シャーロット・カタクリ


「──話はこうだった
   「ビッグ・マムから届いた物は何だったと思う!?」「入院中だった父の首だよ!!」
   「おれは今日復讐しに来たんだ!!!」「門を開けろ!!」『ドン ドン!!』
 ──と発砲
 お前の部下は2人“撃たれた”……!!
 そうなる前に、おれがジェリービーンズを投げた事は間違いか? 「ルーク」ベッジ
 おれの判断だとママに報告しろ
 お前はこう言う……「わかった……ならいい」」

『週刊少年ジャンプ』連載の尾田栄一郎作の漫画『ONE PIECE』の登場人物。
担当声優は同じジャンプで連載されていた『銀魂』の坂田銀時でお馴染みの 杉田智和 氏。

四皇「ビッグ・マム」ことシャーロット・リンリンの次男にして、ビッグ・マム海賊団の最高幹部「スイート3将星」の中で最強を誇る実力者。
ビッグ・マム海賊団の拠点である「万国(トットランド)」ではコムギ島(ハクリキタウン)の粉大臣も務めている。
三男ダイフク、四男オーブンとはあまり似ていないものの三つ子である。
その懸賞金は10億5700万ベリーと非常に高く、ビッグ・マム海賊団では船長のビッグマムに次ぐ額を誇る*1

冷静沈着な態度を崩さず、家族や部下達からも人格・実力共に「全てが完璧な超人」と称され信頼されている。
生まれてすぐに立ち上がり、一度も背中を地面につけた事が無いという逸話を持っており、
加えて、何十年もの間海賊として活動している中で一度たりとも敗北した事が無い「無敗伝説」を持つ。
実力もさる事ながら有事においてもよほどの緊急事態でない限り取り乱す事は無く、平静に周囲を纏めながら指揮を執る豪胆さを持つ。
それでいて格下の相手と対峙しても油断や慢心を一切持たない慎重さも併せ持っており、
万国編後半ではビッグ・マムに追われていたルフィ達が逃げ切る場合も想定して自らサニー号に先回りし一味を追い詰めた他、
海賊としてキャリアの劣るルフィを「将来的にビッグ・マムを脅かすほど強くなる」(意訳)と海賊団の中で真っ先に見抜き、率先して始末しようとしていた。
次男坊故か基本的に弟や妹への面倒見が良く、上記の完璧超人のイメージを差し引いても「優しく頼れる兄貴分」といった人物像をしている。

+ 以下ネタバレ注意
  

「見たな……!!! おれの食事シーンを……!!!」

実は一度も背中を地面につけた事が無いというのは誤りで、
毎日15時のおやつの時間(メリエンダ)になると密かに能力で作った社の内部に篭り、
寝転がりながら大好物のドーナツを貪るという習慣を持っている。
これを家族にも見せないのは、家族達の期待や羨望を裏切りたくないというカタクリの配慮に加え、
普段隠しているフクロウナギのように牙が生えて裂けたような口元を家族にも見せたくなかったためである。
見た目おばあちゃんな妹のブリュレもこのことは知らなかったらしい。
なお、「おやつの時間」を過ごさずにいたり、コンプレックスである口元を見られると、
普段の言動からは想像もつかないほど短気かつ攻撃的になる
(作中では付け合わせの紅茶を冷ましてしまった事を平謝りされ、それに「アイスティーで構わない」と寛大に許していたものの、
 彼の本当の姿を見てしまった部下達の「口が裂けても絶対に言わない」という発言が「誰の口が裂けているって?」と火に油を注ぐ結果となり
 そのまま口封じ(命的な意味で)されてしまった)。
食い意地も地雷に関する短気さもビッグ・マムの息子である事を考えれば妙に納得だが。
作中ではルフィとの戦闘が長引いたために「おやつの時間」を意識しすぎて平静さを欠いたり覇気が乱れる描写があった。

なお牙はともかく裂けているのは先天的なものではなく、彼の目に見えない程の速さの早食いの結果との事。
ちなみに、口元を隠すようになった事に加えて早食いのため、嫌いな物にラーメンを挙げるなど熱い物が苦手(つまり猫舌)。
その割には紅茶は熱いのを好むという矛盾

口元を隠すようになったのは、幼少期に自分の姿を気味悪がられていたのが原因。
この頃は容姿を気にする事無く自分を侮辱する相手はその腕っぷしで叩きのめしていたのだが、
逆恨みした加害者が妹のブリュレを標的にするという出来事があり、
幼きカタクリはその一件がトラウマとなり、自分が欠点・汚点を持つ事で、
それを侮辱する連中の矛先が自分以外の家族に向けられる事態を恐れ、逆恨みする気すら起きない「完璧な男」を目指すようになった。
勿論、こうした生き方がカタクリ自身にとってもストレスで無い訳が無く前述の「おやつの時間」だけが唯一、
本当の自分でいられる息抜きの時間となっている。
「おやつの時間」が遅れると冷静さを欠くのも、こうした背景があっての事なのだ。

ただ、戦闘中にフランペが密かにルフィの右足を無音の吹き矢によるシビレ針で狙撃し、
麻痺しながらも懸命に立って戦おうとするルフィを無様と侮辱した際は、
真剣勝負に水を差された事に加え自分の過去の一件を想起したためか、フランぺの方に対して激昂している。
このフランペもカタクリにはベタ惚れしているのだが、ルフィとの戦闘中に彼の口元を見た途端「バケモノ」「フクロウナギ」呼ばわりし、
嫌悪するなど前称のルフィに吹き矢を撃った件に加えかなり外道。

上記の出来事を機に自分との戦闘を糧に爆発的な速度で成長するルフィをただの粛清相手ではなく全霊を賭けて挑むべき好敵手と見なし、
ビッグ・マム海賊団幹部としての立場と利害すら度外視し、敢えてフランペの横やりでルフィが受けた傷を自分にも与えて、
一海賊としてルフィと正々堂々の一騎打ちに転ずるが、激闘の末に僅差で敗北。
自分に打ち勝ったルフィに「ビッグ・マムも倒すのか?(意訳)」と問いかけ、
「俺は海賊王になる男だ!!!」と更に先を見ているルフィの答えを聞いて、称えるように背中から倒れた。
ルフィも思う所があったのか、カタクリの口元を変装用の帽子で隠すように被せている
バギーに対する「デカ鼻」やフォクシーの「割れ頭」など、
 相手のコンプレックスや自慢のヘアースタイルを容赦なくあだ名にするルフィが珍しくあだ名を付けていない)。

無敵と信じられて疑われなかったカタクリの敗北はブリュレの口から仲間達に伝えられ、ビッグ・マム海賊団に大きな動揺と混乱を引き起こした。
ブリュレ以外の家族達も部下も誰一人としてカタクリが真っ向から敗北した事が信じられず、
ルフィが何か卑怯な手を使ったに違いないと現実逃避する有様だった。

扉絵連載「ジェルマ66のあゝ無感情海遊記」で久々にその後の姿が描かれている。
時系列的にはワノ国編終盤辺りの頃と思われ、あれほどの重傷を負いながらもさほど期間を経ずに見た目的には戦闘可能なレベルまで回復しており、
カタクリもルフィや母親並みの生命力を持っている事が改めて描写されている。
弟達を救出して脱走を図るレイジュ達の前にオーブンと共に立ちはだかり戦闘を開始するが、
色々あって逃げ損ねていたシーザー・クラウンが呉越同舟な形でヴィンスモーク姉弟と共闘。
目視できない気体を操るガスガスの実の能力者であるシーザーの幻覚ガス攻撃は視界による予知が強みのカタクリとは相性が悪く、
幻覚に惑わされてオーブンと同士討ちをしてしまい、その隙に逃げられてしまった。
いかに三将星最強のカタクリといえども、強さで劣る相手でも相性などにより「勝敗」は分からないという一例の1つと言える。

+ 戦闘能力
特殊な超人系(パラミシア)*2悪魔の実「モチモチの実」の能力者であり、肉体を餅に変化させる能力を持つ。
能力は既に「覚醒」の域に入っておりその気になれば周囲の物体を餅化させて操る事ができる。
自然系のように体を流動させて覇気を使わない攻撃を受け流せるだけでなく、
餅の弾力を活かして身体形状を変化させ、腕や足を伸ばしたり増やしたりする事が可能。
また、足をキャタピラのように流動させてペースを落とさず移動する事もできる。
能力自体に自然系のような攻撃力は無いが粘着力が高く、武器に纏わせて攻撃力を封じたり相手の移動を阻害できる。
元々カタクリは高い格闘能力を持つ事に加えて、
ルフィとの第1ラウンドで「ゴムゴムの鷹銃乱打」「ゴムゴムの象銃」を自身の能力で即興で模倣して上位互換の技を放つなど、
高速かつ高精度で餅の形状をコントロールできる技量を餅…もとい持ち、
「覚醒」で地面や壁を変換した餅を瞬時に武器や腕に変化させて、その気になればオールレンジ攻撃すらできる。
本気を出すと空中にリング状の餅「無双ドーナツ」ルフィ「餅じゃねえのか!?」を浮かせ、
そこからカタクリの動きに連動する巨大な餅の腕を出現させる戦法を取る。
これにより、白兵戦においては凄まじい実力を持つ。
造形にはちょっとしたこだわりがあり、「おやつの時間」で自身を秘匿する際の社も厳かな造りの寺社であり(これにより完璧超人の評価が一人歩きした)、
鏡餅でルフィを押し潰す際にはわざわざ餅で作った橙(「代々」とも聞き取れるため子孫繁栄の縁起物)を載せて仕上げとしている。

「『こんな所で死ぬ気はねェ』とお前は言うが 遺言はそれくらいでいいか?」
「……!! こんな所で死ぬ気はねェよ!!!」

もう1つ彼の特徴と言えるのが彼の「覇気」である。
カタクリは見聞色の覇気を鍛えすぎた事により、視界に入った生物の少し先の未来を情報として「予知」できる。
平均的な見聞色の覇気の使い手は対象の気配を見抜き、攻撃・行動の予兆を感知できる程度だが、
カタクリの場合は視界に入った光景を映像・音声レベルで対象の未来の行動を情報として知覚が可能である。
見聞色の覇気の使い手同士の戦いは互いに相手の行動を読み合いながら戦う事になるのだが、
カタクリは万国編当時のルフィ程度の使い手相手に先手を取れるほど、精密に未来を知覚できてしまう。
これとモチモチの実の能力を合わせて、
劇中では覇気の使い手相手でも攻撃の瞬間着弾地点だけ空洞に変化させるというとんでもない回避方法を見せている。
自然系のように体を変化させる能力者は少なからずいるが、
ただひたすら着弾の瞬間だけピンポイントに超高速かつ高精度で変化させ続けるという、
シンプルな理屈ながら難易度の高い絶技で攻撃を避ける芸当を見せたのは劇中でカタクリのみである。
加えて、武装色の覇気の練度もルフィが奥の手のギア4の中でも、
パワー特化のバウンドマンを使用してようやく優勢に立てるという程に高く(スピード特化のスネイクマンではカタクリが硬度で勝る)、
やはりモチモチの実の形状変化と併用して高い攻撃力を実現している。

弱点としては水を使われると餅の粘着力が落ちてしまう点である。
また、「未来予知」はカタクリ本人にも変えた先の未来は分からないという欠点があり、
カタクリが予知した未来を変える行動をした場合、相手(特に見聞色の覇気の使い手)も必ずしも予知通りに行動するとは限らない。
また「結果は分かるものの、その前後の経緯は分からない」という欠点も持ち、
ルフィが萎む未来が見えたものの、それがギア4の時間切れによるものと気付かず、馬鹿正直に伝えて撤退を選択されてしまっている。
加えて従来の覇気と同様に覇気の維持にかなりの集中力を有するため負担も大きく、
ルフィとの戦いが長引いた際は優勢にもかかわらず息切れを起こすなどの不調を見せていた。
また「餅」である以上「食べる」事も可能で、ルフィの動きを封じるために一度は巨大な餅の下敷きにするも、食べられて脱出されている
(クラッカー戦でも拒否するほどビスケットを食って戦況を何とかしたため、ルフィは「この島は食わないと勝てねェのか」とうんざりしていたが)。

カタクリはパワー・スピード・戦闘経験、どれをとっても当時のルフィを凌駕しており、ファンに強烈な印象を残した。
頂上戦争の戦闘描写から、「四皇>海軍大将≧四皇のNo2」という力関係にあるのは読者も認識していたが、
いざ戦いが始まると、タイマンにおいて強いどころではない反則的な戦闘力から、
四皇最高幹部(とそのさらに上の四皇)がいかに規格外な存在か、改めて読者に知らしめた。
ルフィが勝利できたのも、カタクリとの戦いを引き金に爆発的に覇気を覚醒させた事に加えて、
カタクリがルフィを認め、途中から四皇幹部として反抗勢力を”倒す”ために戦うのではなく、
1人の海賊として目の前の難敵に”勝つ”ために戦ったのが原因であり、
まともに挑んでは絶対に勝ち目の無い綱渡りの勝負であった。

彼とルフィ以外に未来視を使ったのはカイドウ、シャンクスと四皇であり、
次章に登場した百獣海賊団の最高幹部「大看板」や、赤髪海賊団副船長であるベン・ベックマンですら予知の域で見聞色を扱えるものはおらず、
ついでに大看板達は能力そのものが戦闘向けな動物系古代種の能力者だった事に加えて、種族的特性や科学力を強みとする戦闘要員であったため、
相対的にカタクリの覇気の練度と能力の習熟度がいかにヤバかったかが際立つ事になった。

ゲーム作品では『海賊無双4』に参戦。
同作では各キャラの身長が原作に忠実なので当然カタクリもかなりでかく、ルフィとの差が凄い。
また、開発時点で原作ではワノ国編が未完結どころかまだまだ序盤だったため(おでんどころか弾く覇気すら無い)、
ワノ国編がオリジナルストーリーとなった事で、カタクリも原作と異なり参戦。
この時点でカイドウとビッグ・マムの関係が良く分かっていなかったため、二人が完全に敵対しており、
黒ひげの暗躍もあって、ブリュレと共にルフィとおまけにキッドを救出し、そのまま一時共闘する。
……が、何せあの二人のためほとんど保護者のような立場になっていた。


「俺はもう…お前を格下だとは思わねェ」
「本当か!ありがとう!」「でも勝つ!!」


MUGENにおけるシャーロット・カタクリ

+ Mugen n5氏製作
  • Mugen n5氏製作
JUS』風ドットで製作されたMUGEN1.0以降専用のちびキャラ
海外製ではあるが、杉田氏の音声が使用されている。台詞と動きが合っているかは別として
一瞬で画面端に到れる機動力を持つ上に、手を伸ばす攻撃によりちびキャラながらリーチが長い。
未来予知の再現なのか、一時的に無敵になれる特殊技が使用可能。
また、画面全体の下から定期的に餅の槍を突き出す設置技や、超必殺技として原作で使用した「ゴムゴムの象銃」も持つ。
AIもデフォルトで搭載されている。
DLは下記の動画から

+ Mikel8888氏製作
  • Mikel8888氏製作
上記と同じく『JUS』風ドットで製作されたちびキャラで、MUGEN1.0以降専用。
高いコンボ性能を誇るだけでなく、ビーンズを連続で投げる飛び道具も存在する。
やはりこちらも一時的に無敵になれる技が搭載されている。
超必殺技の「斬・切・餅」は威力もさる事ながら演出が派手。
AIもデフォルトで搭載されている。
DLは下記の動画から


「………………ずいぶん未来を見てやがる…!!」

出場大会

  • 「[大会] [シャーロット・カタクリ]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
懸賞金の高さ=強さという訳ではないが、
長男のペロスペローが7億ベリー、同世代のオーブン・ダイフクはそれぞれ3億ベリー、
同じ将星でもスムージーが9億3200万ベリー、クラッカーが8億6000万ベリーであり、
海賊団内で10億越えはビッグ・マムを除けばカタクリのみ。

唯一クラッカーだけが真の強さを世界政府に知られていないため、
実際の危険度は掛けられている懸賞金額以上とされているが、
そんな彼でもカタクリには及ばない事がはっきりと公言されている
(カタクリ本人はクラッカーの実力を高く評価している)。

*2
本誌掲載時は「自然系(ロギア)」とされていたが、単行本より「特殊な超人系」に修正されている。


最終更新:2025年04月24日 22:38