ハードウェア上の限界とは、主にレースゲームなどで見られる「ゲームパッドの操縦限界」のことを指している。 他のゲームでも通じる言葉であり、また同じ言葉で「エミュレーションが出来る限界」の意味合いで使われることもある。
概要
基本的に家庭要のビデオゲームでは、どんなプレイヤーでも遊べるようにするため、ハードウェア標準の「ゲームパッド」を標準にして開発を行っている。
このため通常はハードウェアによる差は存在しないはずだが、レースゲームにおける『ハンドルコントローラー』や、格闘ゲームなどの『アーケードコントローラー』などの専用ハードウェアによって、そこに差がどうしても出始めてしまう。
顕著に出やすいのが『グランツーリスモ』であり、特にライセンス等ではハンドルコントローラーを前提にした開発をしてしまうため、ミッションも含めてゲームパッドではほぼ無理ゲーレベルの超高難易度ゲームと化してしまうのである。
基本的に専用コントローラを要求する場合は、専用のコントローラをソフトウェアと一緒に付属しているか、或いはハードウェアの付属したものであるかに限られる。
その際に「専用のコントローラ」は最低限のデバッグにしか使われず、ゲームパッドでもクリアできるようにはしているはずではある。(「専用コントローラ」基準ではなく、ゲームパッド基準にすべきである)
限界のタイプ
ゲームそのものがプレイできないもの
ゲームパッドでは表現できないソフトウェアとか。 この場合は専用のハードウェアでしかプレイできないパターンが多いので、問題にはならない。
- 『EyeToy:Play』などの外部パーツを専用とするソフト
同作品はPS2のEyeToyを必要とするため、これがないとプレイできない。 こういったソフトウェアついてはそのハードウェア専用に作られているため、基本的に難易度に差は出ないと言われている。
またEyeToyでなくとも、他のゲームハードでも見られることであり、一部のデバイスではエミュレーションすら困難になるとも言われている。(アーケードでしか遊べずに家庭用への移植も困難になるというゲームもこの1つといえる)
オービュロンステージにおける「二刀流」はヌンチャクコントローラを必要とする。 それがないとプレイすら出来ないという問題がある。
ちなみに『まわるメイドインワリオ』も事実上のエミュレーションが困難なソフトウェアとされており、それどころかゲームキューブでのプレイですら困難なゲームでもある。(ゲームキューブ本体を回す必要があるため)
難易度に大きな差が出てしまうもの
理論づけている「ハードウェア上の限界」で問題になっているもの。 特にレースゲームの『グランツーリスモ』シリーズが明らかな問題を抱えている。
特にライセンスモードやミッションレースといったもの。 ハンドルコントローラーの有り無しだけで難易度がまったくもって異なるため、毎度のように「ゲームパッドとハンコンによって難易度の変動をするとかの処置をせよ」という意見が絶えない。
『グランツーリスモ』以外にも『免許をとろう!』でも付属のコントローラーがないとあまりにも難しすぎるゲームもある。
ちなみにGT以外にもリアル系のレースゲームはハンドルコントローラーがないと難しいものが多いのだが、稀にハンドルコントローラーだと難しいゲームも存在している。
(特に『バーンアウト』シリーズや『ニード・フォー・スピード』シリーズは、むしろゲームパッドじゃないと対処できない危険性が孕んでいる)
感覚によってはゲームパッドよりも専用のタタコンを使用した方が点数が出る可能性があると言われている。 アーケードゲーム出身という特性である以上、タタコンを使った方が実践的な練習になるため、そちらを使用した方が良いとは言われている。
- 『電車でGO!』や『Train Simulator』などの鉄道運転ゲーム
鉄道運転ゲームにおいては特にPC移植になるとキーボードの特殊操作が可能という観点がつきまとってしまい、専用マスターコントローラーよりも明らかに高度なプレイが可能となってしまっている。
とはいえ「専用のコントローラがあるともっと面白い!」という、現実的な運転を好む側面が強いため、今のところ問題にはなっていない。 また、どちらの作品もゲームパッドをベースにしているので、そうした問題は基本的に起きないとされる。
そういう意味合いではレースゲームも同じで特に『マリオカート』や『リッジレーサー』、『GRID』といった作品ではハンドルコントローラーは歓迎されている。
ただし『グランツーリスモ』シリーズ以外は「ハンコンではなくゲームパッドを基準に難易度を決めている」ので、あくまでも追加要素でしかなっていない。
あるイベントでメモリカードが2枚必要になるイベント。 ゲーム側は「友人と一緒にプレイすること」を想定したイベントと思われるが、ほとんどは1人で2枚のメモリーカードを使用することが多い。
ちなみに「複数のメモリーカードを要求する作品」は他にも存在している模様。
- アーケードゲーム等における「4方向」の家庭用移植など
一部のアーケードゲームにおいては4方向のレバーだというのに、家庭用では8方向だったりキーボードによる同時入力があるためほぼ再現が不可能になってしまうという現象。
今のところ「4方向のコントローラー」となるものは一応あるといえばあるが、コストが高かったり、そもそも売っている数が少なかったり、他のゲームに使えないという三重苦の方が先行してしまうため、ほぼ諦めているところが多い。(というかユーザー側は気にしていない?)
ゲームの進行を妨げるもの
難易度どころかゲーム進行そのものに影響がでてしまうもの。 基本的にこういった作品はクソゲー認定される可能性が非常に高い。
前述したように『GT6』では「GTカートチャンピオンシップ 125 Shifter」をクリアしないと進行しない可能性が存在する。
(ただし高難易度という意味ではなく、別なイベントをプレイするという意味からこれを無視して次に進んでいたので、ゲーム進行をすることは可能ではある)
メリル・シルバーバーグとの通信を取る時に「パッケージの裏」を参照するシーンが存在しておりパッケージが無ければゲームが実質的に進まない可能性が存在する。
当時は「ハードウェアレベルのプロテクト」という意味合いだけでなく、メタ的なネタもあってユーザー側からは歓迎されたが、PS Storeなどのダウンロード販売が長らく行われなかった原因の1つにもなってしまっていた。
(ダウンロード販売によって「パッケージ」が物理的に存在しないため、パッケージの裏と言っても何のことなのかよくわからないということである)
なお紙レベルによるプロテクトは他作品にも存在しており、単純なプロダクトコードだけでなく、ゲームの世界観にマッチした道具そのものでプロテクトするという手法も存在している。
ネタは『メタルギアソリッドⅤ』にも継承されているが、こちらはミッションそのものが独立したものであるためそこまでの問題にはなっていない。
また『MGS』では「ステレオかモノラル」かによって難易度が少し差が出てしまう可能性があるという助言(無線)すら存在する。(ステレオとモノラルの出力によるものなので無理もないかもしれない。ネタとしての意味合いが強いので、あえてモノラルにする人も居るとか)
対処法
対処法というよりも専用ソフトウェアであればそれ用のハードウェアを購入してもらうしか対処できない。
この場合はハードウェアの限界と言っても仕方がなく、むしろこれらの付属ハードウェアで何か別なものが使えるかどうかなどの模索が入ってしまう。 しかし難易度に大きな差が出てしまうものについては対処法が存在しており、2つの対処法を示している。
- 必要最低限動く環境で操作し、それを基準にしたゲーム難易度を決める
PCゲームであればキーボードとマウスが基準、PSなら「デュアルショック」を基準とするように、どうしても専用のハードウェアを「必要」とする場合はその旨をどこかに書いておき、それがないとプレイできないような処置を取らせておく。
コントローラを使用する場合のクリア条件とハンコンを使用する場合のクリア条件を別々にすることで、ハードウェアにおける純粋な難易度差をなくすという方式。 一部作品では難易度ランクがそのように調整されているものがある。
意味の異なるハードウェア上の限界
これまで記述してきたのは「インタフェース」による限界ではあるが、ゲームなどの世界でもハードウェア上の限界は他にも存在している。
特に『R-Type Final』や『グラディウスⅤ』における処理落ちや、弾幕シューティングゲームにおけるフレーム避けや弾数表示限界などシューティングゲームでよく見られる。
それこそ『グランツーリスモ』に限らずレースゲーム全般に言えるAIの限界なども存在しており、近年の作品ではそれが顕著に現れだしている。
『メタルギアソリッド』における「ヒデオ」についても、現代のディスプレイとそぐわないといったハードウェア上の限界も見られる。 こればっかりは「表示信号なしにでもしないと無理な話である」としており、またゲーム上の演出なのでそこまで問題氏されていない。
ここ最近はハードウェア上の限界は見られず、むしろ人間側のハードウェア側……というよりソフトウェア側に限界が来だしている事実もある。
どれだけハードウェアが向上してもそれを使う人間側がついていけないといった問題であり、近年の「グラフィックだけのゲーム」や「ムービーだけのゲーム」がそれにあたる。
これについてはアダルトゲームの世界でもよく見られ、特にAVなどにもおける「ソフトウェアでしか味わえない何か」は現時点の技術ではどうやっても解決できないらしい。
レースゲームにおける「G」
近年のレースゲーム……とくにドライビングシミュレーターと呼ばれるものについては、G以外のものはほぼ再現できていると言われている。
このため「サーキットでこの車で走りたいよ~」という案件には、「虹色に光るゲーミングPCとハンドルコントローラーのセットを買って『アセットコルサ』でもインスコしてどうぞ」という解答しかもらえなくなってしまっている実情がある。
(特に峠の走り屋等における「サーキットでやれ」という常套句に対する皮肉とも言える群馬スポーツサイクルセンターにおける「逆走事件」も存在しており、本当に「サーキットで走れ」という言葉に効力があるのかという疑問すら出ているのも関係している)
ハイエンドに求める人間なら、油圧式で制御するアームを追加して『タイムショック』のように動かすものや、前に送風機等をつけて「風」を擬似的に感じさせる方法もあるといえばある。
アーケードゲームでも『スリルドライブ3』のシートベルトのような機構も搭載されているが、これらもすべて「擬似的なもの」でしかなく、実車における「本物のG」を体感することは2021年現在の技術では不可能となっている。
(『攻殻機動隊』などのように電脳化等をして直接神経接続してGを体験させるような信号を送りつける機械か何かがあれば別だが、倫理的にも安全性的にもとても心配ではある)
なおレースゲームだけでなく鉄道運転ゲームやフライトアクション等でも同様の問題が起きるが、頑張れば購入できるレベルの自動車とは違い、通常の方法では購入が困難すぎる戦闘機や旅客機の話なのであんまり上がることはない。
この問題はまさしくレースゲームにだけ起こりうる宿命とも言える問題でもあり、それを踏まえてどうするかが今後の課題といえるだろう。
デジタルピンボールの限界
特に旧式のピンボールではテーブル自体がヘタれたり歪んだりするといった経年劣化によって、デジタルピンボールのシミュレートでは出来ないような変な球の軌道を描くことがあり、これもシミュレートするのはほぼ不可能と言われている。
最近のデジタルピンボールはテーブルそのものを模した筐体みたいなものも登場しており、揺らしについてもジャイロセンサーなどを使うことで対処しているが、それでも100%の再現には至っていない。
一応、アーケードゲームにおける最後の希望ではないかと言われているが、同ゲームは可動部分が多すぎる関係でメンテナンスも楽じゃないこともあり、そもそもが嫌われているという事実がある。
最終更新:2023年05月30日 11:49