テトリス
とは、【ゲームボーイ】用のゲーム。
【Nintendo Entertainment System】版も本項で解説する。
テトリス |
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他言語 |
Tetris (英語) | |
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ハード |
【ゲームボーイ】 | |
メディア |
256キロビットロムカセット | |
ジャンル |
アクションパズル | |
発売元 |
任天堂 | |
開発元 |
任天堂 | |
プロデューサー |
横井軍平 | |
ディレクター |
岡田智 | |
プレイ人数 |
1~2人 | |
発売日 |
1989/06/14 (日本) | |
値段 |
GB:2,600円(税込) 3DS:419円(税込) |
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対応機能 |
通信ケーブル | |
レーティング |
CERO:A(全年齢対象) | |
シリーズ |
テトリスシリーズ | |
移植・リメイク |
3DS:【バーチャルコンソール】 Switch:【ゲームボーイ Nintendo Switch Online】 |
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日本販売数 |
約424万本 |
ソビエト連邦(ロシア)のアレクセイ・パジトノフが開発し、複数の会社にライセンス提供を行っている、落ちものパズルゲームの金字塔。
【ゲームボーイ】版は任天堂からの発売となり、初めて携帯ゲーム機に移植された。
BPS等の他社からは【ファミリーコンピュータ】を始めとする複数のハードで発売されていた本作だが、任天堂が開発したGB版の本作はテトリスで初の対戦モードを搭載。
今となっては当たり前のパズルゲームの対戦モードは、当時では凄まじく刺激的なゲームモードであり、90年代の落ちものパズルゲームブームの大きなきっかけとなった。
O | I | L | J | S | Z | T |
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マリオとルイージを操作して対戦する。
相手より先に30ライン消すか、相手のラインを押し上げてミスにさせれば勝利。
対戦を繰り返し、先に4ゲーム取った方が勝ち。
2025/03/18より、【Nintendo Music】で配信。NES版も同時配信されている。(下記の方を参照)
A-TYPE B-TYPE C-TYPEの3種類から選択できる。
A-TYPEに関しては前期版と後期版で曲が異なり、後期版ではBPSが発売したFC版の影響もあるのかロシアの楽曲の「コロブチカ」が採用されている。(*1)
なお【大乱闘スマッシュブラザーズX】にて「A-TYPE」のBGMがアレンジされた際は、後期版の「コロブチカ」が採用されている。
【テトリスDS】で「A-TYPE」のBGMがアレンジされた際も同様に後期版基準なっており、こちらは「イニシエノテトリス」という名前で収録されている。
各種バーチャルコンソール版などは後期版が収録されているため、「A-TYPE」で聞けるのは「コロブチカ」の方となっている。
北米で1989/11、欧州で1990/02/23に発売。
対戦モードがない、クリア時のリザルト画面が異なる等の細かい違いがある。
また、出現したテトリミノの総数が表示される、レベルが上がると全てのテトリミノの色が変化するという独特の仕様がある。
「A-TYPE」ではレベル151以上を超えるとゲームがフリーズすることがあるようである。
落下速度を最高の「9」にした場合、落下速度がGB版よりも速く、かなり速く落下するので(FC版の方がフィールドの段数が広い分を差し引いても)異様に難しい。(余談だがBPSのFC版よりも落下速度が速い。)
なお、FC版のテトリスは、日本では先行してBPSが発売していたが、NES版のテトリスに関してはBPS版は発売されず、この任天堂版の発売となった。
日本では任天堂版は販売されていなかったが、2024年になって【ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online】にて内容そのままで配信。
これにより日本国内でもプレイが可能となった。
2025/03/18より、GB版と同時に【Nintendo Music】で配信。
当然のことではあるが、本作は任天堂が正式にテトリスのライセンスを取得して発売したソフトなのだが、そのライセンス取得するまでには複雑な経緯があった。
まずテトリスは元々ソ連のアレクセイ・パジトノフが教育ソフトとして開発したものなのだが、共産主義国家であるソ連においてはその知的財産権を個人で所有することはできず、ソ連の知的財産権の権利を管理する「ELORG」という組織にライセンスが委ねられていた。
しかしながらこの「ELORG」は国から業務委託されていたものの「ライセンス」という概念に疎かった。
まずテトリスに目を付けたのはハンガリーの「アンドロメダ・ソフト」という会社で、「ELORG」と交渉してPC版のテトリスの版権を取得した。
ここで気を付けなくてはならないのはアンドロメダ・ソフトが取得したのはあくまでもPC版のテトリスの権利だけであり、アーケードゲームや家庭用ゲーム機に関する権利ではない。
しかしながらアンドロメダ・ソフトは他の会社にサブライセンスを配り、ELORGからは事後承諾で他の機種の版権を取得しようと試みた。
その結果、テトリスの版権は「ELORG→アンドロメダ・ソフト→ミラーソフト→アタリ→テンゲン」というサブライセンスにサブライセンスを重ねる形で複雑化。
日本でもファミコン用テトリスを開発したBPS、アーケード用テトリスを開発したセガが、アメリカの家庭用ゲーム機用テトリスを発売したテンゲンという会社からサブライセンスを貰う形でそれぞれテトリスを発売していた。
しかしながらこの間に巻き起こっていたテトリスブームの間にもアンドロメダ・ソフトとELORGのPC版以外の版権交渉は続いた。
そんな中で任天堂は当時開発中だったゲームボーイ向けにテトリスを発売するにあたり、
「家庭用据置ゲーム機用テトリスの権利はテンゲンが所有していたが、携帯ゲーム機用テトリスの権利はまだ誰も所有していない」
という事に目を付け、今度はテンゲンではなくELORGに直接交渉を図る。
しかしながら、アンドロメダ・ソフトとの交渉が難航していたELORGは任天堂との交渉になかなか応じなかった。
不思議に思う任天堂側だったものの、代理としてファミコン用テトリスを開発した会社BPSの社長ヘンク・ロジャースがソ連に出向き直談判することなる。
ロジャースの丁寧な解説と交渉もあって、無事携帯機用の権利を取得することが出来たのだが、交渉の際にロジャースが見せたファミコン用テトリスを見てELORGは驚愕。
任天堂及びBPSからすれば「テンゲンから正式にサブライセンスを買って発売した正式な商品」のつもりだったのだが、前述の経緯もあり、ELORGは家庭用ゲーム機に対する許諾もしていないし、ましてや発売していた事すら知らなかったのである。
言ってしまえば海賊版を勝手に売りさばかれているも同然だった。
当然のことながら激怒したELORGはアンドロメダ・ソフトとの契約をすべて破棄。
入念な交渉の結果、任天堂は携帯機のみならず家庭用ゲーム機を含んだ関連ライセンスの全てを取得することとなる。
この交渉が成功したのはなんとゲームボーイ発売のわずか1ヵ月前であった。
アンドロメダ・ソフトが正式な権利を失ったということは、そこからサブライセンスを貰った企業の権利も全て失われるという事を意味しており、前述したアタリ・テンゲンやセガ等の企業もテトリスに関する権利を失うという完全などばっちりを食らってしまう。
なお任天堂にとっての功労者であるBPSも、テンゲンからサブライセンスを貰っていた都合上、テトリスの権利を一度は失ってしまうのだが、そのまま任天堂からファミコン版テトリスの権利を丸々与えられ、莫大な利益を得ている。
また、任天堂は「アーケード版のライセンス」に関しては取らなかったため、アーケード用テトリスについてはセガが改めてライセンスを取る事で販売を継続できた。
そしてヘンク・ロジャースはこの交渉の功績がパジトノフサイドにも認められたのか、90年代にパジトノフらと共にテトリスの版権を管理する「ザ・テトリス・カンパニー」をアメリカに設立。
現在では逆に任天堂にテトリスをライセンスする立場となっている。