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Detroit: Become Human - (2019/08/12 (月) 09:01:57) の編集履歴(バックアップ)


DETROIT: BECOME HUMAN

【でとろいと びかむ ひゅーまん】

ジャンル オープンシナリオアドベンチャーゲーム
対応機種 プレイステーション4
発売元 ソニー・インタラクティブエンタテインメント
開発元 クアンティック・ドリーム
発売日 【PS4】2018年5月25日
定価 【PS4】3,900円(税別)
レーティング CERO:D(17才以上対象)
判定 良作
ポイント アンドロイドのいる社会を描く近未来SF
極めてフォトリアルな「人間」のグラフィック
膨大な分岐と多彩なエンディングを実現
Quantic Dream製ADV
Fahrenheit / HEAVY RAIN 心の軋むとき / BEYOND: Two Souls / Detroit: Become Human


概要

アンドロイドが社会に普及した近未来のデトロイトを舞台とし、3体のアンドロイドの主人公により物語が進行していくアクションアドベンチャーゲーム。
同開発元クアンティック・ドリームによる過去作『HEAVY RAIN 心の軋むとき』『BEYOND: Two Souls』から、「選択肢によるストーリー分岐」「映画的なグラフィックと演出」「細かいQTE」といったシステムや作風が引き継がれている。
分岐先すべてのシナリオやムービーを作成する必要があるため、制作には長い年月が必要とされ、その期間は実に約4年間ほど掛かったという(公式製作者インタビュー動画より)。

ストーリー

2038年、デトロイト。
人間と同等以上の外見・知性を兼ね備え、社会での様々な労働・作業を人間と代わり担うようになったアンドロイドは、社会に不可欠な存在となっている。
その一方、アンドロイドの普及により職を奪われた人々による反アンドロイド運動が活発になるなど、社会には新たな軋轢と緊張が生じている。
そんな中、自我や意思、欲望などを持ち始めるアンドロイドが発見され、それら異常な行動をする個体は「変異体」と呼ばれるようになった。

人間から過酷な労働を強いられたり、暴力を受けるなど「モノ」として認識し扱われる中、 人間への恐怖や怒りを持ち、人類への対抗や、人類からの完全な独立を図ろうとする変異体も現れ始めた。

それは命か、それともモノか。あなたは、この物語を通じて幾度となくその問いを突き付けられることになるだろう。

これは、人間の、アンドロイドの、そして----あなたの「物語」

(一部、公式サイト引用)

3人の主人公

+ キャラクター紹介
  • コナー
    • 型番は「RK800」。
    • 変異体による犯罪捜査の一員として、人間の警察とともにに捜査・行動を行う最新鋭モデルのアンドロイド。
    • いかなるチームにも溶け込めるよう開発された社交モジュールや、犯行当時の容疑者や被害者の行動を予測・再現する物理シミュレーション機能など、捜査官としての任務の遂行を目的として製造されたアンドロイド。
    • パートナーの「ハンク・アンダーソン」警部補とともに捜査を進行していくことになる。
  • カーラ
    • 型番は「AX400」。
    • 家事や子供の世話など、家庭での人間の作業をサポートすることを目的として製造されたモデルのアンドロイド。
    • 薬物に依存した父親の「トッド・ウィリアムズ」とその娘の存在「アリス」との家庭に買われるが、父親トッドによるアリスへの暴力・虐待から彼女を守るため、彼女とともに家から逃亡する。
    • アリスと、物語の途中で出会うアンドロイド「ルーサー」への家族的愛情を抱きながら、自由で平和な生活を求めて旅に出る。

とになる。

  • マーカス
    • 型番は「RK200」
    • 世界的画家の「カール・マンフレッド」宅で彼の介護や仕事の手伝いをしていた。
    • とある出来事で廃棄処分の危機に晒され、人間との共生、もしくは対立を目的として他の変異体アンドロイドとともに様々な行動を起こしていくことになる。
    • 因みにマーカスは、アンドロイド製造会社である「サイバーライフ」社の元創立者「イライジャ・カムスキー」からカール宛に送られたアンドロイドである。

特徴・評価点

システムについては、共通点が多い『HEAVY RAIN 心の軋むとき』『BEYOND: Two Souls』のページも参照。

  • シナリオ
    • 上記3体の立場・目的の異なるアンドロイドによるストーリーがチャプターごとに進行していく。
    • 舞台は「人間とアンドロイドの世界」。本格的な映画のような緊迫感のある展開が多く、プレイヤーが主人公の操作・アクションを行うというゲームだからこそのスリルが最大限に味わえる。
    • 前述したとおり、ストーリーの展開はプレイヤーの選択やアクションの成否により細かく変化する。
      • 前作『BEYOND』は「選択肢は多いが、ストーリーやエンディングに大きな影響を与えるわけではない」という問題点があったが、本作では選択肢によって章をまたいで影響が出る選択肢も多く、特にクライマックスではそれまでの選択によって全く異なる展開と結末を迎える。
    • 今作では、各チャプターの終了後に物語の全分岐パターンがフローチャート形式でプレイヤーに公開され、どのタイミングで分岐が行われ、どれほどの数の結末が存在するか見ることができる
      • さらには、全世界の他のプレイヤーの選択や分岐をパーセント表示で見ることができるため、自分の選択と「全世界の選択」を比較して「やっぱりこの選択は他の多くのプレイヤーもしているな」や「意外にもこの選択はあまりされていないんだな」とフローチャートを比較することができ、ひとつの楽しみになっている。
  • グラフィックと演出
    • 過去作同様、キャラの動きすべてが「モーションキャプチャー」技術により実際の人間(俳優)の体の動きを元にインプットされている(目の動きはキャプチャーできないので、後から手作業で設定された)ため、ゲーム内のすべてキャラクターの挙動は極めてフォトリアルであり、同時代のゲーム全体で見ても最高クラスのグラフィックを誇っている。
      • ふつう感情を持たない無機的なアンドロイドの挙動や表情も俳優の演技力や表現力でよく出来上がっており、実写同然のグラフィックを実現している。
    • 過去作同様、操作する主人公の行うアクション(物を拾う、電子機器のページをスライドでめくる、など)を実行するのにコントローラのデュアルショック4で可能な限りの似たような動作を行うという細かいQTEが要求される。(難易度「EXPERIENCE」選択時)。
      • タッチパッドをスライドさせてタブレット端末のページをめくったり、アナログスティックを左回りに動かしてドアを開く、など現実の動きを模擬したような入力により、プレイヤーとして主人公を操作しているという実感が沸く。
    • さらには、プレイヤーのQTE(Quick Time Event)操作によって結末の変わる逃走シーンや戦闘シーンがゲーム中に数多く存在する。
      • 『BEYOND』ではQTEの結果がストーリーに関わらない場面も多かったが、本作では分岐に影響するQTEが多い。
      • ニューゲーム時、難易度「CASUAL」・「EXPERIENCE」の二つがプレイヤーの好みで選択でき、より複雑で臨機応変な操作が要求される難易度「EXPERIENCE」では、このQTEの難易度が絶妙で、素早い入力・同時押し・コントローラを振る・ボタン連打など、実に多様な操作を求められる。
      • これらQTEも現実での動作をコントローラで模擬的に行うような操作ばかりで、取っ組み合い中の相手の攻撃を受け流すのにその方向にアナログパッド入力、振り払うのにコントローラを降る、銃を打つ(トリガーを引く)ような比較的軽快な操作はR1、など体感性の高いQTEとなっている。

賛否両論点

  • 主人公の1人が早期に退場する可能性がある
    • 3人の主人公のうちのひとりは、選択次第で序盤~中盤に死亡してしまう展開となる。
    • そうなると、以降は残りの2体の主人公のみでストーリーが続いていくため、エンディングまでのボリュームが最大でおよそ3分の1も減ってしまうことになる。
  • 相変わらず過剰な操作が要求される場面がある
    • 過去作二作に比べるとかなり難易度は下がっているものの、些細な場面に置いても余計なQTEがある場面がある。
      • ただこれは過去作の時点でもあった意見だが、プレイヤーの没入感の向上に一役買っているという意見もある。

問題点

  • 相変わらず周回プレイが面倒な仕様
    • 再プレイ時はフローチャートのチェックポイントからの再開が可能になったが、「カットシーンがスキップ・早送り不可」「一度やりなおすと最後まで通しでプレイしなおす必要がある」といった仕様はそのまま。
    • このため、特にフローチャートを埋めようとした場合は同じシーンを何度もプレイしなおす必要があり、とても面倒。
  • フローチャート
    • フローチャートにより数々の分岐を見られるのは好評だが、チャプター終了後毎回表示されるため没入感が削がれるという意見が一定数存在する。
      • 一周クリア後に表示したほうが盛り上がったのではという意見も多い。

総評

Quantic Dreamの過去作『HEAVY RAIN』『BEYOND』から、フォトリアルなグラフィック・映画的な演出といった作風を継承しつつ、ハードスペックの上昇により「人間」の表現は圧巻の域に達している。
ADVとしても、選択肢が多彩に見えてその実はほとんど一本道のシナリオだった『BEYOND』とは異なり、プレイヤーの選択によってキャラクターの運命やストーリーの展開が大きく変化するインタラクティブな構造に進化を果たした。
前2作で批判されがちだったシナリオも、「アンドロイドの自我」をテーマに終盤まで上手くまとめている。
再プレイが面倒な仕様こそそのままであるが、全体的に過去作の弱点を解消した作りになっており、プレイヤーの選択や操作によって物語が変化していく「プレイできる映画」の名に恥じない完成度の作品と言える。

余談

  • 本作に登場するコナー・カーラ・マーカスやその他キャラクターは、モーションキャプチャーの都合上、そのキャラクターと、その動作を演じた俳優は顔が似ている。輪郭や目元など、「多少面影があるな」ぐらいのキャラクターとの相似度の俳優もいれば、コナーを演じたブライアン・デッカートに関してはかなり似ている。俳優陣によるゲームのインタビュームービーはゲーム内または動画サイトなどで視聴可能であるので、気になる人はぜひチェックしよう。