轟雷帝ザボルグ

登録日:2014/08/03 Sun 13:21:22
更新日:2025/08/31 Sun 19:16:00
所要時間:約 6 分で読めます




轟雷帝(ごうらいてい)ザボルグ》とはNEXT CHALLENGERSにて登場した光属性・雷族のモンスターカードである。



概要

最上級帝の一角にして、
古参デュエリストならば覚えに深いであろう《雷帝ザボルグ》の最上級版。
「帝」の最先発故に唯一の星5という仲間外れを受けたザボルグだが、最上級になったこちらでは他と足並が揃っている。


カード性能

星8/光属性/雷族/攻2800/守1000
このカードはアドバンス召喚したモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。
(1):このカードがアドバンス召喚に成功した場合、フィールドのモンスター1体を対象として発動する。
そのモンスターを破壊する。
破壊したモンスターが光属性だった場合、その元々のレベルまたはランクの数だけ、お互いはそれぞれ自分のEXデッキからカードを選んで墓地へ送る。
このカードが光属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した場合、その時の効果に以下の効果を加える。
●墓地へ送る相手のカードは自分が選ぶ。

効果は単純明快。
「A召喚時にモンスターを破壊する。破壊したのが光属性モンスターなら、レベルかランクに応じた数だけEXデッキも削る」。

大前提として、EXデッキに入るカードには「蘇生制限」というルールがある。
これはわかりやすく言うと、「正規の手順で出されていないモンスターは、墓地や除外ゾーンから特殊召喚することもできない」というもの。
たとえば、EXデッキから直接《青眼の究極竜》が墓地に落とされたとしよう。レベル12の融合モンスターである。
こいつは攻撃力4500という最高峰クラスの攻撃力をもつ強力なモンスターなので、こいつを《死者蘇生》で墓地から特殊召喚できればさぞ頼りになろう……かと思いきや、そうは問屋が卸さない。
《青眼の究極竜》は融合召喚で出していないので、蘇生制限のルールにひっかかって特殊召喚ができないのだ。


話は戻るが、先ほど述べた「EXデッキも削る」とは、これを強制的かつ意図的に生じさせることを意味する。
すなわち、お互いのEXデッキから直接モンスターを墓地に送ることで、EXデッキに依存したデッキを行動できなくさせることが《轟雷帝ザボルグ》を使う上での強みとなる。
デッキによって程度の差はあるが、2025年現在においてEXデッキに一切頼らないデッキというのはほぼ存在しない。
それどころか、メインデッキにバトルをこなせるカードが皆無ですべてをLモンスターに頼り切る【コード・トーカー】なんてデッキもある。
そういったデッキ相手にこの効果を撃てれば、即サレンダーもあり得る大打撃を食らわせられるだろう。

ただし、以下の通り欠点もある。

欠点その1. 自分のEXデッキも削ってしまう

《轟雷帝ザボルグ》の効果はお互いのプレイヤーに作用する。
レベル8の光属性モンスターを破壊したなら、相手はもちろんだが自分も15枚中8枚のEXデッキを失うことになる。
どれを落とすかは自分で選べるとはいえ削ること自体は避けられないため、状況によってはEXデッキから出すモンスターがいなくなる場合もある。
このため、《轟雷帝ザボルグ》を扱うデッキでは基本EXデッキに頼らず戦える構築が必要。

ただ、《轟雷帝ザボルグ》を含む【帝】および【帝王】関連のカードは意図的にEXデッキと相性が悪くなるようにデザインされている。
なんなら自分のEXデッキを0枚にすることで真価を発揮する《帝王の溶撃》等といったカードもある。
落とされて困るようなカードを初めから入れない構築にすれば、この点は気にならないだろう。


欠点その2. EXデッキから墓地へ落とすカードは相手も選ぶ


《轟雷帝ザボルグ》の効果でお互いのEXデッキを削るとき、自分のEXデッキから削るものは自分で選べる。
だが、相手のEXデッキからどのカードを削るかを選ぶのは相手である。
なので、ある程度レベルの高い光属性を破壊し、半分近くを削るくらいでないと《轟雷帝ザボルグ》は満足に効力を発揮しきれない。
少なくともレベル7以上を破壊して、7枚以上は削りたいところである。

とはいえ、こっちの欠点はプレイングである程度回避可能。
《轟雷帝ザボルグ》のリリースに光属性を使用しているなら、そのカードをこちらが選べる追加効果が発生する。
早い話が、《轟雷帝ザボルグ》を使うさいはデッキを光属性で固めておけばいいということである。

なお、この追加効果で相手のEXデッキを吟味する際はもちろん相手のEXデッキを全部見ることができる。
この時にどんなカードを入れているかチェックしていれば相手が繰り出してくる戦法も見えてくるので、光属性でのリリースをぜひ心掛けたいところ。



欠点その3. 相手が光属性モンスターを使うとは限らない


最大の欠点。
こればかりは如何ともしがたいのだが、そもそも光属性を破壊できなければEXデッキを削る効果も発動しないという悩ましい問題がある。
光属性以外を破壊してしまった場合、元の《雷帝ザボルグ》と同様の1除去で終わってしまう。
2体ものリリースコストを失っておいて結果がこれでは払い損であろう。

相手が使ってきたのがレベル・ランクの低い光属性モンスターだった場合やそもそもレベルをもたない光属性リンクモンスターだった場合も同様で、せっかくのEXデッキ削りが空振りに終わってしまう。

さらに悪いのが、A召喚時の破壊効果は強制であること。
A召喚したならば、《轟雷帝ザボルグ》の効果は必ず発動しなければならない。
仮に相手フィールドにモンスターがいない場合、自軍のモンスターを選ばざるを得なくなる。
A召喚する過程でこちらはモンスターを失っていることも多いので、場に《轟雷帝ザボルグ》以外誰もいない場合、よりにもよって《轟雷帝ザボルグ》自身を破壊しなければならない。

この強制発動の仕様はリメイク前の《雷帝ザボルグ》も抱えていた欠陥だが、まさかリメイクされても解消されないとは思わなかった決闘者も多いだろう。
光る部分はあるものの、この不安定さのため、活躍はかなり厳しいと言わざるを得ない。





追記修正は《青眼の究極竜》を破壊して12枚墓地に送ってからお願いします。





















ま、待て…プレイヤー…!貴様の望むものをやろう!

何が欲しいかだと……?

そうだ!望むもの全てをくれてやる!
貴様の手札の《オネスト》はまだ切っておらんだろう!?ワシを残せば《帝王の溶撃》の維持もできる!
エクシーズ素材にするのが望みか!?ワシを素材にすれば《No.62 銀河眼の光子竜皇》が出せる!
何があれば、お前の闘争心を鎮められる!?何だ!?


(プレイヤー)が…求める物は…!

轟雷帝ザボルグ(オヌシ)の命だ!


ヌウウウアアアーッ!サ!ヨ!ナ!ラ!








相手が光属性モンスターを使ってくるとは限らない?
仮に相手が光属性を出してきたとして、レベル・ランクが高くなければ意味がない?
少なくともレベル7以上でないと効力を発揮しきれない?

……モンスターならそこにいるじゃないか。
ザボルグの効果を発動するとき必ずその場にいて、
ザボルグの追加効果を起動させられる光属性で、
おまけにEXデッキを半分以上削れる、レベル8の、都合のいいモンスターが。

轟雷帝ザボルグ
8/光属性/雷族/攻2800/守1000


本当の用途

欠点その3を解決できる単純明快な方法がある。
それは、ザボルグの効果でザボルグ自身を破壊すること。
この効果でザボルグを破壊した場合、お互いのEXデッキのカードを8枚墓地に送ることができる。

……手間暇かけてアドバンス召喚までしたザボルグを失うのは勿体なくないか?と思われる読者のために、
比較対象として「EXデッキからカードを墓地へ送る」カードをいくつか挙げてみよう。

おろかな重葬
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、
このカードを発動するターン、自分は魔法・罠カードをセットできない。
(1):LPを半分払って発動できる。
EXデッキからモンスター1体を墓地へ送る。

ゲール・ドグラ
効果モンスター
星2/地属性/昆虫族/攻 650/守 600
(1):3000LPを払って発動できる。
自分のEXデッキからモンスター1体を墓地へ送る。

赤字で示した部分がコスト。
カードを使うために払わねばならない代償である。
自分のEXデッキからたった1枚のモンスターカードを墓地へ送るだけでも、普通はこのくらいの対価を求められるものである。
なぜなら、遊戯王において墓地は「第2の手札」とも呼ばれるものだから。
EXデッキのカード限定であるものの、送るカード次第ではかなりのアドバンテージが得られるのだ。

話は戻るが、上記2種と比較すると、ザボルグ様のハラキリで落とせるモンスターカードの枚数は一度に8枚。
失うものは確かに大きいが、得られる成果も非常に大きい。

……なにげにここで「送るカード次第」というのも、ザボルグを使う上でのポイントとなる。
「EXから直接墓地に落とすと得をするカード」のほとんどは、正規の手段で出してもあまり強くない。
なので、普通はEXデッキに入れない。
出して盤面を制圧できるカードを沢山詰め込んだ方が得をするからである。


そんなわけで、轟雷帝ザボルグの本当の運用方法とは
1.あらかじめ「EXデッキから直接墓地に落とすと得をするカード」をEXデッキに大量に入れておく。
2.ザボルグをアドバンス召喚し、ザボルグ自身を破壊させてお互いのEXデッキのカード8枚を墓地へ送る。
3.自分は事前に入れておいた専用のカードで得をする。相手は普通に出すはずだったモンスターを飛ばされて窮地に陥る。
というものになる。
ただの雷帝だった時には難点扱いされた暴発の恐れが、轟雷帝で存在意義になるとは…。


相性のよいカードあれこれ


墓地から効果を使用する


  • 虹光の宣告者
《轟雷帝ザボルグ》と同時に収録されたカード。
(3):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。
と言う効果を持っているので、《轟雷帝ザボルグ》で2〜3枚墓地送りにすれば儀式召喚の準備が整う。
光属性の儀式モンスターなら《フォトン・サンクチュアリ》の制限にかからない上、トークンや余った《轟雷帝ザボルグ》を利用して儀式召喚出来る。
《崇光なる宣告者》や《救世の美神ノースウェムコ》《竜姫サフィラ》《天界王シナト》辺りが使いやすいと思われる。


墓地から発動することで、EXデッキに戻りながら墓地のカードのデッキバウンスが可能。
自分のでも相手のでもよいので、枠が余ったらとりあえず落としておくとよい。


  • 旧神ヌトス
墓地に送られた時にフィールド上のカードを破壊できる。
この手のカードにありがちな1ターンに1度の制限が無く、3枚同時に墓地に送っても発動するのが魅力。



融合素材を墓地に用意出来るだけでなく、
墓地から除外する事でキーカードの《化石融合ーフォッシル・フュージョン》をサーチ出来る《新生代化石竜 スカルガー》や、
《タイム・ストリーム》をサーチする《新世代化石騎士 スカルポーン》、
モンスター1体を破壊出来る《中世代化石騎士 スカルナイト》
と融合素材を兼用しつつ墓地で発動する効果を持つ融合モンスターが複数存在するので一石二鳥。
《捕食植物キメラフレシア》や《深淵竜アルバ・レナトゥス》と違いタイムラグなく融合出来る上、
相手のEXから落とすカードを選ぶ事によって化石融合の対象を相手の墓地に用意する事も可能。
ただし、属性が合わないので《フォトン・サンクチュアリ》からのA召喚とはミスマッチな点には要注意。



墓地から素材にする


融合素材代用効果は墓地でも使用できるので、蘇生こそできないが墓地融合の際の融合素材にできる。


《ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン》は、墓地から上記のシンクロモンスター2種を除外することで出せる。
ザボルグで3組落とせれば3体をまとめて出すことが可能。
こうなると相手がモンスター効果を使う度に2100バーンを飛ばすため、ほぼ行動不可能に追い込める。




弱点


さて、ここまで《轟雷帝ザボルグ》の活用法を述べてきたが、このカードにも勿論弱点が存在する。

◆除外関連
折角墓地に送ったところでこちらが使う前にそれらを除外されたり、自爆前に《マクロコスモス》を張られたりすると一気に悲惨な状況になる。
特に出張要員として色んなデッキに出張る《M・HERO ダーク・ロウ》なんかは天敵なので対策必須である。

加えて、融合軸ならば《王宮の鉄壁》などの除外メタにも弱い。
墓地融合は大抵の場合、除外しなければならないのでそれを封じられては全く話にならない。

しかし、敢えて除外する事によって《紅蓮魔獣 ダ・イーザ》や《ネクロフェイス》の攻撃力を爆発的に増加させる事が出来るので、逆に除外戦術をメインにすることも可能。


シャドール
《エルシャドール・ネフィリム》は《轟雷帝ザボルグ》の破壊対象として利用出来るものの、
シャドールの融合体が墓地に送られた場合、「シャドール」魔法・罠をサルベージする効果を持っている為、
EXから直接墓地に送ったところで相手もアドバンテージが増える。

先攻《轟雷帝ザボルグ》自爆を決めた所で、ほぼ必ず積まれている《貪欲な壺》で回収+2ドローさせる隙を与えてしまう。
逆にこちらが《エルシャドール・ミドラーシュ》を初めとした特殊召喚メタに引っかかって上手く回らず、どうしようもなくなる。

相手が《貪欲な壺》を引けず、そのうちにEXデスを決めれば多少勝機が見えてくるが…


◆手札事故
《轟雷帝ザボルグ》を使う場合、とにかく素早く場に出して自爆ないし相手の光属性を破壊するのが第一目標であり、
EXを使う場合は2回目・3回目の効果発動はなるべく狙わない、のが基本方針である。

《轟雷帝ザボルグ》はサーチ手段に乏しいので早く引く為には複数積みが基本となり、
《フォトン・サンクチュアリ》などのリリース要員も多めに用意しなければ心許ない。

更に、その他のサーチ・リクルートなどを駆使してデッキ圧縮し、《轟雷帝ザボルグ》を引く確率を少しでも上げる工夫も必要となる。
しかし、そうなると今度は手札でダブつく可能性が出てくるので、それをどうにかして処理しなければならない。

儀式軸なら儀式召喚のリリース要員や2回目以降のEX破壊などの使い道があるが、
それ以外だと《トレード・イン》や《打ち出の小槌》などを利用して処理したり、《貪欲な壺》で自分のEXを増やしてから再度効果発動など、少し手間がかかる。




以上の事を纏めると、このカードはまだまだ安定した強さを発揮できないものの、
現時点でもかなりの可能性を秘めており、今後のカード展開次第では更なる広がりを見せると思われる。

他の最上級帝の様に自らの道を切り開くのではなく、後続の為にその身を投げ出す《轟雷帝ザボルグ》の生き様は、
上に立つ者・「帝」としては正しくないかもしれないが、「漢」と呼べる代物であると言える。



追記・修正は《轟雷帝ザボルグ》を自爆させずに8枚送りしてからお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年08月31日 19:16