「アイドル八犬伝」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
アイドル八犬伝 - (2014/08/25 (月) 14:50:20) の1つ前との変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*アイドル八犬伝 [#pda52e62]
【あいどるはっけんでん】
|ジャンル|アドベンチャー|&amazon(B000068HH8)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|発売元|トーワチキ|~|
|開発元|ナツメ|~|
|発売日|1989年9月14日|~|
|定価|6000円|~|
|分類|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|脱力ギャグ&電波ソング&超展開&brシステムは無難、BGMもそれなり|~|
----
#contents
----
*概要
『[[シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件]]』などの狂ったゲーム性で知られるトーワチキと『[[東方見文録]]』の狂ったシナリオで知られるナツメが手を組んで制作されたアドベンチャーゲーム。~
システム周りや世界観自体はまともな一方、おバカテイストがこれでもかと詰め込まれたシナリオにより、『[[東方見文録]]』とはまた違った方向性で、コミカルかつカオスな作品に仕上がっている。~
*ストーリー
大財閥・西園寺家の当主、西園寺トミコは、自らの寿命を悟り、3人の孫娘を呼び寄せてこう告げた。
「今から3ヶ月間、全力を挙げて自分の名を上げる仕事をして見せよ。それによりお前たちの器量を量り、跡継ぎを決める。」
若くして名だたる実力を持つ2人の姉はミソッカスのエリカを見下しており、エリカ自身も自分のとりえが歌にしかないことにあきらめ気味。~
そんな時、乳母のミホが連れてきた謎の占い師・真実一郎に歌の才能を見出されたエリカは、歌を武器に歌って踊れるスーパーアイドルを目指すことになる。~
その助けとなる仲間「八犬士」の残り6人を探し当てるべく、エリカは一郎の孫娘・真実星美と旅立った。
しかしそんな彼女に、芸能界の裏を牛耳る謎の組織「イロモノ帝国」の魔の手が迫る。
果たしてエリカは無事、トップアイドルになれるのか!?
*評価点
**意外と(?)まともなシステム
-全5章構成・コマンド選択型のアドベンチャーゲームである。各章はいくつかの場面に分かれており、問題を解決することで次の場面に進めていく形式。謎解きは難しくなく、コマンドも場面ごとに必要なものだけが表示されるので、難易度はそれほど高くはない。
**意外と(?)まともなグラフィック
-オープニング後のタイトル画面ではエリカの顔グラフィックがでかでかと映し出され、その左隣ではエリカが踊っている。そのまま放っておくとエリカが様々な背景をバックに曲に合わせて踊るというPV風の演出が拝める。
--限られたアニメパターンとはいえ、「FCで格ゲーやベルトスクロールアクションサイズのキャラを曲にシンクロさせつつ踊らせる」という技を披露しており、さりげなく技術の無駄遣いをしている。
-エリカの多彩な表情グラフィック。
--ゲーム本編内では、グラフィックウィンドウの横にエリカのグラフィックが常時、表示されており、「歌う」「踊る」「とぼける」などの特別なコマンドを入力するとそれに合わせて表情やポーズが変わる。限られたドットで原画をしっかりと再現しており、豊かな表情がとてもかわいらしい。
---本作のキャラクターデザインとグラフィック原画を担当したのは、『SPA!』などで著名なイラストレーター・近藤ゆたか氏。近藤氏の手がけたかわいらしいキャラクターたちとそのテイストを再現したグラフィックの評価は高い。
**意外と(?)まともなBGM
-『魂斗羅』や『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』などのBGMを手掛けた禎清宏(当時は「サダ キョウヘイ」名義)が担当しており、ワンループは短いもののいずれも耳に残る良曲である。
**あふれるおバカテイスト
-「2人の姉を見返すには唯一のとりえである歌でトップアイドルになるしかない! ''3か月で!''」と始まりはまだオーソドックス(?)なのだが、「東京で一番高い場所」が「値段の高い場所」だったり、ラッコにクルミを割ってもらうために水族館に行ったり、伝説の歌手が住む山奥の途中でぬりかべに遭遇したり、星が必要な仲間のために頭をバットで殴ってマンガ星を出したり…と、シナリオはまったく先が読めないヘンテコなものになっている。
-物語が進むと仲間が増えていく。仲間になるのは予知能力持ち、株の天才、天才ハッカー、敏腕プロデューサー、花火職人、暴走族のヘッド、アイドルの追っかけとエリカに負けず劣らずのクセものぞろい。表だって活躍することは少ないが、資金集めや知名度向上に一役買うなどソロアイドル「西園寺エリカ」のバックサポーターを務める。
-テキストにも''「ウーパールーパーじゃなくって乳母」「ちょっと待ってチェルノブイリ」「ありがトーワチキ」''などなど、肩の力が抜けそうなしょうもないギャグが仕込まれている。
--これはトーワチキがナツメ側に持ち込んだシナリオがつまらないという理由で没にされ、「ならば徹底的にくだらないダジャレを仕込んでやれ!」とハッチャけた結果、OKが通ったという経緯があるため。
--とあるサークルが発行した同人誌内でのスタッフ座談会によると、ナツメ側がシナリオの参考にと紹介したシナリオライターが凄まじい電波体質の持ち主で、彼が数日で書き上げた原稿用紙200枚程のシナリオもこれまた凄まじいものだったらしい。それが功を奏したか、シナリオに関して文句を言われることはなくなったとか。
-本作にはエリカが即興で歌を歌うシーンが数多く挿入されており、時にそれが謎解きのヒントになるという凝った作りになっている。~
トラブルの大部分を歌で解決してしまう強引さもさるものだが、彼女の即興歌はなぜかどれもこれも''電波ソング''。そんな即興歌にまでBGMを付けてしまう容量の無駄遣い…いや製作スタッフのこだわりはさすが(笑)
--特にエンディング曲「きみはホエホエむすめ」は、8bitのサウンドに意味不明な歌詞を乗せた電波ソングの走りとも呼べる名曲として、特に評価が高い。作詞は映画『日本以外全部沈没』などで知られる河崎実が担当している。~
なぜか『ウルトラマン』の監督である円谷一と美術デザインの成田亨の名を歌詞にねじ込み、ドサクサ紛れに河崎自身の名も入れている。
--タイトル画面のBGMはこの曲であり、「ヒューヒュー」や手拍子の入ったコンサートバージョンを聞くことができる。また、エンディング曲も、この曲のLONGバージョンとなっている。まさに本作を象徴する曲と言えよう。
-ストーリー中盤になると、芸能界を牛耳る''「イロモノ軍団」''なる謎の組織が現れ、トップアイドルを目指すエリカをイロモノタレントに仕立てあげようと付けねらってくる。
--イロモノ軍団の構成員は、歌が巧い関取ヨルシオ、某元祖バラドルに名前がそっくりのヤモリミユキ、太ってタレントに転身した元美形俳優ワレナベトオル、サングラスをかけたタジロマサシ…など、どこかで見た名前や特徴の人たちばかり。リメイクしようという会社が出たところでまずできまい。似てるかどうかは別としてネタがやば過ぎである。
*残念な点
-特に難しい謎解きはなく1章辺りのプレイ時間も短いので、エンディングまでの所要時間は約3時間ほどで済んでしまう。このため、はっきり言ってコストパフォーマンスはかなり悪い。シナリオの短さの割を食ってろくに見せ場がないまま終わってしまう仲間もいる。
--これには余談の項目で述べているように、制作上の事情が関係しているため仕方ないのだが。
-説明書の絵やパッケージ絵はメインデザイナーの近藤ゆたか氏ではなく別人が手がけている。近藤氏の絵に比べるといまいちな出来で、キャラの魅力を損ねてしまっている。
*まとめ
脱力ギャグと超展開が目白押しの、まごうことなきバカゲーである。といっても、エリカ関係とおバカ方面、そしてサウンドやグラフィックへの力の入れ具合を見ても分かるように、決していい加減に作られたものではないことが存分に伝わってくるだろう。
*余談
-とある同人誌によると、本作は『[[東方見文録]]』のシステムを流用して作られたが、その弊害としてシステム周りの限界からシナリオの3分の2以上を削除せざるを得なくなったのだという。ボリューム不足という本作の短所は、よんどころない事情からきていたわけである。また、グラフィックと音楽に力を入れたために容量不足に陥ってしまったことも原因の一端ではないかと思われる。
--また、本来のシナリオでは各章の随所にバッドエンドが仕込まれていたが、シナリオ削除の煽りを食らって第5章以外のバッドエンドは全て没になってしまったという。没になったバッドエンドの中には「エリカの歌で人工衛星が落ち地球滅亡」というものもあったとか。
-2007年に発売された『ファミソン8BIT』(昭和アニソンを8BITアレンジしたCD)のボーナストラックに「君はホエホエ娘」が収録された。歌ったのは自身も数多くのアニソン・電波ソングを手がける桃井はるこ。
--さらに本作発売から20年越しの2011年の冬コミで、作曲者の見里朝生が参加するCDが発売されてしまった。このCDには本作のシナリオに即した書き下ろし曲と「君はホエホエ娘」のロシア語訳とフランス語訳が収録されている(もとが言葉遊びのような歌詞なので「超訳」とのこと)。
----
*アイドル八犬伝 [#pda52e62]
【あいどるはっけんでん】
|ジャンル|アドベンチャー|&amazon(B000068HH8)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|発売元|トーワチキ|~|
|開発元|ナツメ|~|
|発売日|1989年9月14日|~|
|定価|6000円|~|
|分類|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|奇妙奇天烈なアイドルサクセスストーリー&br()脱力ギャグ&電波ソング&超展開&brシステムは無難、BGMもそれなり|~|
----
#contents
----
*概要
『[[シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件]]』などの狂ったゲーム性で知られるトーワチキと『[[東方見文録]]』の狂ったシナリオで知られるナツメが手を組んで制作されたアドベンチャーゲーム。~
システム周りや世界観自体はまともな一方、おバカテイストがこれでもかと詰め込まれたシナリオにより、『[[東方見文録]]』とはまた違った方向性で、コミカルかつカオスな作品に仕上がっている。~
*ストーリー
大財閥・西園寺家の当主、西園寺トミコは、自らの寿命を悟り、3人の孫娘を呼び寄せてこう告げた。
「今から3ヶ月間、全力を挙げて自分の名を上げる仕事をして見せよ。それによりお前たちの器量を量り、跡継ぎを決める。」
若くして名だたる実力を持つ2人の姉はミソッカスのエリカを見下しており、エリカ自身も自分のとりえが歌にしかないことにあきらめ気味。~
そんな時、乳母のミホが連れてきた謎の占い師・真実一郎に歌の才能を見出されたエリカは、歌を武器に歌って踊れるスーパーアイドルを目指すことになる。~
その助けとなる仲間「八犬士」の残り6人を探し当てるべく、エリカは一郎の孫娘・真実星美と旅立った。
しかしそんな彼女に、芸能界の裏を牛耳る謎の組織「イロモノ帝国」の魔の手が迫る。
果たしてエリカは無事、トップアイドルになれるのか!?
*評価点
**意外と(?)まともなシステム
-全5章構成・コマンド選択型のアドベンチャーゲームである。各章はいくつかの場面に分かれており、問題を解決することで次の場面に進めていく形式。謎解きは難しくなく、コマンドも場面ごとに必要なものだけが表示されるので、難易度はそれほど高くはない。
**意外と(?)まともなグラフィック
-オープニング後のタイトル画面ではエリカの顔グラフィックがでかでかと映し出され、その左隣ではエリカが踊っている。そのまま放っておくとエリカが様々な背景をバックに曲に合わせて踊るというPV風の演出が拝める。
--限られたアニメパターンとはいえ、「FCで格ゲーやベルトスクロールアクションサイズのキャラを曲にシンクロさせつつ踊らせる」という技を披露しており、さりげなく技術の無駄遣いをしている。
-エリカの多彩な表情グラフィック。
--ゲーム本編内では、グラフィックウィンドウの横にエリカのグラフィックが常時、表示されており、「歌う」「踊る」「とぼける」などの特別なコマンドを入力するとそれに合わせて表情やポーズが変わる。限られたドットで原画をしっかりと再現しており、豊かな表情がとてもかわいらしい。
---本作のキャラクターデザインとグラフィック原画を担当したのは、『SPA!』などで著名なイラストレーター・近藤ゆたか氏。近藤氏の手がけたかわいらしいキャラクターたちとそのテイストを再現したグラフィックの評価は高い。
**意外と(?)まともなBGM
-『魂斗羅』や『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』などのBGMを手掛けた禎清宏(当時は「サダ キョウヘイ」名義)が担当しており、ワンループは短いもののいずれも耳に残る良曲である。
**あふれるおバカテイスト
-「2人の姉を見返すには唯一のとりえである歌でトップアイドルになるしかない! ''3か月で!''」と始まりはまだオーソドックス(?)なのだが、「東京で一番高い場所」が「値段の高い場所」だったり、ラッコにクルミを割ってもらうために水族館に行ったり、伝説の歌手が住む山奥の途中でぬりかべに遭遇したり、星が必要な仲間のために頭をバットで殴ってマンガ星を出したり…と、シナリオはまったく先が読めないヘンテコなものになっている。
-物語が進むと仲間が増えていく。仲間になるのは予知能力持ち、株の天才、天才ハッカー、敏腕プロデューサー、花火職人、暴走族のヘッド、アイドルの追っかけとエリカに負けず劣らずのクセものぞろい。表だって活躍することは少ないが、資金集めや知名度向上に一役買うなどソロアイドル「西園寺エリカ」のバックサポーターを務める。
-テキストにも''「ウーパールーパーじゃなくって乳母」「ちょっと待ってチェルノブイリ」「ありがトーワチキ」''などなど、肩の力が抜けそうなしょうもないギャグが仕込まれている。
--これはトーワチキがナツメ側に持ち込んだシナリオがつまらないという理由で没にされ、「ならば徹底的にくだらないダジャレを仕込んでやれ!」とハッチャけた結果、OKが通ったという経緯があるため。
--とあるサークルが発行した同人誌内でのスタッフ座談会によると、ナツメ側がシナリオの参考にと紹介したシナリオライターが凄まじい電波体質の持ち主で、彼が数日で書き上げた原稿用紙200枚程のシナリオもこれまた凄まじいものだったらしい。それが功を奏したか、シナリオに関して文句を言われることはなくなったとか。
-アイドルサクセスストーリーらしく、本作にはエリカが即興で歌を歌うシーンが数多く挿入されており、時にそれが謎解きのヒントになるという凝った作りになっている。~
トラブルの大部分を歌で解決してしまう展開の強引さもさるものだが、彼女の即興歌はなぜかどれもこれも''電波ソング''。そんな即興歌にまでBGMを付けてしまう容量の無駄遣い…いや製作スタッフのこだわりはさすが(笑)
--特にエンディング曲「きみはホエホエむすめ」は、8bitのサウンドに意味不明な歌詞を乗せた電波ソングの走りとも呼べる名曲として、特に評価が高い。作詞は映画『日本以外全部沈没』などで知られる河崎実が担当している。~
なぜか『ウルトラマン』の監督である円谷一と美術デザインの成田亨の名を歌詞にねじ込み、ドサクサ紛れに河崎自身の名も入れている。
--タイトル画面のBGMはこの曲であり、「ヒューヒュー」や手拍子の入ったコンサートバージョンを聞くことができる。また、エンディング曲も、この曲のLONGバージョンとなっている。まさに本作を象徴する曲と言えよう。
-ストーリー中盤になると、芸能界を牛耳る''「イロモノ軍団」''なる謎の組織が現れ、トップアイドルを目指すエリカをイロモノタレントに仕立てあげようと付けねらってくる。
--イロモノ軍団の構成員は、歌が巧い関取ヨルシオ、某元祖バラドルに名前がそっくりのヤモリミユキ、太ってタレントに転身した元美形俳優ワレナベトオル、サングラスをかけたタジロマサシ…など、どこかで見た名前や特徴の人たちばかり。リメイクしようという会社が出たところでまずできまい。似てるかどうかは別としてネタがやば過ぎである。
*残念な点
-特に難しい謎解きはなく1章辺りのプレイ時間も短いので、エンディングまでの所要時間は約3時間ほどで済んでしまう。このため、はっきり言ってコストパフォーマンスはかなり悪い。シナリオの短さの割を食ってろくに見せ場がないまま終わってしまう仲間もいる。
--これには余談の項目で述べているように、制作上の事情が関係しているため仕方ないのだが。
-説明書の絵やパッケージ絵はメインデザイナーの近藤ゆたか氏ではなく別人が手がけている。近藤氏の絵に比べるといまいちな出来で、キャラの魅力を損ねてしまっている。
*まとめ
脱力ギャグと超展開が目白押しの、まごうことなきバカゲーである。といっても、エリカ関係とおバカ方面、そしてサウンドやグラフィックへの力の入れ具合を見ても分かるように、決していい加減に作られたものではないことが存分に伝わってくるだろう。
*余談
-とある同人誌によると、本作は『[[東方見文録]]』のシステムを流用して作られたが、その弊害としてシステム周りの限界からシナリオの3分の2以上を削除せざるを得なくなったのだという。ボリューム不足という本作の短所は、よんどころない事情からきていたわけである。また、グラフィックと音楽に力を入れたために容量不足に陥ってしまったことも原因の一端ではないかと思われる。
--また、本来のシナリオでは各章の随所にバッドエンドが仕込まれていたが、シナリオ削除の煽りを食らって第5章以外のバッドエンドは全て没になってしまったという。没になったバッドエンドの中には「エリカの歌で人工衛星が落ち地球滅亡」というものもあったとか。
-2007年に発売された『ファミソン8BIT』(昭和アニソンを8BITアレンジしたCD)のボーナストラックに「君はホエホエ娘」が収録された。歌ったのは自身も数多くのアニソン・電波ソングを手がける桃井はるこ。
--さらに本作発売から20年越しの2011年の冬コミで、作曲者の見里朝生が参加するCDが発売されてしまった。このCDには本作のシナリオに即した書き下ろし曲と「君はホエホエ娘」のロシア語訳とフランス語訳が収録されている(もとが言葉遊びのような歌詞なので「超訳」とのこと)。
----