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ウルティマ 恐怖のエクソダス - (2015/02/19 (木) 18:49:31) の編集履歴(バックアップ)


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ウルティマ 恐怖のエクソダス

【うるてぃま きょうふのえくそだす】

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 ポニーキャニオン
発売日 1987年10月9日
定価 5,900円
判定 なし
Ultimaシリーズリンク


概要

コンピューターRPG『ウルティマ』シリーズの第3作『Exodus:UltimaIII』のファミコン移植版。
当時のファミコンは、1987年1月に『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』が発売されRPGブームが起きていた。その最中発売された作品。

特徴

  • キャラクターメイキングや4人パーティはファミコンでは本作が最初。
  • バッテリーバックアップシステムがあり、パスワードをいちいち書く必要がないので便利。当時のゲームとしては驚異的な強固さで3つセーブ可能である。
    • その強固さは2階から落としても消えない、分解して電池を外そうとしたが溶接されていた、という報告もあるほど(これは未プレイの初期状態のみ可能な裏技があり、それを行おうとしたプレイヤーが初期状態にしようとしたがことごとく失敗、事象として報告されたもの)。
      • 余談だが当時のバッテリーバックアップは弱いものが多い。幸い消える頻度はそれほどでもなかったものが多かったが、FC史上2位の販売本数を誇るドラクエ3が「データ消失は日常茶飯事で、他にない高頻度」であり、メジャータイトルのバックアップ喪失例は少なくなかった。
  • また、ステータス一覧表示や、自分の視点内しかフィールドマップが見れないという、これまでにないシステムを採用している。

独自システム

PC版『Ultima III』は、当時のファミコンで主流となりつつあったRPGとはかなり様式の異なるゲームであった。インターネットもない時代で攻略本も不親切なものしかなかったため、複雑なシステムのゲームが市民権を得るのは難しい時代であった。

  • キャラメイクは一見すると豊富な選択肢があるように見えるが、ネタにもならない死に職業が半数以上ある。またシステムを理解していればステータスの配分も決まりきってしまう。
    • もっとも、後述の自爆要素に嵌らない限りゴリ押しでどうにでもなる戦闘バランスのため、問題になることは少ない。
  • クリアへのパターンは非常に自由度が高く、必須フラグや聞く必要のあるNPCの情報(イベント)は少ないため、個々人によってプレイ時間には大きく幅が出る。主流となりつつあった、次の行き先や行動を自然に誘導してくれる親切なRPGに慣れていた人間が何をしていいかわからなくなることがある。
  • 住民や兵士など、誰とでも戦いを挑める。最初にロードブリティッシュ(この世界の統治者)と一戦を交えてそのまま全滅するのはお約束。
    • そして「王様が最強なら自分で世界救えよ」などとジョークを叩かれるのもお約束。
    • 街の中で住民を虐殺したり強盗を働くと兵士に囲まれ、弱いとあっという間に全滅させられる。しかし慣れるとこの方法で稼ぎを行うプレイヤーもいる。
  • 宿屋がない代わりに食料の概念がある。フィールドで歩きまわれば、あるいはBボタンを連打すればHPやMPは回復するが、食料がなくなるとあっという間に餓死ということもある。しかしHPは多めで食料も非常に安価かつ減りにくい。また食料はアイテム保持枠を埋めず独自のカウンターを有する。
    • システムを見落とした初心者には致命的なトラップになる一方、理解した人間にとってはストレスにすらならない空気。『IV』で割愛されたのも必然か。
  • 馬を手に入れると、説明書の記載通りに自分の移動速度が倍になるのではなく、フィールドの敵キャラの移動速度が半分になる。仕様を知らないか、単に快適な移動速度を求めるプレイヤーからは全くの無駄アイテムとみなされがち。
  • 戦闘はタクティカルバトル。
    • 戦闘バランスはHPがダメージに対して膨大であるなどきわめて易しい。ただし、TRPGの判定バランスを引き継いでしまったのか命中率が低く設定されており、もっさりとしたキャラの動きとあいまってストレスが溜まる。
    • 逃げるコマンドがないという仕様(一応下記にあるハートの磁石という救済アイテムはある)。原典のApple][版も逃げられない仕様。フィールドではシンボルエンカウントなので事前に避けることは可能だが、3Dダンジョン内ではランダムエンカウントであり如何ともし難い。
  • レベルアップのシステムは、一定経験値を貯めて王様に会う必要がある。しかしレベルアップではHPしか上がらず、ステータスを上げ高度な魔法を覚えるには別世界を探索した先にある神殿に寄付する必要があるという面倒なもの。
    • レベルを上げると地上で出現する敵が強くなっていく。敵の強さは「PTの4人のうちの最大レベル」で決まるため、レベル最大のキャラは引っ込めておかねば詰みかねない(キャラは最大20キャラ作ることが可能で、ウィザードリィの様にある程度のフラグは他PTにも引き継がれる)。
      • システムをよく理解しないとほぼ確実に自爆する羽目になる。一方、ステータスが上がればレベル1でも最強魔法が使えたりと簡単にクリアすることも可能。
  • ラストはある意味衝撃的。他にない。
  • 独自アレンジでオリジナルファンを敵に回してしまった(詳細は下記)。
  • とにかく時代に泣かされたゲーム。当時はRPGの主題が謎解きから戦闘に移り変わってゆく過渡期であり、その荒削りさの先にある魅力もドラクエやFF1・女神転生といった洗練された定番の名作が林立するこの時期には理解されがたかった。
    • しかし多彩なシステムを持っている割にゲーム的に意味をなしているものは少なく、その多くはただの空気か初心者へのトラップとしてしか機能していない。操作性もお世辞にも快適とは言い難い。やはり大多数のユーザーからクソゲーと片付けられたのも已む無しか。

独自アレンジ

本作はPC版『Ultima III』と比べると、固有名詞・セリフ・登場キャラなどに大きなアレンジが加わっている。アレンジの監修を担当したのは秋元康。
しかしその変なテイストは、オリジナル版を知るプレイヤーが本作に対して眉をひそめる最たる理由となってしまった。つまり「数少ない擁護者を敵に回した」わけであり、これがより一層「クソゲー」という評価に繋がってる。

  • セーブをする場所は、ずばりセーブデパート
  • 「あなたがたは ロトのしそんですか?」など、ウルティマの世界観をぶちこわしにするセリフ多数。
    • メタ発言を行う人物は原作でもそれなりに居るが、数が多くなりすぎた。
  • さらに本作のイメージソングを歌っている声優の日高のり子がゲーム中に出てきてレコードを宣伝してくる。
    • あることをすると、PC版にないアイテム「ハートの磁石」をくれる。イメージソングの曲名でもある。
      ちなみにこのアイテム、その場の状況を一切問わず使った瞬間にロードブリティッシュ城に帰還できる便利なもの。使い捨てかつ一人一個しか持てない(実は「わたす」コマンドによって簡単に複数所持が可能だが個数が表示されない)という難点はあるが、戦闘中でも使えるため非常に重宝する。(本作には「逃げる」コマンドがないため、戦闘が始まってしまったら回避するにはこのアイテムを使うしかない)
    • なお、他の住民と同じように戦いを挑めるが、彼女はロードブリティッシュと違って普通に倒せてしまうので、その点をバカゲー要素として評価する人もいる(余談だが、ガードや兵士を除く非戦闘系NPCにしてはやや強いが、初期PTでも普通に倒せる範囲)。
  • パーティーメンバーが縦列になって歩く、いわゆるドラクエ歩きを採用。FCのスペックでシンボルエンカウントや視界などのシステムを再現した代償か妙にモタつくキャラの動きと相まって、後列にモンスターシンボルがぶつかり戦闘を強制される事故が起きる。ステータス画面を開くと全員が先頭に集まる小技を駆使する必要があるなど神経を使う。
  • もっともマイナス評価ばかりではなく、イメージソングを含め本作のBGMを担当する後藤次利の曲の評価は高い。
  • パッケージ絵は好みの問題もあるが、なかなかよく出来ている(女の子の絵にひかれたプレイヤーも多いと思われる)。

(参考)ウィザードリィ 狂王の試練場

  • 1987年12月に、ウルティマシリーズと並ぶ有名RPGであるウィザードリィシリーズの『ウィザードリィ 狂王の試練場』がファミコンで発売された。
  • この作品の出来が非常に良く、常々本作の出来と対比されたことも本作の評判を落とす羽目になった。
  • ちなみに、恐怖のエクソダスと狂王の試練場の開発現場は隣同士のビル(ソースは狂王の試練場の開発に携わった遠藤雅伸氏)。

総評

  • FCのユーザー層にとっては馴染みの薄いシステムを持ち、オリジナルの内容を知るユーザーにとっては妙な独自色がネックとなる。その結果いずれからも歓迎されないまま終わった、不遇の一作である。
  • この反省からか、UltimaIVの移植作『ウルティマ 聖者への道』では本作に比べてかなり遊びやすく、無難なアレンジに改善されている。
    • オリジナルでは女性だったジュリアが、なぜかファミコン版ではヒゲのマッチョの男に性転換しているなどの突っ込みどころはあるが。

余談

  • 海外でもNES(北米版ファミコン)で発売されている。
    • こちらは日高のり子→シェリーというキャラ名の変更などを除けば、ほぼ日本版と一緒。
      • UltimaVI以降ではシェリーという名のネズミが登場するが、超重要な役を演じることになる。
    • 基本的には評価はそれなりに高いが、日本語版から逆輸入する形になっているせいか、厳しい文字制限のための分かりにくい略称に加え、あからさまな誤植や文法ミス、不自然だったり意味の通らない文章があちこちに存在する。問題の変なアレンジは少なくなっている(ロトの子孫>リンクの子孫 など、止めときゃいいのに形を変えて残しているものもある)ので、その点にさえ目をつぶれば名作ではある。
    • ついでにスタッフロールでも翻訳・再構成についての言及は一切なされていない。元のチームで作業を行ったのだろうか?エンディングは日本語版と完全に同一である(泣
  • 超余談として、ログイン誌上で原作シリーズをウルティマと書いたことに対して「アルティマだろ」とツッコミが入っていて、「英語読みのアルティマではなくラテン語読みのウルティマと原作者も言っている」*1と答えていたのだが収まらず、当作品の正式名がウルティマとなった事で、やっと沈静化したと言う話がある。