ラゴン


円谷プロの特撮作品『ウルトラ』シリーズに登場する怪獣。別名「海底原人」。空の大怪獣はこっち
初出は『ウルトラQ』第20話「海底原人ラゴン」。
名前の由来はクトゥルフ神話で有名な海神「ダゴン」と勘違いされる事が多いが、実際は「ラグーン」(入り江)、
より正確には怪物映画『大アマゾンの半魚人』の原題「The Creature from the Black Lagoon」が由来である*1

2億年前に地球を支配していた爬虫類から進化した海底原人で、深海に棲息する陸海両生物。
生息地の深度は資料によって2万mとも5000mともされる(本編では「5000m」とするセリフがある)。
水圧に適応するために強靭な皮膚と怪力を持っている。
個体差はあるが、平均してゴリラ程度の知能は持っているとされている他、
音楽を好む性質があり、気が立った状態でも音楽を聴くと大人しくなる。
雌雄の別がある事が判明しており、外見上の差異としてメスの個体は卵生なのに乳房らしき膨らみがある事が確認できる。

初登場作品となる『ウルトラQ』では岩根島の漁で水揚げされた卵を取り返すべく島に上陸し、
家屋を壊して漁師や島民を襲い、死人までも出すという凶行に及んだが、
石井博士の家に押し入った際にラジオから流れる音楽に聞き入った事で、
その習性を突き止めた万城目淳に音楽で岸壁まで誘い出され、地震により海へと転落。
その後海岸へと再度出現するも、そこで孵化した子供を返されて沈静化し、共に海底へと戻っていった。
……直後に岩根島は地殻変動により崩壊し海へと沈んでしまうのだが、母子の帰っていったはずの深海は大丈夫だったのだろうか

+ その他の映像作品におけるラゴン
  • 『現代の主役 ウルトラQのおやじ』
タラコ唇繋がりなのかM1号と共に円谷英二氏へのインタビュアーとして登場。

第4話『大爆発五秒前』に登場。こちらは雄の個体。
太平洋に落下したロケットに積まれていた原子爆弾の一つが爆発し、その放射能で巨大化した個体。
性格も凶暴化しており、口から放射能を含んだ熱線を吐く能力を身に付けた他、
音楽を聴いても大人しくなるどころか逆に暴れるなど、性質が変化している。
おまけに肩に爆発しそこなった原子爆弾が引っかかっており、迂闊に攻撃できない科学特捜隊やウルトラマンを苦しめた。
最終的にウルトラマンのスペシウム光線を受け崖から落下。明言はされていないが死亡したと思われる。
原子爆弾もすんでの所でキャッチされ、ウルトラマンによって宇宙で処理された。

第4話「アイドルはラゴン」に登場。
ひょんなことからグラビア撮影のモデルとなった石動美鈴を妬んだ久野千草が、バルキー星人の手でダークライブした。
口からの熱線でキングパンドンを攻撃したが、周囲の説得とギンガのギンガコンフォートにより元の姿に戻った。

第8話「都会の半魚人」に母親の個体と子供の個体が登場。
親子共々とある魚屋の店主の戸松源三郎に匿われ、食料を恵んでもらっていたが、
不漁によりエサが取れなくなったため子供が栄養失調で衰弱してしまい、
母親が魚を捕りに行こうと無断で外出してしまったことで市民に存在が発覚し、騒動となった。
なお、本作でもガイがラゴンに音楽を聞かせて体調を改善させる場面があるのだが、
本作のヒロインである夢野ナオミも何故かこのメロディを知っており……?

  • 『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』
第3話で水の惑星リクエターの現住生物の個体が登場。
ペギラにエサとして狙われるが、ウルトラマンリブットの介入により助かる。

第20話「らごんさま」に登場。
本作では海童村にて祀られている海の神「羅権様」という恵みをもたらす存在として扱われており、
これを讃える羅権衆という集団が存在するなど、土地神もしくはディープワン的な立ち位置であると同時に、
スフィアやスフィア合成獣などの本筋とは無関係かつ、そもそも怪獣というより超常的な存在で、
『ティガ』のようなクトゥルフ要素と、『ウルトラQ』のような怪奇色が強いエピソードとなっている。
なお、『ダイナ』にも「ディゴン」という半魚人兵士が登場しているため無関係ではない。
地震で封印されていた海女の岩戸が壊れたため復活してデッカーと戦うも、
民族資料館の老人・浦澤ナギがラゴンの怒りを鎮めるために舞を踊り、その舞に触発されるかのように鎮静化。
だが、直後に「この世ならざる世界」に通じる扉が開き、ナギはかつて遊んだラゴンと共に扉を潜って彼らが住む世界に行こうとするが、
GUTS-SELECTのイチカは彼女が行く事をよしとせず、自身も戻れなくなる事も辞さずにナギを止めようとする。
これが『Q』ならナギとも悲しい別離を余儀なくされたのだろうが、ミラクルタイプにチェンジしたデッカーが現れ、
超能力でイチカとナギを現世へ引き戻し、帰還した直後に海女の岩戸は完全に崩落する。
これにより「この世ならざる世界への扉」が塞がれる瞬間、ナギはまるで自分に別れを告げるかのように手を振るラゴンの姿を見たのであった。

  • 『スパークドールズ劇場』
本作ではブラックキング(SD)やサンダーダランビア(SD)達と共にレギュラー出演。
担当声優は田中晶子女史。(キングパンドン姉妹と兼任)性別は女性(雌)。
その風体に似合わず引っ込み思案でお淑やかな性格かつ可愛らしい声だが、
シルバゴンをバカ呼ばわりする等意外に毒舌な一面も持つ。

「ティガがパワータイプにチェンジっス♪」
「…いや、出来へんってだから!何やねんコイツ‼」
「おバカさんです♡」

+ メディアミックスにおけるラゴン
PS2ソフト『ウルトラマン』では2周目の敵として登場。
原作の後ろからの羽交い絞めも再現されている。

漫画『ウルトラマンSTORY 0』でも、第5話「失われた光」にラゴンをモデルとした水棲人間が登場する。
初代ウルトラマンのリメイク漫画『ウルトラマン THE FIRST』では第3話「科特隊出撃せよ」との混成ストーリーになっており、
高エネルギー爆弾が身体にひっかかったラゴンとネロンガが対決するという原作以上の危機が描かれる。
最後はネロンガの高圧電流に敗れたが、高エネルギー爆弾は直前に身体から外れていたため爆発は免れ、
ネロンガ撃破後に宇宙で爆破処理された。

スパイダーマンがウルトラ世界にやってきたクロスオーバー企画『ウルトラマン:アロング・ケイム・ア・スパイダーマン』にも登場。
海上太陽光パネル拡張など人間の海洋開発のせいで人間と遭遇する事例が増えており、
ラゴンを過剰に恐れる一部団体から駆除されるなどで絶滅の危機に瀕している。
むしろラゴンは生息域を人間に犯されている側であり、科学特捜隊からも保護対象としてみなされているが、
保護に費やされる税金が無駄だと民衆の間では否定的な意見が多く、科特隊は世論と活動方針との間で板挟みに遭っていた。
そんな状況でメフィラス星人が怪獣墓場から蘇らせた個体がDr.ドゥームにより巨大化・凶暴化させられ、日本へ差し向けられる。
一旦はスパイダーマンや科特隊により海中に拘束され、変わり果てた同族を見捨てることなく寄り添ったラゴン達により鎮静化するが、
ドゥームのさらなる干渉により同胞達をも殺害するまでに狂暴化。
もはや救う手立ては無く、ウルトラマンにスペシウム光線で撃破される形で介錯された。


MUGENにおけるラゴン

 
怪獣キャラに定評のあるカーベィ氏の製作したキャラが公開中。
スプライトはgesura505氏が作成したものが使用されている。
発生の早い飛び道具「白色光線」が主力技になる他、腕のヒレで斬る近接攻撃「ラゴンカッター」も優秀。
超必殺技はいずれも1ゲージ消費で、「必殺白色光線」、『マン』で見せた「首絞め」、
画面内に一体まで召喚可能で、自動で攻撃してくれる「ラゴンJr.」。
AIもデフォルトで搭載されている。

デフォルトでは『Q』準拠でモノクロカラーだがBLACK LAGOONとか言わない
defファイルの登録で巨大ラゴン仕様も使用可能になる。
なお、巨大ラゴンは超必殺技「ラゴン.Jr」が「大爆発五秒前」に変更されるなど、性能が一部異なる。
紹介動画

出場大会



*1
古い書籍でも『大アマゾンの半魚人』の原題の「Lagoon」を固有名詞と誤解したのか、
半魚人をまんまローマ字読みの「ラゴーン」という名前で紹介しているものがある(正しくは「ギルマン」)。
割とデザインもラゴンに似ているが成田亨氏は一般的な半魚人像からラゴンをデザインしたとの事で、
ギルマンとラゴンが似ているのは双方半魚人のテンプレに沿ってデザインされた結果似ただけである。

『メタルギア』シリーズファンにとっては、
「『MGS3』でFOXの医療担当のパラメディックがB級映画マニアで話題に出してきた作品」としてそこそこ有名だろうか。
また特撮界隈では、スーパー戦隊第34作『天装戦隊ゴセイジャー』の敵怪人に海外映画のタイトルを捩って使われている中、
どう贔屓目に見ても半魚人的な看板倒れなデザインの「人魚のジョ言」のネーミング元がこれだとされている。
しかし大体は元ネタが分かり易いものが多い中、「(そのタイトルから)そうはならんやろ
「『呪怨』(国内映画だが、米国でもリメイクされて公開されている)の間違いじゃねえの」とツッコミが集中していそうなのだが、
上述の「ラゴーン」からの捩りだとすれば多少はその疑問も晴れるかもしれない。


最終更新:2025年01月13日 20:15