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カスタムロボGX - (2016/11/01 (火) 10:05:28) のソース

*カスタムロボGX
【かすたむろぼ じーえっくす】
|ジャンル|2Dアクション|&amazon(B00006AL6K)|
|対応機種|ゲームボーイアドバンス|~|
|メディア|64MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|ノイズ|~|
|発売日|2002年7月26日|~|
|定価|4,800円|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

**概要
やりこみ派から子供たちまで多くの人々に人気を博した、自分だけのロボをカスタマイズし、3D空間で戦わせる『カスタムロボ』シリーズの派生作品。&br()GBAというハードの性質上バトルシステムが同シリーズの他の作品と比べて大きく変更されており、2Dアクションとなっている。

**大きな変更点
-GBAのスペックに合わせ、ジャンルは2Dアクションに変更された。無重力空間のゼロGホロセウムで戦うという設定になり、ゲーム性に関してはほぼ別物といえる。
--四角形のフィールド内に遮蔽物が設置された戦闘空間で、プレイヤーはロボを360度自由に移動させて戦う。「ゼロG」の名の通り、重力は存在しない。

-ロボのカスタムやアクションも大きくルールが変更され、レッグの換装が廃止、代わりに''「チップ」「ガンナー」''がパーツカテゴリーに追加された。
--チップは今までのロボ固有の「アタック」に相当するもので(今作ではロボ毎に固有のアタックが存在しない)、今までのアタックのような体当たり攻撃のほか、シールドを展開し攻撃を防ぐ防御系のチップも存在。
--ガンナーはポッドと二者択一で選べるパーツで、射出すると相手に向けて小さな弾を自動で発射して攻撃する。操作するロボがダウンすることで回収される欠点はあるものの、自機と独立しているためポッド系と比べて操作の負担が小さい。

-アクション面ではロボのブースト回数が無限となった他、前作までの「空中で使用すると性能が変化するガン」の代替として、すべてのガンに「αショット」「βショット」という2つの性能の異なるショットを撃てる機能が追加された。
--例えば「βショット」は「αショット」に比べて威力は低いが壁を貫通できる、「αショット」は連続して複数の弾を発射するが「βショット」は一度に複数の弾を拡散するように発射するなど。

-新たなロボのカテゴリーとして''「ミスティミラージュ」「ライトニングスカイヤー」''が登場。
--前者は速度こそ遅いもの、相手視点では完全に透明となり壁を突き抜けて長期間移動できるミラージュダッシュを使用できる。
--後者はダッシュの際に戦闘機のような飛行形態へと変形し、高速で移動できる上に「ダッシュしながらガンが撃てる」という唯一無二の特徴を持つ。その代わりがまん値((ダウンのしやすさ。低いほど攻撃を受けたときにダウンしやすい。))は全ロボ中最低という極端な性能を持つ。

-今作ではプレイヤーは連日行われている様々な大会に出場し、優勝賞金によってロボやパーツを購入していく形でゲームが進んでいく。また、大会に優勝していく事でシナリオが進行する。
--そのため、一本道RPGだったこれまでと比べて自由度が高くなっている。

**評価点
-''2Dになっても損なわれていない、『カスタムロボ』の面白さ''
--2Dになりゲーム性は大きく変化したものの、ステージや相手に合わせてロボをカスタムし、戦わせるという『カスタムロボ』の根幹は失われていない。ハード性能の制約を逆手に取った2Dでの無重力戦闘は見事にシリーズとの差別化に成功し、多くのファンに受け入れられた。
--ロボやパーツが変われば、動かし方や戦術も変わる。カスタム次第で同じような武器・ロボでも様々な戦い方が生まれるので、カスタマイズにいわゆる「テンプレ」が生まれにくい。
---本家同様の、パーツの多種多様さは健在。2Dであることを生かしたユニークな武器も多く、緩い「く」の字を描くトリッキーな軌道で挟撃を可能とする「ニンジャバレット」や、ステージの壁に沿って移動し、弾丸が長期間残り続ける「リフレクトレーザー」など本作ならではの武器も存在。

-シンプルな操作性
--従来作も比較的シンプルな操作系が特徴だったが、今作もそのシンプルでわかりやすい操作系を引き継いでいるためシステムにすんなりと入っていける。
--複雑な操作はほとんど要求されない。先述したライトニングスカイヤーのような特殊な機体も存在するが、少しの慣れで手足のように動かせる。

-骨太なボリューム
--『V2』譲りの骨太なボリュームは健在。「旅立ち編」クリア後に解禁される「激闘編」でさらなる熱いバトルを楽しめる。
--レディ・Pの研究室での課題付きバトルや、スリリングな連戦を楽しめるアルティメットフォート、そしてバトルで得られた得点次第で商品のランクが変わるバトルタワーなど、様々なシチュエーションでの戦いが楽しめる。
--激闘編を進めていくと、違法パーツを販売する「ダークショップ」と、&bold(){違法パーツを”プレイヤーも”自由に使える}大会が開催されている「ダークステーション」が解禁される((一般の大会で違法パーツを使って優勝すると、優勝取り消しの上に賞金が没収されてしまう。))。シナリオで違法パーツを気兼ねなく使えるのは今作が初めて。違法パーツの圧倒的な力で敵を蹴散らすか、あえて正規パーツで違法パーツを使う相手に挑むかはプレイヤー次第。

-また、本家を意識したものもいくつかあるBGMや、ロボのデザインも好評。
-中には初代とV2のアレンジ曲も存在する。特にある戦闘後に流れるアレンジ曲は本家シリーズのプレイヤーであればグッと来ること間違いなし。

**問題・賛否両論点
-本家とはまるきり違うシステム
--システムの大幅刷新にはつきものの問題なのだが、やはり2D化にあたって本家のシステムとまるきり違う仕様になったことで''「カスタムロボじゃない」''と言うプレイヤーは少なからず存在した。
--肯定派・否定派共通の意見で「本家にあったスピード感が失われた」「各種攻撃の硬直で流れるようなゲーム展開が失われている」というものがある。このあたりはゲームバランスのことがあるため一概に欠点とは言えないのだが…。

-ストーリーの構成は、これまでの作品とあまり大差がない。
--ストーリーは今までのカスタムロボと同じく「カスタムロボを初めて受け取ったプレイヤーが、高みを目指すうちにロボで悪事を働く秘密組織の事を知り、仲間と共に組織との対決に挑む」という「コロコロ漫画のテンプレ」のような構成であり、はっきり言って新鮮味はない((本作ではあるパスワードを入力するとコロコロコミックを冠した隠し大会「コロコロカップ」が解禁されるが、これは本作がコロコロ読者層を狙っていた事を示唆している。ちなみに、本作の発売前後の時期において、コロコロコミックでは本作を元にした漫画が数ヶ月間掲載されていた。))。
--前作「V2」のシナリオは初代よりも大きく差別化がされていたが、今作のシナリオの構成は初代にかなり近い。具体的には、主人公達が悪の組織にさらわれたヒロインを救い出すべく、「グレート・ロボ・カップ」出場を断念してまで助けに行く、など。
--だが決して「構成がおかしい」「その理屈はおかしい」と言える部分が多いということはない。突っ込みどころ((重力が存在するはずの現実の空間で無重力のGXバトルを行うなど))も「本作の主なターゲットとなる年齢層を考えればしょうがない」類のものばかりで、「ストーリーで不快になる」ということはないのでその点は安心して大丈夫である
--もっとも、ストーリー上多くの謎を抱えている人物が行方不明になってしまって結局最後まで謎が判明しないままだったり、前作で違法パーツ使用者を嫌っていたはずのユリエが平気で違法パーツを使ったりと、首を傾げざるを得ない部分もある。

-ロボの削除・デザインの使い回し
--システムが変わったためにロボのスタイルやタイプが幾つか消滅しており、''「俺の愛機がいない!」''と嘆くプレイヤーもいた。
--削除されたロボはファニーオールドマン、トリックフライヤー、リトルレイダーなど「地上・空中の機動性やダッシュの軌道で差別化を図っているロボ」。人間臭いロボが老若男女問わず幅広く登場するカスタムロボの魅力が失われている。
---鳴り物入りで登場したミスティミラージュ型も、ダッシュが遅すぎる上に姿は見えなくともカメラワークで相手からおおまかな位置がバレてしまうため、''ステルスの存在意義がほぼ消滅している''。
--また、本作では居ないよりマシとはいえロボのデザインの使い回しが多い。各カテゴリーのロボのパワースタイルと違法改造型の物はいずれも基本的に、同カテゴリーのロボの色違いである。

-パーツ間の格差
--この手のカスタムをゲームのメインとするゲーム共通の問題ではあるのだが、パーツ間の性能格差は大小存在する。

#region(強い・弱いパーツの代表例)
-ファングブロー
--上下二列、緩い放物線を描いて相手を挟み込むような軌道で高速で飛ぶガン。恐ろしいのは''弾速に加えて誘導性能も高いこと''で、適正距離の遠距離では凄まじい強さを見せる。連続ヒット時のダメージも高い。
--軌道の性質上中距離以遠でしか威力を発揮できず、ステージも選ぶ欠点があるが、近距離では射程は短いが直進して飛ぶβショットがあるためスキが少ない。開けたステージでは凄まじい強さを誇る。
--連射性能はやや劣るものの、二列の放物線が壁になるためボム・ポッドと合わせれば接近を阻む壁を作るのはたやすい。
---違法改造版として、さらに攻撃性能を高めた「ダークネスブロー」が存在している。αショットが近距離でも機能しやすくなり、βショットが貫通性能と長射程を手にした代わりにαショットの長射程のアドバンテージを失っており、違法パーツにしては珍しい「一長一短」の調整がなされている。
--そしてこのゲームにおける最後の大会において、このガンが大きな壁となった。このガンと完全な近距離迎撃用のボム、ポッドを装備した相手と''障害物の一切無いステージ''で戦うこととなる。
---慣れさえすれば、どんなカスタムでも大抵のCPU戦に勝てるようなゲームバランスの今作において、''「ソニックライフルで遠距離からひたすら連射」''、''「ライトニングスカイヤー系で無理矢理近づいてショットガン連射」''のようなカスタム以外で安定して勝つのは至難、とされるほどの難易度となっている。

-ソニックライフル
--本家におけるスナイパーガン的存在。本家でもその弾速とダウン値の高さから猛威を振るったが、それは本作でも同じ。弾速とダウン値が強力で、がまん値の低い相手に対しては一撃でダウン・オーバーロード((カスタムロボシリーズ共通のシステム。相手をダウンさせると、相手が発射していたその時点で画面に残っていたガンの弾が消える。))を誘発しうる。
--βショットで隙は増えるものの二点バースト撃ちが可能。だが、βを使わなくともボムなどを併用すれば火力は十分に足りる。

-リフレクトレーザー
--こちらもファングブロー同様ステージに左右される面はあるが、長時間ステージに弾丸が残留するため、相手の行動を強く抑制することができる。ダウンを奪いにくいのは欠点だが、ガン以外の武装を併用すれば火力には困らない。ステージによっては本当に''連射するだけで相手を詰ませかねない''性能を誇る。
--ストーリーにおいて、このパーツの上位互換的性能を持つ違法パーツ「リュウジンガン」((当たり判定の肥大化、フィールド残留時間の延長、及びホーミング性能が強化されている。))を装備した敵と戦うことになるのだが、そのステージはフィールドの狭さと障害物の嫌らしい配置も相まって多くのプレイヤーに膝をつかせた。
---幸いなことに、クリア前かつそのイベント戦前にリフレクトレーザーを入手できる。多くのプレイヤーが相手と同様のリフレクトレーザーを使い、運ゲーに持ち込んでの勝ちを狙いに行ったと言われている。

-フェイントガンナー
--フェイントポッドのガンナー版。相手の近くまで高速で接近し、相手の周囲にまとわりついて行動を制限するという性質をそのまま受け継いでいるのだが…。
--相手にまとわりつき、一定時間で爆発する性質のため直接攻撃には適さず行動制限の意味合いが強かったポッドと違い、ガンナーは''相手に弾を撃って直接攻撃ができてしまう。''しかも厄介なことに有効射程が無限で、相手がどこにいようと至近距離まで接近してまとわりつくのでプレッシャーが大きい。その上、''自機に帰還すれば即再使用可能になる''ため、試合開始から終了まで延々とプレッシャーをかけ続けることが可能。
---発射される弾の射程がかなり短い上相手をダウンさせれば回収されるのが救いといえば救い。このガンナーの強さから、同じ「ゆっくりと対象を追尾して攻撃する」タイプのガンナーであるシーカーガンナーの存在意義がほぼ死んでしまっている。と言うか、下手をすれば''違法シーカーガンナー((発射される弾が2WAYになり、射程が強化))よりも強い。''
---一応、前述したレディPの出す高難度の試練をクリアすることで手に入ることから「厳しい入手条件を鑑みての高性能」という声もある。が、カスタムロボは同様のカスタマイズを遊びの主軸とするゲームと同じように、実際の性能の差異は置いておくと建前上「全てのパーツには一長一短があって、どのパーツも使い道がある」という原則がある((いわゆる「初期武装」であるスタンダードガンや、露骨に弱くデザインされたガラポンシリーズは除く))。その手のゲームで「露骨な上位・下位互換の関係にあるパーツ」を登場させたのはまずかったのではないだろうか。

-パルスナックル
--本家におけるナックルガンで、圧倒的な威力と引換に射程が短い上に一直線にしか飛ばない。そのため、当てるのが非常に難しくなっている。
--問題は同じ近距離を得意とするガンに、三方向に拡散するショットガンや近距離向きながら汎用性の高いバーニングショットなどがあること。そのため立場がなく、V2同様の低評価に収まってしまっている。

-サブマリンボム
--二発発射でき、弾速の遅さから時間差攻撃に適するボム…なのだが、''それにしても遅すぎる。''
--あまりにも遅い上、本作はこれまでのカスタムロボと違いボムの着弾点操作ができない。そのため、着弾する頃には敵はあさっての方向へ…といったことが頻発どころか''あらゆる局面において起こる。''
---同様に弾速が遅いことが問題になる武器にシーカーポッド(ガンナー)があるが、こちらは相手を随時追尾するためいくらかマシであり、「退路を塞ぐ」使い方ができる。
#endregion

-一部のロボとホロセウムを入手するためのハードルが高すぎる。
--ロボ「ドデカンターボ」を入手するためには&bold(){5人の異なる相手と通信対戦しなければならない。}ショップで売られている事もあるが、稀。
--ホロセウム「サドンデスステージ」「プレーンステージ」「ギガンティックステージ」で戦えるようにするためには、それぞれ5、&bold(){50、100}回もの通信対戦をしなければならない。
--本作の約1年半後に発売された『BR』では救済策として本作との連動があり、GBAケーブルを用いて本作と通信を行う事でこれらのロボ、ホロセウムを入手できる。加えて、トイザらス配布限定だった「敵専用隠しロボ”ライジングキメラ”との挑戦権」及びホロセウム「ダークスター」も得られる。
--貴重なロボ、パーツの入手方法として、稀にショップに陳列される。ただし、手に入れるには何度も出入りして並ぶのをひたすら待つしか無い。さらに貴重な違法パーツはなかなか並ばず、全てを手に入れるのは非常に困難。

**総評
携帯機でありながらかなりの骨太ボリュームを誇り、アクションとしても良質な名作。&br()特に本家譲りのボリュームの骨太さはやりこみ派や一人プレイ目的のゲーマーも満足させるに足るものであり、システムは違えど、その面白さは決して本家に負けてはいない。

**余談
-本作は発売当初は『V2』直系の続編という設定であったが、DSでの『激闘!カスタムロボ』の発売に伴い『バトルレボリューション』同様のパラレルワールドを舞台とした作品に設定が変更されている。
--『激闘』を直接の続編という設定にしたために生まれた矛盾を解消するためと思われる。
-2004年に本作の続編として「カスタムロボGBA(仮称)」が発売予定であったがその後発売中止になってしまった。
--中止の理由はディレクターである見城こうじが『バトルレボリューション』の製作で忙しかった為にディレクターをできずに製作を他に依頼したのだが、その他の者に依頼した内容がピンとこなかった為。&br()開発はデバッグを待つ所まで完成していたが、肝心のゲーム性が本来とまったく違ったものになっていたという。
--当時の雑誌のゲーム記事では初期型のロボの登場やパーツの進化など今までのカスタムロボに無い要素が紹介されていた。また本作の中止後見城ディレクターはGBAで新しく作り直そうとしていたが、DSの発売が近づいていた為DSで最新作を製作する事になった。
-当初は正史として扱おうとしていたために細かいところでファンサービス的な本家とのつながりがあり、上で紹介されているレディ・Pは、カスタムロボV2に登場したある人物の娘である。
--また、本作の主人公の成長を見てカスタムロボやV2の主人公と関わりがある人物が、彼らについて少しだけ語る場面がある。
--本作初出のライトニングスカイヤー系ロボは好評だったのか、『バトルレボリューション』以降の本家シリーズに逆輸入された。