倶利伽羅天童(遊戯王)

登録日:2022/05/01 Sun 15:51:07
更新日:2025/01/14 Tue 22:55:25
所要時間:約 9 分で読めます




とある神が顕現した折の少女の姿()
少女が見据える世界は、救済するに値するか否か()
答えは未だ出ていない()

倶利伽羅天童(くりからてんどう)とは、遊戯王OCGに登場するカードの一枚である。
2022年4月発売のパック「POWER OF THE ELEMENTS」にて初登場した。同弾のホログラフィックレアも務めている。
なお遊戯王OCG公式データベースと遊戯王マスターデュエルでは「」の字が異体字の「」(右側の「目」と横棒がくっついている)となっているが、ここでは印刷されたカードの表記に従う事とする。
要するに地名の「倶利伽羅」とは違うのである。なんでそんなややこしいことを…。


【性能】

特殊召喚・効果モンスター
星1/炎属性/天使族/攻1500/守1500
このカードは通常召喚できない。
このターンに相手のモンスターゾーンで効果を発動した自分・相手フィールドの表側表示モンスターを全てリリースした場合のみ特殊召喚できる。
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードの攻撃力は、このカードを特殊召喚するためにリリースしたモンスターの数×1500アップする。
(2):自分エンドフェイズに、相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

新しく登場した美少女カード。
イラストに描かれてるのは巫女服を着た可愛らしい女の子だが、その後ろには彼女の背丈以上の大きさの大剣と、それよりも大きな竜が描かれている。
そのふつくしいイラストに加え《原始生命態ニビル》のように見える豪快な効果から発売前から注目されていた。

が、よく見ればそれは盛大な勘違いであり、どちらかというと「壊獣」に近い性質である事がわかる。
相手フィールドで効果を発動したモンスターを全てリリースして特殊召喚する。とだけ書かれているが、これは単なる「召喚条件」であるため自分のターンでしか使えない。ややこしいがそういう事なのだ。
また壊獣や《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》のようにリリースできるカードを選べるわけではなく「効果を使ったモンスター」を「問答無用で除去する」形になる。そのため思ったより除去できなかったり、逆に余計なものまでリリースして墓地効果を発動される可能性もある。
とはいえ、《原始生命態ニビル》や壊獣と違い、除去と引き換えに相手を利する要素がなく、それどころか高打点モンスターを出せるのは魅力的である。
モンスターがリリースされるだけでもキツいのに、リリースしたモンスターが1体でも攻撃力3000、2体だと攻撃力4500が奇襲してくるのは相手にとって溜まったものではない。
つまり刺さる相手へのアドバンテージは絶大だが、その分腐りやすいピーキーなカードと言えよう。
書いてあることがややこしく理解しにくい意味でもピーキーとも言える。

なので使い方としては《フルール・ド・バロネス》や《崇高なる宣告者》と言った、こちらの効果を封じる制圧モンスターにわざと無効化を使わせた後に消し去るというのが基本。
だが、大抵の妨害効果は1ターンに1度であり、先に撃たせる必要がある時点でありがたみは7割減である。
ぶっ刺さるのは、蟲惑魔クシャトリラのような「制圧とは別に相手ターンに効果を発動する」ギミック。
蟲惑魔の場合は罠は残してしまうが、アド取りも妨害も1枚でできる凶悪モンスターなんかはいいカモである。
なお、壊獣同様に召喚効果はチェーンブロックを作らない効果なので、《墓穴ホール》を構えられようが確実に除去は可能。
特にクシャトリラは相手ターンでも使える強力な除外効果を有しているモンスターが主戦力であることや、《クシャトリラ・アライズハート》の②の効果である除外されたカードをX素材にする効果は強制効果のため、場をガラ空きにすることも夢ではない。
なのでOCG、MDともにクシャトリラの規制が進みみんなが喜んでいる中で唯一嫌がっている子とネタにされることもあったとか。

またターン1制限が(2)にしかないので、彼女を特殊召喚後、相手が《倶利伽羅天童》を除去しようとモンスター効果を使用したりした場合、手札に2枚目があればまた特殊召喚が使える。
カードに選ばれすぎて2枚手札に来た時はワンチャンそれに賭けてみるのも良いだろう。
逆に彼女を《強制脱出装置》などの手札バウンスで処理したら2回目が飛んでくる可能性があるので注意しよう。

そして忘れがちだが(2)の効果も強力。相手モンスターを1体蘇生できるのだ。
フィールドを荒らした後、彼女の効果でリリースした制圧モンスターを蘇生できればしめたもの。そうじゃなくても相手の展開の要を奪う妨害もできる。
エンドフェイズとタイミングは遅いが、決まればゲームエンドも十分に見えてくるだろう。

また天使族、レベル1、攻守1500というステータスもサーチしやすく非常に優秀。
彼女をサーチすれば相手には重大なプレッシャーを与えられるだろう。


後述するように肝心要の「除去としての確実性」を欠いているので、登場してから当分の間は「決まれば強い一発芸」「リターンは大きい分の悪いギャンブル」といった具合でトーナメントレベルでの評価は低くかった。
このカードが注目されるようになったのは、スプライトに加えてクシャトリラピュアリィが台頭してから。
こいつらはフィールド上で展開したカードの効果をスタンバイフェイズやメインフェイズの最初の方に使う都合上《倶利伽羅天童》は非常にぶっ刺さるのである。

そして2023年3月登場のデッキビルドパックに登場した新カテゴリ【VS】においては
  • 手札に炎属性を握っておきたい特殊な事情がある
  • 後攻制圧に弱いVSにとって捲り札の存在は重要
  • スモール・ワールド》の弾になる
  • 【VS】自体も相手ターンで動きまくるデッキなので、単純にこのカードがぶっ刺さるデッキが増えた
と言った理由から評価されている。

良くも悪くも環境によって強さが左右するカードであるといえる。
現在は炎属性レベル1を安易にサーチできるカテゴリ【スネークアイ】によってこのステータスが大いに活かされサーチしやすいという特徴を得た。
《ワンチャン!?》などのレベル1サポートカードもより使いやすくなっており、遂に時代が到来している。
勿論他のデッキに無条件で入るほど汎用性があるわけでもないし刺さらない相手には以前刺さらないが、ここに来てようやく隠された実力が発揮されることとなっている。


【このカードの弱点】

あくまで対象は「この(=自分の)ターンにフィールド上で効果を発動したモンスター」のみなので、通常モンスターや相手ターンに効果が発動したモンスター、
自分ターンに影響が及ぶ物でも、永続効果や墓地・手札・除外ゾーンで効果が発動するようなモンスターを処理できない。
また、相手がこのカードを警戒して、狙いたいカードの効果を発動しないという事も十分に考えられる。
それから、壊獣や《原始生命態ニビル》と同じく特殊召喚やリリースを封じられるのもきつい。
現在の遊戯王は相手ターンにも効果をバシバシ発動してくるものが多いが、実際のところは手札や墓地での効果も多いため思ったより通らない。
フィールドで使われてもカードがいなくなっている、なんて事も起こり得る。

この辺の「除去対象が限定的」という弱点は登場当初の評価の低さにも繋がっている。
どういうことかというと、同じくPOWER OF THE ELEMENTSで登場した同期のティアラメンツと相性が悪い
ティアラメンツは魔法や罠による制圧を駆使し、効果を使う際は墓地、更に使った当人もフィールドに残らない。「相手フィールド上で効果を発動したモンスター」にしか刺さらない《倶利伽羅天童》は、イシズを相方に得て11期の問題児筆頭格として猛威を振るったティアラメンツ全盛期では手札で腐りやすく、評価を落としていたのである。
他にも純正【エルドリッチ】相手に使っても、手札・墓地効果しかない《黄金卿エルドリッチ》と罠モンスターばかりがフィールドに出てくるのでまず腐るだろう。

その性質上、相手のデッキを見定め投入するかしないかを決められるサイドデッキ向けのカードであり、シングル戦で使う場合は相手が刺さるデッキであることを祈るしか無い。
しかし相手にモンスターを残さずこちらに高ステータスカードを降臨させ、なおかつエンドフェイズまで生存させることができれば相手限定の《死者蘇生》もできるため、リスクに応じたリターンはしっかりと返せるカードと言えよう。

今一度、類似カードまとめると以下の様になる。
デッキや環境によって採用するカードを選ぶと良いだろう。


【余談】

「倶利伽羅」はサンスクリット語のクリカ(Kulika)の音写でありインドでは八大龍王の内の一王の名として扱われている。
他にも「大剣に巻き付いた竜」を意味する事もある。要するにおみやげ物屋に売られてるかっこいいキーホルダーのアレ。
そして「天童」とは「仏法守護のため、子供の姿に変身して人間界に現れた天人または鬼神」もしくは「祭礼などのとき、天人の姿に扮する少年少女」との事。よしみではない。
意外にも遊戯王OCGでは初めての和風の巫女服姿を身に纏った少女のカードでもある。(一般的な巫女服とは細部が結構違うが)
ちなみに設定資料によると浮いて移動するらしい。

2022年12月に発売された「SECRET UTILITY BOX」いわゆる年末箱にもピックアップされたカードの1枚。
またマスターデュエルでは演出有りのカードとして実装されただけでなく同時にスリーブとアイコンも発売された。
イマイチ使いづらいがそれでも彼女の見た目に惚れたデュエリストなら使ってみるのも如何だろうか。



追記・修正はこのカードで相手フィールドのモンスター6体をリリースしてからお願いします。

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最終更新:2025年01月14日 22:55