Fate/Samurai Remnant

【ふぇいと さむらい れむなんと】

ジャンル アクションRPG


対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Windows(Steam)
開発・発売元 コーエーテクモゲームス*1
発売日 【Switch/PS5/PS4】2023年9月28日
【Win】2023年9月29日
値段 9,680円(税込)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作
ポイント 初代オマージュの伝奇時代劇死闘アクション
宮本伊織とセイバーの絆物語
新サーヴァント新マスターも個性的
オメガフォース流ボスバトルの様式を確定付けた一作
テンポの悪い霊地争奪戦
Fateシリーズ


概要

多数の歴史ゲームを手懸けてきたコーエーテクモゲームスが企画開発を行った『Fate』シリーズの一作。
慶安時代の江戸にて開催される聖杯戦争の亜種「盈月の儀」を舞台にしたアクションRPG。
二天一流の宮本武蔵の養子兼弟子として実在した人物 をモデルとした 宮本伊織*2が主人公である。

本編には新サーヴァントのみならず、『Fate/stay night』および『Fate/Grand Order』『Fate/EXTRA』などシリーズ別作品で登場したサーヴァントや関連サーヴァントも多数登場している。
発売直前にはコーエーテクモゲームスより、動画・画像投稿のガイドラインが公開されている。本項でも真名等のネタバレは記載しない。
DLCによる3つの追加チャプターが予定されている。
ちなみにサーヴァントとは実在の著名人(例:織田信長)や、伝説や伝承等の著名な存在(例:アキレウス)をその人物の情報を元に儀式により召喚した使い魔の事。


ストーリー

慶安四年、江戸。
血で血を洗った乱世の終結から早数十年、
民は泰平を享受する日々を送っていた。

だが、その裏で人知れずして七人七騎の殺し合い、
“盈月の儀”が幕を開ける。

浅草に住まう青年・宮本伊織を
渦中へと巻き込みながら───
  • 公式サイトより引用

システム

ゲーム

  • 探索
    • 本作の舞台は慶安時代の江戸であり、賑やかな江戸時代を再現している。イベント・アイテム収集・売買・飲食の利用などが可能。
    • マップ内には浪人や盗賊、忍者・怪異の出現するポイントが幾つか存在し、立ち入ると伊織たちに襲い掛かってくる。
  • 大江戸稼業
    • いわゆるサイドミッションであり「共鳴絶技で敵を撃破する(50)」などの項目を達成すると報酬が貰える。
  • 巴比倫弐屋(ばびろにや)
    • いつかどこかで見たような金髪の外国人が営業している質屋。他の万屋では買えない貴重な品が置いてある。
  • 技珠
    • レベルアップで得るスキルポイントに変換できるアイテム。伊織とサーヴァントのスキル解放に使用する。
  • 魔術工房
    • 伊織の自宅を改造して作った工房で、いわゆる拠点。武器の強化方法、道具の生産などを行う。
  • 異傅
    • いわゆるサイドストーリーで、主に協力関係にあるサーヴァントとの関わりを描いている。
    • クリア後は敵陣営にまつわるサイドストーリーが追加される。
  • 犬猫
    • 江戸のマップにいる犬や猫と触れ合うとHPと共鳴ゲージがごく僅かだが回復する。コエテク繋がりで『風花雪月』を思い出したという人もいたり。
  • 町の試練
    • 古びた社・忍び見習いなどの収集要素や、浪人・怪異討伐といったマップごとのサイドミッションで、達成すると報酬が貰える。
  • 名所
    • 特定箇所を訪れると、各種ゲージが回復し、魔術に使用する貴石を入手できる。
  • わくわくスポット
    • セイバーが特定場所 主に屋台 に興味を示すことがあり、そこでの会話イベントによってスキルポイントを獲得できる。スポットに来るとセイバーは嬉しそうにはしゃぎ出してかわいい。
  • 霊地争奪戦
    • 聖杯戦争の霊脈の奪い合いを江戸の街並みに再現したSRPGパート。
    • 伊織陣営や逸れのサーヴァントなどを動かして、敵の領地を奪いつつ制限ターン数内に目的地に移動するのが目的。
    • 相手側のサーヴァントおよび部下や怪異も同様に動いて来て妨害するので、本拠地から寸断されないように行動する必要がある。
  • 回想戦
    • これまで戦った強敵との再戦が可能。クリアに応じて報酬が獲得できる。回想戦限定のシチュエーション戦なども用意されている。
      • アップデートにより伊織以外のキャラでも遊ぶことが可能になった。通常は時間制限があるサーヴァントが好きなだけ使える。本編では操作不可能なサーヴァント・DLCで追加されるサーヴァントも特定条件を満たせば選択可能となる。

アクション

  • マスターとサーヴァントによる協力バトル
    • 本作は伊織とセイバーの2人が協力して敵を倒すアクションRPGである。
    • 操作性こそ無双シリーズのそれを継承してはいるものの、ゲーム性/バランスは(特に序盤は)『P5S』をよりアクション重視にしたもの、かつ『仁王』などTeam NINJAが手掛けるような高難易度タイトルに寄せている。
    • 難易度選択は可能であり、回復アイテムの上限数はかなり多い(使用も瞬時に行われる)。
  • 伊織は剣豪・宮本武蔵直伝の二天一流であり、二刀流と一刀流を併用する。
    • また魔術の心得が少しだけあり、貴石を消費することで伊織自身の特殊技を使用できる。
    • ゲーム進行に応じて2~5種類の「型」を任意に切り替えることができる。それぞれで性能が大きく異なるため、状況に応じて使い分けることとなる。
    • 型を効果的に運用した後に他の型に変更すると、一定時間「残光」によって元の型に応じた強化を得る。こうした型同士の連携という点も『仁王』の構えシステムに近い。
  • セイバーなどのサーヴァントは総じて伊織よりも強力な性能を持つが、イベント時を除き基本的には自動行動となっている。
    • プレイヤーが敵に有効打を加えると交代ゲージと共鳴ゲージがわずかずつ溜まり、サーヴァントの「共鳴絶技」を使用させたり、一定時間だけサーヴァントを操作することが可能になる。
      • 対サーヴァント戦ではこれらを如何に活用するかが生死を分ける。
  • 共鳴絶技
    • 共鳴ゲージのストックを消費して、サーヴァントの特殊技を使用させる。ゲージはプレイヤーが敵に有効打を与えたり、探索中にサーヴァントとの協力アクションを行う、特定アイテムの使用などで貯まる。
    • 戦国無双5』の閃技や『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』の戦技などと同じ概念であり、外殻ゲージを削りやすい以上に敵を強制的に怯ませられる・発動中は無敵になるものもあるなど、攻略にとても重要となる。
  • 協力技
    • 戦闘中にセイバーに近付いて表示されたボタンを押すと、2人で協力技を放てる。
    • 協力技は共鳴絶技としても使用できるが、その場合とは違って外殻ゲージ削り・怯み時間・共鳴ゲージ増加量が若干多い。
  • 秘剣/宝具
    • 操作キャラは各々専用ゲージを用いる必殺技を持っている。
    • 敵にダメージを与えることでわずかにゲージがたまり、基本的には戦闘エリアのほぼ全域にダメージを与えることが可能。
  • 外殻ゲージ
    • 一部の強大な敵は、HPゲージの他に外殻ゲージがある。外殻ゲージが表示されている敵にはほとんどダメージを与えられない。
    • 敵の攻撃後の一定時間内への反撃、セイバーを含めたサーヴァントの攻撃、応刀(ジャスト回避によるカウンター)、他に共鳴絶技・協力技・魔術など有限リソースを使った攻撃で外殻を削れる。
    • 『stay night』などで言及されたように、サーヴァントや怪異といった神秘を纏うものは人間に対して絶対的な戦闘能力の格差を持つ。これを表現するためのシステムの一つとされる。
  • 伊織はセイバーの他に、逸れのサーヴァント達と協力関係を結ぶことになる。これにより、セイバー以外の持つ「共鳴絶技」や交代を行える。

その他

  • 彫仏
    • 伊織が趣味としている仏像彫りのミニゲームであり、成功して手に入れた仏像は基本的には高く売れる。
  • 刀剣手入れ
    • こちらもミニゲームの一種となっている。成功させると一定回数だけ経験値にボーナスが入る。
  • 喧嘩仲裁
    • 街中の町人同士の喧嘩を仲裁するミニゲーム。タイミングよく正しい側のボタンを押す。

評価点

  • アクションのサーヴァントバトルロワイヤル
    • 今まで『Fate/EXTRA』や『Fate/EXTELLA』などRPG・アクションゲームとしての派生シリーズ作は出たものの、スピンオフ・番外編であったり派生した世界観による独自路線が強かったりと、『stay night』とは全く異なるストーリーの立ち位置が多い。
    • 本作もほぼ独立した世界観ではあるが、『stay night』に近い聖杯戦争とそのストーリー体験に重きをおいたアクションRPGとして構成されており、長年のファンの待望であった「聖杯戦争アクション」が叶ったゲームになっている。
      • 後述するが「サーヴァントの強さを身をもって体験する」などのゲーム性による表現もシリーズに忠実である。
  • 時代劇のFate
    • 本作は中世の100万人都市と称される江戸時代を舞台にしており、現代劇が常であったTYPE-MOON作品としても新鮮味がある。
    • それでいてFateシリーズならではの魔術などの伝奇要素と、歴史・伝承を巧みに組み合わせたフィクションへの昇華も相変わらずの高評価。
    • 江戸時代という点だけ見ればありふれたものかもしれないが、慶安時代を拾ったゲームとなると意外にも少ない。
      • 地名が現東京とあまり変わらないため馴染みある地名が多く、マップそのものはオリジナルだが地域の特徴を捉えたデザインになっている部分もあったり細かい部分でこだわりが見える。数多くの歴史ゲームを手懸けてきたコエテクの面目躍如と言えるだろう。
  • キャラクターとサーヴァント
    • シリーズ名物のサーヴァント達は今回も高評価。過去の英雄を元にした英霊・サーヴァントは有名どころから、知る人ぞ知るレベルまでそれぞれ。セイバーを初め、みな個性的であり、本編で印象に残りやすい。
    • 一方で『stay night』『Grand Order』などの過去作品で登場したキャラもあれば、姿格好は同じでも全く性格が違うキャラもあり、『Fate』のオールスターゲームとしても楽しめる。
    • 『Grand Order』で初登場したサーヴァントである女性の宮本武蔵が登場。伊織の師匠と同名ということもあり、改めての師弟描写を見せてくれる。性格的には殆ど同じのようで伊織はすんなり納得してそのまま師匠と呼んでいる。
      • 伊織の師匠である男性の宮本武蔵は作中では既に逝去しており、サーヴァントの女武蔵は所謂パラレルワールドの存在でパラレルワールドを移動していることが序盤で説明される。
        詳しくは省くが、『Grand Order』の時点で彼女は「並行世界から来た宮本武蔵」という設定のため本作で突然出てきた後付けではない。他のサーヴァントとは異なり『Grand Order』の宮本武蔵と全く同一の存在。
    • サーヴァント各々の切り札である宝具も例外なく、カッコイイ宝具解放シーンが用意されている。
      • 宝具にも多種多様な設定がある。そのほとんどは王道的な必殺技だが、変身タイプといった変わり種もある。
    • 由井正雪や鄭成功など、サーヴァントになってもおかしくない江戸時代当時の偉人をもとにしたキャラ達がマスターとして参戦しており、印象が特に残りやすい。
      • 名物『Fate』キャラによく似た若旦那について本作のアーチャーから「人の妻が好きか?*3と問われるなど色々と笑えるやりとりも多い。
    • 兄思いで可愛い妹のカヤ、軽薄だが顔なじみの同心・助之進など、聖杯戦争にかかわらないキャラも本編の良い塩梅となっており、伊織が無辜の民の為戦う理由の一つになっている。
  • 真名当て
    • 概要に述べたように公式でアナウンスされているように真名についてネタバレは固く禁止されている。これは本作が真名当てに重視しているからである。
    • サーヴァントたちの真名は従来作同様ゲーム進行で判明する。正体不明のサーヴァントから言動や風体で推理するという『Fate/stay night』リスペクトしている作り込みで、推理要素が楽しめるようになっている。
      • 一見鎧で誰かわからないように見えるライダーや逸れのセイバーもセリフ等から推測可能なため歴史や『Fate/Grand Order』に詳しい人であれば考察してみるのも面白いだろう。ただし既に公式で真名が開示されてるため調べる場合は注意。
    • 本作には真名発覚で弱点露呈といったストーリー上での行動につながる展開もあり、本来想定されていた真名隠しの構想を拾っている。
  • セイバーと伊織
    • キャラの中でも主人公のセイバーと宮本伊織のやりとりは愛らしく、「わからいでかー!!」などの夫婦漫才のようなコミカルなやりとりが本編を癒やしてくれる。
    • セイバーは大食漢で好奇心旺盛という、子供のような性格のキャラでついつい食べ物をあげたり、名所に連れてってあげたくなりプレイヤーの親心をくすぐってくれる。
      • 一方でセイバーの正体は日本人ならピンと来る著名な人物で悲惨な過去を送っておりそれが『Samurai Remnant』世界の性格に繋がるなど、シリアスな要点も抜かりない。
      • 本作のセイバーは『stay night』におけるセイバーのオマージュが随所に仕込まれていて、ファンからニヤリとできる部分も多い。
    • 伊織はどこぞの『Fate』主人公のように女性キャラに好かれる。一方で、無辜の民を守るため聖杯戦争に参戦するという主人公らしい性格の持ち主で感情移入しやすい。
      その人と同じく魔術関係については多少扱える程度しか知識がないため周囲のキャラが儀やサーヴァントについて基本的な情報を解説してくれる。そのためFateシリーズ未経験でもついていけないということは全くないようになっている。 ちなみにサーヴァントに食事は一切必要ないのだが戦いには必要ない情報だからか誰からも教えてもらえなかった。
  • ストーリー
    • 江戸を舞台にした聖杯戦争には、当時の外国との関わりや武士・剣術など多くの事情が盛り込まれ、引き込まれる背景が作られている。
      • 由井正雪の乱*4など、当時の事件もそのものではないが元ネタとして取り入れられており、歴史を絡めての考察にも熱中できる。
    • それぞれの陣営が抱く願い、信条、思いなどが交差して、濃厚な人間ドラマになっている。
    • また、分岐ルートも存在しており、周回しても楽しめる要素がある。
  • 異傅(いでん)
    • いわゆるサイドストーリー。逸れのサーヴァントや別陣営のドラマは本編で描かれない描写や心情が知られる。
    • 単にバトルだけでなく、エリアや江戸の住人と会話ができる点も良い。例えばドロテアに対する江戸の住人の反応は西洋人に馴染みのない反応をしてくれる。
    • 特にアサシンがマスターのドロテアをお姫様だっこするシーンは色々と衝撃的である。
    • 『FGO』に登場したサーヴァントも多く、彼らのファンは好きなサーヴァントで戦える。
  • 霊地争奪戦
    • 霊地の奪い合いというこれだけでも一本ゲーム化できるほど完成度が高く、熱中するものがある
    • サーヴァントを動かし、どの場所で戦うかなど戦略要素も深い。
    • 油断していると敵も容赦なく霊脈を奪うので気が抜けない戦いとなっている。
  • バトルアクション
    • 伊織の剣術アクションは最大5つの型それぞれにコーエーのノウハウが巧みに混ぜられ、挙動やレスポンスの反応も良い。通常の敵は大量に襲いかかってくることが基本で、それをなぎ倒す爽快感もある。
      • そして伊織自身もゲームが進むと、今までは厳しい抵抗を強いられた怪異やサーヴァントに十分に抗し得る成長を見せていく。ただし、これが意味するものとは…
    • 異傅や霊地争奪戦では他のサーヴァントを動かすこともある。彼らにもそれぞれのアクションが用意されており、セイバーの剣さばきやアーチャーの高速射ちなど人間離れしたサーヴァント達のアクションが再現されている。
  • BGM・主題歌
    • 主題歌の「残夜幻想 feat. 六花 / スパイラル・ラダー」は本編の切なさと熱さにマッチしている。
    • BGMはどれも評判がよく、場面を盛り上げてくれる。
    • 探索中のBGMは江戸を散歩したくなるような気分にさせてくれる。
  • 雑記帳
    • キャラクターや用語などが書き込まれていく要は図鑑だがかなり内容が充実している。
      進行に応じて記述が増えたり開示されていく。ゲームプレイしてるだけでは知り得ない情報も多々載っているため必見。
  • 初代オマージュの数々
    • キャラや展開に「入りが初代に酷似しているが、結末が絶妙に違う」という要素が多く仕込まれている。
      • 「伊織とセイバー(本作)」は日常パート・戦闘パート共に「士郎とセイバー(初代)」を彷彿とさせるイベントが豊富
      • 初代の「マスターがサーヴァントと闘う」という異常性にスポットライトを当てている。
      • アサシンのマスターや、年下の世話焼き(影有り)、ホムンクルスなどは初代ヒロイン・サブヒロインを彷彿とさせる。
      • 川を挟んだ先の未知のテリトリーなど初代の深山町と新都の立地を彷彿とさせる。

賛否両論点

  • ゲームバランス、 サーヴァントの外殻ゲージ
    • 基本的には 「サーヴァントは人間とは別格の戦闘力を有する」という根幹設定を前提にゲームバランスが組まれている 。これはサーヴァントの圧倒的な強さを実感でき、設定を忠実に再現していることは好意的に捉えられているが、
      これが 最初のチュートリアル時点でプレイヤーを容易に殺しゲームオーバーにさせる形で提示される *5ため、どう考えてもアクション初心者が標準設定で気軽に手を出せるゲームでないことは否定できない。
      難易度選択と体験版が存在するため、それらによる検討は必要かもしれない。
    • 加えて、強力な怪異とサーヴァントは基本的に外殻ゲージ→体力ゲージ(外殻ゲージの再出現もあり)と二段階以上かけて削らなければならず、戦闘に結構時間がかかる。
      • その為戦術としては「共鳴ゲージ回復」→「共鳴技&宝具&協力技」の繰り返しなることが最適とされ、これでは作業になってくるという意見も。特に序盤は外殻ゲージを削りやすい手段がかなり限られるので、余計に時間がかかる。
    • 本作では難易度による報酬の変化や高難易度モードが条件の実績等はない ため、硬いなどと感じるのであれば素直に難易度を下げることをオススメする。ただし、それで作業感が無くなるとは言い切れないが。
      • アップデートによりさらに簡単な難易度と高難易度が追加されている。
    • 最終的に伊織がサーヴァント並みに強くなるためサーヴァントの圧倒的な強さについての体感は徐々に薄れていくが、ストーリーとしても伊織がそこまで強くなっていくこと自体に意味が持たされているし、Fateシリーズの他作品においてもマスター自身がサーヴァントと交戦したり、出し抜くシーンもあるため設定崩壊しているわけではない。
      • サーヴァント自体はスーパーアーマーが多くの技に備わるなど、全体的に攻撃アクションの性能が強めになっているため差別化はされている。
  • 犬猫撫で
    • 町中の犬猫を愛でるマスターやサーヴァント達の可愛い姿を見られると言う心温まるシチュエーション……なのだが、大江戸稼業のために撫でる必要があるにもかかわらず、マスター→同行サーヴァントと順番に撫でるため無駄に長くスキップできないので非常にテンポが悪い。何度も見せられるので飽きる。
    • ボタン連打によって回復出来るが、回復量は脅威の1単位で、ボタン連打してなお実用性は殆どない。
      • 伊織以外のキャラ操作パートでも撫でることができ、セリフやモーションも用意されている。ただしアサシンなど一部のキャラは同行していても撫でなかったり、そもそも操作時には犬猫が配置されなかったりする。
  • 宝具
    • ゲーム上の演出とバランスであるから仕方ないのであるのだが、宝具を発動してもそこまでの威力は無い。
      宝具は一撃必殺の技と称されるためどうも違和感を覚えやすい。
    • 真名バレになるので、ほとんどのサーヴァントが中盤以降しか放てない。
    • DLCで使えるようになる若旦那は他のサーヴァントと違い宝具が使用できず共鳴技も一つしかない。使わないのも本気を出さないのもむしろ設定としては正しく、あくまでDLC1弾のおまけのファンサービスに留まっている。
      真名開示もされないため、シリーズを知らない人からすれば手抜きに感じるかもしれない。若旦那の性格については本編中でもわかるようにはなっているがそれだけで納得できるかは微妙なところである。

問題点

  • 霊地争奪戦
    • SRPG風に進められるが、若干サーヴァントや伊織の移動に時間がかかる。
    • またわざわざ紅玉の書が「○○を取ったぞ」「○○を取られたぞ」などの戦局を報告してきてテンポが悪い。
    • 敵の進み次第で失敗すると全て一からやり直しになってしまう。途中で任意セーブが効くのが救いか。
  • 人間敵の外殻ゲージ
    • サーヴァント・怪異のみだけではなく、一部の盗賊や浪人などといった強敵にも外殻ゲージが存在する場合がある。
    • サーヴァントはまだ人間とサーヴァントは能力格差があるから仕方ないが、魔術心得のあるとはいえ一部の人間まで固くしてしまっているとなると、せっかくの伊織の剣術アクションの迫力が薄まるという声も。
  • サーヴァントのアクション性能による格差が大きい。
    • セイバー以外の他のサーヴァントは技が固定であり扱い辛いという意見もある。
    • 特にランサーやアサシンはモーションが大きくスピード感あるような動きが出しづらいため苦戦しやすい。
  • ルート分岐
    • 中盤と終盤それぞれの選択肢によって、キャラの生死とラスボスが3つに分岐する。しかし『stay night』のような大きなルート変化を期待すると肩透かしをくらう。
      • ただし、2周目以降限定の隠しルートは2ルートとは全く異なる結末を迎える。
    • ルートによっては真名開示されず、所謂ナレ死してしまうキャラもいるため、その部分のみは周回前提のつくりになっている。
      • 既読スキップや、イベントスキップなどシステムとしては充実してる上、異傅に関しては一度クリアすればそのデータではいくら周回してもクリア済み判定になっていたりと苦にはならないようにはなっている。ただし、霊地争奪戦は再度プレイが必要。
  • グラフィック
    • PS5世代のゲームではあるが、背景の作り込みが甘く岩や植物などが安っぽく見える。
    • Switch版はさらに質が悪く、街での移動中は常時処理落ちも同然で動きが非常にカクカクする。
      • イベントシーンや戦闘中では処理が多少軽くなるものの全編を通して快適に遊べるとは言い難い。
  • 回復アイテムがやや入手しにくい
    • 共鳴ゲージ回復や体力回復アイテムは町の屋台から購入・イベント入手・敵のドロップからの入手となるが、このうち購入に関しては店舗ごとに一度に買える数の制限がある。数を集めるには各地の屋台を回る必要があり、少々面倒。
    • 慣れていないプレイヤーほど各種回復アイテムを湯水のように費やす羽目になるので、この点は辛い。

総評

Fateファン待望のアクションRPGで描かれる聖杯戦争であり、江戸時代劇とのミックスも相まって高評価である。
シナリオも多くの魅力的なサーヴァント達と江戸時代の著名な人々が登場して、濃厚な人間ドラマを描いた作品になっている。


余談

  • 公式では既にサーヴァントの真名が公開解禁されているため、本作の公式サイトやX等で当然のように真名が表記されている。ゲームを買うために情報を集める場合は注意が必要。
  • 『Fate/Grand Order』では2024年1月に本作とのコラボイベントが行われ、本作から主人公の伊織を含めた4体のサーヴァントが実装された。こちらでも告知ページの時点で真名が開示されていた。
    • 内容としては『Grand Order』寄りの世界で儀に再度巻き込まれるあらすじから展開される、本作の後日譚となっている。武蔵はとある事情により未登場。
      • ちなみに、『Samurai Remnants』本編の武蔵は、『(発売から数年前に開催された)期間限定のサマーイベントに登場する直前』という時系列設定になっている。これは同イベントの時点でSRの企画が始動していたため。
        その後武蔵がどうなるかはFGOメインシナリオにて語られており、コラボイベントで未登場の理由にもなっている。
  • 本作中では明言されないが、資料書籍『Fate/Samurai Remnant material』では作中世界が剪定事象*6である旨の記載がある。
  • 作中で伊織が豚にされ、操作可能かつセリフもボイス付きで変わる場面がある。この豚にされた伊織のぬいぐるみが受注生産で販売されており、これが伊織の初立体化商品である。
最終更新:2024年12月15日 02:27

*1 開発はオメガフォース、企画はシブサワ・コウが担当。

*2 実際の宮本伊織と違い、浪人であるなど状況が大きく違う。

*3 アーチャーが生前に因縁あった人物と勘違いしての台詞

*4 1651年に起こった幕府転覆未遂事件。「慶安の変」とも。

*5 このチュートリアルでのイベント戦闘には態々コンティニュー後の緩和調整も入るため、制作側が想定したものではある

*6 連作を想定されない独立した世界観のこと。要はありえざるIFの世界