この記事では『ランディングハイジャパン』とVer.UP版の『イージーVer.』を取り扱います。


ランディングハイジャパン

【らんでぃんぐはいじゃぱん】

ジャンル フライトシミュレーション
対応機種 アーケード
使用基板 Type-Zero
発売元 タイトー
開発協力 全日本空輸
ゼンリン
稼動開始日 無印 1999年
EASY
判定 無印 スルメゲー
EASY 良作
ポイント 共通 全日空協力作
実在の旅客機を操縦可能
細かい拘りを感じる筐体
初級操縦モード追加
着陸ルールは更に厳格に
EASY 低・高難易度モード追加
ランディングシリーズ
ミッドナイト / トップ / ギア / ハイジャパン


概要

『ランディングシリーズ』のアーケードシリーズ最終作。

今作では全日本空輸(以下、全日空)の全面協力により、実在のボーイング社製旅客機が登場。それぞれに対応したシチュエーションで飛行する事が出来る所がウリであり、従来よりもさらに明るく爽やかな作風を前面に押し出したデザインとなっている。
マップデータはデジタル地図調製や地図情報提供などの企業としても知られるゼンリンが協力している。

同年にはバージョンアップ版の『イージーVer.』が稼働開始。お子様でも遊ぶ事が可能な仕様になったということをアピールするために旅客機を模したマスコットキャラクターやポップなグラフィックがアトラクト画面などで彩っている点が特徴で、お金を入れなくても無印版と見分けることが出来る。ただし新作としてリリースされているため、改めて基板自体を交換しなければならない。このため出回りが僅少となり、一説によれば同社の同基板を採用している『電車でGO!3 通勤編 ダイヤ改正』並に出回りが少なかったと言われている。


ゲーム内容

ゲームルール

  • 過去作3シリーズの「どんな飛び方であれ、まっすぐ着陸出来てオーバーランしなければ点数に関わらずクリア」から大きく変わり、「着陸は出来て当たり前。滑走路に向かう定められたルートから極力外れない事・機体を傾けすぎない事・着地地点・進入速度・姿勢・着地時の衝撃・時刻などの全厳守、そして乗客に不安を与えない事」の減点方式での規定点数以上でクリアという仕様になった。要するに「いかに安全かつ正確に着陸出来るか」という実際の旅客機と同等の内容である。

筐体解説

  • スタンダード筐体は29インチブラウン管モニター、小型液晶サブモニターによるコックピットディスプレイと表示切り替えボタン、操縦桿、ラダーペダル、スラストレバー、HELPボタン、スピークボタン、フラップのUP&DOWNボタンで構成されている。
  • リアプロジェクション50インチのデラックス筐体もある。サブモニターの仕様はスタンダード筐体と同じ。

フライト

【初級】トレーニングフライト

  • 全3ステージを固定の順序で攻略。60点以上で次のステージに進める。ある程度の操縦説明が付いた初心者向けモード。1面目でも着陸に失敗するとゲームオーバー。

【上級】エアラインフライト

  • 全6ステージを任意の順序で攻略するシナリオモード。70点以上で次のステージに進める。そのため収録されている全空港を制覇することが目的となる。風向き、風速、天候、時間帯の変化あり。
    • 店側の設定で難易度をイージーにすると60点以上でのクリアになるが、風が強いなどでトレーングフライトよりも難しくなっている。

操縦方法

  • どちらの操作方法もトレーニングフライト、エアラインフライトで使うことが出来る。

【オートマチック】

  • オートマチックモードでは、操縦桿とラダーペダル、スピークボタンだけを使う。
    • エンジン出力とフラップ操作はCPUが自動的に調整してくれるため、速度と失速の事はほとんど気にしなくても良いが、空中で姿勢をあまりに大きく崩すと失速し、滑走路への進入姿勢によっては少々のオーバースピードになる事がある。
    • 着地の瞬間の姿勢の少々の崩れには補正が入る。

【マニュアル】

  • マニュアルモードでは全てのデバイスを操作する。エンジン出力の左右調整だけではなく、特にフラップの仕組みを充分に理解していなければ必ずオーバースピードになり、適正速度に減速しようとすると今度は失速してしまい即墜落となる。着地時の補正が無いため、機体が着地の衝撃でバウンドしたり片輪走行状態になったりとクラッシュしやすくなる。良くも悪くもリアルなフライトであり少しのミスも許されない。

操縦デバイス解説

  • 操縦桿
    • その名の通り、旅客機の方向転換のために用いるデバイス。シリーズ過去作の上下に動いてたものとは異なり、実際に押し引きして機首の上下を行う仕様を採用している。
      • 過去作とは違い、操縦桿を左右に動かしただけでは機体は傾くだけで左右の移動はほとんどしない。実機同様に「曲がりたい側に機体を傾けてから操縦桿を手前に引く」という動作で、大きく左右移動が出来る事を理解しなければならない。ただし傾けすぎると減点されるので注意。
  • ラダーペダル
    • 垂直尾翼の操作を行い、水平移動による機体の微調整を行うペダルで、過去作との最大の違いである。ラダーペダルは機械的に左右連動していて、両方を同時に踏むと物理的に動かない。
      • 「ラダーペダルでの左右水平移動をメインに、操縦桿は補助的に必要最小限に動かすもの」が理解出来れば本作の攻略の第一歩目を踏み出せる。最低でもこの基本が身についていなければ、初心者コースのオートマチックモードでも2面目以降のクリアはまず不可能であろう。
  • スピークボタン
    • 操縦桿の中央に装備されている、離着陸時の航空管制官との交信時の応答、キャビンや副操縦士へ指示する際に押すボタン。タイミングは画面に表示される。簡単に言えば安全確認ボタンであり、このアクションを取れば着陸の合否判定用の点数をプラスする事が出来る。メニュー選択時は決定ボタンとして機能する。
  • スタートボタン
    • ゲーム中は視点切変ボタンとして機能する。従来比で細かく描画されたコックピットビューと、自機の後方からの視点になるビハインドビューの二つを切り替えることができる。
  • HELPボタン
    • 長方形の形をしており、右手側に配置されている。計器着陸装置によるオートパイロットを作動させ、自動的に機体の姿勢や進路を修正してくれる。墜落寸前の地表ギリギリやメチャクチャな角度、回復不能な失速からも復帰できる。ただし使用できる回数は1回のみで、ゲームオーバー時にコンティニューをしなければ回復しない。

マニュアルモードでのみ使用するデバイス

  • スラストレバー
    • 今作では左右エンジンの出力をそれぞれ調整することができる。これを利用して機体の左右への向きを変える事も出来るので、ラダーペダルと操縦桿と合わせて常に水平を保ちつつ降下する操縦をしなければならない。両方のレバーを手前に倒し切るとスポイラーを展開してエアブレーキを掛けて減速し、着陸時には停止させることが出来る。
  • フラップUP&DOWNボタン
    • 上下の矢印の記されている独立したボタン。フラップの上げ下げを行う。離陸時はもちろんフラップを下げないと墜落に直結し、着陸時にも揚力を失うのできちんとフラップを段階を経て下げよう。ちなみに下げるタイミングで上げっぱなしの場合、副操縦士からの指摘が入る。
      • 実際の大型航空機の仕組みの理解が必要な部分であり、一般的にはわかりにくい&知らない事がほとんどなのは仕方ないが、マニュアルモードで遊ぶならば本作で最も重要かつ難しい操作要素である。
  • コックピットディスプレイ
    • 操縦桿の中間部辺りに設置されている小型液晶ディスプレイ。計器類の表示に使用される。無印の場合はマニュアル操縦を選んだ時に限り、HELPボタン左の正方形のボタン押すごとに「ナビゲーションディスプレイ」「電子式集中化航空機モニター」の順に切り替えられる。
      • オートマチックモードではナビゲーションディスプレイのみ使用可能だが、フラップの角度は表示される。

ゲーム進行

  • 【1】フライトを選択する。無印の場合は初級か上級かを選択する。
  • 【2】旅客機を選択する。収録されている機種に関しては以下の「登場する旅客機」を参照のこと。
  • 【3】操縦方法を選択する。オートマチックとマニュアルの2種類。
  • 【4】最初に離陸する空港と着陸する空港を選択する。
  • 【5】離陸ステージ。離陸に失敗してもゲームオーバーにはならない。
  • 【6】最初に選んだ空港へと着陸する。以後着陸に成功しても一定点数を下回った場合は「BAD LANDING」となりゲームオーバー。
  • 【7】次に着陸する空港を選択する。「上級」の場合は全ての空港への着陸を達成すればエンディングである。
  • 採点は90点からの減点方式だが、100点満点ではなく100点を越える事が出来る。
  • 点数は次のステージに影響しない。仮に高得点でも次のステージが楽になる事は無い。
  • 空中であまりにもガイドマーカーから離れすぎる、滑走路以外への着地、オーバーラン、滑走路に着地後のコースアウト、車輪以外の地面への接触はもちろん、着陸せずにゴーアラウンドした場合は、即ゲームオーバーとなる。

飛行中から着陸までの基本

  • 「スピークボタン」は、管制塔との連絡や操縦の安全確認事項を簡略化したものである。押すべき所ですぐに押さなければ危険行為として減点される。(離陸時も含む)
  • 空中には着陸軌道を示すガイドマーカーの光球が左右にあり、滑走路の表面まで続いている。その軌道から極力外れる事なく飛行し、なおかつ乗客に不安を与えないために常に機体をなるべく水平に保ちながら着陸に挑む。
  • 「乗客のストレスメーター」というものが存在し、ガイドマーカーから大きく離れてしまったり、機体を大きく傾けたり揺らしてしまうとストレスメーターが増減する。最大になると乗客が咳払いと共に怒り減点される。乗客は何度も怒る。
  • そのため、そもそも最低でも航空機のラダーペダルの意味を理解していない人には、初心者コースのオートマチックモードでも、操縦桿の操作だけではわけがわからないまま機体が左右に大きく傾いて暴れ、そして墜落に直結する。

着陸の瞬間

  • 定められた着陸地点から前後左右にほとんどズレる事なく極力正確にど真ん中に着陸しなければ、大きく減点されてゲームオーバーの可能性がかなり高くなる。とくに左右のズレの採点がとても厳しい。
  • さらに進入速度、機首角度、着地衝撃の大きさなどの多数の減点項目が存在し、滑走路にとにかく降りられればOKというものではない。
  • 着陸したら操縦桿をしっかり押し込み続けなければ、また機体が宙に浮いてしまう。さらにマニュアルモードではスラストレバーを左右とも手前いっぱいに引き、エアブレーキを作動させなければ止まる事は出来ない。
  • シリーズ過去3作では着陸の評価はハイスコア狙い要素だけのものであったが、本作ではゲームオーバーに直結する最重要な要素となり、最も難しい所である。

登場する旅客機
今作では旅客機の選択が可能となった。

機種 操縦しやすさ
ボーイング777-281 ⚫︎5
ボーイング777-381 ⚫︎4
ボーイング767-281 ⚫︎4
ボーイング767-381 ⚫︎3
ボーイング747-481D ⚫︎2

登場する空港

  • 新千歳空港
  • 東京国際空港(羽田)
  • 関西国際空港
  • 広島空港
  • 福岡空港
  • 那覇空港

イージーVer.での追加要素

かんたんモード

  • 初級フライトをベースに更に簡単にしたモード。
    墜落やコースアウトなどでゲームオーバーにはならず、3ステージ保証でプレイ可能。
    • 操縦桿だけの操作となり、機体の動きを高速化することで操作性が簡易的なものとなっている。ラダーペダルに足が届かないお子様でもプレイが可能になった。
      また、決められたコースから大きく逸れないように常に強い進路補正が掛かり、極端に機体を傾けたりコースから逸れようとすると強制的に中心に戻される補助も適用される。
      そして画面にはコックピットディスプレイに表示される情報が補助表示される機能も搭載など、その手堅さは脱帽ものである。

ノーマルモード

  • 従来通りのモードで無印版と内容は変わらない。

超ベテランモード

  • 上級フライトをベースに更に難しくした超上級者向けモード。
    • 適正巡航ルートを表すガイドマーカーが一切非表示になり、更に操縦モードもマニュアルに固定され、HELPボタンの使用不可と、さながら本物のパイロットばりの技術が求められる。
      コックピットディスプレイの切り替え等も活用し、計器飛行を巧みにこなせばクリアへの道のりは自ずと近くなるだろう。

評価点

全日空による全面協力

  • 全日空の全面協力により、当時の塗装をまとった実在する航空機が収録されるように。型番も全日空のものとなっており、細かいところにも手が行き届いているのも良点。
  • チュートリアル的な位置付けのみならず、操縦モードの選択もできるようになり、初めて操縦するユーザーはもちろんのこと、複雑なデバイスに慣れてないユーザーに対しての配慮が行き届いており、全体的に体得しやすいデザインに。
  • 操縦する旅客機を選択して攻略できるようになったため、好きな旅客機で操縦できるのはもちろんのこと、操作の簡単な旅客機を選んで進めたり、腕に自信のあるユーザーならばいきなり難しい旅客機を選んで挑戦、と言ったプレイスタイルを提供することを可能に。
  • 細かいところの拘りも抜かりなく、ロード時間に極力ストレスを感じさせない臨場感に溢れる設定や、離陸前の無線交信、蛇行したときなどの乗客の怒りなど、実際に旅客機を操縦している感覚と責任を五感で感じ取ることができる。

イージーVer.

  • 『イージーVer.』でのモード分けは秀逸の一言。初心者に対しての手堅い補助はステージ保証もさることながら配慮が行き届いており、超上級者向けのモードで上級者は更なる高みを目指せるなど、ユーザーの棲み分けを図れている点も尚良い。それだけに稼働数の僅少なさを悔やむ限りである。

コンソール類

  • コンソール類のデバイスは「こだわって作り上げた」と豪語された『電車でGO!』にも負けないばかりか勝る逸品パーツが満載。特に操縦桿はトップランディング等であった違和感を払拭する完成度を持ちながら適度に簡略化されて遊びやすくなっている。
  • 特筆すべきはその故障率の低さ。操縦桿やスラストレバーも、本作専用に作られたモノにもかかわらず『電車でGO!』故障率からすればかなりの耐久性。トップランディングの操縦桿も定期的に締め上げないと固定されずだらんとなってしまっていたが、それを殆ど感じさせない。そして、故障したとしてもアッセンブリー(ASSY)であるため丸ごと交換できるので容易で正確と、メンテナンスに優しい設計。*1
  • しかし、サブモニターの液晶画面が経年劣化で暗くなってしまっている物が増えてきてしまい、店内が明るいとかなり見えにくい事がある。完全に故障している場合は小さい液晶モニターを見つけてきて映像変換器を駆使しても筐体内に組み込む事はなかなか難しく、やむなく外部に設置しなければならない事もある。なおサブモニターの画質調整はサービスモードには無く、出来ない。
  • ちなみに海外版での正規筐体にはサブモニターが無く板で塞がれており、計器類の情報はメイン画面に表示されるという違いがある。興味がある人は海外版のプレイ動画を探してみよう。

問題点

本当に難しい

  • ルールが完全に厳格化された。従来だと着陸さえできれば次のステージに進出することができたが、今作は着陸自体は出来て当たり前という前提の内容であり、厳しい採点で一定点数を下回った場合は「BAD LANDING」としてゲームオーバーとなってしまう。慣れないうちは蛇行ばかりを繰り返して乗客を激怒させ、体勢を崩して減点…そして墜落や機体大破という大惨事に。
  • 店側による難易度設定でイージーにしてもオートマチックモードの初心者コースですら、中堅プレイヤーが1面目で着陸失敗になる事がザラにあるという凄まじい難易度を誇る。そのあまりの難しさからの客付きの鈍さを問題視したのか早くも同年にはバージョンアップ版の『イージーVer.』が稼働開始。ライトユーザーの確保と、筐体の構造からお子様が遊べないなどの諸問題を解決して完成形となった。
  • 基本操作を一通り覚えれば、滑走路へ降りる事自体はシリーズ中でも容易なほうである。しかしギャラリー目線&自分では絶対に上手に出来たつもりでも「BAD LANDING」となったら理不尽に感じ、心が折れる事が多々ある。
  • 逆に、どう見てもこれは絶対にダメだなと思ったら意外と高得点で、次ステージに進める時もあるため、反省点がいまいちわかりにくい事もある。
  • 操縦の難易度は依然として据え置きであり、練習できるとは言え、緩慢な操作性で相変わらず厳しいことに変わりはない。ここで737-500のようなさらに小型旅客機が収録されるなどで、更に難易度を低下させる措置があればまだ良かったのだろうが…。*2
  • 過去作3シリーズでは出来た、上級者によるおふざけ飛行での魅せプレイは不可能になったが、本作は「マトモにクリアしてみせる事自体が魅せプレイ」と言っても過言ではない。*3
  • そもそも航空機のラダーペダルの役割の知識は一般人には無いのが普通なのだが、ゲーム中やデモ画面ではラダーペダルについての解説は無く、筐体の構造から存在自体が気付きにくい。*4ペダル自体もただのステンレス製の足置き板にしか見えない上に、強力なスプリングで踏み心地が重いのも気付きにくさに拍車をかけている。一見さんプレイヤーがラダーペダルを使っている様子はまず無い。
  • それ故にラダーペダルに足が届かないお子様がまともに無印板をプレイするのは不可能。
  • フラップをどのような状況でどれぐらい上下させるのかの具体的な解説はトレーニングフライトにも無い。マニュアルモードを目指すなら、まずはオートマチックモードで自動的に動いていくフラップの数値を参考にしなければならないのだが、それが表示されているサブモニターを見ている余裕は初心者にはほとんど無い。マニュアルモードで適正速度に落としつつも失速させないのは本当に難しく、着地時のオーバースピードは機体大破扱いもしくは大減点の原因である。副操縦士にフラップの事をさんざん叱られながら覚えていこう。もはやどっちが機長なのやら?
  • コンティニューするとそのステージの風向きの変化と風速が少し弱まる程度の、一段階簡単になる救済措置のみで、コンティニューを重ねるたびに色々と簡単になっていったり採点が優しくなっていく事は無い。金にものを言わせたゴリ押しクリアは不可能で完全に実力勝負。
  • ヘルプボタンが役に立つとはいえず、使い所を誤ってしまうとかえって窮地に追い込まれてしまう。着陸寸前にヘルプボタンを押してのゴリ押しコンティニューしまくりクリア作戦も一筋縄ではいかない着陸評価の厳しさ。
  • ヘルプボタンの説明も不充分であり、本来は一見さん救済用なのに使わないまま即ゲームオーバーが多発。

デラックス筐体の問題点

  • デラックス筐体だが、相変わらずセガのメガロに数段劣るプロジェクターモニターを採用し、新品でも「うっすらと膜がある様な」ぼやけ気味。スタンダード筐体のブラウン管がかえって綺麗に見える。
  • ただでさえ画質に問題を抱えているデラックス筐体のプロジェクターモニターは劣化が進むとますます見えにくくなってしまい、修理も非常に難しく、それで廃棄処分されてしまった事が多かったであろう。しかしデラックス筐体は本体とモニターが完全に別体式であり、液晶への映像変換器が豊富な現代では、台を作って大きな液晶モニターを置くか、サイズが近い液晶モニターを日曜大工でガワに組み込んで使うことも出来る。スタンダード筐体のブラウン管モニターの維持も困難になってきたため、むしろスタンダード筐体よりも今となっては維持自体は容易と言える。映像変換器による遅延はゲームの性質上、あまり操作性に影響を与えないので、デラックス筐体の廃棄処分が減ることを祈りたいものである。

総評

本作は「飛行機の体感ゲーム」としては一つの完成形と言えるだろう。

全日空協力で制作され、基板性能を活かしたグラフィックに加え、旅客機に限定されていながら操縦出来る飛行機を選択可能になるなど、シチュエーションも今まで以上に増えた作品である。

しかし比例して旅客機で難しい操縦と言われている着陸の難易度は増してしまい、ゲームクリアの妨げに発展してしまうなど、やはりどこか行き届いていない出来栄えとなったのは惜しい点である。

ランディングシリーズと、航空機とフライトシムが好きなユーザーには本作の仕様が好意的に受け入れられ、「大勢の乗客の命を預かる旅客機のパイロットという職業の凄さ」を実感できるが、大勢のライトユーザー達にとってはリピーターにはなりにくいゲームバランスであった事は否めない。

無印版は確かに難易度が高く、敷居も高いが、仕組みを理解する壁を乗り越えられれば、やり込むほどに少しづつ確実に上達出来てハマれる楽しさが待っている。だが、そこに至れたプレイヤーはお世辞にも多くはなかった。

ゲームとしてのお手軽さを追加してのライトユーザーの常時確保と、筐体の構造からお子様達を対象外にしてしまったそれら問題点は『イージーVer.』で概ね解決されることになったが、肝心の流通量が僅少ということもあり、まるでお目に掛かれないのがネック。どちらのバージョンにせよ稼働店は今となっては国内に数えるほどしか無いため、見つけたら是非プレイすべし。


余談

  • 工場出荷設定では1プレイ200円、コンティニュー100円である。
  • デモ画面ではBGMが2曲使われていて、どちらも名曲なのだが、アトラクトサウンドがOFFだと聴く事が出来ない。
  • モードと機体選択時のBGMは、前作ランディングギアの機体選択時のアレンジ。エンディングはシリーズ元祖のミッドナイトランディングのアレンジ。前々作のトップランディングの曲は使われていない。
  • シリーズで唯一、飛行中のBGMが無く効果音とボイスのみである。リアルなのはそれはそれで良い事ではあるが、そのため「ランハイといえばこの音楽!」というのが無いのは少々さみしい。
  • セガの『エアラインパイロッツ』は本作と登場時期が近い事もあり、並んで稼働している光景がよく見られた。当時のセガは業界では最先端のポリゴン技術を持っており、本作よりもはるかに美麗なグラフィックではあったがゲーム内容の方向性は別物であり、比較対象にはならず、本作の直接的なライバルとはなり得なかった。こちらは日本航空が全面協力している。
  • 日本航空協力のエアラインパイロッツと被ってしまうため、本作は全日空協力になったと推測される。ちなみにタイトーの『JETでGO!シリーズ』は日本航空が全面協力している。
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最終更新:2023年03月29日 04:02

*1 さすがにタイトーからの補修部品の在庫は尽きたので、部品取りジャンク筐体から外してきて使うしかないが、それでも壊れにくいほう。

*2 とはいえ機体の性能差は、大型機になるほど必ずしも難易度が高くなるというわけではなく、自分に合った操作感覚を選べるという要素でもある。重いぶんフラつきにくかったり、風に流されにくくなるなどの恩恵はあるので、全機体を一通り使ってみよう。

*3 上級者が美しく着陸すると簡単に見えてしまうが、実は物凄い技術なのである。オートマチックモードでも上級コースを全面ノーミスクリアしようものなら拍手をしよう。マニュアルモードでクリアできる人は日本に何人いるのか?というぐらい難しい。

*4 一応スラストレバーの上に基本操作の説明ステッカーがあるが、自然には目に入りにくい位置と角度である。