ダイナミスト(遊戯王OCG)

登録日:2015/10/31 Sat 03:44:05
更新日:2025/05/25 Sun 00:09:09
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ダイナミスト」とは遊戯王OCGに登場したカード群である。


▼概要


OCG第9期における7番目のパック、「ブレイカーズ・オブ・シャドウ」で初登場したカテゴリ。そして、イグナイトマジェスペクターに続く第三の「Pの一族」である。

名前からして恐竜族…かと思いきや属するモンスターは全て恐竜を象った水属性・機械族である。
蒸気機関で稼働する機械という設定のようだ。
モンスターのデザインの方向性は、身も蓋もない表現をするとゾ○ド
機械族は多様なテーマを擁する種族だが、水属性テーマはダイナミストが初。
ちなみにこれ以前では機械族の中では水属性はもっとも少ない属性で、これはジュラックの登場とも共通する(ジュラック以前は恐竜族は炎属性が1体も存在しなかった)。
偶然かどうかは定かではないが、両者ともがリアルの恐竜をデザインのモチーフとしているため、イラストやネーミングなどにも共通点が見られる。
名前の由来は順当に「恐竜(ダイナソー)」+「霧(ミスト)」と思われるが、専用フィールド魔法を見るに「ダイナミック」もかかっているかもしれない。

遊戯王マスターデュエルにて明かされた設定によると、巨大な火山を有する孤島に暮らす機械生物らしい。それなんてゾ○ド
マグマの高熱と周囲を囲う海、それらを合わせたエネルギー源たる「蒸気」。故に、この機械生物達は蒸気を扱える様に進化していき、この孤島の覇者となった。
体内に内蔵した蒸気機関をフル稼働させ、過酷な環境でたくましく生きている存在が「ダイナミスト」という事である。

モンスターカードは全てPモンスターで、レベルは5か4のいずれか、Pスケールは6か3のいずれかとなっている。
  • 属するモンスターがすべて同じ属性・種族のPモンスターで、持っているPスケールが2種類のみ
  • 竜剣士ラスターPが関与したEXデッキに入る派生モンスターとカード名の最後に「P」が入った専用のサポートフィールド魔法がかならず各一種類存在する
これらの特徴はダイナミスト以外のPの一族にも共通して当てはまる特徴である。

またP効果はPスケール3のモンスターとPスケール6のモンスターとで異なる共通効果を持っている。それぞれ以下のとおり。
  • Pスケール3のモンスターペンデュラム効果
(1):このカード以外の自分フィールドの
「ダイナミスト」カードが戦闘または相手の効果で破壊される場合、
代わりにこのカードを破壊できる。
こちらの効果はダイナミストカードの破壊の身代わり効果。

  • Pスケール6のモンスターのペンデュラム効果
(1):このカードがPゾーンに存在する限り1度だけ、
このカード以外の自分フィールドの「ダイナミスト」カードを
対象として発動した効果を無効にできる。
その後、このカードを破壊する。
こちらはダイナミストカードを対象に取る効果を無効化する効果。

どちらも一見すると地味だが、2枚揃った時のガチガチっぷりはなかなかのものである。
(効果・戦闘による破壊ではなく、しかも対象を取らない効果で相手のカードを除去できるカードが近年増えつつあるため絶対とは言えないが……)

勘違いしやすいが、指定は「ダイナミスト」カードであり、どこにも「モンスターカードを」とは書いていないため、
Pゾーンのダイナミストはおろか魔法・罠ゾーンの《ダイナミスト・チャージ》を守ることもできる。

なお、竜剣士つながりであるイグナイトマジェスペクター同様、属するカードのレアリティは全体的に低いので、サイフポイントに優しいデッキといえる(エース格の《ダイナミスト・レックス》はスーパーだが、さほど高価ではない)。

ARC-V 最強デュエリスト遊矢!!では、沢渡シンゴが使用。


▼所属カード


○下級モンスター

いずれもレベル4機械族水属性。
バハムート・シャークとギアギガントXのどちらも出せるというだけで妙に強く感じられる。
ちなみに打点は《ダイナミスト・アンキロス》の1500から《ダイナミスト・プテラン》の1800まで1体ずつ100刻みに上がっている。
ほとんどがリクルーター非対応の攻撃力で、また同時に下級エースの基準打点である1900越えもないという、OCGのカテゴリの中でも珍しいラインナップである。

■ダイナミスト・アンキロス
自分のダイナミストに《混沌の黒魔術師》のような除外効果を付与する。
自身も範囲内だが、ダイナミストの中では最低攻撃力であるため他のダイナミストと並べるのがベターか。
正直あまり強力な効果とは言えないので、投入は相手のデッキ次第といったところ。
モチーフはアンキロサウルス

■ダイナミスト・ステゴサウラー
戦闘を行う「ダイナミスト」モンスターが相手モンスターを道連れにする爆弾と化す効果を持つ。
早い話が破壊版《異次元の女戦士》。もちろん破壊されたダイナミストは再びP召喚すれば使いまわせるので、使い減りしない除去カードとして重宝する。
反面このカード単独ではバニラ同然で、攻撃力も中途半端な数値であるところが弱点。
モチーフはステゴサウルス

■ダイナミスト・プテラン
戦闘破壊をトリガーとするサーチャー。
攻撃力は下級モンスターとしては及第点で、大抵の下級モンスターなら戦闘破壊できるだろう。
後述する《ダイナミスト・プレシオス》との相性が良く、戦闘破壊できるターゲットを広げつつ安定してサーチ効果を通せるようになる。
とはいえあくまで下級モンスター同士での話であり、《ダイナミスト・プレシオス》の力を借りても攻撃力の高い上級モンスターなどは戦闘破壊できるかどうか怪しい。
また、攻撃宣言を経る必要があるために攻撃反応型罠による反撃も食らいやすいなど不安定な面もある。(こらそこ!最近攻撃反応罠少なくね?とか言うんじゃない!)
以上のような理由から、後述する《ダイナミスト・チャージ》に比してアドバンテージ源としての重要度は相対的に低いと言える。
しかし、その《ダイナミスト・チャージ》をサーチできるモンスターなため、他のカードを使い戦闘破壊できるようにして毎ターンサーチ効果を使っていこう。
モチーフはプテラノドン
飛び回りながら蒸気を振りまくことで雨雲を誘発し、島に潤いをもたらしているそうだ。

■ダイナミスト・プレシオス
相手フィールド上のモンスターを全体弱体化。
減少数値は1枚につき-100と微々たるものだがモンスターカード以外もカウントするので、
P召喚によってこのカードが3体並ぶとPゾーンのダイナミストもカウントして実に-1500と大幅な弱体化が狙える。
(そこまでを狙わなくてもダイナミストモンスター(特に下級)は「あと一歩」の打点ばかりなので、仮に200や300でもバカにできない減少値ではあるのだが。)
あるいは減少値そのものにはこだわらず、《No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ》のトリガーとする目的で使ってもいい。

モチーフはプレシオサウルス。
活動時に吸い上げた水を蒸気にして振りまく事で、空気の清浄化を担っているらしい。

■竜剣士ダイナマイトP(パワーロード)
初の共通効果を持たないダイナミスト。
P効果は反対のPゾーンにいる竜剣士またはダイナミストの特殊召喚。召喚権もペンデュラム召喚も使わずモンスターを展開出来るため始動の遅さが気になっていたダイナミストにはありがたい効果。

モンスター効果はリリースされた場合、EXデッキから同名以外で表側の竜剣士かダイナミストを回収するもの。
上級ダイナミストのアドバンス召喚や《剛竜剣士ダイナスターP》の融合素材、《ダイナミスト・ハウリング》のコストとリリースする機会は多いため、EXに溜まりがちなペンデュラムモンスターを回収して更なる展開に繋げやすくなる。
回収出来ない自身及び同名カードはペンデュラム召喚などで放出しよう。

剛竜剣士ダイナスターP》の力を得た《真竜拳士ダイナマイトK》。
《真竜拳士ダイナマイトK》にオーソドックスな肉食恐竜の顔を付けた姿をしており明確なモチーフは不明。

○上級モンスター

すべてレベル5機械族水属性。
レベル5機械族と聞くとノヴァインフィニティを連想してしまうのは近年の決闘者の本能である。

■ダイナミスト・ケラトプス
同名カードを除いたダイナミストモンスターのみ自分フィールド上に存在する場合特殊召喚できる召喚ルール効果を持つ。
他のダイナミストと並んでラッシュをかけるだけでなく、P召喚の布石が整っていない状況下でも動かせるアタッカーとしての運用もできる。
特に《ダイナミスト・ブラキオン》とは同じレベル5、絶妙にマッチした特殊召喚条件、Pスケールの関係などから誰もが認めるパートナー的関係である。
この2枚が揃えば、P召喚と《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》が両天秤にかけられるのは非常に優秀。
「支えてくれる人が傍にいれば俺だって成長しますよ、ラスターPさん!」
また、《ダイナミスト・ブラキオン》以外にも《ダイナミスト・ステゴサウラー》《ダイナミスト・プレシオス》ともそこそこ相性が良い。
モチーフはトリケラトプス
こいつが走り回って荒れ地をならし、邪魔な岩などを砕くことでダイナミストの生存圏を広めているとか。

■ダイナミスト・ブラキオン
このカードも召喚ルール効果を持つが、《ダイナミスト・ケラトプス》とは逆に相手フィールド上のモンスターを参照する。
召喚条件は最高攻撃力のモンスターが相手フィールド上に存在するというだけの至極単純なもので、似たような効果の《サイバー・ドラゴン》よりもかなり緩い。
また、《サイバー・ドラゴン》系の特殊召喚効果持ちモンスターにありがちな「展開の起点とならない場合には手札で腐ってしまう」問題もP召喚という抜け道から回避可能である。
更に更に、展開の起点となる役割があることから、《ダイナミスト・チャージ》との相性も全ダイナミストの中でトップクラスであり他デッキへの出張要員としても優秀である。

しかし、攻撃力は2000と上級モンスターの割にかなり低いので、アタッカーとしての性能はあまり高くない。
つまり、良くも悪くも他のカードとの連携が重要視されるカードとなっている。
「違うテーマのカード同士が手を取り合って協力しあう……こんなに素晴らしい事はない!」
モチーフはブラキオサウルス。

■ダイナミスト・レックス
打点が不足気味なダイナミストモンスターの中では《ダイナミスト・プテラン》と並んでレベル相応のステータスを持っている一枚。
《ダイナミスト・ラッシュ》で出すモンスターの第一候補である。
モンスター効果は戦闘によってモンスターを破壊した場合に自分フィールド上のダイナミスト1体をリリースし、貫通持ちの連撃かデッキバウンス除去を選べるという物。
特にデッキバウンス除去は相手の手札も効果範囲に入っているので対象を取らず非常に強力。
このデッキバウンスハンデスで相手の戦略をズタズタに破壊した所を《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》で抑える、と言う戦い方はダイナミストの一つの完成されたムーブである。
(リリースコストを賄いやすいことから《水霊術-「葵」》も盛ってハンデス寄りにデッキをまとめても面白いだろう。)
連撃効果もリリースしたモンスターの分も代わりに攻撃していると考えれば元は取れていると考えられ、リリースコストに見合うだけの効果であると言えるだろう。

しかし、性能が極悪である反面《ダイナミスト・ケラトプス》や《ダイナミスト・ブラキオン》と違って召喚ルール効果も持っていない故に事故要因になりやすいのが弱点(Pゾーンに置くことはできるので完全に腐るわけではないが)。
モチーフはティラノサウルス・レックス
ダイナミストの2大巨頭であり、蒸気エネルギーを電気エネルギーに変換するユニットを内蔵する。
これにより他のダイナミストよりもパワーに優れているという。


■ダイナミスト・スピノス
現時点では最高打点のダイナミスト。
《ダイナミスト・レックス》同様他のダイナミストをリリースして効果を得る。
あちらとは異なりカードアドバンテージは獲得できないが、直接攻撃&2回攻撃という攻撃的に特化した性能を持つ。
ちなみにテキストを読めばわかるがターン内の発動回数制限がない。
仮に2体リリースできれば 2500のダイレクトアタック×2 が可能となる。(この際手札に《リミッター解除》でもあろうものなら……。)
ただし、《ダイナミスト・ラッシュ》で呼び出すと完全耐性が付与されるため、当然《リミッター解除》の効果も受けられないことには注意。*1

反面、レックス同様召喚ルール効果を持たない上級なので安定しないのが欠点。
モチーフはスピノサウルス
レックスのライバルであり、同じように電気を作る力を持つ。普段は火山地帯でレックスとどちらが強いか比べあっているらしい。

○関連(?)カード

■剛竜剣士ダイナスターP(パワフル)
竜剣士ラスターPがダイナミストモンスターのパーツを装着した姿。
自分フィールド上のPモンスターに破壊耐性を与える永続効果、手札か墓地から竜剣士モンスターを呼び寄せる効果を持つ。
その効果の性質上、むしろダイナミストよりもマジェスペクターで輝く性能となっているのはナイショだ!
効果の対象にならず、その上効果でも戦闘でも殺せない獣とかマジ勘弁してください……。
詳しくは竜剣士を参照。

○魔法・罠カード

■ダイナミスト・チャージ
《炎舞―「天璣」》のように、発動時の効果処理でデッキからダイナミストモンスターをサーチしてくる永続魔法カード。
引いて即発動できる即効性と、フィールドに残る故にバウンスして使いまわせる点が優秀。《氷結界の虎王ドゥローレン》は親友。
更にはEXデッキに送られたダイナミストをサルベージする強制効果で、ハンドアド獲得手段も提供してくれる。
もちろんダイナミストのP効果で守ることも可能なので、壊れにくく恒常的にアドを取ってくれるという中々のクレイジーカードに仕上がっている。

また、(2)の効果は同名カード縛りが無いため、複数枚フィールドに存在していればその分だけ発動ができる。
しかし、強制効果であるため、ダイナミスト1体のみが墓地に置かれた場合にも強制的に全ての《ダイナミスト・チャージ》でチェーンが組まれてしまうので1枚しか回収できないのは注意。
逆を言えば、《ダイナミスト・チャージ》が複数枚置かれている状況で、
複数のダイナミストモンスターカードを同時に墓地に落とすことができればその分だけハンドアドが得られるということでもある。
このパターンは現在だとP召喚から融合召喚や儀式召喚や一部シンクロ召喚につなげた場合や、《激流葬》や《ブラック・ホール》といった全体除去が打たれた時などに発生しうる。

■ダイナミスト・ラッシュ
ダイナミスト一体をリクルートする。これだけでも結構おかしな効果だが、以下のように9期ならではの殺意に満ちたカードとなっている。
  • 誓約効果がゆるゆるで、他のカードの展開には一切影響しない
  • 任意のダイナミストをリクルート可能という幅の広さでありながら、効果を無効などの制限が一切ない
  • それどころかリクルートしたモンスターに対して、他のカードの効果を受けないという凶悪な耐性が付与される
  • エンドフェイズに破壊してくれるのでちゃんと再利用可能、《ダイナミスト・チャージ》があったらサーチカードと化す

上記の理由から展開補助、打点強化、《ダイナミスト・スピノス》による突然死のプレゼント、相手ターンでの壁、サーチカードとしての幅広い運用が可能となっており、
《ダイナミスト・チャージ》共々どう考えてもぶっ壊れているサポートカードである。
基本的には《ダイナミスト・レックス》または《ダイナミスト・スピノス》を展開することになるが、場のカード次第では《ダイナミスト・プレシオス》を出して相手の打点を下げるのも有力である。
他のデッキにダイナミストを出張させる際の足掛かりとしても有効。


■ダイナミックP(パワーロード)
シンメトリカルドッキング!!
直接属しているわけではないが、ダイナミストの専用サポート。
Pの一族恒例の専用フィールド魔法。ダイナミスト限定の全体バフ効果と、古代の機械シリーズや某ライトニングを彷彿とさせる攻撃宣言時の効果発動封印効果を持つ。
全体バフ効果は打点が不足気味のダイナミストにとっては非常にありがたい。
特に効果発動封印効果と合わせて《ダイナミスト・プテラン》や《ダイナミスト・レックス》の効果を確実に通しやすくなるのは大きなメリットであると言えるだろう。
他のPのフィールド魔法と異なりこのカード単独ではアドバンテージを稼げない点には注意が必要。
イラストではダイナミストのパーツを装着するラスターPの頭上に、正体不明のドラゴンらしき水色のモンスターが確認できる。

■ダイナミスト・エラプション
ダイナミストの被破壊時に相手のカードを破壊できる。
テーマ内としては貴重な破壊効果だが、タイミングが限定的かつ通常罠なので遅くて使い切り、と正直微妙な効果である。
一応《ダイナミスト・ラッシュ》とコンボできるが、狙うほどのものではない。

■ダイナミスト・ハウリング

他のPテーマと比べると抑え気味な性能が目立つダイナミストだったが、そのイメージを覆す豪快な新規罠。
まず発動時にいきなりデッキから好きなダイナミストを2枚まで置ける、というすさまじい効果がある。
使用時にP召喚の制約がかかるがそれ以外のデメリットやコストもなく、発動するだけでアド消費ゼロでP召喚の準備が整う。
そして地味に2枚までであるため、既に1枚が置いてあっても問題なく使えるという応用性の高さ。
無論、中盤以降に引いてしまったり2枚目以降の発動となるとPゾーンが埋まっていることも多くこの効果が使えないケースもあるが、後半の効果だけでも強力なのでまったく問題ではない。

2つ目の効果はフリーチェーンのバウンス
ダイナミストをリリースしなければならないが、Pモンスターなので損失は少なく、《ダイナミスト・チャージ》を張っていれば一時的なアドすら減らない
この手のモンスターをリリースして効果を使う動きは欠点としてフィールドが空いてしまいがちだが、このカードの場合そもそも(1)の効果で大量展開の補助をしているので、効果使用後にモンスターゾーンががら空きになるということはまずなく、Pモンスターの再利用性もあいまってほとんどノーコストに近い
おまけに魔法・罠カードも選択できるのでエンドサイクのような使い方も可能と、至れり尽くせりである。

▼相性のいいカード


1.相性の良いモンスターなど
竜剣士シリーズ
同志であるため相性は良好。
設定通りのダイナスターPはもちろんのこと、ラスターから出せるイグニスターPもこのデッキに足りない除去要素を賄ってくれる。
ただしラスターはスケール5なので、自力でパージできる手段がない場合はPゾーンには置かないようにしよう。

音響戦士シリーズ
特にギータスは汎用スケール7のPモンスターであり、P召喚と相性の良いチューナーを手札1枚でリクルート可能。
中でもピアーノが重要なカードであり、効果で水族を指定することで《グレイドル・ドラゴン》にアクセスでき、多大なアドバンテージに繋げることができる。

ブンボーグシリーズ
こちらも機械族なので相性が良い。
特にP召喚と相性が良い《ブンボーグ001》や、それをリクルートできるブンボーグ《ブンボーグ003》等は特に好相性。
前者は簡単に《氷結界の虎王ドゥローレン》が作れ、後者は《ダイナミスト・ブラキオン》SS、《ブンボーグ003》NS、《ブンボーグ001》SSの黄金パターンで簡単に《氷結界の龍 トリシューラ》を出せる。
新マスタールール施行後は《ブンボーグ003》一枚から即《ミセス・レディエント》や《クリフォート・ゲニウス》等に繋げられるなど相対的に重要度が高まっている。

■シンクロンシリーズ
上のテーマと比べると爆発力はないが、《調律》でサーチできるのが最大の利点。
《ダイナミスト・ブラキオン》SS、《ジャンク・シンクロン》NSでレベル8シンクロモンスターに繋げられる。
その中では特に《スクラップ・ドラゴン》がこのデッキと相性が良く、効果で割ったダイナミストを《ダイナミスト・チャージ》で回収すればディスアドなしの除去になる。
さらに上の動きに《ジャンク・シンクロン》による《ジェット・シンクロン》か上記《ブンボーグ001》の吊り上げを挟めば、少ない消費で《水晶機巧ーグリオンガンド》も出せる。
《クイック・シンクロン》も《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》の素材として使えるが、手札のダイナミストを捨てるのはもったいないのでこちらはできればP召喚したいところ。

■アストログラフ・マジシャン
自分フィールド上のカードが破壊された場合という緩い条件で特殊召喚でき、更にこのターン破壊されたPモンスターと同名のカードをサーチしてくれる。
《ダイナミスト・チャージ》の存在からPカードの能動パージを戦術として取り入れやすく、従ってこのカードを活かす機会も多い。
また後述のエレクトラムと絡めることでさらなるシナジーを発揮する。

2.相性の良いEXデッキのモンスター
サイバー・ドラゴン・ノヴァ/サイバー・ドラゴン・インフィニティ
言わずと知れたレベル5機械族の切り札。
カウンター効果はもちろん、除去効果も戦闘一辺倒のこのデッキにはありがたい。
ダイナミストの上級モンスターはいずれもレベル5なのでエクシーズ召喚に繋ぐのも容易。
ただしエクシーズ召喚するとその後のダイナミストモンスターの再利用に支障をきたす場合が多いので注意が必要。

■超重剣聖ムサ―C
レベル5機械族のシンクロモンスター。シンクロ召喚時に墓地の機械族モンスター1体を手札に拾ってくる効果を持つ。
主に使用済みの《ブンボーグ003》を回収して再利用することを目的とするが、召喚無効や不意のハンデス、手札コストなどで溢れてしまったダイナミストを呼び戻せる保険としても使える。
またこのカードはレベル5であるため、用済みになったらそのまま《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》の素材にして処理しやすく無駄が少ない。適当なレベル4ダイナミストと《ブンボーグ001》で即シンクロ召喚できるという点も便利。

氷結界の虎王ドゥローレン
自分フィールド上のカードを任意の枚数バウンスして自己強化。
適当なレベル1か2のチューナーを採用しておけば簡単にS召喚でき、《ダイナミスト・チャージ》をバウンスして使い回すなどコンボ要因としても便利。
ただし、ヴァルカンと違い相手に何の影響も与えないという点には注意。

■獣神ヴァルカン
《氷結界の虎王ドゥローレン》と同じ素材で出せる除去効果持ちのシンクロ。
ダイナミストの除去効果は基本的に戦闘を介さなければならないので、メインフェイズでバウンスを行えるこのカードは重宝するだろう。
《氷結界の虎王ドゥローレン》同様《ダイナミスト・チャージ》を戻して再利用してもいい。ただしこの効果で《ダイナミスト・チャージ》を戻すとそのターンは同名カードを再度発動できないデメリットが課せられてしまうため、使うタイミングには注意が要る。元々ターン1制限あるから気になる場面にはよっぽどならんと思うけど

■メタファイズ・ホルス・ドラゴン
色々複雑な効果を持っているが、ダイナミストデッキでは自分メインフェイズでのみのヴェーラー+劣化版心変わりとして運用可能。手札に適当なレベル1チューナーと《ダイナミスト・ブラキオン》がいるだけで即出せる手軽さ故に即応性も高い。
……サラッと書いてはいるがよく考えると色々とぶっ飛んでいるということはご容赦頂きたい。
ダイナミストデッキにおいてはドゥローレン・ヴァルカンとほぼ同条件で展開できるモンスターである。
カウンター効果や高打点かつ対象耐性持ちなど対処の難しいモンスターや、存在するだけで致命傷になる永続カードなどに対するファイナルアンサーにもなりうる。
特にカウンター効果持ちのモンスターに対しては非常に有効。
なぜならP効果モンスターを素材にシンクロ召喚した際に同時に発動する2つの効果のうちチェーン1で発動した効果は絶対に発動を無効にできないからである。(カウンター効果は発動を無効にしたい対象に直接チェーンすることでのみ無効にできるが、このカードの場合チェーン1の直後にすぐさまこのカードのもう一つの効果がチェーン2として差し込まれてしまい、チェーン1のカード効果に対してカウンター効果を直接チェーンすることが不可能になってしまうのだ。)

氷結界の龍 トリシューラ
言わずと知れた最強のモンスターの一角であり、爆発的なアドバンテージを得られる。
《ダイナミスト・ブラキオン》SS《ブンボーグ003》NS《ブンボーグ001》SS=《氷結界の龍 トリシューラ》の公式はテストに出るので覚えておこう。
それ以外にもレベル1チューナーを入れておいて、1+4+4=9の流れで展開できればスマートだろう。
ダイナミストがハンデスが得意なテーマでもあるので、《ダイナミスト・レックス》《水霊術―「葵」》と合わせてハンデスデッキぽく仕上げても面白い。
EXデッキに枠があるなら、《浮鵺城》+《幻子力空母エンタープラズニル》まで仕込んでも面白いかもしれない。
一緒に上級ダイナミスト×2と《ブンボーグ001》の組み合わせで出せる還零龍も採用すると突破力がぐっと高まる。

■涅槃の超魔導剣士
シンクロ・ペンデュラムモンスターで特殊なS召喚法を持っている。
ダイナミストはレベル4・5のペンデュラムテーマで、かつレベル1チューナーの《ブンボーグ001》を扱いやすく、レベル5か6のSモンスターを用意しておけばP召喚後に出すことができる。
条件を満たした際のサルベージ効果の優秀さは言うまでもなく、戦闘補助のP効果もこのデッキとピッタリの性能。
スケールも8なのでダイナミストのP召喚の妨げにもならない。
新マスタールール施行後はEXモンスターゾーンを塞いでしまうために扱いが難しくなり、採用を見送られるケースも増えていたが、ルール改訂の影響でメインモンスターゾーンに直接出せるようになり再び採用の見込みが出てきている。
ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムのリンク素材にできるため、都合が悪くなったらそちらの素材にしてパージしてしまう手も考えられる。

■ギアギガント X/昇竜剣士マジェスターP
どちらも下級ダイナミスト2体でX召喚でき、ダイナミストをサーチできる。
両者はサーチの範囲が異なっているので、採用するカードに応じて使いわけたい。
たとえば上記のブンボーグ等を併用するなら前者を、上級ダイナミストやカテゴリ外のPモンスターをサーチしたいなら後者を、という具合である。
ただし、ダイナミストを素材としてX召喚すると再利用に支障を来すので注意しよう。

No.14 強欲のサラメーヤ
バーンメタ効果を持つ汎用ランク5。
「相性が良い」とは少し違うが、ダイナミストは除去に乏しいビートダウン偏重のテーマであり、バーンデッキとの相性が非常に悪い。
水属性テーマが焼き殺されるのはシャレにならないので、相手がバーンデッキだった場合はこのわんこを雇って、《ダイナミスト・ケラトプス》+《ダイナミスト・ブラキオン》のコンビを用いて早めにX召喚すると良い。
さすがにメインからの投入は枠がないのでサイドに忍ばせるくらいになるが。
ブラックフェザー・ドラゴン》でもいいが、ダイナミストではこちらのほうが出しやすい。
新マスタールール施行後に出てきたトリックスターのカウンターとしても有望。

深淵に潜む者
墓地発動効果絶対許さないマン。この効果は刺さる相手にはとことん刺さる。
素のステータスは低いが、水属性デッキなので全体的な火力の底上げができるのも、微妙に火力に足りないダイナミストではありがたい。

シャークさんのエースモンスター達
水属性レベル4・5テーマであるため、妹シャ共々デッキのパーツ(主にエクストラ関連)をすんなり組み込むことができる。
No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ》や、《No.94 極氷姫クリスタル・ゼロ》《FA-クリスタル・ゼロ・ランサー》はその筆頭だろう。
また、《シャーク・フォートレス》は《ダイナミスト・レックス》と合わせて脅威の2枚ハンデスコンボという浪漫も狙える他、
上記の《No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ》を《CNo.73 激瀧瀑神アビス・スープラ》にカオスエクシーズ・チェンジさせて2連続攻撃という浪漫コンボを狙うのもそう難しくない。
また被破壊時の蘇生効果を持つ《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》は素材にしたダイナミストを墓地からフィールドに戻す(=エクストラに送れる)ことが可能で、PモンスターをX素材に使うデメリットをカバーできる。
ただし、メインデッキに入る枠はシャークさんが魚族メインだったのに対してこちらは機械族メインなのでほとんど折り合いが付かないというのがネックである。

■マスター・ボーイ
リンク2の属性リンクモンスターシリーズ
自身と同じ属性のモンスター2体で容易にL召喚できる上、打点強化効果により平均打点を大きく底上げして打撃力を補強してくれる。
リンクマーカーが斜め左右下に向いており、EXモンスターゾーンに展開することでEXデッキから2体以上ペンデュラム召喚ができるようになる。
と言うか新マスタールール体制下で円滑にデッキを回す上でこれらのカードは無くてはならない存在であるため、
確実に1枚、できれば2枚程度搭載しておき、可及的速やかにL召喚して後続の展開に備えられるようにしたい。
L召喚後のこのカードはそのまま効果モンスター2体分のL素材にできるため、展開に使った後はさらなるリンクマーカー確保のためのリンク素材とするのも良い。
破壊されれば(2)の効果で墓地に落ちた対応対応属性のモンスターをサルベージできるが、受動的な発動条件の性質上活かせる機会はそうそう多くない。
かつては人材不足から《ブンボーグ001》&《ブンボーグ003》のセットから即出せる《ミセス・レディエント》まで採用されていたこともあったが、同じ組み合わせから出せてよりダイナミストと相性の良い《クリフォート・ゲニウス》が登場したことでそちらに役目を譲った。

クリフォート・ゲニウス
新マスタールール施行の影響で割を喰った不遇テーマや長らくテコ入れのなされていなかった古いテーマを対象に大幅なテコ入れを行う目的で発売された「LINK VRAINS PACK」で突如として登場した一枚。
名前の通り本来はクリフォートのサポートカードとして設計されていたのだが、機械族モンスター2体という素材条件、斜め左右下という平易で扱いやすいリンクマーカー、リンク先に機械族モンスターが2体動時に特殊召喚されるとレベル5以上の機械族モンスター1枚サーチなど絶妙にダイナミストの性質と噛み合ったスペックが話題になる。
事実前述のブンボーグ一式から即座に出せる取り回しの良さや効果の相性の良さには目を瞠るものがあるのだが…

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム
こいつが出た途端《クリフォート・ゲニウス》の立場が無くなってしまった。
効果はというと、L召喚時にデッキからPモンスターを1枚EXデッキに送る、1ターンに1度自分フィールド上のカード一枚を割ってEXデッキの表側表示Pカードを1枚サルベージ、更にPカードがフィールドを離れると1ドローと何もかもがダイナミストと最高に噛み合っている。
《ダイナミスト・チャージ》の存在からPカードの能動パージとの相性が最高なのは言わずもがな。
前半の効果と組み合わせて事実上デッキから好きなPモンスターをサーチできる有能ぶりから瞬く間に必須カードの座に上り詰める。
さらにこの一連の流れに《アストログラフ・マジシャン》を絡めることでお手軽かつ出足の早い1ターンキルルートまで構築できる。
おまけに素材縛りはペンデュラムモンスター×2以上だけ。
適当な下級ダイナミストと《ダイナミスト・ブラキオン》か《ダイナミスト・ケラトプス》でもあれば即リンク召喚可能。
この凶悪さからせっかくPカードを弱体化させたのにコレじゃ元の木阿弥じゃないかという批判の声も上がっており、すでに大幅な規制が危惧されていたが、
案の定登場から半年で制限カードの仲間入りを果たすこととなった。


3.相性の良い各種カード
■強欲なウツボ/イグナイト・リロード
どちらも手札損失無しで手札のカードを入れ替えられる。
イグナイト・リロードはダイナミスト以外もデッキに戻せるが、そのターン内でのカード効果によるドローに制限が付く。
《強欲なウツボ》はデメリットが付かないが代わりに戻せるカードは水属性モンスターのみ、かつ必ず2枚戻さなければならないなどとかなり限定されている。
どちらを採用するかはお好みで。

■ペンデュラム・パラドックス/金満な壺
どちらもEXデッキのPムモンスターをハンドアドバンテージに変換する効果を持つ。
新マスタールール施行に伴い、以前のようにEXデッキから自由にモンスターを出せなくなったため、使い切れなくなったEXデッキのモンスターを適度に処理する手段が必要になってきた。
どちらも一長一短なのでどれを採用するかはデッキ次第である。

■レスキューラット
モンスター効果でレベル5以下のPモンスターを2体リクルートでき、《ギアギガント X》やノヴァインフィニティを簡単に呼べる。
なおかつ自身がレベル4なのでランク4エクシーズの素材にもなれる。
ただし発動条件がやや厳しく、さらにラスターPと同じくスケール5なのでPゾーンに置いてはいけない。

リミッター解除
機械族と言えばコレ。爆発的に攻撃力を上げることができ、1キルのお供に最適。
自壊デメリットも、すべてPモンスターであるダイナミストにとっては痛くもかゆくもない。

■揺れる眼差し
ペンデュラムゾーンのカードを張り替えながら後続をサーチする。
ペンデュラムデッキ対決のミラーマッチでは、メタカードとしても機能する。
新マスタールール施行に伴うPカードの相対的弱体化により晴れて無制限カードに返り咲く。
また、《アストログラフ・マジシャン》とのコンボで急激なデッキ圧縮が行える点が再評価されつつある。

■スターライト・ロード、大革命返し、魔宮の賄賂
ペンデュラムを含め大量の魔法・罠カードをフィールドに展開するので、「ハーピィの羽根帚」等の全体除去が非常に苦手。
特に後続を確保する当てがないままフィールドを壊滅させられた場合ジリ貧に陥る危険性があるので、これらのカードを入れておくと心強い。

■水霊術―葵
水属性テーマ故に全てのダイナミストがリリースコストとして利用でき、P召喚によって事実上そのコストも踏み倒せる。
《ダイナミスト・レックス》のハンデスを決めた後でピーピングを決めると中々爽快。

■アイスバーン
こちらに水属性がいるとき、それ以外のモンスターの表示形式を変更する永続罠。
相手の攻め手を大きく遅らせ、特に戦闘してリクルートするBFやジュラックのようなデッキに対してはよく刺さる。
ただし水属性には《No.101 S・H・Ark Knight》など汎用性の高いものもいるので過信は禁物。

■御前試合/群雄割拠
ダイナミストは全て水属性・機械族なのでこれらのカードが張られていても問題なく展開できる。
複数の属性・種族が混在している昨今のペンデュラムテーマには非常に強烈なメタとして立ち塞がるだろう。汎用EXモンスターが使いにくくなる点も魅力。
自身もEXデッキのモンスターを出しづらくなる欠点も、自前で打点を補いつつ戦闘もこなせるダイナミストにとってはあまり気になる要素ではない。

■ブラック・ガーデン
ほとんどのモンスターの攻撃力を半分にできるため、《ダイナミスト・プレシオス》および《ダイナミスト・ラッシュ》の効果を底上げできる。
特にこの状態での《ダイナミスト・ラッシュ》は凶悪で、相手はダイナミスト・レックス》や《ダイナミスト・スピノス》に手も足も出ないだろう。
また、こちらか展開を仕掛ける際にも相手の場に出たローズ・トークンを攻撃対象とすることで、《ダイナミスト・プテラン》および《ダイナミスト・レックス》の効果を発動しやすくなるのもポイント。
P召喚できないのならば、相手から献上されたトークンをリリースして《ダイナミスト・レックス》を出すのも良い。
蘇生効果は若干空気だが、一応トークンが2体いれば《ダイナミスト・ステゴサウラー》、トークンが3体いれば《ダイナミスト・レックス》を墓地から釣り上げる事が可能。
X素材として墓地に置かれた時などに有効活用しよう。

▼デッキとして


イグナイトのように派手な大量展開能力を持つわけではない。
マジェスペクターのような急激なアドバンテージ獲得効果を持つわけでもない。

そんな一見地味に思えるこのデッキの最大の武器…それは、

堅実さ

である。

上級・下級モンスターがバランスよく混在し、しかもP召喚できない状況下でも《ダイナミスト・レックス》《ダイナミスト・スピノス》以外は何かしら単独で活動できる要素を有しているので手札事故に陥りにくい。

確かにマジェスペクターやイグナイトのような派手な効果は持っていないが、
使い減りしないサーチャーである《ダイナミスト・プテラン》、発動後もEXデッキに送られたダイナミストを手札に呼び戻してくれる《ダイナミスト・チャージ》、
《ダイナミスト・チャージ》と併用することで事実上のサーチ効果も兼ねる《ダイナミスト・ラッシュ》等安全にアドバンテージを得やすい優秀なサーチ手段が揃っている。
それでいて発動条件も緩くコストも不要なので発動できずに腐る場面が少ない。
特に《ダイナミスト・ブラキオン》《ダイナミスト・ケラトプス》の2枚が揃った状態のダイナミストは常にP召喚と《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》を天秤にかけることができるため、
いついかなる状況でもこの2枚さえ手札にあれば十分な切り返しや劇的な逆転劇につながるのは評価に値する。

各ダイナミストのP効果によってフィールドに出しても生存率は高く、妨害カードに対しても強気に出られるのもポイント。
Pスケールを両方貼り、《ダイナミスト・チャージ》と《ダイナミスト・ハウリング》で場を固めたダイナミストは全ダイナミストカードは対象に取れず破壊にも耐え、Pスケールを割っても手札に戻り、せっかく出した大型モンスターは《ダイナミスト・ハウリング》が直撃して昇天という地獄絵図のような堅牢さとなる。
特にPスケールを割っても《ダイナミスト・チャージ》で回収されるということはすなわち確実に一枚はPモンスターを手札に担保しているという意味でもある。
最低限一枚Pモンスターを手札に握っていればハンデスなどでそのカードをピンポイントで狙われない限り後続のドローによっては再びPスケールをセッティングして直ちに再起を図ることも可能になるわけで、これは破壊されたら再び自力でスケールを一セット揃えなければならない他のPテーマではできない芸当だと言えよう。

おまけにこの堅牢さは相手にとっては必要のないリソースの出費を強いられるというプレッシャーにもなる。
先述の通り盤石の布陣を敷いた状態では《サイクロン》や《ツインツイスター》などの単発除去ごときでは布陣を突き崩すのは困難である。
ましてやそれら1枚だけでは打開は絶望的。Pゾーンのダイナミストの効果もフルに活用してディフェンスに徹したとしたら《サイクロン》一枚通すまでに合計2枚ものカードを消費、《サイクロン》自体と併せてなんと3枚ものカードを消費するハメになるのだから。
当然リソースを消費すればその分取れる手段はどんどん少なくなって行き、最終的にはリソースを使い果たして対抗手段がなくなる。
それに対してダイナミスト側は《ダイナミスト・チャージ》による安定した損失の補填とP召喚による帰還でリソースのロスはほぼ0。ここまで来ればもう趨勢は決したと言えよう。

以上のようにアドバンテージを安全に回収しつつデッキを回転させることができる一貫性と事故率の少なさからくる高い信頼性、
獲得したアドバンテージの消費を抑えつつ更なるアドバンテージの獲得へとつなげられる燃費の良さ、
それらを総合した「致命的な弱点の少なさ」、「継戦能力の高さ」こそがこのデッキの強みであると言えるだろう。

新マスタールール施行後はPゾーンの削除によりスケールをセットすると魔法・罠カードゾーンが圧迫されるようになったこと、またリンクマーカーを確保しないと円滑なアドバンテージの回収が難しくなってきたことなどから今まで通りのセオリーでは戦いにくくなった。
一方P効果を活かした堅牢さと堅実さは依然として健在であり、またLモンスターとも比較的相性がいいことからそれまでとは違ったルートからの展開手段が増えた点も追い風になっている。

余談だが、公式で一番最初に発表されたモンスターが攻撃的な効果の《ダイナミスト・レックス》であったため、そのP効果やパワフルなイラストも含めて、当初は「恐ろしく堅牢かつ暴力的なPテーマか?」と推測されていた。

このデッキの弱点としては以下のようなものが考えられる。

  • Pゾーンに対する除去
Pデッキの宿命ゆえか、やはりPゾーンにあるPカードを割られると厳しい。
《サイクロン》や《ツインツイスター》などならスケール3のダイナミストのP効果で身代わりにでき、破壊でないとしても対象を取る効果ならスケール6のP効果で無効にできるためさほどの脅威ではないが、《ハーピィの羽根帚》が直撃するとスケール3の破壊身代わり効果も適用できずそのまま吹き飛ばされてしまう。
とはいえ下級モンスターである《ダイナミスト・プテラン》、召喚ルール効果によって独自に動ける《ダイナミスト・ケラトプス》、《ダイナミスト・ブラキオン》などを活用すればP召喚なしでも立ち回ることができ、《ダイナミスト・ハウリング》を引き込めればそのまま一気に立て直しを図ることすらできる。
ほかのP召喚デッキに比べて《ハーピィの羽根帚》が直撃しても被害が大きくなりにくく立て直しの手段が多いのは大きな特徴だろう。

  • カウンター罠による召喚無効
特に気を付けたいメタ要素。さすがにカウンター罠まではP効果で防げず、獲得したアドバンテージが一気に無駄になるのでその後の戦いも厳しくなる。
無策で突っ込まず状況をよく見つつ、念のために手札にモンスターを残しておくなどの慎重な立ち回りで対応しよう。

  • サーチメタ
P召喚の布石をさっさと整えてしまいたい関係上、それを妨害するサーチメタはやはり天敵と言わざるを得ない。
《ライオウ》やダークロウなら《ダイナミスト・ブラキオン》と《ダイナミスト・ケラトプス》を使って突破できる可能性があるものの、取違いや手違いといった魔法・罠カードはどうにもできないので速やかに《サイクロン》などで排除しよう。

  • 機械族メタ
Pモンスターをコストにできない関係上、《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》はあまり警戒しなくてもよいが、《システム・ダウン》等が直撃すると立て直しも効かない大損害を被ることになるので何としても防ぎたい。

  • 打点不足
メインデッキに入るダイナミストモンスターの攻撃力は全体的に低めで、単純な殴り合いでは競り負ける可能性が高い。
幸いマジェスペクターほど打点不足は深刻ではなく、未強化でも単独で戦闘をこなせる程度には攻撃力もあり、《リミッター解除》によって爆発的に攻撃力を上げることもできるので、そこまで大きな弱点ではない。

  • 対象を取らず、破壊でもない除去
《氷結界の龍 トリシューラ》を筆頭に、近年増えつつある対象を取らない破壊以外の除去手段を使われるとP効果による耐性が活かせない。
《氷結界の龍 トリシューラ》も怖いが、Pメタのために積まれていることがある《異次元の落とし穴》はせっかく召喚したダイナミストをデッキに戻されてしまうので特に警戒が必要。

  • デッキの回転速度
堅実な反面どうしても初動が遅いので、速攻で決めにくるタイプのデッキだと布陣を固める前に押し切られることもある。
最序盤を耐えさえすれば持ち前の粘り強さを発揮できるのだが…。
ダイナミストが特別遅いんじゃないよ! 他の上位Pテーマが速すぎるだけだよ!
《ダイナミスト・ハウリング》の登場によって弱点であった始動の遅さも完全にではないが克服しつつある。


追記・修正はマスターPと合体しながらお願いします。

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最終更新:2025年05月25日 00:09

*1 ラッシュによる耐性は「ラッシュで特殊召喚したモンスターではない他の」カードの効果を受けないものであるため、スピノス自身の効果は有効になる。