劇場版 異世界かるてっと ~あなざーわーるど~

登録日:2022/09/18 (日曜日) 06:05:00
更新日:2024/08/26 Mon 10:50:12
所要時間:約 40 分で読めます






異世界からは 逃げられない



『劇場版 異世界かるてっと 〜あなざーわーるど〜』とは、2022年6月より公開された、クロスオーバーアニメ『異世界かるてっと』の劇場作品である。


【概要】

本作ではTVシリーズに登場した作品のうち、『オーバーロード』『この素晴らしい世界に祝福を!』『Re:ゼロから始める異世界生活』『幼女戦記』『盾の勇者の成り上がり』の5作品が参戦。
単独で映画化がされていない『盾勇』は今作が初の劇場版作品となる。

TVシリーズ2期終盤の時点で「次をどうするか」という話になった時に、KADOKAWA側から映画の話が持ち込まれた。当初はまだ映画になるかが決まっていなかったので、2期最終話では「続編制作決定」と、どちらにも取れる形のテロップとした。
のちに、TVシリーズでキャラ同士に関係性がある程度構築されていることを踏まえて、がっつりとした映画用シナリオにチャレンジすることとなった。

なお、芦名監督によると『いせかる』には「各作品の陣営キャラは必ず全員登場させる」、その上で「各作品のアニメ本編の進行具合やキャラクターの関係値をその都度反映させる」というルールが存在しているそうで、今作とTVシリーズ2期の間に放映された「リゼロ」のアニメ2ndシーズンが放映された事を受けて、リゼロキャラの関係性が変化している。


【あらすじ】

教室に突如現れたワームホールによって、異世界転移をさせられた2くみの面々。
彼らがたどり着いた地は暴走したゴーレムが支配する荒れ果てた世界であった。

そこで出会ったのは、
めぐみんと似た雰囲気を持つ少女型ゴーレム
スバルを知る(?)杖をついた男性
そしてターニャと同じ軍服を着た女性

様々な運命が複雑に絡み合いつつも
元の世界に戻ろうとするアインズ、カズマ、スバル、ターニャ、尚文達は、
無事にアッセンブルすることができるのか!?


【登場人物】

登場人物紹介にあたって、レギュラー陣については作品冒頭で分断された時のチームごとに紹介させていただく。
そしてチーム名については、それぞれのチームごとにいる各作品の主人公の名前を取らせていただくものとする。

◆尚文チーム

バラバラになった後はいち早く高台へ向かうことを選択、今後の拠点となる集落を発見する。
お馴染み「盾」の勇者。
主要メンバーとは別のクラスだが、たまたまプリントを配る用事があったために立ち寄ったところでワームホールに巻き込まれた。
今作では目立った活躍は控えめだが要所で活躍。さりげなく料理の腕も披露している。
また、原作ではあまり使われなかった『シールドプリズン』が今作では意外な使われ方で大活躍している。

お馴染み水を司る駄女神。
今作でもメンバー内で一番騒がしい人物だが、ケロケロしてしまったりアルベドにぶん投げられたりと、ぞんざいな扱いに遭うことも多い。
一方、パンタグリュエルが悩みを抱えている事を見抜き許しを与える、女神らしい一面も見せている。
ちなみに気配が独特らしく、アルベドやコキュートスは目視できない場所から彼女が近づくのを察知している。

  • マーレ(CV:内山夕実)
お馴染みナザリックの女装男子ダークエルフ。
発言は控えめだが、杖を用いた高い物理攻撃力や補助魔法など、戦闘面での実力をいかんなく発揮している。
彼に限らずいせかるメンバー最強戦力であるオバロ陣営は、戦闘が解禁されているとあって活躍の機会は多い。

お馴染み強烈な毒舌を持つ赤髪鬼っ娘メイド
リゼロアニメ第2期の影響から、今作ではレムにべったりしている。
また、後半ではスバルの動きを心配するコキュートスに、スバルを信じる言葉をかけている。

お馴染みスバル君大好きな青髪鬼っ娘メイド
今作では護身用のモーニングスターや得意の氷魔法などで活躍。
また、今作では原作最初期に見せていた、ラムとのW毒舌も見せている。

  • ケーニッヒ(CV:笠間淳)
お馴染み二〇三大隊の顔の細い人。
いせかるで生まれた、アクアとの「顔の細い人!」「ケーニッヒです」の掛け合いも健在。
なお、今作の「幼女戦記」陣営は異世界転移の前に飛行用の魔道具を全員で整備していたため、全員が飛行能力を有している。

  • ノイマン(CV:林大地)
お馴染み二〇三大隊の「だな」の人。
今作では単独だとあまり目立っておらず、ケーニッヒらと協力して行動している。
ドッジボールで一緒となった尚文ともすっかり打ち解けたようで、名前で呼び合い、戦闘中に軽口を叩ける仲となっている。


◆スバルチーム

無事だったメンバーで状況把握をしていたところ、ゲストキャラであるパンダグリュエルと邂逅。
彼女の迎えによって高台にある集落に迎え入れられ、先に集落に到着していた尚文達と合流を果たす。
お馴染み「天下不滅の無一文」。
会話パートでは持ち前の物怖じしない性格から、ゲストキャラのアレクやパンタグリュエルと積極的に話しかけている。
今作ではリゼロアニメ2期の影響を受けてベアトリスといつも手をつないでおり、彼女の協力によって戦闘面でも頼れる存在となった。

お馴染みドリル金髪の幼女精霊。
リゼロアニメ2期の影響から、今までツンツンしていたスバルと常に手を繋いでいるなどべったりしており、マーレに不思議がられている。
今作では戦闘面でもスバルとの協力で活躍しているが、他者に対する確かな観察眼も要所で見せている。

  • パック(CV:内山夕実)
お馴染みエミリア第一主義の猫精霊。
今作ではリゼロアニメ2期の影響を受けて、エミリアから少し距離を置いている。
代わりと言うべきかシャルティアとの絡みが多く、冒頭をはじめとして会話シーンが多い。

お馴染みナザリックの貧乳吸血鬼
アインズ一筋ゆえの猪突猛進ぶりや、作戦行動を忘れてしまったりとおとぼけなシーンが多い。
その分、戦闘面においては自身の魔法や能力を駆使して活躍。

お馴染みナザリックの男装女子ダークエルフ。
今作では接触してきたパンタグリュエルを初手で拘束するなど、オバロ陣営らしい荒っぽさを垣間見せている。
戦闘シーンでは鞭で敵を蹴散らすほか、フィーロと息の合った連携を見せている。

お馴染みナザリック最高の頭脳を持つ悪魔。
今作ではアインズ不在の中、情報を精査して活動方針を決める、実質的ないせかるメンバーのまとめ役を務める。
戦闘シーンで実力は見せる機会はないが、いせかるでは初となる半魔形態も見せている。
まっすぐな愛情表現を向けるレムとそれを受け止めるスバルに対して、「羨ましい」と意外な本心を見せるシーンも。

お馴染みドMクルセイダー。
今作では仲間の問題行動に謝罪したり、問題発言をフォローしたり、戦闘で仲間の壁になったりと真面目な活躍が多い。
一方でドMな言動も健在で、今まで絡みの少なかった『盾勇』メンバーが反応を見せている。

お馴染みターニャの部下である大食いムーミン。
今作でも美食に舌鼓を打っているが、TVシリーズの『いせかる』では見せなかった冷徹な顔を見せる場面も。
戦闘力が高いほうではないが、強敵にも臆さず立ち向かう気概を見せている。

お馴染み無邪気なフィロリアルクイーン。
今作では本来の姿である鳥形態での戦闘で活躍。
前述したアウラとの掛け合いは必見。


◆ターニャチーム

派手に暴れて仲間達に発見される目的で、襲ってくるゴーレムたちに対して徹底抗戦を選択。
のちに戦闘中の状況を仲間たちが見つけてくれたことで、先に紹介した他チームとの合流を果たした。
お馴染み幼女の皮を被った悪魔。
今作のシリアス面を担当しており、ゲストキャラのヴェラとは緊迫したシーンが多い。

お馴染みナザリックの守護者統括。
本作ではヴィーシャやラフタリアを叱咤するなど、他作品のキャラとの絡みも多い。
TV版でも見せた彼女のパワーは今作でもいかんなく発揮されているが、意外な技能を披露する場面もある。

お馴染みナザリック随一の武人。
主に戦闘シーンで活躍しており、『不動明王撃(アチャラナータ)』というスキルも披露している。
今作ではリゼロ勢との絡みが多い。

お馴染み厨二病のアークウィザード。
今作では初手で爆裂魔法をぶちかましたため、しばらくの間ダウン。
しかもスティール発動直後のカズマに割り込んだため、パンツを奪われてしまった。
今作のゲストキャラであるパンタグリュエルとの一目で通じ合い、分かり合う邂逅シーンは必見。

  • ヴァイス(CV:濱野大輝)
お馴染み二〇三大隊次席指揮官。
堅実なので目立つことがないかと思いきや、終盤思わぬ形で活躍することになる。

  • グランツ(CV:小林裕介)
お馴染み二〇三大隊の不憫枠。
今作ではTVシリーズで絡みの多かっためぐみんのダウンに伴い、不在のカズマに代わって彼女をしばらくの間背負うことに。
なんだかんだで付き合いが長いため、パンタグリュエルに出会ってから、めぐみんがすぐに元気になった事を不思議に見ていた。

お馴染みマジ天使なエミリアたん。
今作ではスバルと共にゲストキャラであるアレクとの絡みが多い。
戦闘面での活躍もあるが、リゼロアニメ2期の未見者ならば誰もが驚く実力を見せることになる。

お馴染み尚文の「剣」を務める狸少女。
襲ってくるゴーレムに心を痛めるなど、戦いだからと割り切れない面を見せており、ターニャから「まとも」と評されている。
1期時点の戦闘力なので実力はまだまだ頼りないが、ヴィーシャ同様に強敵にも果敢に立ち向かっている。


◆アインズ・カズマサイド

諸事情から仲間たちとすぐに合流できず、少数で行動を取ることになったメンバー達。
お馴染み偉大なる至高の御方。
教室でちょむすけを撫でていたところ。突如出現したワームホールに真っ先に飲み込まれた。
辿り着いた謎の遺跡で遭遇したヴェラ、そして合流したカズマと共に、元の世界へ帰るための手段を探る事となる。
原作の「威厳ある態度」を早々にカズマに崩されたこともあって、ヴェラとは対等な関係として誠実に接しており、好感を持たれている。
そういう事情から、カズマやヴェラに対してある程度「素」を思わせる表情を見せている。
諸事情から、精神抑制でも抑えきれないほどの羞恥心に襲われながら中二病(めぐみん)を演じることになる。*1

お馴染みめぐみんの使い魔兼ペット。
アインズに撫でられていた所でワームホールに真っ先に巻き込まれ、アインズと行動を共にすることに。
冒頭でアインズは「猫っぽい何か」と感じていたが、(このすば続編アニメに配慮してか)正体について詳しく触れられることはなかった。

お馴染みクズマさん。
転移当初は他のメンバーと行動していたが、冒頭のゴーレム戦で真っ先に吹き飛ばされたことで他のメンバーとはぐれてしまう事に。
道中で見かけたヴェラを追いかけ、辿り着いた遺跡でアインズと合流。ヴェラの目的に協力することに。
シリアスな空気をぶち壊すトリックスターとして存在感は抜群。今作では原作キャラ以外の下着も奪うぞ!

◆ゲストキャラクター

左目に眼帯をつけた明るく活発な性格の少女型ゴーレム
名乗りの際にドヤ顔でポーズを決めたりするなど、見た目も相まって誰かさんを彷彿とさせる出で立ちをしている。
直接的な戦闘力は持たないが、小型ゴーレムを従える機能や他者にエネルギーを分け与える機能など、様々な機能を有している。

ゴーレムだらけの世界で暮らす赤毛の中年男性。
足が悪いようで、歩くときは片足を引きずるようにしており、常に杖を用いている。
常に飄々として穏やかな人物で、突然集落に現れたいせかるメンバーも温かく迎え入れている。
Twitterの人物紹介によると「人や物の価値を見極めることができる『目利きの加護』を持っている」とのこと。
また、スバルとの邂逅ではどこか違った反応を見せているようだが…?

ターニャと同じ帝国の軍服に身を包む女性。Twitterの事前情報によると年齢は20歳。
かつてはパンタグリュエルやアレクと暮らしていたが、現在は異世界にある遺跡でゴーレムたちを従えている。
カズマのちゃかしたアインズの名前紹介を真に受けるほど生真面目な性格だが、なぜか「嘘」に対して非常に敏感。
自分しかいないはずの遺跡に突如現れたアインズ(とちょむすけ)、さらに遅れて現れたカズマに警戒するも、やり取りをするうちに打ち解け、元の世界へ帰るために協力することになる。
ただ、誠実な対応をするアインズはともかく、出会って早々に自分の下着を奪ったカズマに対しては当たりが厳しめ。
帰る目的について聞かれたときに、「私の戦争を終わらせるため」だと語っているが…?

【本作の舞台について】

  • 異世界
今作の舞台で、いせかるの舞台となっている学校のある異世界とはまた別の異世界。
森や川に囲まれた自然豊かな地域のようだが、砂地に覆われたエリアなど、多種多様な地形が存在しており、石で出来た橋や建物跡など、文明のあった名残もちらほらと残っている。「ブレワイ」のハイラルをイメージすると想像しやすいかもしれない。
冒頭でパンタグリュエルが卵を取っていることから生物はいるようだが、その彼女によると「異世界で生きている人間は2人だけ」との事。

  • 集落
パンタグリュエルとアレクが生活している場所で、高台の上に存在している。
小型ゴーレムたちが農作業に勤しんでおり、木で出来た家屋など、中世レベルながら生活基盤は整っている様子。
また、集落の奥には古びた大聖堂がある。ステンドグラスが張られているなど造りは本格的。

  • 遺跡
現在ヴェラが根城としている、周辺が荒野となっている丘の上にそびえ立つ謎の建物。
建物内部にはいくつかの部屋があるが、最深部には小型ゴーレムのほか、『オーバーロード』に登場する戦略級攻城ゴーレムも何故か複数体鎮座している。また、最深部には「元の世界へ戻る装置」という、巨大な円形のオブジェがある。


【今作の敵】

  • 戦略級攻城ゴーレム
『オーバーロード』に登場するゴーレムで、ナザリック第四階層守護者『ガルガンチュア』と全くの同型。
素のステータスだけで守護者の地位を与えられている*2とあって、デミウルゴスをしてターニャから勝ち目を問われたときは「(勝ち目は)0かと」と回答。アインズもカズマに対して「めっぽう相性が悪い」と語っている。
デミウルゴスが「ナザリックにおいて物理攻撃力は最強」と語っていたが、実際に尚文のスキル『エアストシールド』で呼び出せる盾も一撃で破壊している。
オバロ世界ではないにも関わらず、アインズが飛ばされた遺跡には、なぜか複数体が鎮座している。
今作の舞台に飛ばされたメンバーは突然このゴーレムに襲われ、結果としていせかるメンバーが分断されてしまった。

  • 小型ゴーレム
本作オリジナルのゴーレム。灰色の石のような素材で作られている。
パンタグリュエルのように意思を持っておらず、ヴェラやパンタグリュエルの命令に従っている。
農作業など細かい作業もこなすことが可能で、2体で合体して乗り物になるなど、攻撃面以外では多機能。
戦闘力は高くなく、いせかるメンバーの多くが破壊可能だが、とにかく数が多い。















以下ネタバレ注意










  • パンタグリュエル
実は300年以上前から稼働しており、元の世界へ帰る方法を知っていた。
しかし、孤独に暮らしていた頃に戻ることを恐れていたため、周囲には「元の世界へ帰るための方法はない」と嘘をついていた。
だが、その嘘がヴェラと別れる原因となったことから、嘘をつくことが正しいことなのか思い悩んでおり、悩んでいたことをアクアに見抜かれたことを機に真実を打ち明けることを決意。
彼女の身に着ける眼帯が元の世界へ戻る装置を起動させる鍵となっているが、彼女自身もまたある目的を持つ「鍵」である。

  • ヴェラ・ミトロヒナ
「幼女戦記」世界からの転移者であるが、実は帝国軍人ではなく、帝国の敵対国である「合州国」の諜報員(エージェント)*3
帝国出身の両親と共に合州国で平和に暮らしていたが、帝国が戦争を始めたことで周囲の目が一変。昨日まで親しかった人々から非難の目と共に迫害され、肩身の狭い思いをして生きてきた。
その後、合州国の諜報員に志願して帝国に潜り込み、周囲を騙し続けながら生きてきた自分を非常に嫌悪しており、それゆえに「嘘」を異常なまでに嫌うようになった。

飛ばされた異世界でパンタグリュエルとアレクに出会い、「元の世界へ帰る手段はない」と伝えられたこともあって、彼らの集落で生活していた。だが、パンタグリュエルの部屋で元の世界へ帰る方法が記された日記、そしてゴーレムたちを操ることのできる指輪を見つけたことで、嘘をついていた二人と袂を分かち、元の世界へ帰る方法を探す傍らで、ゴーレムたちの性能を試していた。
そして元の世界へ帰る理由である「私の戦争を終わらせる」が意味するのは、この異世界にあるゴーレムを元の世界へ持ち込み、帝国を滅ぼすため。
日記にあった『中二病の証』が何を意味するのか見当がつかずに調査が滞っていたが、アインズとカズマの情報提供からパンタグリュエルの持つ眼帯こそが元の世界へ帰るための鍵であることに気づき、集落に戻ってアレクと対立。そして何も知らずに現れたパンタグリュエルを連れ去ろうとする。
パンタグリュエルを助けようとしためぐみんが同じ中二病である事に絶句する中、現れたターニャとヴィーシャに対して自分の素性を語る。見解の相違からすれ違う中、思いつめた表情でパンダグリュエルの拉致を強行。当然阻止しようとするターニャ達だったが、アインズがよこしてくれた護衛の協力もあってパンタグリュエルの拉致に成功。
そしていざ施設を動かそうとする中、駆け付けたアインズとカズマがターニャの仲間であることから敵対を宣言。パンタグリュエルやアインズの静止も効かず、遂に装置を起動させてしまうが…?

  • デスナイト
『いせかる』で登場した『オーバーロード』のキャラクターであるが、今作でも登場。
今作では『中二病の証』を回収に向かうヴェラの護衛として、アインズに召喚される形で登場。*4
ターニャとヴィーシャは予想外の乱入者に、めぐみんはデスナイトに同行していたちょむすけと、カズマに物語冒頭で奪われたはずの自身の下着が腕に付けられているのに気づいて絶句。その間にヴェラとパンタグリュエルを連れてその場を離れ、遺跡までの帰り道ではヴェラを遺跡まで送り届けた。
ちなみに、同行していたちょむすけはデスナイトから降りた後、めぐみんの元へ駆け寄っている。*5
この邂逅によりアインズ(とカズマ)がヴェラのいる遺跡にいることが確定したため、合流したメンバー全員で遺跡に乗り込むこととなる。

  • アレク
実は元の世界に帰る方法があることを知っており、パンタグリュエルの嘘にも気付いていた。
だが、自分を助けてくれたパンタグリュエルの笑顔が曇ることは望まなかったため、パンタグリュエルの傍にいることを選んでいた。
スバルとエミリアから元の世界が辛かったのかと聞かれた際には、「(元の世界では)一人じゃなかった」となんだかんだで楽しかったことを伝えている。
また、話の中でエミリアについても、「知っているよ、ずっと前から。君がすごーく(・・・・)いい子だってこと」と発言していた。
メンバーが遺跡に乗り込むための決戦にも同行していたが、エミリアの一言からパンタグリュエルとヴェラの二人ともう一度話をするためにスバル達に協力を依頼。尚文、ターニャと共に遺跡へ向かう。

  • 博士(CV:チョー)
事前情報にはなかった「このすば」の登場人物。作中では回想のみで登場。
『このすば』本編や『いせかる』TVシリーズで暴れた機動要塞デストロイヤーの制作者で、魔法に長けた「紅魔族」誕生にもかかわっている天才科学者。そして、手当たり次第に作ったものが何かしらの形で後世に迷惑をかける、要注意人物でもある。
突如出現したワームホールによって300年前の異世界に飛ばされ、元の世界に帰るための研究の過程で『世界を焼き尽くし、封印を余儀なくされるほどの危険なゴーレム』を作り出してしまった。
異世界の日々を日記にまとめて遺跡内に残しており、カズマとアインズが整理されていないためにヴェラが調べなかった博士の部屋から見つけることとなる。なお、日記の書き手が博士であることに気づいたカズマは「お前か―――――!!!」と絶叫していた。
日記には元の世界へ帰るための情報だけでなく、ゴーレムを操るもう一つの指輪がついており、カズマの手で有効活用されることとなった。

  • 戦略級攻城ゴーレム
遺跡に乗り込もうとしたメンバーに対して、ヴェラの指示によりいせかるメンバーの前に立ち塞がる。
先に触れたデミウルゴスの言葉は伊達ではなく、最強戦力であるオバロ陣営を以ってしても、ぶっ飛ばすくらいで破壊は出来なかった。
そんな強敵を一網打尽にするため、ある作戦が行われた。

  • 暴走ゴーレム
遺跡に封印されていた「元の世界へ帰るための鍵」の正体であり、今作のラスボス。
それまでの人型だったゴーレムたちと違い手足が長いモンスター風の見た目で、地上では四足歩行。割れた胸部からは巨大な宝玉が埋め込まれている。
それまでのゴーレムがしてこなかったビーム攻撃を口から放つほか、魔法を無効化させる蒸気を発生させながら空を飛ぶことも可能で、アインズの放った第十位階魔法『隕石落下(メテオフォール)』ですら無傷で凌ぎきった。
ゴーレムを操る指輪の命令は一切受け付けず、ただひたすらに目の前のものを破壊するように暴れ回る。

その暴走を止める方法はただ一つ、ゴーレム封印の鍵であるパンタグリュエルをゴーレムの左目に取り込ませる方法のみ。だが、取り込まれたパンタグリュエルはゴーレムの中で意識を失ってしまうため、実質的にパンタグリュエルを犠牲とすることに他ならなかった。
パンタグリュエルは全てを覚悟の上で、アインズと遺跡へ駆け付けたターニャ達に、ゴーレムの元へ届けてほしいと依頼。アインズと尚文が黙って見つめる中、彼女の自由意志から生まれた覚悟を汲み取ったターニャは願いを聞き入れる決断を下す。
そこまで想定していなかったヴェラは呆然としながら「死」に向かおうとするパンタグリュエルを止めようとするが、ターニャの一喝とアレクから諭されたこともあって、最後はアレクと共にパンタグリュエルを見届けることとなる。

そして最後の作戦として、パンタグリュエルを暴走ゴーレムへ届けるための投擲リレーが始まるのであった。



パンタグリュエルを左目に取り込んだことで沈静化したゴーレムは、胸部の宝玉を取り出し、握りしめる。その手の中にはやってきた時と同じワームホールが出現。
いせかるメンバーは「戻る場所は自分たちの世界ではなく学校になるだろう」と半ば確信しながら思い思いに帰る中、先に異世界を訪れていた二人にも選択の時が訪れていた。



余談

  • アベンジャーズへのリスペクト
元々『異世界かるてっと』の始まりが「異世界作品でアベンジャーズやろうぜ!」というものだったが、本作のシナリオ作成に当たって芦名監督が長月先生へ助力を依頼したところ、「カズマが『アッセンブル』と言うならいいですよ」と語っており、実際にカズマが『アッセンブル』を口にするシーンが存在している。*14
今作におけるリスペクトの最たるものが本作最後の投擲リレーで、エンドゲーム』終盤で行われた『バトンリレー』をオマージュしたものである。
なお、当初は『異世界かるてっと~えんどげーむ~』というド直球な表題だったらしいが、発表前にKADOKAWAからストップがかかった…というのは、パンフレットの芦名監督の弁。

  • アインズとカズマについて
ストーリーのほとんどをメイン集団から外されている二人だが、芦名監督によると「扱いが難しいから隔離した」とのこと。
アインズは純粋にその能力から様々な局面に対応できるため。アインズ役の日野氏もパンフレットのインタビューで「ただでさえ強力なオバロ陣営が、アインズの下で徹底した連携が出来てしまう」と語っている。
カズマは戦闘力こそ低いものの、どんな物語も『カズマの物語(このすば)』にしてしまう『主人公力』の高さゆえに隔離されたとのこと。ちなみに、長月先生がカズマを『アッセンブル』役としたのは、「カズマが一番キャプテン感があるから」とのこと。

  • 今作のシナリオについて
普通原作付きのシナリオだと5~6稿で決定稿になるところ、今作では各原作者との擦り合わせなどもあって、最終的に30稿に及んだ。
上映時間は110分とかなり長め*15だが、これでも削りに削ったそうで、当初は3時間以上になっていたとの事。
それに伴い、パンフレットの各原作者のインタビューでは様々なエピソードが登場しているので、いくつか紹介させていただく。

  • 劇場前の注意について
映画鑑賞前の注意事項の説明役として、2くみ担任のロズワール(CV:子安武人)と、副担任のレルゲン(CV:三木眞一郎)が担当。
また、『オバロ』のパンドラズ・アクター、『このすば』のバニルウィズ、『幼女戦記』のルーデルドルフゼートゥーアがセリフなしで登場している。


【音楽】

  • 主題歌『メロディックロードムービー』
歌:鈴木このみ feat.伊東歌詞太郎 作詞・作編曲:ヒゲドライバー
2022年5月に発売された鈴木このみの5thアルバム『ULTRA FLASH』で視聴が可能。




















追記修正は、異世界行きのワームホールに飲み込まれてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 劇場版異世界かるてっと
  • 異世界かるてっと
  • オーバーロード
  • この素晴らしい世界に祝福を!
  • Re:ゼロから始める異世界生活
  • 幼女戦記
  • 盾の勇者の成り上がり
  • リゼロ
  • 異世界
  • 転移
  • 映画
  • 水樹奈々
  • 森川智之
  • 田中美海
  • KADOKAWA
  • スタジオぷYUKAI
  • アベンジャーズリスペクト
  • あなざーわーるど
  • 所要時間30分以上の項目
  • 劇場版
  • アニメ
  • 芦名みのる
  • たけはらみのる
  • オバロ
  • このすば
  • いせかる
  • アニメ映画
  • 2022年
最終更新:2024年08月26日 10:50

*1 パンフレットによると、めぐみん風の向上に加えてパンドラズ・アクターの真似も併せているとの事。

*2 オバロ小説3巻によるとシャルティアより上

*3 スパイの一種で、相手の様々な情報を、情報を分析する味方側へ送る役割を担う

*4 アインズのスキル『中位アンデット作成』で作成可能。

*5 その時にめぐみんの下着も回収した模様

*6 マーレが大地の大波(アースサージ)という魔法を使っているので、おそらくはこの魔法の応用で作成したものと考えられる

*7 いせかる1期ではベンチブレス80㎏だったのでちょっとパワーアップしてる

*8 後世になると『ダイスキヤキ』に変化している。実はその理由についても元のシナリオでは書かれていたが、尺の都合でカットされた

*9 例えば、400年の間に『アレク』が『荒れ地』に訛って伝えられたという設定がある

*10 「本来なら処分対象」と前置きしながら、「ここは異世界で、元の世界でも自分は前線の日々となるだろうからもう会うことはないだろう」と語り、最後に「……がんばれ」と締めくくっている

*11 それまでは侮蔑の意味を込めて『白銀』と呼んでいた

*12 ちなみに『幼女戦記』の世界で出会った場合、「速攻で殺すか通報するか、泳がせた挙句に捕まえて自分の手柄とするか」とカルロ先生は言及しており、どちらにせよヴェラにとって暗い未来が待っていた模様。

*13 冒頭で「ゴーレムなら俺のスティールが効く!」と言っている

*14 なお、そのうちの一回はカズマ役の福島氏の要望で、映画をリスペクトした言い方となっている

*15 一般的なアニメ映画の時間は90分

*16 『盾勇』アニメでは元康との戦いでエアストシールドを飛ばしているシーンがあるが、あれは「監修漏れ」との事

*17 後に『このすば』世界で機動要塞デストロイヤーを製作するにあたって、博士は(持ってこれないだろうということで)「伝説のコロナタイトでも持ってこい」と発言している。

*18 「もし魔力を持っていたら、人的資源に乏しい帝国であれば確実に前線に送られていたから」という意見