「ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period - (2013/08/26 (月) 19:00:29) の最新版との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period 【げーむぶっくでぃーえす あくえりあんえいじ ぱーぺちゅあるぴりおど】 |ジャンル|ゲームブック型アドベンチャー|&amazon(B002V91LS8)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |発売元|ブロッコリー|~| |開発元|日本アートメディア|~| |発売日|2010年2月25日|~| |定価|5,040円(税込)|~| |分類|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|&color(blue){''2010年クソゲーオブザイヤー携帯機部門次点''}&br()普通のアドベンチャーゲームをあくまで「ゲームブック」と主張&br()携帯アプリにも劣る快適さ、その癖選択肢の難易度が高め&br()進行に問題を生ずるバグの存在、その他多量に存在する表示バグ&br()ぶっちゃけカードのおまけでゲームが付いてきたようなもの&br()|~| |>|>|CENTER:''[[クソゲーオブザイヤー関連作品一覧>KOTYゲーム一覧]]''| |>|>|CENTER:''ゲームブックDSシリーズ''&br()[[ソード・ワールド2.0>ゲームブックDS ソード・ワールド2.0]] / [[鋼殻のレギオス>ゲームブックDS 鋼殻のレギオス]] / アクエリアンエイジ| //手持ちのバージョン(NTR-P-BA9J)で、「ギャラリー起動後セーブロード不可能バグ」「セリフずれバグ」「立ち絵バグ」「BADエンディング絵がギャラリーに登録されない」は全て修正されていることを確認しました。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ブロッコリーの『ゲームブックDS』シリーズ第三弾。~ 萌え系トレーディングカードゲームの先駆者((販売開始は『遊☆戯☆王 オフィシャルカードゲーム』と同年で、国産トレーディングカードゲームとしてもかなり古い方である。))『アクエリアンエイジ』(アクエリ)のキャラ設定を下敷きにしたゲーム。 -なお、タイトルの「Perpetual Period」は直訳すると「果てしない時代」。 **ストーリー 主人公・鳴神恭は、幼馴染である神社の娘・鳴神美琴の元に養子に入った孤児の高校生。~ 生活は怠惰で、朝起きるのを渋っては美琴に叩き起こされるのが日常茶飯事、授業中は専ら教室や屋上で寝ている。~ そんな中恭が住む紅月市では、今月になって原因不明の発火による死亡事件が相次いで発生。~ 「発火」というキーワードが、恭と美琴が幼いころに体験した謎の火災事件を思い出させる。~ 美琴は、恭に事件について調べたいと提案するのだった。 **システム -6人のメインヒロイン(美琴・ここな・ルゥリィ・優芽・リディア・アィ)がおり、それぞれにシナリオ・エンディングが1つずつ存在する。 --メインヒロインはボイス付きで、堀江由衣、沢城みゆき、田村ゆかり、榎本温子、榊原ゆい、高垣彩陽とそこそこ名の知られた声優も多い。ただし、DSの容量の都合か作業量の関係か、ボイスが付いている部分はキャラクター登場時と終盤の重要シーン、分量にして全体の10~15%程度に限られる。 -全シナリオに共通して、物語は4月21日から27日までの7日間が描かれる。 --ただし、初めに選べるのは美琴・ここな・ルゥリィのルートのみ。22日に複数ある選択肢次第で、残り5日間誰のルートになるか決まる仕組み。 --上記3人を全てクリアすると、優芽→リディア→アィとルート固定で話が進み(分岐するわけではないので、21日からそれぞれ独自のストーリー展開になる)、都合7周目で初めて解決編に移行する。 **問題点 -「ゲームブック」と名乗ってはいるが、内容は普通のアドベンチャーゲームそのものである。 --選択肢の中では選ぶと一発でゲームオーバーになるものもあるが、それだけでは「ゲームブック」にはならない。 ---尤も、そんな選択肢を多発しているようなゲームブックでは確実に駄作の謗りを受けることは間違いないが。 --そもそも、説明書にゲームブックに付き物の戦闘のルールなどが書かれていない点で「怪しい」と感じられるのだが。 --限定版についてくるドラマCDでも突っ込まれている始末。 -ルート分岐についても問題がある。 --シナリオ上の必然とはいえ、自由にルートを選べないのは恋愛シミュレーション的に本作を見た場合不満が残る。 --ヒント機能などの洒落た物もなく攻略サイトも見当たらないため、ルートに入るための条件が分かり辛い。 --後述のセーブ面の問題もあって、特定のシーンやシナリオを再プレイする場合は最初からもう一度プレイすることを強いられる場合が多い。 //またシナリオの都合で27日(最終日)で強制的に最初に戻されるのがストレスを増させる。 //ループはシナリオ上の必然だった筈なので修正。事実誤認でしたら修正をお願いします……にしても他に見せ方無かったのか //ループ構造自体に問題がある訳ではないので、ループ関連の記述は問題点から外しました。 -システム周りは2010年のゲームでなくともかなり酷いレベル。恐らく十年は遅れている。 --ルート分岐やゲームオーバー直行の選択肢などがあるにも関わらず、セーブデータはたったの3つしかない。もう1度見たいシーンやシナリオのセーブデータを取っておくなどということは難しく、やるにしてもせいぜい1つで妥協することになる。 --セーブ・ロード画面で確認できるセーブデータの説明に「現在の(ゲーム内の)日付」「現在のルート」しか書いておらず、セーブ地点の状況が碌に把握できない。 --バックログ機能や既読部分スキップ機能ぐらいはあるが、バックログから音声が再生できない、既読スキップは右ボタンを押しっぱなしにしないと機能しないなど若干の不満点は挙がる。 -シナリオ自体も見るに堪えないという程ではなく「見どころ」と言えるものはあるが、全体には凡作かそれ以下の出来。 --色々と事件は起こり、その過程でヒロインと仲良くなっていく描写は描かれているのだが、結局物語が進展するイベントがあまり多くないので全体に引き延ばし感が漂う。 --都合7周も引っ張った割に、ラスボスとの決戦やエンディングは至極あっさりと終わる。 --ラスボスの部下は非常に強く、こちらがもっと力をつけないと全く歯が立たないとされる描写が何度もある。色々あったものの目に見える形での成長は最後まで殆どなかったのだが、結局最後は土壇場で「主人公の想いの強さ」によってあっさり倒してしまう。 ---ただし原作設定でも「マインドブレイカー」((カードゲームでのプレイヤーはこの「マインドブレイカー」であり、その能力によってキャラクター達を使役しているという設定である。))の想いによる「マインドブレイク」((『ポケットモンスター』で言う進化。毎回リセットされることを考えると『デジタルモンスター』(アニメ版限定)に近いかも。))で少女達が簡単にパワーアップする世界である。尤も毎回パワーアップがリセットされる事が基本の「対戦型カードゲーム」(原作)や「面クリア型ウォーゲーム」(後述の東京ウォーズが該当)ならともかく、アドベンチャーゲームでそれは如何かと言う話もあるが((ただし他のメディアミックスでも「マインドブレイカーが登場する作品」では「ヒロインがピンチに陥るがマインドブレイクを受けて大逆転」が基本路線である。))。 --エンディングについては、ラスボスを倒した後の余韻に浸ったりこれまでの道のりを振り返ったりなどは一切なく、単にヒロインとイチャイチャしたり「これからも共に歩んでゆく」みたいなセリフが入ってすぐ終わる。その量たるや、''ボイスやメッセージ送りを一切スキップせずに進めても3~4分で終わる''ほどで、''ライターが力尽きたんじゃないかと疑うくらい短い''。 --先に若干述べた通り、メインヒロイン6人それぞれに対して最終盤のシナリオやエンディングが変わる。最終日前日に選んだメインヒロイン1人と共にラスボス戦を戦い、エンディングを迎えることになるのだが、それまで仲間全員で戦っていたシナリオが急にヒロインと2人っきりのシナリオになるため大きな違和感が残る。強大なラスボス相手にヒロイン全員で戦うのは至極当然なはずなのだが、選ばれなかったメインヒロイン5人は''何の説明もないまま''ラスボス戦には全く登場せず、そのまま''エンディングまで出番は一切ない''。 --『アクエリアンエイジ』の世界観を下敷きにしていても、その世界観を全く活かせていない。「マインドブレイカー」の設定は登場するが、他の要素は原作とほとんど関係ない。 ---原作のTCGでは6つの「勢力」が覇権を争っているという設定であり、このゲームのヒロイン6人もプロモーションカードではそれぞれの6勢力に分類されている。しかしそういった世界観は本作ではほとんど描写されておらず、「WIZ-DOM」「極星帝国」といった原作の単語が何度か出てくるぐらいで本筋のストーリーにはごく僅かにしか関わってこない。 -立ち絵のパターンに乏しく、顔が10パターン程度変わるだけでポーズは一切変化しない。 --服装も各キャラ1~3種類(多くのキャラは2種類)しか存在しないため、例えば「制服」「巫女服」の2パターンしかない美琴(神社の娘)は、「''自宅の中でも、事件を調査しに街中を散策する際もずっと巫女服''」という事態が起こる。 ---一応はキャラクター説明で「家でも巫女服でいるのが好き」とあったり、デートに巫女服で来た際も「巫女のバイトが急に入って」と言ったりとフォローはあるのだが、段々と言い訳に見えてきかねないのは否めない。 --リディアが(本人の勘違いから)体操服やスクール水着を着て授業を受けることになるという明らかにサービスシーンらしき場面があるのだが、リディアの服装は1種類しかないためその場面でリディアの立ち絵は一切現れない。1枚絵も出ない。 -ゲーム内や『アクエリアンエイジ』の重要単語を解説した辞書機能が付いており、会話中でその単語が出てきた際に見られるようになっている。しかし長くても60文字くらいの簡単な解説しかないうえ、項目数が20余りと非常に少なくほとんど用をなしていない。 --そのくせ、別に本作特有の単語でもなんでもなく、ほとんど必要のない項目もある。&br()「予知」・・・「近い未来に起こる事態を見ることのできる超能力。」''分かってるよ!'' -日常風景のシーンで流れるBGMが、ヘンデル作曲「見よ勇者は帰る」(表彰式でよく流れるあの曲)に酷似している。著作権のとうに切れたクラシックなので法的に問題はないものの、BGMを理由もなくクラシックから引用するというのはモノ作りの姿勢としてどうかという話である。引用したと断定することはできないのは確かだが。 --なお、サウンドテストで見られるこの曲のタイトルは「Aquarian Age」・・・つまり、''このゲームのタイトル(ひいては、カードゲームを中心とするメディアミックス全体のタイトル)と同名''である。故意にしろそうでないにしろ、メインテーマと思しき曲がオリジナリティの全くない曲というのはどうなのか・・・ --サウンドテストにて、曲のタイトルが「アルカードと夜羽子の別れ」など、原作カードゲームをやっていないとさっぱり分からない人名・固有名詞が使われている。モード自体には問題ないのだが、途中で企画の変更でもあったのだろうか。 -登場キャラクターはカードゲームに既に登場していたキャラクターではなく、全てこのゲームで初登場したキャラクターであるため、ファン向け作品としても当時としては微妙なものだった。 --このゲームの限定版特典として登場キャラクターのプロモーションカードが封入されてはいるのだが、既存キャラクターのファンへの訴求力は高くないと言わざるを得ない。 **バグ -とにかく''バグや不具合だらけで、一度でも通しプレイをしたならば気づいて当然レベルのものがスルーされている''。 --「ギャラリー」でCGを見た後にゲームをスタートまたはロードすると、セーブ&ロードを始めとしたコンフィグ機能が使えないためセーブすらできなくなってしまう。 ---電源を切れば元に戻る性質のもので、公式サイトのほうにもそのバグについて報告されているが、アドベンチャーゲームでセーブ不能のバグとはあまりにお粗末。 --表示されている文章と台詞がずれており、既に読んだ1つ前の文章やまだ呼んでいない次の文章のボイスが再生される場合がある。 --立ち絵及び背景の指定にミスがあり、居ない筈のキャラ立ち絵が出ていたり、CGに立ち絵が重なるような場面もある。 --ゲームオーバーになった際のシーンに使われているCGが「ギャラリー」に登録されず、わざわざCGが表示されるシーンでセーブする必要がある。 --その他、誤字脱字など。 -後期出荷版では、バグは確認出来る限り全て修正されている模様。 **その他 -ゲームブックDSシリーズ第一弾の『[[ソードワールド2.0>ゲームブックDS ソード・ワールド2.0]]』の評判がよろしくなかった為、本作の出来も危ぶまれていたという。 --さらにゲームブックDSシリーズ第二弾の『[[鋼殻のレギオス>ゲームブックDS 鋼殻のレギオス]]』では「エピローグ近くで必ずフリーズする」という致命的なバグを抱えていたためその危惧に拍車がかかる事となった。本作は「それと比べれば」まだマシになっているらしい。 ---…尤も、三作ともこんな出来ではいずれもゲームブックを名乗るのさえおこがましいものであるが。下手をすると粗製乱造品が多かった時代のゲームブックよりも品質が悪い((例えるならパラグラフバグ・落丁・乱丁まみれのゲームブックを遊んでいるようなものである。))。 -イラスト担当は藤真拓哉氏。 --『ガラクタ・パーツ』『R-15』等のライトノベル作品や本作のように、氏が絵を担当した作品は地雷率が地味に高い(気がする)。余談だが、特に前者は壊滅レベルの出来。 **総評 -不親切かつボリュームに乏しいシステム設計と、デバッグという作業をしたのか疑わしくなるような多くのバグが評価を大きく落とした。現在一部のロムではバグは修正されておりまともに遊べるようになっているため、興味を持ったプレイヤーは買ってみるのもいいかもしれないが、一個のアドベンチャーゲームとしてもやや微妙な出来なのでお勧めはし難い。 -初回限定版にプロモーションカードやドラマCDが付いてきたため、それらの「おまけ」だと見做されているのが現状である。 --もっとも、最初のコンピューターゲーム化作品『アクエリアンエイジ~東京ウォーズ~』(PS1)の頃からアクエリアンエイジのゲーム化・映像化作品の扱いはそういうものではあった((コンピューターゲーム以外にもCDドラマ、小説、漫画(一部映画化)、OVA、テレビアニメ(のDVD)等があるが、極一部を除きいずれも「カードのおまけ」と言われている。またブロッコリー関係作品の『デ・ジ・キャラット』や『ギャラクシーエンジェル』等のDVDの付録にもなったりする。))。 --プロモカードは本家で使用可能だが強くもなく弱くもなく、「愛があれば使える」レベルのものにまとまっている。以前犯した「プロモカードが強すぎて本家TCGのバランスを崩す」という失敗は繰り返していないようだ。 ---かつてはプロモカードを(デッキ制限の)4枚ずつ揃える為に1万数千円するOVA限定版を4つ買う猛者も居た。DVD本体はすぐさま二束三文で中古屋行きだが。ただしTCG市場では人気カードは1枚数千円で取引される為、コアゲーマーにとっては安い買い物なのだろう((5枚+α(通常のレアカードなど)入っていた。ちなみに、このOVA付属プロモカード、まったく同じ物(絵は違うがルール上は同じカードとして扱う代物)を通常パックに封入される事が告知されており、そのパックが発売される前の全国大会一回だけの為に買い揃えたと言う凄まじさ。))。プレイヤー人口が上回る『マジック:ザ・ギャザリング』や『[[遊☆戯☆王>遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記]][[デュエルモンスターズ>遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX Card ALMANAC]]』だと1枚数万円で取引されるカードも存在する。 --その後、このゲームのプロモーションカード6枚は約1年後に別のカードパックで再録された。このゲームの存在価値がますます下がってしまったと言える。 ---同時に関連カード((「ブレイクカード」ポケモンカードゲームで言う進化カード。))による強化も行われており、このゲームのキャラクター(のカード)がフィーチャーされたと考えれば、悪いことではないのかもしれないが。 -それ以前に、このレベルのゲームもまともに作れなくなってしまったブロッコリーの未来が危惧されてならない。 --この作品の2ヶ月前に発売された『ダイスダイスファンタジア』も売れ行きが悲惨だったせいで目立たないものの、比較的単純なボードゲームというジャンルでありながら酷い出来であった。 ----
*ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period 【げーむぶっくでぃーえす あくえりあんえいじ ぱーぺちゅあるぴりおど】 |ジャンル|>|ゲームブック型アドベンチャー|&amazon(B002V91LS8)&br;&amazon(B002V91LSS)| |対応機種|>|ニンテンドーDS|~| |メディア|>|512MbitDSカード|~| |発売元|>|ブロッコリー|~| |開発元|>|日本アートメディア|~| |発売日|>|2010年2月25日|~| |定価(税別)|通常版|4,800円|~| |~|限定版|8,800円|~| |プレイ人数|>|1人|~| |レーティング|>|CERO:B(12歳以上対象)|~| |判定|>|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|>|&color(blue){''2010年クソゲーオブザイヤー携帯機部門次点''}&br;普通のアドベンチャーゲームをあくまで「ゲームブック」と主張&br;携帯アプリにも劣る快適さ、その癖選択肢の難易度が高め&br;進行に問題を生ずるバグの存在、その他多量に存在する表示バグ&br;''カードのおまけ''でゲームが付いてきたようなもの|~| |>|>|>|CENTER:''[[クソゲーオブザイヤー関連作品一覧>KOTYゲーム一覧]]''| |>|>|>|CENTER:''ゲームブックDSシリーズ''&br;[[ソード・ワールド2.0>ゲームブックDS ソード・ワールド2.0]] / [[鋼殻のレギオス>ゲームブックDS 鋼殻のレギオス]] / アクエリアンエイジ| //手持ちのバージョン(NTR-P-BA9J)で、「ギャラリー起動後セーブロード不可能バグ」「セリフずれバグ」「立ち絵バグ」「BADエンディング絵がギャラリーに登録されない」は全て修正されていることを確認しました。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ブロッコリーの『ゲームブックDS』シリーズ第三弾。~ 萌え系トレーディングカードゲームの先駆者((販売開始は『遊☆戯☆王 オフィシャルカードゲーム』と同年で、国産トレーディングカードゲームとしてもかなり古い方である。))『アクエリアンエイジ』(アクエリ)のキャラ設定を下敷きにしたゲーム。~ 設定は『アクエリ』のものも一部採用されてはいるが、基本的にストーリーやキャラクターは本作オリジナルである。 -なお、タイトルの「Perpetual Period」は直訳すると「果てしない時代」。 -イラスト担当は藤真拓哉氏。 **ストーリー >主人公・鳴神恭は、幼馴染である神社の娘・鳴神美琴の元に養子に入った孤児の高校生。~ 生活は怠惰で、朝起きるのを渋っては美琴に叩き起こされるのが日常茶飯事、授業中は専ら教室や屋上で寝ている。~ そんな中恭が住む紅月市では、今月になって原因不明の発火による死亡事件が相次いで発生。~ 「発火」というキーワードが、恭と美琴が幼いころに体験した謎の火災事件を思い出させる。~ 美琴は、恭に事件について調べたいと提案するのだった。 **システム -6人のメインヒロイン(美琴・ここな・ルゥリィ・優芽・リディア・アィ)がおり、それぞれにシナリオ・エンディングが1つずつ存在する。 -全シナリオに共通して、物語は4月21日から27日までの7日間が描かれる。 --ただし、初めに選べるのは美琴・ここな・ルゥリィのルートのみ。22日に複数ある選択肢次第で、残り5日間誰のルートになるか決まる仕組み。 --上記3人を全てクリアすると、優芽→リディア→アィとルート固定で話が進み(分岐するわけではないので、21日からそれぞれ独自のストーリー展開になる)、都合7周目で初めて解決編に移行する。 ---- **問題点 -「ゲームブック」と名乗ってはいるが、内容は普通のアドベンチャーゲームそのものである。 --選択肢の中では選ぶと一発でゲームオーバーになるものもあるが、それだけでは「ゲームブック」にはならない。 ---尤も、そんな選択肢を多発しているようなゲームブックでは確実に駄作の謗りを受けることは間違いないが。 --そもそも、説明書にゲームブックに付き物の戦闘のルールなどが書かれていない点で「怪しい」と感じられるのだが。 --限定版についてくるドラマCDでも突っ込まれている始末。 -ルート分岐についても問題がある。 --シナリオ上の必然とはいえ、自由にルートを選べないのは恋愛シミュレーション的に本作を見た場合不満が残る。 --ヒント機能などの洒落た物もなく攻略サイトも見当たらないため、ルートに入るための条件が分かり辛い。 --後述のセーブ面の問題もあって、特定のシーンやシナリオを再プレイする場合は最初からもう一度プレイすることを強いられる場合が多い。 //またシナリオの都合で27日(最終日)で強制的に最初に戻されるのがストレスを増させる。 //ループはシナリオ上の必然だった筈なので修正。事実誤認でしたら修正をお願いします……にしても他に見せ方無かったのか //ループ構造自体に問題がある訳ではないので、ループ関連の記述は問題点から外しました。 -システム周りは2010年のゲームでなくともかなり酷いレベル。恐らく十年は遅れている。 --ルート分岐やゲームオーバー直行の選択肢などがあるにもかかわらず、セーブデータはたったの3つしかない。もう1度見たいシーンやシナリオのセーブデータを取っておくなどということは難しく、やるにしてもせいぜい1つで妥協することになる。 --セーブ・ロード画面で確認できるセーブデータの説明に「現在の(ゲーム内の)日付」「現在のルート」しか書いておらず、セーブ地点の状況が碌に把握できない。 --バックログ機能や既読部分スキップ機能ぐらいはあるが、バックログから音声が再生できない、既読スキップは右ボタンを押しっぱなしにしないと機能しないなど若干の不満点は挙がる。 -シナリオ自体も見るに堪えないという程ではなく「見どころ」と言えるものはあるが、全体には凡作かそれ以下の出来。 --色々と事件は起こり、その過程でヒロインと仲良くなっていく描写は描かれているのだが、結局物語が進展するイベントがあまり多くないので全体に引き延ばし感が漂う。 --都合7周も引っ張った割に、ラスボスとの決戦やエンディングは至極あっさりと終わる。 --ラスボスの部下は非常に強く、こちらがもっと力をつけないと全く歯が立たないとされる描写が何度もある。色々あったものの目に見える形での成長は最後まで殆どなかったのだが、結局最後は土壇場で「主人公の想いの強さ」によってあっさり倒してしまう。 ---ただし原作設定でも「マインドブレイカー」((カードゲームでのプレイヤーはこの「マインドブレイカー」であり、その能力によってキャラクター達を使役しているという設定。))の想いによる「マインドブレイク」((『ポケットモンスター』で言う進化。毎回リセットされることを考えると『デジタルモンスター』(アニメ版限定)に近いかも。))で少女達が簡単にパワーアップする世界である。尤も毎回パワーアップがリセットされる事が基本の「対戦型カードゲーム」(原作)や「面クリア型ウォーゲーム」(後述の東京ウォーズが該当)ならともかく、アドベンチャーゲームでそれは如何かと言う話もあるが((ただし本作に限らず他のメディアミックスでも「ヒロインがピンチに陥るもマインドブレイクを受けて大逆転」と言う展開ばかりである(コメディ作品、もしくはマインドブレイカーが登場さえしない作品は例外)。))。 --エンディングについては、ラスボスを倒した後の余韻に浸ったりこれまでの道のりを振り返ったりなどは一切なく、単にヒロインとイチャイチャしたり「これからも共に歩んでゆく」みたいなセリフが入ってすぐ終わる。その量たるや、''ボイスやメッセージ送りを一切スキップせずに進めても3~4分で終わる''ほどで、''ライターが力尽きたんじゃないかと疑うくらい短い''。 --先に若干述べた通り、メインヒロイン6人それぞれに対して最終盤のシナリオやエンディングが変わる。最終日前日に選んだメインヒロイン1人と共にラスボス戦を戦い、エンディングを迎えることになるのだが、それまで仲間全員で戦っていたシナリオが急にヒロインと2人っきりのシナリオになるため大きな違和感が残る。強大なラスボス相手にヒロイン全員で戦うのは至極当然なはずなのだが、選ばれなかったメインヒロイン5人は''何の説明もないまま''ラスボス戦には全く登場せず、そのまま''エンディングまで出番は一切ない''。 --『アクエリアンエイジ』の世界観を下敷きにしていても、その世界観を全く活かせていない。「マインドブレイカー」の設定は登場するが、他の要素は原作とほとんど関係ない。 ---原作のTCGでは6つの「勢力」が覇権を争っているという設定であり、このゲームのヒロイン6人もプロモーションカードではそれぞれの6勢力に分類されている。しかしそういった世界観は本作ではほとんど描写されておらず、「WIZ-DOM」「極星帝国」といった原作の単語が何度か出てくるぐらいで本筋のストーリーにはごく僅かにしか関わってこない。 -立ち絵のパターンに乏しく、顔が10パターン程度変わるだけでポーズは一切変化しない。 --服装も各キャラ1~3種類(多くのキャラは2種類)しか存在しないため、例えば「制服」「巫女服」の2パターンしかない美琴(神社の娘)は、「''自宅の中でも、事件を調査しに街中を散策する際もずっと巫女服''」という事態が起こる。 ---一応はキャラクター説明で「家でも巫女服でいるのが好き」とあったり、デートに巫女服で来た際も「巫女のバイトが急に入って」と言ったりとフォローはあるのだが、段々と言い訳に見えてきかねないのは否めない。 --リディアが(本人の勘違いから)体操服やスクール水着を着て授業を受けることになるという明らかにサービスシーンらしき場面があるのだが、リディアの服装は1種類しかないためその場面でリディアの立ち絵は一切現れない。1枚絵も出ない。 -ゲーム内や『アクエリアンエイジ』の重要単語を解説した辞書機能が付いており、会話中でその単語が出てきた際に見られるようになっている。しかし長くても60文字程度の簡単な解説しかないうえ、項目数が20余りと非常に少なくほとんど用をなしていない。 --そのくせ、別に本作特有の単語でもなんでもなく、ほとんど必要のない項目もある。~ 「予知」…「近い未来に起こる事態を見ることのできる超能力。」''分かってるよ!'' -日常風景のシーンで流れるBGMが、ヘンデル作曲「見よ勇者は帰る」(表彰式でよく流れるあの曲)に酷似している。著作権のとうに切れたクラシックなので法的に問題はないものの、BGMを理由もなくクラシックから引用するというのはモノ作りの姿勢としてどうかという話である。引用したと断定することはできないのは確かだが。 --なお、サウンドテストで見られるこの曲のタイトルは「Aquarian Age」…つまり、''このゲームのタイトル(ひいては、カードゲームを中心とするメディアミックス全体のタイトル)と同名''である。故意にしろそうでないにしろ、メインテーマと思しき曲がオリジナリティの全くない曲というのはどうなのか… --サウンドテストにて、曲のタイトルが「アルカードと夜羽子の別れ」など、原作カードゲームをやっていないとさっぱり分からない人名・固有名詞が使われている。モード自体には問題ないのだが、途中で企画の変更でもあったのだろうか。 -登場キャラクターはカードゲームに既に登場していたキャラクターではなく、全てこのゲームで初登場したキャラクターであるため、ファン向け作品としても当時としては微妙なものだった。 --このゲームの限定版特典として登場キャラクターのプロモーションカードが封入されてはいるのだが、既存キャラクターのファンへの訴求力は高くないと言わざるを得ない。 ***バグ -とにかく''バグや不具合だらけで、一度でも通しプレイをしたならば気づいて当然レベルのものがスルーされている''。 --「ギャラリー」でCGを見た後にゲームをスタートまたはロードすると、セーブ&ロードを始めとしたコンフィグ機能が使えないためセーブすらできなくなってしまう。 ---電源を切れば元に戻る性質のもので、公式サイトのほうにもそのバグについて報告されているが、アドベンチャーゲームでセーブ不能のバグとはあまりにお粗末。 --表示されている文章と台詞がずれており、既に読んだ1つ前の文章・まだ読んでいない次の文章のボイスが再生される場合がある。 --立ち絵及び背景の指定にミスがあり、居ない筈のキャラ立ち絵が出ていたり、CGに立ち絵が重なるような場面もある。 --ゲームオーバーになった際のシーンに使われているCGが「ギャラリー」に登録されず、わざわざCGが表示されるシーンでセーブする必要がある。 --その他、誤字脱字など。 -後期出荷版では、バグは確認出来る限り全て修正されている模様。 --直しただけまだマシではあるが、これでは、初期版のユーザーは有料デバッグをさせられたのに近い。 ---- **評価点 -メインヒロインはボイス付きで、堀江由衣氏、沢城みゆき氏、田村ゆかり氏、榎本温子氏、榊原ゆい氏、高垣彩陽氏と名の知られた声優が多い。 --ただし、DSの容量の都合か作業量の関係か、ボイスが付いている部分はキャラクター登場時と終盤の重要シーン、分量にして全体の10~15%程度に限られる。 ---- **総評 不親切かつボリュームに乏しいシステム設計と、デバッグという作業をしたのか疑わしくなるような多くのバグが評価を大きく落とした。現在一部のロムではバグは修正されておりまともに遊べるようになっているため、興味を持ったプレイヤーは買ってみるのもいいかもしれないが、一個のアドベンチャーゲームとしてもかなり微妙な出来なのでお勧めはし難い。 初回限定版にプロモーションカードやドラマCDが付いてきたため、それらの「おまけ」だと見做されているのが現状である。 ---- **余談 -アクエリアンエイジのゲーム化・映像化作品は、最初のコンピューターゲーム化作品『アクエリアンエイジ~東京ウォーズ~』(PS1)の頃から「カードのおまけ」扱いではあり、特に本作に限った話ではない((コンピューターゲーム以外にもCDドラマ、小説、漫画(一部映画化)、OVA、テレビアニメ(のDVD)等があるが、極一部を除きいずれも当てはまる。またブロッコリーが版権を持つ『デ・ジ・キャラット』や『ギャラクシーエンジェル』等のDVDの付録になった事もある。))。 -プロモカードは本家で使用可能だが強くもなく弱くもなく、「愛があれば使える」レベルのものにまとまっている。以前犯した「プロモカードが強すぎて本家TCGのバランスを崩す」という失敗は繰り返していないようだ。 --かつてはプロモカードを(デッキ制限の)4枚ずつ揃える為に1万数千円するOVA限定版を4つ買う猛者も居た(DVD本体はすぐさま二束三文で中古屋行きだが)。ただしTCG市場では人気カードは1枚数千円で取引される為、コアゲーマーにとっては安い買い物なのだろう((5枚+α(通常のレアカードなど)入っていた。ちなみに、このOVA付属プロモカード、まったく同じ物(絵は違うがルール上は同じカードとして扱う代物)を通常パックに封入される事が告知されており、そのパックが発売される前の全国大会一回だけの為に買い揃えたと言う凄まじさ。))。プレイヤー人口が上回る『[[マジック:ザ・ギャザリング>Magic: The Gathering - Duels of the Planeswalkers]]』や『[[遊☆戯☆王>遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記 遊戯デッキ/城之内デッキ/海馬デッキ]][[デュエルモンスターズ>遊☆戯☆王デュエルモンスターズ]]』に至っては1枚数万円で取引されるカードが普通に存在する((極端な例では『M:TG』の「Black Lotus」と言うカードは、超強力な絶版カード(再録禁止)と言う事もあり、アルファ版(初版)美品なら1枚1000万円、ベータ版は400万円、アンリミテッド版(第3版)が200万円。第3版傷ありでも50万円(2021年時)と言われている。しかも、このカードを狙った強盗殺人事件さえ起きたり、偽造集団が摘発されたり等、『遊☆戯☆王』作中みたいな話が現実で起きているのだ。))。 -ゲームブックDSシリーズ第一弾の『[[ソードワールド2.0>ゲームブックDS ソード・ワールド2.0]]』の評判がよろしくなかった為、本作の出来も危ぶまれていたという。 --さらにゲームブックDSシリーズ第二弾の『[[鋼殻のレギオス>ゲームブックDS 鋼殻のレギオス]]』では「エピローグ近くで必ずフリーズする」という致命的なバグを抱えていたためその危惧に拍車がかかる事となった。本作は「それと比べれば」まだマシになっているらしい。 ---…尤も、三作ともこんな出来ではいずれもゲームブックを名乗るのさえおこがましいものであるが。下手をすると粗製乱造品が多かった時代のゲームブックよりも品質が悪い((例えるならパラグラフバグ・落丁・乱丁まみれのゲームブックを遊んでいるようなものである。))。 //-真拓哉氏が絵を担当した作品は地雷率が地味に高い(気がする((無論、『魔法少女リリカルなのはVivid』など一定以上の評価を得ている作品も存在する。)))。 //--『ガラクタ・パーツ』『R-15』等のライトノベル作品や本作が例。余談だが、特に『ガラクタ・パーツ』は壊滅レベルの出来。 //この部分いります?気がする、だと個人の意見にもとらえかねないと思われますし… ///言いがかりかつ侮辱で、おまけに上の意見を丸ごと事実と認めてすら、当人には全く責任などない話だからなあ。ひとまずCO。削除でいいと思うけど。 ---- **その後 -このゲームのプロモーションカード6枚は約1年後に別のカードパックで再録された。このゲームの存在価値がますます下がってしまったと言える。((ゲーム付録カードが再録されることは遊戯王など他のTCGでも見られる。遊戯王の場合ストラクチャーデッキや特殊なパックで手に入りやすい。)) --同時に関連カード((「ブレイクカード」ポケモンカードゲームで言う進化カード。))による強化も行われており、このゲームのキャラクター(のカード)が活躍するチャンスが増えたと思えば、悪いことではないのかもしれないが。 --それ以前に、このレベルのゲームもまともに作れなくなってしまったブロッコリーの未来が危惧されてならない。 --この作品の2ヶ月前に発売された『ダイスダイスファンタジア』も売れ行きが悲惨だったせいで目立たないものの、比較的単純なボードゲームというジャンルでありながら酷い出来であった。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: