剣と魔法と学園モノ。

【けんとまほうとがくえんもの】

ジャンル 3DダンジョンRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 アクワイア
開発元 ゼロディブ
発売日 2008年6月26日
定価 5,040円
判定 なし
ポイント 他社製品のソースコード流用作品
流用元からの劣化はあるものの完成度はそれなり
剣と魔法と学園モノ。シリーズリンク


概要

 通称「ととモノ。」。  キャラクターメイキングやひたすらダンジョンに潜り戦闘を行うゲーム性など、ウィザードリィシリーズを意識した作品。だがキャラクターグラフィックがいわゆる「萌え」系のデザインであることなどから、ややヘビーユーザー向けな印象のある同シリーズに比べライトユーザー向けの作品となっている。

特徴

  • キャラクターメイキング
    • キャラクターグラフィックとボイスは種族と性別に紐付いている。男女で性能差は無く、種族ごとに得意不得意は分かれるものの格差はあまりない。
      + 種族一覧
    • ヒューマン
      • 平均的なステータスを持つ何でも屋。器用貧乏ともいう。毛嫌いしている種族はないため種族をあまり気にせずパーティーを組める。バハムーンとディアボロスが少し苦手。
    • エルフ
      • 多少魔法寄りのステータスをしているものの平均的。クラッズと仲が良いがドワーフとディアボロスを敵視しているほか、フェアリーとも仲が良くない。
    • ドワーフ
      • 前衛に適したステータスだが素早さは低い。クラッズと仲が良いがエルフとフェアリーを敵視しているほか、フェルパーやディアボロスともそりが合わない。
    • ノーム
      • 魔法への高い適正と壊滅的な生存性に、即死耐性と浮遊能力を持つ。あらゆる種族と仲が良く、居るだけでパーティーの雰囲気が良くなるみんなのアイドル。
    • クラッズ
      • 盗賊の才能に秀でた種族。素早さを生かした他の仕事をするのも悪くない。仲の良い種族は多いが、ディアボロスは話が別のようだ。フェルパーに対しても苦手意識を持っている。
    • フェアリー
      • 素早さた回避に秀でた浮遊能力持ちの種族。魔法と盗賊の適性を持つが、攻撃を受けると非常に脆い。ヒューマンと非常に仲が良くディアボロスもあまり苦にしないが、バハムーン・エルフ・ドワーフと仲が悪い他、同じフェアリーとも馬が合わない。
    • フェルパー
      • 前衛への適性と高水準の素早さを併せ持つが、極端に運が悪い。前衛としては圧倒的に素早いが、運が悪いのでちょくちょく味方に先制される。ドワーフとは犬猿の仲で、ディアボロスもあまり好きではない以外、他種族のことは気にしない。
    • バハムーン
      • 前衛への天賦の才を持ち、ブレスを使うこともできる。素早さが非常に低いのはご愛嬌。ヒューマンとフェアリーとは相容れないが、ディアボロスを含めその他の種族には頓着しない。
    • ディアボロス
      • 運以外すべての能力が高くブレスまで使えるが、ノーム以外のすべての種族と仲が悪い。エルフとは犬猿の仲の上、特にセレスティアに対しては不倶戴天の敵だと考えているようだ。
    • セレスティア
      • 回復魔法への天賦の才を持ち、運もよい。その他の能力も低くないが、装備制限が厳しいこともあり思ったよりも打たれ弱い。ほぼすべての種族とそれなりに仲良く接するが、ディアボロスと仲良くする気はないようだ。
    • 学科(職業)には固有スキルが備わるなど従来作よりも特徴が差別化された。どの学科も最後まで使えるよう調整されており、上級職、下級職といった括りは本作には無い。
      + 学科一覧
    • 戦士
      • HP、命中の伸びが良く、全学科中レベルアップ速度が最速(Wizでは盗賊が最速であることが多い)。1ターン集中後に3回連続攻撃するスキル「乱撃」を習得する。
    • 盗賊
      • 罠解除のエキスパート。装備は貧弱だが、奇襲攻撃にあたるスキル「強奪」を習得。強奪は通常攻撃よりもあらゆる面で強化され、さらに対象を倒せれば金を奪う(戦闘終了時に得るお金とは別腹)ことができる。そのため、盗賊がいるといないとでは序盤の難易度が天と地ほどに変わってくる。
    • 狩人
      • 本作では弓が長射程、高命中、高威力とかなりの強武器となっており、その達人である狩人のアタッカー能力は高い。1ターン集中後に命中率、クリティカル率の上がった一撃を放つスキル「狙撃」*1を習得。また、本職には劣るが盗賊技能、超能力呪文も習得していく。
    • 修道士
      • いわゆるモンク。連続攻撃やカウンター、素手攻撃を強化するスキルなど、豊富なスキルを習得するアタッカー。素手攻撃はステータス異常「気絶」を誘発しやすい。
      • 最前列の敵1グループに対して物理攻撃をしかけるスキル「切り込み」を習得する。本作では雑魚敵が大量出現するので、ノーコストの範囲攻撃を行える侍がいると戦闘がかなり楽になる。また、大半の刀は高威力かつクリティカルが付与されているため性能が良い。
    • 君主
      • 僧侶魔法を習得する戦士。従来作の「ロード」にあたる。男性専用。スキル「献身」で敵の攻撃から味方をかばえる守りの要で、君主がいるとメンバーの生存率が劇的に上昇する。特に神女との相性はバツグン。
    • 神女
      • 僧侶魔法を習得する戦士。従来作の「ヴァルキリー」にあたる。女性専用。敵に捨て身の攻撃をしかけるスキル「神撃」を習得。神撃には「相手の防御値*2を無視する」という効果があるが、神撃中は自身のAC低下に加えて防御もゼロになるので、献身などの防御手段を用意してやる必要がある。
    • 忍者、くノ一
      • 忍者は男性、くノ一は女性専用。従来作における特徴はそのままに奇襲がパワーアップした。忍者とくノ一では装備可能品や奇襲の追加効果など、細かい部分で差異が見られる。
    • 魔術士
      • 攻撃魔法のエキスパート。自身の物理攻撃に精霊系と魔法生物系への特効を付与する「魔撃」や、1ターン集中後強化された呪文を放つ「強魔」、敵のHPを視認するスキルを習得する。実は弱い弓なら装備できるため、序盤では弓を持たせると前衛顔負けの活躍をすることも…。
    • 僧侶
      • 回復魔法のエキスパート。自身の物理攻撃に不死系と霊系への特効を付与する「聖撃」を習得する。それなりに装備品が充実しており、命中値の上昇率が前衛系学科と同じであるため、前衛に出すことも不可能ではない。
        歩くことでMPが回復する「魔力回復」と対象メンバーと現在MPをそっくり入れ替える「魔力換送」を習得するため、MPヒーラーとしての側面も持つ。
    • 超術士
      • 超能力呪文を習得するサイオニック。超能力呪文は補助効果にすぐれたものが多い。また、装備武器の射程を無制限にするスキル「念動」を習得するほか、ダメージを肩代わりするバリア「魔障壁」を張ることができる。
    • 召喚士
      • 「7番目のパーティーメンバー」となる魔物を召喚可能である唯一の学科。戦力の底上げに役立つ。
        序~中盤は頼りない魔物召喚であるが、最終盤には並みの前衛職真っ青の超性能になるので晩成型と言える。
    • 錬金術師
      • 物理、魔法ともに器用貧乏なうえにレベルアップが全学科中もっとも遅いが、アイテム錬金を無料で行うことができるため、終盤では必須となる学科の一つ。また某漫画の影響からか、「錬金で作れる武具なら全て装備できる」という特性がある。
    • 司祭
      • 習得スピードこそ非常に遅い*3が、魔法使いと僧侶の呪文を全て習得可能。後述する「呪文習得限界数」という仕様がある本作において、2系統の呪文を全て習得できる司祭は貴重。呪文の威力も本職なみに高い。
        「聖なる詩」(ディスペル)は霊、不死系の強敵に対する切り札たりうる性能となっている。
    • 各学科には「呪文習得限界数」という概念があり、専門職ほど呪文の威力が高く、各呪文のレベル毎に習得できる数が多くなっている。転職した場合は威力、習得数に大きく制限を受けるため、従来作のような「全呪文を習得した前衛スーパーキャラ」は作成できなくなった。
      • ↑に付随して、「任意の呪文を忘れる」ことができる。例えば全呪文を習得した魔法使いが召喚士(魔法使いの各レベルの呪文習得限界数が3)に転職すると、そのままではランダムで選択された呪文を各レベルにつき1つ忘れてしまう。そこであらかじめ自分にとって不要な呪文を忘れておき、重要な呪文が転職後も使えるようにしておくのである。
    • 種族間の仲の良さや性格の相性を示す「相性値」が存在し、相性のよいパーティは本来の素質以上の力を発揮することができる。
      • ただし、「キャラのレベルが低いうちはそれほど影響を及ぼさない」「特定の装備で相性値の影響を無効化できる」などの対策が存在する他、「合体技」を使用することで上昇していくため、仮に種族間の仲が悪いメンバーでパーティを組んでも、相性値をプラスに持っていくことは十分可能。
      • 「合体技」とは戦闘時の行動で溜まる「テンションゲージ」を消費して使える技で、強力な効果を持つ上に参加したキャラは相性の補正が上昇する。
    • 性格(善・中立・悪)は、友好的な敵への対応により内部の値が変化し、条件を満たしたのちに校長室に行くことで性格を変えることができる。また、善から悪、またはその逆には中立を経て変化する。
    • 高レベルになると「転生」が行える。転生を行うとレベルが1に下がる代わりに恒久的にステータスが上がる。最大レベルは99までだが、これによりさらなる育成を行うことができる。
  • アイテム錬金
    • 本作では敵を倒してもすぐ使える装備品はなかなか落とさない。代わりに装備品が劣化した「廃品」をよく落とすようになり、これを修理することでようやく装備可能になる。
      • そしてさらに性能を強化したり(強化すると後ろに「+〇」といった数字がつく)、火や水といった属性、特定の種族に対する特効(武器ならダメージ増加、防具なら被ダメージ減少)を付与させることができる。これらの強化は任意で行えるため、戦略の多様性を高めるとともにプレイヤーの好みを反映させやすくなった。
      • ちなみに、装備品の原材料となる廃品にはおかしなネーミングのものも。例えば、錬金最強の盾「退魔の盾」の材料が「穴の開いた炊飯器」だったりする。
    • 錬金は購買所または錬金術師が行えるが、前者では手数料を取られ、後者はタダで錬金できる代わりに「作りたい装備品のアイテムレベルが(自分のレベル-5)以下でないとダメ」という制限がある*4。購買所でのアイテム錬金は手数料がかさみ、さらに「お金は募金することで経験値に変換できる」という仕様があるため、所持金は常にカツカツの状態が続く*5。そのため、お金の重要性はWizシリーズ中でも一二を争うほど高い。
  • その他
    • モンスター側のレベルの概念が強化されており、一定のタイミングでモンスターがレベルアップし能力が強化される。

評価点

  • パーティー編成の自由度が高い
    • 種族と職業に極端な優劣が存在しないため、好みの種族を編成できないような事態に陥らない。
      • 仲の悪い種族を一緒に編成しても他の4人でサポートしてあげれば十分一線級の力を発揮することが可能。
  • アルバム埋めが楽しい
    • 2000以上の項目が存在するが、アイテムを持ち運べる数は十分多く、ゴミ箱の名前でどこからでも預けられる倉庫も存在するため収集のストレスは少ない。しかし...続きは問題点で。

問題点

  • 『舞台となる迷宮は、本拠地である学園及び点在するいくつかの中継点を迷宮が結んでいる、という形になっている。各迷宮には「支配率」というステータスが存在しており、支配率は「迷宮で戦闘に勝利する」「マップを埋めていく」などの行為で上昇し、逆に放置すると徐々に下がっていく。迷宮の支配率を上げるとこちら側が有利になるような特典もつく。逆もまたしかり。迷宮を結ぶ中継点にパーティを駐屯させることで、迷宮の支配率を維持、あるいは上昇させることが可能。駐屯しているキャラには少しずつではあるがお金と経験値が自動かつ安全に手に入る。』という仕様があるのだが、これについて一切説明がない。
    • 説明がなされていれば本来なら評価点となるほど作りこまれているシステムである。
  • ドワーフ(女)を編成してもボイスが男になる。
    • 従来作とは違いキャラクターを売りにしているだけにいただけない。
  • 従来作のお約束を知らない人に対して不親切
    • チュートリアルは存在するものの不十分、説明書でのフォローも乏しい、しかしながらゲームバランスは従来作準拠と、間口を広げるために学園モノにしたのはなんだったのかといった初心者お断り仕様のオンパレード。
    • 「浮遊キャラ以外即死+浮遊魔法解除」の即死トラップも完備。浮遊効果を持つ装備で対策可能だが、その装備を用意できない序盤に配置されている。お約束を知っている人に対しても不親切。
  • 誤字・誤植がとても多い
    • 迷宮の事をロードと呼んでいたり、精神の略称が「信」になっていたり、発言者の名前と立ち絵が一致しなかったり等々。
  • 自力でアルバムコンプリートが不可能
    • 「ふんどし」の錬金に、1つしか手に入らない「ブルマ」を2つ要求する他、絶対に出会うことがないモンスターも存在する。
      • 全クエストクリア後100時間経過すると「アルバムを完成させる」という選択肢が現れるため、コンプリート自体は一応可能。
  • 上記の問題点がすべて後ろ暗い事情により発生していること。 詳細は余談にて。

総評

「ウィザードリィは理不尽なものだ」との理解があり、そのうえで学園モノとの融合に拒否反応が出ないならば、携帯機として十分遊べる仕上がりになってはいる。
ただし初心者が見た目で選んでしまうと大問題になる難易度となっている。


その後の展開

  • 約1年後に、続編の『剣と魔法と学園モノ。2』と本作のbest版が発売された。
  • また、10周年を記念し『剣と魔法と学園モノ。Anniversary Edition』として2018年4月にNintendo Switchに移植された。

余談

 本作は過去にPS2で発売された『ウィザードリィエクス2』(以下エクス2)の完全なソースコード流用作品である。
ファミ通の紹介記事の時点で『エクス2』経験者にとってはなじみ深い名称やグラフィックが散見され、実際ゲーム内容も「表面的な類似」では済ませられないほど『エクス2』との共通点が多い。というよりもテキストやグラフィックを差し替えた点以外は『エクス2』のほぼ丸写しという状態であり、アイテムデータのみ真似た『ウィザードリィ サマナー』がかわいく思えるほどだろう。もっともサマナーはオリジナル部分がどうしようもないのだが。

  • 種族名やその特徴がほぼ同じ。
  • 職業数や習得魔法&スキルの特徴がほぼ同じ。
  • アイテムのデータも名前が変わっている点以外はほぼ同じ。装備品のグラが無いのにグラ差し替え用アイテムがそのまま残っていたりする(全く意味がない、というわけでもないが)。
  • マップの構造もほぼ同じ。
  • 受領できるクエストも大部分が『エクス2』の流用。
  • その他細かい仕様面でも、『エクス2』とかなりの部分で共通している。
    • さらに有志によるデバッグモード解析によって、ゲーム内で言及されない「支配率」の概念や、フラグ管理において『エクス2』の固有名詞がそのまま用いられていたりすることが判明した。
    • 前述の迷宮の支配率についての仕様が明示されていないことや迷宮→ロード、精神の略称が「信」といった誤植も『エクス2』の内容をそのまま引っぱっているのが原因である。(『エクス2』ではダンジョンのことをロードと呼んでおり、ロードを自分の勢力下に置くことがゲーム目的の一つで作中で説明される。また精神に当たる能力値は『エクス2』では信仰心だったためその略称が「信」である。)
  • モンスターのグラフィックは大幅増加。ただし、内部データはやはりエクス2の流用。
    • 一部のイラストにおいてデザインやポージングが他ゲームのキャラクター(ポケモン等)に酷似しているなど盗用疑惑も挙がっている。特に『エクス2』のモンスターは露骨に真似されている。
  • BGMの中には『エクス2』にそっくりなものがチラホラ……。もちろん作曲者は別人。
  • そもそも解析によりソースコードの中に「WizXTH2」の文字がそのまま確認されている。
  • なお、エクス2の開発会社はマイケルソフト(内のチームムラマサ)に対して、本作の開発会社はゼロディブ という全く関係のない別会社である。おいおい、大丈夫なのか……関係者ならずとも、そう突っ込まざるを得ない所ではあるが、本作発売に前後してマイケルソフトは倒産しており、その混乱のせいか訴訟など表だった騒ぎにはなっていない。また関係者も未だ沈黙を保ったままである。
    • 本作のプログラマーの1人である山岸一弥氏は、元はマイケルソフトのプログラマー。
      • 『エクス2』のプログラマーは2名だが、『エクス1』のプログラマーはこの2名+山岸氏の3名だった。
    • 開発会社であるゼロディブのプロデューサーは、悪名高き『PS2版ヴァルケン』を生んだ原神敬幸氏であることが後に判明。遊べる仕上がりではあるものの、ヴァルケンの悲劇が再来したとも言える。