ゾルタン・アッカネン

登録日:2020/11/28 Sat 20:17:00
更新日:2025/04/01 Tue 11:49:01
所要時間:約 10 分で読めます






撃っちゃうんだなぁ、これが!!



ゾルタン・アッカネンとは『機動戦士ガンダムNT』の登場人物。
CV:梅原裕一郎

概要

年齢:27歳
所属:ジオン共和国
階級:大尉
搭乗機:シナンジュ・スタイン
    Ⅱネオ・ジオング


人物


彼について一言でまとめるならば「宇宙世紀版ラウ・ル・クルーゼ」。

精悍な顔つきだが、どこか不健康そうな白い肌や片目が隠れたスネ夫ヘアー、右目の赤いサイコミュ・システムを内蔵した赤い義眼が目を引く男。

その出自はフル・フロンタルと同様、モナハン・バハロに用意された{シャアの再来}の候補者の一人である強化人間。フル・フロンタル同様に、シャア・アズナブルとは関係のない赤の他人であった。同計画の成功作であるフロンタルと異なり、成功作の要求水準を満たしていなかったため、失敗作としての烙印を押され、フロンタルのように自我を消され整形されることもなく、ジオン共和国に飼い殺しにされていた。

原石の名の通り操縦系が固いままのシナンジュ・スタインを難なく使いこなせる確かな腕はあるものの、精神的に不安定で、傲岸不遜で発狂しやすく、不死鳥狩り作戦においては、ネオ・ジオン共和国軍における不死鳥狩りの指揮官というのもお飾りの立場であり、副官という名目で置かれた監視役のエリク・ユーゴから逐一行動を見張られており、モナハンからは信用されていなかった。

小説版によれば、家族は父母妹。
一年戦争時は約9歳となり、カツ(7歳)以上、アル(小5)未満である。
映画・小説版と設定が異なる漫画版では、サイド3のコロニー貨物船労働協会の会長の息子に設定変更されており、家族構成も異なる。

スタッフの評価では、
  • 監督の吉沢俊一は『頭の中に小学5年生がいる
  • 脚本の福井晴敏曰く『メカニックと肩ぶつかったら半殺しにしちゃう』
とクレイジーな部分が取り沙汰される。

一方で、ゾルタンは小説『機動戦士ガンダムUC』終盤で、全体がモノローグで説明していた部分を新たに『機動戦士ガンダムNT』で説明する役目も担っていて、宇宙世紀におけるニュータイプ論や社会的価値観などを的確に指摘しており、
「宇宙に上がって100年足らずでそんな進化は夢見過ぎ」「オールドタイプは現象しか理解しないから奇跡を見ても本質を学ぼうとしない」など地球連邦軍やネオ・ジオン軍のニタ研の強いパイロットを作り出すために行われた人体実験は、ニュータイプの本質からかけ離れているとして強く拒絶している。

アニメ『機動戦士ガンダムUC』では、マリーダ・クルスが「100秒で分かるガンダムUC」という動画でナレーションを担当、早口でアニメの内容を捲し立てて好評を得たが、その続編的な動画ゾルタン様の3分でわかる宇宙世紀!が2019年1月5日にYouTube上でガンダムチャンネルにより公開された。同動画はゾルタンがナレーションを担当。
  • 一年戦争も金持ち父さん貧乏父さんの取っ組み合い」の一言で済ませ
  • フル・フロンタルに関しては、「名前は和訳しない方がいい」と画面の文字で突っ込んでいる。
一年戦争からラプラス紛争までを3分で語るという内容だが、メタ発言や自虐発言などを盛り込んだ内容だった。

劇中の活躍

チベ級宇宙重巡洋艦『グルトップ』艦内で、アイネ・クライネ・ナハトムジークを鼻歌混じりに口ずさみながら艦首に現れたのが初登場シーン*1
艦首モニターいっぱいに写し出されたフェネクスにどこか嬉しそうな顔を見せ、両手を広げた。
そしてフェネクス鹵獲のためにサイド6学園都市コロニーのメーティスへ出撃。
事前にコロニー内部の発砲は厳禁と注意をされていたにもかかわらず、ナラティブガンダムと遭遇した時に遠慮無しに発砲。
エリク・ユーゴ中尉からの勧告も無視して連射し、多数の民間人死者を出してしまう
念願のフェネクス登場時には苦戦を強いられ、半ば強制的にⅡネオ・ジオングをハルユニットのみでコロニーの外壁に突撃させ、そのまま合体する予定だったのだが、
暴走していたナラティブガンダムのサイコミュジャックでハルユニットの制御権を奪われてしまい、涙を浮かべ絶叫
蚊帳の外に置かれたような状態のまま事態の推移を見守る他に無かったのだが、暴走が停止するとそのままコロニーから撤退した。

その後はメーティスでの暴走が契機となってジオン共和国からも切り捨てられることを察知し、元より監視役として立ちまわっていたエリク・ユーゴを射殺した後、
艦をサイド6のヘリウム3備蓄基地宙域へ移動させ、今度は自分が最初からⅡネオ・ジオングに合体して出撃。
袖付き残党部隊殲滅任務として迎撃に当たったゼネラル・レビルと交戦し、多数のジェガンA2型リゼルC型を圧倒する。
しかし、ヘリウム3のガスタンクの影に潜ませていたグルトップが、地球連邦軍側の艦砲射撃によりガスの誘爆で轟沈したのを確認。帰還する場所をなくしたことで遠慮を失くし、サイコシャードを起動。
恨み辛みを吐きだしながらガスタンクに保存されたヘリウム3を臨界爆発させ、ゼネラル・レビルを跡形も無く消失させた。(劇場社入場特典の「IMMEDIATE REPORT 灰の中から何度でも -サイド6 ヘリウム3備蓄基地臨界爆発事故異聞 -」によれば、普通はヘリウム3が臨界爆発することは不可能で、サイコシャードのイメージを具現化するという機能によりゾルタンはヘリウム3を臨界爆発させている。)
戦闘状態を感知してやってきたフェネクス相手に当初は苦戦を強いられるも、有線式ファンネル・ビットでゼネラル・レビルの残存戦力を強制的に支配権に置いてからは逆転。
パイロットの意思も無視した自爆攻撃などで追い詰めかけたが、ナラティブガンダムがフェネクスの救援に現れたことで撃墜することは出来ずに終わり、
最終的にはフェネクスに搭乗したヨナが、機体をデストロイモードに変身され、形勢を逆転される。大出力のメガ粒子砲も効かず、目にも止まらぬ速さでフェネクスにⅡネオ・ジオングのパーツを解体されてしまい、ゾルタンはハルユニットから離脱しシナンジュ・スタインで果敢に白兵戦を仕掛けるが、コクピットをマニュピレーターで貫かれ死亡した。

死ねば溶け合えるんだろ?

人間のエゴと業が、このマシーンと俺達を産んだ。自らを裁くために……

…楽になろうぜ?

だが、全体に溶けたゾルタンの残留思念は、未だに健在のⅡネオ・ジオングのサイコシャードを使い、ヘリウム3ガスタンクを臨界寸前にまで追い込む。

しかし、フェネクスはアームド・アーマーDEを増殖させ、巨大な鳥の羽根のような物体を顕現させる。羽根は、臨界爆発とそれを発生させるⅡネオ・ジオングも包み込み、消失させてしまった。

決着がついた後、ヨナが見た全体の中では、幼少期のゾルタンが登場しており、大人に連れられ何処かへと姿を消した。

台詞

一時間半ばの映画に出てきただけのキャラクターなのだが、口から出る言葉がどれもこれも妙に印象に残る迷言メーカーである。

  • 「人違い?いや……ガンダム違いか!」
サイコ・フレームの反応(フェネクス)を追ってメーティスまでやって来たが、実際に遭遇したのはナラティブガンダムだった時に。

  • 「撃っちゃうんだなぁ、これが!!」
ゾルタンの代名詞。
上の台詞の直後、「発砲は厳禁」という命令も無視してビームライフルを連発する。
ヨナが「コロニー内で!?」という驚愕の声に続く台詞だが、コロニー内での戦闘は常識的に禁止されている世界観で、ましてやコロニーという大地に穴を開けるビームを発射するのは非常識な行動であった。

インターネット上での会話でも使える台詞で、「〇〇だなぁ、これが!」とするだけで大抵の状況に応用が利くのがポイント。

  • 「避けるなよ……コロニーに穴が開いちまうだろうが!」
自分がそのコロニーに穴を開けかねない発砲をしながらの発言。
まさしく「どの口が」としか言いようのない身勝手な台詞である。

  • 「失敗作相手には、二流のガンダムで十分だとでも!?」
戦闘中にナラティブがインコムを使用したことに対して激怒。有線のインコムではなく、無線のファンネルを使うのが一流のガンダムという事であろうか。「失敗作」という自身のコンプレックスを端的に表している。

  • 「ガンダム同士で馴れ合ってんのかよぉ!!」
ナラティブを追い詰めるも、それを助けるようにやって来たフェネクスに妨害されて。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のギュネイ・ガスの「ガンダム同士呼びあっているのか?」のオマージュ的な意味合いのある台詞である。

  • 「切り札ってのは、最後に切らないとな!」
学園都市「メーティス」の大地を突き破りながら、ハルユニットを呼び寄せた時の台詞。この時点では、Ⅱネオ・ジオングになって、ヨナもフェネクスも一網打尽にする自信を窺わせる。

  • 「お前まで俺を見捨てるのかよぉ!?」
ナラティブガンダムのサイコミュ・ジャックを受けて。
覚醒したヨナ・バシュタは夥しい感応波を発して、強制的にナラティブガンダムとハルユニットを合体させる。
ここまで常識も無視してコロニー内で虐殺を行っておきながら、突然悲痛な叫びをあげるゾルタンの温度差は強烈。ただの機械であるはずのハルユニットまで目の前で強奪されるという行為は、過去から現在に至るまでジオン公国やジオン共和国に奪われていくだけのゾルタンには耐えられなかったのである。

  • 「失敗作だって見捨てられれば傷つくし、腹も立つんだよ」
自分やグルトップの乗員を見捨てて逃亡するよう密かに指示を受けたエリク・ユーゴ中尉に対して。
モナハン・バハロとエリクトの通信をたまたま聞き、彼女の裏切りを知ったゾルタンはこの発言の直後、銃を構え自身を返り討ちにしようとしていたエリク中尉を射殺。最後の戦いへと突き進んでいく。
グルトップ、及びクルーから怪訝そうな顔をされていた印象が強いゾルタンだが、最後の戦いの際には少しでも弾除けになればとヘリウムタンクの陰に艦を避難させており、
小説でははっきりと「俺の帰る場所は、あの艦とこのモビルスーツしかないのだから」と書かれている*2
最後の出撃の際に涙を流しているのだが、その涙は義眼からは流れないというのも細かい演出である。

  • 「諸君ら、あんまり生真面目にやってると馬鹿見ちゃうよォ!?」
多数のジェガンやリゼルをⅡネオ・ジオングのメガ粒子砲で蹴散らしながら。
いくら任務とは言え、ユニコーンガンダムのような高性能機に乗せられてるわけでもないのに、イメージを具現化する機能を持ち全体から破壊対象指定されるようなこの世にあってはならない禁断の機体に挑まされる連邦軍兵の気持ちを考えると不憫に思えなくもない。
もしくは真面目にジオン共和国の命令に従っていたのに切り捨てられた(主な原因はゾルタンの暴走だが)自分たちへの自嘲も入っているのかもしれない。

  • 「あーあ、やっちゃった。なりふり構わねえでやんの……」
ヘリウムタンクごとグルトップを吹き飛ばした連邦軍艦隊に対して。
まったくもってその通りだがお前が言うな。
このあと「こっちもやっちゃうか!?」とマジキチスマイルを浮かべながらサイコシャードを展開させる。グルトップに配慮して今まで使わなかったのだろう。

  • 「こっちはマシンでマシンを操っているだけだ。人の頭ん中に入り込むより、良心的だろうが!」
『ジャック』によって操ったジェガンをフェネクスに差し向けながら。
『逆襲のシャア』でアムロ・レイが88艦隊を洗脳したことやエンジェル・ハイロゥ、サイコミュを介した人の洗脳現象はガンダムシリーズで見られるが、機械でジェガンを操ったゾルタンのこの行為も最後はビーム・ライフルで自分のコクピットを貫かせて殺すなど、他を糾弾して正当化出来ないほどの外道行為であった。

  • 「人間が宇宙で暮らすようになって精々100年……それで『ニュータイプになれ』って、夢見過ぎだよなァ……?進化ってのはそんな簡単なもんじゃない」
フェネクスに宿っている全体の一部である残留思念のリタが同じ強化人間だと気づいて。
小説機動戦士ガンダムUCの終盤にモノローグ部分で説明された部分のオマージュである。能力として進化するのはともかく、精神面が未熟なままである。

『UC』にて極北にまで行き着いた「ニュータイプ神話」をある意味で真っ向から否定するこの台詞が、「ニュータイプ神話の行き着く先」を謳った『NT』の悪役に与えられたものというのが中々意味深。*3
膨れ上がった「ニュータイプ神話」の真理を突いた金言と取るか、あくまでも否定されるべき悪役の台詞として取るかによって趣きの変わる名台詞と言える。

  • 「ジーク・ジオンだのサイド共栄圏だの、くだらんお題目の為に全てを犠牲にしてきた!」
おそらくは彼の本心。
小説で明かされた「戦場となったコロニーただ一人の生き残りで、ジオンに収容され無理やり強化人間にされた」という過去から考えると、ジオンに何一つ好印象を抱いていない。無論、モナハン・バハロが提唱するサイド共栄圏に関しても例外ではない。
一年戦争から連なる悲劇の渦中にいて全てを奪われた被害者の側面を持っているのがゾルタンという男であった。

ゲームでの活躍

機動戦士ガンダム Extreme vs. 2

中間アップデートで愛機共々参戦。相変わらずのテンションで喚き散らすため、並のキャラには遅れを取らない存在感がある。
味方への被弾でも謝罪しない傲慢さ*4や凶暴性、強化人間に対する同情心とも取れる発言、仮面キャラへの執着心など異様にボイスが多い。
また覚醒ゲージがMAXまで溜まった際には「おいおいどうすんだよ……溜まっちまったじゃねえか」と、プレイヤーに噛みつく珍しいボイスもある。
覚醒がMAXまで溜まるのは基本悪手なので、それを親切に教えてくれると好評。
マスク大尉とは掛け合いがあり、コンプレックスを抱えた者同士で相性はそれなりに良いのではないかと思わされる。

スーパーロボット大戦X-Ω

スパロボ初参戦作品。
原作ネタバレ防止のため本筋にはあまり関わらない。
冬樹からは「説明だけ聞くとケロロ小隊のみんなを1人に集めたような人みたいだけど」と評された。

スーパーロボット大戦30

『ガンダムNT』の参戦に伴い登場。
ヨナ達に敗れ死亡したかと思いきや、最終盤でクエスターズに拾われ、何とエンジェル・ハイロゥを乗っ取ってしまう
トチ狂った人達に加え、進め方次第ではカギ爪の男とも戦うことになるためエンジェル・ハイロゥが地獄絵図化したプレイヤーもいたとか…。
残念ながらしばしば歴代強化人間たちが救われてきたスパロボ補正には与っていない。
メーティス内で戦闘する展開が無いなど微妙にチャンスがありそうだったのだが「隊長である自分の背後に控えているような役立たずは不要」とパワハラしたり、サイコ・シャードを悪用したりはしていたので仕方ないのかもしれない。
というより、原作における最期を越えた後も「自分を馬鹿にした報いも兼ねてエンジェル・ハイロゥで地球そのものを消すことで寒冷化を目指した赤い彗星を超越する」だの碌なことを言っておらず、流石に自軍加入は厳しい歪み具合か。
地味に特殊戦闘台詞が70種類以上収録されているという豪華な仕様となっている。
共に初参戦した君を退屈から救いに来るヒーローに対する「俺の心を! 救ってみろよ、ヒーロー!」は色々な意味で彼らしい。
また、その救われる方の子に掛けて「アッカネンくん」呼ばわりするプレイヤーが発生した。
今回は生き延びているクワトロに対しては特に反応が激しく「認めろ!貴様という存在が生み出した結果がこれだ!」「機体性能の差は戦力の決定的な差だって事を…教えてやろうかぁぁっ!!」と凄まじい勢いで激昂する。


諸君ら、あんまり生真面目に追記・修正やってると馬鹿見ちゃうよォ!?

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最終更新:2025年04月01日 11:49

*1 この時多くの人間とすれ違っているが、誰もが怪訝そうな目つきで彼を見送っている

*2 またクルーたちも自分たちの状況(見殺し)を知った上で、最後まで戦い続ける一蓮托生の精神が芽生えている。

*3 ただしゾルタン自身は「オールドタイプが理解するのは現象だけだ!奇跡を目にしてもその本質を学ぼうともしない!」とも発言しており、ニュータイプ論自体を否定する立場ではない事も留意。

*4 劇中通りスタインは爆風を撒き散らす機体であるため、普通に乗っていても誤射が頻発する。