~異伝・絵本草子~半妖の夜叉姫


原作 隅沢克之
作画・脚本 椎名高志
脚本協力 隅沢克之
設定協力 サンライズ
キャラクターデザイン協力 菱沼義仁
キャラクター原案 高橋留美子
連載期間 2021年9月25日~

【概要】

  • 『~異伝・絵本草子~半妖の夜叉姫』とは、『犬夜叉』最終回後の物語を描く、椎名高志による漫画作品である。椎名はこの作品を分厚い薄い本(同人誌)と称している。隅沢克之によるアニメオリジナル作品『半妖の夜叉姫』を原作としている。話数形式は「〇ノ章」。椎名は21話連載時点で物語の半分を消化したとしている。巻数としては約10巻程度になる予定とされている。椎名は「あくまで自分の解釈。高橋先生が描いた『犬夜叉』の続編ではない。」と公言しており、後述のように本作だけでなくアニメ版『半妖の夜叉姫』に対してもIFワールドという考えを表明するなど踏み込んだ言及も行っている。

  • アニメとは物語進行が異なり、作者の椎名は『犬夜叉』、『半妖の夜叉姫』、『~異伝・絵本草子~半妖の夜叉姫』は全てが別の宇宙、IFワールドというイメージを抱いているという。序盤は『犬夜叉』のキャラクターが出し惜しまれていたアニメ版に対して、本作では序盤から『犬夜叉』の回想が多数描かれている。一方で、あくまでアニメ『半妖の夜叉姫』を原作としている事から、ストーリー自体を『犬夜叉』という漫画と繋げる事は特別意識はされていない。ただし、アニメ版に多数存在した矛盾点やキャラクター設定などを修正している。前述の通り原作との齟齬は存在するものの、少なくともアニメ版のように本作品内で矛盾した描写や設定はほとんど登場しない。作品内の齟齬が少ないだけに、逆にアニメ版とは違う意味で大雑把な描写が目立つ作品でもある。ある意味全ての元凶とも言える犬夜叉の父竜骨精との戦いで死亡した一件が「不慮の死」の一言で片付けられているが、その結末に誰一人興味を示さないなど場面によって明らかに雑な進行がある。

  • 経過時間と地理が頻繁に明確に示される。『犬夜叉』では物語の基本的な舞台である武蔵の国を除けば西国東北といった大雑把な地理表記に留まっていたが、本作では現実に使用されている細かい地理が数話に一度はクレジットで掲載されている。また、経過時間も欄外でしっかり明示しているため、アニメ版において大きなネックであった今誰がどこで何をしているのかさっぱりわからないという事態を回避している。もっとも、本来であれば描写やシナリオで理解させ得るべき部分であるため、アニメ版での失敗を繰り返さない為の苦肉の策と言える。

【アニメ版との相違点】

  • 主要キャラクターの扱い
    • もろはがメインキャラクターに昇格している。アニメ版では日暮 とわがメインキャラでありせつながそれに準ずる扱いを受け、もろはは実質的には脇役となっていたが、本作ではもろはと双子を完全に同等に扱っている。もろはの境遇が改善されており、アニメ版では阿波の八衛門狸妖狼族を経て、たらい回しに身売りされるという悲惨と冷遇の極みとなっていたが、本作のもろはは弥勒珊瑚、その娘たちと仲睦まじい関係を築いており大切に育てられた設定となっている。せつなとも旧知の仲であり琥珀からも退治屋の技術を教わっているなど、人間関係が完全に改善されている。
    • せつなは本作ではとわよりも物語上の優先度が高くなっている。本作におけるせつなのクレジットはとわよりも上である。アニメ版ではもろは程ではないものの、とわに比べると不遇であった。
    • 親世代も殺生丸りんのみを主軸にしていたアニメ版と異なり、犬夜叉かごめを同等以上に扱っている。本作における犬夜叉とかごめのクレジットは、殺生丸とりんよりも上である。犬夜叉とかごめも回想などで頻繁に登場し活躍する。
    • かごめが明確な救出対象となっている。アニメ版ではりんだけが救出対象としてクローズアップされており、かごめは犬夜叉と共に封印されもろはすらその生死をほとんど気にかけない有り様だったが、かごめがりんと同じ境遇に変更され、物語上の扱いも対等な救出対象として描かれている。
  • 麒麟丸一派の処遇
    • 麒麟丸一派の拠点が西国の肥前国(九州地方)に変更された。それに伴い各キャラクター設定に大幅な変更が加えられている。アニメ版では東国を支配する勢力とされた麒麟丸一派だが、本作では長年雌伏の時を過ごしたため妖怪の世界においてほとんど影響力を保持していないと説明されている。
    • 麒麟丸は前述の通り肥前を拠点にしているため、必然的に「東雲の麒麟丸」という異名も存在しなくなっている。本作では「犬夜叉の父と西国の覇件を争った妖怪」と設定されており、犬夜叉の父と争った東国大妖怪竜骨精との競合が回避されている。この改変によりアニメ版でもほとんど死に設定となっていた「東国の支配者」や「獣王」といった設定も消滅した。西国の支配者は勝利した犬夜叉の父であり、麒麟丸の立場はあくまで西国の強豪妖怪である。
    • 是露は設定が簡略化されている。アニメ版のような妖力を失ったり取り戻したりといった複雑な設定はなく、麒麟丸犬夜叉の父に匹敵する大妖怪という設定になっている。虹色真珠は是露単体を由来とする代物に変更されており、彼女が過去に四魂の玉を入手した経緯も消滅している。半妖を憎んでおらず、りんやかごめの昏睡も是露が意図的に攻撃を加えたわけではなく、犬夜叉の父の死に対する是露の悲しみが結果的に犬夜叉の父の関係者に害を及ぼしてしまった二次災害的な扱いである。
    • 四凶の扱いが良くなっている。それぞれ麒麟丸から部下として認知されており相応の格を持つ敵幹部として順当に描かれている。渾沌四凶最強と明確に設定されており、渾沌窮奇は兄妹の関係になっている。アニメ版では麒麟丸から名前すら憶えられていなかった。


【サブタイトル】

話数 サブタイトル 掲載日
一ノ章 とわ 2021年9月25日
二ノ章 戦国の絆(前編) 2021年10月25日
三ノ章 戦国の絆(後編) 2021年11月25日
四ノ章 退治屋の里 2021年12月25日
五ノ章 結界 2022年1月25日
六ノ章 剛臆 2022年2月25日
七ノ章 解禁 2022年3月25日
八ノ章 幕間 2022年4月25日
九ノ章 虎口 2022年5月25日
十ノ章 胡蝶 2022年6月25日
十一ノ章 血族 2022年7月25日
十二ノ章 因縁 2022年8月25日
十三ノ章 2022年9月25日
十四ノ章 急所 2022年10月25日
十五ノ章 契り 2022年11月25日
十六ノ章 暗殺者 2022年12月25日
十七ノ章 過去 2023年1月25日
十八ノ章 弱点 2023年2月25日
十九ノ章 核心 2023年3月24日
二十ノ章 炎上 2023年4月25日
二十一ノ章 加護 2023年5月25日
二十二ノ章 2023年6月25日
二十三ノ章 2023年7月25日
二十四ノ章 航海 2023年8月25日
二十五ノ章 騎士 2023年9月25日
二十六ノ章 思惑 2023年10月25日


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最終更新:2024年04月29日 20:12