憲磨呂


     

「だから言っただろー!」

日本テレビのバラエティ番組『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』の企画から生まれたキャラクター。
名前の読みは「ノリマロ」よく漢字を間違われるが、憲磨呂である。憲呂でも憲呂でも、ましてや憲 麿 でもない。
マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』に登場する。
『生ダラ』中にて『マヴスト』への登場が発表された時、開発スタッフ達すらその話を聞いておらず、寝耳に水であったという
(『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター・サウンドトラックCD ライナーノーツ』より)。

デザインとはとんねるずの木梨憲武氏(スタッフロールでの名前は番組内で演じていた木梨憲太郎*1名義)によるもの。
名前は番組内で行われた一般公募で選ばれ、当選者には本作品のゲーム基板とアーケード用の筐体、
さらに当時カプコンが発売していた全てのPS、SSソフトが贈られた。

 見た目は老け顔かつ小柄で貧相な学生。構えや攻撃もへっぴり腰で、
 バナナで足を滑らせたり超必殺技ではコスプレをしまくったりとネタ的要素が強い。
 『生ダラ』以外にも、『みなさんのおかげです(『した』の前番組)』など、
 当時のとんねるずのレギュラー番組で木梨氏が演じていたコントから動きを上手く取り入れ、
 独特のキャラクター像を構築している。この勝利ポーズにニヤリとしたとんねるずファンも多いだろう。

ちなみに開発段階では、
  • 前向きで明るい性格
  • 高校二年生
  • 防御が基本姿勢
  • 相手の攻撃を避けた拍子にカバンからコンパスの針が突き出てくるなど、意図せず反撃してしまう
  • 運動神経が良く、跳躍力がある
  • バランス感覚が良く、塀とか登るのが好き
  • 勝率は3割くらい
  • 戦いを好まず悪人が嫌い(上記の「だから言っただろー!」もそれ故の発言)
等といった設定が木梨氏により作られている。

+ 実の所…
木梨憲太郎氏のデザインとは、実はフォトショップで描かれた憲磨呂の原型と、
その場で憲太郎氏がやった思いつきモーションだけであった。ゴアは犠牲になったのだ…
しかし、当時のグラフィック・チーフであったあきまん氏は、それだけの情報から憲磨呂のドットとモーションを完成させたのだという。
サウンドトラックCDでのライナーノーツであきまん氏は「大変だったけど楽しかった」と、当時の事を振り返っている。

上記の動画集でもフォトショで描いた憲磨呂を波平カットにして「お父さん」と言っているシーンが見られるが、
このお父さんも超必にしっかりと登場しているあたり、かなり手が込んでいる事が窺える。

しかし…

「ノリマロよ、カン違いの大たわけよ
 おまえがここにいる事自体が間違いなのだ」
アポカリプス・談)

そのあまりにも周りから浮いているキャラクター像から、マーヴル側より、
「ヒーローがこんなふざけた奴に負けるのは駄目だ」「最初の契約の時に居なかったキャラを出すのはどうなのか」
等のクレームを受けてしまい、海外版では使えなくなっている
(ただしデータ自体は封印されているだけで残っており、勝ちセリフや「サインくれよ!」「だから言っただろー」などは英訳済み)。
まあ例えれば、「日本の有名な人気作品をアメリカでゲームにしたら、作品とは全く無関係な謎のギャグキャラが搭載された」
……というような物なので、マーヴル側の抗議もむべなるかなであろう。
ん、どこかでそんな話を聞いたような……?
当然、国内でもキャラ発表当時から正式稼働後に至るまで、その存在意義については絶えず論争の的となり、
結果、良くも悪くも 「MSH VS. SF=憲磨呂ゲー」 という印象を広くもたらす事となってしまった。
ちなみに制作側の方も、岡本吉起氏(当時開発本部長)は大分否定的で、
あきまん氏(イラストレーター)も「デザインは嫌いじゃない」としつつ、「MARVEL側は完全に被害者」とも発言している。
この反省から『MVC2』のアビスや『MVC:I』のウルトロンシグマが産まれたと思うと重要な試金石とも言える。

また開発段階では、相手の背後に回り込みカンチョーをするという「おかんちょうサービス」という投げ技があった。
この技、番組内では、スパイダーマンにカンチョーをひたすら決め続ける映像が流れる中、即興で技名が決められ、
「おかんちょうサービスだ!」というボイスが収録されたり、
岩永哲哉氏や笹本優子女史(ちなみにこの技名の命名者)等声優陣のやられボイス収録まで放送されたのだが、
マーヴル側から断固として拒否され、結局は没となっている。
まぁたとえ実装されていたとしても、格ゲーでのカンチョー使用には先駆がいるのでそれほどインパクトはなかったかもしれない。
MUGENでもカンチョー丸とか阿部さんとか全然自重しない奴らがいるから目立てるかどうかは……。

『マヴスト』の開発は『ストIII』開発と時期的に被っており、
『生ダラ』の企画も当初は「ストリートファイター最新作のキャラクターをデザインしに行く」という告知内容だったという事もあって、
もしかすると『ストIII』にも出るのでは…などと予想されていた。
しかしこの「憲磨呂」、著作権がカプコン・日テレ・アライバル(とんねるずの所属事務所)の3社協同管理のため、
この内の1社でも同意が得られなければ使用出来ず、
また上記の通り世に出るまでの経緯に問題があり、海外ウケ自体もあまりよろしくなく世界展開を考えた場合にとても微妙、という事情もあり、
アクの強さで隠れた人気を誇るキャラクターでありながら、『マヴスト』以外での出番は無い。
木梨憲武氏繋がりで牢屋に閉じ込められていると言っても過言ではない

+ 『MARVEL vs. CAPCOM Fighting Collection: Arcade Classics』では
それから時は流れて2024年6月、Nintendo Directにて、カプコン制作の各種マーベル・コミック原作ゲームを収録したオムニバスソフト、
『MARVEL vs. CAPCOM Fighting Collection: Arcade Classics』のリリースが発表。
そのラインナップの中には『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』も含まれており、
移植の機会にあまり恵まれていなかった事もあって当時のユーザーを中心に視聴者を驚きと興奮の渦に包み込んだ。
……しかし、その発表の場において憲磨呂の姿は影も形も無かった
デモ画面はおろか公式サイトでの集合イラストからも一人だけ存在が抹消されるという徹底振りで、
事前知識がなければまるで憲磨呂というキャラクターが最初からいなかったようにも思えるほど。
格ゲー界隈に色んな意味で衝撃が走った瞬間(16:26~)

存在自体を無かった事にしたとも取れるこの措置には落胆の声も少なからずあったものの、
この時点では「前述の権利関係の複雑さと本作が海外にも発売・配信される作品である事などから已む無くキャラ削除に至った」と思われ、
憲磨呂の復活は諦められていたのだが……。
同年8月のNintendo Directにて本作の発売日が公表された際、なんとデモ画面に憲磨呂が登場
それを皮切りに公式サイトの集合イラストやプレイアブルキャラの一覧にも名を連ねる等、正式に参戦する事が判明。
当時から数えて実に27年越しに再登場と相成った。
諸般の事情から参戦が絶望的と思われていた状態から奇跡の復活という衝撃は大きく、
一時は「ノリマロ」がX(旧・Twitter)のトレンド入りするほどだった。
なお、プレイする際は言語を日本語にしなければ使用不可能だが、逆を言えば海外版においても日本語バージョンを選択すれば使用可能となり、
何気に国外においても初参戦となっている。
令和の時代にノリマロの雄姿(4:45~)

ちなみに憲磨呂復活の報は木梨氏の耳にも届いており、ラジオにおいて実に嬉しそうにその事を語っている。
「27年ぶりに帰ってきましたんで!」

その「日常の非戦闘員な動きで戦う」というスタイルは、『UMVC3』ではカプコンのサプライズ枠参戦キャラが後継者として再び日の目を見る事になった。
あちらは条件が揃うと大いに化ける強さだが。

なお、海外ではネットの力により、彼の存在は「諸事情によりお蔵入りしたキャラ」として意外と知られており、
春麗の大ファンで盗撮をしまくっているオタク」など独自の二次設定が付けられたりもしている。
また「ノリマロ登場!」という日本語を誤解したのか、フルネームが「Norimaro Toujou」となっているサイトもいくつか存在する。
公式には彼のフルネームは不明である(一応デザイン元は木梨憲武氏ではあるが、憲磨呂の苗字が木梨かどうかも不明である)。


原作での性能

キャラ性能としては飛び道具、対空技、突進技一通りは揃ってはいるものの、どれも取り立てて使い勝手は良くなく、
かなりテクニカルなキャラクターとなっている。
ステータス的には、上記のように「一通り揃っている」という点と、
企画の関係上意図的に弱く設定されているわけではない事から、どちらかと言うとさくらに近い。
そのため、技の性能や使い所を把握しておけば、癖はあっても爆発力のある攻撃で相手を圧倒する事が可能な強さを持っている。
また隠しコマンドを入力する事により、通常の二段ジャンプをしのぐ四段ジャンプが可能となる。
さらに隠し要素として、対CPUダン限定で相手をおだてて隙の大きい技を出させるという変わった行動が出来る。
あとついでにどの技も無駄に名前が長い
超必殺技3つに至っては、
  • 「ハイパーストロングミラクルトレジャー」
  • 「アルティメットグランドチャンピオンジャンプ」
  • 「ウルトラバラエティプライベートメモリーズ」
…な、長い……。
ちなみに上から、飛び道具、対空、突進乱舞だが、例に漏れず非常に癖が強い。
故に「ごっつもの投げ」(開発段階での名前)、「しょーりゅーけん」(技時の台詞より)、
「ノリマロアタック」(左に同じ)とそれぞれ言われる事が多い。
選択が封印されている海外版だと「ウルトラバラエティプライベートメモリーズ」の湯船に浸かっているモーションが削除され、
ヒット数とダメージが国内版よりちょっぴり少なくなっている。

NORIMAROモードプレイ動画

エンディングではアポカリプスとメカ豪鬼を倒した事で調子に乗って世界を制服、世界に圧政を敷いて国民を苦しめた。
そのため死後彼は「外道王」と称され、受験生達を苦しめた…と言うオチで〆られている。
結果争いは無くなったけど最悪のやり方じゃねーか


MUGENにおける憲磨呂

国内外に数体存在している。

+ サイキョ~流&Ayustat氏製作
  • サイキョ~流&Ayustat氏製作
地上戦を重点に置いた仕様、すなわちこれまでの対戦格闘ゲームの感覚に近く、
エリアルが無くなったがチェーンコンボや必殺技の精度が地上戦を想定した物になっており、
またかなり発生が早く連続技に組み込みやすい「ワンダフルウルトラ馬場キック」が追加され、
原作とはまた違った攻め方が楽しいキャラとなっている。
音声ファイルが軽量化のために低音質なのが難点。

+ DarkRiem氏製作 MVC仕様
  • DarkRiem氏製作 MVC仕様
Basara-kun氏のサイトにて代理公開されている憲麻呂。
本来参戦していない続編の『マヴカプ』アレンジとなっている為、割と原作に近い仕様となっている。
また昇龍拳が竜巻コマンドになっており重宝する技になっている。
こちらも、『マヴスト』のOPで「だから言っただろー!」のポーズで周囲に大爆発を起こすアニメを流用したオリジナル技が追加されている。
AIが搭載されており、特筆するほど強くはないがアドバンシングガードを頻繁に使用して距離を取ってくる。

+ Jin Kazama氏製作
  • Jin Kazama氏製作
同じく地上戦を重点に置いた仕様。全体的に技の癖が小さくなっている。
「だから言っただろー!」や挑発が上記の英語版になっているのが特徴。
またストライカーとしてダンを呼び出す事が可能。

+ Wolvie氏製作
  • Wolvie氏製作
原作に近い仕様で、ジャンプ時に相手キャラにアイコンが表示されるのが特徴。

+ アフロン氏製作 MVC3仕様
  • アフロン氏製作 MVC3仕様
アフロン氏による『MVC3』仕様アレンジの憲磨呂。2011年6月4日に公開。
固有グラ持ちなのに『MVC2』でハブられた仲間メカ豪鬼アニタとチームを組み、
ディレイドハイパーコンボやチームエリアルコンボなども使用可能。

AI未搭載だが、ですから―氏による外部AIが公開されている。
かつては有志によるAIパッチも存在し、無限ロダにて公開されていたが、同所の閉鎖により現在は入手不可。
こちらは強攻撃とアドバンシングガードで突き放し、飛び道具とアシストのメカ豪鬼で封殺するスタイルを取る。
ただし、アドオンによってはアシストでフライングをしてしまう恐れがあるので注意。

+ REDHOT氏製作
  • REDHOT氏製作
「Infinity Mugen Team」で公開されている。MUGEN 1.0対応だが、WinMUGENでも使用可能。
ライフバー上に「PRESS START BUTTON」と表示されるのが特徴。
対女性用の特殊イントロを搭載している(原作にも存在するものである)。
TAG TEAM MODE対応キャラであり、3P側もしくは4P側で選ぶと強制的に控えへ回る。
スーパージャンプすると位置を示すアイコンが出る。2段ジャンプは存在しない。
吹き飛ばされると固まって動かなくなる不具合がある(投げられたりすると復帰する)。
空中投げの際に一瞬画像が乱れる。
AI起動コマンドは記述されているが、AI自体は搭載されていない。

出場大会

更新停止中
凍結

出演ストーリー



*1
その他木梨氏は競馬評論の際には「木梨ノリゾー」、演歌デビューの際には「憲三郎」等コントキャラクターも含め、多くの名義を使用している
(その背景には彼が自らのイメージを利用したり、勘だけで作り上げた「人間・木梨憲武」がフィードバックするようなキャラクターを、
 多数演じている事が挙げられる)。
また、この「木梨憲太郎」としての活動が、氏が芸術活動を始めるきっかけとなっている。
ちなみにとんねるずと綾小路翔DJ OZMAがプロデューサーを務めるユニット「矢島美容室」のメンバーである母親、
「マーガレット・カメリア・ヤジマ」が彼に酷似しているが、恐らく気のせいだろう。
矢島美容室はニコニコでも何故かブレイクし、デビュー曲「ニホンノミカタ~ネバダカラキマシタ~」は、
組曲「ニコニコ動画」等で知られるしも氏の楽曲「七色のニコニコ動画」のメドレーの一つにも選ばれている。
そして2010年4月には日本デビューまでの前日談を綴った映画まで公開された。
……今や正体隠す気ゼロですが!


最終更新:2025年01月25日 22:06