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このページでは、ニンテンドウ64用ソフト『ゼルダの伝説 時のオカリナ』と、そのリメイク版のニンテンドー3DS用ソフト『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』を紹介しています。 ---- #contents ---- *ゼルダの伝説 時のオカリナ 【ぜるだのでんせつ ときのおかりな】 |ジャンル|3DアクションRPG((バーチャルコンソール版からはジャンルが「アクションアドベンチャー」になっている。))|CENTER:&amazon(B000066BPL,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51CXG48YTGL.jpg,height=160)&image(tokiokaOP.jpg,width=160)| |対応機種|ニンテンドウ64|~| |発売・開発元|任天堂|~| |発売日|1998年11月21日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|3個(バッテリーバックアップ)|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)&br;※バーチャルコンソール版より付加|~| |周辺機器|振動パック対応|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2007年2月27日/1,200Wiiポイント&br;【WiiU】2015年12月22日/1,234円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ゼルダシリーズ初3Dで既に完成の域&br()雰囲気・音楽・キャラも高水準&br()王道と革新の絶妙な調合&br()やり応えのある難易度|~| |>|>|CENTER:''[[ゼルダの伝説シリーズ関連リンク>ゼルダの伝説シリーズ]]''| ---- **概要 任天堂が誇る謎解きアクションアドベンチャー『ゼルダの伝説』シリーズの一つで、シリーズ初の3D箱庭系作品。~ 革新的なゲームシステムや王道的ながらも独特なテイストを内包するファンタジー的世界観、ドラマチックな演出とゲーム展開で人気を博し、日本国内で145万本、グローバルワイドでは760万本の売上を記録した。 とにかくクリエイター・ユーザー双方からの評価が高く、同社の『[[スーパーマリオ64]]』などと同様、3Dゲーム史を語る上では欠かせないゲームの一つとなっている。 ---- **ストーリー >ハイラル王国には、緑深き森が広がっていた。その森にはデクの樹という大樹の精霊がおり、その樹によって森は守られてきた。~ この森には、コキリ族という種族が住んでいた。彼らはみな子供の姿をしており、それぞれが一匹の妖精をパートナーとして従えていた。 そんなコキリ族の中で、なぜか唯一、妖精を持たない少年リンクは、仲間に半人前であることをからかわれながらも平和な日々を過ごしていた。 > >ある日、リンクは悪夢にうなされる。 巨大な門の前に立っていて、一頭の馬が目の前を駆け抜けていく。その馬には少女が乗っていて、何かを訴えるようにこちらを見ていた。その直後に表れた馬に跨った大男が、こちらを挑戦的に見下ろす……。その直後、リンクは夢から覚める。~ しかし、その悪夢を見るのは一度だけではなく、悪夢を見る日が連日続いた。 > >そんなある日、リンクの元に「ナビィ」という妖精がやってくる。ナビィに導かれデクの樹のもとへ向かったリンクは、デクの樹は呪いをかけられていること、リンクの勇気を試させてほしいことを明かされ、自分の中へ入りその呪いを解いてほしいと頼まれる。 >デクの樹の中で魔物を退治した後、命尽きゆくデクの樹からハイラルに迫る危機を知らされたリンクは、デクの樹の遺言に従い、~ ハイラルの王家の姫君に会うべく、コキリ族が越えてはならないとされる森の外へと踏み出すことになる。 > >それが、自分自身の運命をも大きく変える冒険になるとも知らず……。 ---- **特徴 ''ゲーム概要'' -大まかには「3Dになったゼルダ」。プレイヤーは主人公リンクを操作し、3Dのハイラルを冒険してストーリーを進める。 --ストーリー展開は王道で、ボリューム・システム・音楽・インターフェース・グラフィックなどゲーム内容のどこをとっても総じてハイレベルな仕上がりとなっており、これらを上手く料理しきっている。 --『[[スーパーマリオ64]]』とともに''「箱庭3Dアクション」の根幹をほぼ完全に定義してしまったゲーム''ともされている。意欲的な提案を様々に行い、それらは現在に至るまで多くの3Dアクションゲームによって模倣されている。 -また、何気にシリーズで初めて声優陣によるキャラクターボイスが採用された作品でもある。 --しかし、掛け声や悲鳴程度しかない。 ~ ''主要キャラクター'' #region(詳細) -リンク --主人公。おなじみの緑の服と金髪で左利き。今作では時を超え、初めて「大人」になる。 --リンク=美青年の図式が完成されたのは今作からだろう。如何せんグラフィック的にはポリゴンが粗いのは仕方ない。 -ゼルダ --お馴染み姫。今作では王道すぎるストーリー展開の中心を担い、影に日向に物語を導いていく。 -ナビィ --デクの樹の命で、リンクをサポートするためにやってきた妖精。『[[ムジュラの仮面>ゼルダの伝説 ムジュラの仮面]]』のチャット、『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』のミドナなどの起源でもある初代相棒キャラ。青い。ヒントお伴キャラの中では一番癖がなく、おだやかな性格。 ---ただし初めてのナビゲートキャラ故か、テキストが若干硬めだったり、呼んでおいて「弱点なんてわからないよ」と言うなど問題がないわけではない(これは特定の敵の場合のみのメッセージ演出の一つ。基本的になんらかの情報はくれる)。 --ちなみにCVはデビュー直後の水橋かおり女史が務めているのだが、「時のオカリナ攻略ビデオ」なる公式商品のガイド役として、そのままナビィ役として出演している。 ---ゲーム中でナビィが日本語のボイスを発することは全くないが、当然ながらこのビデオ内ではナレーターとしてたくさん喋る。 //改めて日本語で聞くとナビィの声は''物凄い美声''である。 //プロの声優がやっているんですし、その感想はいらないでしょ -ガノンドロフ --『ゼルダ』シリーズにおける[[ワイリー>ロックマンシリーズ]]とも[[クッパ>マリオシリーズ]]とも呼べる仇敵になる御人。今作で人間体として新登場した。 //[[シグマ>ロックマンX]]とも //ロックマンだけで例えるのは変な印象があったのでクッパに差し替え --屈強な見た目だが、「砂漠の民の王」という肩書きは伊達ではなく、剣術の他に魔法の力も使いこなしたり、オルガンを弾きこなす等の知的かつ芸術的な一面も併せ持つ。 --そして発売当時は「これまでもラスボスを務めたガノンの登場秘話」という点も本作のセールスポイントの一つだった。 //スマブラで誤解している人が多いが、オルガンも弾く高貴なガノンドロフは剣や魔法が好きなのでキックボクシングなんかやりません。 -シーク --リンクの行く先々で不思議なメロディーを授ける、謎の青年。((『スマブラDX』発売で公然化したが、同作のE3発表時点ではまだ公式に正体は明かしていなかった。)) -サリア、マロン、ルトなど --準ヒロイン達。姫を差し置いてやたらと人気が高い。特に幼馴染のサリアは「サリアの歌」と合わせて今なお人気である。 ---多種多様な準ヒロインが多いところがギャルゲ的だと思うのはたぶん気のせい。 ---余談ではあるが、サリア、ダルニア、ルトなどの一部の登場人物の名前は、ディスクシステム時代のシリーズ2作目「リンクの冒険」の地名や町の名前から採られている。 #endregion ~ ''ダンジョン''~ 子供時代は3つ、大人時代になってからは8つのダンジョン((厳密には大人時代にフラグを立てた後子供時代に戻って攻略する必要があるダンジョンがある))を攻略する。 このうち特に話題となる事が多いものを挙げる。 #region(詳細) -森の神殿 --森の奥深くに存在する廃墟の洋館。光村図書出版が発行する''高校用美術の教科書に掲載されたことがある''と説明すれば、どれ程の造形美を誇るか理解できるだろう。 --笑い声にも聴こえる不気味なBGMや、それまでのダンジョンと比べて謎解きの難易度が上がっている事などから、多くのプレイヤーに強いインパクトを与えた。 -水の神殿 --本作に登場する全ダンジョン中でも屈指の難易度を誇る。水位を上げ下げしながら進む難解な謎解きに、中ボスが非常に手強いなどの要素が加わり多くのプレイヤーを悩ませた。以後、3Dゼルダにおいてよく言われる「''水のダンジョンが来たら本腰入れろ!''」というセオリーを確立したダンジョン。 ---これはこのダンジョンを最後に作ったのが原因だと、攻略本のスタッフインタビューで語られている。 -井戸の底 --文字通り、井戸の底から入る事が可能なダンジョン。後のダンジョンを攻略するのに便利な「とあるアイテム」を入手する為に訪れる、いわば通過点である。 ---しかし上述した水の神殿とは違う意味で、多くのプレイヤーにトラウマを刻み込んだ。しかもこれでまだ序の口というのだから恐ろしい。 ---ここでは敢えてその詳細を伏せる事にする。気になる方は、是非とも自身の目で確かめてみてほしい…。 --因みにこのダンジョン、実は「とあるアイテム」の性質上完全無視してクリアする事も可能。但し、後のダンジョン(ラストダンジョン含む)の攻略難度が遥かに跳ね上がるが。 #endregion ---- **評価点 ''その革新性'' -本作が提案したシステムの中で最も多くのゲームに模倣され、現在まで受け継がれているのは「''Z注目システム''」であろう。 --『[[スーパーマリオ64]]』の開発において3Dアクションのノウハウを蓄積した任天堂開発陣が、次の3Dゲームを作る上での最大の課題と定義したのは「3Dのアクションゲームでは、そもそも敵に攻撃を当てる為にも細かい照準補正を必要とし、プレイヤーキャラを動かすのがとても難しい」という点であった。 --照準補正という問題を解決するべく誕生した「Z注目システム」は対象となる物体をプレイヤーが任意にロックオンできるシステムで、確実に対象物に向かって移動できる操作性を実現してみせた。更に、カメラワークもセミオートで補正を計る為に対象が画面の外側に隠れてしまう事もない。敵との間合いを取りやすく、主人公の位置を認識しやすくできるという利点も生み出したのである。 --この「(Z)注目」システムはゲーム業界に大きな影響を与え、特に現在の多くのFPS/TPSで採用されている「エイムアシスト」の原点にもなった。 --加えて、Z注目をしている間はこっそり''同時に行動する敵の数に制限を加える''ようになっており、1対多という不利な場面でも、「袋叩きにされてなすすべなく死ぬ」など理不尽なシーンをなるべく発生させないように配慮している。 -同社の『マリオ64』を始め、同時代における3D箱庭アクションゲームという発想自体は、新興ジャンルとはいえ珍しくはなかった。~ 本作が傑出した評価を受けた所以は、カメラワークや入力に対する動きの速さなどが絶妙なバランスで調整された、インターフェースの素晴らしさにもある。 --このシステムとインターフェースによって3Dアクションの難点とされていたカメラワークと操作性を見事解消してみせた本作は、3Dアクションゲームの操作性の礎として、本作以降の多くの3Dアクションゲームに類似したシステムが搭載されるなど、''3Dアクションの基礎基本を完成させてしまったのである''。一度でも本作をプレイした事があるならば、現在発売されている3Dアクションゲームの多くに本作のエッセンスが通じているのが分かる筈である。 ---これについては、%%当時はまだそれなりに信憑性もあった%%『ファミ通』レビューで浜村通信も絶賛している。 -ジャンプ等のプレイヤーがタイミングを合わせて操作する必要があったアクションを、思い切ってある程度まで自動化した事も、3D空間内での操作感の快適化に貢献している。 --崖をよじ登る、飛び降りるなどのアクションは、その地点に移動して近づいただけで自動的に行われる。 ---このオートジャンプも(Z)注目と同じく[[後の作品>biohazard 4]]においても研究対象として参考にされ、様々な影響を与えている。 -完全に64コントローラに合わせられた仕様。 --移植作と比べてみると、ソフト面の他にハード面(コントローラ)がいわゆる「マシン・マン・インターフェース」になっていたのを実感できる。キューブ版も3DS版も悪くは無いのだがこのコントローラ(特にCボタン群)の使い勝手の差は埋められない。 --これほどハードとソフトが一体となっているゲームはなかなか無い。類例は十数年以上の現在でも根強く支持され続けている、『スマブラ』シリーズにおけるGCコントローラーぐらいのものだろう。 ~ ''質の高い演出'' -同時代の他の3Dゲームに比べ、''プレイヤーの感覚を意識した演出''が多いのが本作の特徴である。 --プロローグエリアであるコキリの森を比較的狭い中で展開させ、いざ冒険へ!というところで一気に自由度を高めて放り出すことで、プレイヤーの期待感や興奮、そして没入感を大いに高めてくれる。実際、最初のダンジョンをクリアした後ハイラル平原に出た瞬間の興奮を語るプレイヤーは多い。 --一見すると広大にも思えるハイラル平原は、実は面積自体は大したことがない。しかしその狭い平原をよくよく観察してみると、丘を多く配置した地形にすることにより視界を遮るなど、これでもかとばかりに狭さを感じさせない工夫が凝らされている。本作では、3Dの空間をどう生かして、プレイヤーにどう魅せるかを多分に考えてマップが作られているのである。 ---ハイラル城下町なども実際よく考えてみるとかなり狭いのだが、背景用のテクスチャを上手く使用し、路地裏や登れる箇所を発見させたりすることで、狭いとは思わせずに探索させる工夫が凝らされてある。 ---ダンジョンについても第一に建造物として矛盾が少なく、非常に構造的。更にそれを利用した謎解きはどこかスタイリッシュさすら感じさせてくれる。 --それに加えて本作では昼夜の経過、子供時代と大人時代の切り替えといった時間経過という要素も取り入れられており、立体空間に時間の概念を加えることによって、三次元的どころか一気に四次元的にまで世界を楽しめるようにしたのである。 -プレイヤーの感覚を意識した演出はボス戦にも当てはまる。~ どのボス戦も絶対にダレないように「ボス部屋に入った瞬間から楽しませる」ことを主眼に据え、起承転結の「起」と「承」に当たる部分をとにかく丁寧に演出している。 --例えば最初のボスであるゴーマ戦では、一見何も無い部屋と勘違いしたプレイヤーがふと視点を変えた瞬間に驚きを与えてくれる。 --とあるボスは、同じようにプレイヤーが痺れを切らして引き返そうとすると逃げ場をなくした上で登場し、しかも開幕早々絵の中に逃げていく。プレイヤーは絵の中から向かってくるボスを待ち構えようとするが、何とボスは絵から出る瞬間に絵の中で引き返してしまう事もある。 --さらに「結」すなわち幕引きの演出も怠らない。崩れおちる、破裂するといった比較的メジャーなものから、ガノンドロフによって「役立たず」と一蹴され処刑されるもの、そして思わず脱力してしまうコメディ調の幕引きを迎えるもの……、本作に登場するボスは全て違った、かつ劇的な最期を遂げる。 ---後はプレイヤー自身の手で、ボスの弱点を見抜いて見事な「転」を作ってやるようにすることで、最後までダレずに楽しめるボス戦の出来上がり──という寸法である。 -ザコキャラも2D時代の動きやデザインをうまく3D化に取り込めている。正攻法だと苦戦しがちな敵も「一部のアイテムを使えばあっさり倒せる」ようにきっちり設定されており、爽快感とのバランスが取れている。 --特にリーデットやギブド、デドハンドといったアンデッド系のモンスターについては、その不気味さや攻撃方法からトラウマになる人も結構いた。なまじポリゴンが未成熟だったのもあり、後発作より怖いという声も。 --あるイベントを経た後、暫くの間ゲーム開始地点が「7年後の時の神殿」となるのだが、そこからハイラル平原へ行くまでのエリアにはリーデッドがうようよしており、なかなかギョッとする演出になっている。 ~ ''質の高い音楽'' -BGMで楽器の音色がフィーチャーされた作品でもあり、その音楽はとても評価が高い。作曲はお馴染み近藤浩治氏が担当。 --サントラは未だに万を超えるプレミアが付いている事からも、その好評ぶりが窺える。 -フィールドBGMは、なんと''プレイヤーの操作・状況などに合わせて楽曲が少しずつ変化する''という類を見なかったものである。 --のんびりしていると曲が穏やかになり、敵と相対するとBGMが緊張感の高いものになるなど、プレイヤーの気持ちを読み取ったかのように自然変化し、音楽自体の完成度も高いと、斬新かつ良質なもの。~ 音楽演出に砕心するメーカーは少なくないが、任天堂、特に近藤氏はBGMの作曲だけでなく、ゲーム性やゲーム展開に融和したインタラクティヴ性からもアプローチを掛けており、本作はそれがいち早く結実したものともいえるだろう。([[参考>http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070308/kondo.htm]]) --後述の3DS版でも、近藤氏はこの仕様の再現度を気にしていたと言う。 -オカリナで吹く事になる専用曲も、いずれも人気が高い。 --プレイヤー自身が作曲することになる「カカシの歌」を除き全12種類の曲が存在しているが、このうち10種類以上の曲が本作以降のシリーズ作品で再登場、或いはリメイクされていると説明すれば、その人気ぶりがよく分かるだろう。 -その他の通常BGMも名曲揃い。喧騒、ほのぼの、勇壮、不気味、不可思議、荘厳、邪悪、ボス戦といった場面場面での雰囲気にこれ以上なくマッチしている。 --音楽面でも革新的ながらもおなじみの「宝箱を開けた時の曲」や『[[神トラ>ゼルダの伝説 神々のトライフォース]]』の楽曲の一部もアレンジされて使われており、本作初登場の曲と合わせて以後のシリーズでも定番となっていく。 ---- **賛否両論点 -謎解きや攻略法に一捻りが必要。まだインターネットが普及していない時代のゲームとしては絶妙な按配ではあるものの、問題も無い訳ではなかった。 --例えば「ある条件を満たすと出現する、特定の馬に乗ってレースに勝つ」「特定の人物の目の前でオカリナを使い、寄り道としか思えない場所で習得可能な楽曲を演奏する」等。 ---これらの謎解きは他作品と比較するとヒントに乏しいが、その分自力で正解に辿り着いた際の爽快感も一入。 --しかし一捻りが必要である点とヒントの少なさ故に「得られた情報を曲解してしまい、岩の前で歌を吹き続けた」等といった、正解を知っていれば「何をどうすればそんな解法を導き出してしまうのか」と首を傾げてしまうような行動に走ってしまうプレイヤーが続出。ある程度情報が行き渡った現在でも「謎解きが難しすぎて挫折した」と洩らすプレイヤーが見られる程である。 ---中には「剣を持たずに迷いの森に突入しウルフォスを倒してしまった」という、ある意味強者と呼べなくもないプレイングを行ってしまう者まで…。 ---怪しい物があったらナビィが飛んで行ったり、NPCとの会話でヒントを聞けたり、振動パックがあればもだえ石というアイテムが反応してくれたりと配慮はされているのだが、当然完全ノーヒントの物もある。 --悩みに悩んで友達に電話したり、学校で話題にしたり…等々、当時攻略法の話題で盛り上がった記憶をお持ちのプレイヤーも多いのではなかろうか。 ---その話題性は、当時の人気アイドルが自身の冠番組で「相方が夜中に、水の神殿の中ボスと戦う所でどうしたら良いんだって(電話を)かけてくる」等とエピソードを披露する程であった。 ---但し後のシリーズ作品では、本作で「そもそも何をすればいいか分からない」プレイヤーが出てしまった事を重く見たのか、やや過剰なくらいにヒントが与えられるようになっている。 -ボスの攻略法も一癖も二癖もある。基本的にそのダンジョンで謎解きに使ったアイテムをボス戦でも使えば良いのだが、考え無しに使っても有効打を与えられないという点がミソ。 --例としてはハンマーを入手するダンジョンのボス相手に行う「もぐら叩き」。まさかの攻撃方法にゼルダらしさが溢れているが、ゼルダらしさになじみの薄い層を全力で置いてけぼりにしている感は否めない。 --大ボス戦は基本的に「そこで手に入れたアイテムでボスを怯ませる→剣で切りつける((なお、有効ダメージは剣の方であり怯ませる攻撃はノーダメージ。))」であり、ゼルダシリーズでは割とよくある手段だが、実はこの「怯み中に切りつける」説明が本編で存在しない。(ナビィに聞くと「怯ませる方法」しか教えてくれない)~ この関係でシリーズ初見のプレイヤーの場合、例えば最初のボスであるゴーマ戦で「目を狙え」というのでひたすらパチンコで目を撃ち続けて「効いている((本当はノーダメージだがあてる度に痛がる描写がある))のになかなか倒れないな?」とここで詰んでしまった人も多いのではないだろうか? ---他にも、フックショットで本体を引きずり出す、口を開けた所に爆弾を放り込んで食べさせる…等々。これらはまだ分かりやすい方ではある。~ なお、中ボス以下の連中は無効な攻撃もあるが、基本的にいろいろな武器でダメージが入る。 --『スーパーマリオ64』における「ボスの尻尾を掴んでジャイアントスイング」の様に、仕様も内容も踏まえた大胆な演出と評価できる。以前の作品であれば敵や仕掛けの配置によって「物陰から攻撃して~」といった演出の工夫を行っていたのを、本作ではプレイヤーのアクションに任せてしまっている。 ---尤もこれが「戦闘時のアクション要素の更なる難化」という形で、挫折するプレイヤーの増加にも繋がってしまっているのだが。 //演出の評価点かこれ?と思ったのと、さすがにネタバレが過ぎると感じた。賛否両論点を作成し問題点の記述と統合、一部記述を変更 //当人です。評価か賛否か迷ってました。ありがとうございました。 ---- **問題点 -攻略をする上でぶつかる謎1つに対して解答が基本的に1つだけというパターンが多く、人にもよるが自由度が低い、自主性に乏しいと感じられ易い。 --冒険中に最も話しかけることになるであろうナビィが最低限の事しか喋らないため詰まった際に役に立たないことが多い。また、本作のリンクは基本的に喋らず意思表示も希薄なのでキャラを掴みにくい。 --後作では程度の差はあるものの、いわゆる「寄り道プレイ」の幅を増やしたり2つ以上の解法を用意したり、NPCとの会話を多様化・充実させることで本作の数少ない不満点を解消している。 -回復アイテムの格差 --シリーズで唯一、ライフがゼロになったときに復活できるアイテム「妖精」の回復量が全回復になっている。((他の作品では多くてもハート10個分程度。)) ---妖精は7箇所存在する「妖精の泉」でいくらでも捕まえられるし、ちょっとした小技を知ってさえいればそれこそハイラル各地で無料補給が可能。ちなみに同じくライフ全回復の「赤いクスリ」はビン1本分につき30ルピー。これでは完全に赤いクスリの存在意義が無い。 ---回復量は少ないが2回使用可能であり、且つこちらも小ネタを知っていれば無料補給可能な「ロンロン牛乳」、30ルピーで即座に魔力を全回復できる「緑のクスリ」、イベントをこなす必要がある上に100ルピーと高額だが、ライフと魔力の両方を全回復できる「青いクスリ」と、他の回復アイテムはそれぞれ妖精の存在に食われない程度の存在意義を有しているのだが。 -一部のサブイベント、ミニゲームについて --しあわせのお面屋のイベントでは、渡されたお面を欲しがっている人を探してお面を売っていくのだが、最後にお面を買ってくれる「マラソンマン」は昼間の内はハイラル平原を猛スピードで走り回っており、非常に見つけ辛い。 ---夜になるとマラソンマンはその場で座り込み休憩する。この休憩時が彼にお面を売り込む唯一にして最大のチャンスである。但し「その場で休憩」というのが曲者であり、平原の何処で休憩するのかは常に不定。下手すれば休憩しているマラソンマンを探し回った末、コッコの鳴き声と共に朝日が差し猛ダッシュ再開…なんて事態にもなりかねない。 ---おまけにこのマラソンマン、なんと子供時代篇の終わり間際まで進めないと出現しない。そのまま大人時代まで進めるとある程度攻略するまで子供時代には戻れず、イベント進行を一時中断せざるを得なくなってしまう。しかも大人時代では各地にワープするメロディが手に入り、結果ハイラル平原を徒歩で横断する機会が激減するため、余計に見つけ辛くなってしまう。 --子供時代のカカリコ村墓地では、夜になると墓守ダンペイにルピーを払って地面を掘っていもらい、出てきたアイテムを入手できるというミニゲーム「墓守ダンペイのドキドキ穴掘りツアー」が行われている。ランダムでハートのかけらを入手できるのだが、これが中々の苦行。 ---同じ箇所を連続で掘っても必ず外れになるので、ダンペイに移動してもらって別の場所を掘る必要がある。しかしこの際のダンペイの移動速度がかなり遅い上、時々立ち止まるため非常に時間がかかる。 ---追い討ちとばかりに、ハートのかけらが出るかどうかは完全にランダム。長時間かけて、所持金を全部使い果たしても全く出て来ない…なんて事態も十分ありえる。 --どちらもゲームクリアには必須ではない為、完全無視も可能。色々と楽しい裏設定を知れる「まことの仮面」や、ハートのかけら全入手を諦める事にはなるが。 -密猟者のノコギリのバグ --このアイテムはわらしべイベントで入手するノコギリで武器・道具としては使用できないのだが、このアイテム所有中は密猟が行われていた森のモンスターが別のアイテムをくれるイベントで攻撃してくる。~ ここまでは仕様((小学館から出ていた公式ガイドブックにも「密猟者のノコギリが嫌い」と明記))なのだが、なぜか手放した後もこの所有フラグが消えずにアイテムをくれないままになってしまう…というバグ。ただこのアイテムは「デグの実の所持数を増やす」とクリア無関係どころか、これで不便を強いることもほぼないので実害も小さい。 -ゲーム再開時の仕様 --前作『夢をみる島』ではフィールドでセーブした場合は最後に出入りした場所から再開できたが、本作ではフィールドでセーブした場合は各時代のスタート地点((子供時代なら自宅、大人時代なら時の神殿))まで戻されてしまう仕様に戻ってしまった(ダンジョンはそこの入り口から再開)。 ---子供時代後半になると迷いの森からショートカットが使え、大人時代になると各地にワープするメロディが手に入るため、そこまで不便ではないのだが、子供時代中盤までは再開時に毎回ハイラル平原を横断する破目になる。 ---- **総評 後世に模倣される''「革新性」''、諸々の''「完成度」''、そして何よりも''「面白さ」''。~ 3Dアクションゲームの黎明期における作品でありながら、この3点を極めて高いレベルで兼ね備えた本作。ゲーム史上にその名を輝かせるのも納得の、まさに名の通り「伝説」と呼ぶべきゲームである。 その反面、後続のシリーズ作品のみならず、他社の同ジャンル作品までもが否応なしに本作と比較されることになってしまうなど、『ゼルダ』という任天堂が誇るブランドのみならず、3Dアクションというジャンルそのものにある意味「楔」を打ち込んでしまった側面も否定できない。~ しかしそれもまた、本作がいかに優れた存在であるかの証明と言えるかもしれない。 幸いなことに、近年のゲームハードでもVC版や後述のリメイク版が気軽にプレイできる。未プレイの方はぜひ触れてみて欲しい。~ 全く古さを感じさせないその出来栄えは、きっと''「3Dゲームは、20年以上も前にここまで完成していたのか!」''という驚きをもたらしてくれるだろう。 ---- **移植 -GCに『ゼルダの伝説 時のオカリナGC』というタイトルで移植されている。 --幻に終わった64DD版「裏ゼルダ」を収録した移植版であり、文字通りに本作ファン垂涎の一品だった…のだが、これがGC専用ソフト『[[ゼルダの伝説 風のタクト]]』の''初回購入特典''限定となってしまったのが仇となった。そのあまりの人気から初回購入特典&b(){だけ}を求めるユーザーが続出、『風のタクト』は大幅な過剰出荷となり、結果的にとんでもない値崩れを起こしてしまった。 --「裏ゼルダ」は基本的な内容は一緒でダンジョンの構造も同じだが、ダンジョン内の謎解き要素や敵の配置が変化しており難易度が大きく上がっている。例えば「そのダンジョンの時点ではまだ出てこないはずの敵が出現」「壁から前半身が飛び出した牛がスイッチになっている」などカオスな変更がされている他、表ではほとんど出番がなかったディンの炎の活用場面が大幅に増加している。 --強いて挙げるならば、ディスクメディア故に読み込みが入るようになってしまったのが人によっては気になる点ではあるか。 --ゼルダコレクションにもこの移植版が収録されている。が、収録は表のみで、残念ながらセーブデータに互換性はない。 -2011年にはニンテンドー3DSでリメイク版が発売された。詳細は[[下記参照>ゼルダの伝説 時のオカリナ#id_1c3c4560]]。 ---- **余談 -上述のように本作がもたらした「Z注目システム」はゲーム業界に大きな影響を及ぼした訳だが、このシステムは「忍者アクション劇」と「殺陣」から着想を得たと言う([[出典:社長が訊く>https://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/aqej/vol2/index3.html]])。 --どのような経緯があったかは長くなるので割愛するが、出典のインタビューをご覧になれば「忍者アクション劇」や「殺陣」が基になっていることに納得頂けると思う。 --世界的にも大きな影響を及ぼした革新的なシステムが「日本の伝統芸能」から産まれた事を考えると非常に興味深い。 -本作のダンジョンは評価点の項にもあるように3Dゲーム黎明期としては高い完成度を誇る。これらのダンジョンを設計したのは、現在もゼルダシリーズに関わりのある青沼英二氏である。 --青沼氏は「からくり人形」を作るのが得意で、大学でもからくり人形を専攻していた程。歯車とクランクだけで人間らしい動きを作るというのは謎解き的な要素が多く、からくり人形の制作経験がダンジョン設計の際に役立ったとのこと([[出典:DQの元ディレクター藤澤氏との対談>https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/zelda/3]])。 --こちらも間接的にとは言え「日本の伝統芸能」が影響している事を考えるとやはり興味深い話である。 -ロットにより異なる部分が存在する。基本的には、一部表現のグラフィックの変更という平凡な物なのだが…… --紋章のデザイン(スイッチ、ブロック、ミラーシールド等((どちらも「ゲルド族の紋章」が入っているのは同じだが、この紋章自体が「旧:三日月の切れ目の間に星が1つ→新:菱形に眼鏡を重ねたorコブラの背中」と変えられているため。)))、炎の神殿のBGM、ガノンドロフの吐血の色(赤→緑)などが変更されている。GC版をプレイした際「おや?」と思った人も少なくないだろうが、これは64版の時点でのROM修正が原因なのである。 -なぜかROM内に『[[スターフォックス64]]』のアーウィンのデータが埋もれている。 --「スターフォックスのデータを流用して3Dを表現しているからではないか」「BGMにおいて同一の音源を使用しているからではないか」などと推測されているが、真偽は不明。 --或いは、何かのイベントに使う予定があったのかもしれない。「ゼルダの伝説でアーウィン?」と思われるかもしれないが、このシリーズには『[[リンクの冒険]]』のロトの墓や、『[[夢をみる島>ゼルダの伝説 夢をみる島]]』での任天堂オールスターっぷりなどといった妙な前科があるので、絶対にありえないとは言い切れないだろう((実際本作でも、よくよく観察しないとまず分からない場所にマリオやヨッシーの絵が飾られていたりする。))。 ---通常プレイでは絶対に出現しないため、その姿を拝みたいなら改造プレイ動画を見るしかない。興味があったら動画サイトで「ゼルダの伝説 スターフォックス」などと検索してみるといいだろう。 ---ちなみになぜか''当たり判定があり''、''レーザーで攻撃してくる''。ただし、攻撃力は最弱のハート4分の1で妖精のパチンコ2発で撃墜できる紙装甲。 --3DS版のインタビューにおいて、とあるダンジョンのボス「ヴァルバジア」がスターフォックスのプログラムの流用であることが明かされたため、そういった事情が影響していると思われる。詳細は[[こちら>http://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/aqej/vol3/index3.html#list]]。 //--スターフォックス関連の小ネタで言うならば、わらしべイベントのアイテムの一部が、スターフォックスメンバーと奇妙に一致していることも挙げられる。 //---具体的には「キータンのお面→キツネ→フォックス」、「コジロウ→青いニワトリ→青い鳥→ファルコ」、「メダマガエル→カエル→スリッピー」、「ウサギずきん→ウサギ→ペッピー」である。とはいえモデルになった動物が一致しているだけであり、デザイン的には似ても似つかない。 //直接本作と関係あるかどうか疑わしい内容のため、一旦CO -最初のダンジョンでよく表されるのが「'')谷(の中に(÷)がいる''」であるが、「)谷(」がデクの木さま、「(÷)」がゴーマ。日本のインターネット黎明期だったが、自然と受け入れられている。((ちなみにアスキーアート板が2ちゃんねるに作られたのが1999年。日本初の顔文字が確認されたのが1986年。)) -2011年の設定整理時にシリーズ全体の時系列でも本作は重要なターニングポイントと位置づけられ、本作のラスボスとの決戦の結果から3つほどの時間軸に分岐するという設定が発表された。 --「リンクがガノンドロフに敗北する」時間軸は今までの『[[神トラ>ゼルダの伝説 神々のトライフォース]]』『[[初代>ゼルダの伝説]]』などに、「ガノンに勝利した」時間軸が本作以降に発売されたものとなっている。~ そして「本作のリンクが子供時代に帰った後の7年後の世界」は『[[風タク>ゼルダの伝説 風のタクト]]』『[[夢幻>ゼルダの伝説 夢幻の砂時計]]』『[[汽笛>ゼルダの伝説 大地の汽笛]]』に、「本作のリンクが子供時代に戻り、事前にガノンの侵略を防いだ」時間軸は『[[ムジュラ>ゼルダの伝説 ムジュラの仮面]]』『[[トワプリ>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』へと繋がっている。 ---なお本作より後に発売された『[[スカイウォードソード>ゼルダの伝説 スカイウォードソード]]』『[[ふしぎのぼうし>ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし]]』『[[4つの剣>ゼルダの伝説 神々のトライフォース#id_781d3e80]]』などは本作より過去の物語である。 -後の「ゼルダの伝説大全 ハイラル・ヒストリア」の公式設定(後付け設定だが)によると、本作から100年ほど後の時代である『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』に登場した骸骨の剣士(古の勇者)は、本作のリンクの亡霊であることが判明し、多くのファンを驚かせた。 --ちなみに亡霊になってしまった理由は「子供時代に戻って以降、勇者としての名を残せなかったのを無念に感じていた」という何とも遣る瀬ない理由。なお『トワプリ』のリンクは本作のリンクの子孫という設定もある。 -漫画化もされており、小学館で連載された姫川明氏の漫画版はファンの支持を集めたことで、以降の『ゼルダ』シリーズも氏により漫画化されるようになっていった。 --姫川氏にとっても本作には思い入れが深いようで、『ゼルダ』シリーズの中で一番好きなゲームは本作であると[[公言している>https://twitter.com/AkiraHimekawa/status/1065818817232695297]]。 -本作のCMは芸能人達が実際にゲームをプレイしている姿を映したもので、BOSE、ドリアン助川、ユースケ・サンタマリア、前田日明、藤原竜也、稲森いずみ、深田恭子と計7種類ものバリエーションで宣伝がされていた。 --またこのCMで流れるBGMはサリアの歌をオーケストラ風にアレンジした物で非常にカッコ良く、人気が高い。後の『[[スマブラX>大乱闘スマッシュブラザーズX]]』ではこのBGMが時のオカリナメドレーに使われている。 -シリーズ通してお馴染みの大妖精も登場しリンクに協力するが、本作ではまるでボディコンギャルを意識した%%''超ケバい%%ド派手な姿と笑い声''がプレイヤーにトラウマを植え付けた。 --数ある本作を題材とした4コマ漫画本の殆どでその姿がネタにされたほど。初登場時は顔がどアップで演出されるというシーンまである。 --3DS版ではグラフィックは多少%%マシになった%%可愛くなった。…でもやっぱり%%ケバさ%%派手さは相変わらずという意見が多いが。 -タイトルロゴ --本作を皮切りに以後、タイトルロゴが海外版の「THE LEGEND OF ZELDA」表記に一新された。((海外版では『神々のトライフォース』から使われ続けている。)) --それまでは旧来のタイトルロゴはゴシック体調の「ゼルダの伝説」だったが、本作のヒットもあり、以後最新作にも使われ続けていた。 --Wii U及びNintendo Switchにて発売した『[[ブレス オブ ザ ワイルド>ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド]]』では旧ロゴの復帰が行われた。 ~ ''その功罪'' -概要でも述べた通り、本作はクリエイター・ユーザー双方からの評価が極めて高い。特に当時他社のゲームでも平気で噛み付いたワープの飯野賢治氏は「正座をしてプレイした」と感服と尊敬を込めたコラムを「ゲーム批評」に載せた程。 --日本のゲームメディア最大手のファミ通誌上クロスレビューで、史上初となる40点を獲得。 ---勿論本作はそれだけの評価を受けて然るべき作品ではあるのだが…この40点以降、ファミ通は事ある毎に40点やそれに近い高得点を乱発するようになり、その信頼度を落としていく事になる。 --『IGN』の識者によるゲームランクでも上位にランクイン、メタスコアは99点((100点が出たことはないので事実上最高点である))と海外での人気も極めて高い。 ---さらに他のゲームランキングでも、ノミネート対象に入ってさえいれば今尚かなりの確率で首位をかっさらい、或いは上位に食い込んでくる。 -総評でも述べたように、この作品のあまりの革新性と面白さ、そして本作に寄せられた評価の高さは、以後の3Dゼルダにおいて「どうしても本作とその出来を比較されてしまう」という一種の呪縛となってしまった節もある。 --その完成度ゆえ、本作はいわゆる「信者」がシリーズ中でも極めて多い。後発のシリーズ作品はおろか、シリーズ以外の3Dアクション作品ですら本作とその作風や完成度を比較されてしまうという、ゲーム業界全体の発展という観点からすれば頭を抱えてしまうような事態が今尚多発しているという。 --いい意味でも悪い意味でも、本作の及ぼした影響がいかに多大だったかが伺える。 --この件に関しては開発陣自身も長年にわたって大いに悩んでいたらしく、のちに『[[ブレス オブ ザ ワイルド>ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド]]』を開発するにあたって「『時のオカリナ』の完成度や面白さを超える」ということを念頭に開発にあたった、という話も出たほどであった。 ---なお、当の『BotW』のほうも非常に評価が高いゲームに仕上がっており、「『時オカ』を超えた」という意見も多数出ていることから、この呪縛に関しては一応の決着はついたと言えるのかもしれない。 -このゲームは発売延期を何度か繰り返した末に発売され、任天堂の有名クリエイター宮本茂氏のいわゆる「ちゃぶ台返し」が作用したことでも有名である。 --しかし、それゆえに「延期しない『ゼルダ』作品は完成度が低い」というかなりひねくれた見方をユーザーに植えつけてしまった面もある。 ---- ---- *ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D 【ぜるだのでんせつ ときのおかりな すりーでぃー】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|CENTER:&amazon(B004K6L0EK,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51cZH2AhSVL.jpg,width=160)&amazon(B01KZ4Y5IS,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71gRwdBPdHL.jpg,width=160)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |メディア|3DS用ゲームカード / ダウンロード販売|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|グレッゾ|~| |発売日|パッケージ版:2011年6月16日&br;ダウンロード版:2012年11月1日|~| |定価|4,800円(税5%込)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|3個|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |廉価版|ハッピープライスセレクション&br;2016年9月15日/2,916円(税8%込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|全面的にリメイク&裏ゼルダも収録|~| ---- **概要(3D) グラフィックをはじめ、全面的にリメイクした作品。 開発はグレッゾが担当しており、開発プロデューサーは元スクウェア・エニックス所属で[[聖剣伝説シリーズ]]などを手がけた石井浩一氏。 ---- **変更点・追加点 -グラフィックの全面描き直し --3DS向けにグラフィックやテクスチャなどを一から作り直しており、3DSの特徴である立体視にも対応している他、64版ではハードの性能上表現できなかった家の装飾や風景のような細部も丹念に描かれている。~ また、全体的に淡い色合いと少なめの色使いがされていた64版と比べ色が濃くなり、64版で単色だったオブジェクトの一部にも色が入って鮮やかになっている。 ---特にハイラル城下町や家の中など、原作では2Dの背景を動かしていたのだが、これらも全てポリゴンで描き直されている。カメラ操作は当時のものをキッチリ再現している為、これによる違和感は少ないだろう。 -ジャイロセンサーによる操作の追加 --主観カメラ・矢を撃つ時など、リンクの視点になる際に、ジャイロセンサーを利用した操作方法を選択できる。本体を動かすことで、ゲーム内の視点をより直感的に動かすことが可能になった。 --スライドパッドで大まかに向きを調整し、ジャイロセンサーで細かく狙いを定める事ができる。特にパチンコや矢を撃つ際には重宝し、感度もよくコツさえつかめば本当に自分で狙っているような臨場感も味わえる。 -2画面化 --64版における通常画面・コレクト画面が、それぞれ3DSの上・下画面に同時に表示されるようになった。これにより、コレクト画面の確認が64版と比べて著しくスムーズに行えるようになった。 -アイテムの装備可能個所がX・Yボタン+タッチ2ヵ所+オカリナの計5つに増加 --これまでCボタン3つが充てられていたアイテムボタンは、X・Yボタンと、さらに下画面に表示されるI・IIのタッチボタンの計4つになった。タッチスクリーンによって4つ、X・Yボタンによってその内2つを使うことが出来る。また、オカリナ演奏ボタンは、タッチスクリーン左下に常備されることになった。 ---このため本作はタッチ操作が必須であり、ボタンオンリーではプレイ不可能。3DSのボタン数の関係上仕方ない点ではある ((本作発売当時は拡張スライドパッド(ZL・ZRボタン)が未発売である。))が、案の定賛否両論である。 ---タッチスクリーンのオカリナとI・IIボタンは画面端に配置されており「指が届く」「タッチスクリーンが指紋で汚れても気にしない」といった条件さえクリアできるならばボタンと同じような感覚でも扱える。ちなみにX・Yボタンのアイテムもタッチスクリーンで同様に使用可能。 ---アイテムリストも並べ替え可能になった。よく使うアイテムを端に寄せるなどして、アイテムの交換をしやすくできる。 -ブーツの仕様変更 --ブーツアイテムが装備アイテムではなくアイテムボタンに充てられるようになった。 ---『[[風のタクト>ゼルダの伝説 風のタクト]]』や『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』と同様の仕様である。 -謎解きのヒント映像を見ることが可能になった --ヒント映像を見ることができる石像「シーカーストーン」がリンクの家の前と時の神殿に設置され、ダンジョンやボス戦のヒント映像を見られるようになった。視聴によるペナルティはないが、もちろん一度も見ずにクリア可能。ゲームオーバー時も同様に映像を見ることができる。 ---いわゆる初心者救済措置だが、あくまでヒントであって答えそのものではない。ちなみにこれは『[[スカイウォードソード>ゼルダの伝説 スカイウォードソード]]』でも採用されている。 -ボスチャレンジモードの追加 --コキリの森にあるリンクの家のベッドから、ミニゲームとして一度倒したボスとの再戦が可能になるボスチャレンジモードが追加された。 --装備品はボスによって固定されており、撃破までに掛かった時間の記録も行われる。 --このモードにおけるライフの数値は基本的に3~5個と少ないが、ほとんどのボス戦で回復アイテムが持ち物に支給されるため、余裕を持って戦いに臨める。 --特定の条件を満たすと全てのボスと連続して戦う所謂「ボスラッシュ」に相当する「れんぞく」が解放される。 --また、裏における同モードでは裏特有の被ダメージ2倍が適用される他、回復アイテムの支給も無くなっている事から、表から格段に難易度が上昇した戦いに挑む事が出来る。 -もだえ石が「ひびき石」に変更 --3DSには振動機能がないため、断続音で知らせる『ひびき石』というアイテムに変わった。隠し穴に近づけば近づくほど、音の間隔が狭くなる。 -裏ゼルダを収録 --なんと本編クリア後に、これまで『風のタクト』限定特典でしか存在しなかったGC版裏ゼルダが解禁される。 --「シーカーストーンが存在しない」他、GC版にはない要素として「世界全体が左右反転する」「敵から受けるダメージが2倍になる」など、まさしく裏面と呼ぶに相応しい高難易度となっている。 -一部のバグを修正 --有名なバグであった密猟者のノコギリのバグなどが修正され、取り返しがつかなくなる要素はなくなった。しかしバグワザは相当数が意図的に残されている(あきビン増殖など)。 -その他 --リンクがL注目中に剣を回転させて敵を挑発するしぐさが加わっている。これは『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』からの逆輸入。 --一部ダンジョンの仕様が変化。例えば水の神殿では、スイッチと水位の対応をわかりやすくするため色がつけられたり、暗いダンジョンは照度が上がり視界がよくなった点などが挙げられる。 ---水の神殿はそれによって難易度が低下した。そのことを惜しむ声もあるものの、構造や謎解きの内容を変えることなく難易度調整を成し遂げた点は評価して然るべきだろう。 --巨人のナイフ、ダイゴロン刀装備時の鞘のデザインが変更されている。 --あきビンの虫が穴に入っている最中に捕まえられなくなり、使い回しができなくなった。 --弓の番え方が、手の甲側で構えていた原作から、手のひら側で番えるように変更されている。西洋の弓術は少し右に傾けて手の甲側に矢を番えるので64版が正しい。 ---ただし、馬を乗りながら弓を射る場合は手のひら側で番えないと矢の飛び方が安定しない為、3DS版の番え方が間違いというわけでもない。 --1時間毎にナビィが「そろそろ休憩しない?」と言うようになった。 ---- **賛否両論 //以下は賛否点であっても問題点とまでは言えないので分離。 -前述したようにアイテム使用欄4つのうち2つは下画面へのタッチ操作で使用する必要があるため、ボタンオンリーでの操作が困難な点については賛否両論。 -64版ではZ(L)注目しない状態で盾を構えて剣を振ると突き攻撃ができるのだが、64版ではこの突き攻撃に「直前の武器の攻撃力や性質が適用される」という仕様((通称盾(TAS)突き))があったのだが、3DS版では修正され、装備中の武器の攻撃力がそのまま適用されるようになった。 --64番でこの突き攻撃の仕様を活用した場合、安全に黄金のスタルチュラを狩ったり、一部のボスを瞬殺したり、或いはハンマーの性質を保存して仕掛けを簡単に解いたりといった攻略ができる。 --この修正に関しては「強過ぎるので修正されても仕方ない」という層と「修正されてテンポがやや悪くなった」という層がいる。 -裏ゼルダの左右反転 --GC版の裏モードでは世界全体の左右反転などはなく64版同様の世界だったのだが、3DS版の裏モードはハイラル全土の地形、リンク含む全キャラクターの利き腕、ムービーシーンの構図などまで左右反転するため、表版に慣れたプレイヤーほど世界全体に違和感を覚えるようになってしまった。 ---『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』のGC版とWii版でも同様の現象があったが、あちらはプレイするハードや操作体系ごと違うためさほど問題にはならなかった。 -裏ゼルダでは謎解きのヒントが見られない --表ゼルダでは謎解きのヒントが見られるシーカーストーンが設置されているのだが、経験者向けモードである裏ゼルダでは存在せず、基本的に全て自力で謎を解かなければならない。 ---ボス戦はともかく、ダンジョンの仕掛けに関してはシーカーストーンが存在しない関係で完全に詰んでしまった場合はどうしようもない。 --もとより裏ゼルダ自体が熟練プレイヤー向けなので難化すること自体は当然だが、初心者や中級者向けにもなんらかの形で救済措置が欲しかったところ。 //結局は攻略本とネットの情報頼みになってしまう。~裏ゼルダは経験者向けとはいえ、万が一積んでしまった場合のヒント閲覧機能も続投して欲しかった。 -裏ゼルダのボス戦について --この点はGC版の頃から言われている点ではあるのだが、裏ゼルダにおけるボスの攻撃自体は表と同様なので、裏での追加攻撃が存在せず表の攻略法が丸々通用してしまう。 --その一方で被ダメージ自体は表から2倍になっているので、裏独自の戦術自体は存在している点は幸い。 -裏ゼルダのエンディングについて --これもGC版の頃から言われている点なのだが、裏ゼルダにおけるエンディングには表から新規に追加されたパートが存在しないため、クリア時の達成感が薄い。 --3DS版では世界全体で左右反転が行われているが、これはエンディング以外にも言えることである。 **問題点 -ボスチャレンジモードについて --ボスチャレンジモードにおけるボス戦では、基本的にボスの部屋に入った状態からのスタートとなる。 ---これが何を意味するかというと、ボスの出現から戦闘に至るまでの流れも本編同様に自力で行わなければならないという事である。即座に戦闘を楽しみたいプレイヤーからすれば、地味に煩わしい仕様である。 --各ボスの出現・撃破デモはいちいち本編と同様に再生される。更に各種デモシーンはスキップできない。 ---この問題は特に「森の神殿」「魂の神殿」のボスで顕著となる。スキップ不能デモの際に会話シーンが挟まれる事もあってか、タイム記録を狙ってボスチャレンジを繰り返しプレイしている場合はダルさを感じやすい。 --尚、ラストバトルで戦う事になる2体のボスはボスチャレンジモードでは出現しない。これについて未登場を惜しむ声が見られるものの、この2体が登場した場合は全てのボスと戦う「れんぞく」の難易度が更に上昇していたであろう事は容易に想像できる。 //ネタバレ配慮的な感じで文章に手を加えてみた ---- **総評(3D) 64版から無茶な追加要素はなく、BGMや効果音・操作性などといった当時の雰囲気はほぼそのまま再現されている。~ 新要素の追加や携帯機ということもあり、オリジナルよりも快適にプレイできるようになった。~ 裏ゼルダ収録により、ボリュームも単純に64版の2倍に増加しているなど、あらゆる面で非の打ち所のないリメイク作。 海外のレビューサイトでも高評価を連発しており、リメイク版として十分な品質を有していることはほぼ間違いない。 本作は据置機から携帯機への移植にも関わらず、内容が劣化するようなこともなく、表示関連は逆に著しく強化されている((解像度が上がった他、フレーム数が向上し立体視にも対応するため描画量は数倍あることになる))。~ これは15年のゲームハードの進化によるものであり、それを感じることができるリメイクでもある。
このページでは、ニンテンドウ64用ソフト『ゼルダの伝説 時のオカリナ』と、そのリメイク版のニンテンドー3DS用ソフト『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』を紹介しています。 ---- #contents ---- *ゼルダの伝説 時のオカリナ 【ぜるだのでんせつ ときのおかりな】 |ジャンル|3DアクションRPG((バーチャルコンソール版からはジャンルが「アクションアドベンチャー」になっている。))|CENTER:&amazon(B000066BPL,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51CXG48YTGL.jpg,height=160)&image(tokiokaOP.jpg,width=160)| |対応機種|ニンテンドウ64|~| |発売・開発元|任天堂|~| |発売日|1998年11月21日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|3個(バッテリーバックアップ)|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)&br;※バーチャルコンソール版より付加|~| |周辺機器|振動パック対応|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2007年2月27日/1,200Wiiポイント&br;【WiiU】2015年12月22日/1,234円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ゼルダシリーズ初3Dで既に完成の域&br()雰囲気・音楽・キャラも高水準&br()王道と革新の絶妙な調合&br()やり応えのある難易度|~| |>|>|CENTER:''[[ゼルダの伝説シリーズ関連リンク>ゼルダの伝説シリーズ]]''| ---- **概要 任天堂が誇る謎解きアクションアドベンチャー『ゼルダの伝説』シリーズの一つで、シリーズ初の3D箱庭系作品。~ 革新的なゲームシステムや王道的ながらも独特なテイストを内包するファンタジー的世界観、ドラマチックな演出とゲーム展開で人気を博し、日本国内で145万本、グローバルワイドでは760万本の売上を記録した。 とにかくクリエイター・ユーザー双方からの評価が高く、同社の『[[スーパーマリオ64]]』などと同様、3Dゲーム史を語る上では欠かせないゲームの一つとなっている。 ---- **ストーリー >ハイラル王国には、緑深き森が広がっていた。その森にはデクの樹という大樹の精霊がおり、その樹によって森は守られてきた。~ この森には、コキリ族という種族が住んでいた。彼らはみな子供の姿をしており、それぞれが一匹の妖精をパートナーとして従えていた。 そんなコキリ族の中で、なぜか唯一、妖精を持たない少年リンクは、仲間に半人前であることをからかわれながらも平和な日々を過ごしていた。 > >ある日、リンクは悪夢にうなされる。 > 巨大な門の前に立つリンクの目の前を、一頭の馬が駆け抜けていく。その馬には少女が乗っていて、何かを訴えるようにこちらを見ている。~ その直後に表れた馬に跨った大男が、こちらを挑戦的に見下ろす……。~ その直後、リンクは夢から覚めた。~ しかし、その悪夢を見るのは一度だけではなく、悪夢を見る日が連日続いた。 > >そんなある日、リンクの元に「ナビィ」という妖精がやってくる。ナビィに導かれデクの樹のもとへ向かったリンクは、~ デクの樹に呪いがかけられていることを本人から知らされ、リンクの勇気を試すべく自分の中へ入りその呪いを解いてほしいと頼まれる。 > >デクの樹の中で魔物を退治した後、命尽きゆくデクの樹からハイラルに迫る危機を知らされたリンクは、~ デクの樹の遺言に従いハイラルの王家の姫君に会うべく、コキリ族が越えてはならないとされる森の外へと踏み出すことになる。 > >それが、自分自身の運命をも大きく変える冒険になるとも知らず……。 ---- **特徴 ''ゲーム概要'' -大まかには「3Dになったゼルダ」。プレイヤーは主人公リンクを操作し、3Dのハイラルを冒険してストーリーを進める。 --ストーリー展開は王道で、ボリューム・システム・音楽・インターフェース・グラフィックなどゲーム内容のどこをとっても総じてハイレベルな仕上がりとなっており、これらを上手く料理しきっている。 --『[[スーパーマリオ64]]』とともに''「箱庭3Dアクション」の根幹をほぼ完全に定義してしまったゲーム''ともされている。意欲的な提案を様々に行い、それらは現在に至るまで多くの3Dアクションゲームによって模倣されている。 -また、何気にシリーズで初めて声優陣によるキャラクターボイスが採用された作品でもある。 --しかし、掛け声や悲鳴程度しかない。 ''主要キャラクター'' #region(詳細) -リンク --主人公。おなじみの緑の服と金髪で左利き。今作では時を超え、初めて「大人」になる。 --リンク=美青年の図式が完成されたのは今作からだろう。 -ゼルダ --お馴染み姫。今作では王道すぎるストーリー展開の中心を担い、影に日向に物語を導いていく。 -ナビィ --デクの樹の命で、リンクをサポートするためにやってきた妖精。『[[ムジュラの仮面>ゼルダの伝説 ムジュラの仮面]]』のチャット、『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』のミドナなどの起源でもある初代相棒キャラ。青い。ヒントお伴キャラの中では一番癖がなく、おだやかな性格。 ---ただし初めてのナビゲートキャラ故か、テキストが若干硬めだったり、呼んでおいて「弱点なんてわからないよ」と言うなど問題がないわけではない(これは特定の敵の場合のみのメッセージ演出の一つ。基本的になんらかの情報はくれる)。 --ちなみにCVはデビュー直後の水橋かおり女史が務めているのだが、「時のオカリナ攻略ビデオ」なる公式商品のガイド役として、そのままナビィ役として出演している。 ---ゲーム中でナビィが日本語のボイスを発することは全くないが、当然ながらこのビデオ内ではナレーターとしてたくさん喋る。 -ガノンドロフ --『ゼルダ』シリーズにおける因縁の仇敵になる御人。今作で人間体として新登場した。 --屈強な見た目だが、「砂漠の民の王」という肩書きは伊達ではなく、剣術の他に魔法の力も使いこなしたり、オルガンを弾きこなす等の知的かつ芸術的な一面も併せ持つ。 --そして発売当時は「これまでもラスボスを務めたガノンの登場秘話」という点も本作のセールスポイントの一つだった。 //スマブラで誤解している人が多いが、オルガンも弾く高貴なガノンドロフは剣や魔法が好きなのでキックボクシングなんかやりません。 -シーク --リンクの行く先々で不思議なメロディーを授ける、謎の青年。((『スマブラDX』発売で公然化したが、同作のE3発表時点ではまだ公式に正体は明かしていなかった。)) -脇を彩る準ヒロイン達 --リンクと幼馴染の間からであるコキリ族の少女サリア、ロンロン牧場のかわいい女の子マロン、ゾーラ族の姫君ルトなど、ゼルダ姫を差し置いてやたらと人気が高い。特にサリアは「サリアの歌」と合わせて今なお人気である。 //---多種多様な準ヒロインが多いところがギャルゲ的だと思うのはたぶん気のせい。 ---余談ではあるが、サリア、ダルニア、ルトなどの一部の登場人物の名前は、ディスクシステム時代のシリーズ2作目「リンクの冒険」の地名や町の名前から採られている。 #endregion ~ ''ダンジョン''~ 子供時代は3つ、大人時代になってからは8つのダンジョン((厳密には大人時代にフラグを立てた後子供時代に戻って攻略する必要があるダンジョンがある))を攻略する。 このうち特に話題となる事が多いものを挙げる。 #region(詳細) -森の神殿 --森の奥深くに存在する廃墟の洋館。光村図書出版が発行する''高校用美術の教科書に掲載されたことがある''と説明すれば、どれ程の造形美を誇るか理解できるだろう。 --笑い声にも聴こえる不気味なBGMや、それまでのダンジョンと比べて謎解きの難易度が上がっている事などから、多くのプレイヤーに強いインパクトを与えた。 -水の神殿 --本作に登場する全ダンジョン中でも屈指の難易度を誇る。水位を上げ下げしながら進む難解な謎解きに、中ボスが非常に手強いなどの要素が加わり多くのプレイヤーを悩ませた。以後、3Dゼルダにおいてよく言われる「''水のダンジョンが来たら本腰入れろ!''」というセオリーを確立したダンジョン。 ---これはこのダンジョンを最後に作ったのが原因だと、攻略本のスタッフインタビューで語られている。 -井戸の底 --文字通り、井戸の底から入る事が可能なダンジョン。後のダンジョンを攻略するのに便利な「とあるアイテム」を入手する為に訪れる、いわば通過点である。 ---しかし上述した水の神殿とは違う意味で、多くのプレイヤーにトラウマを刻み込んだ。しかもこれでまだ序の口というのだから恐ろしい。 ---ここでは敢えてその詳細を伏せる事にする。気になる方は、是非とも自身の目で確かめてみてほしい…。 --因みにこのダンジョン、実は「とあるアイテム」の性質上完全無視してクリアする事も可能。但し、後のダンジョン(ラストダンジョン含む)の攻略難度が遥かに跳ね上がるが。 #endregion ---- **評価点 ''その革新性'' -本作が提案したシステムの中で最も多くのゲームに模倣され、現在まで受け継がれているのは「''Z注目システム''」であろう。 --『[[スーパーマリオ64]]』の開発において3Dアクションのノウハウを蓄積した任天堂開発陣が、次の3Dゲームを作る上での最大の課題と定義したのは「3Dのアクションゲームでは、そもそも敵に攻撃を当てる為にも細かい照準補正を必要とし、プレイヤーキャラを動かすのがとても難しい」という点であった。 --照準補正という問題を解決するべく誕生した「Z注目システム」は対象となる物体をプレイヤーが任意にロックオンできるシステムで、確実に対象物に向かって移動できる操作性を実現してみせた。更に、カメラワークもセミオートで補正を計る為に対象が画面の外側に隠れてしまう事もない。敵との間合いを取りやすく、主人公の位置を認識しやすくできるという利点も生み出したのである。 --この「(Z)注目」システムはゲーム業界に大きな影響を与え、特に現在の多くのFPS/TPSで採用されている「エイムアシスト」の原点にもなった。 --加えて、Z注目をしている間はこっそり''同時に行動する敵の数に制限を加える''ようになっており、1対多という不利な場面でも、「袋叩きにされてなすすべなく死ぬ」など理不尽なシーンをなるべく発生させないように配慮している。 -同社の『マリオ64』を始め、同時代における3D箱庭アクションゲームという発想自体は、新興ジャンルとはいえ珍しくはなかった。~ 本作が傑出した評価を受けた所以は、カメラワークや入力に対する動きの速さなどが絶妙なバランスで調整された、インターフェースの素晴らしさにもある。 --このシステムとインターフェースによって3Dアクションの難点とされていたカメラワークと操作性を見事解消してみせた本作は、3Dアクションゲームの操作性の礎として、本作以降の多くの3Dアクションゲームに類似したシステムが搭載されるなど、''3Dアクションの基礎基本を完成させてしまったのである''。一度でも本作をプレイした事があるならば、現在発売されている3Dアクションゲームの多くに本作のエッセンスが通じているのが分かる筈である。 ---これについては、%%当時はまだそれなりに信憑性もあった%%『ファミ通』レビューで浜村通信も絶賛している。 -ジャンプ等のプレイヤーがタイミングを合わせて操作する必要があったアクションを、思い切ってある程度まで自動化した事も、3D空間内での操作感の快適化に貢献している。 --崖をよじ登る、飛び降りるなどのアクションは、その地点に移動して近づいただけで自動的に行われる。 ---このオートジャンプも(Z)注目と同じく[[後の作品>biohazard 4]]においても研究対象として参考にされ、様々な影響を与えている。 -完全に64コントローラに合わせられた仕様。 --移植作と比べてみると、ソフト面の他にハード面(コントローラ)がいわゆる「マシン・マン・インターフェース」になっていたのを実感できる。キューブ版も3DS版も悪くは無いのだがこのコントローラ(特にCボタン群)の使い勝手の差は埋められない。 --これほどハードとソフトが一体となっているゲームはなかなか無い。類例は十数年以上の現在でも根強く支持され続けている、『スマブラ』シリーズにおけるGCコントローラーぐらいのものだろう。 ~ ''質の高い演出'' -同時代の他の3Dゲームに比べ、''プレイヤーの感覚を意識した演出''が多いのが本作の特徴である。 --プロローグエリアであるコキリの森を比較的狭い中で展開させ、いざ冒険へ!というところで一気に自由度を高めて放り出すことで、プレイヤーの期待感や興奮、そして没入感を大いに高めてくれる。実際、最初のダンジョンをクリアした後ハイラル平原に出た瞬間の興奮を語るプレイヤーは多い。 --一見すると広大にも思えるハイラル平原は、実は面積自体は大したことがない。しかしその狭い平原をよくよく観察してみると、丘を多く配置した地形にすることにより視界を遮るなど、これでもかとばかりに狭さを感じさせない工夫が凝らされている。本作では、3Dの空間をどう生かして、プレイヤーにどう魅せるかを多分に考えてマップが作られているのである。 ---ハイラル城下町なども実際よく考えてみるとかなり狭いのだが、背景用のテクスチャを上手く使用し、路地裏や登れる箇所を発見させたりすることで、狭いとは思わせずに探索させる工夫が凝らされてある。 ---ダンジョンについても第一に建造物として矛盾が少なく、非常に構造的。更にそれを利用した謎解きはどこかスタイリッシュさすら感じさせてくれる。 --それに加えて本作では昼夜の経過、子供時代と大人時代の切り替えといった時間経過という要素も取り入れられており、立体空間に時間の概念を加えることによって、三次元的を一挙に飛び越えて四次元的な領域にわたって世界を楽しめるようにしたのである。 -プレイヤーの感覚を意識した演出はボス戦にも当てはまる。~ どのボス戦も絶対にダレないように「ボス部屋に入った瞬間から楽しませる」ことを主眼に据え、起承転結の「起」と「承」に当たる部分をとにかく丁寧に演出している。 --例えば最初のボスであるゴーマ戦では、一見何も無い部屋と勘違いしたプレイヤーがふと視点を変えた瞬間に驚きを与えてくれる。 --とあるボスは、同じようにプレイヤーが痺れを切らして引き返そうとすると逃げ場をなくした上で登場し、しかも開幕早々絵の中に逃げていく。プレイヤーは絵の中から向かってくるボスを待ち構えようとするが、何とボスは絵から出る瞬間に絵の中で引き返してしまう事もある。 --さらに「結」すなわち幕引きの演出も怠らない。崩れおちる、破裂するといった比較的メジャーなものから、ガノンドロフによって「役立たず」と一蹴され処刑されるもの、そして思わず脱力してしまうコメディ調の幕引きを迎えるもの……、本作に登場するボスは全て違った、かつ劇的な最期を遂げる。 ---後はプレイヤー自身の手で、ボスの弱点を見抜いて見事な「転」を作ってやるようにすることで、最後までダレずに楽しめるボス戦の出来上がり──という寸法である。 -ザコキャラも2D時代の動きやデザインをうまく3D化に取り込めている。正攻法だと苦戦しがちな敵も「一部のアイテムを使えばあっさり倒せる」ようにきっちり設定されており、爽快感とのバランスが取れている。 --特にリーデットやギブド、デドハンドといったアンデッド系のモンスターについては、その不気味さや攻撃方法からトラウマになる人も結構いた。なまじポリゴンが未成熟だったのもあり、後発作より怖いという声も。 --あるイベントを経た後、暫くの間ゲーム開始地点が「7年後の時の神殿」となるのだが、そこからハイラル平原へ行くまでのエリアにはリーデッドがうようよしており、なかなかギョッとする演出になっている。 ''質の高い音楽'' -BGMで楽器の音色がフィーチャーされた作品でもあり、その音楽はとても評価が高い。作曲はお馴染み近藤浩治氏が担当。 --サントラは未だに万を超えるプレミアが付いている事からも、その好評ぶりが窺える。 -フィールドBGMは、なんと''プレイヤーの操作・状況などに合わせて楽曲が少しずつ変化する''という類を見なかったものである。 --のんびりしていると曲が穏やかになり、敵と相対するとBGMが緊張感の高いものになるなど、プレイヤーの気持ちを読み取ったかのように自然変化し、音楽自体の完成度も高いと、斬新かつ良質なもの。~ 音楽演出に砕心するメーカーは少なくないが、任天堂、特に近藤氏はBGMの作曲だけでなく、ゲーム性やゲーム展開に融和したインタラクティヴ性からもアプローチを掛けており、本作はそれがいち早く結実したものともいえるだろう。([[参考>http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070308/kondo.htm]]) --後述の3DS版でも、近藤氏はこの仕様の再現度を気にしていたと言う。 -オカリナで吹く事になる専用曲も、いずれも人気が高い。 --プレイヤー自身が作曲することになる「カカシの歌」を除き全12種類の曲が存在しているが、このうち10種類以上の曲が本作以降のシリーズ作品で再登場、或いはリメイクされていると説明すれば、その人気ぶりがよく分かるだろう。 -その他の通常BGMも名曲揃い。喧騒、ほのぼの、勇壮、不気味、不可思議、荘厳、邪悪、ボス戦といった場面場面での雰囲気にこれ以上なくマッチしている。 --音楽面でも革新的ながらもおなじみの「宝箱を開けた時の曲」や『[[神トラ>ゼルダの伝説 神々のトライフォース]]』の楽曲の一部もアレンジされて使われており、本作初登場の曲と合わせて以後のシリーズでも定番となっていく。 ---- **賛否両論点 -謎解きや攻略法に一捻りが必要。まだインターネットが普及していない時代のゲームとしては絶妙な按配ではあるものの、問題も無い訳ではなかった。 --例えば「ある条件を満たすと出現する、特定の馬に乗ってレースに勝つ」「特定の人物の目の前でオカリナを使い、寄り道としか思えない場所で習得可能な楽曲を演奏する」等。 ---これらの謎解きは他作品と比較するとヒントに乏しいが、その分自力で正解に辿り着いた際の爽快感も一入。 --しかし一捻りが必要である点とヒントの少なさ故に「得られた情報を曲解してしまい、岩の前で歌を吹き続けた」等といった、正解を知っていれば「何をどうすればそんな解法を導き出してしまうのか」と首を傾げてしまうような行動に走ってしまうプレイヤーが続出。ある程度情報が行き渡った現在でも「謎解きが難しすぎて挫折した」と洩らすプレイヤーが見られる程である。 ---中には「剣を持たずに迷いの森に突入しウルフォスを倒してしまった」という、ある意味強者と呼べなくもないプレイングを行ってしまう者まで…。 ---怪しい物があったらナビィが飛んで行ったり、NPCとの会話でヒントを聞けたり、振動パックがあればもだえ石というアイテムが反応してくれたりと配慮はされているのだが、当然完全ノーヒントの物もある。 --悩みに悩んで友達に電話したり、学校で話題にしたり…等々、当時攻略法の話題で盛り上がった記憶をお持ちのプレイヤーも多いのではなかろうか。 ---その話題性は、当時の人気アイドルが自身の冠番組で「相方が夜中に、水の神殿の中ボスと戦う所でどうしたら良いんだって(電話を)かけてくる」等とエピソードを披露する程であった。 --後のシリーズ作品では、本作で「そもそも何をすればいいか分からない」プレイヤーが出てしまった事を重く見たのか、やや過剰なくらいにヒントが与えられるようになっている。 -ボスの攻略法も一癖も二癖もある。基本的にそのダンジョンで謎解きに使ったアイテムをボス戦でも使えば良いのだが、考え無しに使っても有効打を与えられないという点がミソ。 --例としてはハンマーを入手するダンジョンのボス相手に行う「もぐら叩き」。まさかの攻撃方法にゼルダらしさが溢れているが、ゼルダらしさになじみの薄い層を全力で置いてけぼりにしている感は否めない。 --大ボス戦は基本的に「そこで手に入れたアイテムでボスを怯ませる→剣で切りつける((なお、有効ダメージは剣の方であり怯ませる攻撃はノーダメージ。))」であり、ゼルダシリーズでは割とよくある手段だが、実はこの「怯み中に切りつける」説明が本編で存在しない。(ナビィに聞くと「怯ませる方法」しか教えてくれない)~ この関係でシリーズ初見のプレイヤーの場合、例えば最初のボスであるゴーマ戦で「目を狙え」というのでひたすらパチンコで目を撃ち続けて「効いている((本当はノーダメージだがあてる度に痛がる描写がある))のになかなか倒れないな?」とここで詰んでしまった人も多いのではないだろうか? ---他にも、フックショットで本体を引きずり出す、口を開けた所に爆弾を放り込んで食べさせる…等々。これらはまだ分かりやすい方ではある。~ なお、中ボス以下の連中は無効な攻撃もあるが、基本的にいろいろな武器でダメージが入る。 --『スーパーマリオ64』における「ボスの尻尾を掴んでジャイアントスイング」の様に、仕様も内容も踏まえた大胆な演出と評価できる。以前の作品であれば敵や仕掛けの配置によって「物陰から攻撃して~」といった演出の工夫を行っていたのを、本作ではプレイヤーのアクションに任せてしまっている。 ---尤もこれが「戦闘時のアクション要素の更なる難化」という形で、挫折するプレイヤーの増加にも繋がってしまっているのだが。 //演出の評価点かこれ?と思ったのと、さすがにネタバレが過ぎると感じた。賛否両論点を作成し問題点の記述と統合、一部記述を変更 //当人です。評価か賛否か迷ってました。ありがとうございました。 ---- **問題点 -攻略をする上でぶつかる謎1つに対して解答が基本的に1つだけというパターンが多く、人にもよるが自由度が低い、自主性に乏しいと感じられ易い。 --冒険中に最も話しかけることになるであろうナビィが最低限の事しか喋らないため詰まった際に役に立たないことが多い。 //また、本作のリンクは基本的に喋らず意思表示も希薄なのでキャラを掴みにくい。 //これ自体は過去作に言えることだし、そもそもキャラ性を押し出すタイプでないでしょ。 --後作では程度の差はあるものの、いわゆる「寄り道プレイ」の幅を増やしたり2つ以上の解法を用意したり、NPCとの会話を多様化・充実させることで本作の数少ない不満点を解消している。 -回復アイテムの格差 --シリーズで唯一、ライフがゼロになったときに復活できるアイテム「妖精」の回復量が全回復になっている。((他の作品では多くてもハート10個分程度。)) ---妖精は7箇所存在する「妖精の泉」でいくらでも捕まえられるし、ちょっとした小技を知ってさえいればそれこそハイラル各地で無料補給が可能。ちなみに同じくライフ全回復の「赤いクスリ」はビン1本分につき30ルピー。これでは完全に赤いクスリの存在意義が無い。 ---回復量は少ないが2回使用可能であり、且つこちらも小ネタを知っていれば無料補給可能な「ロンロン牛乳」、30ルピーで即座に魔力を全回復できる「緑のクスリ」、イベントをこなす必要がある上に100ルピーと高額だが、ライフと魔力の両方を全回復できる「青いクスリ」と、他の回復アイテムはそれぞれ妖精の存在に食われない程度の存在意義を有しているのだが。 -一部のサブイベント、ミニゲームについて --しあわせのお面屋のイベントでは、渡されたお面を欲しがっている人を探してお面を売っていくのだが、最後にお面を買ってくれる「マラソンマン」は昼間の内はハイラル平原を猛スピードで走り回っており、非常に見つけ辛い。 ---夜になるとマラソンマンはその場で座り込み休憩する。この休憩時が彼にお面を売り込む唯一にして最大のチャンスである。但し「その場で休憩」というのが曲者であり、平原の何処で休憩するのかは常に不定。下手すれば休憩しているマラソンマンを探し回った末、コッコの鳴き声と共に朝日が差し猛ダッシュ再開…なんて事態にもなりかねない。 ---おまけにこのマラソンマン、なんと子供時代篇の終わり間際まで進めないと出現しない。そのまま大人時代まで進めるとある程度攻略するまで子供時代には戻れず、イベント進行を一時中断せざるを得なくなってしまう。しかも大人時代では各地にワープするメロディが手に入り、結果ハイラル平原を徒歩で横断する機会が激減するため、余計に見つけ辛くなってしまう。 --子供時代のカカリコ村墓地では、夜になると墓守ダンペイにルピーを払って地面を掘っていもらい、出てきたアイテムを入手できるというミニゲーム「墓守ダンペイのドキドキ穴掘りツアー」が行われている。ランダムでハートのかけらを入手できるのだが、これが中々の苦行。 ---同じ箇所を連続で掘っても必ず外れになるので、ダンペイに移動してもらって別の場所を掘る必要がある。しかしこの際のダンペイの移動速度がかなり遅い上、時々立ち止まるため非常に時間がかかる。 ---追い討ちとばかりに、ハートのかけらが出るかどうかは完全にランダム。長時間かけて、所持金を全部使い果たしても全く出て来ない…なんて事態も十分ありえる。 --どちらもゲームクリアには必須ではない為、完全無視も可能。色々と楽しい裏設定を知れる「まことの仮面」や、ハートのかけら全入手を諦める事にはなるが。 -密猟者のノコギリのバグ --このアイテムはわらしべイベントで入手するノコギリで武器・道具としては使用できないのだが、このアイテム所有中は密猟が行われていた森のモンスターが別のアイテムをくれるイベントで攻撃してくる。~ ここまでは仕様((小学館から出ていた公式ガイドブックにも「密猟者のノコギリが嫌い」と明記))なのだが、なぜか手放した後もこの所有フラグが消えずにアイテムをくれないままになってしまう…というバグ。ただこのアイテムは「デグの実の所持数を増やす」とクリア無関係どころか、これで不便を強いることもほぼないので実害も小さい。 -ゲーム再開時の仕様 --前作『夢をみる島』ではフィールドでセーブした場合は最後に出入りした場所から再開できたが、本作ではフィールドでセーブした場合は各時代のスタート地点((子供時代なら自宅、大人時代なら時の神殿))まで戻されてしまう仕様に戻ってしまった(ダンジョンはそこの入り口から再開)。 ---子供時代後半になると迷いの森からショートカットが使え、大人時代になると各地にワープするメロディが手に入るため、そこまで不便ではないのだが、子供時代中盤までは再開時に毎回ハイラル平原を横断する破目になる。 ---- **総評 後世に模倣される''「革新性」''、諸々の''「完成度」''、そして何よりも''「面白さ」''。~ 3Dアクションゲームの黎明期における作品でありながら、この3点を極めて高いレベルで兼ね備えた本作。ゲーム史上にその名を輝かせるのも納得の、まさに名の通り「伝説」と呼ぶべきゲームである。 その反面、後続のシリーズ作品のみならず、他社の同ジャンル作品までもが否応なしに本作と比較されることになってしまうなど、『ゼルダ』という任天堂が誇るブランドのみならず、3Dアクションというジャンルそのものにある意味「楔」を打ち込んでしまった側面も否定できない。~ しかしそれもまた、本作がいかに優れた存在であるかの証明と言えるかもしれない。 幸いなことに、近年のゲームハードでもVC版や後述のリメイク版が気軽にプレイできる。未プレイの方はぜひ触れてみて欲しい。~ 全く古さを感じさせないその出来栄えは、きっと''「3Dゲームは、20年以上も前にここまで完成していたのか!」''という驚きをもたらしてくれるだろう。 ---- **移植 -GCに『ゼルダの伝説 時のオカリナGC』というタイトルで移植されている。 --幻に終わった64DD版「裏ゼルダ」を収録した移植版であり、文字通りに本作ファン垂涎の一品だった…のだが、これがGC専用ソフト『[[ゼルダの伝説 風のタクト]]』の''初回購入特典''限定となってしまったのが仇となった。そのあまりの人気から初回購入特典&b(){だけ}を求めるユーザーが続出、『風のタクト』は大幅な過剰出荷となり、結果的にとんでもない値崩れを起こしてしまった。 --「裏ゼルダ」は基本的な内容は一緒でダンジョンの構造も同じだが、ダンジョン内の謎解き要素や敵の配置が変化しており難易度が大きく上がっている。例えば「そのダンジョンの時点ではまだ出てこないはずの敵が出現」「壁から前半身が飛び出した牛がスイッチになっている」などカオスな変更がされている他、表ではほとんど出番がなかったディンの炎の活用場面が大幅に増加している。 --強いて挙げるならば、ディスクメディア故に読み込みが入るようになってしまったのが人によっては気になる点ではあるか。 --ゼルダコレクションにもこの移植版が収録されている。が、収録は表のみで、残念ながらセーブデータに互換性はない。 -2011年にはニンテンドー3DSでリメイク版が発売された。詳細は[[下記参照>ゼルダの伝説 時のオカリナ#id_1c3c4560]]。 ---- **余談 -上述のように本作がもたらした「Z注目システム」はゲーム業界に大きな影響を及ぼした訳だが、このシステムは「忍者アクション劇」と「殺陣」から着想を得たと言う([[出典:社長が訊く>https://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/aqej/vol2/index3.html]])。 --どのような経緯があったかは長くなるので割愛するが、出典のインタビューをご覧になれば「忍者アクション劇」や「殺陣」が基になっていることに納得頂けると思う。 --世界的にも大きな影響を及ぼした革新的なシステムが「日本の伝統芸能」から産まれた事を考えると非常に興味深い。 -本作のダンジョンは評価点の項にもあるように3Dゲーム黎明期としては高い完成度を誇る。これらのダンジョンを設計したのは、現在もゼルダシリーズに関わりのある青沼英二氏である。 --青沼氏は「からくり人形」を作るのが得意で、大学でもからくり人形を専攻していた程。歯車とクランクだけで人間らしい動きを作るというのは謎解き的な要素が多く、からくり人形の制作経験がダンジョン設計の際に役立ったとのこと([[出典:DQの元ディレクター藤澤氏との対談>https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/zelda/3]])。 --こちらも間接的にとは言え「日本の伝統芸能」が影響している事を考えるとやはり興味深い話である。 -ロットにより異なる部分が存在する。基本的には、一部表現のグラフィックの変更という平凡な物なのだが…… --紋章のデザイン(スイッチ、ブロック、ミラーシールド等((どちらも「ゲルド族の紋章」が入っているのは同じだが、この紋章自体が「旧:三日月の切れ目の間に星が1つ→新:菱形に眼鏡を重ねたorコブラの背中」と変えられているため。)))、炎の神殿のBGM、ガノンドロフの吐血の色(赤→緑)などが変更されている。GC版をプレイした際「おや?」と思った人も少なくないだろうが、これは64版の時点でのROM修正が原因なのである。 -なぜかROM内に『[[スターフォックス64]]』のアーウィンのデータが埋もれている。 --「スターフォックスのデータを流用して3Dを表現しているからではないか」「BGMにおいて同一の音源を使用しているからではないか」などと推測されているが、真偽は不明。 --或いは、何かのイベントに使う予定があったのかもしれない。「ゼルダの伝説でアーウィン?」と思われるかもしれないが、このシリーズには『[[リンクの冒険]]』のロトの墓や、『[[夢をみる島>ゼルダの伝説 夢をみる島]]』での任天堂オールスターっぷりなどといった妙な前科があるので、絶対にありえないとは言い切れないだろう((実際本作でも、よくよく観察しないとまず分からない場所にマリオやヨッシーの絵が飾られていたりする。))。 ---通常プレイでは絶対に出現しないため、その姿を拝みたいなら改造プレイ動画を見るしかない。興味があったら動画サイトで「ゼルダの伝説 スターフォックス」などと検索してみるといいだろう。 ---ちなみになぜか''当たり判定があり''、''レーザーで攻撃してくる''。ただし、攻撃力は最弱のハート4分の1で妖精のパチンコ2発で撃墜できる紙装甲。 --3DS版のインタビューにおいて、とあるダンジョンのボス「ヴァルバジア」がスターフォックスのプログラムの流用であることが明かされたため、そういった事情が影響していると思われる。詳細は[[こちら>http://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/aqej/vol3/index3.html#list]]。 //--スターフォックス関連の小ネタで言うならば、わらしべイベントのアイテムの一部が、スターフォックスメンバーと奇妙に一致していることも挙げられる。 //---具体的には「キータンのお面→キツネ→フォックス」、「コジロウ→青いニワトリ→青い鳥→ファルコ」、「メダマガエル→カエル→スリッピー」、「ウサギずきん→ウサギ→ペッピー」である。とはいえモデルになった動物が一致しているだけであり、デザイン的には似ても似つかない。 //直接本作と関係あるかどうか疑わしい内容のため、一旦CO -最初のダンジョンでよく表されるのが「'')谷(の中に(÷)がいる''」であるが、「)谷(」がデクの木さま、「(÷)」がゴーマ。日本のインターネット黎明期だったが、自然と受け入れられている。((ちなみにアスキーアート板が2ちゃんねるに作られたのが1999年。日本初の顔文字が確認されたのが1986年。)) -2011年の設定整理時にシリーズ全体の時系列でも本作は重要なターニングポイントと位置づけられ、本作のラスボスとの決戦の結果から3つほどの時間軸に分岐するという設定が発表された。 --「リンクがガノンドロフに敗北する」時間軸は今までの『[[神トラ>ゼルダの伝説 神々のトライフォース]]』『[[初代>ゼルダの伝説]]』などに、「ガノンに勝利した」時間軸が本作以降に発売されたものとなっている。~ そして「本作のリンクが子供時代に帰った後の7年後の世界」は『[[風タク>ゼルダの伝説 風のタクト]]』『[[夢幻>ゼルダの伝説 夢幻の砂時計]]』『[[汽笛>ゼルダの伝説 大地の汽笛]]』に、「本作のリンクが子供時代に戻り、事前にガノンの侵略を防いだ」時間軸は『[[ムジュラ>ゼルダの伝説 ムジュラの仮面]]』『[[トワプリ>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』へと繋がっている。 ---なお本作より後に発売された『[[スカイウォードソード>ゼルダの伝説 スカイウォードソード]]』『[[ふしぎのぼうし>ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし]]』『[[4つの剣>ゼルダの伝説 神々のトライフォース#id_781d3e80]]』などは本作より過去の物語である。 -後の「ゼルダの伝説大全 ハイラル・ヒストリア」の公式設定(後付け設定だが)によると、本作から100年ほど後の時代である『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』に登場した骸骨の剣士(古の勇者)は、本作のリンクの亡霊であることが判明し、多くのファンを驚かせた。 --ちなみに亡霊になってしまった理由は「子供時代に戻って以降、勇者としての名を残せなかったのを無念に感じていた」という何とも遣る瀬ない理由。なお『トワプリ』のリンクは本作のリンクの子孫という設定もある。 -漫画化もされており、小学館で連載された姫川明氏の漫画版はファンの支持を集めたことで、以降の『ゼルダ』シリーズも氏により漫画化されるようになっていった。 --姫川氏にとっても本作には思い入れが深いようで、『ゼルダ』シリーズの中で一番好きなゲームは本作であると[[公言している>https://twitter.com/AkiraHimekawa/status/1065818817232695297]]。 -本作のCMは芸能人達が実際にゲームをプレイしている姿を映したもので、BOSE、ドリアン助川、ユースケ・サンタマリア、前田日明、藤原竜也、稲森いずみ、深田恭子と計7種類ものバリエーションで宣伝がされていた。 --またこのCMで流れるBGMはサリアの歌をオーケストラ風にアレンジした物で非常にカッコ良く、人気が高い。後の『[[スマブラX>大乱闘スマッシュブラザーズX]]』ではこのBGMが時のオカリナメドレーに使われている。 -シリーズ通してお馴染みの大妖精も登場しリンクに協力するが、本作ではまるでボディコンギャルを意識した%%''超ケバい%%ド派手な姿と笑い声''がプレイヤーにトラウマを植え付けた。 --数ある本作を題材とした4コマ漫画本の殆どでその姿がネタにされたほど。初登場時は顔がどアップで演出されるというシーンまである。 --3DS版ではグラフィックは多少%%マシになった%%可愛くなった。…でもやっぱり%%ケバさ%%派手さは相変わらずという意見が多いが。 -タイトルロゴ --本作を皮切りに以後、タイトルロゴが海外版の「THE LEGEND OF ZELDA」表記に一新された。((海外版では『神々のトライフォース』から使われ続けている。)) --それまでは旧来のタイトルロゴはゴシック体調の「ゼルダの伝説」だったが、本作のヒットもあり、以後最新作にも使われ続けていた。 --Wii U及びNintendo Switchにて発売した『[[ブレス オブ ザ ワイルド>ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド]]』では旧ロゴの復帰が行われた。 ~ ''その功罪'' -概要でも述べた通り、本作はクリエイター・ユーザー双方からの評価が極めて高い。特に当時他社のゲームでも平気で噛み付いたワープの飯野賢治氏は「正座をしてプレイした」と感服と尊敬を込めたコラムを「ゲーム批評」に載せた程。 --日本のゲームメディア最大手のファミ通誌上クロスレビューで、史上初となる40点を獲得。 ---勿論本作はそれだけの評価を受けて然るべき作品ではあるのだが…この40点以降、ファミ通は事ある毎に40点やそれに近い高得点を乱発するようになり、その信頼度を落としていく事になる。 --『IGN』の識者によるゲームランクでも上位にランクイン、メタスコアは99点((100点が出たことはないので事実上最高点である))と海外での人気も極めて高い。 ---さらに他のゲームランキングでも、ノミネート対象に入ってさえいれば今尚かなりの確率で首位をかっさらい、或いは上位に食い込んでくる。 -総評でも述べたように、この作品のあまりの革新性と面白さ、そして本作に寄せられた評価の高さは、以後の3Dゼルダにおいて「どうしても本作とその出来を比較されてしまう」という一種の呪縛となってしまった節もある。 --その完成度ゆえ、本作はいわゆる「信者」がシリーズ中でも極めて多い。後発のシリーズ作品はおろか、シリーズ以外の3Dアクション作品ですら本作とその作風や完成度を比較されてしまうという、ゲーム業界全体の発展という観点からすれば頭を抱えてしまうような事態が今尚多発しているという。 --いい意味でも悪い意味でも、本作の及ぼした影響がいかに多大だったかが伺える。 --この件に関しては開発陣自身も長年にわたって大いに悩んでいたらしく、のちに『[[ブレス オブ ザ ワイルド>ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド]]』を開発するにあたって「『時のオカリナ』の完成度や面白さを超える」ということを念頭に開発にあたった、という話も出たほどであった。 ---なお、当の『BotW』のほうも非常に評価が高いゲームに仕上がっており、「『時オカ』を超えた」という意見も多数出ていることから、この呪縛に関しては一応の決着はついたと言えるのかもしれない。 -このゲームは発売延期を何度か繰り返した末に発売され、任天堂の有名クリエイター宮本茂氏のいわゆる「ちゃぶ台返し」が作用したことでも有名である。 --しかし、それゆえに「延期しない『ゼルダ』作品は完成度が低い」というかなりひねくれた見方をユーザーに植えつけてしまった面もある。 ---- ---- *ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D 【ぜるだのでんせつ ときのおかりな すりーでぃー】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|CENTER:&amazon(B004K6L0EK,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51cZH2AhSVL.jpg,width=160)&amazon(B01KZ4Y5IS,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71gRwdBPdHL.jpg,width=160)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |メディア|3DS用ゲームカード / ダウンロード販売|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|グレッゾ|~| |発売日|パッケージ版:2011年6月16日&br;ダウンロード版:2012年11月1日|~| |定価|4,800円(税5%込)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|3個|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |廉価版|ハッピープライスセレクション&br;2016年9月15日/2,916円(税8%込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|全面的にリメイク&裏ゼルダも収録|~| ---- **概要(3D) グラフィックをはじめ、全面的にリメイクした作品。 開発はグレッゾが担当しており、開発プロデューサーは元スクウェア・エニックス所属で[[聖剣伝説シリーズ]]などを手がけた石井浩一氏。 ---- **変更点・追加点 -グラフィックの全面描き直し --3DS向けにグラフィックやテクスチャなどを一から作り直しており、3DSの特徴である立体視にも対応している他、64版ではハードの性能上表現できなかった家の装飾や風景のような細部も丹念に描かれている。~ また、全体的に淡い色合いと少なめの色使いがされていた64版と比べ色が濃くなり、64版で単色だったオブジェクトの一部にも色が入って鮮やかになっている。 ---特にハイラル城下町や家の中など、原作では2Dの背景を動かしていたのだが、これらも全てポリゴンで描き直されている。カメラ操作は当時のものをキッチリ再現している為、これによる違和感は少ないだろう。 -ジャイロセンサーによる操作の追加 --主観カメラ・矢を撃つ時など、リンクの視点になる際に、ジャイロセンサーを利用した操作方法を選択できる。本体を動かすことで、ゲーム内の視点をより直感的に動かすことが可能になった。 --スライドパッドで大まかに向きを調整し、ジャイロセンサーで細かく狙いを定める事ができる。特にパチンコや矢を撃つ際には重宝し、感度もよくコツさえつかめば本当に自分で狙っているような臨場感も味わえる。 -2画面化 --64版における通常画面・コレクト画面が、それぞれ3DSの上・下画面に同時に表示されるようになった。これにより、コレクト画面の確認が64版と比べて著しくスムーズに行えるようになった。 -アイテムの装備可能個所がX・Yボタン+タッチ2ヵ所+オカリナの計5つに増加 --これまでCボタン3つが充てられていたアイテムボタンは、X・Yボタンと、さらに下画面に表示されるI・IIのタッチボタンの計4つになった。タッチスクリーンによって4つ、X・Yボタンによってその内2つを使うことが出来る。また、オカリナ演奏ボタンは、タッチスクリーン左下に常備されることになった。 ---このため本作はタッチ操作が必須であり、ボタンオンリーではプレイ不可能。3DSのボタン数の関係上仕方ない点ではある ((本作発売当時は拡張スライドパッド(ZL・ZRボタン)が未発売である。))が、案の定賛否両論である。 ---タッチスクリーンのオカリナとI・IIボタンは画面端に配置されており「指が届く」「タッチスクリーンが指紋で汚れても気にしない」といった条件さえクリアできるならばボタンと同じような感覚でも扱える。ちなみにX・Yボタンのアイテムもタッチスクリーンで同様に使用可能。 ---アイテムリストも並べ替え可能になった。よく使うアイテムを端に寄せるなどして、アイテムの交換をしやすくできる。 -ブーツの仕様変更 --ブーツアイテムが装備アイテムではなくアイテムボタンに充てられるようになった。 ---『[[風のタクト>ゼルダの伝説 風のタクト]]』や『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』と同様の仕様である。 -謎解きのヒント映像を見ることが可能になった --ヒント映像を見ることができる石像「シーカーストーン」がリンクの家の前と時の神殿に設置され、ダンジョンやボス戦のヒント映像を見られるようになった。視聴によるペナルティはないが、もちろん一度も見ずにクリア可能。ゲームオーバー時も同様に映像を見ることができる。 ---いわゆる初心者救済措置だが、あくまでヒントであって答えそのものではない。ちなみにこれは『[[スカイウォードソード>ゼルダの伝説 スカイウォードソード]]』でも採用されている。 -ボスチャレンジモードの追加 --コキリの森にあるリンクの家のベッドから、ミニゲームとして一度倒したボスとの再戦が可能になるボスチャレンジモードが追加された。 --装備品はボスによって固定されており、撃破までに掛かった時間の記録も行われる。 --このモードにおけるライフの数値は基本的に3~5個と少ないが、ほとんどのボス戦で回復アイテムが持ち物に支給されるため、余裕を持って戦いに臨める。 --特定の条件を満たすと全てのボスと連続して戦う所謂「ボスラッシュ」に相当する「れんぞく」が解放される。 --また、裏における同モードでは裏特有の被ダメージ2倍が適用される他、回復アイテムの支給も無くなっている事から、表から格段に難易度が上昇した戦いに挑む事が出来る。 -もだえ石が「ひびき石」に変更 --3DSには振動機能がないため、断続音で知らせる『ひびき石』というアイテムに変わった。隠し穴に近づけば近づくほど、音の間隔が狭くなる。 -裏ゼルダを収録 --なんと本編クリア後に、これまで『風のタクト』限定特典でしか存在しなかったGC版裏ゼルダが解禁される。 --「シーカーストーンが存在しない」他、GC版にはない要素として「世界全体が左右反転する」「敵から受けるダメージが2倍になる」など、まさしく裏面と呼ぶに相応しい高難易度となっている。 -一部のバグを修正 --有名なバグであった密猟者のノコギリのバグなどが修正され、取り返しがつかなくなる要素はなくなった。しかしバグワザは相当数が意図的に残されている(あきビン増殖など)。 -その他 --リンクがL注目中に剣を回転させて敵を挑発するしぐさが加わっている。これは『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』からの逆輸入。 --一部ダンジョンの仕様が変化。例えば水の神殿では、スイッチと水位の対応をわかりやすくするため色がつけられたり、暗いダンジョンは照度が上がり視界がよくなった点などが挙げられる。 ---水の神殿はそれによって難易度が低下した。そのことを惜しむ声もあるものの、構造や謎解きの内容を変えることなく難易度調整を成し遂げた点は評価して然るべきだろう。 --巨人のナイフ、ダイゴロン刀装備時の鞘のデザインが変更されている。 --あきビンの虫が穴に入っている最中に捕まえられなくなり、使い回しができなくなった。 --弓の番え方が、手の甲側で構えていた原作から、手のひら側で番えるように変更されている。西洋の弓術は少し右に傾けて手の甲側に矢を番えるので64版が正しい。 ---ただし、馬を乗りながら弓を射る場合は手のひら側で番えないと矢の飛び方が安定しない為、3DS版の番え方が間違いというわけでもない。 --1時間毎にナビィが「そろそろ休憩しない?」と言うようになった。 ---- **賛否両論 //以下は賛否点であっても問題点とまでは言えないので分離。 -前述したようにアイテム使用欄4つのうち2つは下画面へのタッチ操作で使用する必要があるため、ボタンオンリーでの操作が困難な点については賛否両論。 -64版ではZ(L)注目しない状態で盾を構えて剣を振ると突き攻撃ができるのだが、64版ではこの突き攻撃に「直前の武器の攻撃力や性質が適用される」という仕様((通称盾(TAS)突き))があったのだが、3DS版では修正され、装備中の武器の攻撃力がそのまま適用されるようになった。 --64番でこの突き攻撃の仕様を活用した場合、安全に黄金のスタルチュラを狩ったり、一部のボスを瞬殺したり、或いはハンマーの性質を保存して仕掛けを簡単に解いたりといった攻略ができる。 --この修正に関しては「強過ぎるので修正されても仕方ない」という層と「修正されてテンポがやや悪くなった」という層がいる。 -裏ゼルダの左右反転 --GC版の裏モードでは世界全体の左右反転などはなく64版同様の世界だったのだが、3DS版の裏モードはハイラル全土の地形、リンク含む全キャラクターの利き腕、ムービーシーンの構図などまで左右反転するため、表版に慣れたプレイヤーほど世界全体に違和感を覚えるようになってしまった。 ---『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』のGC版とWii版でも同様の現象があったが、あちらはプレイするハードや操作体系ごと違うためさほど問題にはならなかった。 -裏ゼルダでは謎解きのヒントが見られない --表ゼルダでは謎解きのヒントが見られるシーカーストーンが設置されているのだが、経験者向けモードである裏ゼルダでは存在せず、基本的に全て自力で謎を解かなければならない。 ---ボス戦はともかく、ダンジョンの仕掛けに関してはシーカーストーンが存在しない関係で完全に詰んでしまった場合はどうしようもない。 --もとより裏ゼルダ自体が熟練プレイヤー向けなので難化すること自体は当然だが、初心者や中級者向けにもなんらかの形で救済措置が欲しかったところ。 //結局は攻略本とネットの情報頼みになってしまう。~裏ゼルダは経験者向けとはいえ、万が一積んでしまった場合のヒント閲覧機能も続投して欲しかった。 -裏ゼルダのボス戦について --この点はGC版の頃から言われている点ではあるのだが、裏ゼルダにおけるボスの攻撃自体は表と同様なので、裏での追加攻撃が存在せず表の攻略法が丸々通用してしまう。 --その一方で被ダメージ自体は表から2倍になっているので、裏独自の戦術自体は存在している点は幸い。 -裏ゼルダのエンディングについて --これもGC版の頃から言われている点なのだが、裏ゼルダにおけるエンディングには表から新規に追加されたパートが存在しないため、クリア時の達成感が薄い。 --3DS版では世界全体で左右反転が行われているが、これはエンディング以外にも言えることである。 **問題点 -ボスチャレンジモードについて --ボスチャレンジモードにおけるボス戦では、基本的にボスの部屋に入った状態からのスタートとなる。 ---これが何を意味するかというと、ボスの出現から戦闘に至るまでの流れも本編同様に自力で行わなければならないという事である。即座に戦闘を楽しみたいプレイヤーからすれば、地味に煩わしい仕様である。 --各ボスの出現・撃破デモはいちいち本編と同様に再生される。更に各種デモシーンはスキップできない。 ---この問題は特に「森の神殿」「魂の神殿」のボスで顕著となる。スキップ不能デモの際に会話シーンが挟まれる事もあってか、タイム記録を狙ってボスチャレンジを繰り返しプレイしている場合はダルさを感じやすい。 --尚、ラストバトルで戦う事になる2体のボスはボスチャレンジモードでは出現しない。これについて未登場を惜しむ声が見られるものの、この2体が登場した場合は全てのボスと戦う「れんぞく」の難易度が更に上昇していたであろう事は容易に想像できる。 //ネタバレ配慮的な感じで文章に手を加えてみた ---- **総評(3D) 64版から無茶な追加要素はなく、BGMや効果音・操作性などといった当時の雰囲気はほぼそのまま再現されている。~ 新要素の追加や携帯機ということもあり、オリジナルよりも快適にプレイできるようになった。~ 裏ゼルダ収録により、ボリュームも単純に64版の2倍に増加しているなど、あらゆる面で非の打ち所のないリメイク作。 海外のレビューサイトでも高評価を連発しており、リメイク版として十分な品質を有していることはほぼ間違いない。 本作は据置機から携帯機への移植にも関わらず、内容が劣化するようなこともなく、表示関連は逆に著しく強化されている((解像度が上がった他、フレーム数が向上し立体視にも対応するため描画量は数倍あることになる))。~ これは15年のゲームハードの進化によるものであり、それを感じることができるリメイクでもある。

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