サマーソルトキック

"Somersault!"

ガイル及びナッシュが使う必殺技の一つ。プレイヤーには「サマソ」と略されることが多い。
ナッシュの方は「サマーソルトシェル」という名前でフォームも若干違うが、実質同じ技と思って良い。
空中で弧を描きながら蹴り上げる技で、前方に刃を発生させる。
『MVC』シリーズでは同時に衝撃波が出るため、かなり広く空中をカバーできる。

元々はプロレスの初代タイガーマスクこと佐山聡氏(ラモンのモデル)が使用していた技で、
リングのコーナーポストにもたれた相手に突進し、胸ないしアゴを蹴り上げながらトンボを切って着地するというものである。
格闘ゲームにおいてサマーソルトキックの名称でのこの動きは、マッスルボマーの一部のキャラやラモンなどのプロレス系キャラに見ることが出来る。
ストII』が出る1991年よりも前の1986年に任天堂から発売された『プロレス』に登場するスターマンの必殺技にこの技があり、形式は現実に存在する型である。
実写版『ストII』においては、ガイル役のジャン・クロード・ヴァン・ダム氏がガイル式のサマーソルトキックを披露し、
後に他のアクション映画などでもこのガイル式サマーソルトキックが用いられることとなった。

海外版ではFlash Kick(フラッシュキック)」という別名もあり、主に家庭用版の取扱説明書で使われていた他、
ストIV』ではリージョンを問わず、日本語ボイスの場合は「サマソッ!」、英語ボイスの場合は「Flash Kick!」と叫ぶ。
『ストV』からは「サマーソルトキック(Somersault Kick)」に名称が統一され、日英どちらでも「サマソッ!」と発するようになったが、
『スト6』では英語ボイス限定で、ジャスト入力時に「Flash Kick!」と叫ぶようになる。
ちなみに日本語ボイスの場合は「Perfect!」だが、そちらは英語ボイスではジャスト入力版ソニックブームの台詞になる。

初代『ストII』からガイルの必殺技として登場していたが、その当時は着地の隙が0Fという鬼のような性能であった。
そのため、ガードされたり外したりしても着地に反撃されることはなく、着地前の空中で何か(当時は空中コンボが無かったため)1発食らうだけで済む。
一部が所持する空中投げを使えるキャラなら絶大な反撃となるが、それ以外は一撃が重い打撃をブチ込むのが関の山。
後に製作された『ハイパーストII』でも、ガイルの初代仕様を選択するとサマソの性能がこの隙無し版になる。
当然対戦等では初代仕様版に対し着地を狙うのは禁物。
空中コンボが無い『スパII』以前は春麗バルログなど空中投げを持つキャラならそれで反撃すれば大安定で、
投げ受け身が実装された『スパIIX』以降は空中コンボで反撃するのが常套手段となる。

リュウ昇龍拳に位置する対空技であり、「ソニックブーム」と共に代表的なタメ技。やはり無敵対空であることが多い。
もちろん待ちガイルには欠かせない技である。
ソニックブームを飛ばして牽制し、相手が飛び込んできたらこの技で落とす…という戦法は待ちガイルの基本である。
その『ストII』時代に既に完成されていた戦法を「伝統芸能」と評する声も少なくない。

昇龍拳と同様、格闘ゲームでもこの技を基にした対空技が数多く存在しており、
ジャンのフリックフラックやアッシュのニヴォース等、名前を挙げていけばキリが無いほどである。
またキムの飛燕斬の様に必ずしもタメキャラ専用の対空技ではなく、また蹴りでは無い場合もある。
→↓↘コマンドの技を持ってない(もしくはこのコマンドが対空技で無い)キャラは、↓タメ↑が対空技というパターンも結構多い
テリーロックライジングタックル等)。
クールも同じ技名とコマンドの対空技を持っているが、宙返りしないで跳び上がりながら蹴り上げる形で見た目が全然違う。
スクラッチホイールを画面奥向きにしたというか、『リアルバウト餓狼伝説』シリーズの飛燕斬というか、
なんかそっちの方が近い(「アーイ!」 のフラクトリットもこっちっぽい蹴り方)。
余談になるが、『KOF』シリーズ初期以前のSNK作品ではタメが省略されることが多く、
『'95』で登場した紅丸のスーパー稲妻キックなどは正にタメ無しサマソなコマンドであった(なお同技は後に昇龍コマンドに変更)。
またチョイの飛猿懺、霊夢の昇天蹴の様に、見た目はサマソっぽいが実際のコマンドは→↓↘ということもある。

タメ技対空の基本にして、その性能や効果など、あらゆる面で昇龍拳と同じくらいの知名度を持ち、
様々なキャラクターへの影響も与えた、格ゲー界でのスタンダードな必殺技の一つと言えるだろう。

なお「サマーソルト(Somersault)」とは「とんぼ返り」という意味であり、決して夏塩蹴などではない(そういうことにされちゃったストーリー動画はあれど)。
ガイル・ナッシュの仇敵であるベガも「サマーソルトスカルダイバー」という技を持っており、
こちらはガイルらのサマソとは全く異なり空中からの奇襲技だが、動作前にとんぼ返りを行っているためその名に偽りは無い。

+ 余談 カプコンの遊び心
ストリートファイターシリーズの発売元であるカプコンゲームにはしょっちゅうこのサマソが登場する。

傑作ベルトスクロールアクションの本作におけるプレイヤーキャラの一人・魏延の必殺技がサマソだった。
これで敵を倒すとフェイタリティする。

サマーソルトキック──現代米軍が用いる必殺技の開祖は古代中国・三国時代において、
赤壁の戦いで曹操を討ち取り天下統一を果たした劉備軍の誇る五虎大将軍の一人、
魏延将軍であることはつとに有名である。
当時この技は「斬馬蹴り」と称されていたが、遠方に伝わると共に翻訳の過程で、
「斬馬蹴 → ザン・マー・シュー → サ・マー・ソー」と発音が変化していったと言語学者達は推測している。
また、同じ劉備軍の猛将・張飛将軍はスクリューパイルドライバーを使用しており、
現代ではライバル関係にある二つの技が、古代では味方同士であったというのは歴史の皮肉と言えようか。

                                                                                                    ────民明書房刊『天地を喰らう2 赤壁の戦い』より

3Dハンティングアクションゲームの本作では、「リオレイア」という飛竜(ワイバーン)が「サマーソルト」を繰り出す。
当初は名前が無かったのだが、プレイヤー間の通称で「サマソ」と呼ばれていたら後に公式名称化した。
当初は一歩後ずさりしてから繰り出し、着地するだけだったので避けやすい上に着地の隙を狙えたのだが、
シリーズ『P2G』以降では一度目のサマソの着地の隙をキャンセルしてサマソを繰り出すという、
スーパーコンボのダブルサマーソルトじみた動きもしてくるようになった。
攻撃力が非常に高く、一撃食らうだけで瀕死になるほどの威力があるのに加え、毒の追加効果まで持っている非常に強力なサマソである。

ちなみに技名に「キック」が付いてないのは、実際当てるのはのある尻尾のため。
尻尾サマーの先駆者としては、ベルトアクション版『エイリアンvsプレデター』の雑魚敵「アラクノイド」がいる。

本作はプロレス風格闘ゲームということもあって「相手をコーナーポストに追い詰める」というアクションが存在し、
ミステリアス・ブドーエル・スティンガーアストロはそこから現実のサマーソルトと同様の技を出すことが出来た。
『スーパーマッスルボマー』ではラッキー・コルトが「クレセントスラッシュ」、ブドーが「鬼斬」、アストロが「シャフトハリアー」という名前で、
ガイルに近いサマソのような対空技を使用している。
特にコルトの技は短距離ながら衝撃波まで発生しており、他の二者の技と比べて性能が高い。

なお、海外版のコルトはブレードというキャラとして『ストリートファイター ザ・ムービー』に登場するが、
サマーソルトはおろかプロレス系の技自体が特に反映されていない。

ゾンビアクションゲーム『デッドライジング』の主人公。
コロラド州ウィラメッテのショッピングモールにて英雄的活躍をした人物で、戦場取材経験を持つ。
勘を取り戻すほど様々な格闘技を思い出していく超人。その中に件の技も当然あった。
0:58~
なお、彼にファッションセンスは無い。

後に『タツカプ』や『UMVC3』に参戦した。流石はゾンビ退治の専門家である。
しかしそこでサマソは使えなかった。ラウンドハウスキック(ガイルの遠距離立ち強K)ならあるのだが。
その後SRPG『PROJECT X ZONE』にレイレイと共に参戦した際、
通常技「フェイスクラッシャー&地霊刀」でフェイスクラッシャーの直前にサマソを使用。
よりガイルっぽいサマソを披露してくれた。


関連動画

サマーソルトトーナメント



最終更新:2024年07月25日 10:19