虫食

登録日:2011/11/27 Sun 23:03:40
更新日:2025/04/19 Sat 15:13:29
所要時間:約 6 分で読めます





虫食(ちゅうしょく)とは、人間が昆虫などを食する文化である。
「昆虫食」と呼ばれることの方が多いが、クモなどの「昆虫」ではない広義の虫を食する分化も含め語られるため、本項目名は「虫食」としている。

虫食(むしくい)と音読みすれば、虫に食われた孔の跡のことを指すが、本項目では取り扱わない。
ネズミのスタンド使いや、虫食い算*1等)
また、食虫植物についても取り扱わないため、個別の項目を参照のこと。


■概要

主に幼虫やサナギが食べられる事が多いが、卵や成虫等も食される。
また、クモ等厳密には昆虫ではない虫の場合も昆虫食に含まれることがある。

古くは、古代中国の文献にツムギアリの卵の塩辛の記載があったり、古代ローマにセミやクワガタの幼虫を食べていた記録等もある。
現代でも、東南アジアに行けば、市場に食材として虫類が並べられているのが当たり前の光景である。
また、日本でも、イナゴやハチノコ、ざざむし(水生昆虫の幼虫)等が食されており、地域によっては普通に売られている。

多くの日本人の感覚では、これらはゲテモノに分類されるが、昆虫類は良質なたんぱく質等を多く含む栄養食品である。
かつては貧困の象徴であるかのように見られていたが、現在は栄養分だけでなく食味を含めて見直されつつある分野であり、愛好家も意外に多い。
ジビエを扱う飲食店や中華料理などの民族料理店で扱っている場合もある他、近年では昆虫食をメインに扱う企業や飲食店も登場している。

ただし穀物と比較すると 収穫できる時期や条件が限定される割に常温で保存できる期間が短すぎる
(米なら10年くらい保管しても平気で食べられるが常温でそこまで持つ虫は少ない)
比較対象が生の魚や獣肉ならそれよりは長持ちするが、それでも生産量に劣る。
それが理由で「獲れる時期に獲れるだけ獲っておいて飯の足しにする」「安定供給は期待しないが季節の珍味として求める」のレベルを越えないことが多い。
特にあらゆる食材が容易に入手できる(現代の)日本での昆虫食は上記の範疇を出ていない。

それでも技術の進歩や既存の手法と異なる養殖手段の開発ができたことから
成長が早く、育成に必要なエネルギーも少なく、容易な生産手段を開発することでやがて来たる食糧危機への有効な対策になりうるとして研究が進んでいる(特にコオロギやミルワームなど繁殖技術が確立された昆虫)。
2020年5月には、無印良品が徳島大学と連携し、コオロギを使ったせんべいを発売した。
新たなスタンダードになるのか、時代のあだ花で終わるのかは、今後の消費者の動向次第である。

一つだけ述べておくと
日本でも一部地域で食べているように、世界各地で虫を食べている民族は多々あるものの
彼らの大半は他に食べるものが無いから虫を食べているわけではなく 虫が美味しいから食べている。
つまり虫が他の肉や魚や穀物と同様に喫食対象として好ましいと思っているから食べているのである。


■昆虫食の注意点・安全性

昆虫やクモなどは、エビやカニなどに近い節足動物であるため、甲殻類アレルギーを持つ人はアレルギー反応が出る恐れがある

また、寄生虫や病原菌を保有している可能性もあり、生食は危険が伴うため必ず加熱調理してから食べること
というよりも現代人が自然にそのまま存在するものをそのまま食べて無害なものの方が少ないと思ってよいのだが。

コオロギは危険な食材であるとする意見もあるが、2022年にEFSA(欧州食品安全機関)がアレルギー以外の重大な懸念事項は無いとした上で食品として認可している。
危険性の根拠として、内閣府の食品安全委員会の記事が挙げられることもあるが、これは2018年に公開されたEFSAの情報を紹介しているだけの物であり食品安全委員会の見解ではない*2
また、記載されているリスクは昆虫食に限られた話題ではない点にも留意が必要であり、昆虫食だけが危険とするのはミスリードといえる。
したがって、昆虫食を危険とする記事の多くはエビデンスが弱い内容か、古い情報を誤って解釈しているものが多く、現状では、「昆虫食危険論」は陰謀論の域を出ない

過去に昆虫食を行って亡くなった人もいることを根拠に危険論が唱えられることもあるが、この人物が亡くなったのは誤嚥による窒息死であり、食中毒や有害物質の影響で死亡した訳ではない。

最後に纏めると
  • 甲殻類アレルギーを持つ人などは悪影響が出る恐れがある
  • 昆虫食で考えられるリスクは他の食材と大差ない
  • 生食は食中毒や寄生虫の危険性があるため加熱処理をしてから食べること
  • それ以外の危険性は陰謀論の域を出ない
である。


■昆虫食と陰謀論

近年ネットを中心に騒がれがちな昆虫食だが、2022年頃から人口削減説やレプティリアン陰謀論*3を信じる界隈では「政府がコオロギ食を強制している」「コオロギには人間に有害な物質が含まれる」というネタが既に扱われていた。

この時点では笑い話のような内容であったが、同年11月に某学校の授業の一環として希望者にコオロギ粉末を使用した給食を提供する試みが行われ、メディアに記事が掲載されたことから「強制だ」と曲解した陰謀論者達が増長。

そして2023年初め、2022年2月に行われていたベンチャー企業(昆虫食業界だけではない)のイベントに出席していた河野太郎氏がコオロギ食を一口試食をしていた事が掘り起こされ、河野氏に否定的な思想の尖った界隈へと飛び火し、

  • 前述のようなエビデンスのない成分・毒性デマ
  • 表記を隠して密かに食品に昆虫を混ぜている等のデマ*4
  • 農業や畜産全体への補助金約6兆円を「コオロギ補助金」とするミスリード
  • 全くカテゴリの異なる牛乳の廃棄と接続しての批判
  • 毎年定期的に発生している畜舎の火災を「コオロギ食推進のために意図的に起こされたもの」と主張する陰謀論

等といった怪情報の数々が、インフルエンサーやSNS等を経由して一般層にも浸透してしまい、大々的な昆虫食バッシングへ繋がっていった。

これに伴って、昆虫食と関連企業や飲食店に対して、苦情の電話をかけたり、Googleのレビューを荒らすなどの嫌がらせ行為*5を行う者まで現れ、その影響で商談がなくなるなどして廃業したベンチャー企業も複数存在している。*6

もちろん、バッシングの被害を受けた企業・飲食店も黙っておらず、「根拠の無い嫌がらせ行為に関しては、弁護士に相談の上で厳正に対処する(要約)」と声明を出している。

この話題は未だ燻っており、アフィリエイト収入を狙って度々再燃させる層が存在する他、煽動する投稿の1/3がbot攻撃であったことが後の調査で判明しているため、情報収集は個人の発信やまとめサイト等を頼らず信頼できる一次ソースを辿って行おう


■主に食される虫達

●昆虫類

◆イナゴ

稲を食べる害虫であるイナゴは、佃煮にして食べられる。昆虫食の中でも特に一般的であり、大型スーパーや佃煮専門店であれば普通に売られている。
少々殻が固いがエビを思わせる味わいで、ザラメのシャリシャリ感もあり意外に美味。ザラメが入ってないものでも、小女子(こうなご)の佃煮に似ていて美味しい。
しかし足のギザギザは特に食感が悪い。このため調理の際に足が取られることもあるのだが、味がよくなる代わりに手間がかかり歩留まりも減る。
このため採算を取らねばならない市販品では足を取っていないことが多い。
串焼きで豪快に食べる人もいる。こちらは「はだしのゲン」にも出ていた。
また、同じバッタのトノサマバッタも美味しいらしい。ただトノサマバッタは昆虫食研究家によって美味しいという人と美味しくないという人がおり、個体差、もしくは種類差で味が安定しないのかもしれない。

ちなみにバッタが大量発生して作物や水を食いつぶす「蝗害」という事例が時折発生する。
こんな名称だが種類としての「イナゴ」が蝗害を起こすことはなく、真犯人はトノサマバッタなどの種類。
その虫を食えば?という人もいるがその手のバッタ類は日本で食べられるイナゴとは種類や成分が別物で食えない。*7
無理に食っても消化できる成分はごく僅かで胃腸に負担をかけてそのままうんちになって出てしまう。

コオロギを養殖するくらいならイナゴにしろという意見も見受けられるが、昆虫食ベンチャー曰くイナゴの養殖技術は確立されていないとの事。


◆蜂

オオスズメバチやクロスズメバチの幼虫が「蜂の子」として食される。
猛毒の蜂だが、幼虫の味わいに魅せられ、巣を探す事に執念を燃やす人々も大勢いる。その味わいは卵焼きに似ていると言う。
幼虫の見た目は足のないウジ虫タイプなので、気持ち悪いという人もいればイナゴ等のハッキリした形よりはマシと感じる人もいる。
また、サナギや成虫も素揚げで食べられる。焼酎に浸ければ精力増進効果があるとも。
スズメバチのはタンパク質毒なので火を通せば無害化する。
あえて生のスズメバチをボリボリ食べて口内の傷などから血管内に毒を取り入れない限り心配は無用。
日本の昆虫食の中では有名な部類であり、お土産なんかとしても売られている。


◆ざざむし

特定の昆虫というよりカワゲラなどの水生昆虫の幼虫の総称。
長野県の天竜川流域などを中心に食されており、佃煮にしたものはお土産として入手することもできる。
これも日本の昆虫食の中では有名な部類。
他の昆虫もエビっぽいといわれるが、水棲のざざむしは本当に小エビのような味わい。
元は山間部での貴重なタンパク源として消費されていたものだが、現代では高級珍味のポジションで定着している。


◆カイコ

人間の歴史を支えてきた生物の一つであり、飼育の技術が特に発展している昆虫。
主に絹糸を取った後の蛹の部分と幼虫が、煮たり揚げたりされて食される。
韓国ではポンテギと呼ばれ、スナック菓子の感覚で食べられる。
飼育の楽さと速さから宇宙食に使う計画もあるとか。
日本でも入手しやすく、カイコを取り扱っている料理店もある。


コオロギ

タイではメジャーな昆虫食であり、中国の一部地域でも油炒めにして食べられており、かの有名な本草綱目にも漢方として載っている由緒正しき食材。日本でもコオロギを使用したラーメンや佃煮、お菓子が注目を集めている。
調理法や餌によっても変わるが、エビのような味、ナッツのような味と例えられる。
本草綱目には「微毒。過剰に服用すべからず」と書いてあるが、先述の通り現代では危険性は無いと結論付けられている。
爬虫類の餌として用いられる為に養殖技術が発展しており、食材としての入手難易度も低め。


◆アリ

成虫は蟻酸と呼ばれる酸があるので食べられないが、ツムギアリの幼虫やサナギが、煮物等で食べられる。
オーストラリアではミツツボアリという腹に蜜をパンパンに貯めたアリがおり、アボリジニには最高のお菓子として愛食されている。
蜜と蟻酸がいい感じに混ざってレモンティーに近い味になるそうで。
美味しんぼのオーストラリア回では生きたハキリアリのお腹を咬み潰して食べる料理(?)が出ており、酸っぱくて美味しいとのことだったが本当だろうか?
仮に美味しいとしても虫は寄生虫がいる可能性が高いため生食はすべきではない。

なお1950年代の日本でアカヤマアリをチョコにくるんで蟻酸の酸味とチョコの甘みを生かした「 チョコアンリ 」という名のチョコが作られた。
アメリカに輸出したところ 高級チョコとして売れに売れて 一時期だけとはいえ良い稼ぎになったという記録がある。


◆セミ

成虫を焼いて粉にしたものは漢方にされる他、沖縄の一部では唐揚げ等でも食される。
また、中国では幼虫*8が土から掘り起こしてから調理されたりもする。味はエビに似ているとか。
しかしそれが知られたからか、日本でも食用目的で乱獲される事例があり、食用での幼虫採りを禁止する場所も出てきた。
生態系への影響も懸念される上、夜中にセミの幼虫を求めて市街の公園を長時間彷徨う姿は完全に不審者。周囲の影響も鑑みて幼虫採りはほどほどに。
ちなみにジャイアンシチューでおなじみの抜け殻も漢方薬として使われる。


タガメ

池に住む獰猛なカメムシの仲間。東南アジアでは現在も市場に並ぶ。
かつては日本でも食べられていたらしいが、現在は絶滅危惧種である為、国産品は入手困難。
ピリリとした、かなり上級者向けの味わい。
また、洋梨に例えられる独特の香りも特徴であり、飲料やスイーツの香りづけに使用される。


主に幼虫や蛹が食べられる。
前述のように養蚕業を支えるカイコが食用にされることがある他、モンクロシャチホコが食用として人気が高い。
また、これらの種類の糞を使ったお茶やお酒も存在しており、いずれも幼虫が食用とする葉の香りがする逸品である。
オーストラリアで、ジャイアントウッドモスの幼虫、ウィッチェッティグラブと呼ばれる巨大芋虫が、ソテーにされて食べられる。
味はトロリとして、子羊や子牛の脳ミソを思わせる、高級な味わい。
アフリカでも別の蛾の幼虫が『パニ』という名称で食される。
こちらはスーパーロボット大戦OGシリーズをプレイしたことがある方ならお馴染みの筈。


アフリカのヴィクトリア湖周辺に住む人々は大量発生したフサカを捕らえてハンバーグのようにして食すと言う。
血やそれに含まれる病原体まで口にしてしまいそうで衛生面が心配になるが、少なくともフサカは血を吸うことはないので、そこは安心のようだ。
味に関しては「ほとんど無味」らしい。
ほか、中国にはコウモリの糞を乾燥させた「夜明砂」という生薬があり、その糞には未消化の蚊の目玉が含まれるがゆえに目と血行に効くと考えられている。
実際食材というよりは薬に近い代物で、そもそもコウモリの糞の中に蚊の目玉だけが未消化で残るかと言えば微妙なところ。


◆蠅・虻

主に幼虫(蛆虫)を食す。
飼育・繁殖が容易であり、高たんぱくの食材として注目を集めている。ヨーロッパにはウジ虫が湧いたチーズを蛆虫ごと食べる地域もある。
しかし不衛生で気持ち悪いというイメージも強く、特に野生種に関しては注意が必要。


ゴキブリ

揚げて食べるのがメジャー。
海外では当たり前のように食用にしている地域もある。
蠅同様に不衛生で気持ち悪いというイメージも強く、特に野生種に関しては注意が必要。
日本の住宅に出没する個体は有害物質が生体濃縮されている可能性が高く、非常に危険。間違っても食べようなどと思わない方が良い。
ちなみに覇王丸の嫌いなものである「油虫」とはこれのことである。嫌いな理由も「美味しくなかったから」だとか。


◆マダガスカルゴキブリ・アルゼンチンモリゴキブリ(デュビア)

臭わず、飛ばず、繁殖が容易な爬虫類愛好家たちの救世主。
繁殖技術が確立していることもあり、昆虫食でも比較的メジャーな存在である。
ペットに与えるには増えすぎた個体を自ら食べてしまう猛者もいるとのこと。
個体にもよるが意外と食べれる味らしい。
管理された状態で繁殖されているため、有害物質等のリスクは低そうだが、それでも生食は控えよう。


◆シロアリ

塩炒めがメジャー。
因みにシロアリと言っても日本によくいる建築物害虫として有名なタイプのシロアリではない(あちらは木材を構成するセルロースを分解する為の細菌が腸内にウヨウヨいる為、食べると確実に腹を下す)。
では何かというと、アフリカのサバンナで蟻塚を作っているタイプのシロアリである。海産物や食用の野生動物に乏しいアフリカでは貴重なタンパク源であり、その味はカシューナッツに似るという。しかも昆虫食の中では一二を争う栄養価の高さを誇るとか。


◆甲虫類全般

幼虫や蛹は美味とされるが、腐葉土を食べる種類は下処理が難しい。
特に腐葉土で育つカブトムシは幼虫も成虫も非常に臭く、クセが強い。
一応加熱すれば食えるし筋肉が発達しているため可食部自体は多いのだが……。
一方、朽木を食べて育つクワガタムシは幼虫も成虫もエビに似て美味。
カブトムシでも朽木を食べて育つ種類は美味しいと言われている。
ゴミムシダマシ(ミールワーム)が飼育が容易な上に美味として人気が高い。
そのほかカミキリムシの幼虫も人気が高く美味とされ*9、ヤシオオオサゾウムシの幼虫はそれに匹敵するほどと言われる。
最近ではフェモラータオオモモブトハムシの幼虫が非常に美味で昆虫食マニアの間では人気が高まっている。
特にこの虫は日本固有の植物を食害することから侵略的外来生物に指定されており、その意味でも食べて駆逐することは環境保護という観点でも意義があるとされている。
生きたまま輸送することは外来生物を広範囲に広げるというリスクがあるため、実際にこの虫を捕獲し食す際は〆てから持ち帰ること。

◆コチニールカイガラムシ

南米に生息するカイガラムシの一種。直接食べるわけではないが、体から抽出される赤い色素が食品添加物として利用される。
イチゴ味のお菓子や、カマボコなどのピンク部分の着色に使われている。
品質表示に「着色料(コチニール色素)」と書いてあるものがそれである。


●昆虫以外の節足動物

昔の日本語では獣・鳥・魚からかけ離れた姿の小動物全般をムシと呼んでいたので(マ ムシ とか)、ここに書かれていた生物たちも昔の文献だと虫扱いで書かれていることもある。
カニ・エビはここでは記載しない。

クモ

主に中国で食される。
大型のタランチュラが材料。
生きたまま食う人もいるが、基本的には危険である。
カニのような味らしい。
ただし糸は釣り糸を噛んでいるような食感で非常に不味い。

キングスレイドの主人公であるカーセルの大好物であり、アニメ版では討伐した魔物の巨大クモに火を通して焼いた物を素手で解体して、嬉々とした表情で丸かじりするという、とんでもない事をやらかしている。
な、何という凄まじい青年なのだろうか…。
また、最近国内で定着した猛毒のセアカゴケグモも意外に美味しいらしく、ナッツのような味がするとか。ただし捕獲には危険が伴うので、素人が気軽に手を出すべきではない。


サソリ

わりかしポピュラー。
中国ではかつては高級食材としてありがたがられていた。
素揚げにしてそのままどうぞ。
カニみたいな味がするとかしないとか。
を心配する人でも大丈夫。サソリの毒は神経毒なので経口摂取しても胃液で無効化され、更に人体にとても有益とされる成分へと変わる。
それ以前に殺人級に強い毒を有する種は実は全種類中3%未満しかいない。
ただし、舌や口内全域等に完治していない傷があるとそこから毒が神経に入り込む可能性もあるので気を付けよう。


ムカデ

漢方としても利用され、乾燥させたものが売られたりしている。
芸人の佐々木孫悟空曰く「とても辛い」らしい。
海外では寄生虫に感染してる事例もあったので、生で食べるのは控えよう。
雑食性ゆえに動物の死骸などを食べている場合もあり、そうした個体は味も落ちてしまう。


オオゲジ

いわゆるゲジゲジ。こう見えてムカデの近縁種。
無数に生えた脚で壁や天井を素早く這い回る。
その見た目から不快害虫とされるが、ゴキブリなどを食べてくれる益虫であり、味もエビに似ていて美味しい。


◆フナムシ

海辺や汽水域に住むダンゴムシの仲間にして海の掃除屋。
ゴキブリを彷彿させる動きと群れで生活する事から不気味な印象を持たれがちな彼らも一応食べる事ができる。
エビのような味がするものの、腐肉食の彼らは臭いや苦みが強いらしく、好んで食べられる事は少ない。
また、食性や生息環境の関係上、不衛生な個体も多く食べる際には注意が必要。少なくとも生食は絶対にしてはいけない。


◆グソクムシ

深海に棲むダンゴムシの仲間。
素揚げで食べられることが多い。しかし凄まじい悪臭を放つ分泌液を取り除く必要があり、下処理に手間が掛かる。
他にもラーメンに使用されたり、グソクムシの粉末を使用したビールなども販売されている。
漁港の街として有名な静岡県焼津市では「さとふる」の返礼品で選ぶことができた。


◆タイノエ、アジノエ

魚の口に寄生しているダンゴムシの仲間。
やはり素揚げで食べられる。


●環形動物

いわゆるミミズやゴカイなどの仲間。

ミミズ

タンパク質に優れるが、下処理が大変な上に風味も独特。
内臓の中に土が詰まっているので消化管を割り開いてよく洗い流す必要がある。
また、肉にはゲオスミンというアスファルトのような匂いがする成分が含まれており普通に食べるととても臭くて不味い。
高温でよく加熱してゲオスミンを揮発させる必要がある。一番手っ取り早いのは油でフライにすること。
飼育・繁殖が容易なので、食材としての注目度は高く、専用の牧場もある程。
なお、 都市伝説で有名なミミズハンバーグは実際に作ると牛肉よりコスパが悪い *10 つまりデマである。


◆ゴカイ

ミミズと同じく環形動物で釣り餌として有名なゴカイも独特な風味を持つが美味な種類もあるらしい。
ベトナム北部では秋から冬が旬の食材として流通しており、多彩な方法で食べられる。
ただし、ゴカイには毒がある種類もいる為、注意が必要。


◆ユムシ

上記2種と同じ環形動物であるが、日本でも食材として知名度が高い。
見た目?英語での俗称が「ペ○スフィッシュ」なあたりお察しください。
韓国・中国・日本などでは出回っている地域がある。


◆エラコ

上記3種と同じ環形動物であり、観賞用に飼育される事もあるケヤリムシの仲間。
釣り餌として有名だが、一部地域では食用にされる。


●貝類

典型的な貝類が虫食と呼ばれることはほぼないが、貝からかけ離れた見た目の種類、および陸棲貝は「ムシ」扱いされることがある。

◆フナクイムシ

細長い独特の形状と名前からは想像付かないが二枚貝の仲間。よく見ると貝殻もある。
木材を食害する厄介者である一方で、トンネル作りで使用されるシールド工法のヒントにもなった生物。
フィリピンなどでは「タミロック」という名前で食される。


カタツムリ

「でんでんむし」とも呼ばれる陸生の巻貝。
ヨーロッパでは普通に食されており、フランス料理(フレンチ)の「エスカルゴ」は特に有名である。
日本でも食材としての知名度は高いが、日本に生息するカタツムリとは種類が異なる。
日本でもフレンチの専門店やファミレスなどでも提供されていたりする。
なおカタツムリは寄生虫に感染している可能性があるため生食は絶対にしてはいけない。必ず加熱調理してから食べること。


◆ナメクジ

陸生の巻貝でカタツムリの仲間。
好んで食用にされることは少ないが食べたことがある人もいるようだ。
なおナメクジも寄生虫に感染している可能性があるため生食は絶対にしてはいけない。必ず加熱調理してから食べること。


■余談

佐々木孫悟空という芸人が虫を食べる芸を得意としている。


+ 性的な話題につき閲覧注意
ゲテモノを食べさせる(食べる)性癖があるのか、昆虫食を題材としたり、プレイに取り入れたアダルトビデオやゲイビデオが存在する。
性癖に関しては蟲姦などと絡められることがある。


どんな小さなものでも無害だとしても虫を口にするのは嫌だ、という方はこの下の部分を読まないことをお勧めする。
+ ...
お米にはコクゾウムシやノシメマダラエイガなどの虫が卵を産みつけることがあるが、これを原理的に防ぐのは不可能。
流通に出す前の段階で加工して虫や卵を破砕することはできるが、 その破片を取り除くことはできない。
2023年前半時点でいわゆる加工食品に表記する義務のあるアレルゲンはエビ・カニなど7種類で、推奨されているのが21種類。(将来変動する可能性あり)
そのアレルゲン表示義務対象に昆虫類が加わったと仮定すると、
この食品には昆虫由来の成分が含まれています という表記が 今お店で流通しているお米や小麦粉類のほぼ全てに載ることになる。 *11
※今そうなっていないから昆虫はアレルギーの危険が少ないという意味ではない。昆虫食がメジャーになれば本気でそう制定される可能性はある。



昆虫食は、ハマると奥深く、楽しいものである。
今の食生活に物足りなさを感じたら、是非、ご一考を。


追記・修正は、イナゴの串焼きをかじりながらお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 食文化
  • 虫食いでない
  • 食べ物
  • ベア・グリルス
  • 栄養価は高い
  • 想像しただけで吐気を催す項目
  • だが食えると知っといて損はない
  • 既に浸透している物も
  • いきものずかん
  • ルーイ
  • 世界の果てまでイッテQ!
  • マイナーグルメ項目
  • 佐々木孫悟空
  • サシマン
  • 黄金伝説
  • ゲテモノ
  • ティモンとプンバァ
  • ネプチューンマン
  • きたない君がいちばんかわいい
  • 虫食
  • 昆虫食
  • 食虫
  • 料理
  • ゲテモノ料理
  • 性癖
  • 奇食
  • 腹が減る項目
  • 腹が減る項目
  • 陰謀論
最終更新:2025年04月19日 15:13

*1 算数で計算式の一部が隠されて出てくる問題及びその計算法

*2 ちなみに昆虫食の是非が話題となった2023年頃では古い情報である。また、元の記事からして「このようなリスクが考えられるため、安全性の更なる研究・安全基準値の策定が必要である」という内容であり、危険性を断定しているものではない。

*3 レプティリアン(人型爬虫類・爬虫類型宇宙人)による侵略を主張する方々。彼等によるとコオロギ食はレプティリアンのエサを普及させる陰謀…らしい。

*4 食用昆虫はまだ嗜好品の類であるため生産コストが高く、現実的ではない。普通に昆虫食表記をして高値を設定した方が儲かる。

*5 威力業務妨害や脅迫などで処罰される恐れもある。

*6 前述の無印良品との提携や学校授業へ提供を行ったベンチャー企業も風評被害により破産

*7 蝗害を起こすバッタは相変異と呼ばれる現象で体のつくりが変化している。早く成長して遠くまで飛び子孫を残すことに特化しているため体がスカスカで、食味が悪いだけでなく普段食べない毒草まで食うので毒を持っていることすらある

*8 主にタケオオツクツクというツクツクボウシの仲間。日本では外来種にあたる。

*9 中トロに似た味わいとされている。

*10 牛の方が飼育技術や肉の処理技術が発展しているため。

*11 食品1グラムか1mlに対して1マイクログラム(10の-6乗グラム)あれば表示対象になるが、間違いなくそれを満たす。