無限月読

登録日:2025/09/13 Sat 16:49:21
更新日:2025/09/14 Sun 16:48:10NEW!
所要時間:約 19 分で読めます




※本記事は『NARUTO‐ナルト‐』に関する重大なネタバレが含まれています











輪廻の力を持つ者が


月に近づきし時



無限の夢を叶えるための


月に映せし眼が開く





世を照らせ


無 限 月 読





無限月読(むげんつくよみ)とは、漫画アニメNARUTO‐ナルト‐』に登場するの一つ。
作中でも最大規模の幻術である。


◆概要

を媒体にした大幻術で、血継限界や血継淘汰を超えた血継網羅に分類される。
術者の瞳力を強大化させて月面に投影し、地上全土に月光を照射して全ての生物を月読の幻術世界に落とし込む。
無限に続く月読の中、人々は自身が望む幸福な夢を見続ける事となる。

""の影の支配者であるトビことうちはマダラが目論んだ"月の眼計画"の本願でもある。
マダラはこの術でもって全人類の意識を統一し、世界から争いと蟠りを無くして仮初めの平和を実現させるべく暗躍してきた。
だが、五大国の隠れ里を治める五影達にとっては到底容認できるものでなく、五影会談でのマダラの宣戦布告を引き金に両者は対立。
無限月読の発動を巡り、忍連合軍VS暁による第四次忍界大戦が勃発した。

忍の祖である六道仙人が書き記したとされるうちは一族の石碑でもこの術について触れられており、記事冒頭の文章はその一部である。
曰く、無限月読こそがうちは一族を救うといった内容だそうだが…?


◆準備・条件

月面に投影できる程の絶大極まる瞳力として、写輪眼輪廻眼の性質が合わさった特異な瞳術である輪廻写輪眼が求められる。
チャクラの祖たる大筒木一族の中でもしか宿していない希少な瞳術だけに行使できる忍も限られ、入手するには以下のような非常に長く険しいプロセスを踏まなければならない。

まず大前提として必要となるのが、輪廻写輪眼を宿した最強尾獣である十尾の存在。
といっても十尾単体では力の制御が不安定であり、単に使役しても真価を発揮できない。
千手とうちはの血統にあって輪廻眼を宿した者が封印術で己に取り込み、十尾の人柱力となって輪廻写輪眼を瞳術としてコントロールする事でようやく無限月読が発動可能となる。

しかしながら肝心の十尾は遥か昔に六道仙人の手でチャクラを九つに分割され、残る本体も巨石に封じられた挙句、人の手が及ばない天空へ飛ばされて月と化していた。
十尾を復活させるためには、まず抜け殻にあたる外道魔像を輪廻眼の力で月から口寄せし、そこに一尾から九尾までなる九体の尾獣を収めなければならない。
無限月読の発動にあたって十尾復活が完全である必要はないものの、最低でもそれぞれの尾獣チャクラの一部が魔像に入っていなければならず、そもそも尾獣自体が強大な戦闘能力を有するのでチャクラの採取は至難の業。
加えて、魔像の口寄せや制御に欠かせない輪廻眼は実在すら疑わしい伝説の瞳術であり、開眼は困難を極めて六道仙人の時代から長らく誰も達成できなかった。

およそ不可能と思われたこれらの条件をクリアしたのがあのうちはマダラ
彼は無限月読を促すうちはの石碑に従い、ライバルである千手柱間から細胞の一部を奪って己に移植する事で意図せず真の開眼条件を満たし、死の淵でとうとう輪廻眼を開眼した。
そして外道魔像を口寄せするところまでは進んだものの、既に死ぬ寸前まで老いていたマダラには九体の尾獣を制するだけの力がなかった。
そこでかつての若き身体を取り戻すべく、うずまき一族の長門に輪廻眼を貸し与えて同族のうちはオビトに「マダラ」の名と月の眼計画の続きを託すと、自らは一度死亡した。
来るべき時、オビトに誘導された長門の輪廻天生によって全盛期の肉体で復活を果たし、改めて十尾の人柱力となるために…

こうしてマダラに扮する事となったオビトは長門と組んで十数年に渡り暗躍し、""のメンバーに尾獣狩りを行わせて一尾から七尾まで捕獲した。
残る八尾と九尾を奪取するために戦争を引き起こし、自らも長門から回収した輪廻眼を移植して十尾の制御能力を獲得。
最終的には不完全ながらも十尾を復活させて人柱力となり、無限月読の発動にあと一歩のところまで迫りつつも忍連合軍に敗北を喫した。

戦争終盤には本物のマダラもオビトの輪廻天生で蘇り、全ての尾獣を捕らえて十尾の人柱力になるまでの工程を瞬く間にこなし、ついに無限月読を完成させた。


◆発動手順

無限月読に用いる輪廻写輪眼は開眼の仕方が二通り存在し、十尾を本来の姿である神樹として生やすか、術者の額に第三の目として開眼する事で行える。
前者の場合、神樹の天辺にある輪廻写輪眼が納まったつぼみを開花させる事によって発動する。
神樹を生やす過程で周囲の人間からチャクラを吸い取って排除でき、大樹として成った後でも根の一部を変形させて攻撃に利用できる。
一方で、術者が取り込んだ十尾の尾獣チャクラが欠けていれば開花には一定の時間を要する他、神樹そのものが切断されれば術を発動できなくなるリスクも存在する。

輪廻写輪眼の開眼が整った後、その紋様を月面に写して片手で"未"の印を結べばいよいよ術が発動する。
月より放たれし影をも貫く光が地上のあらゆる場所に降り注ぎ、全ての生命体が幻術に掛かり、その目には輪廻眼の波紋模様が浮かび上がっていく。
続けて術者が木遁忍術の神・樹界降誕を使って世界各地に神樹の根を生やし、幻術にかかった者達を根から伸ばしたツタで絡め取れば無限月読の完成である。

発動からしばらくして月光も徐々に弱まっていき、後に残るは夥しく生えた神樹の根とそこから蓑虫の如くぶら下がる生物達。
神樹の生命エネルギーに縛られて飲まず食わずでも死なないまま、人々は未来永劫、己が理想とする夢幻の牢獄に囚われ続ける。


◆幻術の特徴

大まかなメカニズムは術名にもある月読とほぼ同じ。
あちらと違うのは、幻術世界で対象者の体験する光景が術者の存意で決定されるものではなく、対象者個々人の願望を反映した「その者にとってもっとも都合のいい世界」になること。
オビトとマダラはこの特徴を利用し、人々を幻術世界に閉じ込めることで争いのない平和な世界を実現しようとしていた。

月光が対象を縛り上げる力は非常に強力で、浴びてしまえばたとえ六道仙術の使い手であっても幻術に囚われる。
しかしあくまで生物を対象にして夢を見せる術の性質上、現世にいながら死んでいる者、すなわち穢土転生の動く死体には効果が無い。
また、術者と同じ輪廻写輪眼を持つ者が展開する須佐能乎は無限月読の光を遮り、須佐能乎の翼で囲えば他者も幻術から庇護できる。
更には光が照射される惑星の外、異空間にまでは効果が及ばないようで、サスケが口寄せ契約を結んでいた鷹のガルダは発動後も無事だった。
この他にも何故か白ゼツと黒ゼツ、そして黒ゼツに寄生された者には効果を発揮しない。

そして何より、術者本人にはかからない。つまり、術者は夢の世界には行けないのである。
オビトとマダラはそれを承知の上でこの術の発動を決行した。辛い現実に残されるのは自分だけで良いと言わんばかりに。
彼等は自己中心的であったかもしれないが、少なくとも自分さえ良ければ良いという人物ではなく、彼等なりに本気で全人類の幸福のために動いていたのである。

解術するには、術者と同じ「尾獣すべてのチャクラ≒十尾のチャクラ」と「輪廻眼」を持つ者が互いに子の印を結ぶ必要がある。
一人ではなく、それぞれの力を持った二人以上でもよい。
これによって神・樹界降誕の根は枯死し、無限月読の幻術世界は消滅する。


◆各人の夢

作中では無限月読による幻術の例として、一部キャラの夢が描かれた。
更に疾風伝ではアニメオリジナルエピソードとして、内容が大幅にアレンジされたり原作で描かれなかったキャラの夢にもスポットが当たったりしている。
放送当時、原作はとっくに連載終了して単行本も最終巻が発売されていたのだが、アニメのナルトを少しでも長生きさせようと2クールに渡る長期エピソードとして放送された。

第七班の隊長として認められ、自分の居場所を得る。
ヤマトの夢。アニメオリジナル。

皆から笑顔を褒められる。
サイの夢。アニメオリジナル。

ネジとハナビが影から見守る中、ナルトとデートする。
ヒナタの夢。
ナルトとの恋仲については後に現実になった。

巨大な新種の蟲を発見する。
シノの夢。
アニメでは普段無口なシノにしては珍しく、ハイテンションな様子で興奮する姿を見せている。

火影になり、赤丸を撫でながら火影命令で犬の日を制定する。
キバの夢。

マニアの女性と結婚してご馳走を平らげる。
チョウジの夢。
後に現実でもマニアかどうかはともかく、雲隠れのカルイを娶っている。

妻の尻に敷かれる父や子守に四苦八苦するアスマ・紅夫妻を眺めつつ、テマリと共に結婚生活をボヤく。
シカマルの夢。
恐らく小説版で言及された「それなりに、普通に生きていく」目標の具現化。

サスケとサイに取り合いされる。
いのの夢。
傍にいる父のいのいちも娘のモテっぷりに誇らしげである。
サイとの間柄については後に現実になった。

ガイとリーがクールな性格なのでツッコまなくてよくなった。
テンテンの夢。
傍にいるネジからは「アレはアレでツッコまなくていいのか?」と言われている。
アニメではかなりアレンジされ、下述する『ROAD TO NINJA -NARUTO THE MOVIE-』の限定月読世界も入り混じった内容となっている。

ナルトとネジを体術で圧倒し、サクラから告白される。
リーの夢。

ダンが火影になった里で、縄樹や自来也、大蛇丸と過ごしている。
綱手の夢。
アニメでは寝落ちした際に見た夢、つまり夢の中の夢の出来事として自来也が書いた小説「ナルト豪傑譚」*1をベースとするアニメオリジナルの物語が展開された。
夢の中で更にまた夢を見るという入れ子構造の展開に困惑する視聴者も多かった。また幻術なのか!?

五影や側近の面々に祝福されながら、運命の男性と結婚式を挙げる。
メイの夢。
参列者は皆祝福しているが、綱手だけ不満げな表情を露わにしている。

人柱力9人で並び立って活躍する。
キラービーの夢。アニメオリジナル。
この夢では原作567話の扉絵で描かれた人柱力の勢揃いシーンが実現した。

サスケの笑顔が見たい。
香燐の夢。アニメオリジナル。

弟二人に姉として頼られる。
テマリの夢。アニメオリジナル。

新型の合体式傀儡を完成させる。
カンクロウの夢。アニメオリジナル。
サソリの人傀儡が原型を留めない程に変形している。

家族で平穏に過ごしており、ナルトが遊びに来る。
我愛羅の夢。
生まれて間もなく母が死に、父からは命を狙われ続け、育ての親にも殺されかける幼少期を過ごした我愛羅にとってはまさに夢のような世界であろう。


◆本来の目的



無限月読ハ平和ノ夢ヲ与エル術デハナイ…


オビトとマダラにとっては人々から苦しみ、痛み、虚しさを切り離すための手段であり、月の眼計画の最終目標でもあった大幻術・無限月読。
だが、彼らが目指した幸福な夢を見せる効果はあくまで一側面に過ぎず、この術には完成の先を見据えた本来の目的が存在した。

その本質とは個々の持つチャクラを集めて膨大な量に高める術にして、神樹に囚われた者達を白ゼツに変化させるというもの。

まずは一つ目の効果により、神樹の根に繋がった者達からチャクラを死なない程度に吸い上げて術者に還元する。
十尾の人柱力といえども星に生きる全ての生物からチャクラを取り込めば肉体の崩壊は免れないが、体内に封じられた十尾は別。
正確には、六道仙人の母にしてかつて神樹と融合した大筒木カグヤへチャクラを注ぎ込み、十尾の中に眠る彼女の精神を覚醒させて人柱力から体の主導権を奪い取るのである。
チャクラの吸収と還元は術の完成後も可能で、その場合は術者の力をより高める事ができる。

これだけなら少し過激な元気玉的能力に思えなくもないが、無限月読を非人道的たらしめるのが二つ目の効果。
夢の世界に囚えた生物達を神樹の力で長い時間をかけて変化させていき、最終的に元の自我も肉体も失われて生体兵器白ゼツの軍勢と化してしまう。
本編に登場する白ゼツのオリジナル達もまた、かつてカグヤが発動した無限月読に掛けられた人々の成れの果てであり、彼らが幻術に囚われないのはつまり既に同じ術に掛かっているから*2
白ゼツへの変化の完了は人類絶滅を意味し、甘美な夢を見せながら身も心も等しく塗り潰して術者の下僕とする行為は極めて悪辣であり、仮初めの平和を作る術としても使用に堪えないというのが真実だった。

本編ではカグヤの息子でもあった黒ゼツが一つ目の効果に着目し、母を復活させるための手段として無限月読の発動を促してきた。
六道仙人が記した石碑の内容を改竄したのもその一環であり、人々に幸福な夢を見せる効果をうちはによる救済として説き、オビトやマダラを始めとするうちは一族を利用していたのだ。
この辺の暗躍の詳細はゼツの項目を参照のこと。


◆作中での反響

白ゼツ化の真実を抜きにしても散々な評判であり、
等々、様々な勢力から猛反発を食らっている。
賛同者は作中で描かれた限り、月の眼計画の発案者であるマダラ、マダラの手引きで闇に堕とされたオビト、オビトから勧誘された鬼鮫の三人だけ。
非人道的な術として名高いあの穢土転生でさえ、大多数の非難と共に価値を認める声もわずかながらにあったが、これ程までに徹底して否定される術はかなり珍しい。

作中では主に現実逃避でしかない点や、実質的な世界の終わりである点が批判されてきた。
提案者であるマダラ自身の信用の無さも影響しており、「皆を幻術で操って世界征服がしたいだけではないか」と勘繰る声も複数あった。
ただしこれは現実である程度幸せな人間か、幸せになれる力の持ち主たちによる否定であり、そうでない者たちの意見はまた別である。

実際にオビトや鬼鮫のような心に痛みを負って世界に絶望した者達にとってはたしかに救済であり、世界全てを巻き込まずとも賛同者だけを募れば受け入れられるかもしれなかった。
最終回のその後を描いた続編『BORUTO‐ボルト‐』ではそんな可能性が現実となり、無限月読の存在がなんと宗教の根幹として悪用される事態に陥った。
秘密結社「」の幹部であるボロを教祖として、貧しい村の人々に対して無限月読を救済と説いて布教し、大勢の信者を抱える宗教団体として成立している。
貧困に喘ぐ者たちや、病に侵され余命いくばくもない者にとっては、幻術の世界こそが救いになるという事なのだろう。


◆主な使用者

最初に無限月読を発動させた者。
原作では過去に使用した事が語られるのみだったが、アニメにて実際に発動する過程が描かれた。
カグヤの場合は額にも輪廻写輪眼を開眼しているのだが、発動時には神樹を生やして開花させる方法を取っている。
輪廻写輪眼の投影に必要な月はカグヤ≒十尾の封印後に出来たものだったのでどのようにして発動させたのか謎だったのだが、アニメでは時空間忍術の黄泉比良坂で衛星が浮かぶ何処かの宇宙空間と接続し、そこに紋様を投影していた事が明らかになった。

ちなみに全人類を白ゼツ兵団に変換しようとした理由はいずれ来る脅威を迎え撃とうとしたからであり、カグヤなりの戦争の準備だった模様。
しかし、実際にカグヤが警戒する脅威として登場した大筒木一族モモシキとキンシキ、そしてウラシキの何れもカグヤには及ばず、どれ程の脅威を想定していたのか分からなくなっている。
カグヤを脅かせる程の存在は同族の中でも上司故人くらいのものだが…。

厳密には使用できていないが、発動寸前まで持っていったため記述。
親友愛する者を手に掛ける場面を目撃し、そんな状況ばかり作り出してきた忍世界そのものに絶望したために無限月読を決意した。
夢の世界の創造に言及する際、オビトの場合は「創る」と表記される。

当初は十尾の人柱力になれる資質を持っておらず、オビトの役目はあくまで長門を唆して輪廻天生の術で本物のマダラを蘇らせる事にあった。
しかし後に長門が裏切って死亡し、輪廻天生を行える者がいなくなったために計画の変更を余儀なくされ、思案の末に自らが無限月読の術者になる事を決意する。*3
元々柱間細胞に適合したうちは一族の身だったため、長門から回収した輪廻眼を片目に移植する事で人柱力化の条件を満たし、八尾と九尾のチャクラが欠けた十尾を取り込んで人柱力となった。
無限月読の発動は神樹を生成して行おうとしたが、尾獣チャクラの欠損によって輪廻写輪眼の開花までに15分のタイムラグが生じてしまい、その間にナルト達の奮闘で人柱力化を解かれて発動を阻止された。

カグヤに続いて無限月読の発動を成功させた者。
平和の実現に向けて柱間と築いた里の運営には携われず、守りたい同族からも信用されずに孤立を深めていた折、うちはの石碑を読んでチャクラが無い神話の時代にさえ争ってきた人間の業を知り、世界に絶望して無限月読を決意した。
夢の世界の創造に言及する際、マダラの場合は「造る」と表記される。

無限月読については「この世界を否定して無限月読の計画を狙う者は全てマダラでしかない」と断じる程に強い信念を抱き、同時に自らが術を発動して世界の救世主になる事にも拘っていた。
長門やオビトを駒として操って計画を進め、戦争終盤には額の輪廻写輪眼でとうとう術の発動に成功したものの、黒ゼツの裏切りによってカグヤ復活の媒体にされてしまう。
結局、マダラが二度も死んでまで進めてきた活動の全てが駒の一つとして誘導されたものでしかなく、ついに完成させた夢は世界平和どころか人類滅亡への王手を掛けただけというあまりに悲惨な結末であった。
今際の際には自らの夢が潰えた事を認め、かつて決別しながら今も繋がっている柱間の夢に可能性を見出し、ようやく眠りに付いた。


◆関連する術

月読

うちはイタチが右目の万華鏡写輪眼に開眼した固有瞳術。
対象の精神を支配し、時間も空間も質量も自在に操って幻覚を見せるという非常に強力な幻術。
左目の天照須佐能乎と並ぶイタチの切り札である。

無限月読はこの術と原理を同じくしながら術の規模を大幅に拡張した、世界規模の月読と言うべき術にあたる。
作中での登場は無限月読の方がずっと後なのだが、以降の「月読」の名を冠した幻術は無限月読から派生している。
万華鏡写輪眼の瞳術はカグヤや大筒木一族の能力に近しいものが多く、世界観的には無限月読から派生した術の一つが月読である模様。

『イタチ真伝』においてイタチは恋人であったイズミに「イタチと結婚して幸せに生涯を全うした」という幻術世界を与え安楽死させており、イタチもまた救いのない現実よりも幻術の中で救いを得た方がマシだと考える一面もあった模様。

詳しくは個別項目を参照。

◇限定月読

ROAD TO NINJA」で披露された無限月読の試作で、こちらは術者の写輪眼を媒介に発動する。
ナルトから九喇嘛を奪い取るついでに無限月読の作用を確かめるため、術の理論と封印済みの尾獣チャクラを使ってオビトが組み上げたオリジナルの幻術。

基本的に無限月読と似た術だが、差異として
  1. 術にハメられるのは基本的に一人で、事前にマーキングが必要
  2. 対象者に術者の写輪眼を直接見せてかける必要がある
  3. 夢の内容は「現実をベースに術者によって改変された世界」であるため、無限月読と異なり術者が内容を作る必要がある
  4. 対象の望みを反映させる必要があるため、術者は前もって情報を集めねばならない
  5. 夢の世界には術者の意志も反映され、干渉が可能だが、時間が経過するごとに構造が確定されていき、最終的には術者でも干渉不能になる
以上が挙げられる。
総合すると、かける手間の割に得られる効果が少なく、基本的には下位の術に当たる。

だが、疾風伝491話における連動エピソードではこの「夢の世界」のサクラが現実世界に迷い込むというアクシデントが発生している。
これに加えてターゲットになったナルトと巻き込まれたサクラがその間現実世界から消えていたことを考えると、無限月読のような「覚めない夢」ではなく、幻術を媒体にタイムライン一つを丸ごと作り出して対象を閉じ込める術だと思われる。
無限月読より凄くないか……?*4

「陣の書」収録の読み切りにおいて、オビトはまず「遠眼鏡の術」を使って非番だったナルトの一日を監視。
その中から彼の望みを読み取ると、白ゼツの変化を用いて「暁」フルメンバーを装い木ノ葉を襲撃。
事態収束後の隙をついてゼツがナルトにマーカーを刻み、オビト本人がナルトの前に現れこの術にハメた。

だが、居合わせたサクラが巻き込まれたことによって彼女の願いが同時に反映されてしまい、
  1. 「夢の世界」の人物はナルトが知る者たちと変わらないはずが、性格が180度反転
  2. ナルトのポジションに位置する「波風メンマ」がS級犯罪者として暴れ回る
  3. メンマに惚れていた「夢の世界」のサクラが本物のサクラと入れ替わる形で現実に放り出される
  4. 暁にトビとゼツがおらず、犯罪者集団ではなく傭兵として活動中
というバグが発生。*5

オビトはナルトの「家族がもし生きていたら」という願望を反映した世界を作り、そこに彼を放り込むことで九喇嘛を引き抜くべく、バグの影響で抜け忍となったメンマに干渉。
彼に木ノ葉を襲わせるも、事態に気付いた九喇嘛が一時ナルトに助力したことでひっくり返され、「夢の世界」から抜け出されたことで失敗に終わった。

◇印刻月読

ゲーム『ナルティメットストーム コネクションズ』のオリジナルストーリーに登場したゲームオリジナルの瞳術で、「印刻(いんきざみの)」と読む。
無限月読との類似性から、ゲーム本編では「無限月読もどき」とも呼ばれていた。

戦国時代に封印されたうちはの生体兵器ことうちはナナシと連動した術であり、ナナシの万華鏡写輪眼の紋様を月面に投影し、惑星全域に光を照射する。
無限月読との違いとして目的はマーキングの付与にあり、光を浴びた人々は手の甲にナナシの万華鏡写輪眼の紋様が浮かび上がる。

その本質はナナシの万華鏡写輪眼に宿る固有瞳術「八千矛」を最大限に活かすためにあり、術の関係性としては無限月読と神・樹界降誕のそれに近い。
マーキングを付与した人物のチャクラと精神を操作できる八千矛と合わせて、世界規模の忍を操ったりチャクラを吸収したりする事が可能となる。
精神操作に関しては事前に対象から記憶を奪って別の記憶を埋め込む必要があるものの、ナナシは犯罪組織「零」と組んで精神体を月読世界に連れて来れる装置をゲーム「忍者ヒーローズ」として忍界中に普及させ、予めプレイヤー達に記憶を奪わせる事で補っていた。

ナナシが生きた戦国時代に使われた記録もない事から、現代に蘇って零と組んで以降に開発された術である可能性が高い。



追記・修正は白ゼツに変化しきる前にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年09月14日 16:48

*1 内容としては「もしナルトの両親が生きていたら」というIF。

*2 肉体と精神を上書きされれば再び術の対象となるようで、大蛇丸は白ゼツの1体を不屍転生で乗っ取っていたにも拘わらず無限月読の幻術に囚われている。

*3 どのタイミングで決断したのかは不明。他にはサスケに瞳力を高めさせた後で外道魔像のシンクロ役になってもらうルートも考えていた模様。

*4 オビトの能力を踏まえると、九喇嘛を奪い取るついでに、完全版のイザナギを応用して「無限月読が見せる夢の世界とはどういうものなのか」を外から観測・確認するための術だったと思われる(無限月読の夢は個々人で変わる上に本人しか見られないので、術者にも当然確認不能である)。試作と言うよりも試運転と言うべきか。

*5 ちなみに発生した時点でこの状況なので、架空世界の人々は全く違和感を持っていなかったが、イタチだけは何らかの異変が起きていることに勘付いていた。