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デジモンセイバーズ アナザーミッション」を以下のとおり復元します。
*デジモンセイバーズ アナザーミッション
【でじもんせいばーず あなざーみっしょん】
|ジャンル|ドラマチックRPG|#amazon(B000IBGGC2)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|バンダイナムコゲームス|~|
|開発元|ベック|~|
|発売日|2006年11月30日|~|
|定価|7,140円|~|
|分類|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|ある意味デジモンバトルターミナルのコンシューマ版&br()発想だけは奇抜な面倒くさいシステム&br()何をするにもロード地獄&br()ステージ内容は薄いのにエンカウントは濃い&br()キャラゲーとしてもやや中途半端&br()七大魔王が初めて映像で集結した作品|~|
|>|>|CENTER:''[[デジタルモンスターシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1851.html]]''|

*概要
2006年4月から2007年3月まで放送されていたTVアニメーション『デジモンセイバーズ』をゲーム化した作品。~
しかし、実際は同時期に稼働していたデータカードダスゲーム『究極対戦!!デジモンバトルターミナル』のグラフィックを流用した作品で、登場デジモンの大半はそこから使いまわされている。

「エモーショナルコマンド・システム」という独自の戦闘システムを用いたRPGであり、進化にも「ギャラクティカエボリューション・システム」というものが用いられている。~
ストーリーの本筋に関わるパートはほぼフルボイスである。声優も全員同じであり、当時アニメ版でもメインキャラクター・藤枝淑乃役で声優参加していた新垣結衣もアフレコに参加している((ちなみにデジモンバトルターミナル後に再出発として稼働した『デジモンクロスウォーズ 超デジカ大戦』でも淑乃は登場したが、代役が用いられている。))。~
シナリオは完全オリジナルである。脚本はアニメ本編関係者ではなく、デジモンネクストの原作担当である浜崎達也が書いた。

デジモンセイバーズ単体を題材としている点は、。~
しかし、内容的にはファンを満足させる出来かと言われると、首をかしげる部分が多く、キャラゲーとして見ても手を抜いている部分が見られるところも多々ある。~
そして何より、ゲームとしての出来はあまり良いとは到底言えない。
*問題点
**問題しかない独自システムの数々
-俺のやりたいことだけやらせろ!デジモンの感情がプレイヤーを左右するエモーショナルコマンド・システム。
--パートナーとモンスターといったような関係を主軸とするRPGは他にもよくあるが、基本的にはプレイヤーが戦術を考え、指示を与えていく。しかし本作では、その行動は戦術と関係なくデジモン側に依存することになるシステムが用いられている。
---キャラクターのターンが来ると、デジモンの周りに六角形のコマンドが蜂の巣状に表示され、画面を埋め尽くす((全てを埋め尽くさない場合もあるが、基本的には全てが埋まる))。六角形のコマンドには、それぞれ技の名称やそのデジモンが持つ一定のコマンドが記されているのだが、その数が一番多いものを選ばないとデジモンとの好感度があがらない。
---ゲーム中の説明になぞらえるなら、アグモンが「ベビーフレイム」という技を使いたい時、画面にはベビーフレイムのコマンドが多く表示される。「するどいツメ」もちょくちょく見られるが、この場合は「ベビーフレイム」を選ばないとデジモンの意向に反してしまい、好感度があがらなくなってしまう。
---しかもこれ、明らかに数が多いコマンドが一目でわかれば良いのだが、はっきり言ってどちらが多いか微妙なラインなことも少なくなく、最良のコマンドを選ぶためにコマンド数を数えないといけない作業に追われることもしばしば。
--これらのコマンドはデジモンの気に左右される。攻撃を受けすぎると弱気になって「にげる」などのコマンドしか出なくなってしまう。そういった場合は、デジモンの気に左右されないテイマーのサポートコマンドを使用することである程度感情をコントロールする必要がある。
---これを説明するために、ゲームにおける初戦闘(イベント戦)中、アグモンはオタマモンの攻撃を一撃受けただけで弱気になり、画面一杯に「逃げる」コマンドが広がるパートがある。気の移り変わりが激しいわけでも、気が弱いわけでもないキャラを使って説明する必要があったのか。
--普通のRPGなら戦術を考えなくてはならないが、本作ではデジモンのメンタルも考慮に入れなくてはならない。話だけ聞くと面白そうに見えるが、このせいでゲームテンポが悪くなってしまっており、ただ面倒さだけが際立つのみである。

-え?アグモンがあんなデジモンに進化?煩わしさばかりのギャラクティカエボリューション・システム。
--本作は星座をなぞりながら進化を開放していく…という名の進化条件やその系図を星座になぞらえた進化システムが存在する。
--進化条件を揃えると、コマンドの中に「デジソウルチャージ」が表示されるようになり、選択するとデジモンが進化する。こう聞くと普通に見えるが、進化条件開放後は戦闘開始からいきなりその進化状態で戦うようになる。よって、アニメのデジモンゲームでありながら、正規のデジモン進化シーンを見られるのは開放した最初の一回だけである。
---ということは3段階しかない=3回しか進化が見られない…と思いきやそれも違う。なんと本作では星座の中に劇中では進化したことがない別のデジモンに進化することが可能なのである。そのため、完全体のライズグレイモンに進化しているのに、デジソウルチャージしたらティラノモンに退化した、ということも起こる。
---最大の問題点は、一度進化すると他の進化条件を満たさない限り、その姿で戦わなくてはいけないということである。よって進化したらとんでもなく弱いデジモンになってしまった!としても戦いが終わるまではその姿で戦わなくてはならない。
---進化後は、そのままだと最後に進化したデジモンの姿で戦うことになってしまうので、星座を開いて一回一回自分の好みのデジモンに設定し直さないといけない。面倒だが、戦闘中に進化しないと進化を開放したことにならないので、嫌でも必ず進化させないといけない。ウザい。
---当然正規の進化は3種くらいしかなく、それ以外のほぼ8割程度はまったく関係のないデジモンである。完全体から成熟期に、という退化パターンあるため、劇中と同じく「アグモン進化ぁ!ジオグレイモン!」といった掛け声も、システムの構造のせいで導入しようがなかった。無言の進化シーンを見せられても、当然ファンは盛り上がらない((テイマーの「デジソウルチャージ!」というボイスは全員に導入されている。しかし劇中では完全体では「デジソウル、フルチャージ!」、究極体では「デジソウルチャージ!オーバードライブ!」と呼び分けられていたのだが、本作では全て「デジソウルチャージ!」で統一。))。
--ちなみに、正規の進化以外だと戦闘中のキャラクターボイスも消失する。なんのためにこんな番外進化を付けたのだろうか。
---さらに進化するデジモンも、イロモノ系がかなり多い。主人公のデジモンがチューモンなど、小悪党として扱われやすいデジモンに進化して、喜ぶ人が果たしているのか。
---デジソウルチャージの際、アグモンのパートナーで主人公の大門大のみは、敵を殴ってダメージを与えてから進化の体勢に入る。その際、大でトドメを刺してしまうと進化に失敗する。せっかくの劇中再現なのにむしろ妨げになってしまっているのは残念なことである。

**その他の問題
-とにかくロードが多い。
--ロードが問題点にあがりやすいRPGにはお決まりの「戦闘中」は勿論、メニュー画面や進化系図を見る星座を開くにもロードが長い。とにかくこれだけでストレスが溜まる。

-エンカウント率が高い。
--上記のロードの問題があるため、尚の事ストレスが溜まる。
--そのくせステージ自体はエンカウントを考慮しなければ、さして密度の濃いものではない。エンカウントで水増しをするな。

-バトルターミナルの使い回しなため、エフェクトも壮絶に使い回ししている。
--例えば、ベビーフレイムは火炎弾を発射するエフェクトになっているが、これと攻撃属性が同じなら、例えどの成長形態で放たれても、ショボイエフェクトは全て同じである。つまり、究極体であるシャイングレイモンの必殺技「グロリアス・バースト」も当然のように同じエフェクト。ショボくて盛り上がらない。
---ちなみに、何故か唯一「ジオグレイソード」だけは妙に演出が凝っている。TVアニメ版では「スグオレルソード」と揶揄され、まるで活躍しなかったのに…((この点は、アニメ制作と同時進行でゲームの製作が行われたため、まさかジオグレイソードがあんな活躍で終わるとはスタッフも思っていなかったのだろう。))。

-キャラゲーとしての中途半端さ((上記であげた、進化システムでの問題(正規進化がそれぞれ一度しか見られない、進化時のデジモンボイスがない)も含める。))。
--一部のキャラの声質が違う。
--特に目立つのがシャイングレイモン。劇中はライズグレイモンと同じくらいの声の低さだったが、本作ではかなりドスの効いた声になっている((ジオグレイソードの件と同じく、シャイングレイモンの声を当てたのがアニメで登場する前だったからだと思われる。そのため、演技指導もゲーム版とアニメ版で分かれる結果となったのだろう。))。
--デジモン達は倒されるとアニメ本編と同じくデジタマに戻る。しかもこれはこちらのパートナーデジモンにも適用される。
---アニメ本編では「デジモンになると記憶がリセットされる」設定であり、アグモンも一度だけデジタマに戻るという悲劇に見舞われているが、パートナーとの絆のおかげで記憶を保ったというストーリー的には熱い内容が用意されている。本作ではアイテムを使えばすぐにデジタマから復帰出来る。感動も何もあったものではない。

-シナリオで撒かれる謎が浅い。
--デーモンの正体や、事件の黒幕などは、謎が溶ける前にあっさりわかってしまうような展開が多く、興ざめなところが多い。
**評価点
-キャラゲーとしては中途半端だが、小ネタに関しては比較的良く拾っている点。
--回復アイテムに「小百合の玉子焼き((大門大の母親が作った玉子焼き、アグモンの好物。))」が存在する。
--本作のオリキャラ・桂小三郎のパートナーはピヨモンになっている。しかしセイバーズ本編でのピヨモンは、大門大の妹・大門知香と親交を深めたデジモンである。そのため、ゲームでも大がそのことに言及し、知香の知るピヨモンではないか?と聞くシーンがある((本編では最終的に知香との記憶を全てリセットされて蘇るが、本能的に知香のことを守ろうとする、という切なくも熱い展開になっている。))。本作では声も性格も進化の順((知香のピヨモンはアクィラモン→ガルダモン、小三郎のピヨモンは武内空のピヨモンと同じ。))も異なるため、別個体である。
--勝利台詞に、劇中における名台詞がいくつか入っている。
---特に大門大からは、ファンの間でも印象深いとされる漢の台詞がいくつも聞ける。

-七大魔王がゲームとはいえ集結する点。
--この点はこのゲームの売りの一つになっていた。ちなみに本編は「ロイヤルナイツ」が全員ではないが最も集結した作品となっている。
--なお、七大魔王の一体「ベルフェモン」はアニメにも登場し、第3クール最大のボスとして君臨するが、本作のものとは別個体である。

-全編本作オリジナルのBGMの作り込みは比較的良好。
--この点はアニメ楽曲のアレンジでもなければ、バトルターミナルの流用でもない。
--戦闘音楽はストーリーの進行状況によって変わる。よってもう一度聞きたいからと言って最初のフィールドに戻っても、その楽曲は聞けなくなってしまう。

-ゲスト声優の豪華さ。
--本作発売時点で有名な声優として、沢城みゆき、うえだゆうじ、千葉一伸((本編でも別の役だが参加している。))、関俊彦など。
--脇も、当時東映アニメーションの作品で比較的常連的に参加していた面子が顔を揃えており、雰囲気はちゃんと出ている。

-本作に収録されているデジモン図鑑において、内容がデジモンセイバーズ本編ではなく過去作であるデジモンアドベンチャーからのネタを使っている点が多いこと。
--パンプモンとゴツモンが渋谷系と記されている((デジモンアドベンチャー第33話でコンビ登場したキャラ。タイトルもズバリ「パンプとゴツは渋谷系デジモン」。))など、基本的にはアドベンチャーからのネタが多い。ちなみにゴツモンはセイバーズでは準レギュラー的存在だった。
--デジモンアドベンチャーからのファンは思わずニヤリとしてしまうが、セイバーズしか知らないプレイヤーにとっては一体何を語っているのか理解されないだろう。他のゲームならいざ知らず、本作で過去作のファンに媚びた内容をチョイスしたのは、果たしてベストな判断だったのかは疑わしい。

**総評
ゲームとしては問題だらけ、キャラゲーとしてはいまいち、中身は使い回しだらけと、かなり問題点の多い手抜きゲーム。~
デジモンゲーム暗黒期の作品ということからか、発想自体は買える部分もあるが、その多くは非常に残念な内容となってしまった。~
デジモンセイバーズ自体の不振もあって、ほとんど話題にあがらなかったが、残念なことはファンすらその存在を知るものが少ないということである。~

ただ、フルボイスでオリジナルのストーリーが体感出来るという点だけ見れば、ファンにとってまったく美味しいポイントがないわけではない。~
しかしファンにとって、唯一まともに声付きでキャラクターが登場しているゲームがこれだけ、と見ると少々残念な限りである。

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