ドレイヴン


「覚悟しな!」

『ダンジョンズ&ドラゴンズ シャドーオーバーミスタラ』に登場する「マジックユーザー」の2Pキャラのデフォルト名。
人型機動兵器を駆る傭兵でもシルヴェスター・スタローン氏の主演映画でもない。アメコミのキャラはこっち
何故「マジシャン」じゃなくて「マジックユーザー」なのかはわしにも分からん・・・・
他にも版によってウィザードになったりメイジになったり一定しておらず、実にややこしい*1
通称スナフキン」。主に見た目からである。
声は1P・2P双方共 細井治 氏が演じている。

+ 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』ってナニ? と言う方へ
『ダンジョンズ&ドラゴンズ(以下D&D)』とは、
「TRPG(「テーブルトークロールプレイングゲーム(和製英語。"Table talk Role-playing game"の略である)」の古典にして、
ロールプレイングゲームの大ブームを作り上げた偉大な作品である。
指輪物語』をベースとした「剣と魔法のファンタジー」を題材にした作品で、
ご当地のアメリカなどでは一般人にも認知度が高い有名作品であり
(例えば映画『E.T.』の主人公達は、陰キャの記号として冒頭に『D&D』で遊んでいた)、
初版から30年以上経過した現在でも続いている老舗シリーズ
(ただし、本作発売時の『D&D』は現在『クラシックD&D』と呼ばれており、現在の『D&D』は当時の『アドバンスドD&D』だったりする)。
メディアミックスも行っており、小説にアニメ(日本では未放映)、映画、TVゲームなどの形で展開している。
その中には「CAPCOM製D&D」も含まれている。

「ロールプレイング」とは「役割を演じる」と言う意味であり辞書にも載っている。
ただし辞書だと「上司が客をやり部下の接客を指導する」などの意味だが。
これを遊びとしたのがRPG、要はルール化された(キャラクターの勝敗を実際の腕力で決めたりしない)「ごっこ遊び」である。
しかし日本では「知る人ぞ知る」と言う遊びだったため、CRPG(コンピューターRPG)の『ウィザードリィ*2や『ウルティマ』、
日本でRPGを一般化させた『ドラゴンクエスト』の影響により、単に「RPG」と言っただけではCRPGを指す様になってしまった。
そして「ウィズやドラクエの元ネタ」としてTRPGが紹介されると言う順番となったため(日本でTRPGを広めた作品もパソコン雑誌出身)、
元祖の方の呼び名が変わったというわけである。勿論アメリカでのRPGは今でも「ペンと紙とサイコロのRPG」を指す。
更にこれらの影響で本来は「役割を演じる」だったRPGが、日本では「経験値で強くなる成長要素」と勘違いされる事になり、
ドラクエ』以降に出たゲームが経験値さえ付ければ猫も杓子も「RPG要素」と名乗る様になってしまった
(逆に暴論と言えるかもしれないが、テーブルゲーム等でなければ殆どのゲームはRPGと言えなくもない。経験値なぞなくても。
 例えば『スペースインベーダー』は「月面でインベーダー(侵略者)と戦う地球防衛軍兵士を演じる」ゲームである。
 なので同じくシューティングである『頭脳戦艦ガル』がRPGと名乗っているのもどこもおかしくはない…本当におかしくない?)。

この辺りを含め、ルールなどのTRPGについての概要はwikipediaと公式HP、ルールブックなどを参照にされたし。

+ CAPCOM版『D&D』について
CAPCOMが『D&D』を題材にして製作したベルトフロアアクションゲームで、
1作目『タワーオブドゥーム(以下TOD)』と続編『シャドーオーバーミスタラ(以下SOM)』の2種類が存在している。
両者はかなり趣が違い、
『TOD』は『ファイナルファイト』や『キャプテンコマンドー』のような繊細な行動とパターンの把握が多分に求められる骨太なアクション、
『SOM』は『エイリアンvsプレデター』や『バトルサーキット』のような多少のアドリブ要素&爽快感重視のアクションとなっており、
そして攻略には豊富な知識を要する覚えゲーの要素も併せ持つ。ストーリーは連続しているが、それについてはシンの項目を参照。
ちょっと検索すればかなり詳細な攻略サイトや動画が沢山出てくるので、興味を持たれた方はそちらを参考にされたし。

どちらも非常に人気が高いゲームなのだが、権利面の問題でかつては家庭用版はSS版のみとなっていた。
しかし長い年月を経て、待望の現行機移植版『ダンジョンズ&ドラゴンズ クロニクルズオブミスタラ』が、
PS3、Xbox 360、Wii U、PC向けダウンロード専用タイトルとしてリリースされ、14ドル99セントまたは1200MSPで海外では2013年6月から配信された。
また、同年8月には日本内で『ダンジョンズ&ドラゴンズ ミスタラ英雄戦記』がプレイステーション3で発売。
こちらは店頭発売されるパッケージ版になっており、ファン感涙のボーナスアイテムが同梱されている限定版も存在する。
『クロニクルズオブミスタラ』同様の現行機移植版となっており、攻略映像や開発資料が見れるようになっている他、
「全員同キャラプレイの解禁とそれに伴うカラーエディットが追加」「ボイスの日英Ver.が切り替え可能」「一部要素のオン・オフ」など、
痒い所に手が届く充実したオプションが設定でき、更にはオンライン協力プレイも可能、と決定版と呼ぶに相応しい作品になっている。


CAPCOM版『D&D』におけるマジックユーザー

『SOM』にて追加されたキャラクターであり、攻撃魔法の専門職。
「武器がレベルアップで強化されない上にコンボがあまり繋がらないので物理攻撃は最後まで低威力」
体力、防御力も全キャラ中最低、更にガードが出来ない」「非力なので武器は杖と投げナイフのみ」と物理面では貧弱そのもの。

しかし、各種攻撃魔法がそれを補って余りあるほどの強さを持っており、
全ての魔法は詠唱開始(ボタンを押した瞬間)から演出終了まで全PCが完全無敵になる上、
更にものによっては「全画面判定かつ相手の状態を問わず追撃可能」「十数秒間の間マジックユーザーが完全無敵になる」などの有利な点がてんこ盛り。
使用回数に制限があるため乱発は出来ないが、上手くハマればボスを何もさせずに倒す事も可能。
そしてパーティープレイにおいては、雑魚処理は他のメンバーにある程度任せてなるべくダメージを受けない&魔法を使わないよう立ち回り、
ボス戦では後方で様子を窺いつつピンチの時は魔法を使ってサポート。攻撃魔法でコンボの始点を作るだけでなく、
避けにくい攻撃を魔法の無敵時間で安全確実にやり過ごす、全画面判定の攻撃魔法連発でごり押し、と大活躍。正に神の如く崇められる存在となる。
やれる事の多さ故に知識と経験が求められる玄人系キャラだが、熟練すればソロプレイでもパーティープレイでも高い性能を発揮する。
ただ、初心者がこのキャラを使った時、使い慣れないがために序盤か中盤で終わって「弱キャラだ…」と思い込むのも無理はない。
プレイヤーの熟練度次第で評価がはっきりと分かれる面白いキャラであると言えよう。

ちなみに『SOM』の設定段階では新キャラの性別はマジックユーザーが女性、シーフが男性だったのだが、ラスボスがそうであるように海外では魔法を使う女性、
つまり魔女のイメージは「邪悪なもの」とされて忌避されているため、シーフと性別を入れ替えたらしい。

+ 物理攻撃が弱いと言ったな、あれは嘘だ
実は『SOM』には「鬼切り」というテクニックが存在している。
「通常攻撃またはダッシュ攻撃をバックステップでキャンセル→そのバックステップを前ダッシュでキャンセル
 →ダッシュ攻撃→そのダッシュ攻撃をバックステップでキャンセル…」
とコンボ制限数に引っ掛かるまで延々と多段コンボを叩き込むテクニックで、非常に難易度が高いが、極めればコンボ火力は数倍以上に跳ね上がる。
更にダッシュ後攻撃ボタンを押さないで敵に体当たりするとコンボ制限数がリセットされるので、
「浮かせてから鬼切り→適当な所で体当たり→鬼切り→体当たり…」とすると永久コンボが成立する。
尤も一部の敵には無力な上、人間業では安定させるのはほぼ不可能に近いが。

なお、鬼切りは全キャラで可能だが、中でもマジックユーザーは他のキャラに比べて遥かにやりやすい。
理由はバックステップ前ダッシュキャンセルの受付時間が非常に長いから。
他のキャラはバックステップで浮き上がる前に前ダッシュ入力をしないといけないのだが
(猶予数フレーム。「B→レバー前→B→レバー前」のような先行入力をしないと不可能)、
マジックユーザーのバックステップは浮き上がらないためか、動作終了まで前ダッシュ入力を受け付けているのである。

また、本作でのレバー入れ攻撃は基本的に「強斬り」なのだが、マジックユーザーのみは「毒針」攻撃となっている。
この毒針、動作後の隙が非常に小さく、【攻撃→毒針】×2セットは貴重なコンボパーツとなる。
しかも、通常は1ダメージしか与えられないものの超低確率でクリティカルヒットが発生、毒針クリティカルは「現在体力の50%」にまでダメージが増幅され、
ボス戦の序盤で出るとゲージ1本近くを奪う超ダメージとなる。
なお、この毒針は原典の『D&D』には存在せず(一応「毒の吹き矢」は存在するがシーフ用である)、恐らく国産CRPGの影響と思われる。

そんなこんなで物理も魔法も強いため、縛りプレイの一環として「魔法禁止プレイ」が存在している。
一見キツそうに思えるが、プレイヤースキル的にはこれを達成した位でやっと中級者卒業、と言った所。
更には「Dボタン禁止プレイ(魔法、更にアイテムも使用出来ない)」
「ボタンはA以外禁止(Dボタン禁止に更にスライディング&ジャンプ不可が加わる)」とどんどんマゾくなっていく。
しかし、最上級者はこれを最高難易度で達成してしまうというのだから驚く他ない。それは同時にいかにこのゲームの奥が深いかを示してもいる。

+ ドレイヴンについて
ここまでの事前説明の後にやっとドレイヴンの説明が出来るのだが、『SOM』では多人数プレイで同キャラを選択出来なかった前作と異なり、
他の人が選んだのと同じキャラを2人まで選ぶ事が可能。マリオルイージのように違った造形と個性を持つようになった。
そのゲームの中で有名なもので言えば、1Pクレリック(通称「ヒゲリック」)における2Pクレリック(通称「ハゲリック」)や、
2Pファイターのジャーレッド(ジャーレッドバグで有名。ゲーセンでやっちゃダメよ)などがいる。

そして、マジックユーザーは1P(ベジータのような髪型が特徴)のデフォルト名が「サイアス」、2Pが「ドレイヴン」となっており、
更に魔法を使用可能なキャラは使える魔法の一部が1Pと2Pで異なるという差別化が図られている。
マジックユーザーはレベル5とレベル8の魔法が異なっており、サイアスは「コンジュアエレメンタル」「メテオスウォーム」を使えるのに対し、
ドレイヴンは「クラウドキル」「パワーワードキル」が使用可能。
どの魔法も強いため、どちらを選んだ方が楽、と言った事は無い。腕さえあれば最終的には見た目で選んでも全く問題無くクリア可能。


MUGENにおけるドレイヴン

ihoo1836氏のドレイヴンが存在する。
原作再現度はかなり高く、ガードが出来ない事も含めて殆ど原作と同じような操作性となっている。
無論毒針クリティカルなどの特別な仕様も全て再現されている。

魔法は開始時から満タンのゲージを消費するようになっており、魔法使用後は少量ずつ自動回復する。
この辺は原作AD&Dというよりは、後世CRPGのMP制に近い。
原作で全体攻撃のものもそのままだが、流石に全てガード可能となっている。
ドレイヴンが原作で使用出来る魔法に加えて、サイアスの「コンジュアエレメンタル(向きによる属性変化も再現)」と「メテオスウォーム」、
更に原作のボスである「リッチ」が使用した「ファイアウォール」も使用可能。
また、『SOM』におけるシーフのように体当たりで相手からアイテムを奪える仕様となっており、
ワンダーエッグ(味方オウルベア召喚)やオイル、各種魔法リングなど、マジックユーザーが原作で所持可能なアイテムは全て拾う事が出来る。
そして、本来なら多人数プレイ前提の魔法である「ファイナルストライク」*3も使用可能。
Staff of Wizardryを装備中にボタン同時押しで発動し、即死並の威力を持つ魔法が発動するがこちらも体力が1になるという、
一定以上のスコアと多人数プレイという前提を除けば、完全に原作を再現した仕様となっている。なおパイロンには無効。

AIもデフォルトで搭載されており、ガードが出来ない分突進技などのゴリ押しには弱いものの、
打撃による苛烈な攻めと魔法による無敵時間を利用した割り込みなど、まともに戦うとかなり苦戦を強いられる。
2ラウンド以降はゲージがほぼすっからかんになるぐらいに初っ端から魔法を使いまくるので連戦には弱いが、
チーム戦やタッグ戦では遺憾なくその実力を発揮する事が出来るだろう。ちなみに「鬼斬り」はしてこない。

他にはガワ替えキャラとして、Binho氏、Skiff氏、Shining氏らによるマーベルヴィラン「マンダリン」が存在し、
海外サイト「The Mugen Multiverse」にて代理公開されている。
ちなみにドットのベースはこの人
紹介動画(リンクは古いものなので注意)

出場大会



*1
ウィザード」という言葉だけでも、
  • CD&D:レベル9以上のマジックユーザーの称号
  • AD&D第一版:レベル11以上のマジックユーザーの称号
  • AD&D第二版:魔法使い系職業の総称。
    細分すると、魔法をまんべんなく扱う「メイジ」と、各カテゴリーの専門家である「スペシャリスト・メイジ」(8種類)に分かれる。
  • AD&D第三版:魔法使い系職業のうち、魔導書など、学術的なメソッドを用いて魔法を使うのが「ウィザード」(≒賢者)。
    反対に、天性の才能で魔法を使う超能力者に近いタイプの魔法使いは「ソーサラー」。日本ではこいつとか彼女とかが典型例として説明されたりする。
    いや、後者は普通に学術的では?一見攻撃魔法に見えて全部召喚魔法だったりするが
と、歴代でどんどん意味が変わっている。
『シャドーオーバーミスタラ』の原作はCD&Dなので、ウィザードは称号であって職業名ではない。

*2
そもそも『ウィザードリィ』は、
「『D&D』のダンジョンマスター(判定・進行役)をコンピューターにやらせる」ために開発されたもので、ルールもパクって良く似ている。

*3
魔法の杖を自らへし折り魔力を暴発させる自爆魔法。原作TRPGなら一人で発動可能。
ただし、原作TRPGでは名前負けな威力しかない事も多い。
そもそも「ピンチだが杖の魔力(チャージ数)はたっぷり残っている」と言う状況がおかしい
(本作しか知らないと勘違いされがちだが、本来は「ウィザードリィスタッフ」と言う
 「消耗品の杖=(魔術師専用で最大20回(再チャージ不可)まで使えるが)ファイヤーボールリング等と同じカテゴリ」専用技であり
 威力は「残りチャージ数×8」。勿論敵味方のレベルが低ければ5チャージでも奥の手になるが。
 ただし杖の魔法(チャージ1回消費)の威力に関して「使った人のレベル派」(14レベルなら杖でファイヤーボールを使ってもサイコロ14個分のダメージ)と、
 「魔法使用可能最低レベル派」(何レベルだろうと杖でのファイヤーボールはサイコロ4個分)のダンジョンマスターがおり、
 最低レベル派だとファイナルストライクぐらいしか使い道が無いと言う事もある
 エリクサーを最後まで使わない病」?そんな人はファイナルストライク自体使わないんじゃない?)、
しかも敵味方共に受けるダメージは同じなので、自分も容赦なく死ねる。

なお、CD&Dの杖は「マジックユーザーも使用可能で短剣よりも威力が高い両手武器。ドレィヴン達は片手で使ってるが」と言う代物でしかなく、
杖を持っていなくても(自前の)魔法は使えるし、魔力増強効果も無い
(攻撃魔法をチャージ可能な武器は杖だけの様だが。え、上に再チャージ不可って書いてある?作成時の話ですよ
 (ルール上はプレイヤーも高レベルになれば作成可能。まぁCRPGみたいなサザエさん時空でもないのにポーション一つ作るにも数日掛かるが))。


最終更新:2024年04月14日 14:15