぽい声が用意されている。
*10 主人公が鼻をかんだだけと言う話もあるが。
*11 ちなみに、アルファベットではAurea、Burning、Challengerとなり、最初の一文字がシナリオに合わせてある
*12 ソースはニンテンドードリーム19年4月号のデス仙人のコラム。デス仙人が当時の字の綺麗なスタッフだったそうな。
*13 他に上がった案で「箱船は星の海へ」「Astro Ark」は前者はキャッチコピーに、後者はシナリオCのタイトルに用いられた。
*14 ホスピコに研究所を構える3人の博士の中で、Aのキーマンのパンハイム、Bのキーマンのエモリに対し、フローラのみ本編には関わってこない。