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ひぐらしのなく頃に絆 第一巻・祟/第二巻・想/第三巻・螺/第四巻・絆」を以下のとおり復元します。
本稿ではDS版『ひぐらしのなく頃に絆』(劣化ゲー)、およびPS3/PSV版『ひぐらしのなく頃に粋』(判定なし)を紹介します。
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*ひぐらしのなく頃に絆 第一巻・祟/第二巻・想/第三巻・螺/第四巻・絆
【ひぐらしのなくころにきずな だいいっかん・たたり/だいにかん・そう/だいさんかん・らせん/だいよんかん・きずな】
|ジャンル|サスペンスアドベンチャーノベル|&amazon(B0014F9V32)|&amazon(B001E9641U)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|~|
|メディア|2GbitDSカード|~|~|
|販売・開発元|アルケミスト|~|~|
|発売元|加賀クリエイト|~|~|
|発売日|第一巻・祟:2008年6月26日&br;第二巻・想:2008年11月27日&br;一・二巻パック:2009年12月23日&br;第三巻・螺:2009年5月28日&br;第四巻・絆:2010年2月25日|~|~|
|定価|通常版(一、二、三巻):3,990円&br;通常版(四巻):5,040円&br;限定版(一、二、三巻):7,140円&br;限定版(四巻):8,190円&br;一・二巻パック:5,800円|&amazon(B001TH8EG0)|&amazon(B002TSC7HK)|
|判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~|~|
|ポイント|容量の都合とはいえ分割商法には非難囂々&brクオリティはやはり携帯機水準&br独自のシステムが仇に&brオリジナルシナリオは賛否両論&br声が少ない|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[なく頃にシリーズ]]''|

**概要(絆)
『祭』をベースとして、新規ストーリーを加えた四巻構成となっており、一巻につき四つの編が収録されている(ただし『祭』収録の「盥回し編」「憑落し編」は収録されていない)。~
新規ストーリーの全てが完全オリジナルというわけではなく、原作の『ひぐらしのなく頃に礼』に収録されたストーリーの改変や、漫画版を元に作られたシナリオもある。~
第四巻では原作の『カケラ紡ぎ』を含めた「祭囃し編」全編に加え、『祭』の最終章・「澪尽し編」は三部構成となり、大幅な改変が加えられ収録されている。~
レーティングは『祭』同様CERO:D(ただし第四巻のみ『C』)。また、規制がやや緩和された(血飛沫の色が青→赤、など)。~
また、DSというハードを活かし、『感情選択システム』を追加したが…

#region(close,追加主要登場人物)
:''公由夏美''|垣内市に住む、母方に公由家の血筋を引く女子高生。同級生の藤堂暁に憧れている。外伝漫画「鬼曝し編」の主人公。『祭』においても少しだけ登場していた。
:''南井巴''|垣内署の刑事。大石とは既知の仲で、亡き父の死の謎を追っている。妹のまどかとは不仲。CS版オリジナルキャラクター。こちらも『祭』のTIPSにて登場していた。
:''赤坂美雪''|「暇潰し編」で登場した赤坂衛の一人娘。同時に彼にとっては、亡き妻の忘れ形見でもある。後に結婚し、反町姓を名乗る。&br()初出は漫画版「暇潰し編」の傷心の赤坂を慰めるというオリジナルシーンで、本作でも追加シーンとして採用されている。だが、成人の姿は本作が初。
:''荒川龍之介''|フリーライターで、「オヤシロさまの祟り」の真実を記事にするため、雛見沢へ美雪と共に向かう。&br()父・龍一もフリーライターだったが水死しており、そのことはある人物に「予言」されていた。&br()漫画版「宵越し編」では登場人物の一人であったが、本作では同編の主人公となっている。
:''ハィ=リューン・イェアソムール・ジェダ''|角を持つ異次元人「リューンの民」の中でも、「リューンの民」の精神体が人間に憑依したことで暴走した『混血』を狩る監視者「ジェダ」の役目を持つ少女。&br()「リューンの民」は老化の代わりに精神・肉体化が次第に単純化する(=姿が幼くなる)とされ、彼女は「皆殺し編」等に登場するある人物の若い頃の姿である。
#endregion

#region(close,追加シナリオあらすじ)
:''染伝し編''|夏美は平穏な日常を過ごす中で、同級生の藤堂暁に恋をする。しかし彼女の日常は、故郷の雛見沢村を襲った惨劇を機に一変する……。&br()第一巻・祟に収録。外伝の漫画作品である「鬼曝し編」を元に作られたシナリオ。
:''異本・昼壊し編''|ある日レナは突然降って来た何かを呑み込んでしまう。それは古手神社の宝物「フワラズの勾玉」と呼ばれるもので、対になる勾玉を持つ者を好きになってしまうという。&br()そしてレナは勾玉の持ち主にべた惚れ。どうすればこの事態は解決するのだろうか……?&br()第二巻・想に収録。『ひぐらしのなく頃に礼』に収録された「昼壊し編」を元にしたシナリオ。後半の展開が大きく異なる。
:''影紡し編''|雛見沢村を襲った悲劇を機に豹変した夏美。友人の千紗登たちは彼女の心を開こうとするも、そこに巴たち警察が接触したことで、事態は急変する。&br()第二巻・想に収録。染伝し編の解答編といえるシナリオ。ただしこれだけで全ての謎は解決しない。
:''宵越し編''|平成18年、かつての惨劇によって滅びた雛見沢村跡地に取材で訪れた荒川龍ノ介と反町美雪は集団自殺死体を目撃する。&br()救援を求めるべく辿り着いた集会所で数々の人々、そして「園崎魅音」を名乗る妙齢の女性と出会う。&br()第三巻・螺に収録。外伝漫画の同名の編のものを元に作られたシナリオ。主人公が変更された他、美雪が登場している。
:''解々し編''|昭和57年の秋、巴は竜宮礼奈にかかわる事件を追って、雛見沢村に向かう。&br()第三巻・螺に収録。「澪尽し編・第二部」に続くシナリオ。
:''賽殺し編''|平和な日常の最中、梨花は自転車のよそ見運転により事故に遭ってしまう。目覚めた梨花のいる世界は、今までの世界とはどこか異なるようで……。&br()第四巻・絆に収録。『ひぐらしのなく頃に礼』に収録されていた同編と同じ。
:''言祝し編''|ハィ=リューン・イェアソムール・ジェダは『混血』を狩る中で、一人の青年と出会い、共に暮らすようになる。&br()第四巻・絆に収録。『祭』における「澪尽し編」の中盤部分を改訂したシナリオ。かなりの物議を醸した作品(後述)。
#endregion

**問題点(絆)
-何より一番の問題点と言えるのが、その販売方法にある。
--一巻から三巻まで、それぞれ約四千円、四巻はやや高い約五千円に値段が設定されている(通常版の場合)。
--すなわち合計約''一万七千円''である。わざわざ言うまでもないが高い。
---法外と言われた『祭』と『カケラ遊び・アペンド版』の総額よりもさらに上をいく。
---前述のように、4分割してすら容量はギリギリであり、パートボイス化やBGMの劣化を招いている。~
そのため「無理してDSで発売したこと自体が間違いだったのでは」という意見すら出ることとなった。
--販売数が予想よりはるかに低く、利益が得られなかったから第四巻の「澪尽し編」はボイスなしになったのだとも噂される始末である。
---実際には、容量の都合が大きいと思われる。

-グラフィックやBGMの劣化
--据え置き機と携帯ゲーム機を比較するのは酷かもしれないが、やはり様々な点で劣化が見られている。
--特にキャラクターなどの拡大表現の際は、ドットがばっちり見えてしまうほどである。ただしCGに関して言えば、劣化はほとんど見られない。
--BGMについては、第一巻では『祭』のものをそのまま流用していたため、あまり問題にはならなかった。~
しかし第二巻以降では、ボーカル曲を除いてMIDI音源となり、微妙なものとなってしまった。

-パートボイス化
--『祭』にも収録された既存のストーリーは、容量の都合で''主要キャラを含めて''大半のボイスがカットされてしまった。
---第二巻の「目明し編」は、なんと主人公のボイスがシナリオ最終盤ぐらいしか収録されていないという始末。
--もちろん『カケラ遊び』ではボイスが収録されていたTIPSは全ボイスカット。容量の関係とはいえこれは杜撰すぎる。
--また、新規シナリオについてはフルボイスを謳っていたが、「宵越し編」は主人公のボイスが全収録されていない。
---そして一番恐ろしいのは、最終章の「澪尽し編」。このシナリオ、なんと''新規追加部分含め、全編ボイスがない''。
---一応、「澪尽し編」と同じ巻に収録された「祭囃し編」は主要キャラクターがフルボイスになっている。~
「祭囃し編」と「澪尽し編」はどちらも最終章として書かれただけあって大ボリュームであるため、恐らくは「容量の都合でどちらもパートボイスにしてしまうよりは、CS初収録の「祭囃し編」だけでもフルボイス化した方が良いだろう」という判断が働いたのだと思われるが、せめてクライマックスの数個の台詞だけでもボイスを付けることはできなかったのであろうか。

-感情選択システム&付箋システムについて
--『感情選択システム』は第一巻から導入されているシステムで、通常の選択肢が出る所で、円のようなものが出現する。
--円は十字で四つで区切られており、上に近ければ『真面目』、下に近ければ『冗談』、左に近ければ『冷静』、右に近ければ『熱血』と、キャラクターの感情からストーリーを進行させられる。
---とはいったものの、実際は円の中に見えない枠が2~3ほど存在しており、その枠内の選択を採るというだけの代物である。
--もちろん自分の思った通りにストーリーが進められるはずもなく、シナリオの分岐フラグを立てられずに「鬼隠し編」にしか進めない人が続出した。
---その結果、公式が謝罪CMまで放送し、公式サイトには攻略手順が掲載された。
---また、二巻以降はそれぞれのシナリオが完全に独立したため、このような現象は解消された。
--そもそも二巻以降は、感情選択システムと言いながらも、全く感情が関係してこなくなってしまった。
---そして第四巻ではとうとう、感情選択システムが使われなくなった。
--『付箋システム』は、TIPSとシナリオの両方に関わるシステムで、TIPSに付箋を貼ることで、選択肢に変化を与える。
---『感情選択システム』の選択肢をスキップすることもできるが、重要な選択肢さえもスキップしてしまうという両刃の剣。
---一応どのTIPSに付箋を貼ればいいか、などはヒントが記されているが、どのタイミングで使用すればいいかは分からない。
--このシステムも、TIPSの総数が極めて少ない第四巻では、当然の如くオミットされた。

-パスワード機能
--前の巻でいくつかのTIPSに付属していたパスワードを入力することで、そのTIPS自体やヒントを入手することが可能。
--前作を購入した人向けかと思いきや、公式サイトで当然の如くパスワードを公開していた。
---そして最終的にパスワードなどあってもなくても大して変わらないもののような扱いを受けている始末である。
--また意地の悪いことに、第二巻では、あるパスワードは''第二巻自体にも使える''ものであり、それを使用しない限り見られないおまけがある。
---もちろんそれはノーヒントである。第一巻のパスワードをすべて入力して一枠余ることには気付けても、本作自身のものが使えるとは誰も思うまい。
--また、第四巻では前作のパスワードを入力すると、『カケラ紡ぎ』をスキップしてすぐに「澪尽し編」を始められる。
---一応原作既プレイ者への配慮と言えなくもないのだが、「澪尽し編」独自の伏線まですっ飛ばされてしまう。どちらにしろ『カケラ紡ぎ』をやってからプレイした方がいいだろう。

**賛否両論点(絆)
-追加シナリオ・追加キャラについて
--漫画版の「鬼曝し編」を元に作られた「染伝し編」と「影紡し編」は、原作のシナリオが良好であるため、比較的評価は高い。
---ただし両編の登場人物であり、漫画版には存在しないオリジナルキャラ「南井 巴」を主人公に据えた「解々し編」は、「解々し」というタイトルに反して謎が全く解明されない((「澪尽し編・第二部」への前フリといった感じの物語になっているため、むしろ伏線が増えた状態となってしまった。))
--「宵越し編」は原作となる漫画版とは主人公の立場に立つ人物が異なり、また新キャラクターとして赤坂衛の娘である「反町 美雪」の出番が追加された。しかしこちらも順当な評価は得られている。
---問題は本シナリオに入るまでに、強制的に「罪滅し編」のバッドエンドを見なければならないという点(更に、「宵越し編」をクリアしないと「罪滅し編」のトゥルーエンドに到達できない仕様になっている)。
---流れ的には、『罪滅し編BAD→宵越し編→罪滅し編』となる。「宵越し編」が「罪滅し編」のバッドエンド後の世界を舞台にしているからという事情もあるのだが、実にまどろっこしい。
--「言祝し編」は、原作の最重要人物と言えるある人物の過去を描いたシナリオであり、何とそのキャラクターが''異世界人''であると発売前情報の時点から明かされたため、とにかく不評の嵐であった。
---だが実際に発売されてみれば、極めて評価の高いシナリオであった。ただしそれが『ひぐらし』の世界観に合っているかは別であるが。
---ちなみに、「曖昧な記憶、古文書の解釈を元に作られた物語の一つであり、事実とは限らない」という旨の前置きがされており、本編と繋がらないパラレルの物語と捉えることもできるようになっている。((また、その人物は後に『うみねこのなく頃に』に登場するある人物と同一人物とも言われたことがある。))
--また目明し編のバッドエンドにて、圭一と魅音とのデートが追加された。内容自体は「もう一つの結末」と呼べる程で、関連TIPSの内容も目明し編(及び綿流し編)の内容に沿っているなど十分な出来栄えとなっているが、魅音贔屓は健在であるため賛否は多い。

-澪尽し編について
--『祭』に収録された「澪尽し編」は、中盤がある人物の過去の描写を語る内容であったのに対し、『絆』における「澪尽し編」は該当部分が独立したシナリオとして分離され、三部構成の第二部では新たに上記の「南井 巴」を主軸に据えた「染伝し編」「影紡し編」「解々し編」に対する解答ともいえるシナリオが追加されている。
---この削られた部分から導入された別シナリオというのが、前述した「言祝し編」である。
--第二部についてよく言われるのが、''素晴らしいストーリーではあるが、別に『ひぐらし』である必要がない''、ということ(『言祝し編』も似たような評価を受けることが多い)。
---『原作には存在しない人物』である「南井 巴」の警察官としての信条や組織人としての葛藤、両親や大切な人を殺した犯人を懸命に追い求める姿勢などをメインに持ってきたシナリオである上、『ひぐらし』の特徴である怪奇譚的要素がほとんどないため、「雰囲気が違い過ぎて『ひぐらし』である必然性がない」という批判を受けることとなった。
---全体的な雰囲気を小説のジャンルで例えるならば、「言祝し編」は「中二病とSFの要素が強いライトノベル」、「澪尽し編・第二部」は「二時間ドラマの原作になりそうな社会派ミステリ((原作にも「国家レベルの陰謀」といった要素は含まれていたが、「澪尽し編・第二部」では官僚に対する贈賄などの政治的問題がかなり具体的に描かれている。))」といった感じである。~
物語としての完成度はともかく、原作とはほとんど別物になってしまっている。
---このため、特に「澪尽し編・第二部」に対する賛否は極端に分かれており、匿名掲示板では物語としての出来を大絶賛する人と原作からかけ離れ過ぎていると批判する人で大論争が起こった。
--一応、原作では未回収であった伏線の一部を回収したり、「竜宮 レナ」の雛見沢に戻ってくる前の過去を描くなど、シナリオの完成度自体は高いものとなっている。
---ただ、「澪尽し編・第二部」で明かされた真実を踏まえるとそれまでの話に腑に落ちない描写が一部残ることになるなど、伏線がすべて回収できたわけではない。
---また、この編では前述の「夏美」が、(薬品の影響とはいえ)通常では暴走しない状況で暴走するため、キャラ改変に対する批判が集まった。
--第二部以外でも、梨花の傍にいたある人物が姿を現さなくなった理由が変更され、それに伴って要所要所で改変がなされた。
---ただし、相変わらず魅音贔屓は変わらない(どころか上述の通り増えている)。第二部でレナがフォローされたと言っても、キャラを掘り下げただけであって圭一との関係を示唆する内容は一切なかった。

**評価点(絆)
-追加要素
--「祭囃し編」をようやく(ほぼ)フルボイスでプレイできるようになった。
--キャラクターの表情パターンや立絵などが多く追加されている。
---一見『祭』と同じに見える立ち絵も瞳のハイライトや服の皺などが細かく書き足されており、北条鉄平など一部キャラは基本の立ち絵もほぼ完全に書き直されている。
--CGも追加されており、DSの二画面を活かした表現などが用いられているものも。基本的に作画は安定している。
---また、一部CGは動きによる表現がされており、それにより衝撃度等が増している。その点も好評である。
---『祭』の項目で述べたレナの立ち絵も、髪の長さや毛先の角度などが微修正されており、『祭』と比べると原作寄りになっている。
--『カケラ紡ぎ』が再現されており、「澪尽し編」追加に際し、原作にはないカケラも多く追加された。

-各巻ごとに分かれた構造となっている点
--一巻を除き、各巻の初めに序章が挿入され、序章終了後にそれぞれの話を読むためのUIが表示される。
---全ての話を読み終えると終章に行くことができ、それにより次の巻へと続く。
--災害後の時代からそれぞれのシナリオを俯瞰するという構造は好評であった。
---ただし二巻では各話の初めに表示される詩((Frederica Bernkastelという架空の作家の詩。その正体は一部の話から想像可能。))が削除されており、その点は不評。

-音楽関連
--『祭』で原作BGMが収録されていないことへの批判を受けてか、dai氏作曲の一部原作BGMが収録されている。
--また、第三巻では新規書き下ろしのBGMが追加されている。
--ボーカル曲は総じて高評価である。また、公式のPVもなかなか評価が高いものとなっている。
---三巻・四巻のPVは後に後述の『粋』のOPにそのまま用いられるほどであった。

**総評(絆)
「『祭(カケラ遊び)』に立ち絵やBGMを追加し、大ボリュームの追加シナリオも加えた完全版とする」という発想自体は悪くはなかったと思われる。~
しかし、それを容量で劣る携帯機でやろうとした結果、4分割というあまりに優しくない販売方法となり、多くのファンはこの仕様に怒りを通り越して呆れを覚える始末であった。~
『祭囃し編』が収録され、追加シナリオもクオリティは高いレベルで纏まっているものの、追加シナリオについては原作との雰囲気の食い違いから賛否が極端に分かれるものになってしまっている。~
そして何よりその価格がネックとなり、とてもではないが『ひぐらし』未プレイの人間に気軽に勧められるものではない。~
『祭』で大きな問題点であった「共通パート化によって描写の食い違いが多発しストーリーが理解しにくい」という点について、該当する部分が第一巻のみとなった代わりに、~
感情選択システムの弊害によって全体的には改善どころか悪化してしまっているのも未プレイ者に勧めることができない大きなマイナスポイントとして挙げられる。

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*ひぐらしのなく頃に粋
【ひぐらしのなくころにすい】
|ジャンル|サスペンスアドベンチャーノベル|CENTER:#image(sui_ps3.jpg,height=250,width=216,http://www.amazon.co.jp/dp/B00P8SWH6Y)|CENTER:#image(sui_psv.jpg,height=250,width=192,http://www.amazon.co.jp/dp/B00P8SWH6O)|
|対応機種|プレイステーション3&brプレイステーションヴィータ|~|~|
|販売元|加賀クリエイト&br;【DL再配信版】エンターグラム|~|~|
|発売日|2015年3月12日|~|~|
|定価|【PS3】&brパッケージ版:7,980円(税抜)&br;DL版:3,980円(税込)&br【PSV】&brパッケージ版:6,980円(税抜)&br;DL版:3,980円(税込)|~|~|
|判定|なし|~|~|
|ポイント|紛う事なき完全版&brキャラ贔屓にさえ目を瞑れば楽しめる|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[なく頃にシリーズ]]''|

**概要(粋)
『祭』に収録されたシナリオと『絆』にて収録された新たなシナリオを全て収録した完全版。~
シナリオはいずれもフルボイスであり、ボイスのなかった『絆』の「澪尽し編」もフルボイスとなっている。((ただし一部主要キャラクターの声優が都合により変更されている。))~
また、「澪尽し編」は第二部部分が独立し「澪尽し編・裏」となり、元のものが「澪尽し編・表」となった。~
そして本作の追加シナリオとして、『祭』の初回限定版(および『絆第四巻』)に付属し、後にOVA化もされた短編「羞晒し編」が収録されている。~
本作のタイトルの『粋』はこれらの全シナリオの総数がちょうど『十九』であることから名づけられた。
なお本作はアルケミストではなく、発売元であった加賀クリエイトより発売されている。

**評価点(粋)
-これ一作で『祭』『絆』の全編を網羅可能であること。
--完全フルボイスかつ、これまでのオープニング・エンディング曲を全て収録((「目明し編」のエンディングは変更されており、『祭』『絆』と全て異なっている。))、一部新曲も追加。
---BGMについても新規に収録されたものが存在しており、いずれも好評である。
--合計ボリュームは破格であり、値段に見合った内容であるのは確実。特に同じ携帯機であるVita版が安価であることは明白である。
-ボイスなしであった「澪尽し編」がフルボイスでプレイできるのは、評価に値するといえる。
--既存のTIPSは勿論、『絆』で追加されたTIPSや『カケラ紡ぎ』も完全フルボイス化されている。

**賛否両論点(粋)
-ストーリーは4つのグループに分かれている。ちょうど『絆』の巻と同じように分けられ、「盥回し編」と「憑落し編」は一巻のグループに組み込まれている。
--相変わらず盥回し編はネタバレシナリオであるが、リストの位置的に後の話であることは推測しやすくなった。ただし行きやすいことに変わりはないため気を付けていようと無意味であるが。
---なお一巻に相当するグループにも『絆』にはなかったプロローグとエピローグが追加された。
--二巻のシナリオ冒頭に表示される詩がない点はそのままであるため、その点は不評。

-クイズ・オヤシロショックが追加された。
--本作に関わるクイズに答えることで、クリアした難易度によって一部シナリオを飛ばして読むことが可能。
--既プレイヤーには比較的好評のシステムであるが、未プレイヤーにはあまり嬉しくないシステム。なおかつクイズなんていいからそのまま解放させろという声も。
---とはいえクイズ自体の出来は特に問題はない。ただし高レベルの問題では『祭』『絆』プレイ済みのプレイヤーでもなかなかの難問揃いであるが。

**問題点(粋)
-相変わらず贔屓シナリオは放置されたままである。
--全てのシナリオを読まない限り次のグループには進めないため、読まずに飛ばすということもできないのが痛い。一応後述のクイズで飛ばせることには飛ばせるが。
---ただし一部シナリオでは別のグループでTIPSを入手していないと出現しない選択肢があるという問題も抱えている。
--三巻での罪滅し編BADを読まないと宵越し編へ行けないという問題点もそのまま引き継がれている。

-CGの表示について、『絆』で見られたような動きのあるものがなくなり、迫力が低減した。
--UIも不評な点が目立つ。特にグループの異なる話を見ようとするとタイトルに戻らなければならない点は面倒である。
--TIPSも本編中で入手した際には見られるが、プレイ中に見るにはタイトルへ戻る必要がある点は改悪といえよう。

**総評(粋)
CS版『ひぐらしのなく頃に』の総決算といえる出来。シナリオは相変わらずであるが、ボリュームは抜群である。~
完全版というにはUI等少々惜しい点も少なくないが、これから『ひぐらし』の世界に触れるのであれば問題なく楽しめるだろう一作といえる。~
DL版の再配信に伴い据置機・携帯機共に価格が下がっているため、もしまだプレイしていないのであれば、しておくとよいだろう。

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**余談
-『粋』発売後、発売元の加賀クリエイトが解散し、続けて開発元のアルケミストが倒産したことにより、本作の出荷は停止、ダウンロード版の配信も停止された。
--元々出荷数が少なかったことも影響したのか一時期はプレミア価格が付いていたが、2017年4月にエンターグラムよりDL版の配信が再開された。

-2018年10月26日に『ひぐらしのなく頃に奉』がNintendo Switchで発売予定。
--『粋』に同人版『奉』収録のシナリオ三編が追加されている。

復元してよろしいですか?