昨日 - 今日 - 合計 -
なんという愚か者どもだ。
助け合い、思い合って……そして、そのせいで死んでいくのだ。
登場 |
6巻6話(54話)「呪われた手」 |
退場 |
56巻9話(557話)「会いたい」 |
所属 |
奈落一派 |
種族 |
半妖 |
性別 |
時期によって異なる(基本的には男) |
年齢 |
50歳(人見蔭刀の姿では人間換算23歳) |
出身 |
武蔵の国・鬼蜘蛛の洞穴 |
血縁者 |
なし |
職業 |
奈落一派首魁、人見家城主 |
想い人 |
桔梗 |
装備 |
狒々の皮、日本刀、四魂の玉 |
CV |
森川 智之(人見蔭刀)、家中 宏 |
分類 |
原作/アニメ |
【概要】
- 奈落は、50年前に鬼蜘蛛という人間の肉体を核として、数多の妖怪が集合して生まれた半妖である。作中に登場する中で、特に巨大な魂を持つとされる傑物の一人。数多の妖怪や人間を操る奈落一派の首魁であり、東国を中心に広大な支配圏を確立している。数え切れないほどの凶行の末に四魂の玉を完成させ、半妖でありながら「戦国最大級の妖」と評される存在にまで上り詰めた。作者は、一貫して奈落を『犬夜叉』という物語における最大の敵として想定しており、奈落を倒してそれ以上の敵を出すという考えは一切なかったとコメントしている。物語中盤(七人隊編の完結時点)に発刊された公式ガイドブック「奥義皆伝」では四魂の玉の完成によって奈落が最終形態に到るという事だけはすでに明かされていた。
- 四魂の玉を完成させる過程で、七人の分身を生み出しており、彼らが奈落一派の中核を担っている。彼らは奈落の肉体を構成する妖怪を壺の中で熟成させて生み出した高位の妖怪であり、奈落とは違い人間の心を持たない完全な妖怪である。例外が奈落の心臓である赤子であり、彼は壺では無く白霊山での長期にわたる熟成の後に生み出された最高位の分身であり、奈落と同等の地位と能力を有すると同時に人間である鬼蜘蛛の資質を受け継ぐ存在でもある。奈落の分身は正真正銘の兄弟姉妹であり、サンデー公式ガイドにおいて血縁者の項目に他の分身たちが明記されているが、生みの親であるはずの奈落は血縁者なしと記述されている。即ち、分身同士は互いに血縁関係にあるが、奈落と分身たちの間に血縁関係はない、という複雑な関係にある。
- 奈落は素顔を晒す事を嫌っており、基本的に自ら倒した妖怪・狒々の毛皮を被り顔を覆い隠していた。妖怪の集合体である奈落には本当の姿というものが存在せず、狒々の毛皮に隠れたその素顔も変化によって自由に変える事ができた。奈落は人間の姿を好んでいるが、その姿は多様を極めており、過去には桔梗や犬夜叉、老人や貴族、女性、童子などとして活動していた時期もあった。本編中では人見 蔭刀の姿に変化しており、蔭刀の姿を気に入った奈落はその後、死の瞬間まで蔭刀の姿のままを貫いた。
【性格】
- 奈落は自らの手を汚す事を嫌う傾向にあり、絆や信頼を嘲り、人や妖怪の心理を利用し陥れる陰惨な謀略を好んだ。彼は最も邪悪な存在の一人とされているが、内に秘めた人間の心は完全な悪への変貌を妨げた。奈落よりも邪悪な存在として、曲霊と赤子が挙げられている。彼らは奈落すら用いなかった言葉や手段で敵を追い詰めた。
- 奈落は冷酷な妖怪として生きる事を望んでおり、半妖でありながらしばしば自らを「妖怪・奈落」と名乗った。しかし、絆を嘲り打ち壊すその所業こそ、奈落が絆の大切さとそれを失う苦しみを理解している証明でもあった。それは奈落が人間の心を持っており、完全な妖怪に成り切れなかったという意味でもある。奈落は、四魂の玉を手中に収めるという野望を持つと同時に、四魂の玉によって心を失い、本物の化け物になってしまう事を恐れてもいた。
- 作者は、奈落の総評として「奈落は人間だった」とコメントしている。彼は絆や信頼、仲間の大切さを誰よりも理解しており、同時に孤独や失望に苦しむ者に対しては強い共感を持つ人物だった。最も相性が悪い人物として神楽が挙げられている。
【来歴】
- その出自はかつて、四魂の玉の誕生に関わった合体妖怪と全く同じである。しかし、合体妖怪が人間の心を一切持たない完全な妖怪であるのに対し、奈落は人間である鬼蜘蛛の心が強く残った事で半妖として誕生してしまった。奈落は完全な妖怪にも劣らない妖力と邪気を誇っており、その出自を知る者でなければ半妖と見抜く事は容易ではなかった。作中では幾度となく奈落と戦った弥萢や、犬夜叉以上に鼻が利く殺生丸も、奈落を妖怪と認識していた。
- 奈落は物語開始時、武蔵の国の大名である人見家の若殿・人見 蔭刀に仕えており、妖怪に精通する人間として蔭刀に重宝されていた。しかし、ある時から蔭刀を謀殺しその姿に変化して蔭刀に成り代わっていた。蔭刀の容姿を気に入った奈落は以後、最期の瞬間まで蔭刀の姿で活動するようになる。肉体は妖怪で構成されていながら、人間の心を持つ奈落は種族としては半妖だった。しかし、鬼蜘蛛が誇る異常な邪気に加え、合体したあらゆる妖怪の力を行使できる奈落は、本物の妖怪を凌ぐほどの邪気と妖力を持ち合わせていた。
- 彼は50年前に桔梗と犬夜叉を殺し合わせた後、弥勒の祖父である弥萢と数年に渡る戦いを繰り広げた。当時の奈落は美女の姿をしていたとされる。弥萢は強力な法力を持っていたが女好きであり、戦いの軍配は女性だった奈落に上がった。勝利した奈落は弥萢の右手に風穴の呪いを穿ち、ここに新たな因縁が生まれた。さらに、犬夜叉が50年前の謀略を知った事で敵対し、その戦いの中で珊瑚や殺生丸からの恨みも買った奈落は四魂の玉を集め強大化しながら彼らと渡り合った。終盤には最強の妖という評判を獲得するようになり、作中では「奈落を倒す」という事がそのまま「最強」を意味するようになった。
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『奈落を倒す事は最強と同義となっている。』
- 奈落は鬼蜘蛛としての性質を強く受け継いでおり、桔梗に恋い焦がれる人間の心と、桔梗を憎む妖怪の心という二つの感情に苛まれ苦しんだ。妖怪としての生き方を望んでいた奈落は桔梗への感情に必死に抵抗し、遂にはそのために桔梗を亡きものにするという選択をとった。しかし、桔梗亡き後に自分の本心を思い知った奈落は完成した四魂の玉に願をかけたが、四魂の玉は奈落の本当の望みを叶えようとはしなかった。最終的に、真の黒幕である四魂の玉に実質的に操られる形で犬夜叉一行や殺生丸を相手に最後の戦いを挑んだ。この戦いは奈落にとって、かごめを四魂の玉の内部へ誘導するという四魂の玉の命令でしかなく、四魂の玉の思惑通りに、奈落は犬夜叉たちによって倒され死亡した。
【アニメ】
- 『犬夜叉 TVアニメ』
- 奈落メイン声優は人見 蔭刀の姿である森川智之である。鬼蜘蛛(無双)の声も担当する家中宏は序盤の代役声優であり、蔭刀に成り代わる前の奈落は家中が起用されている。このような声優変更は、アニメオリジナル設定の「奈落の人見蔭刀が登場する前に人間の人見蔭刀が登場する」ように変更したためである。ちなみに原作では蔭刀は始めから奈落として登場した。『劇場版テレビ版犬夜叉アニメ全集』などのインタビューで森川は「番組開始当初から奈落に起用されていた」「出番待ちで出番が伸びた」と語っている。アニメ公式サイトや各アニメ雑誌(アニメージュ・アニメディア・NewType等)等でも森川が優先されて記載される。例外が無双になった鬼蜘蛛の回想での妖怪に身体を差し出した直後の奈落の声と蛮骨のアニメオリジナルの過去回想である。原作にもある無双になった鬼蜘蛛の回想と十数年前に奈落と出会う蛮骨のアニメオリジナルシーンが描かれ、当時は蔭刀の姿をしていなかった奈落を森川が演じている。
- 瞳にアイシャドウが入る人見蔭刀が奈落であると人間の蔭刀と区別されている。
- 初登場時点で20個を超える四魂のかけらを所持している設定に変更されている。原作では犬夜叉一行と奈落一派が集めた全てで約20個であるため、初期から20個以上所持という設定はさすがに多すぎである。
- 『犬夜叉 劇場版』
- 第二作「鏡の中の夢幻城」に登場。アニメオリジナルの鉄則として「奈落を絡めない」が掲げられており、本作は唯一の例外となる作品である。50年前、弥萢、神久夜と共に三つ巴の戦いを繰り広げていた。戦いは奈落の勝利で幕を閉じ、神久夜は弥萢に封印され、その弥萢を奈落は打ち破り風穴の呪いを与えた。神久夜は奈落を恐れて封印状態のまま50年の時を過ごしたが、奈落はその神久夜を取り込む事を目論み、自らの死を偽装して彼女の復活を促すという役回りである。奈落の擬態死に騙された神久夜は復活を遂げるものの犬夜叉一行に倒され、奈落の計略は失敗に終わった。
- 『半妖の夜叉姫』
- かつて四魂の玉を完成させた伝説の妖として名前が言及される。妖怪の世界では、奈落を倒した事が犬夜叉にとって最大の偉業として語り継がれており、奈落自身の強大な影響力が見て取れる。犬夜叉の娘であるもろはは奈落の名前は知っていたが、奈落を倒したのが父であるとは知らなかったらしく、妖怪たちから犬夜叉はあの奈落を倒した人物であると聞かされた際には「そうなの?」と答えていた。
- コミカライズ版の『~異伝・絵本草子~半妖の夜叉姫』では、四凶の饕餮から日本で唯一の「風穴の呪い」の使い手として言及されている。「風穴の呪い」を使えるのは極めて強力かつ邪悪な妖怪だけであり、それほどの妖怪は世界でも数体しか存在しないという。日本でこの呪いを使えるのは奈落ただ一人だった。
【能力】
- 作者曰く「戦国最大級の妖」。奈落は人間である鬼蜘蛛を核とする、妖怪の集合体である。そのため、生まれたその瞬間から鬼蜘蛛が誇った絶大な邪気と妖怪たちの妖気を併せ持ち、並大抵の妖怪を上回る力を持っていた。体を構成している妖怪の力は全て使う事ができるが、本質的には蜘蛛妖怪としての力を多用する。特に強力なのが体に秘める瘴気である。本来は土を汚す程度とされる瘴気も、奈落の邪気にかかれば森をまるごと消し飛ばすほどの威力になった。桔梗や翠子、薬老毒仙ですら、奈落の瘴気を完全に浄化する事はできない。曲霊の封印が解除された日暮 かごめの霊力と、最強の霊能力者である白心上人の法力だけが、奈落の瘴気を完全に浄化する力を持っていた。奈落は、瘴気の濃度をある程度コントロールする事ができる。普段は奈落の瘴気を無効化している殺生丸も、本気を出した奈落の瘴気には耐えられなかった。当初はできる限り実力を隠そうとする傾向があり、日本刀による肉弾戦を行う事もあった。
- 限りなく妖怪に近い奈落も、半妖が持つ月に一度妖力を失う摂理から逃れる事はできなかった。しかし、特殊な半妖である奈落は、月に一度のその時を自分の意思で選ぶ事ができた。奈落は動けないその時に自分の体を解体し、強い部分をより強く組みなおし、弱い妖怪を捨てるという肉体の改造強化に利用していた。本来ならば半妖の弱点であるその時、奈落の力は大幅に強化される事になる。21巻では奈落が朔の日を妖力を失う日にしていた為、偶然ながら犬夜叉と妖力を失う日が被る事になった。作中では白霊山での変化以降、その時を待たずして、肉体改造を常時行うようになっている。
【奈落は妖力を失う日を選ぶ事ができた】
- 奈落は体の組み換えにより力を増し、犬夜叉の風の傷すら防ぐほどの結界を操れるようになった。しかし、結界破りの赤い鉄砕牙により結界を破られた為、今までのような緩慢な強化では犬夜叉の実力の向上に対応できなくなってしまう。奈落は白心上人を味方につけ、その絶大な法力による結界の中で体の組み換えを一心不乱に行った。白霊山で変化を完了した奈落は「新生奈落」と称され、その妖気は殺生丸と同等、身体能力に至っては殺生丸をも上回るほどに成長した。奈落は白霊山での変化に際して自分の心臓である赤子を体外に放出した。心臓の外部への放出は魂移しと同じ作用を奈落に生じさせた。心臓のない新生奈落はあらゆる攻撃が通じない不死の怪物となった。さらに奈落は犬夜叉との戦いで鉄砕牙の技である金剛槍破を奪い取った魍魎丸を吸収していた。その為、奈落は金剛槍破を使う事ができ、その身に秘める瘴気と合わせて一瞬で山を吹き飛ばす瘴気の槍としても活用する事ができた。奈落の肉体は、少なくとも曲霊が出現した段階で戦国最強の域に達していたとされている。
- 奈落は最後の戦いで四魂の玉を吸収する事で最終形態へと変化した。最終形態となった奈落の力は凄まじく、殺生丸すら溶かすほどの瘴気弾を超高速で操る事ができた。この状態となった奈落は異次元に対する耐性も持っており、冥道残月破すら効かなかった。最終形態の奈落に通用するのは爆砕牙と斬る冥道残月破、そしてかごめの破魔の矢だけである。ただし、爆砕牙はダメージこそ与えられるものの、四魂の玉と一体化した奈落には4度もの爆砕牙による攻撃をもってしても致命傷には成りえなかった。そんな奈落も、最大出力の斬る冥道残月破とかごめの破魔の矢に耐える事は敵わなかった。
【技】
【戦闘録】
最終更新:2024年05月25日 12:45