TGUS-GR-SL

TGUS-GR-SL(TGUS-GameRule-SkillLevel)とは、N121MTが規定した「ビデオゲームにおけるスキルセット・スキルレベル」である。


概要

ビデオゲームではタイムアタックやスコアタック等のような「ハイスコア」を目指す際、そのジャンルに対応するスキルからその作品でしか通用しない裏技的なものまで使用することが多い。
ところがISOやJIS等に「スキルセットやスキルレベルの定義」が存在しないため、人に教える際にどのスキルレベルで話せばいいのか分からない状況そもそもプレイする際に必要なスキルセットは何が必要かすら分からないという状況が発生してしまう。
こうした状況を解消するため、ある程度のスキルセット・スキルレベルを定義したのがこの規格である。 少なくともそうした状況から打開して積む状況は無くなるだろうとしている。

規格そのものは、かつて定義されていた独自規格である「TGUS-G.R.T-RCG.STD(TGUS-Game.Rule.T-RaceCarGame.STANDARD)」がベースとなっており、ありとあらゆるビデオゲームへと拡張させ、階層を再整理したものとなっている。
TGUS-G.R.T-RCG.STD自体は一度停止・破棄された規格ではあったが、規格自体の内容はほとんど問題は無かったため、「N121MTの辞書」で同定義が作られた83ページに復活という形で作られている。

これと似た規格としてTGUS-GR-DDが作られているが、TGUS-GR-DDはゲームの難易度デザインを定義するものであって、TGUS-GR-SLはプレイヤーのスキルレベルを定義したものであるためモノは全く異なる。

スキルセット一覧

スキルセットは5段階の階層構造になっている。 あくまでも概略の図なので、実際は各階層に細かな項目が含まれているようなイメージとなっている。

TGUS-GR-SL.Lv-1

そのゲームが属しているジャンルにおいて、広く知られている共通の操作方法について定義されている。 ゲームの技量ではなく、そもそもゲームを始められて一通り終えられるかどうかの話を定義している。
以下はその例である。

  • レースゲーム:アクセル・ブレーキのペダルとステアリングを使って車が動かせること
  • 格闘ゲーム:レバーやボタンを使って自分のキャラクターが動かせること
  • パチスロ:メダルを入れるかベットボタンを押してレバーを叩いてリール停止ボタンを押して1ゲーム回せること
  • 音楽ゲーム:デバイスを正しく操作できること(バチを適切に扱える、ディスクを回せる、画面をタッチできるほどのレベルで良い)

TGUS-GR-SL.Lv-2

Lv-1で定義された操作を拡張した応用的な操作方法について定義されている。
レースゲームであれば「アクセルやブレーキとステアリングを使ってドリフトさせること」、格闘ゲームなら「レバーとボタンの組み合わせで技が出せること」といった、そのジャンルであればどこでも共通で使える技量や知識として定義されている。

特にレースゲームでは『マリオカート』の存在で「ブレーキ無くてもコーナーは曲がれる」という幻想を抱きがちなため、N121MTは「ちゃんとブレーキを踏んで曲がれて、かつドリフトができるようになる」というところまでがゴールとしている。
むしろ『マリオカート』のジャンプドリフトやかつての『首都高バトル』のドリフトボタンはその作品固有の技であり、他のレースゲームで同じようにはできないのでLv-2ではないとしている。

TGUS-GR-SL.Lv-3

そのゲームが一部の他ゲームと似たような技を使われていて、似たような感じで操作できるようなものを定義している。
シューティングゲームにおける「ためうち」や「決め打ち型のボンバー」の使い方、フライトシューティングなどにおける「動き方」や「戦術」など、ジャンルの中でも特定の作品に使える技量・知識を定義している。

TGUS-GR-SL.Lv-4

そのゲームシリーズで共通している技などを定義している。 他のゲームで似たようなシステムがあったとしても極少数で、そのゲームシリーズにおける象徴的なものが中心となる。

  • 『頭文字D』:溝走り、いろは坂のジャンプ
  • 『怒首領蜂』:オーラシステム
  • 『モータルコンバット』:フェイタリティ
  • 『テトリス』:スーパーローテーションの応用によるDT砲(『テトリス99』や『ぷよテト』で見られるので)
  • 『シムシティ』:道路1マス発展(『4』以降はこれが使えなくなった)

TGUS-GR-SL.Lv-5

特定のゲーム作品のみに適用される技をここで定義している。 シリーズ作品の中でもそのバージョンだけ存在している限定技といったものがこの階層に含まれる。
以下はその一例として紹介されている。

  • 『テトリス武闘外伝』:ヌーハメ
  • 『アウトラン』:ギアガチャ
  • 『ロックマンエグゼ4』及び『5』:ABD戦法
  • 『SWDC』:壁擦り加速
  • 『頭文字DAC』:低速によるインライン攻め(「文太に挑戦!!」で発覚した速度バグ)
  • 『シムシティ』:アナザーワールドによるどこでも建てる技(スーパーファミコンの初代『シムシティ』で発覚した、全水域を埋め立てることもできるバグ技の一種)

想定用途

規格の用途としては、デベロッパーが求められるマニュアルにおける内容を円滑に決めやすくしたり、ユーザー間における情報共有の円滑化が期待されている。
特にプレイヤー同士のスキルセットに差が分からないという状況が無くなることで、コミュニケーションミスが大幅に減るため、効率化やトラブルの抑止にも繋がると考えられている。

一応ビデオゲームのスキルセットという定義ではあるが、ビデオゲームだけでなくイラストや小説などの創作分野に置き換えることも出来なくはないという。 ただ創作分野は型破りな作品も少なからず存在するので、規定化は半永久的に先送りとしている。
最終更新:2025年02月07日 20:46