基本的な構成
ジャンルは上述の通り多岐に渡る。
登場するキャラクターは既存のAA、それもやる夫関連に限らず、
他作品や有名人のAAに依存しているものが多く、立場や性格も作品に合わせた「スターシステム」の形で配役がなされている。
そういった点ではmugenストーリー動画とかなりキャラクターの立場が近く、
それらのキャラクターのAAと台詞をメインにすえて、いわば「絵本」的な楽しみ方のできる作品郡となっている。
時に難しいことを扱う「やる夫で学ぶ」系統スレでも、専門書より読みやすいのはこの「絵本」的な作風のおかげといえる。
最近は作者がマイナーだが好きなものを布教する際に、とりあえず見てもらえることの多いやる夫スレを使うことも多いようだ。
中には「やる夫で学ぶ初心者のための2D対戦格闘ゲーム」 などというものもあったり。
従来のAA作品との大きな違いとして、作品によっては作者の大幅改変、オリジナルのAAも登場するが
「作者に0からのAA作成技術が無くても作成可能」と言う点が大きい。
数年前まで2chで主流だった モナーや ギコ猫を使ったストーリーAA物は、
製作に関して高い技術力が要求されるようになっていった為、新規作者、既存の職人が少なくなってしまっていた。
また、VIPで流行っていた ブーンやツンデレなどの顔文字や、「男」「勇者」など固有名詞の持たない記号的キャラがストーリーを展開する「ブーン系小説」では、
実際に出版される作品が出たなど盛況を誇ったが、状況の解説などのために地の文を増やすと敷居も高くなり、
説明を減らして擬音や解説セリフを増やすとよく分からなくなることがあるなどさじ加減が難しかった。
(余談ながら、大昔のモナー系板では一枚絵の下に顔文字+セリフを付けて進行するモナー系とブーン系の折衷タイプの作品もあったのだが、
吹き出しでセリフを表現する漫画タイプのAA作品が主流になったために消滅してしまった)
しかしやる夫系は、膨大な既存AAと台詞の組み合わせなので初心者にも比較的簡単に製作でき、
斬りかかる、銃撃するといった文字にしにくいシーンもAAをコピペすれば直感的・印象的に伝えることが可能、
また多数の版権キャラを登場させることで、バラエティに飛んだストーリーを構築できる。
こういった理由が、「やる夫系」を一気にメジャージャンルに押し上げた理由でもあろう。
ただ、イコール気軽によい作品が作れる…というものでもない。
場面に合ったAAの準備、台詞のバランス、配役の決定、二次創作ならば「やる夫系でやる意味」を持たせる、
そして情熱の保持など、作品として求められる技術は数多い。
そのため、完成を待たずして作者失踪などといった、いわゆる「エターなる」作品も少なくない。
登場キャラクターとしてのやる夫
ステロタイプなやる夫像としては、基本的に自宅警備員。
自分ではなにもしない癖に人になにかをしてもらうことは過剰に期待する 駄目人間。
空気を読まず馬鹿正直で、本音と建前を使いこなせない(時には完全に逆転する)。
さらにエロゲ好き、当然女性とは一切縁が無い。
語尾に「お」を付ける喋り方が特徴で一人称は「やる夫」、作者や作品の設定によってはこれらの口調を一切使わないこともある。
身体は 色白である。その丸っこい風貌から、 白饅頭、つぶれ饅頭、 メタボ呼ばわりされる事も多い。
初期は一切美点の無い最低な性格で、無知による質問係やツッコまれて負傷して笑いを取る係だった。
しかし徐々におバカ的な面が強調されていき、ネット弁慶などの住人にありがちな要素を足したり引いたりした結果、
今では「一般的な住人像(ただし馬鹿)」として煽り・自虐・自戒・単なるジョークなど幅広く使われている。
「やる夫で学ぶ」系では、その(良くも悪くも)馬鹿正直で無駄に行動力があるところから
思い込みで馬鹿な行動⇒失敗する⇒「○○できないんだお…」⇒「当たり前だろ常識的に考えて…」とやらない夫からのアドバイス
⇒実践⇒成功(もしくは失敗してさらにアドバイスを受ける)⇒さらなる壁⇒やらない夫から(略
という繰り返しでステップアップするという形式のため、初心者にも分かりやすいハウツーとして定評がある。
無論アドバイス役はやらない夫だけでなく時には 長門だったり、さらには やる夫がアドバイス側というパターンも存在したりする。
ストーリー物では、バカで空気読めなくてエロいことしか考えてないが本質は誰にでも優しく漢気溢れ、
チート染みた高い成長能力を持っている、 のび太やGS美神の横島的なキャラクターになっていることが多い。
これは前述の「良くも悪くも馬鹿正直で純情」「最初は無知だが学べば何でもできる」要素の複合によるもので、
良くも悪くも 主人公補正が多大にかかっているキャラクターなのだという事だろう。
また設定によっては女の子との接し方がわからなかったり自分はモテないと思い込んでいるだけで、
周囲の多くの女性からは好意を持たれているという所謂「 典型的なエロゲ主人公」になることもある。
二次創作の場合には、「やる夫系」では原作よりも「主人公側の会話、心情、関係をより緻密に描ける」というものがあるため
会話や行動がよくいるタイプのやる夫では無理がある場合、オリジナルを問わずAAの多さからの動かしやすさ
そんなの関係ねえ!とばかりにギャップ狙いなどから、全く違う性格の場合もある。
その他の登場キャラクター
そのやる夫から派生したキャラとして『○○だろ常識的に考えて…』が口癖のツッコミ役友人「やらない夫」、
妹の「やる実」、やらない夫の妹「やらない子」、やる夫とは逆に頭のキレる「できる夫」、ミリオンを目指す漢「オプーナ」など、
数十にも及ぶ派生キャラクターが登場して、ストーリーに関わり、彩っていることが多い。
そして時にはやる夫を押しのけて主人公にまでなってしまうことも最近ではある。
様々な表情や動作のAAが既に豊富で、イメージを掴みやすいキャラクターほど使いやすい為
『 涼宮ハルヒの憂鬱』『 らき☆すた』『 ローゼンメイデン』などのTVアニメで人気を博した作品のキャラクターが綺麗どころとして比較的多く登場している。
それ以外でmugen関連でAA数とキャラのおいしさとして出演が多いキャラクターには、 夜神月、 阿部さんなどがいる。
かといってAAが非常に少ないキャラクターに出番が無いわけでもなく、 汚物は消毒の男といった、悪名高いキャラクターはAAが少ないながらも出番があり
やる夫系の発展と共に新規、大幅な改変AAが増加するキャラクターも少なくなく、やる夫自身がその最前線にいたAAと言える。
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