くまは元々王族ではなく牧師の家系の生まれで、バッカニア族と呼ばれる種族の末裔として生を受けた。
しかし新世界編より43年前、父親であるクラップ及び自身がバッカニアの血を引いている事がスパイによって露呈。
家族共々世界政府に連行されて天竜人の奴隷にされる。
しばらくしてクラップと再会するも、母は知らぬ間に既に亡くなった事を聞かされ号泣。
後にクラップもくまの目の前で天竜人に銃殺され、天涯孤独の身となった。
38年前、天竜人が非加盟国の資源を略奪すると同時に原住民や逃亡などの問題行動を起こした奴隷を対象とした「ハンティングゲーム」を行う、
「先住民一掃大会」と呼ばれるイベントを起こし、ゴッドバレーに連れて来られたくまはたまらず逃げ出すが、
同じ奴隷に連帯責任になって殺されてしまうという理由で気絶するほどの暴行を受けて捕まってしまう。
しかし、連れ戻される途中で後の革命軍の同胞となる、当時奴隷だったエンポリオ・イワンコフ及びジニーという少女と出会い制止される。
先住民一掃大会から生き延びれば解放されるという話は嘘と突き止めていたイワンコフは、
「逃げる」選択肢こそ唯一の生き残る道と説き伏せ、奴隷の1人であったサメの魚人に鉄の拘束具を噛み砕かせて制約無く動けるようになった上で、
彼らと共に「 ウオウオの実」と共に用意されていた大会の優勝賞品の悪魔の実 「ニキュニキュの実」の奪取を提案する。
しかし当然優勝賞品には厳重な警護があり、奴隷達には誰かを囮にするしか有効な手が無かったが、
バッカニア族故に図体の大きかったくまは自分が最も適任だろうと志願。
その姿勢を気に入ったイワンコフはくまを自分が死なせないと断言し、共に脱出しようと力強く宣言する。
やがてジニーの工作により情報を嗅ぎ付けたロックス海賊団、 ロジャー海賊団、 ガープ中将というとんでもない戦力がゴッドバレーに集結し、
天竜人の戦闘部隊「神の騎士団」もこれを迎え撃ち、島は大混戦の様相を呈する。
おかげですんなりイワとくまは景品の場所に辿り着いたが、一歩遅れてきた シャーロット・リンリンにウオウオの実を奪われてしまう。
だが、イワが機転を利かせてくまとリンリンを引き離したため辛くもくまは片方の悪魔の実を喰い、運良くそれがニキュニキュの実だったため目的は達成する。
だが、脱出まで後一歩と言う所でサターン聖と遭遇してしまい妨害を受けるも、
くまは天竜人のトップに臆する事無く啖呵を切り、その後500名もの現住人や奴隷を別の国に飛ばすと共に自身も脱出に成功した
(台詞のみで描写は無いが、どうやら戦闘中のロックスとロジャーがその場に乗り込んで来たらしく、おかげでサターン聖から逃げられた模様)。
ソルベに落ち延びた後でくまはもっと救えたのではないかと悔やむが、イワンコフはあの極限状況で500人も救えた事を褒め、
奴隷だけでなくゴッドバレーの島民も(身内や知人を失った者も多くいたはずだが)くまに全員感謝していたと励ます。
その後のくまはイワと別れて、自身は島に残ったジニーと共に暮らし、時を経て成人後は牧師として活動しつつ、
ニキュニキュの実の能力を応用する事で、痛みや病気などに悩まされている人を助ける日々を送り始める。
ジニーからのプロポーズを「自分と結ばれたら彼女を不幸にしてしまうのではないか」という懸念から断る出来事こそあったものの、
天竜人からの支配から解放された二人は幸せな日々を過ごしていた。
だが22年前、ソルベ王国では北部のみをソルベ王国とし南部を切り捨てる奴隷政策が始まる
(世界政府に上納する天上金は国の人口で決まるが、この制度には「奴隷は人間に数えない」という抜け穴がある)。
攫われた人々を返すよう求めたくまだったが、当時はまだ能力頼りの素人で戦闘経験が無く囚われてしまい、
くまを返すよう求めたジニーや親しい知人達も抵抗の末に投獄される。
ソルベがマリージョアのような恐ろしい国になるかもしれないと戦慄するくまであったが、
ドラゴン率いる自勇軍の介入により奴隷政策は止められ、同時にくまとジニーは自勇軍の一員(そしてオカマ)になっていたイワンコフと再会。
ドラゴンの思想に共感したクマはジニーと共に自勇軍に加入、そして自勇軍を前身とする革命軍が結成されると、
自身は軍の中心人物の1人として活躍し、本編の14年前には軍隊長の立場になっていた。
しかし悲劇は続き、天竜人に目を付けられていたジニーが天竜人の妻として誘拐される事件が発生。
助けようにもまだ当時の革命軍は規模は本編時点ほど大きくなかったため叶わなかったが、
誘拐から2年後にジニーから連絡が入り、とある病気を患い、夫の天竜人に捨てられる形でなんとか下界に帰還する事に成功したと判明。
しかしジニーはその命はもう長くはないと電伝虫ごしに今生の別れの挨拶を切り出す。
彼女の現在地は知らされなかったが、くまは迷わず能力でソルベ王国へと飛び立つ。
彼女と共に暮らした教会に辿り着くと、そこには全身が青く石のように固まってしまったジニーの遺体が横たわっており、
その傍らにはボニーという名前の赤ん坊がいた。それはジニーが天竜人に孕まされ、出産した娘だった。
見届けた村人の話によるとジニーは日光や月光といった自然光を浴びると身体が石のように固まってしまう未知の病気を患ったようで、
天竜人に捨てられた後、病で命を削られつつもボニーと共に船で王国へ帰還し、教会で力尽きたとの事だった。
くまはジニーの思いを受け、彼女の忘れ形見となったボニーを父として育てる事を決意する。
しかし地獄はこれだけでは終わらなかった。
くまは革命軍の活動とボニーの世話を両立する多忙ながらも幸せな日々を送っていたが、
ある日突然ボニーの右頬にもジニーと同じ石化の症状が現れる。
ボニーの身を案じたくまはソルベ王国でボニーの側にいてやりたいという旨をドラゴンに伝え、
ドラゴンもその意思を了承したため革命軍を離れた。
ボニーを光の届かない教会の部屋で生活させつつ、くまは島民達や革命軍の仲間の伝手を頼りに各地の医者を頼り、
ボニーが5歳になった頃、この病気を知る医者がようやく見つかったのだが、その医者によればボニーの症状は「青玉鱗」という新種の難病を患っており、
しかもまだ治療法は確立されておらず、光を浴びなくても石化は浸食して5年(つまり10歳)の余命宣告をされる。
絶望するくまだがこの会話は断片的にボニーに聞かれており、焦ったくまは「この病気は10歳までは治らないという話」と誤魔化してしまい、
彼女に「この病気は10歳になれば治る」と誤解させる事になった。
しかもその1年後、かつて奴隷政策を行おうとしたソルベ王国の国王ベコリ王が、かつてゴア王国で行われた政策を真似て南部の住人を大量殺戮し始める。
ここにきて堪忍袋の緒が切れたくまは力のままに暴れて一人でべコリ王及びソルベ軍に攻撃を仕掛け、最終的に彼を追放。
後に「一人革命」と呼ばれる事件を起こした末に、彼と入れ替わる形で住民の懇願に押される形でくまはソルベ王国の国王となった。
とはいえ、あくまでも名前だけの王で、政治自体は先々代国王のブルドッグが行う形式ではあった。
ところがここまでの仕打ちを受けてもべコリは諦めていなかったようで、
くまを「村を燃やし、暴力で王位を奪った男」としてでっち上げ、それを大々的に報道。
彼が王位を取り戻しにソルベ王国へ戻って来る事を危惧したくまは、
ボニーをブルドッグ達に託し、犯罪者となるのを覚悟でべコリの率いる海軍の艦隊を一人で壊滅させる。
この出来事を切っ掛けにくまは海賊として政府に手配され、「暴君」の異名で世界的に知られる事となるのであった。
よって「国を住人に追い出された」という世間に流布された話は、
ベコリ王のネガキャンとソルベの住民を協力者と思わせないようにしたくまの思惑により実現した物であった。
海賊となった後は青玉鱗の治療法を見つけるべく世界各地を放浪するも、
有力な情報は見つからず、タイムリミットだけが無情に近付いていた。
航海の途中でドラゴンと再会し、イワンコフがイナズマ共々投獄されてしまった事を知ると共に、
ドラゴンの意思でジニーの永久欠番となっていた東軍軍隊長の座にベティが就任する事を許可する。
放浪中に各地で世界政府の圧政を見たくまは革命軍に戻りたい気持ちを強めていたが、
一方で彼には余命までもう時間が無いボニーを見捨てるという選択肢は無かった。
そんな時、ドラゴンから シーザー・クラウンが起こした事件のせいで海軍科学班が移転を行っているという情報を与えられ、
普通なら接触する機会が無いベガパンクを頼れるかもしれないと知り、一縷の望みを賭けて彼の元に向かう。
幸いにもベガパンクはまだ世に出してない治療法の理論を確立させていたため、
バッカニア族であるくまをクローン実験の素体とする事を条件に無償でボニーの治療を引き受けた。
くまは自分のクローンが大量に生み出されるという話に多少困惑するが、
「自分のクローン達が誰かの人生を救えるのなら自分が生まれた事には意味があるのかもしれない」とこれを承諾した。
だが、ここでこの話を密かに盗聴していたサターン聖の横槍が入る。
くまがクローン兵の素体としていくら優秀とはいえ現在海賊であり今や世界に名の知れた高額賞金首であるため、
そんなくまの姿をした兵器が海軍の兵士として活動していては海軍の面目が立たないとサターン聖は指摘し、ボニーを治療する条件として、
- (エースに敗れて失脚したハナフダという男の後任として)王下七武海に加入する事
- くま自身も人間兵器となる事
- くまに一切の「思考」と「自我」を残さない事
という条件を追加するように要求。
七武海加入の件とくまの改造についてはベガパンクやくま達も渋々聞き入れた。
だが、「一切の自我を残さない」という条件には「私に人を殺せというのか」とベガパンクは猛反発するが、
元よりボニーを助けるためなら命も魂でも差し出す覚悟はできていたくまはこれを了承。
サターン聖は追い討ちをかけるように、治療完了後ボニーの身柄は世界政府が預かりボニーとくまの接触を禁ずるという条件を追加。
以上の「取り決めを破った際はボニーを奴隷とする」というくまが絶対に逆らえない脅しをかけると同時に、
くまの自我が消えた時に真の意味でボニーを自由の身にするという最低限の報酬を提示する。
これではくまが健康になったボニーと会えないではないかとベガパンクは抗議するも、くまは条件を承諾。
ただし「ボニーにはこの会話の内容を知らせず、術後は政府の施設ではなく故郷のソルベ王国にボニーの身柄を置かせて欲しい」と要求し、
それまで天竜人らしい傲慢な態度をとっていたサターン聖も「監視が居ればどこでも同じだ」とその要望を受諾。
その後くまはエースの手によって1つ席が空いていた王下七武海に加入し、
半年後にボニーを王国の教会に看護師に偽ったCP-8の諜報員の監視付きで帰して、何も知らない彼女に別れを告げた。
サターン聖の条件は直接接触する事への制限で手紙の間接的なやり取りは対象外であったため、
王下七武海として政府からの任務を全うしつつ、ボニーへ手紙を送る日々を過ごす。
しかし、手紙は監視役を務めていたCP-8の諜報員の妨害によってボニーへ届く事は無かった。
この妨害は諜報員の独断であったが *1、子煩悩なくまが手紙すら寄こさない事は島民達に不信感を抱かせるのに十分であり、
やがて不注意から看護師の正体はCP-8の諜報員という事実がボニーの面倒を見ていた島民に密かに露呈。
ここにきてボニーをくまと再会させるべく、島民達は結託して完治したボニーを世界政府の監視から逃がし、
やがてボニーは手配されて海賊として活動するようになった。
その後のくまの動向はおおむね本編の通りだが、本編より前に実はゴア王国のコルボ山を訪れてルフィと接触した事がある。
直接聞いたわけでこそ無いがゴア王国にドラゴンの子供がいる事を過去の事件で察しており、
とある任務でゴア王国に来た際に山で修行するルフィの事だと悟り、手配後から密かに動向に注目していたらしい。
また、スリラーバークにて、ゲッコー・モリアを撃破した麦わらの一味と対峙した際に、
ルフィがモリアとの戦いで受けたダメージ全てをゾロに引き受けさせた時も、
「これはおれでも気を失うかもな」というくまの独白が入っており、
どの道見逃すつもりはあったものの、くまの想定以上に抽出したダメージが大きかったらしく、
それを引き受ける事になるゾロを心配していた模様。
また、命がけで救おうとする程に部下を心酔させるルフィを「さすがはあんたの息子だ」と褒めたのは、
皮肉ではなく紛れもない本心からの言葉だったようだ。
ボニーの治療のために政府と交わした取り決めに従い続け、ボニーと面と向かって再会する事は無かったが、
程なくしてセンゴクから白ひげ海賊団幹部・火拳のエース処刑、および白ひげ海賊団との戦争に備えて七武海を強制招集する事を伝えられる。
同時にそれは自我を消される期日までもう残り僅かという宣告であった。
この連絡を受けた時くまはシャボンディ諸島近海に滞在しており、同時期に超新星として同じく島に上陸していたボニーの姿を目に収めに来ていた。
そこで天竜人を殴り飛ばしたルフィ及び麦わらの一味を目撃し、天竜人に暴行を加えるという世界のタブーを犯した彼らの行為に驚愕したくまは、
黄猿とパシフィスタに追い詰められる麦わらの一味を何としても救う事を決意。
新世界で戦える力をつけさせるべく、次々と彼らをそれぞれの修練に適した相応しい場所へ弾き飛ばし、世界政府には「仕留めた」と報告した。
そして戦争直前、明かされた通り自我は消されて殺戮機械と化したのである
(ベガパンクはギリギリまでサターン聖に抵抗しており、くまの自我を消す前も罪悪感から号泣していた)。
──上記の衝撃的な生涯は彼が予め自身の悪魔の実の能力で自身の中から外に取り出した記憶で明かされたものであり、
エッグヘッドの深部で厳重に保管されていたもの。
くまを改造したベガパンクを殺しに来たボニーが触れた事によって明かされた。
あまりに徹頭徹尾世界政府に人生を狂わされた壮絶な生き様から、読者の天竜人へのヘイトはこれ以降最高潮に達した。
くまはあくまでその力を復讐に使う事無く、戦いは常に「誰かを救う」ためだけに行っていた。
当初こそ得体の知れない存在として描かれていたくまだが、その実情はどれだけ悲惨な目に遭っても善性を失わず、
利他的という言葉を絵に描いたような聖人であった。
そしてくまがルフィに注目していたのにはもう一つ理由がある。
くまの家系…と言うよりバッカニアの家系にはニカの逸話が継承されていたのである。
ゴムゴムの実の真の名前こそ知らず、ルフィがゴムの身体を持つ能力者なのは偶然と思っていたくまだが、
正にニカの能力者とは知らないまま、ルフィにニカの逸話の通り世界を変える可能性を見出していたのだ。
友人であるドラゴンの息子という身の上も助けた理由の1つだが、同時にルフィ個人を気に入っていたのも大きな理由であった。
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