概要
相手の攻撃をガードした際に発生する操作を受け付けない時間「ガード硬直」を、
必殺技等の特殊行動でキャンセル(無効化)すること。
「ガーキャン」「GC」とも。
2D格闘ゲームでは「攻める側」が「守る側」よりも優遇されやすく、そのようなゲームバランスを是正する手段として取り入れられた。
初出作品は『シュマイザーロボ』だが、有名どころでは『
ヴァンパイア』や『
THE KING OF FIGHTERS '94』あたり。
以後、数多くの作品で名前や性質を変えながらも登場し続けている。
強力な連携からの脱出や、上級者の固めから抜け出せない初心者を救済する目的もあったが、
『KOF'95』や『
ストリートファイターZERO』のように強力すぎて待ちが主流になってしまったケースもあったり、
弱すぎても強すぎても結局バランスを崩しかねず、その扱いは難しい。
また、短いガード硬直の間に
コマンドを入力しなければならなかったり、
格闘ゲーム界全体でガードキャンセルが普及するにつれて「わざと」ガードキャンセルさせて無敵時間のある技などで潰す、
いわゆる「
ガーキャン狩り」テクニックの確立など、駆け引きの複雑化に拍車をかけ、
むしろ初心者離れの一因となってしまった感がある。
ガードキャンセル攻撃
ガード硬直中に共通のコマンドを入力し反撃するというシステム。
格闘ゲームにおけるガードキャンセルとしては現在最も一般的なスタイルと言える。
多くはコマンド成立直後に無敵時間がつく
上段判定の打撃攻撃で、
パワーゲージなど
何らかのコストを必要とするケースがほとんど。
パワーゲージなどを消費しない場合は、
コマンドが
昇竜コマンドなど即座に出せない仕様になっていることが多い。
大抵は硬直が長いため追撃できず、ガードキャンセルではトドメを刺せない仕様であることが多い。
なお、ガードキャンセル攻撃という概念は全キャラクター共通でも、
その性能はキャラクターによって異なることもありうるので
ガードキャンセル攻撃がほぼ死に技になってしまうケースもある。
ヒットさせて
反撃確定になる
DIO、
ホル・ホースのガードキャンセルなどが好例。
代表的なものをいくつか挙げると以下の通り。
ガードキャンセル必殺技
ガード硬直中に特定の必殺技をくりだして反撃するシステム。
「ガードキャンセル攻撃」の一種と言え、実質的な内容はほぼ変わらないが、
出す技の性能やコマンドの難度によって有利不利の大きな差が出る場合がある。
大半がパワーゲージなどのコストを必要としないが、
その代わり特別な性能(無敵時間etc.)が付与されなかったり、特定の必殺技しか対応していなかったり、
特定状況下でしかガードキャンセルできないなどいろいろな制約がある作品が多い。
特定状況下の一例
- KOF'94(連続5回以上ガード時)
- KOF'95(パワーMAX時)
- リアルバウト餓狼伝説シリーズ(要パワーゲージ半分以上)
また、『MELTY BLOOD』シリーズではガードキャンセル攻撃である「GCシールドバンカー」をキャンセルすることで、
ガードキャンセル攻撃のようにダッシュ・ハイジャンプ・通常技・必殺技などをくりだすテクニックある。
特別に無敵時間が付与されたりはしないが、このテクニックにより擬似的にガードキャンセル必殺技を使用できる。
通称「ガードキャンセルシールドバンカーキャンセル」。略称は「バカキャン」。
ガードキャンセル専用技
ガード硬直中のみ出せる特定の技。
専用技の具体例を挙げるとおおよそ以下の通り。
- フォボスの「リフレクトウォール」
- アナカリスの「真実の教え」
- ザベルの「デスフレーズ」
- バレッタの「ジェラシー&フェイク」
- Q-Beeの「R.M.」
- ジェダの「スプレジオ」(ヴァンパイアシリーズ)
- ダンの「サイキョー流防御」
- ユーニの「サイコシールド」
- 梅喧の「斬凶絡」「妖刺陣」「裂羅」「回り込み」「邑煉」「縛」
- B・ジェニーの「アンニュイ・マドモワゼル」(ジャストディフェンス限定・MOWのみ)
- 倉田佐祐理の「マジカル☆カッター」(当身技である『コツ掴みました』で受けた技に対してのみ使用可能)
また、中にはガードキャンセル技以外の技としても出せる技があり、
両者で微妙に技を出せる条件や性能やコストが変わる場合がある。
以下技の具体例の一例。
- チャカ、アヌビス二刀流ポルナレフ、カーンの通常技(当身技である「憶えたぞ」で受けた技に対してのみカードキャンセル可能)
- ハート様の「どこからでもどうぞ」(通常では当身技、ガードキャンセルで出すとオーラゲージ消費)
- ユダの「俺を利用したのか~!!」」(通常では当身技、ガードキャンセルでも使用可能)
ガードキャンセル緊急回避
ガード硬直を解いて無敵時間の長い移動技を発動するシステム。
ちなみにこの名称は『THE KING OF FIGHTERS』シリーズでのもの。
『SVC』や『
バトルコロシアム』の「GC(フロント)ステップ」もほぼ同様のもの。
直接的な反撃方法ではないものの、ガードから一気に間合いを狭めたり、その逆に間合いを離して仕切りなおしたり、
技後の隙が大きい技に使って反撃したりと
その後の状況が有利になるように使うケースが多い。
また、
なども性質的にはこれに近い。
ガードキャンセル攻撃と同じく多くは何らかのコストを必要とするが、攻撃しない分コストは低め。
特殊ガードキャンセル
通常のガードと異なる、特殊ガード成立時の硬直をキャンセルする事が出来るシステム。
特殊ガード成立の条件が通常のガードより難しい分、ガードの硬直をキャンセルできる動作は多めであることが多い。
あくまで「ガード」の部類(上位ガード)であり、当て身投げの類とは異なる。
特殊ガードの具体例の一例。
また、これらと似た性質の特殊技として、相手の攻撃を受けて成立すると、攻撃を防ぐと共に相手を一定時間完全に硬直させ、
ガードキャンセルは行わないものの、実質的にガード硬直を無い物として扱うことが出来るシステムもある。
こちらの方は当て身投げと似た性質であり、言うなれば先行入力型反撃システムである。
システムの具体例の一例。
喰らい中にも使用可能なガードキャンセル
ガード中だけでなく、攻撃を喰らっている最中にも発動可能な技。
ガード中以外に使用した場合は、言わば「喰らいキャンセル」と言えるかもしれない。
「喰らい抜け」と呼ばれることもあり、長いコンボや連続技でダメージを奪う状況において力を発揮する。
逆に、一撃が重い場合はあまり意味を成さない。
有名どころでは
- 青サイクバースト(GUILTY GEAR XX)
- 怒り爆発(サムライスピリッツ天草降臨~、ただし自キャラ強化システムの副次効果)
- セービングシフト(KOF XI)
- アルカナフォース(アルカナハート)
- サーキットスパーク(MELTY BLOOD)
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それぞれの原作における発動条件・長所・短所の簡単な解説 |
発動条件
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専用ゲージが満タンの時のみ使用可能 |
長所
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専用ゲージ使うのでパワーゲージを消費しない |
ニュートラルの状態でも金サイクバーストとして発動可能 |
発動時に攻撃判定が出る |
攻撃判定はダメージ0だが相手を吹き飛ばす |
相手に攻撃判定がヒットすると専用ゲージが3分の1回復する |
発動時は打撃に対して全身無敵 |
専用ゲージが満タンの状態で一ラウンド目が始まる |
短所
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攻撃判定はガード可能でガードされると反確 |
相手が覚醒必殺を使っている時と投げられた時は使用不能。 |
発動時も投げられ判定が残る |
専用ゲージは時間の経過か被ダメージでしか回復しない |
発動条件
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基本的にいつでも発動可能だが、1対戦中に一度のみ(1ラウンドに1回ではない) |
発動後、ゲージが時間と共に徐々に減っていく |
長所
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発動時に攻撃判定が出る |
攻撃判定はダメージ0だが相手を吹き飛ばしガード不能 |
発動時は全身無敵 |
発動後一定時間、攻撃力が大幅に上昇する |
発動後一定時間、タイムカウントがストップする |
発動後一定時間、武器飛ばし技(超必殺技)が使用可能になる |
発動後一定時間、「連ね斬り」と「一閃」が使用可能になる(天、天スピ) |
発動時の攻撃判定は相手の「無の境地」の影響を受けない(零、零SP、零スピ) |
どんな状態でも持続時間が一定(零、零SP、零スピ) |
「絶命奥義」の発動条件のひとつ(零SP) |
短所
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地上・武器持ち状態でしか使えない |
発動時点で怒りゲージが消滅する(ラウンドをまたいでも復活することはない) |
残り体力が多いときに使っても持続時間が短い(天、天スピ) |
「無の境地」と二者択一(零、零SP、零スピ) |
その他 |
背景演出が変化する「極限空間」の発生条件のひとつ |
発動条件
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スキルゲージを2本(MAX)消費 |
ガード硬直中に発動すると「GCシフト」となり、スキルゲージ消費は1本 |
長所
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パワーゲージを消費しない |
発動時は全身無敵 |
即座に待機しているメンバーに交代することができる |
交代したキャラがダメージ0だがガード不能、相手を吹き飛ばす攻撃を繰り出す |
交代攻撃から追撃が狙える |
短所
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発動時点でスキルゲージが空になるため攻撃に回せない |
地上仰け反り時しか発動できない |
(リーダー)超必殺技とロック技を喰らっている時は発動不能 |
生き残っているメンバーが一人のときは使用できない |
スキルゲージは時間の経過でしか回復しない |
発動条件
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パワーゲージを使用して発動 |
使用後、ゲージが時間と共に徐々に減っていく |
長所
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発動はゲージの残量に依存しない |
発動後、ゲージが残っている時はアルカナブレイズが使用可能 |
発動後、ゲージが残っている時はアルカナごとの特殊効果が発動する。 |
発動時は全身無敵 |
短所
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発動時に攻撃判定は出ず、相手を吹き飛ばすことが出来ない |
一ラウンドに一回のみしか発動出来ない |
発動条件
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MAX状態の時のみ、パワーゲージを使用して発動可能 |
長所
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発動時に攻撃判定が出る |
攻撃判定はダメージ0だが相手を吹き飛ばし受け身不可でガード不能 |
発動時は全身無敵 |
短所
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地上でしか使えない |
発動時点でゲージは0になる |
MAX状態は一定時間で終了し、その後ゲージは200%に戻るため、使用出来る期間が短い |
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MUGENでのガードキャンセル
MUGENでは、ガードキャンセルであればガード用ステート(150~155番ステート)から、
くらい抜けであれば5000番台のコモンステートで定義されたくらいステートから
条件を満たすことでガードキャンセル行動用のステートに移動することで再現されている。
以下、製作者向け用途別ガーキャンの設定方法
予備知識として、
150、152、154番ステート:ヒットストップに相当
151、153、155番ステート:ノックバックに相当
このため、ガーキャンのトリガーを単純にstateno=[150,153]やstateno=[150,155]などとすると、
ノックバック中はいつでもガーキャンが発動可能になる。
また、150、152、154番ステートに入った(常時監視ステートでtime=0が成立する)フレームでガーキャンを発動させると、
MUGENの処理の関係上削りダメージが無効化されてしまう。
猶予が0Fである上タイミングが前にずれると別の行動が漏れるリスクがあるため
プレイヤー操作ならばそれほど問題にはならないが、
AIはこのフレームにガーキャンを発動させることが少なくないので注意。
ちなみに喰らいキャンセルでも同様に、5000、5010、5020番ステートの
time=0で発動させたときにダメージが無効化される。
誤解されがちではあるが、ignorehitpauseで制御可能なのは攻撃側のヒットストップだけで、
攻撃を受ける側のヒットストップには全く関係がない。そのため、ガーキャンの制御にignorehitpauseは使えない。
ヒットストップ中に入力を受け付け、ヒットストップが終わった直後にガーキャンを発動させたい場合
このタイプのガーキャンを再現するには変数がひとつ必要になる。
1.150、152、154番ステートにいるときに、ガーキャン用のコマンドが入力された時点で変数に数字を入れる。
2.151、153、155番ステートに入ったフレームで変数をトリガーにしてchangestateを実行。
hitvelsetが実行されてしまうと1Fぶんノックバックしてしまうので、
changestateコントローラは常時監視ステートに置くよりも
151、153、155番ステートにあるhitvelsetの直上に置いた方が安定する。
キャラクターによってはガーキャン用のステートに移る前に
151、153、155番ステートで内部処理を行っていることがあるので、
常時監視ステートを使ったり、hitshakeoverで150、152、154番から直接
ガーキャン用のステートに飛ばすのはやめた方が無難。
同様の理由で、hitvelset以外に150、152、154番ステートの
timee=0で実行されている処理があればガーキャンへのchangestateの上に移しておく。
3.ガードステート(150~155番ステート)にいないときは常時監視ステート(-2が安定)で
ガーキャン入力用の変数を初期値に戻しておく。
ヒットストップを無視して発動させたい場合
ヒットストップ中のみ発動させたい場合は150、152、154番ステート、
ノックバック中にも発動させたいときは150~155番ステートにいることを条件に、
こちらは150、152、154番ステートのtime=0でガーキャンが発動して削りダメージが無効化される可能性があるので、
それを避けたければそれぞれのステートにtime>0などをトリガーに加えておく必要がある。
なお、151、153、155番ステートの方にはtime>0は不要。
ガーキャンには人目でそれとわかるように大きなモーションが当てられていることが多いが、
硬直が長すぎたり発生が遅すぎたりすると
死に技になってしまうため、
pause処理により動作の前半部を時間停止中に行うようになっていることがある。
しかしpause処理中は実質的に無敵状態であると同時に相手は行動を取れないので、
pause処理中に攻撃判定が出てしまうと、発生0Fで発生保障つき、
それらに加えてタッグで巻き込んだ際にガー不になるというかなり強力なガーキャン攻撃になる。
またpause処理中に動作が完了するガードキャンセル緊急回避の場合は
小技や飛び道具に対して作動させても絶対に不利にならなかったり、
ガーキャン緊急回避から最速で出した技が確定するなんてこともありうる。
また、150、152、154番ステートでガーキャンを発動できるようにした場合、
しばしば相手側のヒットストップが解除される前にガーキャンが発動させることが可能になる。
攻撃側はヒットストップ中は行動不能なので、こちらも実質的な発生が0Fになったり、
ガーキャン緊急回避からの攻撃が確定しやすくなったりする。
pauseに比べれば、攻撃側本体にヒットストップがかからない攻撃(飛び道具など)やタッグ戦では有利になりにくいものの、
一対一の殴り合いにおいてはpause処理による時間停止とほぼ同等の性能になる。
こうしたガーキャンに対して、攻撃側がガーキャン狩り行動を行うのは難しい。
nothitbyやhitbyによる無敵もさることながら、
pauseやヒットストップ中に発動することによる有利フレームのせいで、
ガーキャンが意図しない強さになってしまうことがあるので注意が必要。