ラカン・ダカラン

登録日:2024/09/22 Sun 08:00:52
更新日:2025/04/27 Sun 10:07:23NEW!
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外に伸びる道路は全て塞げ!

コロニーのエサになるネズミは多い方がいい!


ラカン・ダカランとは、『機動戦士ガンダムΖΖ』の登場人物。
ややこしいがラカン・ダラカンではない。
CV:大林隆介


【概要】

ネオ・ジオンの将校であるベテランパイロット。
一年戦争時からMSに乗り最前線で戦い抜いてきた歴戦の勇士であり、強面の表情も相まって強敵の出で立ちをしている。
だが同時にプライドがやたら高く、同僚と衝突することも多い他、油断して不意をつかれてやられるというパターンも多く「強いんだけど人格に難あり」なネオ・ジオン将兵らしいキャラクターといえる。
その「難あり」の部分がまだ笑える他のキャラと違い「笑えない」辺りが、ある意味ではコミカルからシリアスに変わった「ガンダムZZ」を表しているとも言えるが。

戦闘時にもノーマルスーツを着用しない自信家であるがそれに見合った実力も持っており、オールドタイプの中でも最強格のパイロットして扱われている。
ネオ・ジオン将校として登場しドライセンを駆りジュドー達を苦しめる強敵であり、辛うじて倒したところで脱出して生き残るしぶとさも持ち合わせている。


その本質は良く言えば命令に忠実な軍人、悪く言えば残虐であり、ダブリンへのコロニー落としの際には「逃げ道を塞いでできるだけ犠牲者を増やすように」という卑劣な命令を喜んでこなしており、特に病院船のマークを何度も確認した後にほくそ笑んでそれを撃ち落とすのはまさしく外道。
序盤はコメディキャラ、再登場した後も虐殺を苦悩しながらも苦々しく実行する無情さを表現したマシュマー・セロとは違う、わかりやすい悪役である。
また初代ガンダムから登場していたハヤト・コバヤシを殺害したのも彼であり、主人公ジュドーや視聴者の怒りを買っていた。
危険な状況でも戦いを続けようとする戦闘狂めいた一面もある。

それでもネオ・ジオンの実質的なリーダーであるハマーン・カーンにマシュマーらと共に忠誠を誓っている風に見えていたが、『地球の支配権をやる』というグレミーの甘言に釣られ離反。いくらベテランで腕利きとはいえ、ラカンは佐官ですらない大尉である*1。階級が問題にならない程の声望があったのだろうか…。
もしくはアムロ・レイのように何らかの理由で士官学校を卒業せずに軍人になったか。
どちらにせよ釣り餌にしてもとんでもない高報酬であり、地球が反故でもそれに準じた見返りを要求できるなら仕方ないと言えば仕方ない。
とはいえ、返っておぼっちゃんぶりを再認識したのか、グレミーのことは「若造」と見下していたが。
高性能量産機ドーベン・ウルフで結成された「スペースウルフ隊」を率いて、エゥーゴ、ハマーン派を大いに苦しめる。
しかし戦闘のさなか、マシュマーを嘗めて掛かり敢えて部下になぶり殺しにさせるような事をしていたら、突如彼は力を暴走させ部下を道連れに爆死する。
更にマシュマーの仇討ちに現れたキャラ・スーンに残った部下も全員倒されてしまう。
孤立状態となってもなお戦うことをやめず、偶然通りかかったジュドーを奇襲で仕留めようとするも返り討ちにあい

「何故だ!?あれには子供が乗っているんだぞ!」

と自らの敗北を認められないまま爆風に消えた…。

小説版ではマシュマーが早々に死亡、キャラ・スーンがゴットンと駆け落ちしてフェードアウトしたこともあった為かΖΖガンダムのハイメガキャノンで部下ともどもまとめてふっとばされるという雑な処理で物語から退場した。

確かにMS操縦の腕は見事であったが、それ以上に度の過ぎた傲慢さと残虐性を持ってしまい破滅するという、「古いダメな大人」「腐ったジオンの軍人」を体現した人物と言える。

しかし時系列は前後するがシャア・アズナブルがアクシズにいた頃はまだまともな性格であり、自らの実力がシャアに劣ることを自覚し囮を買って出たり等、気骨のある武人としての側面も持ち合わせていた。
シャアが抜け、アクシズに若造しかいなくなって増長してしまったのだろう。

一応ZZ放映時もまだ子供であるプルツーの実力を認めウマがあったり、また「U.C.ENGAGE」ではペッシェを(出頭命令がなければ)鍛え直すとコメントしたり送られた資料を見てかつてジオンのフラナガン機関で行われていたことに「吐き気がした」というなど、身内の少女に対しては彼なりの気遣いを見せていた。ペッシェはナナイより年上だが*2

そんな美点もありながらも最終的にはそれらも失った…なまじ半端に腕前があったのが彼の最大の不幸と言えるだろうか。


【ゲームでの活躍】

腕利きのベテランパイロットではあるものの、ZZが登場しているゲーム作品でもプレイアブルキャラになることも少ない。

スーパーロボット大戦シリーズにおいては「敵の残虐な軍人でありながら強敵」という、三輪長官レベルに使いやすいキャラクターのせいか、妙に出番が多い。
特にスーパーロボット大戦Rではネオ・ジオン地上軍の指揮官という立場故にしょっちゅう登場する。
フロスト兄弟等のガンダムXキャラとの絡みが特に多い他、気取った台詞も多く妙に印象に残りやすい。個性豊かな面々にいちいちツッコミを入れる常識人に見えなくもない。

ウィンキーソフト時代では「冷静で仲間も気遣う武人じみた軍人」として描かれており、正直半分キャラ崩壊している。原作のような悪逆非道な面はほぼない、せいぜいFの終盤で人質作戦をやったぐらいだが、ロンドベルの歩兵部隊にしてやられ、さらにマシュマーが「こんな作戦性に合わん」
と人質を勝手に解放したため惨事にならず、マシュマーに毒づいた物のそれで話は終わる。
しかもニュータイプ技能まで持っていることもあった。
ただこれはと特殊技能の無かった旧作ではゲーマルクに乗っており、リメイク版のコンプリートボックスファンネルを使わせるための処置と思われる。
同じような事をザビーネ・シャルもされている。*3
妙に自軍運用の機会が多いドーベン・ウルフ共々この高待遇。もしかして彼のファンがスタッフにいたのだろうか…?

またスパロボEXでは異世界に召喚されて元居た軍のしがらみがなく、元居た世界に戻るためにプレイヤー部隊と一時共闘の形でNPCとなる。
その流れか不明だが似たような作風であるスーパーロボット大戦Xでも生存し、自軍に声援を送ったりグレミーをからかったり、DCLシナリオではヤザン共々食い詰めた豪快な流れの傭兵と化し、こちらも少し茶目っ気のあるおっちゃんのように描かれて生還している。

現在はサービス終了したスマホゲーム『スーパーロボット大戦X-Ω(スパクロ)』でも敵として登場。
グリプス戦役宇宙怪獣などの異星勢力の襲来で中断、ネオ・ジオンとティターンズは双方健在のまま、クワトロが新生ネオ・ジオンを結成することなくエゥーゴを去った」
という衝撃の設定から始まる期間限定イベント「起死回生のシャア」では、アムロと、アムロと和解したシャアに
「赤い彗星とガンダムが揃い踏みか!相手にとって不足はない!」と潔く挑みかかっていったはいいものの、ハマーン率いるネオ・ジオンのアクシズ落とし阻止のために急いでいたシャアには無視され、
シャアに気を取られたところに、アムロのバズーカの有線操作を使った罠でインターミッション中に瞬殺されてしまう…というかなりあっけない扱いをされた。
とは言えこのシナリオでは味方扱いのギュネイ・ガス代役でもあり、腕利きである彼でないと務まらない役割ではある。

そして妙にヤザン・ゲーブルと組むことが多い。
一年戦争時代から戦い続けるベテランパイロットで戦闘好きな一面があるという共通点の為だろうか。
しかし民間人の犠牲を嫌い非戦闘区域に入り込むだけで焦るヤザンと、逆に民間人すら笑みを浮かべながら焼き尽くすラカンという決定的な違いもある。
ただヤザンと組んでいる作品ではラカンも割と話がわかるキャラとなっている。

しかし、スーパーロボット大戦Vではヤザンが自軍入りするのに対しラカンは原作さながらの戦争屋の側面とジオンの怨念を持った敵として登場し、ライバルのような関係となっていたり、
スーパーロボット大戦Tでも仲間になることなく終始敵として立ちはだかる。

とまぁ基本シリアスなキャラなのだがスーパーロボット大戦Operation Extendケロロ軍曹に撃墜された際に
「なぜだ!?あれにはカエルが乗っているんだぞ!」と変なこと言っても妙に様になったりするのも彼の魅力と言えるだろうか。*4
それとは別に同作においては不殺主義のキラに対し戦争屋として独自の哲学をかかげつつ対峙するという、シリアスな見せ場もある。
まぁキラ側の原作がいわゆるいるだけ参戦なせいで、ガンダムという以外全く別作品のキャラ同士がライバル関係になるのはその時点でシュールなギャグみたいだけど*5

やや穿った見方をすれば、ΖΖのネオ・ジオン軍人で近いポジションのマシュマー・セロやキャラ・スーンが、前半は半ばコメディ→後半には哀しき強化人間という反転系悲劇キャラなので、台詞が多い類のシリアスや汚れ役を演らせにくいのだと思われる。
その上スパロボではトップのハマーンがプル達にも匹敵する頻度で当たり前に自軍入りするようなヒロインじみた形に育ってしまったので汚れ役どころではなく、尚更ラカンが「善いも悪いも幅広く演り、腕がたち野心もあり、戦死も問題ないシリアス軍人」として確立できた事で助かっているのだろう。
都合上のスパロボ補正の一種だが、スパロボならではの要素で存在感を稼ぐ事になったのは、本来もっと大ゴマのグレミーが原作準拠の細かい見せ場にあずかれずイマイチ輝けないのと対照的とも言える。脇役の男パイロットの中ではヤザンと並び、存在感の厚遇につながる補正が多い1人と言って良い。

ギレンの野望シリーズにはアクシズの脅威から登場するが、凄く目立つマシュマー等と比べるとあんまり台詞がない。
イベントでの一時離脱等が無いので使用期間は長い。ただ、コロニー落としイベントでも特に出番は無い。
アクシズ・グレミー編のエンディングでは、彼の理想が叶う展開もある為、ないがしろにされているわけではない。

一年戦争からのベテランエースだけあって、能力値は流石に高い。格闘・耐久が伸びる傾向にある。
原作で搭乗したザクⅢや、敵対したザクⅢ改とは相性がいい。しかし、射撃に伸び悩むのでドーベン・ウルフとはミスマッチ。あれには私が乗っているんだぞ!
部隊長を務めた描写からか指揮能力もなかなかで、脅威Vでは少佐故に指揮バグ*6の恩恵を受けて部隊全体を率いてくれる。

主な出番はアクシズ、アクシズ・グレミー編。
両者共に初期から頼れるエースとして活躍が見込める。しかし、グレミーが反乱を起こした場合は離脱する。
IF展開でグレミーが反乱を起こさない場合や、アクシズ・グレミーでは最後まで使用可能。
ジオン公国編では、他のアクシズ増援と同様に一時所属。
デラーズ・フリート編ではアラインメントでグレミーと共に加入するが、80ターン目とかなり遅い。

機動戦士ガンダム Extreme vs. 2では遂にプレイアブルキャラとして参戦。乗機はドーベン・ウルフ。
ΖΖ系キャラとの掛け合いは勿論あるが、原作では無かったエルピー・プルへの反応などが見られる。
だがこの時期に参戦したキャラとしては他作品との掛け合いが少なく、ヨナ・バシュタと僅かにある程度。

「U.C.ENGAGE」では前述の通りペッシェとの交流が描かれている。
ネオ・ジオンに出戻った彼女を自分の部隊で預かり、戦闘前にもかかわらず他の事に考えが回っていた彼女に活を入れていた。
袂を分かった後、グレミー軍の一員としてペッシェが所属するニュータイプ研究所に襲撃を仕掛けた際には彼女と遭遇。予期せぬ再会に困惑するもあくまで敵同士として交戦する。戦闘後は彼女と言葉を交わし、撤退する。


【名台詞】

さてこれだけなら「凄腕だけど悪人のおっさん」くらいの立ち位置であるが、彼の知名度に一役買っている名台詞がある。
それが「何の光ィ!? 」である。
交戦していたマシュマーが力を暴走させ激しく光りだした時に叫んでしまった台詞なのだが…

  • 率直すぎる感想
  • 流れ自体もマシュマーが謎の光を発して爆発するというものなので視聴者も同じ気分になる。
  • 「何が光った!?」「一体何が起こっている!?」という台詞ではなくなぜか体言止め
  • 大林氏のめっちゃくちゃ狼狽した演技
  • 「何かが光った」だけで使える汎用性の高さ

と言った理由から、ZZガンダム放映から35年以上経過しているのに未だに動画などで使われてたりする。
公式もこの台詞がネタにされていることを知っているのか、ガンダムブレイカー4でもガンダムキャラの台詞をパロディしまくるキャラが発してしまった。

ただ1つだけ補足するとこれは単なる感想であり、この台詞を言って死んだわけではない。
ラカンが戦死したのは次の46話である。


類似語に∀ガンダムにてメシェーが発した「何かわかんない光」という発言もあるがそっちは知名度が知名度なので余りネタにされない。けど某動画の記事にはある。
他にも伝説巨神イデオン聖戦士ダンバイン戦闘メカ ザブングルと言った富野節溢れる作品には出てくるが、発言者は大体女性である。(男性は「何の光?」と語尾がつくことが多い)
またZZ本編でもラカンの前にビーチャも言っている。
だがかなりうろたえて言っているのはラカンのみであり、故に名台詞となり得たのだろう。

ラカンの代名詞ともなった「何の光ィ!?」だが、余り他のゲームで使われている様子はない。
それなのに有名になったのもなんだか印象深いと言えるだろう。












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最終更新:2025年04月27日 10:07

*1 もっともアクシズ・ネオジオンでは階級を表現される人物自体少ない。ハマーンが摂政という曖昧な立場だから階級による箔付けを抑えたのだろうか。

*2 フラナガン機関の実験に関してはラカンをドン引きさせることで相対的にそのヤバさを示す目的もあったかもしれない

*3 とはいえザビーネは原作の時点でそれらしき傾向があり解釈に別れるところであり、スパロボシリーズでも第2次αまでずっとニュータイプ扱いであった。

*4 子供キャラに倒されると原作通りの台詞を言う

*5 まぁ、『D』でゼクスとゴッドワルドがライバルとかやった過去もあるので昔のスパロボっぽいという意見もある。

*6 少佐以降に発生する指揮範囲が巨大化、大将と同じ範囲になるバグ。