古代エジプトの葬祭文書、「死者の書」の第十七章に記されている謎の神。
アルファベットで表記すると"Medjed"であり、これは"打ち倒すもの"を意味する。
オシリスの館に住み、オシリスの敵を目で滅ぼすとされる(
目からビームでも放つのか、
呪いの類かは不明)。
この他、空を飛び、口から炎を吐くらしい。
どこが口だ?
不可視の存在だが、上図の姿の他にバンダナを巻いてたり、花瓶や
男根のような姿、オシリスの頭部を収める容器のような姿でも描かれることがある。
後記するアニメやMUGENキャラなど、日本では専ら冒頭の壁画の姿で認知されている。
豊穣を司る女神ハピ(ハアビ)に命令を出せる、とされていることから、結構高位の神である模様。
また、死者の肉体(特に心臓)を喰らい、死者の肉体を聖別する、死に密接な神とされる。
*1
この名が確認されているのはこの「死者の書」のみで、他の文献には一切見られない。
文献中では「死者の魂を害そうとする邪悪な存在に対し『(メジェドの)名前を知っている』、と脅しをかける呪文」として紹介されている。
邪悪な者を追い返す、という点から考えると、死者の守り神としての側面もあったと思われる。
・・・・・・と、まぁ解説だけを読めばよくある
神話の神の一柱なわけだが、
上記画像を観て貰えれば分かる通り、
眉毛と目だけが描かれた頭巾だか袋だかから脚が生えている
という
口と手と頭の毛が無い[[オバQ>パパイア]]凄まじい見た目のインパクトからネット上でも人気に火が付き
*2
スマホゲーでの抜擢や更に
MMDのモデルも製作されている。
目で敵を倒すという権能と不可視の存在ということを図案化した姿なのだろうか。
遂には「神々の記」というアニメのメインキャラクターに抜擢された。
まぁ、番組内の1コーナーで2分程のシュールギャグアニメなのだが。
バステト神が子猫、
アヌビス神が子犬、太陽神
ラーがほぼ雀のような姿にギャグキャラ化・デフォルメ化されているなか、
ほぼ原典まんまの御姿で登場。
第一話でミイラの順番待ちだった仏の心臓を貪るという
出オチ衝撃的な初登場を皮切りに、敵国の兵団を目からビームで一掃するなど大活躍している。
登場人物はすべて森川智之氏が一人で演じており、主題歌も氏が歌っている。
エジプトで働くとある日本人記者がこのアニメを同僚に話したところ「
・・・・すごい国だ。(意訳)」と驚かれたそうだが、
それ以上に「メジェドってなに!?」と意外なことに本場エジプトでの知名度はアラビア語で名前を検索しても該当しないほど低かった。
その後、新聞や雑誌等のメディアでこのアニメの話題が取り上げられたことで、
現地の人にもメジェドの存在と
狂信的ともいえる日本での人気の高さが知られることとなった。
出身国じゃマイナーなものが日本ではカルト的な人気を得るのはどこの国でも同じらしい。
『
Fate/Grand Order』では、
キャスターのサーヴァント「ニトクリス」(古代エジプトに関わりの深い女性、MUGEN的話題としては
アル・アジフの技に
「ニトクリスの鏡」がある)
の通常攻撃で召喚され、目から怪光線を浴びせてくる。
本編第六章にも名前だけ登場、しかも大量発生するらしくニトクリスの誘拐を企てた勢力がメジェドを見て怯んでいた。
その後、2017年の水着イベントにて
アサシンのクラスにジョブチェンジした
ニトクリス(褐色美女)の水着姿としてメジェド様が実装された。
……とある事情から深く恥じ入り「もはや合わせる顔がない」として頭からメジェド様を模した布を被り、
メジェド様になりきっているつもりなのだとか。
表情差分まで細かく用意されており、多くのマスターの腹筋を崩壊させた。
霊基再臨が進むとメジェド様の布を脱いでちゃんと褐色美女の水着姿になるのでご安心を。
また、古代エジプトで崇拝されていたアロワナ目の淡水魚の一種としての意味もあるらしく、
こちらはこちらで英語名「エレファントノーズ」の名の通り、
象の鼻のような長い口吻を持つ独特な見た目の魚である。
この魚も「オシリス神が弟の
セトに肉体をバラバラにされて
ナイル川にばら撒かれた時に
陰茎を食べた」とされている。
一応オシリスは妻のイシスに肉体(陰茎以外)を回収されたうえで蘇生されたが、
パーツが足りないせいで
完全復活というより
ゾンビ化に近い状態だったため、豊穣神から冥府の神にジョブチェンジした。
MUGENにおけるメジェド
メガマミや
プニキを製作したふうりん氏による手描きのものが、2015年3月に公開された。
すわネタキャラかと身構えてしまう外見とは異なり、性能の方はいたってスタンダード。
神キャラではなく並キャラの部類になる。
ドロップキックや踵落とし、頭突きや
サマーソルト、そして眼から発射されるビームを駆使して戦う。
神様なのでワープも可能。上空から真下に奇襲を仕掛ける。
蹴りのみで構成される超必殺技の空中
乱舞(その名も
「更に強い攻撃」
)が
無駄にスタイリッシュ。
カラーパレットも
きのこたけのこや
ふなっしーや
カレーメシといったネタ重視。
デフォルト
AIは存在しないが、IX氏による外部AIが作成された。
接近戦ではしゃがみ弱攻撃からの華麗なコンボを狙い、遠距離からはビームをガンガン撃ってくる。
その珍妙な外見に騙されると痛い目を見ることになるだろう。
出場大会
*1
同じく「死者の書」にはアメミットという聖獣が紹介されており、こちらは「生前の罪の重さ」に応じて死者の心臓を喰う。
古代エジプトでは「死者の霊魂は心臓に宿る」と信じられており、「アメミットに心臓を喰われる=永遠に破滅する」であるとされるのだが、
「メジェドに心臓を喰われる」事がどういう事なのかは不明である。
ちなみに、エジプト神話には他にも、バラバラにされた後復活し冥界の神となった「オシリス」や、ミイラと死の神で犬の頭を持つ「
アヌビス」等、
死に関連した神が多い。それだけ「生と死」を重要視する文化だったのだろう。
*2
転機となったのは、2012年に東京と福岡で開催された『大英博物館 古代エジプト展』らしい。
そこで公開された世界最長の死者の書「グリーンフィールド・パピルス」の中に
たまたまメジェドの姿があった事から話題になった模様。