概要
2023年5月13日に開発しその日に公開された、揺れが強かった地震の発生から1週間~2週間程度は同じぐらいの強さの余震に警戒するのに対し、この時計でその情報を瞬時に提供出来る時計として開発された。
ノリとしては『パシフィック・リム』の「怪獣時計」や、広島平和記念資料館内に設置されている「地球平和監視時計」とほぼ同じで、『Earthquake BIG Clock』では現在時刻よりも発生してからの時刻の方を大きくした表示に切り替えられている。
当時の『Earthquake Clock』ではウェザーニュースLiVEにおける「Mスケール」を参考に震度5弱以上の直近発生時刻からの経過時間のみを提供していた。
その後公開された『Wide Earthquake Clock』では震度4、震度3以下の時刻も表示できるようになり、2023年5月13日に3つの時計を統合したバージョンとして『Earthqlock』では過去30日間に震度4以上の地震件数とその経過時間を20件まで表示する機能を搭載した。
気象庁のAPI仕様の関係で30日以上経った場合は専用の表示がなされる仕様となっており、また日本国内の地震のみに対応する仕様となっている。
ファイルの中身は1つのHTMLファイル内にjavascriptとcssを直書きで埋め込んでおり、「閲覧した端末の時刻」と「地震が発生した時刻」を計算してHTMLで出力するという構造となっている。
保存して
ローカルで開いても機能するようになっているが、現在は気象庁のAPIをリアルタイムに取得する関係で完全オフラインでの動作は難しくなっている。(一応ソースを改造すればできなくはないが意味合いはちょっと薄めである)
あらゆる端末で動かすことを念頭に置いたため、JQueryなどは使用されずにJavascriptのみで書かれているが、『Earthqlock』ではCSS3を使いまくっていることもあってちゃんと表示できるかに不安があったため、翌日に『Earthqlock lite』も開発し公開している。
Bouzu CHOICE同様に
HTML5及びHTML Living Standardに対応するブラウザであればOSや端末の種類を問わずに動作するため、サポート終了したブラウザでも動作可能なものは多いらしい。
2021年12月29日にPSPで動作確認を取ってみたが旧バージョンも含めて動作はしなかった。
2022年6月20日にはJSONあたりでフリーズする不具合があったInternet Explorer 11でも動くようにはなっているが、「既にサポート切れなのであくまで特例対応、Edge等のchrome系で見れるならそれを使うように」と、特異性を考慮したうえでの修正であると強調した。
機能
地震発生からのカウントアップ機能
『Earthquake Clock』の時代から存在していた基本機能であり、地震が発生してからどのぐらい経過したかを表示する機能となっている。 現在は震度3以下、震度4、震度5以上の3枠が常時表示されており、震度5以上などの場合では最大震度の枠が稼働するようになっている。
現在は気象庁が用いているAPIを使用しているため、30日以上経過したものは専用の表示となる。
震度5以上の地震発生時の特殊動作
震度5(強弱問わない)以上の地震が発生した時には、次のような特殊な動作となる。
- 背景黒:省電力化によるものとしているが、本当に省電力となるかは不明。
- 地震が発生した時用のクイックリンクティッカー表示:通常版では地震発生時のクイックリンクティッカーを表示するように仕掛けられている。Lite版にはない。
- 震源地情報不明時の5分リロード動作:震源地などの情報がないということでリロード動作をするように仕掛けられている
- 最大震度枠の稼働開始:震度7など一番巨大な地震からの発生を提供する
Lite版ではそういうのもCSSで使う関係で最初から搭載していない。
過去30日間の震度4以上の履歴
『Earthqlock』から導入された機能で、過去30日間で発生した震度4以上の地震の件数とその最大震度を表示する機能である。 導入当初は20件以内で最大震度の表示はなかったが、2024年能登半島地震をきっかけに件数制限の撤廃と最大震度の表示が導入された。
大津波警報・津波警報・津波注意報の表示
2024年能登半島地震をきっかけに導入した機能で、気象庁のAPIを用いて簡易的に表示するシステム。
バージョン
バージョンは下記のように更新されているが、2022年11月14日までバージョン値を設定していなかった。 バージョン値については日付を採用している。
バージョン値 |
Clock |
更新内容 |
備考 |
20210215 |
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初公開 |
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20211006 |
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時計表示の速度向上 |
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20211008 |
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経過時間の日本語表記化 |
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20211209 |
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気象庁にあるAPIから自動取得を実装 |
それまでは手動で更新、またファイル名もこのバージョンで変更された |
20220626 |
BIG |
ページそのものをリロードする機能追加 |
震源地情報が空白の場合は5分間隔、空白でない時は1日間隔でリロードする |
20221109 |
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前回発生した地震の間隔と時刻を表示する枠を追加 |
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20221114 |
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前回発生した地震の時刻計算ロジックを修正 |
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20221213 |
BIG |
前回発生から30日以上経った時の専用表示を追加 |
気象庁におけるAPIの仕様上そうなっている、別で欲しいところではある |
20230129 |
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前回発生から30日以上経った時の専用表示を修正 |
アルゴリズムが良くなかったので修正した |
20230324 |
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前回発生などの日付計算ロジックを変更 |
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20230328 |
WIDE |
震度4の地震が多いことから震度3以下の時刻も含めた『Wide Earthquake Clock』を公開 |
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20230505 |
WIDE |
なぜか枠などを間違えていたのを修正 |
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20230513 |
Qlock |
統合版『Earthqlock』を公開、『Earthquake BIG Clock』以外の時計を旧バージョンと指定 |
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20230514 |
lite |
細かなバグを修正、『Earthqlock lite』を公開 |
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20230530 |
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タイミングによって勝手に30日以上と表示されるバグを修正 |
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20240101 |
- |
過去履歴の上限数を撤廃、過去履歴の最大震度を表示できるように追加 |
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20240102 |
- |
大津波警報・津波警報・津波注意報の情報表示、最大震度枠の新設などの機能追加 |
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20240107 |
- |
複数回の発表で一番新しいものを基準にするように修正 |
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20240216 |
Qlock |
震度4であっても強制的に動作するので修正 |
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20240227 |
- |
直近ではなく最後の方を選択していたのを修正 |
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20240302 |
- |
20240216の問題と20240227の問題を共に解決 |
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初代Earthquake Clock
2021年2月15日に公開された初代の地震時計。 直近の震度5弱以上の地震が発生した時刻を
N121MTが手動で更新するというアナログなものとなっていたが、気象庁にあるAPIから自動取得できるシステムに変更されている。
この時計が元になって『Earthquake BIG Clock』、『Wide Earthquake Clock』などのバージョンが誕生しており、統合版である『Earthqlock』の元にもなっている。
現在は旧バージョンとしてv20230505のままで保管公開されており、数年後には削除する方針とのことである。
Earthquake BIG Clock
2022年1月26日に正式公開された巨大版地震時計で、最後の地震から発生した時刻の方を大きく表示し、かつ発生してから1日未満は赤、3日未満はオレンジ、7日以内は黄色の文字で表現するようになった。
また発生直後には気象庁のAPIを使って震源と震度情報を表示し、またクイックリンクも合わせて表示するように変更された。 更に発生した時刻情報から年・月を撤廃し日にちのみの表現に変更されている。
後に公開された『Earthqlock』にも一部システムは搭載されているが、『Earthquake BIG Clock』は単体のまま現行バージョンとして公開をし続ける予定である。
Wide Earthquake Clock
2023年3月28日にひとまず公開された震度3以下、震度4の時刻枠も追加した地震時計。 今回を期に内部計算のロジックについても読みやすくしたとのことで、メンテナンス性について改良を加えたんだという。
後にこれを発展拡張させたものとして『Earthqlock』が開発され、公開した時にこの『Wide Earthquake Clock』も旧バージョンとしてv20230505のままで保管公開されることになった。 数年後には削除する方針とのこと。
Earthqlock
2023年5月13日に公開された統合版地震時計。 数日前に発生した石川県の震度6強から日本列島各地で頻発する震度4以上の地震を集計する機能を搭載するのをメインに、他の時計を統合する目的も合わせて開発された。
このツールから「地震時計」という名称はサブの名称となっており、公式の名称は『Earthqlock』ということになっている。 またファイルの場所もtoolsの共通配置しているディレクトリから専用のearthqlockに変更された。
Earthqlock lite
2023年5月14日に公開された『Earthqlock』からCSS3の要素などを省いた超軽量版の地震時計。 同じ機能を提供しつつ、どんなブラウザでもほぼ同じように表示できるように開発された。
ツールのコアコードを使用して、この時計の派生として『IEnd Clock』や『World Clock Times』が開発されている。 またこれらの派生した時計を
CCS24というシリーズ名で2022年9月8日から管理を開始している。
将来計画
システム的に時計や情報を提供するという機能はほぼ果たされているが、今のところ下記の問題点を残している。
現在の地震時計はある部分以外を除けばかなり古いJavaScriptな書き方となっているが、これをもっと書きやすくしようと思えばいくらでも出来るとのこと。 しかしそれをしすぎるとIEのブラウザがサポートしきれないという問題が発生するという。
N121MTは「2024年までは極力IEでも動くようにはしているが、ブラウザ確認をしようにも方法が限られすぎてやる気にならない」としており、2025年以降は旧バージョンの『Earthquake BIG Clock』で代用することすら考えている。
現在の時刻情報がアクセスする端末に依存しているため、その端末の時刻情報がおかしいことになると計算される時刻もおかしくなる問題が存在する。
N121MT側は「NTPサーバのアクセスを搭載するとそこへの負担もかかる」のと「近現代の端末では時刻情報がおかしくなることは少ない(意図的でもない限りはおかしくならない)」ということで優先度を非常に下げた状態でスキップとしている。
ただし2025年にあるゲームで端末側の時計を調整してガチャを引けるようになるというケースがあった関係で、地震時計でも少なくとも現時刻情報をそっちに優先するような設定を組むことを検討している。
また時刻情報が全て日本標準時を前提にしている関係で、海外での時刻表記に対応しきれていない問題も起きているため、今後はそのあたりの管理は課題とはなっている。
(一応一般的なUTCなどでは計算出来ているものの、UTC+14などのような特殊なタイムゾーンでは20分程度のズレが発生していることが判明している。ただしこれは計算の仕方などを変えると解決するかもしれないとのこと)
一応『Earthqlock』でそのリスクを低減できるようロジックを組みなおしており、かつ気象庁側の情報提供も「すぐにちゃんとした正常な情報がでる」としてこの問題もスキップとしている。
なお気象庁のAPIを使っているため、このAPIが何らかの理由で利用できなくなった時にこのツールは成り立たなくなるリスクが存在する。
今のところAPIの仕様で西日本や東日本、都道府県のレベルでjsonを取得できるのかが謎なので、またそこまでするには気象庁に何らかの申請等が必要になるのではないかと思われるため、対応する予定はないとのこと。
とはいえ取得したjsonをフィルターすることは可能で、『Earthqlock』で搭載された「震度4以上の地震をカウントする機能」にさらなる拡張する手段として検討されている。(こちらも地域無差別にやっているので)
なお情報については震源地をベースにしているため、特に津波関連の警報が出た際には日本国外の震源地が表示される場合がある。(このあたりについては地域情報が変更できない場合は表示をやめることも検討はしている)
気象庁側の仕様で30日以上経った地震情報はリストから表示されないため、表示できる情報が無い場合は「30日以上」などの専用表示を出す仕様となっている。 過去のバージョンではそれに備えて手動でのカウントアップも出来るエリアがあったが、現在は使用されていない。
きっかけは2023年5月に発生した石川県の震度6強以降に30日間で17件も発生しており、一向に収まる気配がまだないためN121MTは「もしかすると60日~90日程度は拡張する必要があるかもしれない」と枠の拡張をすべきという見解を示していた。
その後、APIの調査で他のjsonやリスト(推計震度分布)では表示できることが判明しており、それに限っては60~最大90日(3カ月程度)の表示をすることも検討しているとのことである。 一応、以下のしきい値を想定しているとのこと。
震度 |
表示する期間 |
備考 |
4以下 |
30日 |
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5 |
50日 |
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6 |
70日 |
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7 |
90日 |
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ちなみに同じ情報としては強震モニタあたりが提供しているらしい。
以前はバグによって震度4でも特殊動作モードとなっていたのだが、これを正式に認めるべきではないかという疑問も当然ある。 N121MTは「震度4が頻発している場合などで発動すべきかもしれない」と検討している。
2024年能登半島地震で「大津波警報・津波警報が出されたときは"パニックモード"として時計の提供よりもまずは大津波警報・津波警報を全画面に表示して直ちに避難させるべきではないのか」というのがあったため、それを導入すべきかどうか検討している。
今のところ通常版に搭載する予定で、Lite版についてはそれが出来ないブラウザ向けのものなので実装予定はないとのこと。
ソースの扱いについて
公共性がとても高いツールということで、
TGUS-FMX-9という
「二次創作許可どころか、著作権そのものを放棄する」というものを採用しており、またページには「WTFPLやNYSLと同じようにライセンスがないようなもの」と併記されている。
正確に言えばWTFPLやNYSLも1つのソフトウェアライセンスではあるが、事実上「何をしたって良いノーライセンス状態」とそこまで変わらないということでそう書いている。
2022年1月22日に開発された『Earthquake BIG Clock』は、「地震発生直後から3日まで」の状況と「地震発生から2週間以上」の状況が分かりにくい、最終発生経過時刻の方がメインではないのかといういくつかの問題を解消するために作られている。
こうしたビッグバージョンアップを「別のページで作る」という方針は、『Wide Earthquake Clock』や『Earthqlock』でも取られており、統合版の『Earthqlock』が出た際には一部の時計を旧バージョンとして開発を終了するようにしている。
後発地震注意情報との関連性
2022年に内閣府が「後発地震注意情報」という、この時計に極めて近いようなシステムが運用開始されることが明らかになっており、巨大地震が発生してから1週間は注意せよという情報を発信するという全く同じ目的であることが判明している。
N121MTは10月14日に「地震時計が後の後発地震注意情報に繋がったのかもしれないが、後発地震注意情報の開発には一切携わっていないし(そのあたりの知識は良く分からない点が多いので)携われない」とTwitterでツイートしている。
これに関連して「震度4より小さい地震の履歴については扱わない」としており、それらについてはYahoo!が気象庁経由で提供する情報などでもうあるとして提供はしないことを明らかにしている。
外部リンク
下記は旧バージョンで現在も公開はされているもの。
最終更新:2025年05月25日 20:39