円谷プロの特撮作品『
ウルトラQ』に登場する
怪獣。別名「火星怪獣」。
第3話「宇宙からの贈りもの」に登場。その名前の通り、ナメクジのような外見が特徴。
半年前に地表撮影を目的として打ち上げられて
火星へ到達した後に消息を絶ち、
失敗に終わったと思われていたものの突然何者かによって地球に送り返された火星探査ロケットに、
秘かに搭載されていた2個の卵から孵った生命体。
その正体は、火星に生息する軟体生物である。
長く飛び出した両目から発射する生物を硬直死させる怪光線(資料によっては10万度の「ナメゴン液」や溶解液)が武器。
また、見た目に反して足場の悪い岩場でもかなりの速度で移動可能で、
「ウルトラマンオフィシャルデータファイル」によれば、最高速度は時速60㎞に達するらしい。
弱点は塩分。
卵は宇宙開発局の金庫に保管されたが、金塊と誤解したギャングに奪われ、
そのうち1個はセスナ機で逃亡したギャングが向かった離島・大蔵島の洞窟内の温泉熱で孵化し、
怪光線でギャングを殺害し、ギャングの後を追ってきた万城目らにも襲い掛かった。
ギャングの銃で応戦する万城目
*1を追い詰めるが、
深追いし過ぎた結果誤って崖から身を乗り出し、バランスを崩した末に海に落ちて一瞬で溶解してしまった。
(なお、万城目は崖にへばりついて辛くも無事だった)。
もう1個の卵は万城目とギャングの格闘中に落ちた際、状況を知らない一平に拾われて、
ネックレスとして由利子に与えられてしまう。
1体目のナメゴンの事件が解決した後、一ノ谷博士の邸宅で由利子がコーヒーを作っていた時、
コーヒーを温めていたアルコールランプの火に反応して巨大化し、
万城目に投げ捨てられた邸宅の庭で孵化した所で同エピソードは終了する。
一応、ラストシーンで一ノ谷博士が助手に塩水を用意するように言いつけている他、ナレーションでも、
「無限にある海水がこのドラマを締め括ってくれるに違いない」と事態の終結が示唆されており、書籍によれば実際に海水で駆除された模様。
何故こんな怪獣を探査ロケットが持ち帰ったのかについては、
一ノ谷博士は「火星人が地球人のやみくもな宇宙開発に対する警告としてナメゴンを送り込んだ」と推測しており、
ラストのナレーションでは「次は海水を飲んでますます巨大化・凶暴化するナメゴンが送られてくるに違いない」と語られている。
しかし、世界観を同じくする『
ウルトラマンメビウス』では火星の
テラフォーミング(地球化)が進んでいるのに対し、
火星人が実在した(
地球人と争うなり
共存するなり)という描写が全く無かったため、
整合性を取るならば火星に前線基地を構えていた他所の宇宙人が実行した可能性も考えられる。
それとも火星人は実在したが「ハロー宇宙人」みたいに「野蛮な地球人」を恐れて遭遇前に太陽系外に逃げ出したとか?
あるいは『Q』を始めウルトラシリーズはオムニバス色が強いので、単に円谷の人がそこまで考えてないだけかもしれないが
(余談だが、『Q』の没脚本には火星の地質調査団が火星から持ち帰った植物が騒動を起こす「火星のバラ」という話もあった)
一方で『メビウス』本編より5年前の話として、ナメゴンが火星の開拓民を襲撃して、
バン・ヒロト(
メビウスの人間体であるヒビノ・ミライのモデル)の母親の命を奪った事が語られている。
移動ギミックは東宝映画『
モスラ対
ゴジラ』『三大怪獣 地球最大の決戦』などで使用された幼虫モスラのものが流用されている。
「宇宙からの贈りもの」はTBSでの検討用素材としても用いられ、
この回が好評であったため作品全体が怪獣路線になったという逸話があり、
ウルトラシリーズの中でも由緒正しき重要な怪獣の1匹で人気も高いのだが、
怪獣プロレスに向かないその体型のためか、映像作品でウルトラ戦士と戦ったことは無い。
外見のためか、
ゴーガとはセットで扱われることが多い。
大伴昌司氏の著作『ウルトラ怪獣入門』掲載の「ウルトラ怪獣名勝負」ではゴーガ及び
ガイロスとの対戦が描かれており、
ガイロスがまず脱落したところで、ゴーガの殻を溶解光線で溶かして致命傷を与え、逆にゴーガの溶解液はナメゴンに通用せず、
最終的にナメゴンが勝ち抜くという展開となっている。
『
ウルトラマンZ』では本編前に
セブンガーが最初に戦った相手という設定があり、
本編中にも当時の新聞記事が登場、この戦いが防衛チーム・ストレイジ結成のきっかけになった旨が語られている。
このナメゴンとの戦闘は外伝漫画『戦え!セブンガー』にて詳細に描写されており、
火星探査機「ほしかわ」に付着していた宝石状の物質が輸送中に孵化した事でナメゴンの卵であったと発覚、
日米の防衛軍が対処するもほぼ壊滅し、ニ週間以上日本中で暴れ回るという脅威の大怪獣として人々を脅かした。
どうやら『ウルトラマンZ』は『
ウルトラQ』の後の時間軸にあたる作品という事もあってか、
前述のナレーションで危惧されていた通り今回の個体には塩水が効かず、逆に海風を浴びて巨大化した模様。
これに対して特殊空挺機構開発実験団は、試験中であった試作特空機7号セブンガーの投入を決定。
対怪光線仕様として増加装甲を装備し、テストパイロットのヘビクラ・ショウタが搭乗して出撃したセブンガーは、
その増加装甲を全損させながらもナメゴンに接敵、関東圏内最大の発電量4500万KWの電力供給を受けて、
「超高圧電流鉄拳」を繰り出すことでナメゴンを蒸発させ、史上初めて30m級怪獣の撃破に成功した。
この戦闘をきっかけに対怪獣特殊空挺機甲隊ストレイジが結成され、また戦闘の報道を目撃した登場人物が参加を決意するため、
世界観および物語上、極めて重要な役割を担った怪獣となっている。
MUGENにおけるナメゴン
カーベィ氏の製作したキャラが公開中。
ふりかけ氏製作の
スプライトを用いて作られている。
動きは緩慢だが、遠近共に技がそろっており攻撃範囲は優秀。
資料によって解釈が分かれている目から放つ
飛び道具は、
「硬直光線」と「ナメゴン液」が使い分けできるという設定で作られている。
超必殺技はいずれも1ゲージ消費で「必殺硬直光線」「突撃」
自立稼働するHP400のナメゴンを画面上に一体まで
召喚する「宇宙からの贈り物」の3つ。
AIもデフォルトで搭載されている。
出場大会
*1
本作の主人公である万城目は本業がセスナ機のパイロットで副業がアマチュア小説家の民間人。
……と表向きはされているのだが、上記の通り
拳銃の扱いがなぜか達人級であり、
更にはギャングやテロリストと互角以上に渡り合えたり、自衛隊に謎のコネがあったり、
どうにもその経歴に謎が多い人物である。
まぁ月光仮面を始めとして
当時の創作作品では良くある設定だったりするが。
最終更新:2025年02月03日 15:32