弁慶外伝
【べんけいがいでん】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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PCエンジン
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メディア
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3MbitHuカード
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発売元
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サンソフト(サン電子)
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発売日
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1989年12月22日
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定価
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6,510円
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周辺機器
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バックアップユニット対応
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2007年4月17日/600Wiiポイント ゲームアーカイブス 【PS3/PSP/PSV】2010年12月15日/617円 プロジェクトEGG:2017年11月14日/500円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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RPGとしてはオーソドックスな出来 シナリオや一部システムは少々練り込み不足
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弁慶外伝シリーズ 弁慶外伝 / 弁慶外伝 沙の章
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概要
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サンソフトが発売したPCエンジン用のRPG。
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キャラクターデザインは『天地を喰らう』や『サラリーマン金太郎』で有名な本宮ひろ志が担当している。
特徴
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舞台は鎌倉時代の黎明期、源頼朝が鎌倉幕府を開いた頃。
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プレイヤーは主人公である鬼若(きじゃく)を操作して、自身の出生の謎を解く為各地を巡る旅に出る。
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途中で三郎、沙夜香、弁慶の3人を仲間に加え4人パーティで行動する事となる。
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マップ移動上のキャラクターは2頭身デフォルメがなされており、どこかかわいらしさがある。
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途中再開はセーブ方式かパスワード、好きな方から選べる。パスワードは最大80文字とかなり長いため、セーブを選んだ方が楽。
評価点
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硬派な和風RPG
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本作と他作品との差異を語るうえで最も重要なポイント。洋風の架空世界を舞台としたものが多い中、日本の、それも戦国時代や江戸時代ではなく鎌倉時代を舞台にしているというのは他にあまり類を見ず、個性的であった。
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文章にきちんと漢字を使用している点は評価が高い(フォントがひらがな、カタカナの4倍となっているため多少読みづらいが)。
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内容も(弁慶の一部のセリフを除いて)ギャグやお遊びの要素がほとんどなく、ひたすら硬派である。
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キャラクターのレベルは途中まで数字であるが、最高レベルになると「極」と表記される。
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個性的な敵妖怪・怪物
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敵の名称も漢字が多く用いられている。
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「餓鬼(がき)」や「虎(とら)」といったメジャーなものから「死海尼(しかいに)」「羅鬼死主(らきしす)」等、素では読めないようなものまで様々。ただ、戦闘の最初にきちんと振り仮名つきで表示してくれる。
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グラフィックは一枚絵でモーションはないが、特徴的なポーズかつ細かく描き込まれており、臨場感がある。
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BGM
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ベース音を重視した重厚な曲が多いのが特徴。どの曲も場面毎にうまくマッチしており、クオリティが高い。戦闘BGMは3種類あるが、何れもハイテンポであり雰囲気がよく出ている。
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BGMのほとんどは続編である『弁慶外伝 沙の章』に流用されている。
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建築物内での歩行速度がそこそこ速く、村や都での移動は快適。
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フィールド上で歩行速度を上げる場合には術が必要だが、消費コストは少ないのである程度は気軽に使用出来る。
問題点
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戦闘のテンポが悪い。
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全体的にもっさりしており、スピード感に欠ける。
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これについては、当時コンシューマーゲームでは珍しかった漢字混じりの文章が読めるようにとの配慮があったのかもしれないが、ボタン押しで早送りなどの機能が欲しかったところ。
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全体攻撃の術が「大きなグラフィックで全体を一度に攻撃する」ではなく「単体攻撃のグラフィックを敵の人数ぶん繰り返す」形であるため、敵の多い戦闘では無駄に時間がかかる。
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エンカウント率も高く、塔や洞窟などのダンジョンでは平均5~6歩という高頻度で敵とエンカウントする。中盤以降はダンジョンの構造もかなり複雑化し、さらにボスもなかなかの強さなので長丁場になりがち。
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エンカウント率を下げる術はあるが地上でしか使用できない。
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戦闘から逃走した際もいちいち時間のかかる演出を挟む。結果、戦闘面ではかなりストレスのたまる作品となってしまっている。
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不親切な仕様やシステムの不備、ゲームバランスの粗が目立つ。
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一部の術(法術)の仕様。
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味方のステータスを上昇したり、敵の術を封じ込める術があるが、それらの補助術は使用したターン内しか効果を発揮しない。
戦闘時の行動順はランダムである為、術者が最後に行動した場合は無駄にMPを消費するだけで終わる。
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終盤に加入する仲間が唯一使える法術があるが、もともと効果が微妙な上にこの仕様であるため、使う機会は全くない。
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序盤に訪れる事が出来るダンジョンのボスがこの時点ではケタ違いの強さを誇り、普通にここまで進めた時点ではまず倒せない。
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終盤に回せるのが救いだが、序盤でも問題なく行く事が可能な為、予備知識が全くないプレイヤーはほぼ間違いなくここで全滅を喫する。本作では全滅時のペナルティが鬼若のみ復活した状態で都or村に戻されるだけなので、敗北しても大した痛手にはならないが。
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ストーリーに投げっぱなしの伏線がいくつかある。
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主人公の鬼若はとあるボスの死に間際の台詞や故郷の村人の会話から「普通の人間ではない」事を仄めかす台詞が聞けるが、それ以降は母親の墓で少しイベントがある程度で彼の出生に関するエピソードにはほとんど触れられない。
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パーティキャラクターの1人である三郎の強さがいまひとつ。
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術が使えない戦士タイプのキャラクターで序盤は活躍するが、弁慶が加わった後は彼の下位互換キャラとなり、最終的には万能タイプの鬼若にも攻撃力で抜かれる。
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終盤、とあるイベントを起こすとほぼ全ての都や村に入れなくなり、一切買い物ができなくなる。
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本作のラスボスは強力な全体攻撃術を連発してくるので、術だけでは回復が追いつかない可能性があり、下手をすると詰む。
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パスワードの最も右の文字を一部変更すると、キャラクターのレベルが変わったり、同キャラが複数になってしまうことがあり、最悪の場合ゲームを進行できなくなる。意図せずに起こってしまった人も多いと思われる。
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このパスワードの穴を利用すると、「0」という道具を持った状態になることがある。この「0」は戦闘で使用すると255ダメージ固定で永久使用可能という壊れアイテム。ほとんどの雑魚は一発で倒せる。道具は一人一回までだが、パーティ全員分の「0」を持った状態で始めることも可能。
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ただし後列にいるキャラが使用したり、フィールドで使用するとゲームがフリーズする。
総評
内容自体は和風『ドラクエといった無難な作り。ところどころで粗が目立ち高評価を得るには至らなかったが、歴史ファンや硬派な作品を好む人には深く入り込める作品である。
続編
1992年に続編である『弁慶外伝 沙の章』がスーパーファミコンで発売された。戦闘のテンポの悪さや補助系の法術が1ターンで切れるなどの問題点は改善されたが、相変わらずエンカウントが厳しく、タイトルキャラである弁慶の影が薄いなどの問題点もあるためあまり評価は高くない。本作とは違い配信もされていない状況である。
最終更新:2024年12月22日 11:52