アーロン


「生き物は みな生まれながらに平等じゃねェんだよ
 シャハハハハハハハ!!」

漫画『ONE PIECE』の登場人物。大召喚士のガードではない。
担当声優は 小杉十郎太 氏。ただしNetflixの海外ドラマ版のみ 東地宏樹 氏が吹き替えている。
東の海(イーストブルー)の章の最終盤「アーロンパーク編」におけるボスキャラ。
小杉氏ボイス

通称「ノコギリのアーロン」
魚人島出身の魚人達で構成されているアーロン一味の船長であり、自身もノコギリザメの魚人である。
主な部下にエイの魚人クロオビ、キスの魚人チュウ。
後に一味を離脱した元部下にタコの魚人はっちゃん(通称「ハチ」*1)、海牛(かいぎゅう)*2モームがいる。
部下の魚人達を「同胞」と呼んで大事にしており、麦わらの一味に全滅させられた際はかつてないほどに激昂した。

+ 魚人族について
『ONE PIECE』に登場する種族。
魚類、軟体動物海洋哺乳類などの特性を持つ人種で、人間から進化した哺乳類とされている。
個人差が後述するように激しいが基本的に下半身は人間型で陸上で歩行もできるし、泳ぎも上手い。
生まれながらにして人間の10倍の筋力を有し、水中では鰓呼吸を行い(淡水海水両方適応出来る)、
加えて深海1万mの水圧にも耐えられる体を持つ。
また、「○○の魚人」の○○には様々な魚(タコなど魚類ですらない場合も)の名前が入るが、そういう種族に別れているのではなく、
「魚人」というグループ内に○○の性質を持つ奴が個体差レベルでいる。
さらに一応別種族扱いされる「人魚」(下半身が魚・上半身が人間形態)とも交配可能で、先天的に先祖返りを起こしやすい種族であり、
先祖の遺伝子の内どれか一つをランダムに表層に出して生まれてくるので親子兄弟で「○○」の部分が違ったり、魚人と人魚が混ざっているのも普通。
このため、魚人達(恐らく人魚も)は身内で見た目が似ても似つかぬのが普通なため、外見で他者を差別するという考えは生まれず、
人間によく見られる姿の異なる種族・人種を差別する価値観を理解する事が困難である。

アーロンも15歳の時にろくに会ってもいない父親を名乗る男が、アーロンの腹違いの妹として「シャーリー」というアオザメの人魚を連れてきたが、
「似てない」事や「ノコギリザメの魚人とアオザメの人魚」という違いは兄妹否定の証拠にはならないので、魚人島の人々含め兄妹扱いになっている。

本編より8年前にナミの故郷であるココヤシ村を襲撃し、
そこに建てた「アーロンパーク」を拠点に付近の島々で圧政を敷いていた。
また、この際ナミの目の前で義母ベルメールを殺害し、さらに偶然ナミの測量士としての才能を知った事で、
「海図を描く代わりに一億ベリーでココヤシ村と自分を解放する」という契約で仲間に引き入れた。
また、そこをテリトリーとしている海軍大佐ネズミに賄賂を渡す事で情報操作させていた。
東の海の平均懸賞額は300万であり、支部の戦力ではアーロンに太刀打ち出来ず、
海軍本部も情報操作によりそれを把握する事は無かった
(村人達は「本部は偉大なる航路(グランドライン)の対処に手一杯で片田舎に戦力を裂く余裕がない」と解釈していた)。

「魚人こそが至高の種族」「万物の霊長は魚人である」という思想を持ち、人間を下等種族として見下している。
ただし、ネズミ大佐やナミなど利用出来る人間は嫌いではないと公言しており、実際他の人間よりも優遇していた。
支配下の人間に対しても上納が滞れば町ごと潰した一方で、税を治めるうちは手出しはしなかった。
ただし、あくまで優遇するのは自分にメリットがあった場合のみで、
ナミが今まで集めてきた額が1億ベリー近くになると、買収した海軍にナミの集めた大金を没収させ、
問い詰めに来たナミをココヤシ村の住人全員の命をチラつかせる形で門前払いするなど、
個人の自由意思を認めないあくまでも「便利な道具」の延長線としか見ていなかった。
一応「俺だって鬼じゃねえ。世界中の海の測量を終えたら自由にしてやるさ」と口にしていたが、
一生かかってもまず無理な要求であり、最初から約束を守る気が無かった事が分かる。
アニメ版ではココヤシ村を見捨てる事が出来ないナミの性格を把握した上で村人全員を人質にするという狡猾さが強調されている。
結果、ルフィの怒りを買い、麦わらの一味と衝突する事になる。
最後はルフィの「ゴムゴムの戦斧(オノ)」をアーロンパークのタワー諸共喰らい、自慢の鼻もへし折られて敗北。
海軍に捕縛され、以降「魚人島編」の回想まで出番無し。

懸賞金は東の海で最高額である2000万ベリーであり、個人の実力は東の海において最大勢力とされていたクリークを上回る。
ただ、『ONE PIECE』の世界において懸賞金は「その賞金首が世界に与える悪影響」を基準に世界政府海軍から設定される事と、
ジンベエが王下七武海に加入の際に当時捕まってたアーロンが釈放された」説明がアーロン本人登場前からある事から、
実際に賞金額に関わっているのは釈放されてから東の海に来るまでの短い期間にやらかした事(本編では特に描写無し)だけで、
海軍に一度捕まる前にやってた魚人海賊団での活動分(釈放で取り消し)や、東の海に来てからの悪事(ネズミ大佐に賄賂でもみ消し)は、
この「2000万ベリー」に入ってないと見るのが自然。

サメの魚人の特性として石柱すら噛み砕く顎の力と、歯がすぐに生え変わる特性を持つ。
この特性を活かし、自分の歯を丸ごと引き抜いて手持ち武器にする「(トゥース)ガム」を使用する他、
自慢の鼻を活かした突進攻撃「(シャーク)・ON・DARTS」やきりもみ回転しながらの噛みつき「(シャーク)・ON・歯車(トゥース)」という技も使う。
更に「キリバチ」と呼ばれる巨大なノコギリ型の刀剣も愛用し、
「アーロンパーク編」においても怒りが頂点に達して「ブチ切れた時の海王類」と同じ目付きになった際にキリバチを取り出してぶん回した。
身体能力も極めて高く、手で掬った水を弾丸並みの威力で投げ飛ばしたり、民家をちゃぶ台返しする程の怪力を持つ。
なお、第75巻のSBSによれば現実のサメは「 なんと奇遇な! 」なので、サメの魚人も「なんと奇遇な!」らしい

「東の海全てをアーロンパークの支配下に置く事」を目下の目標としており、
いずれは東の海全体を拠点に「アーロン帝国」を建設し、世界そのものを魚人の支配下に置こうとしていた。
ナミに海図を書かせていたのはそのためであり、実際ナミの海図を元に海流を操作して渦潮を発生させて、
逃げた島民が報告した事で出動した海軍の軍艦を撃退している。
劇中の発言を見る限り、いずれは世界中のシーレーンを同様の方法で掌握して、
海軍本部や偉大なる航路の強豪海賊も殲滅するつもりだった模様。

麦わら一味とアーロン一味の戦いは、ネズミにより海賊同士の抗争と報告され(まあ間違ってはいないが)、
これに勝利した事でルフィは(ネズミの逆恨みもあり)3000万ベリーの賞金首として手配されるに至った。
ゾロハンコックなど初回の手配でさらに大きな額で手配された者もいくつかいるが、
それはほとんどが海賊激戦区である偉大なる航路における話。
東の海は平和の象徴とされ、賞金首の平均懸賞金額が300万ベリーであり、
初回からいきなり活動エリアの平均の10倍の額で手配された事例は世界的にも前例がなく、
それだけアーロンに打ち勝った「脅威性」が危険と見なされた証明であった。

「アーロンパーク編」は『ONE PIECE』史において始めて麦わらの一味が総力戦を決行した長編であり、
それ以前の長編は一部が迷子になって参戦が遅れるというしょーもない理由などで総力戦とはみなされていない
ナミを長期に渡って苦しめたアーロンの非道さ、及び単行本1巻から登場してきたナミが本当の意味でルフィ達の仲間になる等、
東の海編の総決算と言える印象深い章となっている。
なお、アーロンがこのような性格になった経緯は、後年の「魚人島編」で明かされている。
Netflix版

+ 魚人島編におけるアーロン
本人は既に投獄されているため回想のみの登場だが、
顔馴染みであったジンベエの口から、魚人島付近の孤児や不良の集まるスラム「魚人街」出身と明かされた。
奴隷解放に尽力していた兄貴分の元探検家フィッシャー・タイガーが海軍に狙われ、
タイガーや元奴隷の同胞を護るために結成したタイヨウの海賊団に加わり、活動していた。
アーロンの左胸やはっちゃんの額にある太陽を象った焼印*3はタイガーによって入れられたもので、
彼らがタイヨウの海賊団の所属だった事を示すトレードマークである。

だが、政府の奴隷であったある少女を故郷へ無事に送り届けた矢先、
住民の通報を受けて潜伏していた海軍にタイガーは瀕死の重体となる大怪我を負わされ
(別の島からのリーク受けて先んじて接触していた海軍が「天竜人の所有物である少女を見逃す代わりにタイガーを見殺しにしろ」という取引を持ちかけ、
 少女の故郷の人々は身内可愛さ故にそれを受諾してしまった)、
強奪した軍艦に積んであった人間の血液で延命させようとするも、
そのタイガーが自分が元奴隷であった事を明かし、人間の血を受ける事を拒んで死亡してしまう*4
逆上したアーロンは単身復讐に向かうも、海軍中将のボルサリーノ(後の大将黄猿)に敗れて投獄されてしまった。

「フィッシャー・タイガーは死んだ!!
 お前ら下等種族に殺されたんだ!!!」

「お前ら人間が!!!
 あの人を死に追いやったんだよォ!!!!」

その後、もう一人の兄貴分であるジンベエの計らいで釈放されるも、条件が「七武海への加盟」であり、
それを「人間の傘下に下った(『海賊無双』シリーズでは「政府の"人間"の"狗"になった」)と言って非難。
タイガーの遺志を継いで人間との共存を選ぶジンベエと、人間達への不信感が拭えなかったアーロンは袂を分かち、
アーロンに賛同する過激派の魚人達を連れて海賊団を抜けた
(なおこの際アーロンと共に団を抜けた全員がアーロン一味になった訳ではなく、
 よりによって奴隷の供給源となる人さらい稼業に転向したマクロ一味など、更に異なる道を歩んだ者もいた)。

タイヨウの海賊団の頃のアーロンは既に人間嫌いだったが、
上記の少女とは関係が良好とは言えないまでも、
彼女のいる場所では人に手を上げる事を自制するなど、
タイガーの不殺主義を差し引いても本編時点程過激ではなかった。
裏を返せば、タイガーの死が彼の道を決定的に誤らせたと言える。

ジンベエは「またアーロンが悪事に手を染めたのならその時は自分の手で止める」つもりでいたが、
アーロンはそれを見越しており、前記の通り海軍を買収してジンベエの耳に入らないように情報操作させていた。
これにより、ジンベエは「魚人島編」で初めて真相を知り、アーロンの暴挙を止めるどころか気付けなかった事を悔やみ、
特に被害を被っていたナミと出会った時は自決覚悟で謝罪している。

上記の経緯からジンベエとは決定的に決別したアーロンであったが、単行本111巻の質問コーナーSBSにて、
読者からジンベエが麦わらの一味に加入した事を知った際のアーロンの表情をリクエストされた際、
作者が描いたイラストでは、露骨に嫌そうな表情をしていた
(嫌いな者同士が手を組んだのが嫌なのか、決別したとはいえ元兄貴分が人間なんぞの部下になったのが嫌なのかは不明)。

余談だが、ココヤシ村に建造したアーロンパークは遠目から見たシャボンディパークに似ていたり、
住民から奴隷を回避するための上納金の要求が天竜人に払われる「天上金」のシステムに似ていたり…と、
本人は否定するかも知れないが、地上での権力者である人間の模倣をしていた節がある。


ゲーム作品における活躍

ゲーム作品でも出番は多く、
『グランドバトル』シリーズでは唯一、海に落ちてもダメージを受けず、「シャークオンダーツ」が自動的に発動して復帰出来るという特徴がある。
ただし突進時の軌道は常に固定で、また刺さってから抜けるまでの硬直が長いため、対人戦では着地狩りを狙われやすいというデメリットもある。
また、アーロンパークのステージでは固有アイテムでアーロンの歯(トゥース)が出現し、食らうと外れるまで攻撃が封印される効果がある。
基本打撃火力は悪くなく、キリバチを使用した攻撃の範囲が非常に優秀で引っ掛けやすく立ち回りはかなり良好なのだが、
投げ必殺技を持たない為安定の崩し択がなく、コンボの後半も斜めの地形ではずれやすいため上位陣には一歩届かない中堅となった。

『グランドバトル2』では隠しキャラとして登場し、バロックワークスをアーロン帝国の傘下にするべく挑む。
勝った場合はクロコダイルの弱点を看破したような素振りを見せ、
負けた場合はミス・ダブルフィンガーの「トゲトゲの実の能力」をハリセンボンの魚人と勘違いしてナンパするなど、意外とお茶目な一面を見せる。
性能面では必殺技Lv1のアシストを自分で選択できるようになったため運の要素が無くなり、
また難易度は非常に高いが、空中上〇の「キリバチ新月斬」が全キャラ対応で永久コンボに繋げる事が出来た。
…が、全キャラ対応で位置問わずとはいえ平地限定であり、『グランドバトル』はほぼ平地のステージが無いため安定性を欠くのが難点。
とはいえ、体型のおかげで自身は難易度や状況の厳しめな全キャラ対応の永久コンボしか食らわず、今作も相変わらずの中堅ど真ん中に位置している。

『ランドランド』では海底洞窟のボスとして登場(条件を満たすと裏面のボスになり、表ははっちゃんが登場する)。
序盤はリーチの短い噛み付き攻撃、引き抜いた歯を持って突撃する「トゥースガム」、
海に飛び込んで画面外から(画面手前と頭上の二回)飛来する「シャーク・ON・DARTS」を使用してくる。
ある程度ダメージを与えると「キリバチ」で背景の建物を破壊し、隙が少ない薙ぎ払いと原作でも猛威を振るった縦回転で斬りかかる。
チョッパーでアーロンに挑むと「下等種族にも劣る獣」と呼び、人類以外の種族も見下している描写がある。

海賊無双』シリーズにも度々登場。
バロックワークスと海賊同盟を組んで登場した際、ジンベエの説得に聞く耳を持たなかったが「最早ワシの声も届かぬか『同胞』よ」と言われて動揺し、
クロコダイルを問い詰めるために戦線離脱するイベントが発生したり、
登場時に「ジンベエの兄貴」と呼んでいる等、ジンベエに対して一度は訣別したものの複雑な心境であるような描写も見られる。

東の海の章をベースにしたRPG『夢のルフィ海賊団誕生!』ではラスボスを務める。
本作では東の海で登場したキャラクター達をルフィ海賊団に加入させる事が出来るのだが、アーロン一味の面々はその立場上仲間にならない。

その続編のRPG『幻のグランドライン冒険記!』では、
ラスボスのダンデライオンに手酷くやられて、落とし前を付けるべくルフィと組むという、
全ゲーム作品の中でも異例の展開になる。


「おれ達魚人(・・)は海での呼吸能力を身につけた"人間の進化形"
 魚の能力分てめェらより上等な存在なのよ…!!!」


MUGENにおけるアーロン

Mikel8888氏による、『JUS』風ドットで製作された新MUGEN専用のちびキャラが公開中。
ちびキャラがながらリーチは長めで、機動力もそこそこ優秀。
特に突進技が強力であり、遠くから一気に距離を詰める事が出来る。
超必殺技ではキリバチを連続で振り回して攻撃する。
AIもデフォルトで搭載されている。
紹介動画


「下等な人間がァ…!!!

 魚人のおれに…何をしたァ!!!!」

+ 俺の怒りが有頂天になった

出場大会



*1
ややこしいが「はっちゃん」が本名で「ハチ」がアダ名。
コミックスの質問投稿コーナーにて作者曰く「中国人名の○○チャン」のようなニュアンスらしい。

*2
現実の「カイギュウ」(ジュゴンやマナティーの仲間)と全く異なり、「牛の顔を持つ巨大魚」といった感じの生物。しかも肉食。
『ONE PIECE』の世界では、こうした「獣型の巨大な海棲動物」を「海獣」と総称するらしい。
獣の要素を持たないものは「海王類」と呼び、明確に区別される。

*3
世界貴族(天竜人)の奴隷の証である「天駆ける竜の蹄」天翔龍閃ではない。尾田氏と和月氏の関係からして名称の元ネタの可能性はあるが)を隠すため、
その上から塗り替えるように太陽の焼印を入れていた。
また、誰が元奴隷なのかを分からなくするというタイガーの意向により、奴隷ではない者にも焼印が入れられている。
なお、アーロンとはっちゃんが過去に奴隷を経験した事があるのかどうかは不明。

*4
タイガーは奴隷として地獄のような体験をしたため人間を憎んだが、それ以上に平和を望む意志も持っていた。
一方で、大海賊時代黎明期に治安が悪化した魚人島を自分のナワバリにする事で鎮圧した白ひげや、
タイガーと会うまで元奴隷の少女を匿っていた人々がいたように、人間全てが悪人でない事を頭では理解しながらも、
そうした人々も自分を奴隷化した人間と同類というだけで嫌悪感を拭い切れなかった。
このため、こうした現状を変えられるのは偏見を持たない次の世代を担う子供達だという確信を抱いており、
今際の際に魚人島には自分に起きた悲劇と自分達の怒りを何も伝えないように厳命していた。


最終更新:2025年04月26日 00:27