ミッドナイトランディング

【みっどないとらんでぃんぐ】

ジャンル フライトシミュレーター
対応機種 アーケード
発売・開発元 タイトー
稼働開始日 1987年
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 2Dで再現された誘導灯
巨大で意匠を尊重した筐体
非常に厳しい採点基準
雰囲気ゲーとしては上出来
ランディングシリーズ
ミッドナイト / トップ / ギア / ハイジャパン


概要

記念すべき『ランディングシリーズ』のデビュー作。全8ステージ。
今作ではまだ3D技術の未成熟ゆえに、2Dでも違和感なく表現するべく、タイトル通り真夜中の航空機の着陸をモチーフにしている。大型専用筐体と合わせた臨場感が好評を博し、高インカムを記録した。


ゲームの進め方

  1. コインを規定数入れて、操縦桿とスラストレバーを画面に表示された青い目印に合わせ、スタートボタンを押す。
  2. ラウンド1が開始される。操縦桿を操縦して滑走路に着陸させよう。このステージに限り、「危険回避ボタンを押せ」が表示された際にスタートボタンを押すと、着陸復行となり、1度だけやり直せる。
  3. 着陸した後は一切の操作が出来なくなる。やや斜めに着陸しても直進するように補正が掛かるが、余りに滑走路を横切るように着陸すると、コースアウトしてしまう。
  4. 成功すれば着陸結果が表示され、どのような飛行を行ったかが表示される。
  5. 以後、着陸ステージを7回繰り返し、失敗or全8ステージクリアーすれば、リザルト(とネームエントリー)が表示される。
  6. エンディング。失敗した場合はそのままゲームオーバー

ゲーム内容

インターフェイスの調整

  • スロットルと操縦桿をスタート位置にセットする場面から始まる。インターフェイスリセットや定位置に戻す目的でもあるが、一種の演出とも言える。

ゲーム進行順

  • 今作では離陸ステージは存在せず、いきなり着陸ステージから開始となる。後発とは異なりステージごとの空港と航空機の組み合わせは完全に固定である。
    風向きの変化は一切なく、風速も1~4m/sが平均的なものとなっており、ラウンド7以降でも多くて6m/sまでとなっている。
  • 着陸後の操作は一切行えない。やや斜めに着陸した場合は正面になるよう補正が掛かるが、滑走路を横切る形で着陸したら補正が掛からずコースアウト。
ラウンド数 空港 使用航空機 開始高度 開始残距離
1 アムステルダム国際空港 練習機 2,400m 17,000m
2 大阪国際空港 小型ジェット旅客機 2,200m 15,000m
3 東京国際空港 2,000m
4 メルボルン国際空港 中型ジェット旅客機 2,200m
5 シンガポール国際空港 2,400m
6 新東京国際空港 大型ジェット旅客機 2,600m
7 千歳空港 2,800m
8 ヒースロー国際空港 3,000m

減点項目

  • リザルト時に表示される青いガイドから逸れた飛行を続けると減点されると言う、シンプルなものとなっている。そのため、ラウンド1ですら100点どころか高得点を獲得するのは困難を極める。一応。着陸さえすれば次に進める為、ハイスコアを競う以外は特に気にしなくても良い。

筐体説明

  • 今作の筐体は航空機を模した筐体のみ。後の『トップランディング』へコンバージョンすることが可能である。
    • 体感型の大型筐体で可動式である。半密閉式のドアが閉まらないとコインを入れてもゲームは始まらない。筐体外部の後ろにはプレイ画面と同じ映像を映して、プレイ状況が確認出来るモニターがある。
    • 操作デバイスは「スタートボタン」「上下に動かす操縦桿」「エンジンパワーを制御するスラストレバー」の3つである。

評価点

  • 2Dながらも可能な限り雰囲気を再現。
    今作ではまだ3D技術が間に合わなかったせいか、苦肉の策として、夜の滑走路が舞台となっているが、遠くからも視認できる誘導灯からなる臨場感に富んだ演出が、まさにタイトル通りの出来栄えを誇っている。そのため、雰囲気ゲーとして評価もされるほど。
    • 今作では航行中には一切BGMが流れないが、その代わりかと言うべきか、速度に応じて変化する航空機のエンジン音や管制官との連絡やアナウンスが終始流れるようになっている。
  • 夜を意識したムーディーなBGM。
    アトラクトとエンディングで流れるメインテーマの静寂さ、ゲーム開始時の煌びやかで意欲をそそぐアップテンポでジャジーな曲調、リザルト時の安心感を感じ取れる曲調、ネームエントリー時の幻想的な曲調は、テーマに見事に合致しており、ゲーム内の演出の彩りとして一躍買っている。ちなみに今作のBGMは外注コンポーザーの1人としてタイトー作品に関わりのあった相澤静夫氏が担当している*1

問題点

  • 全体的な難易度は高い。
    操作性こそピーキーと言うほどではないが、初見ではどのように飛行すれば良いのかがいまいち把握しづらいため、低評価での着陸はおろか、角度を付けて着陸して墜落やオーバーランもザラである。
    • その上ガイドやアシスト類は一切存在しない。当然着陸タイミングも可視化されておらず、実際にプレイして体得していくしかない。終盤になってからは横風の煽りに対処する必要があるため、エンディングに到達するだけでも一苦労だろう。
  • スコアの減算基準があまりにも厳しい。
    単純にリザルト画面時のみ表示される青いガイドから逸れた飛行を続けると、その分減点されるようになっているのだが、この判定が非常にシビアで、少しでもズレた飛行を続けただけでも数点ほどは引かれてしまう。大きく逸れたら30点以上の原点もザラである。そのため、横風もさることながら、全ステージで100点どころか高得点を維持しながらクリアするのは実質不可能に等しいレベルである。
    • 実際にハイスコア集計で800点満点を叩き出したユーザーは現時点では全く確認できておらず、2016年5月時点の最高記録は781点である。
  • メンテナンスが煩雑になりやすい。
    ハーフミラーや凹面鏡の汚れが没入感を妨げる、操縦桿の緩みで不安定、傾くとドアが開く等発生。当時はタイトーには技術サービス部という修理専門部署が全国にあったが、直営店でもメンテナンスに長けた従業員がいないと追いつかない程の筐体だった。出回ってしばらく経つと、大きさの為かボウリング場やドライブイン、トラックステーションに設置される事が多くなったが、ことごとくメンテナンスが行き届いていなかった。

賛否両論点

  • 操縦桿が現実と乖離している。
    本来の飛行機の「押して引いて」ではなく「上げて下げて」の操縦方法はフライトシミュレータファンからは不評だったが、『ナイトストライカー』『アフターバーナー』をはじめ、当時の空中操作系統と同じく「下げると上向き、上げると下降」なのは体感ゲームとしては標準的だった。
    • タイトー内製に限っても後々の『電車でGO!』でもこの手の現実とゲームの乖離的な例は発生しており、シミュレーターや職ゲーにつきまとう問題ではある。古くからもF1系ゲームで丸ハンドルを使うものが多いが、実は丸ハンドルは殆ど無い等。シリーズ3作目『ランディングギア』では更に悪化したが、その次作『ランディングハイジャパン』でようやくフライトシミュレータに近い操縦桿となる。
  • 外部モニターの存在。
    半密閉されたコックピット内でプレイするため、ギャラリー向けに同じ画面を後ろに配置して外に見せている。これがないと、「どんなゲームかわからない」「プレイの様子がわからない」等発生するのはわかるが、プレイヤーからすれば「プレイヤーの否応なしに自分の腕前を知らぬ間に、知らない人にまでも晒している」事になる。
    • 物凄いミス等をしてゲームオーバーになった時にドアを開けるとしっかり見られて恥ずかしかったなんて事にも。結局、外部に晒す事はそれほど重要でも無いと判断されたのか、後の同社の潜水艦ゲーム「バトルシャーク」では、筐体がコンパクトな造りなのもあるが、ギャラリーは殆ど画面が見えない作りだが外には出力させていない。後の汎用体感筐体「IDEA」では完全密封の全く見えない仕様。

総評

技術的な問題ゆえに間に合わせじみたものなったものの、それを逆転の発想で完成へと漕ぎ着けることに成功したゲームと言える。2Dで表現される滑走路の誘導灯は、当時のユーザーの心を鷲掴みし、高インカムを記録するに至った。
しかし全体的な難易度は言うまでもなく高く、挫折するユーザーも多く発生。熟練した上級者でも特にスコアのシビアさに手を焼いたことは想像に難くないところだろう。
同筐体を採用している『トップランディング』へコンバージョンされたゆえ、それ以上に現存している筐体はなきに等しいだろう。もし幸運にも見かけたら是非一度は触っておいた方がいいだろう。

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最終更新:2022年09月06日 11:06

*1 『トップランディング』でも引き続き相澤氏がBGMを手掛けている