シャーロット・リンリン

ライフ(寿命)・オア・トリート(お菓子)……!?」


「お菓子をくれない奴は殺さなきゃね……
 くれると言ったのにくれない奴は嫌いだよ
 ニガイお菓子くらいにね……」

漫画『ONE PIECE』の登場人物。ヴァンパイアハンターではない。
担当声優は当初 藤田淑子 女史だったが、氏の逝去に伴い 小山茉美 女史へと交代している。
ちなみにこの新旧キャスト、『キテレツ大百科』のキテレツ(木手英一)とコロ助(初代)だったりする。

通称「ビッグ・マム」
ビッグ・マム海賊団船長にして、「四皇」と呼ばれる大海賊の内の一人
懸賞金43億8800万ベリー。自身は68歳で、夫43人、息子46人、娘39人のほとんどで海賊団が形成されている。
身長は880cmと巨人族などの大型種族を除けば、純粋な人間としては作中では最も大柄である。
巨人族に匹敵するパワーに加え、「ソルソルの実」という悪魔の実の能力を持っており、
生物から寿命を抜き取り(抜き取られたら死ぬ)、他の無機物(海などにも可能)に魂を与えて使役する事ができる。
また、自分の魂を入れた太陽「プロメテウス」(本物の太陽ではなく火の玉)、雷雲「ゼウス」、
仕込み刀「ナポレオン」(普段は帽子だが、戦闘時は刀に変身する)を従えており、それらを使った攻撃で敵を圧倒する。
さらにワノ国編ではゼウスがあまりにもやらかし続けた結果後釜として新たに雷のホーミーズ「ヘラ」を作り出した。
他にも巨人族の剣技や、上記三体の僕との合体形態などが存在しており、強さの底が知れない。
しかもこの三体はビッグ・マムの睡眠中も自立行動できるらしく、寝室を飛んでいた一匹のハエに総攻撃を仕掛けて駆除している。
加えて、奥の手としてソウルを喰う事により自身を疑似ホーミーズ化させて巨大化・強化することができる
(原理としてはゲッコー・モリアの「影の集合地」に近い)が、ビッグ・マムの場合は当人が強すぎるため、
並みの実力者のソウルを食っても強化にはならず、劇中は自分のソウル(寿命)を1年分対価に発動しており、おいそれとは使用しない最終手段である。

しかし最大の強みは「鉄の風船」とも呼ばれるその肉体で、大砲や銃弾でも傷一つ付かず、遭遇当時のルフィの渾身の攻撃も全く通用しなかった。
だが、時折頭に浮かんだ食べたいものが食べられないと「食いわずらい」と呼ばれる癇癪を起こして制御不能になるという悪癖があり、
この状態に陥ると敵味方問わず見境なく蹂躙してしまう。
更に作中では説得を試みた部下の魂を本項冒頭の台詞を発しながら吸い取っている。
一度食いわずらいに入ると、その時の出来事は一切記憶に残らず、目当ての食べ物を口にするまで本能のまま暴れ回る
(ある程度会話が成立するなど、最低限の理性はある)。


経歴

5歳の時点で巨人並みの体格であり(両親は普通)、生まれ故郷で幼児故の悪意の無さとそれに反した人間離れした力で多大な被害を出し、
国外追放に処せられて巨人族の住む国エルバフのウォーランドに置き去りにされ、
そこで孤児院「羊の家」を経営していたマザー・カルメルに引き取られて育てられた経緯を持つ。
羊の家でも、無邪気さと子供離れした力によって同じ孤児院に住む孤児や巨人族等に危害をもたらしており、
  • 巨人族の子供の肌に止まった蚊を潰すため叩いた結果、相手の骨を複数本へし折る
  • 手長族だから普通の人間より関節が1つ多い事が普通であるのを理解せず、手長族の子供の関節を親切心で引き千切ろうとする
  • 魚人族に付いているひれを親切心で引き千切ろうとする
というように、幼少故の無邪気さとそれに反した人間離れした力で数々の問題を起こしていた。
とはいえ上記のように本人に悪気はなく、それを理解していたカルメルの辛抱強い見守りと教育もあり10か月後には周囲と打ち解けるようになり、
リンリンもカルメルを強く慕うようになった。

ところが、「冬至祭」という12日間の断食を行うエルバフの行事の際にリンリンは生まれて初めてと思われる「食いわずらい」を発症し、
たった一人でエルバフの巨人族の村を半壊状態に追い込み、止めようとした巨人族の英雄である「滝ひげのヨルル」を殺害してしまう。
巨人族からも慕われていたカルメルの嘆願により処刑こそ免れたが、エルバフからも追放されると同時に本人は何が起こったか自覚も無いまま、
全巨人族から恨みを買う事になった。

リンリンに同行する事を選んだカルメルは、彼女を慕う他の孤児達を連れてエルバフから離れた別の島に「羊の家」を移す事になる。
新天地を「ここを私達の国にしましょう! みんなが平等に暮らせる夢の国!! 種族間の差別も何もない、みんな同じ目線で暮らせる国!!」
と称して懸命に励ますカルメルの尽力で、リンリンも他の子供達もほどなくして元気を取り戻すようになる。

しかし、さらなる悲劇は唐突に起きた。
リンリンが6才の誕生日を迎えた日、羊の家の子供達と共にクロカンブッシュ(飴で固めた山積みのシュークリーム)を用意してサプライズパーティーを開いた。
リンリンが大喜びで涙を流しながら、無我夢中で机もかじる勢いでクロカンブッシュを食べ終えて一息ついた時、
彼女の前から他の子供達やカルメルは姿を消していた。
その後どれほどリンリンが探しても、彼女達は二度と姿を現しはしなかった。
この出来事は、リンリンに大きなトラウマを植え付け、現在も一枚しか残っていないマザーの写真に強い執着を抱いている。

その後リンリンは突如としてソルソルの実の能力が使えるようになり、そこに偶然居合わせた海賊シュトロイゼンに声を掛けられ、
新たな保護者を得て、カルメルが夢としていた「全ての種族が同じ目線で暮らせる夢の国」*1を実現すべく暴走。
「夢の国」の実現のためなら手段を選ばず侵略と略奪を繰り返すようになり、海賊として手配されるに至った。
ちなみに、シュトロイゼンはビッグマム海賊団の総料理長として従事している。

「甘いお菓子を持って来い!!! そうすれば約束してあげる!!
 『平和』と!!! 『夢の国』を!!!
 おれの言う事をきけばみんな幸せに決まってる!!!

      きかない奴はわがままだから殺さなくちゃ!!!!」

現在はグランドライン後半の新世界にあるホールケーキアイランドと周辺の島々からなる「万国(トットランド)」を拠点として治めている。
住民達はリンリンの強さに守られる代償に、ソルソルの能力で税金のように寿命を徴収されている(半年ごとに1か月分)が、
根底にあるのがカルメルの語った「夢の国」の実現であるため、時折起こる食いわずらいを除けば治安はよく、
大臣を務めるリンリンの子供達も住民から慕われている。
劇中の描写を見る限り、世界政府非加盟国の住民はいつ死ぬかも分からない大海賊時代という情勢も相まって、
大きな危険に対抗するために同じくらい危険なリンリンに寄り添う選択をしたり、
寿命の6分の1を対価として割り切っている国民は相応にいる模様。
ただし、良くも悪くもワンマン経営で国を運営しているので、逆らわない者は基本的に安全や生活は保障するが、
逆らうものは処刑・粛清して見せしめとすることで国の秩序を維持している、独裁者的な統治者である。

+ マザーカルメルの真実
前述の通り、リンリンのみならず数多の孤児を引き取って孤児院を営んでいた女性である。
彼女の「羊の家」に来るのは単に身寄りが無いというだけではなく、誰の手にも負えない悪童であったり出自に問題があるという曰く付きの子供も多く、
こうした子供達が一つの家族のように生活を出来る場を作り、そしてそうなれるよう辛抱強く導く忍耐力を持った強い女性である。
また、かつて海軍に捕えられた巨人海賊団の処刑を止め、巨人族と人間の交流を取り持つという非常に重大な仕事も熟していた。
マザーカルメルの尽力により、巨人族の中から海軍に入隊する者が現れ始め、やがてそれは海軍の一大戦力・巨人部隊の礎になるなど、
彼女の遺した功績は非常に大きい。

正に周囲が讃えるが如く「聖母」の二つ名に相応しい偉大な人物。
……だが、マザーカルメルには「山姥」と呼ばれる本当の顏がある。
マザーカルメルは引き取った子供達をある程度まで育てた後、海軍に売り払うという人身売買のブローカーなのだ。
「種族間の差別のない、みんなが同じ目線で暮らせる国」「あらゆる種族が手を取り合い、笑い合える世界」と嘯くが、
そんなものは周囲を欺くための方便にしかすぎない。
リンリンを庇い護ったのも、これだけの力を持つリンリンならば海軍に高く売れるという打算以外の何物でもなく、そこに愛情などは欠片も無い。
巨人海賊団の処刑を止めたのも、巨人の国エルバフに潜り込むために海軍と共謀して打った茶番だったのだ。

ただ、一方で読者からは彼女を単に悪人と括っていいのかという見方も強い。
何故ならば最終的に売り払うのが目的とは言え、子供達を育て上げ人間と巨人の架け橋になったというのは紛れもない事実だからである。
更に言えば売る相手が海賊や奴隷商人の類ではなく、世界の秩序を護る海軍であるという事もその見方を補強している。
勿論、子供や周囲を騙していたのも事実であるし本人の認識も悪人ではあるのだが、
実態としては育てた子供に仕事を斡旋しているのと変わらないのではないか、という意見は多い。

最後にもう一つ、重大な事実が彼女にはある。
それは、マザーカルメルこそが先代の……というよりも本来のソルソルの実の能力者であるという事。
シャーロット・リンリンが何故、ソルソルの実の力を使えるかそれは作中では明言されていない。
しかし、クロカンブッシュを「周りが見えなく」なるほどに無我夢中で食べていた事、
マザーカルメルがその時を境に姿を消した事、
時を同じくしてリンリンに能力が身に付いた事を考えれば、彼女の末路は想像に難くないだろう…。
また、同一の悪魔の実は存在せず、前の能力者が死亡することで実が新たに復活する事も語られている。

少なくとも本編時点で60年近く海賊家業を続けており、
加えて本編より40年ほど前にはロジャー以前に覇権に君臨していたロックス・D・ジーベック率いる「ロックス海賊団」に参加しており、
現四皇のカイドウ及び、”白ひげ”エドワード・ニューゲートや、”金獅子”シキなどの大海賊とも仲間であった(ただし非常に不仲)。
ちなみに不摂生が祟り本編時点では肥満体だが、この頃(20代後半)は結構な美女であった。
『ONE PIECE novel A』によれば、後の海賊王であるロジャーの全盛期には、
ロジャー及びニューゲート、シキ、リンリンが現在の四皇に相当する勢力として扱われていたという。
また、ロジャー全盛期から、ラフテル到達に必要な赤い「歴史の本文」を所持していたようだが、
光月おでん加入前に起きたロジャー海賊団との抗争の際に写しを奪われている。
加えてユースタス・キッドにも彼に負けた将星を介して写しを奪われているが、
リンリン含めたビッグマム海賊団側は「キッドは敗退した」と認識しており、その事実に気付いていなかった模様。

+ 末路
「奪ってみやがれ!!! 『四皇』の座をよォ!!!」

ワノ国編では一時的に記憶を失うというトラブルこそあったが、
長年犬猿の仲であったカイドウと交戦の末に一時的に和解し同盟を締結。
討ち入りに入った麦わら海賊団及び侍連合と交戦し、ルフィ、ゾロローキッドキラーという、
最悪の世代5人相手にカイドウと共に激突する。
苛烈極まりない戦いの末に分断され、キッドとロー相手に単身で戦う状況に持ち込まれ、
手持ちのホーミーズも全て使い尽くし、互いに負担や寿命の消耗すら度外視した出し惜しみ無しの壮絶な攻め合いを展開。
常人ならまず倒れる「穿刺波動(パンクチャーヴィレ)」と「電磁砲(ダムドパンク)」の連続攻撃にも強引に耐えて、
ソウル・ポーカスで見境なしに周囲の海賊の寿命を押収して劣勢の挽回を試みるが、
かつてのジンベエと同様にビッグマムに微塵の恐怖も無かったキッドとローの寿命は奪えず、
戦闘続行可能だったローの「凪」により声を奪われてソルソルの実の弱点である「声を聞かせなければ寿命を奪えない」点を突かれ、
寿命の押収を阻止されたばかりか、ヘラやプロメテウスなどのホーミーズに指揮ができなくなってしまう。
そこでダメ押しにキッドから空飛ぶ鬼ヶ島の地下を突き破る程の威力の「電磁砲」を受け、
ホーミーズの援護を受けられず、手持ちの寿命のストックも全て使い尽くした状態で、地下火薬庫を貫通して島の下半分の地形を変えながら落下。
声が出せず負け惜しみすら言えないまま、大海賊時代を起こして自分達への挑戦者を激増させたロジャーへの恨み言や、
「ひとつなぎの大秘宝」への未練を思い起こしつつ、キッドとローへの報復を誓いながら一緒に落ちた爆弾の大爆発に巻き込まれ遂に撃沈。
白ひげ以来となる四皇の脱落者となった。

(キッド!! ロー!! あいつら許さん………!!!)

(おれがこれしきで!! 死ぬと思うなよォ!!!)

ただし、彼女の寿命から作られたゼウスは健在である。
悪魔の実にはメロメロの実の石化のように、能力者が死んでも能力の影響が解除されない部類があることは次章で描写されたが、
ソルソルの実もその類だったのか、それとも……?

ゲーム作品には『海賊無双4』にプレイアブルとしてまさかの参戦。
同じくプレイアブル化したカイドウと共に規格外の巨体を誇り、原作の暴君ぶりを再現した豪快なアクションを見せ付けた。

+ この発作…もしかして恋わずらい!?
一方で同作発売前にエイプリルフール企画として『海賊夢想』なる企画があったのだが、
同企画内の彼女は元の姿の原型をとどめない美少女となっていたことで話題となった。


MUGENにおけるシャーロット・リンリン

hatya氏が製作したものがOneDriveにて公開されていたが、氏がMUGENの活動を終了したとの事で、
このキャラを含む同氏製作のキャラは全て公開終了している。

広範囲、高威力の攻撃に加え、原作同様に「鉄の風船」という防御性能があり、ほとんどの攻撃が通用しない。
…が、下にある「マザーカルメルの写真ゲージ」が0になり写真が割れると攻撃が普通に通るようになる。
また、ソルソルの実の能力を使う事でもゲージが減る。
想定ランクはデフォルト(防御性能込み)で狂最上位ほど。
設定で鉄の風船をOFFにでき、その場合は最初から写真が割れている状態で試合が始まる(この場合の強さは狂上位ほど)。


「ハ~ッハハハママママ……カイドウ……!? アレはお前らにゃ倒せねえし……
 だからよ、お前ら……

     何でおれの縄張りから出られるって、夢見てんだよォ~ッ!!!」

出場大会



*1
ただしリンリンは「同じ目線」を「全員が(自分や巨人族のように)巨大になればいい」と間違って捉えていて、
自分の子供達を巨大化させる薬をマッドサイエンティストのシーザー・クラウンに作らせていた。
モルモットとして各地から集めた子供達に試薬を投与した結果、大きくはなるものの個人差があり、効果が無い子もいた。
また、シーザーは薬を真面目に作る気は無く、前金を豪遊に使った挙句、ルフィと手を組んだカポネ・ギャング・ベッジの裏切りに乗じて逃亡している。


最終更新:2024年03月03日 10:22