FF:U ~ファイナルファンタジー:アンリミテッド~

登録日:2016/01/25 Mon 22:50:10
更新日:2024/03/03 Sun 16:02:09
所要時間:約 14 分で読めます





異界の夜へようこそ…


『FF:U ~ファイナルファンタジー:アンリミテッド~』とは、ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズを原作としたテレビアニメである。
テレビ東京系列で2001年10月~2002年3月にかけて、火曜18:30枠で放送。製作はGONZO

総監督:前田真宏(巌窟王ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qシン・エヴァンゲリオン劇場版:||
コンダクター*1:米たにヨシトモ(勇者王ガオガイガー
シリーズ構成:冨岡淳広(ポケットモンスター(無印)ポケットモンスター(めざポケ)
メインキャラクターデザイン:中澤一登(明日のナージャテイルズ オブ レジェンディア
サブキャラクターデザイン:カーネル7(前田真宏・草彅琢仁(グランディア)・中嶋敦子(らんま1/2、逮捕しちゃうぞ)・岸田隆宏(serial experiments lain魔法少女まどか☆マギカ)・平田智浩・ムラオミノルを中心に結成された本作の為のデザイン開発チーム。キャラクターデザインのみならず、世界観・映像表現の開発にも関わった)
メカニックデザイン:小林誠(宇宙戦艦ヤマト2199

概要


『ファイナルファンタジー』(FF)シリーズ唯一のテレビアニメ作品
OVAでは『FF5』の200年後という黒歴史OVA『FINAL FANTASY ○の章』シリーズ、『FF7アドベントチルドレン』限定版に付いてきたOVA『ラストオーダー FF7』、『FF15』の補完エピソードとして制作された『BROTHERHOOD FINALFANTASY XV』といったものがあるが、テレビアニメは現状本作のみとなっている。

世界設定およびストーリーは完全な本作オリジナルで、ゲームシリーズ作品との関連はない。
一応、チョコボやクリスタル・勝利時のファンファーレなどのFFシリーズお馴染みの要素はそこかしこに出てくる。
ただし、「どのFFに近いか」と言われても「どれとも違う」と言わざるを得ないほど展開や設定は特異的。
FFシリーズお馴染みの要素についても、固定観念に縛られない大胆な使い方をしているものが多い*2

FFシリーズの発売元であるスクウェアとしても単に名前を貸しただけではなく、メインテーマを提供した植松伸夫、ストーリー原案を務めた河津秋敏、メインキャラデザイン原案を務めた天野喜孝・野村哲也とそうそうたる顔ぶれが協力している。
なお、スクウェア側のプロデューサー及びゼネラルプロデューサーを務めたのは、現在は『艦隊これくしょん -艦これ-』のプロデューサーとして知られている田中謙介その人であったりする。
河津が手掛けたゲーム『アンリミテッド・サガ UNLIMITED SaGa』とはタイトルが似ているが、河津によれば同作品の登場人物・イスカンダールは本作の主人公・風と同じ「アンリミテッド」であるという裏設定があるとのこと*3



後世では「映画版FFの大失敗の煽りを受けた悲劇の作品」として語られることが多く、
実質的に未完結状態にあるため、放送から20年以上経った現在でも続編・完結編を望む根強い声が存在する。

楽曲

OP

「Over the FANTASY」
作詞 - 海老根祐子 / 作曲 - 植松伸夫 / 編曲 - 安藤高弘 / 歌 - 植田佳奈

ED1

「VIVID」*4
作詞・作曲 - 現王園崇 / 編曲 - FAIRY FORE & 明石昌夫 / 歌 - FAIRY FORE

ED2

「Romancing Train」*5
作詞 - motsu / 作曲・編曲 - t-kimura / 歌 - move


放映当時の動き


放映当初

今ではそれなりに高い評価が得られている作品だが、放送決定~放映序盤まではかなり微妙な評価であった。

まず放映前から最初に問題視されたのが、「物語に現実世界が関わってくる」という点。
オープニングで映し出されるのはなんと佐渡ヶ島であり、メインキャラであるアイ、ユウ、リサの三人も現実世界の人間である。

実際はアニメ内の展開において現実世界はほとんど出て来なかったりはするのだが、それでなくても「ファイナルファンタジーがファンタジーじゃなくなっている」という批判も出始めていた当時であり、いかにも奇をてらって失敗しそうな感も相まって、情報公開当初から疑問の声も相次いだ。

あと、「何でゲームのFFをそのままアニメでやらないんだよ」という声も割と多かった。
今だったら「ゲームの話の構成・制作ノウハウをアニメにそのまま持ってきても失敗するだけ」という意見が大半だろうが、
当時は初のボイス付き作品である『FF10』の発売直後ということもあって、過去のFF作品を声付きで見たいという声はかなり大きかったりした。

実際は、シナリオ制作の際に前田監督・米たに氏は企画書を受けた時点までの全てのFFシリーズ作品をやり込んだ後、
過去の関係者達に会い、FFシリーズの成り立ち・いきさつ・世界観を勉強した。
その経験から、二人は「単に『FF』の世界をまとめるだけでは、『FF』を表現しきれない。過去に作られたFFシリーズの世界観や枠組みを崩さないで、
『ファイナルファンタジー』の看板を外しても『ファイナルファンタジー』として成立する様な独自の解釈を入れなければいけない」
「そもそもFFシリーズ自体が毎回世界観が違うから、その時スタッフ達が作りたい世界観を入れられる柔軟な環境を作らなければ」と意気込んだ。

前田監督はまず河津氏から提供されたプロット・世界観・キャラクター設定を基に、
全体的に抑え気味で陰鬱な人間関係・世界観・縦筋の物語をかなり固まった形で構築した。
それを米たに氏が「夕方でも家族で見られるように」と明るく派手な絵面になる様に脚色し、
その上で米たに氏が描いた絵コンテを、前田監督が打ち合わせ無しで演出修正の指示を出した。
その制作体制を二人は「皆が『漫画家であり、シナリオライターだ』と意識し合ったために、良い意味でお互いが肩書きを無視できたから、
お互いにない物を補い合えた。手ごたえのある現場であり、周囲からの反応もよかった」と感慨深げに振り返っている。

以上の経緯から、批判に関しては放送が終わってみれば的外れだった感があるが、
はっきり言って幼稚臭いオリジナルザコ敵のデザイン、回によってかなり出来不出来の激しい作画などファンでも擁護しきれない部分もある。
そんな訳で、放送当初の評価は率直に言えばあまり高いものではなかった。

評価上昇~打ち切りへ

その一方で、媚びの少ないキャラデザイン、上記に色々挙げた通りのFFシリーズとしては一風変わった設定、当初単なる厨二病キャラかと思われていた主人公の「黒き風」の良さを視聴者がだんだん把握してきたりと、視聴を継続する固定ファンの中では、徐々にではあるが作品の長所短所が理解されてきた。

放送回も面白さの当たり外れが激しめだったものの、当たりの回は作画も話も良く安定していることが多い。
特に、子安武人演じる敵幹部・ピストの初登場回や『FF9』を彷彿とさせるシドのカエル化回といったギャグ回は高評価。

黒き風の主力武器「魔銃(マガン)」は3つの弾「ソイル」を詰め、エネルギーを召喚獣として発射するという武器で、発射の際には毎回1分半オーバーにも上る尺稼ぎバンクシーンが設けられた。
このバンクシーンも視聴者の楽しみのひとつで、「紅蓮の疾風『ディープヴァーミリオン』」「断絶の時告げる一瞬『スチールグレイ』」など
厨二心をくすぐる大仰な詠唱を行う発射シーンはこの番組の名物にもなっていた。

そんな訳で、脱落者も出しながらも視聴継続者の中ではそこそこ高い評価というラインで落ち着いた本作だが、その中で視聴者には、放映当初から懸念されていたことがあった。

ギネスブックにも「参考記録」として記載される程の赤字を出した問題作、映画版『ファイナルファンタジー』である。
本作放映の1か月前に封切りされ、既に絶望的な赤字の発生は確定という状況の中、ファン達はスクウェアの今後と、それが本作に波及してこないかと気を揉んでいた。

…懸念は現実のものとなった。
スクウェアは映画の歴史的失敗により映像部門からの撤退を発表、スクウェアとエイベックスにスポンサーを依存していた本作は即刻打ち切りが決定。
全4クールの予定であった本作は、半分の2クールである25話に短縮された。

平均視聴率6.2%という、通常ならまず打ち切りはないだろうという実績を持っていたにもかかわらずのコレである。
ストーリーの大きく動いてきた時期での発表ということも相まって、ファンの落胆は大きかった。

最終回~その後の顛末

かくして本作は半年で最終回を迎えた。
これまでの粋を注ぎ込んだとばかりに作画は非常に良く、話としても大技を放って敵ボスを倒し一応の終結をみた。
伏線もかなり駆け足ではあったが回収しつつ、言わなければ打ち切りだと分からない人もいるだろうレベルには纏めている。

とは言え、事情をわかった上で見れば打ち切り感は否めないもので、
敵ボスを倒した時点で物語終了となってしまったことから「その後みんなはどうなったの?」感も強い終わり方であった。
小林誠氏宜しく、第1話放送時点で短縮打ち切りは確定していて、小林氏はメカデザインが予算に収まる様に微調整しながらも、
「味方側の飛空艇、飛ばせるの!?」と心配した。

謎多き女性・ファーブラの正体などの未解決の伏線や、リサの目的など最低限伏線の回収をしただけで詳細が全然語られていない部分も多かった。
何より、その後資料集などで本来やるはずであった部分の構想が明らかになり、「リサの過去」「白い雲の仲間化&パワーアップ」「ユウとタイラントの奇妙な友情」「タイラントの真意を知ったユウが彼の意志を継ぎ、ユウが伯爵となる。オスカーとヘルバがサポート役になるが、少なくともヘルバはユウを『ゆくゆくは自分が異界の女王になるための引き立て役』としか見ていない」「現実世界だと思っていたアイ・ユウ・リサの故郷が、異界の一部に過ぎなかったことを突き付けられる」など、目玉になりそうな展開がいくつもあったことを知ったファンは余計に落ち込んだ。

放映終了後には続編を描いたネット小説、ムック、ドラマCDによって展開が補完されたが、それも長くは続かず結局ほんとうの意味での完結はできないまま終わっている。
20年近くが経過した現在でも続編の目処は到底立っていないし、アニメ作品、しかも現スクウェア・エニックスからは黒歴史扱いの可能性が濃厚などの状況から、ゲスト出演の可能性すら極めて低い。

その後、2024年になってHDリマスター化した上でアニマックスでの再放送が決定。
また、漫画『FINAL FANTASY LOST STRANGER』では本作が由来と思われる要素が見られるなど、現在も思う所がある素振りが見えている。


時系列

FF:U ~ファイナルファンタジー:アンリミテッド~(アニメ本編)
→FF:U After〜外界の章:外界〜ゆめのおわりとはじまり(ムック本)
→FF:U After Spiral(web小説)
→FF:U After 2:リサ〜たちきられたくさり(ドラマCD)

となっている。

After Spiralが未完で終わったためAfter2でかなり展開が飛んでおり、その間の物語はドラマCDのブックレット内にて補完されている。
小説版は『ファイナルファンタジー:アンリミテッド―双の絆』が発売されているが、こちらは本編の幕間劇の内容。


登場人物


主人公&双子一行

CV:神奈延年
「魔銃」「マガン?」「……俺の心臓だ」
「お前に相応しいソイルは決まった!」
「こいつとの決着をつけるためなら、世界がどうなろうと、どれほどの血が流れようと、構わん!!」

本作の主人公。右腕に腕と一体化した銃「魔銃(マガン)」を持つ黒ずくめの男。主人公サイドからは単に「風」と呼ばれる。
「ソイル」という螺旋のエネルギーを凝縮した弾丸と、右腕に装着された「魔銃」で強大な召喚獣を召喚することができ、主人公サイドとしては群を抜いて強い。
敵幹部集団である四凱将やオメガといった規格外の相手には、風がいないとほぼ話にならない。

その力は魔銃あってのものであり、腰に赤いショットガンを下げてはいるがこれは雑魚掃討ぐらいにしか使えない。
しかしそれも異界ではの話で、外界編での日本海での某国の軍との戦いではミサイルを体から発生させたソイルのエネルギーで叩き落とし、戦闘ヘリをショットガン一丁で次々撃墜するなど、魔銃無しの状態で大立ち回りを演じている。

主人公とは思えないほど非常に無口で、恐らくバンクシーンの決め台詞より普通の台詞のほうが少ない。
魔銃に原因不明のトラブルが起きて作動しなくなっても「…動かない」とボソリと独り言のように言うだけであり、そのせいであらぬ誤解を受けたりもしている。
重度の記憶喪失でもあるのだが、それすら他の面々にちゃんと認識されているか怪しい。

シリアス一辺倒の性格だが、アイに終始「おじさん」呼ばわりされたり、ルーに熱烈なラブコールを贈られていたり、敵の攻撃を避けようとせずあっさり吹き飛ばされたり、砂に混じってドサッと落ちて登場したりと、視聴者にシュールな笑いを提供してくれることも多い愛されキャラ。

  • アイ・ハヤカワ/ユウ・ハヤカワ
CV:桃井はるこ/今井由香
「おじさんなんて呼ぶからよ。嘘でも『お兄さん』って呼ばなきゃ」
「待てーーーっ!あたしのリュック、返せーーーーっ!」

「わかるよ。僕だって、お父さんやお母さんと一緒にいたいもん。だから……」
「男のくせに何もできない、僕がいけないんだ……」

物語の視点となる12歳の双子。姉がアイで、弟がユウ。
双子の両親であるハヤカワ夫妻は現世に現れた「異界」について研究していた学者だったが、二人は異界に研究のため旅立ったきり行方不明になり、アイは弟のユウと共に二人を追いかけて異界にやってきた。

姉のアイは気が強く、初対面のリサに「その笑い、子供に媚びてるみたい」と言ってのけるほど歯に衣着せない。
とは言え根は年齢相応の女の子で寂しがりでもあり、非常に感情的に素直なだけである。
ユウのこともぐいぐいと引っ張っているが、いざという時は誰よりも心配している。

弟のユウは気弱でおとなしく、暴走しがちなアイをよく抑えている。
「男なんだからアイのことを守ってあげないといけない」という、12歳にしては殊勝ながらもやや気負いすぎな思いを秘めており、そのことからアイに比べて無理に気丈に振る舞ったり、うじうじと悩んだりすることが多い。

  • リサ・パツィフィースト
CV:氷上恭子
「貴方たちが、お父さん、お母さんに無事に会えたら。私のほうは、それからでいいわ」
「それでも、人間なの!?」
「私の命を、氣のエネルギーに換えて……!」

本作のヒロイン。アイとユウが「異界」に向かう地下鉄の中で出会った女性。
自然とアイとユウの保護者役になり、「氣現術」と呼ばれる、自然の「氣」の力を利用した格闘術で二人を守っている。
ただし、あくまでその力は自衛に用いており、戦闘力的にも敵をなぎ倒せるような力はない。

基本的に優しい性格だが、なぜか笑顔は苦手で非常に作り笑いくさく、困ると下手なごまかし笑いをする。
名前は欧米風なのに回想シーンでの故郷の村はどう見ても中国の寒村だったり、そもそも何で異界にやってこようとしたのか不明だったりと、リサ自身にもそれなりに謎が多い。

お色気担当でもあり、オレンジ色のワンピース型の格闘着を着ているが、非常にラインがはっきりしている上にスカートもかなり短く色々と煩悩によろしくない。
特に目立つのはやはりと言うかおっぱいであり、放送当時は「魔乳」と呼ばれて親しまれた。
両胸のところにポケットまで付いてるし、なんてデザインしたんだ中澤さん。もっとやれ。

アニメ本編でも十二分に活躍していた彼女だが、実は最終回後に予定されていた現実世界でのストーリー「外界編」が活躍の中心になるキャラクターだったりする。
そこで、所属していた組織の正体やアイとユウの処遇をめぐっての対立、二人とチョコボを連れての逃避行、組織の上級幹部である父親との確執、肉体を乗っ取られガウディウムの新凱将になってしまった恋人との戦い、それが引き金となった気幻獣の暴走など、かなり怒涛の展開が予定されていた。

…のだが、打ち切りに伴い、残念ながらアニメ本編では日の目を見ずに終わってしまった*6
ここら辺の話は、ムック本「外界の章」やドラマCDにて一部が作品化して発表されている。

  • チョビ
CV:矢島晶子
「クエーーーーーッ!」
「グエッ」

ユウが異界で出会ったチョコボ。
チョコボは異界に生息する鳥類で、両親であるハヤカワ夫妻の残した手記には「幸福を呼ぶ鳥」と呼ばれていた。
ユウが異界で貰った髪飾りである程度意思疎通ができ、友達となったため異界巡りについてくるように。

そんなに強くはないが、ユウたちを守るためにモンスターにキックをくりだすこともある。
物語中盤では「シエルアーマー」を発見し、「シエルチョコボ」となって空を飛ぶ能力を得た。モンスターなどから逃げるときに活躍する。

伯爵サイド

CV:矢島晶子
「秩序ってのは『神』が作るの。つ~ま~り~、ボクでしょ?アッタマ悪いなあ!」
「捜せ!一刻も早く、オメガを手に入れるんだ!……オメガを!」

「伯爵」と呼ばれる子供の姿をした混沌の化身で、アニメ本編のラスボス。しんのすけではない。
わがままかつ残虐で、オメガの力を手に入れつつ、全ての世界を混沌に取り込もうとしている。

居城である空中要塞ガウディウムから外に出ることはまず無く、玉座に座ってひたすら人々の負の感情を「食べ物」の形にして食い尽くしている。
モルボルにブリ虫オイルを掛けて食すというゲテモノ食いを披露したこともある。

CV:郷里大輔
「それがしはガウディウム四凱将が一人、フングス!タイラント伯爵の命により、貴様らを殺(ピーッ!)
「ここが貴様らの墓場だァ!」

タイラント伯爵の配下・四凱将の一人で、「キノコ」を司る軍人。
典型的な脳筋だが、身体が菌でできているため強力な再生能力を持ち、非常にしぶとい。
上記の台詞は別にピー音を入れられているわけではなく、パイプを鳴らす音。

別に善人という訳ではないものの、他の四凱将と違って単純なぶん陰湿さが無く、そういった意味では一番まとも。
だが、第2話にして出てくるなり風に魔銃撃たれて敗北など、序盤から連敗続きでいい所無しな状況が続いたことから伯爵に見限られ、風との最終決戦でオスカーが撒かせたカビに蝕まれて再生能力を失い死亡した。

CV:植田佳奈
「知りたい?貴方をね、ハグハグしちゃうのよ」
「もっと怒って!もっと泣いて!気が乱れてい~い感じ!」
四凱将の一人で、「植物」を司る魔女。
サディストの快楽主義者で、「面白そうだから」という理由で伯爵に従っている。

相手にとっての大事な人を利用して精神的にいたぶるなどの手を取ることが多く、やり方が非常に陰湿。
「ハグハグ」という植物を従えており、相手を肉体的に痛めつけることを「ハグハグする」と呼ぶ。
まさかリノアも自分の迷言が隠語にされるとは思うまいて

CV:子安武人
「貴方の勝ち目は『ゼロ』です!両手をついて謝るのなら、お墓ぐらいは作ってあげますよぉ~?」
「お待ちしていましたよこの時をォ!さぁ、撃ったんさい撃ったんさい!」

四凱将の一人で、「海」を司る魔人。
知略担当で、相手の戦法を分析・逆用して戦いを有利にする策士。

…なのだが、サメと顔のついたヒトデを足して2で割ったような奇怪な造形、それと似合わない慇懃無礼かつ尊大な口調、時折見せる妙なテンションの高さ、そして声が子安というコンボが視聴者の腹筋を殺しに来る。

何より、初登場回において風の魔銃を奪い発射するシーンが本作随一の腹筋ブレイカーであったため、他の四凱将に遅れての登場にもかかわらず速攻で立ち位置を確立。
あの河津秋敏から「男性キャラで一番」とのお墨付きが与えられた。

目立たないが風の魔銃を奪い取る、コモディーンの一行を海パズルに閉じ込めていたぶるなど、主人公側に「効果的な」ダメージを与えた行動が多く、悪役として評価が高い。

CV:石井康嗣
「仰せの通りにございます」
「クルクス。……行け

四凱将の一人で、「傀儡」を司る傀儡師。
人形などに命を吹き込む能力を持つが、あまり戦いには出ず伯爵の下での召使いの役割をメインとしている。

黒い布に身を包み顔は無表情の仮面が付けられ、声は低音ボイスが特徴の石井氏らしからぬいかにもな作り声と徹底的に正体を隠しているが、時折仮面の奥からは不気味な眼が覗き、自身が命を吹き込んだ人形のクルクスと二人きりになった際にはドスの利いた声で命令するなど、仕える伯爵にも見せない邪悪な面を覗かせている。

名前も「オスカー(OSCHA)」⇒「カオス(CHAOS)」のアナグラムで正体が気になるが、打ち切りもあって詳細は結局明かされなかった。

  • クルクス
CV:井上喜久子
「くっくるゆー……」
「くー……?」

オスカーが傀儡術で命を吹き込んだ偵察役の人形。
命令には絶対服従で、オスカーの命令で様々な任務をこなしている。
初登場時に出てきた人形形態は関節バリバリでぶっちゃけ夜中に動きそうな姿だが、命を吹き込まれた後は妖精のような姿になって可愛らしい。

基本的に感情は無いはずなのだが、「雲」に助けられたことから徐々に自我が芽生えて行き、最終的には彼に付き添うようになった。「くっくるゆー」としか喋れない。

宿敵

  • 白い雲
CV:石田彰
「相変わらず素敵だね、黒き風よ……」
「キミは……何故、目覚めてしまったんだい?」
「ミストが奏でるあやかしの歌に抱かれて……眠るがいい!『白銀のエチュード』!」

「魔剣士」と呼ばれる伯爵に仕える細身の青年。黒き風とは対照的な白い衣装と、剣を使った戦闘が特徴的。
剣を使い、「ミスト」の詰まったビンを一刀両断することで、召喚獣を生み出し攻撃する。

風とは違い多彩な召喚獣で攻撃するのではなく、呼び出されるのは「一刀獣」と呼ばれる白い龍のみであり、ミストによって攻撃方法が変わる。
風ほどではないものの寡黙なキャラなのだが、出番の差の関係であちらほど無口キャラとして認識される機会はない。

記憶喪失状態の風が覚えている唯一の記憶が「白い雲に攻撃される光景」であり、
それ故、風は白い雲と戦って倒すことだけを目的として動いている。
しかし、雲の側はそんな風を「無様だな」と言い放ち、魔銃の発動しない風を一撃のもとに倒してしまう。
果たして雲は風の何を知っており、何が目的なのか?

コモディーン

  • ナーヴ
CV:堀之紀
「君の瞳……絶望を知らないようだ。共に剣を取っては、どうかね?」
「ギャーーーーーッ!カエル、連れてってぇーーーーーっ!」
伯爵に対抗し、異界に秩序を作るために活動する地下組織「コモディーン」のリーダーを務めるイタリア人顔の中年男性。

初回登場時はやたらとキザったらしい以外は割とまともなオジサンという感じであったが、コモディーンと再会して以降はすっかりコメディ担当に回されることが多くなり、風に顔を赤らめながら人工呼吸を始めようとしたり、キレたシドにすっかりビビっていたりとリーダーの威厳もへったくれもないシーンが多くなる。

  • シド
CV:関俊彦
「いいですねえ君たち、地下鉄乗ったんだぁー……あー、僕も乗りたいなぁ~……」
「俺のキャサリンに傷をつけるとは……テメエ命がいらねえようだな……。このシド様の怒りの天罰、思い知れぇェェェェッ!」

FFおなじみのシドであり、コモディーンのメカニック担当。
本家ゲーム版やチョコボ系作品に先駆け、FFシリーズ初の「青年のシド」であったりする。

好青年を絵に描いたような性格、小型の治療器から飛空艇まで何でもござれのメカニックとしての腕の高さと非の打ちどころなしに見えるが、製作したマシンに女性名を付けて溺愛し、傷を付けられるとマジ切れして俺様口調で暴走を始めるという危ない一面がある。

機械にしか興味がない…のかと思いきや、カエル仙人の呪いによってカエル化した際は、
誰も気づいてくれないのをいいことに、リサの風呂を覗こうとしたりキスしようとしたりとエロガッパならぬエロガエルっぷりを盛大に発揮。色々と自業自得な報いを受けた。

チョコババ&チョコイモのオババコンビにキスをされるわ、リサの風呂を覗こうとしたらナーヴのシャワーシーンだわ、ミィレスに食われかけるわとこの回のカオスぶりは評価が高い。

  • ミィレス
CV:桑島法子
「うーん、久しぶりだよ。女の子の着替えなんて手伝ったのは」
「照準、よーし!力の限り息を吸えーーーーーっ!」

コモディーンで戦闘隊長を務めている女戦士。
男勝りな性格だが、アイのために新しい服を用意するなど面倒見も良い。
戦闘になった場合、ナーヴの命で彼女が指揮を執って兵士を動かしている。

とある一件以降、シドに対する態度がしおらしくなる。可愛い。

その他

  • ルー・ルプス
CV:KAORI
「かーぜーサーマーーーーっ!」
「異界に来てから、ルーは、ずっと誰か一緒にいてくれる人を探してた。自分の居場所を、探してた……」

異界を巡る地下鉄の中で、アイ・ユウたち一行が出会った少女。
最初は怯えていたが、打ち解けると非常に快活で明るい性格。

実は獣人であるウェアウルフ族の生き残りで、同族の眼を見つめることで狼形態に変身できる。
ウェアウルフ族は滅亡しており、目を見つめ合う同族の相手はいないため、変身する際は鏡で自分の瞳を見つめる。必殺技は高周波の咆哮「ルー・ボイス」
怖がられるのが嫌で正体を隠していたが、オメガの襲撃を機に変身して立ち向かうことを決意した。

結局オメガには歯が立たず風の魔銃で撃退されたが、それ以降すっかり風に惚れ込んでしまい、風のことを「風サマ」と呼びながら猛烈なアプローチを繰り返すようになる。

「風サマって聞き上手よねー」※黙っているだけです

  • モーグリ・クポ
CV:半場友恵
「オイラはソイルの伝道師!ちなみに認識名は『クポ』だクポー!」
「よぉーし、動け魔銃!ソイルの導くままに!」

とある異界「思い出横丁」にいた謎のモーグリ。
「風」と同じようなマントとサングラスを身に着けており、自らを「ソイルの伝道師」と名乗っている。
実は「風」のかつての相棒であり、彼の過去を知っている数少ない人物。

「ソイルの伝道師」の異名は伊達ではなく、頭のボンボリで魔銃に干渉して召喚獣をパワーアップできる*7。口調は「~クポ」。

  • 赤い霧
CV:田中秀幸
「それがどうした……」
「麗しの歌に抱かれて……眠るがいい!『真紅のレクイエム』!」

「雲」の実兄で、「魔導士」と呼ばれる。姿形が「雲」と瓜二つで、真っ赤な衣装と大剣「フレアソード」を装備している。
「雲」同じくミストの力で一刀獣を召喚でき、剣技も非常に卓越している。外見は華奢な青年だが、声が非常に渋い。

かつて混沌の影響で起きた「風」と「雲」の世界の戦争で死亡したが、オスカーの傀儡術でこの世に復活。
高潔な人物だったが実はひそかに弟の「雲」に対して嫉妬心を抱いており、生前では行えなかった「戦士としてどちらが上か」を知るため「雲」に闘いを挑む。

  • ファーブラ
CV:井上喜久子
「異界の夜へようこそ……。私はファーブラ、導く者」
「予言します」

次回予告や一部話のオープニングなど、本作の「語り」を担当する謎の年齢不詳の女性。ファーブラさんじゅうななさい
「予言者」を名乗り、幻想的ながらも奇抜な衣装や水晶玉など、格好からは占い師のような雰囲気を感じさせる。

ほとんどアニメ本編には関わらないが、アイの前に現れて異界の生き物「ポシェポケ」を手渡したり、
地下鉄が破壊されて危機に晒された一行を陰から助けたりとしばしば冒険に介入している。

非常に重要な存在だと思われるのだが、結局正体は明かされずに終わってしまっている。





次回も、アンリミテッドな追記・修正を。

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最終更新:2024年03月03日 16:02

*1 普通に他作品でいう「副監督」「監督」という「現場監督」ポジション。実際、制作現場は米たに氏が仕切っていて、前田監督は監督としてはサポートに徹していた。

*2 シドを初めて若者に設定、モーグリが人造生命体、クリスタルがオメガの核であるなど。

*3 https://dengekionline.com/elem/000/000/988/988659/

*4 1話〜13話まで。

*5 14話〜24話まで。

*6 リサの彼氏の話などの一部伏線やサントラ表紙で組織のコートを着ているなど、痕跡は結構残っている。

*7 フェニックス→ギガフェニックス、イクシオン→イクシオン零式。