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*ゼビウス3D/G 【ぜびうす すりーでぃーじー】 |ジャンル|縦スクロールシューティング| |対応機種|アーケード(SYSTEM11)| |発売・開発元|ナムコ| |稼働開始日|1996年| |判定|なし| |ポイント|ゼビウスらしさの排除&br;ファードラウトサーガに終止符を打ったが…?&br;プレイヤー泣かせの高難度&br;誰得な『[[鉄拳>鉄拳シリーズ]]』要素&br;またしてもタイトーSTGの引立て役という不運| |>|CENTER:''[[ゼビウスシリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概要 1990年の『[[ソルバルウ]]』に続く、3Dポリゴンを全面的に採用した『[[ゼビウス]]』。~ 現在、アーケードで展開された最後のゼビウスである。 本作は、一応は『ファードラウトサーガ』(ゼビウスシリーズの背景に共通するストーリー)に終止符を打つものだといわれているが…。 ---- **システム -プレイヤーは自機ソルバルウを操作し、全7面のステージをクリアして打倒ガンプを目指す。 --システム的にはこれまでのゼビウスを踏襲しており、地上と空中に敵が分かれている方式。ソルバルウの武器もお馴染みのザッパー(対空)とブラスター(対地)である。 --しかし様々な面で、元祖ゼビウスと差別化を行ったと思われる変更箇所が多い。 -''ブラスターの仕様変更'' --地形に高低差の概念が発生して着弾までのタイムラグが一定ではなくなったためか、サイトに相手を捉えてブラスターを発射することでブラスターが誘導するようになった。また、連射も効くようになっている。 -''強化アイテムの登場'' --『スーパーゼビウス』((厳密には『ゼビウスアレンジメント』にもアイテムによるパワーアップの概念は存在していた。ただしこちらはアイテムを取得してもザッパーが1段階強化されるだけで、以降はミスせず連続で取得する度に得点倍率が上昇するスコアアイテムとしての意味合いの方が強い。))のパワーアップアイテムが本作では形を変えて復活し、さらにショットを場面場面で使い分けることができるようになった。 --地上にあるパワーアップカプセル(ポラドーム)をブラスターで破壊するとアイテムが出現する。現在のショットとは違うアイテムを取るとショットの性能が変化し、同じアイテムを取得すると最大3段階までパワーアップする。 ---ショットの強化は別のアイテムを取得してショットを切り替えても引き継がれる。これを利用して局面に応じてアイテムを取得することでショットを使い分けることができる。 ---撃破されてもショットの種類は保持されるが、強化段階は最低まで下がってしまう。 #region(パワーアップアイテム) |パワーアップアイテムの色|効果| |&color(blue){青(ディオス)}|お馴染みのザッパーで、初期装備。&br;パワーアップすると連装数が増加し、拡散して発射するようになる。通称ワイドザッパー。&br;広範囲に攻撃できる他、大型敵などに接近して全弾命中するように撃てば高いダメージが出せる。| |&color(green){緑(ゲルマック)}|正面に太いレーザーを撃つ。破壊力が絶大だが攻撃範囲は通常のザッパー並に狭い一点集中型。&br;パワーアップすると火力が上がる。最大強化時の火力はかなりのもの。| |&color(red){赤(ドークト)}|画面内の敵を自動でサーチして攻撃し続けるサーチレーザー。パワーアップで同時照射数が増加する。&br;ショットだけではなく、ブラスターも対地レーザーに変化する。その為、対地・対空攻撃を同時に行うと攻撃が分散してしまう。&br;回避に専念できるが、その分火力は控え目。| #endregion -''シームレスな展開からステージクリア式へ'' --ゼビウスと言えば流れるようなシームレスのゲーム進行が特徴的だが、今作ではステージクリアごとに区切られる仕組みになっている。 --また、3面では途中でステージ分岐が入る((特定の地上物を先に破壊するか否かでそれに応じたルート分岐が入る。))など時代に合わせたギミックも盛り込んである。 --各エリアの最後にはボスがおり、倒さないと次ステージには進めない。 ---- **評価点 -ゲームの合間に挟まれるハイエンドCGの出来は当時としては素晴らしいもので、多くのプレイヤーを驚嘆させた。 --ゲーム中でも、これまでのゼビウスに見られなかった「遺跡」「砂漠」「雪原」「宇宙」などの個性豊かなステージはプレイヤーを楽しませてくれる。 --レイストームと比較されるゲーム中のCGについても「これはゼビウスならではのソリッドな質感を追求した結果であり、技術力不足からくるものではないのでは」とする意見もある。 -音楽も聞けないことは全くない。1面の曲などが好評である。 --ただ曲調が「地味」であり、環境音楽としての色が強め。そのためBGMとしての評価も他作品に奪われがちだった。 --BGMは細江慎治氏、佐野信義氏、佐宗綾子氏、佐々木宏人氏の4名が手掛けており、『リッジレーサーシリーズ』とは違いアシッドテクノ、ミニマルテクノ寄りのサウンドに振った曲になっている。 -一部のプレイヤーからは「隠しキャラのソル((ゼビウスシリーズに共通するシークレットフィーチャー。地形のどこかに隠れており、破壊すると高得点が入る。))を探しながらプレイすることで緊張感が生まれ、このゲーム特有の楽しさが生まれる」という意見があった。 --ステージ中に埋没したソルの探索はゼビウスシリーズ共通の要素であり、そういう意味では「このゲームに唯一残された数少ない『ゼビウス特有の味付け』」とも言える。 --他、「場合に応じてショットアイテムを取得し、場面場面に応じたショットを使い分ける」という他のSTGにはない戦略性を求められるシステムを評価する声もある。 **賛否両論点 -''『ゼビウス』らしさが薄まった'' --当時の派手さを追求したシューティングに対抗したのか、パワーアップ要素や派手な3Dを引っさげて現れた本作3D/Gだが、逆に追加した要素やゼビウス的な要素の希薄化のために''「ただの凡庸な縦STGになってしまった」''と当時のファンからは嘆かれることが多かった。 --3Dを活かした演出や新システム自体の完成度は決して悪くないものでそのアイデアを評価するプレイヤーも少なからず存在するが、難易度バランス面やパワーアップに関しては練られているとは言い難く、改善の余地があるという声が多かった(こちらの詳細は「問題点」へ)。 **問題点 -難易度が高い。 --「凡庸な縦STG」となった割には、ボムのような敵や敵弾を一気に殲滅する手段が存在しないため、所謂『ガチ避け』を強いられる。さらに、得点によるエクステンドがなく、1ゲーム通して数カ所にしか存在しないスペシャルフラッグ((ゼビウスシリーズ共通のシークレットフィーチャー。フィールドのどこかにブラスターを撃ち込むことで出現し、取得すると1up。))を探し当てて自機を補充するしかない(しかも最低でもたった2カ所((最低でもというのは、後述するようにこのゲームはランクによる難易度変動システムが存在しているのだが、実は特定箇所のスペシャルフラッグが出現するか否かもこのランクで決まり、当然ながらランクが高くなるほど出現しなくなる。ランク問わず必ず出現させることができるフラッグはなんとたった2カ所しか存在しない。)))。クォータービュー特有の癖も手伝って慣れないうちは敵弾で事故死しやすい。 --それを抜きにしても基本の難易度が高く、2面後半辺りから自機を狙い撃つ弾とランダムで飛ぶ弾を混合させた弾幕や嫌らしく配置された地上物が増えていくほか、後述するランクの影響で加速度的に難易度が上昇する。加えてボムがなくごまかしが効かないため、クリアには相応のプレイヤースキルと集中力が必要。 ---また3DSTG永遠の課題である''「エフェクトで弾が見づらい」''という欠点もしっかり持っており、シューターたちを悩ませた。 --ランクのシステムが存在し、[[敵を倒しているだけでランクがモリモリ上がっていく>ピンクスゥイーツ ~鋳薔薇それから~]]((特に地上物や後述するソルの破壊は空中物よりもランク上昇値が高くなる。))。僅かな得点の変動やランクの上昇・下降で敵の内容が変化してしまうためにパターンを組みづらい((実はこのランク変動には「特定箇所にあるソルの出現フラグ」にも絡んでおり、ランクが低いとその地点にブラスターを撃ってもソルが出現しないという要素がある。))。ランクが上がると特定の場所に''中ボスが追加される''場合もあり、生き残ることで難易度はどんどん上昇していく。 --2面とは思えない攻勢を展開してくるボス・イーリア・ザーナイドや、ゲーム後半に登場する「曲がるバキュラ」、変則的な攻撃を行いパターン化が難しい5面ボスのギャリアジードなど、全体的に難所も多い。 -折角のパワーアップアイテムも、旧来のザッパーを強化したディオス(ワイドザッパー)が癖がなくある程度火力も出せるため、追加された2つのショットはやや不遇な位置に置かれてしまっている。 --ドークトは元の火力が低いため高耐久の敵を仕留めにくい。その上敵の数が多いと、乏しい火力が更に分散されてしまう。 ---また全自動で攻撃してくれるため回避行動に集中できるが、逆に任意に敵に狙いを定められず、しかも一度一体の敵をサーチしてしまうとその敵が倒されるか逃げるまで、別の敵に照準を合わせることも出来ないため「突進してくる敵や、弾を連射/弾幕を張ってくる敵を倒したかったけどロックしてくれず撃ち漏らしてそのまま死んだ」というケースも多い。 ---通常のブラスターでは破壊できない場所にある地上物をも破壊できるメリットはある。また初見殺しと名高い2面ボス、イーリア・ザーナイド戦など特定の箇所では有効。 --ゲルマックは高火力で多くの敵をさくさく殲滅できるのだが、正面しか攻撃できないため、回避しながらだと敵に火力を集中できないことも多い。そのため、精緻な避けを求められる後半になればなるほど、売りの火力を発揮できる局面が少なくなっていく。 ---一方で地上敵扱いな1、2面を除く多くのボス戦には有効。クリア重視ならボス戦ではゲルマックを持っていくとその破壊力に助けられる例も多い((特に5面ボスのギャリアジードやラスボスのガンプは、最大強化時のゲルマックを用いて短気決戦で済ませるのが安全策として鉄板になるほど。))。 -また、『ファードラウトサーガ』を締めくくる作品という割には、作中でストーリーの説明が一切なされない。プレイヤーは超展開を通り越して''「ストーリーあったの?」''という感覚に陥ること必至。 --ゼビウスの象徴的な敵キャラであるアンドアジェネシスが''1面の中ボスに格下げされてしまった''のは当時物議を醸した。 --エンディングでさえ何も語られず、ソルバルウがガンプの陣取る宇宙基地を破壊して''それで終わりである。''ついに宿敵ガンプが倒れた、ということしかわからない。 ---- **総評 アーケードで展開された最後のゼビウスであり、その作りに決して妥協はない。過去のゼビウスを超えようという、スタッフの意気込みが伝わってくる場所も少なくはない。~ しかし多くのプレイヤーが指摘したように''「凡庸なSTGになってしまった」''感は拭えず、今なお語り継がれる名作STGに敗北を喫したのも必然と言えるかもしれない。~ ---- **余談 -出たタイミングも悪かった。まずひとつ、1996年という格ゲーブーム全盛の時代(=STG下火の時代)にリリースされてしまったこと。皮肉にもナムコ自身が、『[[鉄拳シリーズ]]』を引っ提げて格ゲーブームに殴り込みをかけている真っ最中だったのだ。 --そして『[[19XX>19XX THE WAR AGAINST DESTINY]]』『[[レイストーム]]』『[[バトルガレッガ]]』などの、今なお語り継がれる名作・話題作の出た年にリリースされてしまったことである。 --特に同じ3Dを扱ったレイストームとは当時から何かと比較され、このゲームは1ランク下に見られてきた。 ---確かに3Dを生かした演出、という点では文句なく''レイストームの圧勝''であり、背景などの書き込みの密度も高い。大量ロックによるホーミングレーザーの爽快感やGRAY2のサンダーレーザー、ZUNTATA(TAMAYO)の手がけたBGMなど、話題も完璧にレイストームに持っていかれてしまった感がある。ナムコからリリースされた『[[ネビュラスレイ]]』が『レイフォース』に話題を持って行かれたように、ナムコSTGはまたしても『レイシリーズ』の席巻に対抗できなかった。 --そのため、このゲームは評価云々の前に、''時代の波に埋もれてしまったマイナーゲー''という悲運を背負ってしまったのだった…。 --そして本作以降のナムコのAC・汎用筐体でのSTGは『てんこもりシューティング』((1998年稼働開始。使用基板は『ミスタードリラー』『ソウルキャリバー』などでも採用されたPS上位互換のSYSTEM12。内容は同社の『ガンバレット』みたいに複数の多種多様なミニゲーム形式のシューティングを詰め込んだSTGとなっている。ただしこちらも「どこかで見たような他所のSTGの使い回し」「難易度が高すぎ」などと個性に欠けたりバランス面で不安定という微妙な評価に留まってしまった。))だけしか発売されていない。これは本作での敗北から正統派STGではもはや勝負できなくなったと悟ったからだろうか。 //本作自体の総評に載せるのはそぐわないが一方で余談に載せるまでなら意味として通用するのでこちらにCOを外して転載、それとナムコクラシックコレクションはSTGが入らない2を含めて本作の前の発売なのでここの説明からは削除。 -隠しキャラとして、『[[鉄拳シリーズ]]』のポール・フェニックスと三島平八が使える。STGに人気格ゲーの要素を持ち込むことで話題を集めようとしたことがうかがえる。 --しかし平八は常にショットの強化段階が最大である代わりに最終ステージの浮き沈みする障害物を避けきれないほどの低速であり、逆にポールは制御困難なほどの高速で使い勝手が悪すぎるため、どちらも使用に耐えない。故にこれらの機体でのノーコンティニュークリアは未だに報告されていない。 ---当時のゲーメストでは''「お金を払ってまで使う価値はない」''とまで言われ、「使用する価値が見いだせない隠しキャラ」という世にも奇妙な存在となってしまった。まさに&bold(){誰得}である。 --他にもこちらは自機ではないが、同社の他作からのゲストとして、道中である条件を満たしていると『[[ドラゴンスピリット]]』のブルードラゴン、『[[ディグダグ]]』のプーカが出現する。ちなみに撃つと非常に高い得点が入る(要するにスコアアタック用の隠し要素である)。 //アーケード版からそのまま存在する要素ならこちらに移動 ---- *ゼビウス3D/G+ 【ぜびうす すりーでぃーじぷらす】 |対応機種|プレイステーション|&image(http://sce.scene7.com/is/image/playstation/jp0700npjj00672_000000000000000001_jacket?$pkgL$,height=160)| |発売日|1997年3月28日|~| |定価|5,800円(税別)|~| |配信|ゲームアーカイブス:2013年6月26日/628円(税10%込)|~| |判定|なし|~| アーケードで発売されたゼビウスシリーズの中から、『ゼビウス』『スーパーゼビウス』『ゼビウスアレンジメント』、そしてタイトルに冠しているメインの『ゼビウス3D/G』の4作をPSにセット移植した作品。初代以外は全て家庭用初移植。~ このうち『アレンジメント』は1995年に稼働開始した『ナムコクラシックコレクションVol.1』からの移植((初代とスーパーも周回数制限やデバッグモードなど、『クラシックコレクション』版がベースとなっている。))~ //ただしFC版オリジナルの『ガンプの謎』は収録されていない。 //収録作全てAC版なのだから、それ言うとPCエンジン版も収録されていないのはおかしいという事になる ***3D/Gに対する追加要素及び変更点(+) -移植に際して追加されたアレンジBGMは好評。 -各種デモのCGムービーとそれに付随するBGMがなぜか全て差し替えとなっており、クオリティが上がっている…のだが、最終面クリア後のムービーは一部で物議を醸した。 --その内容は、ガンプの宇宙基地からソルバルウが脱出した後、ナスカの地上絵にビームを照射し、''その地上絵からビームが発射されてガンプの宇宙基地を破壊''するという、不可解な展開になっている。 --一方でアーケード版で使用されたムービー及びそのムービーに付随するBGMはホーム内にあるギャラリーこと「おまけ」内を含めて一切収録されていない。なので後述に記したグラフィックの細かい違いを含めて、ゲーム性・プレイに影響しない細かい演出部分のみになるが完全移植とは言い切れない。 -本編のグラフィック面における変更点として、AC版はPS1の互換基板であるSYSTEM11を使っているが、PSへの移植の際、H/Wスペックの差もあってか一部異なる点がある。 --特に処理落ちを軽減する為か、地上のテクスチャ表現にフラットシェーディングを使っている(AC版はグーローシェーディング)((これはPSのVRAM容量がSYSTEM11の半分(1MB)しかないということにも起因している))。 ---- **余談(+) -隠しキャラのポール・フェニックスと三島平八は『3D/G+』でも使える。 -裏ジャケットに「ゲームファンを震撼させた不朽の名作「ゼビウス」がついにプレイステーション版に!!」…と書かれているが、実は先に『ナムコミュージアムVoL.2』に収録されている。 --単なるナムコの見落としなのかもしれないが、この3D/Gの立ち位置や扱いが透けて見えるとまで言われていた。 --ただし、PS版『ナムコミュージアムVOL.2』に収録された『ゼビウス』は今一つな移植度でがっかりした声が多く、本作にてようやくAC版に限りなく近い完成度に仕上がったため、「完全移植」という意味では間違ってはいないが…。 --他の収録作は3D/Gは先程でも記したようににムービー及びグラフィック面に細かい違いがあるが、初代と残りの2作はほぼ完全移植といっても差し支えがない。またPSの『ナムコミュージアム』シリーズ収録の縦画面作品と同様に、縦置き可能モニターが必要になるが、3D/G以外の3作は縦画面でのプレイにも対応している。 -家庭用版3D/Gはいくつかのバリエーションのゼビウスが遊べるが、それぞれの映像規格の違いにより一部の映像変換器と相性が悪く、HDMIやVGA入力しかないテレビではまともに写せない事がある。 **動画 #region &nicovideo2(sm13144628) #endregion
*ゼビウス3D/G 【ぜびうす すりーでぃーじー】 |ジャンル|縦スクロールシューティング| |対応機種|アーケード(SYSTEM11)| |発売・開発元|ナムコ| |稼働開始日|1996年| |判定|なし| |ポイント|ゼビウスらしさの排除&br;ファードラウトサーガに終止符を打ったが…?&br;プレイヤー泣かせの高難度&br;誰得な『[[鉄拳>鉄拳シリーズ]]』要素&br;またしてもタイトーSTGの引立て役という不運| |>|CENTER:''[[ゼビウスシリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概要 1990年の『[[ソルバルウ]]』に続く、3Dポリゴンを全面的に採用した『[[ゼビウス]]』。~ 現在、アーケードで展開された最後のゼビウスである。 本作は、一応は『ファードラウトサーガ』(ゼビウスシリーズの背景に共通するストーリー)に終止符を打つものだといわれているが…。 ---- **システム -プレイヤーは自機ソルバルウを操作し、全7面のステージをクリアして打倒ガンプを目指す。 --システム的にはこれまでのゼビウスを踏襲しており、地上と空中に敵が分かれている方式。ソルバルウの武器もお馴染みのザッパー(対空)とブラスター(対地)である。 --しかし様々な面で、元祖ゼビウスと差別化を行ったと思われる変更箇所が多い。 -''ブラスターの仕様変更'' --地形に高低差の概念が発生して着弾までのタイムラグが一定ではなくなったためか、サイトに相手を捉えてブラスターを発射することでブラスターが誘導するようになった。また、連射も効くようになっている。 -''強化アイテムの登場'' --ファミコンオリジナルタイトルであった『スーパーゼビウス ガンプの謎』((厳密には『ゼビウスアレンジメント』にもアイテムによるパワーアップの概念は存在していた。ただしこちらはアイテムを取得してもザッパーが1段階強化されるだけで、以降はミスせず連続で取得する度に得点倍率が上昇するスコアアイテムとしての意味合いの方が強い。))のパワーアップアイテムが本作では形を変えて復活し、さらにショットを場面場面で使い分けることができるようになった。 --地上にあるパワーアップカプセル(ポラドーム)をブラスターで破壊するとアイテムが出現する。現在のショットとは違うアイテムを取るとショットの性能が変化し、同じアイテムを取得すると最大3段階までパワーアップする。 ---ショットの強化は別のアイテムを取得してショットを切り替えても引き継がれる。これを利用して局面に応じてアイテムを取得することでショットを使い分けることができる。 ---撃破されてもショットの種類は保持されるが、強化段階は最低まで下がってしまう。 #region(パワーアップアイテム) |パワーアップアイテムの色|効果| |&color(blue){青(ディオス)}|お馴染みのザッパーで、初期装備。&br;パワーアップすると連装数が増加し、拡散して発射するようになる。通称ワイドザッパー。&br;広範囲に攻撃できる他、大型敵などに接近して全弾命中するように撃てば高いダメージが出せる。| |&color(green){緑(ゲルマック)}|正面に太いレーザーを撃つ。破壊力が絶大だが攻撃範囲は通常のザッパー並に狭い一点集中型。&br;パワーアップすると火力が上がる。最大強化時の火力はかなりのもの。| |&color(red){赤(ドークト)}|画面内の敵を自動でサーチして攻撃し続けるサーチレーザー。パワーアップで同時照射数が増加する。&br;ショットだけではなく、ブラスターも対地レーザーに変化する。その為、対地・対空攻撃を同時に行うと攻撃が分散してしまう。&br;回避に専念できるが、その分火力は控え目。| #endregion -''シームレスな展開からステージクリア式へ'' --ゼビウスと言えば流れるようなシームレスのゲーム進行が特徴的だが、今作ではステージクリアごとに区切られる仕組みになっている。 --また、3面では途中でステージ分岐が入る((特定の地上物を先に破壊するか否かでそれに応じたルート分岐が入る。))など時代に合わせたギミックも盛り込んである。 --各エリアの最後にはボスがおり、倒さないと次ステージには進めない。 ---- **評価点 -ゲームの合間に挟まれるハイエンドCGの出来は当時としては素晴らしいもので、多くのプレイヤーを驚嘆させた。 --ゲーム中でも、これまでのゼビウスに見られなかった「遺跡」「砂漠」「雪原」「宇宙」などの個性豊かなステージはプレイヤーを楽しませてくれる。 --レイストームと比較されるゲーム中のCGについても「これはゼビウスならではのソリッドな質感を追求した結果であり、技術力不足からくるものではないのでは」とする意見もある。 -音楽も聞けないことは全くない。1面の曲などが好評である。 --ただ曲調が「地味」であり、環境音楽としての色が強め。そのためBGMとしての評価も他作品に奪われがちだった。 --BGMは細江慎治氏、佐野信義氏、佐宗綾子氏、佐々木宏人氏の4名が手掛けており、『リッジレーサーシリーズ』とは違いアシッドテクノ、ミニマルテクノ寄りのサウンドに振った曲になっている。 -一部のプレイヤーからは「隠しキャラのソル((ゼビウスシリーズに共通するシークレットフィーチャー。地形のどこかに隠れており、破壊すると高得点が入る。))を探しながらプレイすることで緊張感が生まれ、このゲーム特有の楽しさが生まれる」という意見があった。 --ステージ中に埋没したソルの探索はゼビウスシリーズ共通の要素であり、そういう意味では「このゲームに唯一残された数少ない『ゼビウス特有の味付け』」とも言える。 --他、「場合に応じてショットアイテムを取得し、場面場面に応じたショットを使い分ける」という他のSTGにはない戦略性を求められるシステムを評価する声もある。 **賛否両論点 -''『ゼビウス』らしさが薄まった'' --当時の派手さを追求したシューティングに対抗したのか、パワーアップ要素や派手な3Dを引っさげて現れた本作3D/Gだが、逆に追加した要素やゼビウス的な要素の希薄化のために''「ただの凡庸な縦STGになってしまった」''と当時のファンからは嘆かれることが多かった。 --3Dを活かした演出や新システム自体の完成度は決して悪くないものでそのアイデアを評価するプレイヤーも少なからず存在するが、難易度バランス面やパワーアップに関しては練られているとは言い難く、改善の余地があるという声が多かった(こちらの詳細は「問題点」へ)。 **問題点 -難易度が高い。 --「凡庸な縦STG」となった割には、ボムのような敵や敵弾を一気に殲滅する手段が存在しないため、所謂『ガチ避け』を強いられる。さらに、得点によるエクステンドがなく、1ゲーム通して数カ所にしか存在しないスペシャルフラッグ((ゼビウスシリーズ共通のシークレットフィーチャー。フィールドのどこかにブラスターを撃ち込むことで出現し、取得すると1up。))を探し当てて自機を補充するしかない(しかも最低でもたった2カ所((最低でもというのは、後述するようにこのゲームはランクによる難易度変動システムが存在しているのだが、実は特定箇所のスペシャルフラッグが出現するか否かもこのランクで決まり、当然ながらランクが高くなるほど出現しなくなる。ランク問わず必ず出現させることができるフラッグはなんとたった2カ所しか存在しない。)))。クォータービュー特有の癖も手伝って慣れないうちは敵弾で事故死しやすい。 --それを抜きにしても基本の難易度が高く、2面後半辺りから自機を狙い撃つ弾とランダムで飛ぶ弾を混合させた弾幕や嫌らしく配置された地上物が増えていくほか、後述するランクの影響で加速度的に難易度が上昇する。加えてボムがなくごまかしが効かないため、クリアには相応のプレイヤースキルと集中力が必要。 ---また3DSTG永遠の課題である''「エフェクトで弾が見づらい」''という欠点もしっかり持っており、シューターたちを悩ませた。 --ランクのシステムが存在し、[[敵を倒しているだけでランクがモリモリ上がっていく>ピンクスゥイーツ ~鋳薔薇それから~]]((特に地上物や後述するソルの破壊は空中物よりもランク上昇値が高くなる。))。僅かな得点の変動やランクの上昇・下降で敵の内容が変化してしまうためにパターンを組みづらい((実はこのランク変動には「特定箇所にあるソルの出現フラグ」にも絡んでおり、ランクが低いとその地点にブラスターを撃ってもソルが出現しないという要素がある。))。ランクが上がると特定の場所に''中ボスが追加される''場合もあり、生き残ることで難易度はどんどん上昇していく。 --2面とは思えない攻勢を展開してくるボス・イーリア・ザーナイドや、ゲーム後半に登場する「曲がるバキュラ」、変則的な攻撃を行いパターン化が難しい5面ボスのギャリアジードなど、全体的に難所も多い。 -折角のパワーアップアイテムも、旧来のザッパーを強化したディオス(ワイドザッパー)が癖がなくある程度火力も出せるため、追加された2つのショットはやや不遇な位置に置かれてしまっている。 --ドークトは元の火力が低いため高耐久の敵を仕留めにくい。その上敵の数が多いと、乏しい火力が更に分散されてしまう。 ---また全自動で攻撃してくれるため回避行動に集中できるが、逆に任意に敵に狙いを定められず、しかも一度一体の敵をサーチしてしまうとその敵が倒されるか逃げるまで、別の敵に照準を合わせることも出来ないため「突進してくる敵や、弾を連射/弾幕を張ってくる敵を倒したかったけどロックしてくれず撃ち漏らしてそのまま死んだ」というケースも多い。 ---通常のブラスターでは破壊できない場所にある地上物をも破壊できるメリットはある。また初見殺しと名高い2面ボス、イーリア・ザーナイド戦など特定の箇所では有効。 --ゲルマックは高火力で多くの敵をさくさく殲滅できるのだが、正面しか攻撃できないため、回避しながらだと敵に火力を集中できないことも多い。そのため、精緻な避けを求められる後半になればなるほど、売りの火力を発揮できる局面が少なくなっていく。 ---一方で地上敵扱いな1、2面を除く多くのボス戦には有効。クリア重視ならボス戦ではゲルマックを持っていくとその破壊力に助けられる例も多い((特に5面ボスのギャリアジードやラスボスのガンプは、最大強化時のゲルマックを用いて短気決戦で済ませるのが安全策として鉄板になるほど。))。 -また、『ファードラウトサーガ』を締めくくる作品という割には、作中でストーリーの説明が一切なされない。プレイヤーは超展開を通り越して''「ストーリーあったの?」''という感覚に陥ること必至。 --ゼビウスの象徴的な敵キャラであるアンドアジェネシスが''1面の中ボスに格下げされてしまった''のは当時物議を醸した。 --エンディングでさえ何も語られず、ソルバルウがガンプの陣取る宇宙基地を破壊して''それで終わりである。''ついに宿敵ガンプが倒れた、ということしかわからない。 ---- **総評 アーケードで展開された最後のゼビウスであり、その作りに決して妥協はない。過去のゼビウスを超えようという、スタッフの意気込みが伝わってくる場所も少なくはない。~ しかし多くのプレイヤーが指摘したように''「凡庸なSTGになってしまった」''感は拭えず、今なお語り継がれる名作STGに敗北を喫したのも必然と言えるかもしれない。~ ---- **余談 -出たタイミングも悪かった。まずひとつ、1996年という格ゲーブーム全盛の時代(=STG下火の時代)にリリースされてしまったこと。皮肉にもナムコ自身が、『[[鉄拳シリーズ]]』を引っ提げて格ゲーブームに殴り込みをかけている真っ最中だったのだ。 --そして『[[19XX>19XX THE WAR AGAINST DESTINY]]』『[[レイストーム]]』『[[バトルガレッガ]]』などの、今なお語り継がれる名作・話題作の出た年にリリースされてしまったことである。 --特に同じ3Dを扱ったレイストームとは当時から何かと比較され、このゲームは1ランク下に見られてきた。 ---確かに3Dを生かした演出、という点では文句なく''レイストームの圧勝''であり、背景などの書き込みの密度も高い。大量ロックによるホーミングレーザーの爽快感やGRAY2のサンダーレーザー、ZUNTATA(TAMAYO)の手がけたBGMなど、話題も完璧にレイストームに持っていかれてしまった感がある。ナムコからリリースされた『[[ネビュラスレイ]]』が『レイフォース』に話題を持って行かれたように、ナムコSTGはまたしても『レイシリーズ』の席巻に対抗できなかった。 --そのため、このゲームは評価云々の前に、''時代の波に埋もれてしまったマイナーゲー''という悲運を背負ってしまったのだった…。 --そして本作以降のナムコのAC・汎用筐体でのSTGは『てんこもりシューティング』((1998年稼働開始。使用基板は『ミスタードリラー』『ソウルキャリバー』などでも採用されたPS上位互換のSYSTEM12。内容は同社の『ガンバレット』みたいに複数の多種多様なミニゲーム形式のシューティングを詰め込んだSTGとなっている。ただしこちらも「どこかで見たような他所のSTGの使い回し」「難易度が高すぎ」などと個性に欠けたりバランス面で不安定という微妙な評価に留まってしまった。))だけしか発売されていない。これは本作での敗北から正統派STGではもはや勝負できなくなったと悟ったからだろうか。 //本作自体の総評に載せるのはそぐわないが一方で余談に載せるまでなら意味として通用するのでこちらにCOを外して転載、それとナムコクラシックコレクションはSTGが入らない2を含めて本作の前の発売なのでここの説明からは削除。 -隠しキャラとして、『[[鉄拳シリーズ]]』のポール・フェニックスと三島平八が使える。STGに人気格ゲーの要素を持ち込むことで話題を集めようとしたことがうかがえる。 --しかし平八は常にショットの強化段階が最大である代わりに最終ステージの浮き沈みする障害物を避けきれないほどの低速であり、逆にポールは制御困難なほどの高速で使い勝手が悪すぎるため、どちらも使用に耐えない。故にこれらの機体でのノーコンティニュークリアは未だに報告されていない。 ---当時のゲーメストでは''「お金を払ってまで使う価値はない」''とまで言われ、「使用する価値が見いだせない隠しキャラ」という世にも奇妙な存在となってしまった。まさに&bold(){誰得}である。 --他にもこちらは自機ではないが、同社の他作からのゲストとして、道中である条件を満たしていると『[[ドラゴンスピリット]]』のブルードラゴン、『[[ディグダグ]]』のプーカが出現する。ちなみに撃つと非常に高い得点が入る(要するにスコアアタック用の隠し要素である)。 //アーケード版からそのまま存在する要素ならこちらに移動 ---- *ゼビウス3D/G+ 【ぜびうす すりーでぃーじぷらす】 |対応機種|プレイステーション|&image(http://sce.scene7.com/is/image/playstation/jp0700npjj00672_000000000000000001_jacket?$pkgL$,height=160)| |発売日|1997年3月28日|~| |定価|5,800円(税別)|~| |配信|ゲームアーカイブス:2013年6月26日/628円(税10%込)|~| |判定|なし|~| アーケードで発売されたゼビウスシリーズの中から、『ゼビウス』『スーパーゼビウス』『ゼビウスアレンジメント』、そしてタイトルに冠しているメインの『ゼビウス3D/G』の4作をPSにセット移植した作品。初代以外は全て家庭用初移植。~ このうち『アレンジメント』は1995年に稼働開始した『ナムコクラシックコレクションVol.1』からの移植((初代とスーパーも周回数制限やデバッグモードなど、『クラシックコレクション』版がベースとなっている。))~ //ただしFC版オリジナルの『ガンプの謎』は収録されていない。 //収録作全てAC版なのだから、それ言うとPCエンジン版も収録されていないのはおかしいという事になる ***3D/Gにおける追加要素及び変更点(+) -移植に際して追加されたアレンジBGMは好評。 -各種デモのCGムービーとそれに付随するBGMがなぜか全て差し替えとなっており、クオリティが上がっている…のだが、最終面クリア後のムービーは一部で物議を醸した。 --その内容は、ガンプの宇宙基地からソルバルウが脱出した後、ナスカの地上絵にビームを照射し、''その地上絵からビームが発射されてガンプの宇宙基地を破壊''するという、不可解な展開になっている。 --一方でアーケード版で使用されたムービー及びそのムービーに付随するBGMはホーム内にあるギャラリーこと「おまけ」内を含めて一切収録されていない。なので後述に記したグラフィックの細かい違いを含めて、ゲーム性・プレイに影響しない細かい演出部分のみになるが完全移植とは言い切れない。 -本編のグラフィック面における変更点として、AC版はPS1の互換基板であるSYSTEM11を使っているが、PSへの移植の際、H/Wスペックの差もあってか一部異なる点がある。 --特に処理落ちを軽減する為か、地上のテクスチャ表現にフラットシェーディングを使っている(AC版はグーローシェーディング)((これはPSのVRAM容量がSYSTEM11の半分(1MB)しかないということにも起因している))。 ---- **余談(+) -隠しキャラのポール・フェニックスと三島平八は『3D/G+』でも使える。 -裏ジャケットに「ゲームファンを震撼させた不朽の名作「ゼビウス」がついにプレイステーション版に!!」…と書かれているが、実は先に『ナムコミュージアムVoL.2』に収録されている。 --単なるナムコの見落としなのかもしれないが、この3D/Gの立ち位置や扱いが透けて見えるとまで言われていた。 --ただし、PS版『ナムコミュージアムVOL.2』に収録された『ゼビウス』は今一つな移植度でがっかりした声が多く、本作にてようやくAC版に限りなく近い完成度に仕上がったため、「完全移植」という意味では間違ってはいないが…。 --他の収録作は3D/Gは先程でも記したようににムービー及びグラフィック面に細かい違いがあるが、初代と残りの2作はほぼ完全移植といっても差し支えがない。またPSの『ナムコミュージアム』シリーズ収録の縦画面作品と同様に、縦置き可能モニターが必要になるが、3D/G以外の3作は縦画面でのプレイにも対応している。 -家庭用版3D/Gはいくつかのバリエーションのゼビウスが遊べるが、それぞれの映像規格の違いにより一部の映像変換器と相性が悪く、HDMIやVGA入力しかないテレビではまともに写せない事がある。 **動画 #region &nicovideo2(sm13144628) #endregion

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