「風雲拳────
それは実戦空手道と
ブーメランをくみあわせた
まったくあたらしい格闘技・・・」
風雲黙示録シリーズ一覧
風雲黙示録 格闘創世
ネオジオ全盛期の1995年4月にSNKからリリースされたMVS/NEOGEO用対戦武器格闘ゲーム。風雲シリーズ1作目。
海外タイトルは『SAVAGE REIGN』だが、タイトルバックに大きく
「風雲」と書かれている(⇒
画像
)。
ROM容量は190Mbit(1Mbitは1MBの8分の1の単位で、8Mbit=1MBとなる)。
2007年6月には本作と続編『風雲スーパータッグバトル』を組み合わせた
まったく新しいPS2用ソフト『風雲スーパーコンボ』が発売された。
概要
時は21世紀前半、舞台は“ジパングシティー”。
そこでは、世界中のあらゆる人種や文化が混じり合い、一風変わった世界を築いていた。
そのためか、この街では、20世紀には想像もつかなかった、
まったく新しいスタイルの格闘技が、次々と生み出されていったのである。
そんなある日、謎の男が、TV中継で突然声明を発表した。
「我が名は獅子王。地上最強の名を冠する闘士なり。もし、自分こそが最強だと言う者があれば、我が主催の“獣神武闘会”に集え!
見事勝ち残った者には、我と闘う権利を与えよう。
もし万が一、我を倒した者には、永遠の富と英雄の称号が与えられるであろう。」
そして、この言葉に刺激されるかのように、各地から続々と格闘家たちが集結した。
名誉のため、復讐のため、あるいは愛する者のため・・・
それぞれの思いを胸に、今、闘いの幕が開く!!
今作の最大の特徴は、全キャラクターが素手の格闘技と武器を組み合わせた
まったく新しい格闘スタイルを使う設定にある。
実際は格闘技じゃなかったり、それ以前に武器ですらなかったりするが、どこもおかしくはないし、
投げた武器はブーメランだろうが斧だろうが当たろうが当たるまいが構わず手元に戻ってくるという、
武器そのものが
まったく新しい未来志向の武器だと気付けば、ブーメランの優位性が皆無な事など些細な問題である
(そもそも本来の(戦闘や狩猟に使う)ブーメランは威力や飛距離を増す為にあの形をしているのであって、投げた後に戻ってなど来ない。
常識的に考えれば取り損なって自分に当たる危険があるし、(本作ではタイマン勝負だが)周りの味方も危ない。
投げた後に戻ってくるのはあくまでも「遊戯用のブーメラン」である。と言うか敵にぶつかればその場に落ちるだろう、
ゴムボールじゃあるまいし)。
また、『
龍虎の拳』にあった
女性キャラクターの
脱衣KOを発展させ、
男性キャラクター
のみが脱ぐという
まったく新しい脱衣KOシステムを採用している。
時代を先取りしすぎというかなんというか…
ゲームシステムには『
餓狼伝説』に似た2
ライン制を取っている。
これは流石にまったく新しくない・・・と思いきや、奥側のラインは必ずしも通常の足場とは限らず、
高い台だったり、途中で途切れていたり、天井のパイプにぶら下がったり(専用モーションがある)、
遊園地の稼動中のジェットコースターだったりと、
ステージとラインを組み合わせたまったく新しい2ライン制になっている。
+
|
好意的に解釈すると |
一見するとこれは奇をてらっただけに見えるが、『餓狼伝説』シリーズを初めて見た人間が感じる、
「何故みんな実際に地面に引いてあるワケでもないラインとやらを遵守して戦っているのか」
という不自然さを、実際に地形を特殊なものにしてしまう事で解消するという効果はあった。
…ただ、そんな場所で戦うのもそれはそれで不自然だし、パイプに両手でぶら下がって戦う姿が、
お世辞にもカッコ良いものではなかった事などは問題だったろう。
|
また、対戦中は相手との距離に応じて画面が拡大縮小し、最大ズーム時は当時の2D格闘ゲームでは恐らく最大であろうサイズになる。
大きなキャラクターのインパクトは、キャラクターの小さい『
KOF』シリーズとは一線を画すものであった。
なおCPUはアルゴリズムに優れ、飛び道具やライン移動などのシステムを的確に使いこなしてくるため、
この時代の格闘ゲームの例に漏れずCPU戦の難易度が高い。
色々と
まったく新しい試みをしすぎたため……というか一般のゲーマーは、
「気味の悪い薄ら笑いを浮かべるモヒカン仮面親父を背景に暑苦しい赤胴ブーメラン男がうおおおぉぉぉぉーーーっ!!!」
などという
新しすぎるOPデモを一目見た時点で当然のように敬遠し、
一部の好事家の間でもゲーム性はフォローのしようがないのでネタとして愛好されるのみであり、
SNK開発の格闘ゲームの中では黒歴史同然の扱いを受け、そのまま埋もれていくはずだったのだが……。
原色を多用したケバい作りが良かったのか、
何故かアジア圏でヒットしてしまった。
この奇跡の大逆転により続編『風雲スーパータッグバトル』までリリースされる事になった。
起きないのが奇跡というのなら、この結果は必然っ……!
余談だが、全キャラクターの身長がやたらと高く設定されており、
11人中で身長200cm以上が4人、190cm台が3人で185cmの
ショー・疾風が上から8番目(女・子供・老人除くと最小)という、
まったく新しい巨体格闘ゲームだったりもする。
キャラクター
「獣神武闘会」の謎の主催者であるはずの獅子王が普通に使用キャラクターに入っているが
実は最終ボスの影武者という設定を知らない初見プレイヤーには
まったく新しいキャラ選択画面と言っても過言ではない。
なお、謎の老仙人チュンの被る帽子はかつて「
伝説の狼」と呼ばれた格闘家から譲り受けたという設定がある。…が、色は何故か青い。
尤も、「大切なもの:テリーからもらった帽子」という
ロック・ハワード所有の帽子(『
RB餓狼』のEDで被っている)も青色なので、
テリー本人の被っていた帽子を渡されたのではなく、
テリーに買ってもらったという意味なのかもしれないが。
- CPU専用キャラクター(隠しコマンドで対戦のみ使用可能)
真・獅子王(最終ボス) : ボクシングと剣術を組み合わせた
「獅子王道」の唯一の使い手
システム
操作系はNEOGEO筐体に合わせたレバー+4ボタン。A=パンチ、B=キック、C=武器攻撃、D=ライン移動。
各攻撃の強さは「ボタンを押す長さ」で変化する。
ステージが2ライン制のため、ライン移動攻撃がある。
ダッシュに通常ダッシュと移動距離の長い超ダッシュの2種類がある。
攻撃を受けた時、仰け反りモーションの最後の1フレーム以外全部無敵という『
ファイトフィーバー』のようなシステムがあるため、
繋がりそうなコンボが繋がらなかったり、弱攻撃の連打が時々外れたりと連続技にやや癖がある。
パワーゲージ等は無く、超必殺技(逆転技)の条件は体力ゲージの減少のみである。
- 超ダッシュ 「↙→→ or ↘←←」
- ラインアタック 「AB or D」
- 反対側のラインに向かってライン移動しながら攻撃する。『餓狼伝説』でお馴染みの特殊攻撃。
- 大ジャンプラインアタック 「↓↑+AB or D」
- 真上(画面外)にジャンプして、反対側のライン上空から降りてくる。
- ステップインアタック 「↙ or ↘ +AB or D」
- スーパーラインアタック 「→←↙↓+AB or D」
- 判定、スピード、威力が強いライン攻撃。体が発光する。
- 避け攻撃 「ガード中に→+A」
- 殴り返し 「掴まれた時AorB連打」
- 投げ抜けの一種で、投げを無効化して反撃する。相手に投げられる時、掴まれたタイミングで使用。
しかし成功率30%。
- 投げ返し 「掴まれた時C連打」
- 投げ抜けの一種で、投げを無効化して投げ返す。相手に投げられる時、掴まれたタイミングで使用。
これも成功率30%で、投げ返しの投げ返しも可能。その場合、1回ごとに成功率が6%減少していく。
- 武器投げ 「(弱)B+C ・(強) A+B+C」
- 手にした武器を投げる。投げられた武器は武器攻撃で跳ね返す事ができる。
- 逆転技(超必殺技)
- 体力ゲージが大幅に減ってピンク色に点滅している時のみ使用可能な超必殺技。何度でも使用できる。
風雲スーパータッグバトル
1996年9月にSNKからリリースされた全く新しいNEOGEO用対戦武器格闘ゲーム。シリーズ2作目。
海外タイトルは『Kizuna Encounter: Super Tag Battle』。
ROM容量は242Mbit。
STBの概要
先述の通り前作が何故かアジア圏でヒットしてしまったために作られた『風雲黙示録』の続編。
タイトル通り1チーム2人の交代制タッグバトルになっている。
今回は「裏・獣神武闘会」のせいなのか、全体的に画面が青系統の暗く落ち着いた配色となり、
前作とはまったく異なる雰囲気を作り上げている。
タッグのシステムは、
- 対戦中のキャラクターの体力がゼロになった時点で試合が決着する
- 交代は任意だが交代可能エリアでなければならない
といったプロレスのタッグマッチに類似したものとなっている。
使用可能なキャラクターは前作からキャロルとニコラが削除され、新たにロサとキム・スイルの2人が追加された。
ゲームシステムではまずライン制が廃止。そして前作の「ボタンを押す長さで通常技の弱・強が変わる」部分が、
「弱・強攻撃の変化はレバーニュートラルとレバー入れで区別される」に変更され、これにより操作感が大きく変化した。
また通常技が威力順に繋がるラッシングコンビネーションは空中でも使え、
必殺技でキャンセルできるため豊富なレバー入れ攻撃と絡めて攻め手は多い。
CPU戦の難易度は前作より下がっているが、ボスの真獅子王および邪頭はまともに戦うとそれまでが単なる練習に思えるくらい強い。
一応、両者とも「画面端でひたすらバックジャンプ空中ガード、相手の空中攻撃をガード後に反撃」というパターンがある。
全体に妙に力の入った作りで、攻撃避け、回り込み、立ち下段攻撃など、
SNKの格闘システムの良質な部分を上手く咀嚼したバランスの良い作品なのだが、
同時期にSNKだけでも『
KOF'96』と『
サムライスピリッツ 天草降臨』というビッグタイトルをリリースしており、
本作を入荷したゲームセンターは目に見えて少なかった。
なお、前作で不評だった
まったく新しい脱衣KOシステムが改善され、新女性キャラクター・ロサにも対応。
紳士諸君も満足
ロサは通常脱衣KOに加えて限定条件でさらに過激に破けるようになっている
(※残りタイム19以下、ロサのパートナーの体力が4分の1以下でロサをKOする)。
STBのキャラクター
- ボスキャラクター(隠しコマンドで使用可能。詳細は下記)
邪頭は『
KOF XI』にエクストラキャラクターとして登場した。
STBのシステム
操作系はNEOGEO筐体に合わせたレバー+4ボタン。A=パンチ、B=キック、C=武器攻撃、D=交代。
通常攻撃はレバーを入れる事で強攻撃に変化する。それは立ち・しゃがみ・空中全てに適用される。
交代は、専用のタッグエリアにいる場合のみ控えのキャラクターと交代できる。
パワーゲージは存在せず、超必殺技(逆転技)の使用条件は体力ゲージの減少のみである。
所謂攻撃避け。ただし単発攻撃しか避けられない程度の短さ。
相手の後方に回り込む。移動距離は長く、投げ以外に無敵だが終了後に隙がある。
相手を小馬鹿にする。特に効果は無い。
パートナーが仲良しタッグキャラの場合のみ控えキャラクターの体力回復量が少しだけ増加する(後述)。
下段攻撃をスカせる(一部キャラは無理)。
- 下段攻撃 「立ち状態で↘+A」
- ラッシングコンビネーション
所謂チェーンコンボ。弱>弱>強>強>武器>武器強攻撃と繋がる(P・Kはどちらが先でも良い)。
空中でも使用可能で必殺技でキャンセル可能。
コマンドは全キャラ共通で、それぞれ特定の必殺技で反撃する。威力は低いが出が早い。
1発につき1000点入るのでスコアアタックの際には必須。
飛天昇王脚が全キャラ最大の4HITし、イーグルとのボーナスバトルがあるハヤテが理論上最高得点を出せる。
黄色の体力ゲージが無くなり赤ゲージ点滅状態になったら使用可能。点滅中は何度でも使用できる。
この頃のSNK格闘ゲームでは珍しい全キャラ共通コマンド。
- サプライズアタック 「タッグエリア内で←↓↙+A」
自分のキャラクターの体力ゲージが赤く点滅している時、タッグエリア(交代エリア)内で使用可能。
相手に向かって突進し、ヒットするとタッグパートナーと乱舞系の協力攻撃をする。
- エマージェンシータッチ 「タッグエリア内で←↓↙+D」
自分のキャラクターの体力ゲージが赤く点滅している時、かつ敵の体力が黄色(半分以上)の時に使用可能。
パートナーが敵に直接攻撃しつつ交代できる。
投げに対して受け身を取りダメージを大幅に軽減する。
タイミングは「投げられた時」ではなく「掴まれた時」である。
吹っ飛び中にダウン復帰し、そのままダッシュモーションで移動する。無敵時間等はない。
弱攻撃で相手の体力ゲージをゼロにした場合、KOではなく気絶する。好きな技で決めろ!
対戦形式
1人のプレイヤーが1チーム2人を操作する通常モード。対戦自体は1対1形式で、交代制のタッグバトルである。
プロレスのタッグマッチと同じく対戦中のキャラクターの体力がゼロになった時点で試合の決着が付く。
交代は任意に行えるが、画面中央付近のタッグ可能エリアでしか行えないという制限がある。
また、控えに回ったキャラクターは体力が徐々に回復する。
2人のプレイヤーが1チームの1人ずつを操作し、最大4人まで対戦プレイできる協力プレイモード。
と言ってもキャラクターが同時に2人ずつ出て戦うのではなく、あくまで通常プレイと同じ交代制である。
チームの片方が負ければ勝敗が決まるのも同じため、プレイヤー同士の精神的な絆が試される。
仲良しタッグ
仲が良いとされる相手とタッグを組む事。
特典として挑発時に控えのキャラクターの体力回復量は少しだけ増加する。
一部のキャラクターにしか設定されていないので大して意味は無い。
ボーナスバトル
特定のタッグでノーコンティニュークリアした時、最後にパートナーと1対1で戦える。
どちらのキャラを使うかは任意で選択可能。
裏技
キャラセレでメズウ→キム→ロサ→牛頭→逆時計回りに一周させてゴズウでDボタン。邪頭の声が聞こえたら成功。
そこからゴズウで↑を入れれば邪頭が、影獅子王で↑を入れれは真・獅子王が使用可能。
なお、真・獅子王と邪頭は単独でしか選べず、タッグ関連のシステムが一切使えない。
MUGENにおける風雲シリーズ
全キャラクターが製作されているが、『黙示録』の数多い珍システムは殆ど再現されていない。
Fervicante氏作のイーグルやキャロルなどにはAIも搭載されており、また、そのままのグラフィックだと巨大すぎるため、ある程度縮小されている。
ハヤテ、邪頭、獅子王は『風雲』シリーズの他に『KOF』や『NBC』ベースのキャラも存在し、AIパッチも存在するため出番はそこそこ多い。
「○○と××を組み合わせた、まったく新しい△△」というフレーズだけは流行している気がする。
最終更新:2023年09月07日 20:01