名探偵コナン 11人目のストライカー

登録日:2015/11/28 Sat 08:20:50
更新日:2024/04/20 Sat 11:22:46
所要時間:約 18 分で読めます





フィールド震撼!

その謎にニッポンが熱くなる!!


総監督:山本泰一郎
監督:静野孔文
脚本:古内一成
主題歌:いきものがかり「ハルウタ」

『名探偵コナン 11人目のストライカー』とは、劇場版名探偵コナンシリーズの第16作目である。2012年4月14日公開で上映時間は110分。興行収入は32億9000万円。

【概要】

Jリーグ20周年プロジェクトとコラボして作成された作品。
コナンが得意であるサッカーを題材にした初の作品でもあり、それに伴いコナンの世界で活躍するサッカー選手が多数初登場している。なお、レギュラーキャラクターが複数人劇場版に初登場するのは『漆黒の追跡者』以来となる。
また、実際のJリーグの18チームも全て登場していて、その中から現役のサッカー選手が何人か本人役で出演していた事で当時話題となった。

作中のJリーグ(J1)は、実在の18チームに「東京スピリッツ」と「ビッグ大阪」を加えた全20チーム構成となっており、原作で登場した「ノワール東京」は数合わせのためか今回ハブられている*1
なお、現実のJリーグでは2024シーズンから本作と同じく20チーム構成となった*2


以下、ネタバレにご注意ください。


【ストーリー】

11月6日、Jリーグが主催するサッカー教室に参加するため、コナンたちは米花スポーツランドにやってきた。
探偵団の面々は、現役のJリーガーに指導してもらえて大はしゃぎし、サッカーも上達していった。
そんな中小五郎は大学の後輩である榊良輔と再会、彼に小五郎のファンだという男性・本浦圭一郎を紹介される。
だが圭一郎は「息子の生きていた証を見ていただきたい」と息子の知史の写真を取り出し、小五郎に見せた。知史は生まれつき病弱であり、今年の8月に病が悪化して亡くなったらしい。
その事で一時沈んでしまう一同だったが、気を取り直してコナンたちはJリーガーからフリーキックのコツなどを教わった。

それから2週間が経った11月20日、毛利探偵事務所に1本の電話が掛かってくる。
その相手は「ある場所に仕掛けた爆弾が15時ジャストに爆発する」と言い、イタズラではない証拠として事務所の前に停めてあった車を爆破してみせる。
犯人は「お前がこのゲームに負ければ多くの死傷者が出る」と小五郎を脅迫し、爆弾の在処にたどり着くための暗号を教える。
小五郎はすぐに目暮に連絡をとり、協力して暗号の解明に挑むが、爆弾を見つけ出す事はできなかった。

その頃、コナンたち少年探偵団は東都スタジアムで東京スピリッツ対ガンバ大阪戦を観戦していた。
ハーフタイム中にコナンは蘭からの電話を貰い、爆弾事件と暗号の事を教えてもらう。
コナンは暗号を解き明かし、爆弾がスタジアムの電光掲示板に仕掛けられていると推理。
実際に爆弾を確認して目暮にそれを伝え、今すぐ観客を避難させるよう指示する。
自らも時間が許すまで爆弾の解除を行っていたが、爆破時刻が迫り途中で断念しその場から退避する。
コナンが退避してすぐに掲示板裏の爆弾が次々と爆発し、掲示板も落下するが、彼があらかじめいくつか爆弾を解体していたおかげで被害は最小限に抑えられ、死傷者も奇跡的に1人も出なかった。

だが数日後、探偵事務所に新たな脅迫状が届けられる。そこには「前回よりもっと多くの人たちがその場で爆発を目の当たりにするだろう」と書かれていた。
警察は小五郎に恨みを持つものの犯行と断定し、小五郎がファンであるヨーコが出演するコンサートが狙われると推測し警戒する。

それから数日経った12月3日に今度は警告文が送られてきて、そこにはJリーグの10スタジアムに爆弾を仕掛けたというとんでもない事が書かれていた。
「止めたければ11人目のストライカーとなって私の元へ来い」という文の他に「爆弾の解除方法はこの中に既に示されている」と謎めいた文があり、コナンたちは考えを巡らす。

なぜ犯人は小五郎にこのような挑戦状を次々と送りつけたのか?そしてコナンは11人目のストライカーとなって爆弾を解除する事はできるのか……?


【事件関係者】

  • 山森慎三(やまもり しんぞう)
CV:千葉繁
日売テレビスポーツ情報局部長。51歳。
サングラスをかけたどこか軽いノリのオヤジで裏のありそうな人物。口癖は「健闘を祈る」。
実は部長降格の危機に瀕しており、今度中継されるサッカーの試合で高視聴率が取れなければ降格は免れないところまで来ているらしい。
しかしたまたま試合会場で発生した爆弾事件で、爆破の瞬間が撮れた事により視聴率が一気に上昇、部長降格は免れた模様。
中の人はのちに流れ板の江戸っ子探偵を担当する。

  • 香田薫(こうだ かおる)
CV:桐谷美玲
日売新聞スポーツ芸能部カメラマン。27歳。
以前は社会部にいたのだが今年の春にスポーツ芸能部にとばされたらしく、いつか大スクープを撮って社会部に復帰しようと考えている。今回スタジアム爆破のスクープをものにしたことで、社会部復帰に一歩前進した模様。
その他にもヨーコのスクープを狙っているが、ガードが固くなかなかモノに出来ないでいる。

  • 中岡一雅(なかおか かずまさ)
CV:東地宏樹
バイク店アルバイト。21歳。
3年前に杯戸高校を全国制覇に導いた名プレイヤーで、東京スピリッツの内定も貰っていた。
だが決勝戦の1ヶ月後にバイクで事故を起こし、その時の足の怪我が原因でスピリッツ入りを断念した。
南米に渡った1年後に帰国した後は実家のある群馬でバイクによる暴走行為を繰り返す日々を送り、現在は都内でアパートを借りてバイト生活をしている。
山村には「手負いの狼」と称されていたが、その一方で南米にいた頃にはバイク店の店長に「俺、やっぱサッカーやめられねえや」とのメッセージと共に子供たちに囲まれて笑顔を見せる写真を送っており、小五郎には「見かけによらず、子供とサッカーが好きないい奴なのかも」と評されている。
世間ではチームのほうから内定を取り消されたという事になっているが、実際は己のプライドが許さず自ら辞退を志願したらしい。
中の人はのちに高木の先輩だった刑事(2代目)を担当する。

  • 榊良輔(さかき りょうすけ)
CV:中村大樹
スポーツジムインストラクター。32歳。
少年サッカークラブの監督も務めており、小五郎の母校である米花大学の出身でもある。
大学時代、リーグの最終戦でオウンゴールを決めてしまい、5年ぶりの優勝を逃すという辛い過去を持つ。
その事は今でも深くトラウマとして残っており、その事で小五郎から「オウンゴールの榊」と称された時は苦笑いをして誤魔化していた。

  • 本浦圭一郎(もとうら けいいちろう)
CV:井上倫宏
杯戸町にある町工場の経営者。43歳。
少年サッカーチームのスポンサーでもあり、息子の知史もそのチームに所属していた。
知史は3ヶ月前に他界していて、そのためか有名人である小五郎を前にしても浮かない顔をしていた。
その小五郎に知史の写真を何枚か見せていたが、そこにはどんな心境が……?

CV:吉野裕行
ビッグ大阪に所属するサッカー選手でポジションはFW。18歳。変なゴーグルやマントはつけていない。
今年ユースから昇格した期待の新人で、ワントップである比護のサブ。自称「スーパーサブ」らしい。
豪快な関西弁で喋る軽い性格の青年。簡単に言うと、サッカーが出来る服部平次といったところか。
英雄を一方的にライバル視しており、サッカー教室にいた時に記者の前で宣戦布告する。
自信家の面もあったが、爆弾を止めるためのストライカーに選ばれた時は強がってはいたものの緊張で手が震えていた。
後に原作・アニメ版にも登場するようになる。

  • 松崎幸司(まつざき こうじ)
CV:稲葉実
ビッグ大阪の監督。
警察の要請で、真田に犯人の要求どおりのプレイを指示し、彼にストライカーの印である赤いリストバンドを手渡した。
中の人はのちにある人物にゆかりある将棋関係者を演じている。

  • 本浦知史(もとうら ともふみ)
CV:雪野五月(現・ゆきのさつき
小学4年生で圭一郎の息子。
サッカー好きの少年だったが生まれつき病弱だったため、激しい運動は止められていた。
それでもチームの監督である榊の厚意によって一度だけ試合に出た事があり、その試合で見事ゴールを決める。
しかし今年の8月、東都スタジアムで行われたJリーグのオールスター戦を自宅で観戦中に心臓発作を起こしてしまい、救急車で病院へ運ばれるも治療の甲斐なく亡くなってしまう。
中の人はのちに高校生かるたクイーンを担当する。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
劇場版では毎回派手なアクションを見せているが今回は特に凄くなっている。
スケボーでの鉄骨渡りなんて序の口で、ギリギリの距離での大ジャンプやサスペンダーでぶら下がったまま爆弾解体など、かなり危険なアクションをやってのける。多分普通の大人がやっても何回か死んでる。

ご存知蘭姉ちゃん。
中学生だった頃、新一が蹴りそこなったボールを蹴り返した事があるが、その時に彼に下着を見られてしまう。
その事は今でも鮮明に覚えており、エピローグでも似たような事が起きてパンチラしてしまう羽目に(笑)。

ご存知迷探偵。
犯人からの挑戦状を受け取り、爆弾での被害を食い止めるために奔走する。
犯人の様子からすると、彼の事をかなり恨んでいるようだが、そこまで恨まれる理由とは……?

ご存知哀ちゃん。
比護のファンなので、彼にコナンがなでられた時は嫉妬して、コナンの頭を激しくクシャクシャにしていた。

ご存知天才発明家。
久々に灰原から許しをもらい、観戦用のお菓子を持って来ようとしたが、直後に比護がケガで交代して灰原の機嫌が悪くなったため、結局はおあずけに。

ご存知少年探偵団。
現役選手のコーチによりサッカーが上手くなる。
元太はこの時に英雄からサッカーボールを貰っており、それを肌身離さず持っていた。

ご存知蘭の親友。
サッカー教室の時に比護を気に入り、瞬く間ににわかファンになる。
反面他のビッグ大阪の選手は眼中になく、真田が犯人の要求どおりのプレイをしていた時は何も知らずに「この下手っぴ!」などとブーイングを浴びせていた。

ご存知警部殿。
小五郎と協力し、捜査責任者として犯人を追う。

ご存知御曹司警部。
目暮と別行動で捜査を行い、ほぼ犯人だと断定できる人物を見つけ出す。

ご存知一課のアイドル。
容疑者である中岡をマークし、彼を公務執行妨害の現行犯で逮捕して事情聴取を行う。
その結果、中岡の動機が消えてしまい、同時に彼のアリバイの証人となった。

ご存知高木君。
今回で甥っ子がいる事が判明。
彼と一緒に中岡が3年前に出場していた「雪の国立」の試合を観戦していた。

ご存知千葉君。
「8万人以上が爆発を目の当たりにする場所」という事で、汐留で行われる通称「10万人コンサート」の存在を思い出す。

群馬県警の警部。
警視庁の要請で中岡の事を調べ上げ、それを目暮に報告。
中岡を「手負いの狼」と称していたが、実際の彼の人物像はかなり異なっていた。

喫茶ポアロのウエイトレス。
警視庁の面々とは過去に何回か会っているが、今回では初対面という事になっている。
過去の事件では初対面らしき描写は無いので無理なく組み立てる場合、
今作→『見事すぎた名推理』→『真犯人からの届け物』という時系列になる。
観客への紹介の為の初対面描写とか言ってはいけない。

  • 赤木英雄
東京スピリッツのサッカー選手。
プロサッカー選手脅迫事件』以降何回か登場しているが、コナンとは今回が初対面。
コナンの抜群のサッカーセンスを目の当たりにし、白旗を上げて降参した。

  • 上村直樹
東京スピリッツのサッカー選手。
東都スタジアムでの試合に出場し、英雄とのツートップで同点に追いつく。
彼もまた『プロサッカー選手脅迫事件』で登場していたが、英雄とは違って台詞はなし。

  • 比護隆佑
CV:櫻井孝宏
ビッグ大阪のサッカー選手。
台詞つきの出演は今回が初。
コナンのプレイに新一の面影を感じ*3、彼に「工藤新一って知ってるか?」と尋ねた。
国立競技場の試合でケガをしてしまい、彼と交代で入った真田に「後は頼んだ…」と勝利を託した。


【その他】

※実在の人物には全て本人が声を充てているので声優は割愛。
横浜FCのサッカー選手で「キングカズ」の異名を持つスーパープレイヤー。
杉並運動公園でジョギングをするのが日課となっており、そこでコナンと出会う。
その時にコナンに自主練の相手を頼み、そのお礼として彼に白いリストバンドをプレゼントする。
10年前にも同じ場所でとある少年に赤いリストバンドを渡した事があり、コナンで2人目になるらしい。
香田の事も知っており、彼女に自主練の取材を頼まれたそうだが断ったようである。
三浦さんは後に『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』にも別の役で出演している。

  • 遠藤保仁
ガンバ大阪のサッカー選手。
サッカー教室でコナンにフリーキックの心得を教える。
それが終盤で重要な局面に立たされたコナンにとって大いに役立つアドバイスとなった。
他にも、マイナスで見えるような個性でもそれを活かせる方法を見つけ出せたらプラスに変えられる事だってあると、サッカー選手にとって大切な事を説いていた。大事な場面での棒読みには触れないように。

  • 楢崎正剛
名古屋グランパスのサッカー選手。
足の遅い事を気にしていた元太に、「足が遅ければ他の選手より先に走り出したらいいんだ」とアドバイスをする。

  • 中村憲剛
川崎フロンターレのサッカー選手。
探偵団に「ゲームの流れを読む力や判断力を磨かなければならない」と、Jリーガーとしての心得を説いた。

  • 今野泰幸
ガンバ大阪のサッカー選手。
楢崎や中村の言葉に賛同し、「要は足のスピードより考えるスピードを速くする事」とまとめた。

  • 宮根誠司
ニュースキャスター。
「情報ライブ ミヤネ屋」の中で、東都スタジアムで起きた爆破事件を取り上げていた*4
ちなみに、ミヤネ屋自体は以前『天空の難破船』の中で登場していたりする。
なお、宮根氏は前作に続いて2年連続でゲスト出演となった。

  • 足立梨花
タレントでJリーグ特命PR部女子マネージャー。
東都スタジアム内で、サッカーチームのマスコットについてのインタビューをしていた。



【余談】

2014年ブラジルW杯を記念したTVシリーズ第742話『Jリーガーとの約束』は本作の後日談エピソードとなっている。
上記の真田・比護・香田が再登場した(ただし比護はイメージのみ。香田も声優が白石涼子に変更されている)。
なお、真田と香田は綾小路文麿以来の劇場版からアニメに登場したキャラクターとなった*5
香田はこの頃には社会部に復帰していたが、真田に個人的に興味を持って取材を続けていた。
更に浦和レッズから槙野智章が本人役で登場している。(実は槙野は名探偵コナンのファンだったので本作にも出演したかったそうなのだが、スケジュールの都合で断念していた。)

また、今作において爆弾で崩壊した東都スタジアムだが、後に『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』にて完全に復旧している事が判明。
しかし、その復旧計画にある犯罪組織が関わっていたために、またも事件の舞台となってしまう事に……

この次の作品から、平次&和葉キッド世良赤井安室(この映画公開時はまだアニメ版未登場)、京極黒の組織のうち誰かが映画に登場するようになっており、彼らが登場しない映画ではこの作品が今のところ最後となっている。

2018年7月14日に放送されたアニメオリジナル回である『Jリーグの用心棒』で今回ゲスト出演した遠藤保仁選手が再登場している。よく出演オファー出したな
この回には赤木英雄も登場しているが、赤木役の辻谷耕史氏が放送の3ヶ月後の2018年10月に急逝した為、劇場版では今作、アニメでは『Jリーグの用心棒』が辻谷氏の演じる赤木の最後の出演となった。





追記・修正は、クロスバーの真ん中にボールを当ててゴールを決めてからお願いします。



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最終更新:2024年04月20日 11:22

*1 一応パンフレットの比護の紹介で名前だけ登場している。

*2 ただし、2020年シーズンは降格なしの2チーム昇格という特例ルールだった為、2021年シーズンのみ本作と同じ20チーム構成となり、J2への降格もこのシーズンのみ下位2チームではなく4チームとなっていた。

*3 このシーンで『迷宮のフーリガン』で描写された中学3年生の新一に会いに行った場面の一枚絵が使用されている。その場面で腹違いの兄である遠藤陸央も登場している。

*4 台詞はないが、川田裕美(当時、読売テレビアナウンサー)も登場している。

*5 なお、真田は綾小路より先に原作にも登場している。