登録日:2020/01/28 Tue 19:50:50
更新日:2025/04/16 Wed 12:37:20
所要時間:約 20 分で読めます
見渡せやせぬ……!!
それが“世界”だ!! モモの助!!
●目次
【概要】
30年くらい前、当時
ワノ国のならず者の集まる無法地帯だった「
九里」を平定した男。
たった一代でかの地を楽園へと再建した「大大名」であり、先の将軍(
君主)である光月スキヤキの息子。モモの助と日和の実父でもある。
本編では既に故人であり、遺臣・
錦えもんや息子のモモの助たち縁者の話から名前だけが先に登場した。
その存在は広く海外にも知られ、
世界会議終了後に
ロックス海賊団の過去が語られた際、
白ひげ海賊団隊長の一人であった事が判明。
センゴク曰く
「『白ひげ』、『海賊王』、『赤髪』の三人から好かれた男」と評されており、実はワノ国だけではなく、
歴史の影で大物たちを動かしていた語られざる英雄であることが明らかになった。
過去の回想において、その型破り(過ぎる)経歴が判明した。
プロフィール
本名:光月おでん
異名:不明
年齢:享年39歳(生きていれば59歳で
カイドウと同い年)
身長:382cm
懸賞金:不明
肩書き:元
ワノ国九里大名
所属:元
白ひげ海賊団2番隊隊長、元
ロジャー海賊団船員
所属船:モビーディック号→オーロ・ジャクソン号
覇気:
武装色・
見聞色・
覇王色
出身地:
偉大なる航路 新世界 ワノ国 花の都
初登場:単行本95巻・第960話・『光月おでん登場』
誕生日:2月22日(
おでんの日)
星座:魚座
血液型:F型(現実だとB型)
好物:
おでん全般
口癖:窮屈でござる
武器:大業物21工
「天羽々斬」、大業物21工
「閻魔」
CV:
石丸博也
【人物】
ワノ国の次期将軍(他国でいう王子)という立ち位置にいながら、かなりの荒くれ者かつ破天荒な自由人として知られていた。
その伝説(悪名)は幼少期から既に始まっており、
- 0歳:乳母を投げ飛ばす
- 2歳:兎2羽を捕まえる程の俊足を得る
- 4歳:岩を投げて熊を撃破
- 6歳:遊郭に入り浸って城の金を使い込む
- 8歳:賭場で酒の勢いで博徒達と大喧嘩
- 9歳:やくざ達のブラックリストに載って賭場を出禁扱い
- 10歳:賭場を出禁にされた腹いせで賭場に火を付けてやくざ達と大抗争を起こした末に暴行傷害で服役する
- 14歳:日照りに苦しむ人々を見かねて川を曲げて水を確保するもそれが原因で大水害を引き起こし、その水害に乗じて出国を試みるも失敗
- 15歳:山寺の住職を脅して隠れ住んだ上に夜な夜な女達を侍らせた(ただし女達は常に自由の身だった)ため、これに怒った女達の親や恋人・夫である男達と乱闘を起こす(通称「ハーレムの乱」)
といった事件を度々引き起こし、遂には父スキヤキから絶縁状を叩きつけられ花の都を追放されてしまったほど。
この破天荒さが息子達に遺伝しなかったのは、果たして良かったのか悪かったのか…。
ほか鎖国国家である
ワノ国の体制に疑問を持ち、また光月家のルーツにもなった
歴史の本文について知ろうと度々海を出たが、航海術の才能がなく全て失敗していた。
こんな有様の為民衆からの支持は最悪の一言で、彼を見るなり罵声を浴びせたり女房や娘を匿ったりするなど、仮にも将軍の子息なのに腫れ物に触るかのような対応が当たり前だった。
実際、回想での初登場時は「火葬となった友人の遺骨の上で、その炎で煮込んだおでんを食う」というとんでもないものであり、その衝撃的なデビューは多くの読者の度肝を抜いた。
こう書くともの凄くアレな人物と思われるのも止む無しだが、一方で義理人情に厚く些末な事柄を気にしない大器の側面もまた持ち合わせていた。
10歳での服役した際には、才能を発揮し石切場の棟梁となっている。
上記の「遺骨の上でおでんを食う」のも、鍋をつかむ手のやけども気にせず全て平らげた上で供養の酒を置いて別れの言葉を残して去るという、知り合いの死に対しての彼なりの全力の弔いである。
おでんの真意の気づいた遺族らはその「おでん節」に感激し、娘や妻は惚れかけた。これが人々が女房や娘をおでんに会わせたがらない理由。とにかく「常識」に囚われることを嫌い、常識に囚われない人物だった。
自分一人の責任になるならそれで構わない・自分一人で咎を抱え込もうとする偽悪的な一面も持ち、錦えもんが原因で起きた山の神騒動もその罪を一手に引き受けたりしていることもあるため、上記の悪行や女さらいの評判も他人の非をかぶったものもあるのかもしれない。
行き場のなくした子供たちを迎え入れたり、苛烈な差別の被害者となっていたミンク族や魚人を助けたり等、彼のおかげで救われた、光を見た人物が多いのもまた事実である。
花の都の民衆も、内心は“義侠あふれるおでん節”に憧憬の念を抱く者も少なくなかった様子。
また気性が近い事もあってか、花のヒョウ五郎を始めとした裏社会の重鎮達も彼のことを認めていた者が多い。
白舞の大名“霜月康イエ”のことを「オジキ」と呼んで、第二の父のように慕っていた。
父スキヤキの絶縁も、康イエ曰く
「愛のムチ」とのことで、ゆくゆくはワノ国の将来を背負って立つことを期待されていた。
海に出た後もその義理人情は健在で、
白ひげや
ロジャーとも直ぐに馴染み、トキも彼の器に惚れ込んで妻となった。
モモの助や日和を見る限り、子供たちからも強く慕われていたのも確かである。
破天荒で自由を求めながらも義理を通し、我が道をゆく姿はまさに侍版
ルフィ、もしくは第二のロジャーといったところか。
一方で日誌をこまめにつけるという意外な一面も。
また石工としての技量も確かであり、歴史の本文を普通に読み文字を彫ることもできた。
回想では彼の手記を元に話が進む展開となっている。
【戦闘能力】
あの
白ひげ海賊団&
ロジャー海賊団の元船員だけあってその強さは人外の一言。
大業物21工に数えられる二振りの
日本刀「天羽々斬」「閻魔」を使った
『おでん二刀流』なる独自の剣術で戦う。
覇王色の覇気の持ち主でもあり、また戦闘時は刀を黒刀にしている辺り、武装色も相応に極めている。
18歳で既に山の神を一刀両断するほどの腕前を持ち、その気迫は初見で白ひげに「こりゃヤバイ」と警戒態勢を取らせるほど。
数十年経った今でもセンゴクがその名を覚えていたり、後に白ひげ傘下に入った時は即2番隊隊長をまかされるなど、「ワノ国が鎖国できる理由」を世界に十二分に知らしめる実力を持つ。
一方でとある島で勃発した、ロジャーと白ひげの抗争ではロジャーに一撃で吹っ飛ばされたり、2人の見えない覇気の衝突に驚いたりと、人外の頂点である“怪物級”とまではいかなかった様子。
とはいえ、錦えもんも恐れ
ゾロですら扱いに苦慮した妖刀閻魔を気軽に振りまわすパワーと幼少期から発揮していたスタミナは、ロジャー達が全盛期であった“当時の海”であっても脅威であったのは確かだろう。
世界一周の冒険を終えた後の39歳の頃には、後の
四皇である若き日の
カイドウに十字の傷を負わせる実力を見せたが、黒炭ひぐらしの独断による騙し討ちによって気を取られてカイドウに敗れた。
強者を好むカイドウも、
この決着には不服だったようでおでんを捕らえた後にひぐらしを処刑している他、1時間に及ぶ高温の油風呂を気合いで耐えて死ぬ寸前のおでんの覚悟ある姿を見た後は、ある種の敬意を見せていた。
なお
懸賞金は不明だが、よりにもよって白ひげ海賊団初代2番隊隊長にして
ロジャー海賊団にも所属していた経歴から、億越えだったとしてもおかしくはない。
●装備
名工「霜月コウ三郎」が作成し、飛徹が傑作と語る大業物21工の1本。
紫色の柄と鬼徹に似た炎のような形の乱れ刃が特徴。
地獄の底まで切り伏せると謳われる名刀だが、使い手の覇気を勝手に吸い上げ必要以上に物質を斬り裂く性質を持ち、未熟な使い手なら覇気を吸い尽くされ干涸らびて死に至る妖刀としての側面を持つ(ワンピースの世界では「持ち主が斬りたいと思うときにのみ斬れる」という刀が評価される)。
相当な手練であるはずのゾロでさえ右腕を持ってかれかけた。
その為閻魔を手懐けたのは現状光月おでん1人のみ。
おでんの死後は娘の日和に託され、その後彼女の手によってゾロに渡った。
天狗山飛徹が作成し、飛徹自ら傑作と語る大業物21工の1本。
その切れ味は天をも切り裂くと謳われる名刀だが、閻魔のように特異な性質があるかは不明。
おでんの死後は息子のモモの助に託された。
●技
技名は基本的に具材の名前から取られている。
山の神を横一文字に斬り伏せた技。
由来は糸こんにゃくを細長く加工した「しらたき」から。
銃声の様な音を放ちながら敵を瞬時に打ち倒す。
由来は潰した豆腐に
ニンジンやゴボウ等を混ぜて油で揚げた「がんもどき」から。
カイドウの腹を十文字に切り裂いた技。
由来はヤマタノオロチ退治の時にスサノオが使った十拳剣から?
アニメオリジナル技。
覇気を強烈に放出させた二刀で縦に斬り裂く。
由来は恐らく
おでんの中でもメジャーな「だいこん」。
以下、ネタバレ注意!!
【来歴】
絶縁から諸国漫遊まで
「絶縁上等!!!」
「河岸を変えよう!! 日が暮れたらそこが寝床だ!!」
今から41年前の当時18歳、何十回目となる船出に失敗したおでんは花の都で暴れる山の神と遭遇。
原因が子供を取られて怒っている事を知ったおでんは、山神の子を錦えもんから取り上げ注意を惹きつけると、そのまま山の神を一刀で斬り伏せ、事態を収束させた。
飲み込まれた人々も無事帰ってきたものの、過去の所業からこの事件もおでんのせいかと疑惑を向けられた上に、否定せずに自ら罪を被ったことで遂に父スキヤキからも絶縁を言い渡されてしまう。
(とはいえ、この件が無くても前々から絶縁は決めていたようだが)
しかしおでん自身は
「里がおれを持て余しただけ」と一笑に付し、諸国漫遊の旅に出る。
途中ついてきた錦えもんと
博ジロー、当時子供だったイゾウと
菊の丞、妖怪と呼ばれた
カン十郎、
山賊と化した
雷ぞうなどを仲間に加え、一行は怪物
「アシュラ童子」がいるという九里へと到着した。
アシュラ童子を倒し、九里の大名へ
「お前らの知恵と力を貸せ」
「おれはこのどうしようもねェクズ共の王になる事にした!!」
当時の九里は各郷から追放された罪人・浪人が暴れる無法地帯で、「ワノ国の癌」とまで呼ばれていた。
そこの一大勢力としてのさばっていたアシュラ童子率いる盗賊団に対し、おでんはたった一人で殴り込みをかける。
丸一日という死闘を経てアシュラを討ち取ったおでんは、彼含むついてきた錦えもんらをまるごと家臣にし、九里の清浄化を目指し始める。
追放された罪人たちに働くことの楽しさを教えたことで、犯罪の温床となっていた九里は一転立派な農園と城が建造され、腐っていた住民の心も活気が溢れるようになっていった。
これが認められたことでおでんは「九里大名」となり、また父からの絶縁も取り消され、立派な侍の長になったと民衆から認められるようになった。
これが20歳で起きた出来事である。
その6年後(33年前)、
海で漁をしていたところ迫害されていたイヌアラシ、ネコマムシ、
河松を成り行きで助けたことで、家臣はさらに増えた。
彼らも康イエからの助言・支援もあって、おでんの立派な家来になりたいと努力し、学を身に着けて風格が身についていった。
30年前に、都へ向かう際の大名参列をするときはその立派な風貌に誰もが驚き、まるで「将軍行列」と評したという。
そんな大名として順風満帆な生活を送っていたおでんだったが、彼は決して海に出る事を諦めたわけではなかった……。
白ひげと出会い、大海を行く
「おれの名は光月おでん!!!」
「誰だか知らんがお前の船に!! 乗せてくれ!!!」
だが、おでんを「人の下に付ける男ではない」と見抜いた白ひげは
人の下に付けない人間ばかりの集団での経験からこれを拒否。
しかしそれで諦めるわけもなく、便所と噓をついて城を抜け出し(それに気づいて止めようとついてきたイゾウと共に)白ひげの船の出航を見計らって船に鎖をかけ、海中に引きずられながら島を出る。
白ひげから「3日間その状態で耐えたら仲間にする」と言われたことで、2日半以上それに耐え続けてみせたが、途中海賊に襲われていたトキの悲鳴を聞いて縄を放し、彼女を助けに向かう。
約束は守れなかったが、その心意気を買った白ひげはあくまで息子としてではなく弟として彼の乗船を認めた。
その後は彼らと共に多くの島を冒険、文字通り氷漬けになったり炎に包まれたりするような様々な気候や種族、文化を見ながら旅をしていき、改めて自分があまりにちっぽけさを感じる程に世界の広さがあることを再認識した様子。
後に海賊団の人数が増えた事で隊を5つに分ける事になった際には、2番隊の隊長を任せられることになる。
またトキとはこの出会いを境に急接近し、2年後には船中でモモの助、そして日和を拵えた。
ロジャー海賊団と共に"ひとつなぎの大秘宝"を発見
「見せて貰うぞロジャー」
「お前の生涯をかけた大冒険の最終章!!」
その後、今から26年前、とある島にて
ロジャー海賊団と衝突。
3日間に及ぶ戦闘の末、和気藹々となった交流会にてロジャーの人格と、
歴史の本文が導くとある島を探しているという目的を知る。
それは、おでんの本来の目的であった
「光月家のルーツを探る」と同じものであった。
更にロジャーはおでんこそがその島にたどり着く鍵として、「1年間だけ」自分の旅についてくるよう懇願、土下座までしてきた。
当然白ひげは激怒するが、おでんもまたロジャーの計り知れない可能性を感じ、白ひげを宥め彼との乗船を承諾。
イゾウや白ひげ海賊団とはここで別れることとなった。これが今生の別れとなると知らず……。
家族丸ごと
ロジャー海賊団に移籍した後も、様々な島を巡り、冒険日々を過ごしていた。
特に
空島スカイピアに来たときは黄金の鐘に埋め込まれていた歴史の本文を発見。その隣に
「我ここに至り、この文を最果てへと導く」という文を刻む役を務めた。
他にもウォーターセブン、
魚人島、テキーラウルフなどを巡るが、、
ワノ国近海まで来た頃よりトキが体調を崩したため、モモの助と日和(+イヌとネコ)と共に一度帰国。
同時にワノ国に起きている異変を察知するも、トキの懇願・後押しもあり、敢えてロジャーと共に最後の島まで行くことを選び、ワノ国にあったロード・
歴史の本文の写しを手に入れると僅か数時間で国を後にした。
(当然ながらこの仕打ちは家臣たちから総スカンを食らっている)
その甲斐あって「偉大なる航路」の最終地点ラフテルまで到達。そしてその目で"ひとつなぎの大秘宝"とよばれる宝をロジャー達と共に目撃し、皆で大笑いした。そこで、世界の真実・ワノ国鎖国の理由までも知ることになった(つまりワノ国はかつて世界と繋がっていた)。
しかし早すぎた彼らはその後へ進まずにそこで冒険を終わらせる。
そして冒険を続ける代わりに“ジョイボーイ”の為にも、20年以上先の未来のために“ワノ国の開国”を新たな目標として掲げるようになった。
「国に残した優秀な家臣らと共にワノ国を開国し!!」
「20年以上先の!! 未来を待つとしよう!!!」
その後はロジャーは自分の海賊団を解散。
最初に降りたロジャー、そして共に戦ってきた船員たちと涙ながらに別れ、
ワノ国へと帰国した。
帰国…そして屈辱と忍耐の5年間
25年前、
ロジャー海賊団解散を受けて帰国するも、そこで父スキヤキが死去し自身の弟分を名乗る
黒炭オロチが将軍代理となったこと、
カイドウと手を組み国民達を苦しめていることを知る。
更にトキ達が帰国後に、オロチが光月の血を断絶させるために息子モモの助の命を狙って襲撃をかけたことが判明。
襲撃は失敗に終わるも、モモの助を庇ったトキに大怪我を負わせたことを知り、激怒してオロチの下へ乗り込んでいくが…。
数時間後―――光月おでんは
将軍オロチの城の前で裸になり おどけていた――
オロチを仕留めずに帰ってきたおでんは、往来で裸踊りに興じた上に、物乞いの真似をして九里に帰っていった。
その後おでんは週に一度都に現れ、無様な奇行を繰り返すようになる。
1年後の海賊王ロジャー処刑や、
ゲッコー海賊団と
百獣海賊団との抗争という大事件が起きても、おでんの奇行は続いた。
オロチによる圧制を打破する希望として期待を寄せていた
おでんのその振る舞いに人々は失望し、その評判は失墜してしまう。
――実はオロチを襲撃した際、おでんは問答無用で斬りかかったのだが、傍にいた黒炭せみ丸の
バリバリの実の能力に阻まれる。
オロチは黒炭ひぐらしのマネマネの実の能力を明かし、策略を使って将軍の座を簒奪した事を告げる。そしておでんに何らかの「取引」を持ちかけるのだが……。
おでんは家臣や家族にすらその「取引」の真相を告げず、約束通り5年間踊り続けたが、卑劣なオロチに最初から約束を守る気があるはずは無かった。
屈強なサムライの漢にそんな仕打ちをするだけでも卑劣極まりない行為だが、おでんの立場を考えると民の為に尽くし民から慕われる姫騎士を定期的に公衆の面前で公開凌辱するも同然の行為であると考えれば非常に下劣極まりないと言えるだろう……
オロチがヒョウ五郎をカイドウに売り渡し、反発するヒョウ五郎の妻や子分十数名を殺害したと知り、堪忍袋の緒が切れたおでんは腹心・
赤鞘九人男と共にカイドウ討伐を決意する。
おでん VS カイドウ
おでん一行の計画は、少人数でカイドウが根城にしている無人島「鬼ヶ島」へと渡り、酒を呑んで寝ているであろうカイドウを討ち取るという物であったが、港に向かう途中の兎丼の森で待ち構えていたのは、まさかのカイドウ率いる千人の
百獣海賊団であった。
「お前の城にスパイでもいるのかもな」とスパイの存在を仄めかし、「おれの屋敷を戦場にしたくねえんで出向いてやったまでだ」と言うカイドウ。
「全てウソだったんだな カイドウ!!」
「そうさ…ウォロロ 全て嘘だった あの時おれ達は分が悪いと踏んだ」
5年前におでんが「取引」をしたのは、オロチとそしてカイドウであった。5年前のあの時点でおでんが大侠客であるヒョウ五郎と組んでオロチとカイドウに反抗した場合、
ワノ国中の侍と侠客がカイドウたちの敵となっていた。
当時はまだ部下も少なかったカイドウは、苦しい勝負になると判断し「時間稼ぎ」をしたのだ。
「あの時お前が何の犠牲にも動じねェ… 前評判通りのイカれた男だったなら…ウォロロロ!!」
「だがお前は誰も傷つかねェ方法を選んだ………!!」
おでんを白ひげやロジャーのように「強いがどこか甘い奴等」と言い、5年間民衆に蔑まれながら踊り続けた結果「お前にはもう『光月』の威厳も何もねェ!!」と蔑むカイドウだったが…。
「あの日の判断はアレでよかった ――話を未来に進めようぜ」
そう言っておでんは刀を抜き、
百獣海賊団との戦いは幕を開けた。
人数は十対千と圧倒的に不利であったが、おでんの常軌を逸する強さと部下たちの奮闘は、当時既に
キングと
クイーンが所属していた百獣海賊団に決して劣る事無く、またオロチに付いた
忍者軍を離脱したしのぶもおでん陣営に参戦した事で、戦いは長期戦となる。
「斬りてェのはお前の首一つ!! “おでん二刀流”“桃源十拳”!!!」
おでんの渾身の一撃は見事龍化していたカイドウの胴に十字の傷を入れ、耐え切れずカイドウは森に墜落。すかさずおでんはカイドウに止めを刺そうとする。
だが、おでんはモモの助が人質に取られる姿に一瞬気を取られ、体勢を立て直したカイドウの攻撃に倒れる。
――“人質となった息子”は黒炭ひぐらしが変身したものであり、激闘は老婆の卑劣な手段で幕を閉じたのであった……。
光月おでん、最期の大舞台
おでんが敗れ、部下も奮闘空しく全員捕えられた事で兎丼の森で起こった戦いは終わった。捕えられた十名は花の都へと送られて投獄され、“将軍の謀反人”として処刑が決定。
その刑罰は「大衆の面前にて『釜茹での刑』に処す」という無慈悲なものであった……。
訪れた処刑の日、おでんはオロチとカイドウに「刑に耐えた者は無罪放免にして欲しい」と要求する。
それに応じたカイドウが出した条件は、おでんを含む全員が釜に入り、1時間耐え抜けば解放するという無茶苦茶なものだった。
これを受け、おでんは真っ先に釜の中――煮えたぎった油の中へと飛び込む。なお誤って落ちたオロチの部下は数秒持たずに焼け死んでいる。
主君に続けとばかり、他の9人も飛び込もうとするがおでんはそれを制し、なんと9人の乗る橋板を頭上に担ぎ上げた。
無茶苦茶な条件に対する無茶苦茶な解答を面白がったカイドウは「確かに全員釜に入った」と認め、その後刻一刻と時間が過ぎていく。
すぐに終わると思った処刑が長引くにつれて観衆は苛立ちを募らせ、罵倒の言葉が飛び交い始めるが、処刑場に忍んでいたしのぶによって遂に5年前の真相が暴露された…。
おでんは5年前のあの日に百獣海賊団がワノ国中から誘拐した人々を見せつけられ、「おでんが週に一度花の都で踊る毎に、誘拐された者を100人ずつ解放する」「オロチとカイドウは船を造り、5年後にその船でワノ国を出て行く」という取引を結んだのだ。
おでんは国民に蔑まれながらも欠かさずに踊り続け、その一方で各地の郷を回り誘拐された人々がいないかを確認していたのだった。
真相を聞かされた市民は、いつの間にか包囲を完了していた
百獣海賊団と、おでんの助命を求めた市民をオロチが片っ端から撃ち殺す様に感情が逆転し、おでんを応援する声へと塗り替えられていく。
(都合のいい奴らだと錦えもんたちは憤ったが、おでんは民衆の応援を素直に受け取った)
そんな中、おでんは頭上の家臣たちに、
ワノ国に関するある事実を語る。
それは、
ワノ国をかつて鎖国に導いたのは光月家であったこと、それはとある「
巨大な力」から国を守るためだったこと、その果てに「800年後に現れる“
ある人物”」を待つためだという、「空白の歴史」の一部だった。
カイドウとオロチはどうあってもここで自分を殺すと確信していたおでんは、「ある人物」が
ワノ国にやってくる20年後に開国する夢を託し、何が何でも生き延びるよう命じる。
そうしてついに1時間が経過したが、オロチは独断で銃殺刑に切り替え、親類縁者共々皆殺しにすると決定。
だが、おでんは一瞬の隙をついて橋板ごと家臣たちを包囲の外へ投げ飛ばし、逃がすことに成功。
「頼んだぞ!! お前ら……!! 『ワノ国』を開国せよ!!!」
一人釜の中に残ったおでんはカイドウと対峙し、最期の時を迎える。
カイドウはおでんとの戦いにひぐらしが水を差し、それが決着の決め手となったことを気にしており、せめて己の手でおでんを葬り、その死にざまが語り継がれるだろうと告げる。
「ババアのことは悪かったな 殺しておいた」
「真面目だな……ハァ せいぜい強くなれ ―――おれは」
一献の 酒のお伽に なればよし
煮えて なんぼのォ~!!
ドンッ!!
ザバッ!
すぅ~~~~
「「「“おでんに候”!!!!」」」
歌舞伎のごとく見栄を切り、辞世の句と不敵な笑み、そして開国の夢を遺して、光月おでんはこの世を去った。
享年39歳。
【統治者として】
個人としては器の大きく粋な侍であったおでんだが、統治者としては「無能なバカ殿」と評さざるを得ない。と言っても完全に無能ではなく有能な箇所もあったが、いかんせん
- 家臣の言うことに耳を貸さない。
- 自分で全部、背負いこもうとして誰にも大切なことを話さない。
- 財政難なのにオロチに金を貸し続ける。
- 次期将軍というだけでなく大名という立場なのに自分勝手に国を出る。オマケに臨時の責任者の推奨すらしない。
- 国の異変を察しながら背を向け、再び海に出る。一応、理由としては…
- ロジャーはこの時、既に不治の病に冒されていて余命も僅かで時間がなかった。
- メタ的な意味ではおでんが居ないとワンピースの本編が始まらなかった
- 人質がいたとは言え、ワノ国の破壊、国への復讐が目的のオロチとの約束を信じる。
- 尤も、この約束はオロチ自身が自らの迫害の過去を話した上で超お人好しのおでんへ提案した黒炭家への"謝罪"の一面もあった模様。
- (見守りの巡回こそしていたが)ただ約束を信じて踊り続け、なんらかの対策を打とうともしなかった。
等々、統治者として欠点がある。
バリバリの実やマネマネの実など、本編随一の凶悪な実の能力者達の協力があったとはいえ、オロチが
ワノ国を支配できたのもおでんが勝手に海に出て、国を不在にしたことが大きい。しかも、その出奔も「自分が出たいから」という我儘に端を発している。実際カイドウも桃の助に対して「お前の父はバカ殿だ」と伝えている。
ワポルやオロチのような暗君や暴君は論外として、コブラ王やネプチューン王といった責任感のある統治者がいる中で王としてはダメな人物と言える。
ただし、前述のように犯罪の温床となっていた九里を復興させ常に財政難とは言え維持していたこともあって統治者としての能力がないわけではない。
だからと言って高くはないが、おでんの場合、能力の問題よりも性格が国のトップのような縛られる立場との相性が致命的に悪いことや、そもそものワノ国が鎖国していたことにずっと前から不満があったことが大きな理由である。
他ならぬおでん自身も、自分がリーダーや統治者などには向いていないことを自覚していたというより苦手意識すらあったようで、
白ひげ海賊団時代に隊長就任を口ごもりながら拒否しようとしたり、オロチを襲撃した際に「そんな偉いものになる気はなかったがお前よりいくらかマシな国にできる」と発言したりしている。
実際、自由な立場であった追放時代や海賊時代では致命的なくらい「お人好し」かつ「豪放すぎた」自身の良さを思うがまま、最大限に発揮している。
もしもある龍のように指導者として一切を任せられる適切な後任役がいたのなら、指導者の立場を後任に任せて自分は外側や下から組織を支えるという感じに指導者としてはあれでも組織に貢献する有能者として評価されたであろう。
このように統治面こそ中の下といった感じな反面、魅力溢れる好人物であり、海賊王や四皇といった世界の大物にも強烈な印象を与え続けていた。
それは20年以上経ってもなお衰えず、武勇伝だけでも
麦わらの一味を魅了し、さらに
とある人物にも大きな影響を及ぼすきっかけにもなった。
ただ、イヌアラシが回想でおでんとの出会いを美化してたりと過剰評価とは言わないが多少、美化して伝わっている面もある模様。
彼がいなければ未だにワンピースが見つからなかったことを考えると、陰ながら世界の運命を大きく変える一翼を担ったともいえる。
【余談】
「若い頃は親に見放されるほどの“うつけ”だった」「海外の人とも積極的に交流」「お(織)・でん(田)」から、モチーフの一つは戦国武将の
織田信長と思われる。
傾奇者なビジュアルや性格などからこれに加えて
前田慶次や
石川五右衛門の要素も入っているだろう。
白ひげ・海賊王・赤髪といった大物と結んで回天の業に加わり、「歴史の影で大物たちを動かしていた語られざる英雄」という点や、剣術の巧みさ、内政センスのなさ、などから
坂本龍馬の要素もありそうだ。
また、
おでんという料理は知っての通り
ちくわ、玉子、はんぺん、がんもどきなど多数の具材を一つの鍋に入れて煮込む料理である。
康イエも辞世の句で「器の小さき男には一生食えぬ"おでん"に候」と謳っているが、これはおでんがオロチにとって煮ても焼いても食えぬ男だっただけではなく、民衆や海賊と様々な人間を魅了した(一つの鍋という器に収めた)おでんと、部下の支持すらろくすっぽ受けられていない(具材を入れる程の器がない)オロチとの比較もついたと思われる。
前述の「おどけていた」の場面だがおでんを
ボーボボに変え「ボーボボはおどけていた」と改変した
ボーボボ特有の補正で違和感のないコラが各地で出回っている。
「何やってんの!!!?」とツッコんでいる
ビュティも違和感がない。
余談だが担当声優の石丸氏の当たり役の一つに『マジンガーZ』シリーズの
兜甲児役があるが、何の因果か2024年のアニメ『グレンダイザーU』にて、甲児役をモモの助(28歳時)役の
下野紘氏が担当している。
見せて貰うぞアニオタ民!!
お前らの生涯をかけた追記修正!!
最終更新:2025年04月16日 12:37