エンペラ星人


「余は暗黒の支配者。

 ウルトラの父よ…光の者達よ!
 遂に3万年前の決着を付ける時が来た!!」

+ 担当声優
内海賢二
『メビウス』『HEROES'VS』『スーパーヒーロージェネレーション』
熊本浩武
『ウルトラゾーン』(怪獣漫才)
関智一
『ウルフェス2018』『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』

関氏が代役になるまでは内海氏の音声を流用したライブラリ出演だった。

『ウルトラシリーズ』に登場する宇宙人。別名「暗黒宇宙大皇帝」。
「エンペラ」と言ってもイカのヒレの事ではなく、エンペラー)の事である。
ウルトラマンタロウ』で名前が登場したのが初出であり、
当時より3万年前に怪獣・宇宙人で構成された大軍勢を率いて光の国を襲撃し、
宇宙警備隊発足の直接的原因となった「ウルトラ大戦争」を引き起こした首謀者である。

元々は、かつて母星を照らしていた太陽が光を失ったことで荒廃したのを発端に、
同胞が滅亡する中でただ1人生き残った個体であった。
失意と孤独を抱きながら暗闇の中を彷徨っている内に強大な闇の力を得ると共に、
やがて「光はいずれ(自分の故郷のように)終局を迎える有限の繁栄」「闇こそが永遠」という思想に到り、
それが高じて光あるもの全てに憎しみを抱くようになり、力尽くで滅ぼすようになった
(無論、かつて自分が失った光の恩恵を謳歌する文明への妬みも多分に含まれている)。
光の国を襲ったのもその活動の一環であるが、皮肉にもその来歴は光の国のそれと酷似しており、
ウルトラマンとは鏡合わせのように、そっくりかつ正反対な道のりを歩んだ存在である。
この経緯から分かるように「エンペラ星人」は自称であり、現在の彼に母星は存在しない
(元々の母星の名は明らかになっておらず、それがエンペラ星というわけでは無い)。

数々の惑星を滅ぼして勢力を拡大し続けた過程でM78星雲に侵攻し、
これを当時のウルトラ戦士達が迎え撃ったのが上記の「ウルトラ大戦争」であった。
当初エンペラ軍が圧倒的戦力で光の国を陥落寸前まで追い詰めたものの、
当時のウルトラ戦士の中で最強の実力者であったウルトラマンケン(ウルトラの父)と自身の一騎打ちで互いに重傷を負い、
一時離脱したところで怪獣軍団もウルトラ長老達が急遽開発した新兵器「ウルトラベル」の力で壊滅させられ、
エンペラ星人は生き延びたものの、戦争は自軍の大敗という結果になった。
この一件でプライドを大きく傷つけられたエンペラ星人は光の陣営の中でウルトラ一族、特にウルトラの父には格別に深い憎悪を抱き、
しばらくは表立った活動は行わなかったものの、光の国への再侵攻に備えて水面下で数々の軍備拡張を行っていた。

唯我独尊を体現したような人物かつ、かなりの気分屋でもあり、
ヤプールを配下に加える等、ハイリスクノーリターンとしか思えない行動も平然と取っているが
メフィラス星人の「皇帝の気まぐれは今に始まったことではない」というセリフから、
 普段から似たようなことをしていた模様)、
こうした行動も自分が動けば何事にも対処できるという圧倒的な自負の裏返しである。

ウルトラマンケンとウルトラウーマンマリー(ウルトラの母)の出会いや、
宇宙警備隊の発足は前述したウルトラ大戦争がきっかけとなっている。
またウルトラマンベリアルが闇に堕ちた理由の一つがエンペラ星人の闇の力に魅せられたからであり、
M78ワールドの歴史に彼が及ぼした影響は非常に大きい。

死後も彼の遺した鎧「アーマードダークネス」が数々の事件を引き起こし、
レイブラッド星人やウルトラマンベリアルが彼の力を利用するなど依然として大きな影響力を持っている。

+ 戦闘能力
上記の通り、かつてウルトラの父と互角に戦ったほどの戦闘力を誇っており、その実力は圧倒的。
手から放つ念動力はその場から一歩も動かずにウルトラマンヒカリとザムシャーを、
触れること無く反撃の隙すら与えず吹き飛ばす威力を持つ。
この技ですらエンペラ星人からすれば連発できる弱攻撃でしかない。
さらに戦闘の片手間で超能力により太陽の黒点を異常発達させ、太陽から光を奪う余力を持っていた。

加えて右手から発する「レゾリューム光線」はウルトラマンに特攻効果のある破壊光線であり、
一度はこの技でウルトラマンメビウスを分解消滅させてしまった程である。
ウルトラマン以外にもメフィラス星人をバリアの上から突破して殺すなど純粋な光線としても強力だが、
人間と同化したウルトラマン相手には威力が激減するという弱点がある。

加えて、光線を無効化する「リフレクターマント」や長剣「エンペラブレード」などの武装も備えており、
剣技もウルトラ大戦争では一振りで数十人のウルトラマンをまとめて殺害し、
強化形態になる前のウルトラマンケンとウルトラマンベリアルが2人がかりでも止められなかったほど。

『メビウス』では光線にせよ格闘戦にせよほとんど動かず相手の攻撃を真正面から受けて、
圧倒的な力で押し返す戦闘スタイルを使用していたが、
本来は合気道のような動きで敵の攻撃をパーリング、もしくは最小限の動作で回避しながらカウンター気味に攻撃するのを主体とするようで、
エタルガーによって複製されたエタルダミーや『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』ではこちらの戦法を用いていた。

グリーザのような反則的な特性こそ備えていないが、パワー・異能・戦闘技量が桁違いに高く、
あらゆる点でそれまでのシリーズの強敵・ラスボスとは一線を画す存在である。
弱点らしい弱点としては、かつてウルトラの父に付けられた古傷が挙げられる。

また、タロウすら苦戦する程の火力と装甲、再生能力を併せ持つ量産型戦闘ロボット無双鉄神インペライザー」や、
メフィラス星人やヤプールら強大な宇宙人で構成された最高幹部「暗黒四天王」など、配下の戦力も凄まじかった。

+ 各作品における活躍
  • 『ウルトラマンタロウ』
その存在が語られたのは第25話「燃えろ! ウルトラ6兄弟」であり、ウルトラ大戦争の逸話と共に黒い人型のシルエットのみ登場した
当初はテンペラー星人がエンペラ星人の予定だったが誤植により変更となり、
後年ではテンペラー星人は種族全体がエンペラ星人の忠実な配下ということにされている。
この時点では未登場な謎の存在であったが、断片的に描かれたウルトラ大戦争の情報などにより、
アテリア星人のように同じく名前だけ登場していた他の宇宙人以上に大きな存在感を放っていた。
余談だが似たような立ち位置のデザストロが一部界隈で「新世代のエンペラ星人」と言われているとかいないとか

  • 『ウルトラマンメビウス』
インペライザーのエピソードにおいてウルトラの父が3万年間一度も無かった古傷の痛みを訴えており、
コアなファンにはこの時点で本作の黒幕ではないかと疑惑を向けられていた。
そして物語が佳境に入り、暗黒四天王が「皇帝」を自称する黒幕に従っている事が明かされたことで、
ますます疑惑は強まることになった。
そして四天王が全滅した第48話「最終三部作I 皇帝の降臨」にてついに自ら行動し、視聴者の疑惑は確信へと変わった。

かつてウルトラ大戦争で敗れたことで、ウルトラ族に味方する勢力も憎悪の対象にしており、
地球に侵攻の矛先を向けたのもそのためであった。
しかもエンペラ星人本人は「戯れ」と称しており、最高幹部である暗黒四天王をけしかけたのも含め、
前哨戦ですらない戦争前のお遊び気分で地球を標的にした模様。
また、本格的に進行する前の第1クールのボガールの地球暗躍に加えて、
数々の宇宙人や宇宙怪獣を引き寄せた時空波や数々の地球怪獣の出現も彼の仕業であり、
『ウルトラマンメビウス』の物語で起きた全ての事件の裏で糸を引いていた黒幕であった。

手始めに世界中にインペライザーを送り込んで地球人へ宣戦布告した上に、
地球サイドにメビウスを引き渡すように要求して内紛を画策する。
しかも間の悪いことにヒルカワという悪徳ジャーナリストがメビウスの正体がミライだとこのタイミングで暴露し、
一時はエンペラ星人への恐怖から要求を呑んでメビウスを引き渡すよう求める動きもあったが、
最終的にGUYS総監サコミズの演説に心打たれた人々が考えを改めたことで要求は拒否されたため、これを口実に戦争を仕掛けた。

まるで「お前達程度いつでも殺せる」と言わんばかりにインペライザーを複数差し向け、
倒してもまた別の機体をすかさずテレポートで出現させる消耗戦を用いて(初手から全機体突入されればまず詰んでいた)、
メビウスを敗退に追いやり変身不能な程に消耗させたが、ウルトラマンヒカリが救援に駆け付けただけでなく、
以前にメビウスと交流を深めた宇宙人、ザムシャー、サイコキノ星人カコ、ファントン星人が地球に加勢し、
引き連れてきたインペライザーは全滅。これによりエンペラ星人自ら前線に降り立った。

インペライザーの全滅により好転したかと思われた状況はエンペラ星人の参戦により一気に覆された。
エンペラ星人本人の侵攻はそれほどまでに、圧倒や蹂躙という言葉すら生温い、
戦いにすらなっていない絶望的なものであった。
何せ消耗していたとはいえ数々の戦いを経て成長したメビウスだけでなく、ヒカリ、ザムシャーですら、
エンペラ星人はまるで虫けらを払うような感覚で蹴散らしていく。
油断が過ぎてヒカリに一太刀受けた後も勢いは止まらず、挙句の果てにはメビウスをレゾリューム光線で一度完全に消滅させてしまった。

完全に勝利したかに見えたエンペラ星人であったが、ウルトラ兄弟の声援を受けたGUYS達の絆と、
ナイトブレスの力でメビウスは肉体を復元し「フェニックスブレイブ」として蘇った。
地球人と同化したためレゾリューム光線も効かなくなり、これを好機と見たサコミズは
人類がウルトラマンと共に戦う為に作り出した最終兵器「スペシウム・リダブライザー」を投入、
エンペラ星人は威力を増したメビュームナイトシュートの直撃を受けてしまう。
なおも素で耐えながら一歩も引かなかったエンペラ星人であったが、ダメ押しとばかりにサコミズと一体化してゾフィーが参戦し、
更に出力を上げたメビュームナイトシュートとM87光線の合体光線で、かつてウルトラの父に付けられた傷口も開いてしまう。
最後はメビウスのメビュームフェニックスによる突撃を受けて、ついに致命傷を負う。
最期に「自分はウルトラマンに負けたのではなく、人類の希望とウルトラマンとの絆に負けた」という、
己の敗因を悟りながら、光となって静かに消えていった。

M78ワールド最強最大の巨悪であり、メビウスの成長や彼が地球人と育んだ絆、
フェニックスブレイブへのパワーアップやゾフィーの加勢、
初代ウルトラマンとウルトラ兄弟の出会いを経て約40年かけて人類が生み出したスペシウム・リダブライザーの存在、
これらの要素の何か1つ欠けてもエンペラ星人の敗北は有り得ず、
メビウスと地球人にとってはまさしく蟻の行列ほどしかない綱渡りを行うかのような勝利であった。

しかも戯れの前哨戦に過ぎなかったために用意して来なかった強化武装「アーマードダークネス」や、
ウルトラ戦士の力を弱める空間を内包する宇宙船「ダークネスフィア」の存在が後に発覚。
もしも地球でメビウスらが敗れていたら、エンペラ星人はこれらの兵器を完全に活動させてウルトラの星に攻めかかり、
宇宙は完全に滅ぼされていたかも知れないのだ。
エンペラ星人亡き後も、彼の遺品であるこれらの兵器を巡って大きな戦いが起きており、
彼は死後に至るまで大きな影響を宇宙に残している。

  • 『決戦!ウルトラ10勇士!!』
エタルガーがメビウスの最も恐れる存在の記憶から精製した実体幻影エタルダミーが登場。
足止めとしてウルトラマンメビウスと対決する。
しかし、レゾリューム光線にウルトラマンの分解効果が見られずただの破壊光線として使われるなど、その実力はオリジナルに遠く及ばず、
『メビウス』より数千~一万年の年月を経て成長したメビウス相手にそれなりに苦戦させる健闘ぶりを見せたが、
最終的にバーニングブレイブとなったメビウスのバーニングメビュームダイナマイトを受けて爆散した。
エタルダミー精製の材料となったメビウスのトラウマの戦いではエンペラ星人が舐めプしまくっていたのと、
エンペラ星人本来の実力がエタルガーの力では再現できる領域を逸脱していたのであろうが、
ともあれ扱いは再生怪獣のそれであった。

エンペラ星人自体は未登場だが、ベリアルにより作られていたエンペラ星人の怪獣カプセルが終盤に登場し、
ストルム星人ケイに利用されたりベリアルがアトロシアスへ強化変身するに使われるなど、一連の動乱の元凶の1つとなった。
ベリアルがいかなる手段でこの時点で故人であるはずのエンペラ星人のカプセルを作ったかは不明だが、
ギガバトルナイザーさえあれば怪獣墓場にすら干渉が可能なので力だけ模造できてもおかしくはない。

  • 『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』
ウルトラ大戦争当時の出来事が描かれ、ウルトラの父と一騎打ちを行うまでの経緯が詳細に明かされている。

なお、エンペラ星人が大戦争で率いていた怪獣・宇宙人軍団の中には、
「脅されてエンペラ星人に隷属せざるを得なかった」と命乞いしていた宇宙人もいたが、どこまで事実かは不明
(少なくともベリアルはハッタリと判断して容赦なく殺害していた)。

+ その他作品における活躍
FCソフト『ウルトラマン倶楽部 怪獣大決戦!!』ではラスボスとして登場。
発売は1992年のため、『タロウ』に登場したシルエットのまま画面中を飛び回り、光弾を撃ってくる。
最初の戦いでは倒すことはできず、一度負けてスペースQを放つことで倒せるようになる。
また、ダメージを与えるとM字開脚をしてくれるというサービスシーンも見せてくれる

バラエティ番組『ウルトラゾーン』では、怪獣漫才コーナーでジェロニモンとコンビ「アパッチ皇帝」を組んで登場。
尊大な言動のボケ役であり、ジェロニモンからは『タロウ』時代のシルエットについて、
「実際見てみたら黒すぎてシルエットとあんまり変わらなかった」とネタにされていた。

漫画『ウルトラマン超闘士激伝』では、第4部でエンペラ軍の大ボスとして登場。この時の別名は「皇帝宇宙人」。
最終回で暗黒司祭ジェロニモンを救うべく巨大な幻影として現れ、ウルトラ戦士に宣戦布告すると去っていった。
登場したのが1997年なので、デザインはバルタン星人など他の宇宙人を組み合わせたものになっており、
ウルトラの父とも直接面識がなかったりと、後の設定とは異なる点が多い。
そして『新章』にて、当時の姿は所謂オーバーボディだった事が明らかにされ、そこから『メビウス』版の姿に変化した。
最終決戦では四天騎星(本作における暗黒四天王)の鎧を纏い、「闘士エンペラ星人」となってメビウス達に挑む。

ちなみにライブステージ用に「暗黒の宴」という、異様にノリノリかつ厨二チックなヘビメタのキャラソンが存在する
(一応マグマ星人バルバが歌っているという設定だが、エンペラ星人による蹂躙シーンで流れる方が多い)。


「光の者達よ、なぜ闇を恐れる?
 全てが静寂に支配された素晴らしい世界を……!」


MUGENにおけるエンペラ星人

カーベィ氏により製作されたキャラが公開中。
スプライトは同氏のノンマルトカオスヘッダー・メビュートがベースとなっている。
2021年8月21日にβ版が公開され、28日には未搭載の技や特殊イントロを追加した完成版となった。
ちなみに、氏のウルトラ怪獣100体目記念で製作されたとのこと。

アーマー持ち・投げ無効・ライフ&ゲージ自動回復・防御力二倍かつオートカウンター持ちな上に、
通常技もリーチが長い上に高性能な「エンペラブレード」などが揃っており、
念動波やレゾリューム光線だけで並キャラ程度は為す術無く完封される性能を持つ。
また、レゾリューム光線はウルトラヒーローのキャラに対しては威力が増加する。
必殺技は「真・レゾリューム光線」と「アーマードダークネス」の二つ。
「真・レゾリューム光線」はレゾリューム光線と念動波を同時に放つ技で、
並のキャラやウルトラヒーロー相手ならこの技だけで相手を倒すことも可能な威力を持つ。
「アーマードダークネス」は画面内に自身の鎧であるアーマードダークネスを呼び出すというもの。
原作同様に自立行動を行い、自動で攻撃してくれる上に喰らい判定も存在しないので、とても強力な技となっている。
AIもデフォルトで搭載されており、上記した性能もあってランク相当の強さを持つ。
紹介動画


「そうか…人間のちっぽけな希望という光に…
 人間とウルトラマンの絆に、負けたのか……

 余が…余が…光になっていく……」

出場大会

  • 「[大会] [エンペラ星人]」をタグに含むページは1つもありません。


最終更新:2025年05月03日 13:38