安全運転喚起画面

安全運転喚起画面(Safety Drive Screen)とは、レースゲーム等における「安全運転を心がけよ」などの画面をN121MTが独自に用語化した単語である。


概要

今では当たり前となった「実在車種が登場するレースゲーム」において、自動車メーカー側の基本ポリシーである「公道上では安全運転」というのを喚起するための画面のことである。
旧来のレースゲームにおいては登場していなかったが、『ニード・フォー・スピード』や『頭文字D』、『湾岸ミッドナイト』等の「違法なレースゲーム」が登場し始めたため、ゲーム側で独自に取り入れた画面でもある。

任天堂やソニーなどのハードウェアによるものでもなければ、CERO等による取り決めでもなく、あくまでも自動車メーカー側のポリシーによるものである。 このため表示するタイミングや文面などのフォーマットの決まりはないため作品ごとに差異が存在している。
アーケード初の実車登場の『サイドバイサイド』などを含む、一部作品ではその画面すら存在しないこともあるが、『グランツーリスモ』などの「サーキットだけしか走らないゲーム」であってもこの画面を表示させるのが一般的になっている。
(『ツーリスト・トロフィー』でも表示させていたが、ポリフォニー・デジタルは英文で書いてしまっている関係で日本人には大変わかりにくいという状況が続いている)

ちなみに自動車ではないレースゲームではこの喚起画面が搭載されない傾向があり、また『鉄1』や『電車でD』は単に「このゲームはフィクションです」という画面になっている。
この画面は「安全運転喚起画面」とは異なる存在ではあるが、『頭文字D』や『ニードフォースピード』のような過激な運転を行うゲームでは併記されていることも多い)

主な内容

基本的な文言には「このゲームはフィクションでありマネしてはならない。実際の公道上ではシートベルトを締めて交通ルールを守って安全運転を心がけるように」というのが盛り込まれたものとなっている。
シートベルトの記載が無かったり、マネしてはならないとまとめられたりなどの違いはあるが、概ねこの文面とはなっている。 近年における違法ダウンロードの警告も盛り込まれたり、このタイミングで登場する自動車メーカーのロゴを出すパターンもある。
ゲーム内容によっては「違法改造を推奨するものではない」と車検についての記述や、「麻薬の使用を推奨するものではない」と運び屋に関係する記述なども追記されることもある。

エロゲーの要素もある『萌えろDownhill Night』や『CANNONBALL 〜ねこねこマシン猛レース!〜』などについては、エロゲー側の警告画面が搭載されているため、そっちに含まれている可能性がある。
(『ドライブオンリクエスタ』ではタイトルに「このゲームはフィクションです」としか記載されていなかったが、その前の画面に確かあったはず)

表示するタイミング

表示するタイミングについては以下のパターンに別れている。 いずれにせよ、プレイヤーが必ず見るであろうタイミングで表示されることがほとんどである。
またパッケージにも表示されることもしばしばあり、『SUPER EUROBEAT presents 頭文字D』等では音楽CDにもかかわらず「ドライブ中はアクセルの踏みすぎに気を付けてください。」というシールが貼られている。

  • ゲーム起動時
そのゲームを起動した直後からオープニング動画に入る前に表示するパターン。 コンシューマ機のゲーム作品ではほとんどの割合でこのパターンになっていることが多い。
ただし開発したゲームメーカーのロゴを表示後に喚起画面を挿入してオープニングに入る、逆に喚起画面を最初に表示してからオープニングに入るなど、いくつかパターンが存在する。

ゲーム以外ではアニメ作品『頭文字D』や、同じ会社が手掛けたアニメ作品『湾岸ミッドナイト』ではオープニングに入る前に喚起画面を表示する同じパターンとなっている。

  • デモ画面の合間
アーケードゲーム(主に『頭文字D』シリーズ)などで見られるデモ画面やランキングの合間に表示されるパターン。

  • プレイ開始直前
『スリルドライブ』シリーズではプレイが開始される直前に喚起画面が挿入される。

  • プレイの合間
『Option チューニングカーバトル』等ではセーブデータのロード時に「交通ルールを守りましょう」と表示されるといったロード画面で促すパターンもある。
アニメ作品『Oggy and the Cockroaches』の『Formula 1』というエピソードでは、オギーがフォーミュラカーで追跡する直前にシートベルトの着用を促すようなシーンが挿入されている。

  • ゲームオーバー、プレイ終了時
こちらもアーケードゲームで使用される傾向があるパターン。 ゲームオーバーを喚起画面として使うパターンで、『湾岸ミッドナイト』ではこの方式を採用している。(『頭文字D』でも採用されるようになった)
ゲーム以外では『ワイルドスピード』やケン・ブロックの『ジムカーナ』、さらにはトヨタのGRヤリスのCMでも喚起画面が挿入されている。

特徴的な喚起画面

以下は特徴的な喚起画面を紹介しておく。

ニードフォースピードシリーズ

基本的には搭載されており、特に旧『モスト・ウォンテッド』や『カーボン』では、ゲームのキャラクターによる安全運転喚起の動画まで作られている。

  • 『アンダーグラウンド2』
ゲーム起動時に作中のキャラクターが安全運転喚起を行う。 静止画をつなぎ合わせたものだが、この演出は後の2作品に引き継がれることになった。

  • 『モスト・ウォンテッド』(2005年)
ゲーム起動時にミアが安全運転の喚起を行う動画が流される。

  • 『カーボン』
ゲーム起動時にメアリーが安全運転の喚起を行う動画が流される。 ちなみに日本版はメアリーが喚起を行うが、海外版(原作)では別のキャラクターが担当している。

  • 『プロストリート』
世界観に合わせて「ストリートバトルの時代は終わった」から始まる独特なメッセージが存在する。
(今作はクローズドコースを舞台にしている関係で「もう危険なストリートバトルではなくサーキットでやろうぜ」という煽りも含まれているが、「サーキットでもヘルメットとシートベルトは着用せよ」という文言もちゃんと書かれている)

  • 『ホット・パースート』(2010年、2020年リマスター版)、『ザ・ラン』
自動車メーカーのロゴと共に警告。 『ザ・ラン』ではオープニングの1つとして組み込まれている。

スリルドライブシリーズ

過激な内容で知られるスリルドライブでは、レース開始直前に「このゲームに登場する過激な表現は全てフィクションです。実際の運転では、絶対に真似をしないでください」と必ず表示される。

首都高バトル01

元気レーシングプロジェクトのゲームでは、喚起画面の背景に舞台となる首都高やサーキット(『C1GPレーシングバトル』)が表示されていた。

湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNEシリーズ

通常見れないところでサーキットの設定を隠している湾岸では、ゲームオーバー時にこの喚起画面を表示している。 『頭文字D』と違って必ず見る場所にある。
(後に『頭文字D』も『8インフィニティ』からゲームオーバー時にも喚起メッセージを表示するようになった)

同じゲームエンジンを使った『マキシマムヒート』でもこうした画面は存在しているが、出現するタイミングが起動時ぐらいになっており、海外版の続編である『Dead Heat Unleashed』ではゲームオーバーの後にこの画面を挿入する形式に変更されている。

ワイルドスピードシリーズ

ゲームではないものの、過激なシーンで知られるワイルドスピードシリーズの映画では、スタッフロールの手前などに入れられている。

ジムカーナ5

故ケン・ブロックの『ジムカーナ5』という動画では、閉鎖した市街地コースをジムカーナのステージにしている関係で、動画の最後に警告文が挿入されている。(ちなみにクローズドコースでやっていることという旨は『4』の頃から存在していた)
以降のシリーズ作品でも同様の警告文が挿入されており、『ジムカーナ2022』でも挿入されていた。

トヨタ・GRヤリスのCM

GRヤリスのCMである『GR YARIS RALLY DRIVE』などでは「本撮影は、ラリー競技同様に、地域の協力のもと公道を一時閉鎖して行い、プロドライバーが安全にクルマをゴールまで運びました。 安全運転を心がけましょう。」というメッセージが最後に表示される。
自動車のCMもそういったメッセージを端っこに表示することが多いが、画面上に明示されたパターンはかなり珍しいとされる。

また『MFゴースト』内でのGR86でのCMでは最初の注釈に「片桐夏向によるCMのための特別な走行です。」から始まるものが搭載されている。

アウトモデリスタ

ゲーム起動時に「WARNING!」というDJボイスと共に表示され、その後にCAPCOMのロゴ、そしてオープニングが流れる。

オギーアンドコックローチ

『Formula 1』というエピソードで、オギーがフォーミュラカーで追跡する前にシートベルト着用を促すようなシーンが挿入されている。 古いバージョンではレースクイーンがシートベルトを着けてくれるが、新バージョンではオギーが自らシートベルトを着けている。
ちなみにこのエピソードはモータースポーツ的な観点でも妙に小ネタがあったりする。

なぜか搭載されていない作品

以下は何故か搭載されていない作品として紹介しておく。

  • 『バーンアウトシリーズ』
どういうわけかこのゲームには喚起画面がどこにもない。

  • 『クレイジータクシーシリーズ』
明らかに『頭文字D』よりも過激な運転をしているのに喚起画面の類がない。

  • 『サイドバイサイドシリーズ』・『バトルギアシリーズ』(アーケード版のみ?)
何故かこのゲームにもそうした画面の類がない。 日本のアーケードで「実車名」で登場するというのに、そうしたものがない模様。
一応『バトルギア2』の移植版については「注意」という画面にコントローラーなどの注意と共に文章の最後に記載されている。

  • 『ニード・フォー・スピード ナイトロ』、『ニード・フォー・スピード ライバルズ』
何故かこのゲームには喚起画面が存在していない。

  • 『ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド』(2012年版)
リブート版として発売された『NFSMW』では、喚起画面ではなく「ゲームの割れや海賊版は禁止されている」という別の警告画面が表示されている。

突っ込まれにくいもの

以下はゲームゲームすぎる関係で突っ込まれることがないゲームではある。

  • 『マリオカートシリーズ』、『F-ZEROシリーズ』などの任天堂が手掛ける架空世界によるレースゲーム作品
  • マリカライクなゲーム作品(『チョコボレーシング』や『クラッシュバンディクーレーシング』など)
  • 『SWDC』
  • 『車なごコレクション』や『レーシング娘。』などの「擬人化レースゲーム」
  • 『鉄1』、『電車でD』のような鉄道車両によるレースゲーム(むしろ「このゲームはフィクションです」という画面の方で適切といえる)
最終更新:2024年10月28日 14:06